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職員ひとりごと(20) 職人技の戸籍事務

[2007年11月1日]

 皆さんはタイプライターを知っていますか?社会のIT化にともなって、今や一家に1台といっていいぐらいパソコンが普及しており、ワードプロセッサーを知らない世代も増える中にあって、ましてや日本語タイプライター(以後タイプ)を知っている人は、数少ないと思います。
 時は昭和59年、私が役所に就職する一月ほど前に有名な「グリコ・森永事件」が起こり、その脅迫状がタイプで作成されていたことから、私の職場に、刑事さんが調査に来たときに、初めて、役所にタイプがあることを知りました。当時すでに一部の職場でしか使っていなかったように思います。なお、あるメーカーが一セット630万円もするワープロを売り出したのが昭和53年、事件のころには、一行ワープロ(ディスプレーに一行しか表記できないもの)や30万円台の普及機が出始め、その後、社会に急速にワープロが浸透し、後のパソコンブームとなるのです。
 さて、タイプに話を戻しますが、戸籍の職場では、そのタイプが今も現役でバリバリ活躍しています。私どもの職場では、パチパチと小気味のよいタイプを打つ音が響いています。
 今では、社会のすべてに機械やコンピューターが導入され、こういうマニュファクチャー的な、まさに「熟練」という言葉そのものがなくなりつつある世の中にあって、戸籍職場では、今も活字を探しながら戸籍を打つという職人技が生きています。
 タイプの活字版にない字が出てきたときには、予備活字の中から文字を探すという「めんどうな」ことがあります。また、戸籍職場には他にも様々な仕事があるにもかかわらず、人気ナンバー1の仕事がタイプなのです。
 そのタイプにも役目が終わるときが近づきつつあります。大阪市は、戸籍のコンピューター化を決定しました。旭区でも3年後には、戸籍謄本という言葉はなくなります。コンピューター処理された横書きの全部事項証明書に変わります。ただ、現在のタイプで打った戸籍は、平成の原戸籍として、保存され、相続等で必要になることもあり、その際には、市民の皆様に原戸籍の謄本としてお目見えすることになります。
 ですが、一見するとレトロなタイプを打つという仕事はなくなり、その日が訪れるまで私たちは、精魂込めてタイプを打ち続けたいと思います。ぜひ戸籍謄本や抄本を取りに来られるときには、戸籍に載っている自分たちの生きてきた系譜に思いを馳せるとともに、私たちがタイプを打つところを想像していただければ幸いです。きっとタイプライターも喜んでくれると思います。そんな全盛の時代があったということを。

◇住民情報担当 佐野雅哉

タイプライター
タイプライター使用中

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