もっと知りたい あべの発見!7つのあべの物語
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39■信太の白狐が我が子晴明に授けた超能力葛之葉子別れの伝説信太の森から晴明を見守る葛之葉くずのは平安時代、陰陽師おんみょうじ賀茂保憲かものやすのりに、安倍保名あべやすなと芦屋道満あしやどうまんという二人の高弟がおり、秘伝書をめぐって争っていました。保名には榊さかきの前(賀茂保憲の養女)という恋人がいましたが、秘伝書の争いの中、彼女が突然亡くなってしまいます。恋人を失った保名は、形見を抱いてさまよいながら信太しのだの里にたどりつき、そこで死んだ榊の前とそっくりな女性に出会います。彼女は信太の村長の娘で、榊の前と瓜二つの妹の葛之葉だったのです。保名は葛之葉姫と結婚し、信太の里に住み、深い悲しみから立ち直りました。ある日、都から悪右衛門という武士が、白狐狩りに信太の里にやってきました。矢傷を負った白狐は、おりよく通りかかった保名に一命を助けられます。ところが、自分を助けるために悪右衛門に重傷を負わされた保名を見て、白狐は、恩返しに葛之葉姫の姿になって保名を介抱しました。保名は白狐の化身とも知らず、悪右衛門の追跡から身を隠すため、葛之葉をつれて阿倍野の里に移り住み、童子丸という子をもうけました。一方、本当の葛之葉は、行方不明になった夫保名の行方を探し続け、六年後、阿倍野の里の保名を捜しあてます。本当の葛之葉は保名に、「どうして黙って信太の里から去ったのか」となじり、その声が白狐の葛之葉にも聞こえます。もはやこれまでと、白狐の葛之葉は寝ている童子丸を抱き上げ、「狐の子だからと人に笑われることのないように。母は陰から行く末長くおまえを見守っています…」などと伝え残し、陰で全てを聞き引きとめる保名を振り切って、「恋しくば尋ねきてみよ和泉なる信太の森のうらみくずのは」の一首を障子に残し、白狐の姿となって信太の森に帰って行きました。その後、本当の葛之葉が童子丸を我が子として大切に育て、成長して陰陽学博士安倍晴明になりました。浄瑠璃『芦屋道満大内鏡』より

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