生誕100年記念 前田藤四郎展―“版”に刻まれた昭和モダニズム―

展覧会は終了しました。

生誕100年記念 前田藤四郎展―“版”に刻まれた昭和モダニズム―

◆会期 平成18年1月21日(土)~3月21日(火・祝) 
*会期中展示替えあり
(前期 2月21日(火)まで/後期2月23日(木)から)

◆会場 大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室

◇主催 大阪市教育委員会(近代美術館建設準備室)、読売新聞大阪本社 
◇特別協力 大阪府(府立現代美術センター) 
◇後援 財団法人大阪都市協会、財団法人大阪21世紀協会 
◇出品内容
大阪市および大阪府立現代美術センター所蔵品を主とする、前田藤四郎作品約160点および資料類

 昭和の版画史に大きな名を残した前田藤四郎(1904-1990)は、大阪という個性ある都市のモダニズムを体現する版画家です。
 1904年(明治37)に明石に生まれた前田は、神戸高等商業学校(現・神戸大学)を経て松坂屋大阪店の宣伝部に入ります。入社後まもなく徴兵されますが、入営中に版画に興味を持ち、除隊後の1929年(昭和4)、大阪市東区淡路町に親戚が設立した宣伝広告印刷会社「青雲社」にグラフィックデザイナーとして勤めながら、本格的な版画制作をはじめます。市域拡張で“大大阪”となり、近代都市へと成長を遂げる昭和初期の大阪で、前田は大衆の生活感に根ざした“三文版画”“昭和エピナール”を提唱しつつ、モダニズムの息吹を画面に取り入れ、シュールレアリスム色の濃い斬新な表現を打ち立てました。
 その後、1939年(昭和14)からの「琉球シリーズ」、前田のトレードマークとなる昭和30年代の「木目」の作品、ロッキード事件といった当時の政治・社会情勢を風刺した作品群など、時代ごとに変転を見せながら円熟へと向かいます。
 本展は、版画作品に加え、1974年より読売新聞家庭欄に好評連載された岡部伊都子の随筆の挿絵原画や、前田の多面的な仕事ぶりと創作プロセスを伝える原画、版木、印刷用版下など、大阪市立近代美術館建設準備室と大阪府立現代美術センターの所蔵品を中心に、作品約160点と資料類を展示し、モダン都市・大阪を母胎に、版画からグラフィックデザインまで幅広く展開した前田の創作の軌跡を振り返るものです。

※「昭和エピナール」「三文版画」について:
いずれも前田の造語で、自らの版画を定義する語として考案した。エピナールとはパリ東南モーゼル河流域の都市の名で、この地で17世紀から19世紀末にかけて民衆向けの版画が生産され、街の名にちなんで「エピナール版画」と呼ばれていた。前田は、このエピナール版画に強い共感を覚え、エピナール版画のいわば"昭和版"を志そうとして自らの作品を「昭和エピナール」と呼んだのである。「三文版画」も同様の意味の言葉で、安っぽい劇を指す「三文オペラ」などから着想したのではないかと思われる。いずれも、一部のエリートやブルジョワの愛玩物ではない、広く一般大衆に親しまれる廉価な版画という意味が込められている。

 

生誕100年記念 前田藤四郎展―“版”に刻まれた昭和モダニズム― 関連イベント: スペシャルトーク、モダニズムツアー

イベントはすべて終了しました。

 

スペシャルトーク「いつでもどこでも版画家~ MAEDAマジックの秘密に迫る」

◇日時 平成18年2月18日(土)午後4時30分より
◇講師 志野和男(版画家)

版画家・志野和男氏の案内で展覧会を観覧。版画家の眼で作品を語るとともに、あらゆるものを“版”にする前田のユニークな技法について、実演を交えながら解説しました。

 

モダニズムツアー~版画家・前田藤四郎の作品とゆかりの建築を見る

◇日時
 平成18年3月10日(金) 午後1時30分~4時30分
◇場所
 大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室 および
 船場周辺の建築物(船場ビルディング、生駒ビルディングなど)
◇講師
 酒井 一光(大阪歴史博物館学芸員)
 橋爪節也(大阪市立近代美術館建設準備室主任学芸員)

前田藤四郎は、昭和のモダン都市・大阪で活躍した版画家です。作品の中にも市内のモダニズム建築が登場します。このツアーでは、心斎橋展示室で「生誕100年記念 前田藤四郎展」を解説つきで見学した後、学芸員の案内で近隣にある前田ゆかりの建築を訪ねます。