カンピドリオのあたり 藤島武二

カンピドリオのあたり

藤島武二 《カンピドリオのあたり》1919年(大正8) 油彩,カンヴァス 各188.0×94.4cm

作品解説

藤島武二が絵画研究のためフランス、イタリアへ留学の機会を得たのは38歳、東京美術学校の助教授をつとめていた時でした。この作品は帰国後10年を経て制作されたもので、スケッチをもとに描かれたと推察されます。古代よりローマの政治・文化の中心地であった景勝地・カンピドリオの付近が、縦長の双幅という油彩画には異例の形式で表現されています。左右で異なった景色を切り取っていますが、いずれも直線を多用した幾何学的構図を取り、果てしない上昇感が感じられます。細部を簡略化し、中間色を用いて装飾性を高めた画面に、月や母子を配して抒情性を持たせた本作は、藤島が留学の主な研究目的としていた、形式とともに意味を込めた「装飾風の画」の一つの完成形であるといえます。

作家紹介

藤島武二 FUJISHIMA Takeji 1867–1943

1867年(慶応3)、島津藩士の三男として鹿児島に生まれる。上京し、川端玉章に日本画を学んだ後、曾山幸彦の画塾で洋画を学ぶ。1896年(明治29)に東京美術学校西洋画科が新設されると黒田清輝の推薦で助教授に就任、白馬会で活躍した。明治30年代半ばには浪漫主義的傾向を示す作品で一世を風靡する。1906年(明治39)、装飾画研究のためパリ、次いでローマに留学。1910年(明治43)に帰国し、東京美術学校教授に就任した。帰国後はしばらく作風を模索するが、大正末には東洋の女性の横顔を描く作品で東西の美術の融合を果たす。晩年は「旭日」をテーマに、東洋的な美意識に基づく風景画を制作した。1943年(昭和18)、東京にて75歳で死去。

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