平成21年6月4日 大阪市長会見全文

【定額給付金について】

みなさんこんにちは、よろしくお願いします。今日はまず、定額給付金の話からさせていただきます。大阪市では、定額給付金のお知らせをおよそ135万通出しております。そして、それに基づいて、皆様から事務センターに送り返していただいている、その申請書の数でございますけれども、これが6月1日時点で、およそ100万通届いております。
支給につきましては、先月15日から口座による定額給付金の支払いを開始し、鋭意作業を進めておりまして、現在31万件の方への支給を完了しております。ということはまだ、およそ70万件、まだできていないという言い方もできるわけです。そして、もう1つ重要なことが、30万件を超える方が申請をされていないということでございます。申請につきまして、できるだけ早期にお願いしたいと思います。
なお、市民の皆さんから定額給付金に関わって多くのお問合せをいただき、ご迷惑をおかけいたしております。申し訳ございません。定額給付金の処理については、一度に多くの処理ができないということもありまして、そのあたりも含め、この会見終了後に、市民局から定額給付金に係る支給の状況及び7月から始まります現金支給の手続き、手続きが7月から始まるということでございます。現金支給が7月から始まるということではございません。これは結構勘違いされている方が多いんではないかと思います。手続きなど詳しい説明をさせていただきますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

【新型インフルエンザに関わる臨時休校に伴う夏季休業日の変更について】

次です。今回の新型インフルエンザの発症に伴い、5月18日から5月22日まで市立幼稚園から高等学校まで、すべての学校園を臨時休業、臨時休校にしていた問題で、その期間中の保育及び学習につきまして、保護者の方々から『遅れた授業どうするんですか』などといったお問合せをたくさんちょうだいいたしました。補填すべき学習活動についてはできるだけ早期に、わかりやすい形で対応しなければならないと思っておりましたが、教育委員会が、すばやい対応を決めてくれましたので、お知らせいたします。
本日発表の資料をご覧いただきたいと思います。臨時休業の期間中に、幼稚園では8半日、これは4日分に相当するそうですが。小学校では20時間から24時間、中学校では25時間の保育・学習が実施できておりません。この実施できなかった学習活動を補填することとしたわけでありますが、今年は1学期の終業式が7月17日、17日と例年より早くなっております。またその前には個人懇談等も実施する必要があるなど、短縮授業期間のみの活用では速やかな補填が困難であるということから、本年度に限り、夏季休業期間を8月26日水曜日までとしまして、2学期の始業日を8月27日の木曜日に前倒しして、実施できなかった授業時数を確保せざるを得ない判断に至りました。平たく言うたら「夏休み短くなります」ということです。夏休み短くなります。
高校については、従来から独自に夏季休業日に授業を実施していることもありまして、各学校ごとに夏季休業日の授業の追加実施などにより、創意工夫を図って授業時数を確保することとしております。さっきも言いましたように、「夏休み短くなる」と言うだけで、私が子どもの頃、もしそんなこと言われたら、「どないしようかいな」と思ったであろうと思います。聞きましたら、大阪市制の学校制度が始まって以来のことだそうです。100年に1度あるかないか、そういう状況に立ち至ったということでございまして、保護者の方への信頼や、あるいは期待にお応えして、補填すべき授業時数を確保することと、従来から実施されております学校行事や地域における取り組みにも大きな影響を与えないように配慮するということでございますんで、園児、児童、生徒の皆さん、そして保護者の皆さん、是非よろしくお願いいたします。

【「定額給付金について」説明の訂正】

次にまいります。ごめんなさい。私、間違えました。定額給付金の現金支給の手続きは、5月18日から始まっております。7月2日から窓口での支給を始めるということで、その手続きの受付は、5月18日から開始させていただいておりますが、30万通帰ってきていないという、その申請書類ですが、その方たちがそのまま窓口に来られるということになりますと、大混乱になりますので、なるべく早く申請書を返していただきたいというお知らせでございます。大変失礼いたしました。詳しくはこの後、市民局から皆さまの前で詳しくご説明申し上げます。

【帆船『あこがれ』の船上結婚式について】

次にまいります。帆船『あこがれ』について二つでございます。帆船『あこがれ』は自治体が所有する全国で唯一の帆船でございまして、また、小学4年生以上の一般市民が誰でも実習航海、セイル・トレーニングを体験できる点でも、全国で唯一の帆船でございます。就航して16年目。これまでにおよそ3万人の人々に乗船いただき、総航海距離およそ31万キロ、この距離は地球8周弱でございます。その長い期間、長い距離は多くの、その分、多くの青少年の育成に貢献してきた長い実績であると私思っております。お配りしております報道資料をご覧いただきたいと思います。『あこがれ』は実習航海以外にも、係留状態で結婚式やファッションショーの舞台など、さまざまなイベントにも利用していただけるのも一つの特徴でございます。
今回、『あこがれ』のボランティアとして活躍していただいております藤本さんと奥井さん、このお二人が初めて出会ったのが『あこがれ』の船上であると、その船上で今度の日曜日、6月7日に、結婚式をあげられることになりました。式に合わせて、ボランティア仲間30人が、そろいの赤いTシャツでマストに登って整列する、帆船の最高の正式儀礼であります「登檣礼(とうしょうれい)」を披露されると聞いております。一番高い所で、ビルの10階ぐらいに相当するそうでございますが、帆船とウエディングドレス、そして登檣礼、この三拍子でお二人には一生に残るすばらしい思い出の日になること間違いないと思っております。新型インフルエンザ等暗い話が多かったんですが、非常に絵にもなる明るい話題ですから、是非取材のほうよろしくお願いいたします。
帆船『あこがれ』は大阪市民の貴重な財産でございますが、まだまだ市民の皆さん以外には、いや市民の皆さんでも知らない人がいるかも知れない。これからもいろんな機会を通じてセイル・トレーニング航海以外にも、さまざまな有効活用に取り組んでいきたいと思っておりますので、是非皆さまのご支援をお願いしたいと思います。

【帆船『あこがれ』によるこども交流団の上海派遣について】

そして、もう一つ。これが『あこがれ』ですが、今回、帆船『あこがれ』の話をする中で、一つの案が浮かんでまいりました。小学4年生以上であれば誰でも実習航海ができるという『あこがれ』の日本で唯一、最大の特徴を活かしまして、次代を担う子どもたちを、「子ども友好親善大使」として上海に派遣してはどうかと考えております。
上海市は、大阪市の友好都市であり、今年で提携35周年を迎えます。さまざまな交流行事が予定されておりますが、両市の都市交流、そして市民交流の歴史を踏まえ、さらなる交流の新しい1ページを開くことができるのではないかと期待しております。上海へは、『あこがれ』に乗っていただいて、セイル・トレーニングをしながら、およそ1週間かかるということでございますから、実施時期としては夏休みということになると思います。準備や募集期間等を考えますと、来年の夏休みに実施したいというふうに考えまして、これから企画を練っていこうと思っています。
で、来年といいますと、上海万博でございます。この上海万博にも合わせる一つの企画として作り上げていきたいと思っています。大阪府、経済界といっしょになって出展を決めております。大阪府の橋下知事や、あるいは経済界にもこのアイデアをご披露いたしまして、もし賛同が得られるならば、一致して、一致協力して、このイベントとしてオール大阪で取り組むという形になれば一層嬉しいことですが、今後そういった方向で話を進めたいとも思っております。
帆船『あこがれ』に乗った「子ども友好親善大使」の上海港入港という、このシーンは上海市民や中国国民に大阪をアピールできる絶好の機会でもあると思いますし、上海万博の会場はちょうど真ん中に川が流れております。その川の真ん中あたりに、『あこがれ』を泊めまして、その船上でレセプションを開いたりということも可能になるんじゃないか、あるいは上海市民との交流イベントもできる。考え出したらどんどん、どんどん膨らんでいきますが、今後具体的な企画として、皆さまにお見せできるようになると思っております。費用でございますが、この「子ども友好親善大使」の取組みに関しましては、市民の皆さまから広く募金や、あるいは協賛金といったご協力をいただいて、帆船トレーニング、セイル・トレーニングというものが、いろんな子どもたちにすばらしい経験を与える、あるいはその、人生の転機というと大げさに聞こえるかもしれませんけれども、本当にそういった経験をした多くの方がいらっしゃいますので、そういった教育機関の一つの船として大阪市が持っているんだということを市民の人にも広く知っていただきたいと、そういう形で展開したいと思っています。派遣にかかる費用など詳細が決まった段階でお知らせいたしますので、多くの方々が協力していただけるように、そんな仕組みを作っていきたいと思っています。

【WTC更生管財人の要請に対する回答について】

次にまいります。この会見の前にWTCの中井管財人が皆さんに現状レクをされたと思います。以前、中井管財人からお話をいただいておりました事項につきまして、皆さまのお手元の配付資料のとおり回答いたしましたので、お知らせいたします。 回答の中で、咲洲地区の活性化の推進につきまして、今年度は計画段階から実行段階に入るというふうに思いまして、全市の力を合わせて事業を推進し、さらに、視野を広げて新たな活性化策についても検討・推進する必要があると思っております。これがお手元資料にございます。

咲洲をはじめとする臨海部活性化に向けた取組みについて(PDF561:KB)
こういった形でつけさせていただいている資料でございます。今までは、咲洲プロジェクト、私ずっと言っておりました部長級の構成でございました、この咲洲プロジェクトチームを強化するために、森下副市長をトップにいたしまして、局長級をメンバーといたします。これはまだ仮称でございますが、『咲洲等臨海部活性化推進本部』、これを設置いたします。全市的に臨海部の活性化を進めていくことといたしました。その点につきましては回答には載せておりませんが、こういった方向性で大阪市が進めていくということをお知らせさせていただきたいと思います。なお、詳細はこのあと担当から、また皆さまにご説明することになっております。よろしくお願いいたします。

【なにわ元気アップ会議について】

そして、こちらにもございます、最後に、後ろに張っておりますけれども、『なにわ元気アップ会議』。今年もですね、『ウェルカムなにわ元気アップ会議』、あるいは『元気アップフォーラム』といったものを展開してまいろうと思っております。もちろん、サプライズ訪問も既に始めております。市民協働チームと精力的にまちに出て、また市役所に来ていただいて、市民の皆さんといっしょに、大阪を元気にしていきたいと思っています。
「いっしょにやりまひょ!大阪」ということで、いろんな所でこのマークといっしょに動いていきたいと思っています。「大阪を元気にするために、市民の力をお借りしたい」、それをあちこちで言い続けてまいりたいと思っておりますので、またこういった現場で本当に前向きに大阪市のために一肌も、二肌も脱いでくださっている市民の方多くいらっしゃるということを実感していただくためにも、是非取材に来ていただきたいと思います。よろしくご協力のほどお願いいたします。本日は以上でございます。ありがとうございます。
質疑応答
記者
WTCの先ほどの中井管財人のレクの中で、今の段階で、複数社が手をあげているという話がありました。そのことに関して、市長、率直にどのように感じてらっしゃるかということと、今後の市の関わり方といいますか、WTCとの関わり方で、今、回答をいただいていますけれども、この特に1のところで入居賃料3,000円を基本に協議していくというようなところとかですね、そういった今後の市の、市としてはどのようにこの問題について取り組んでいくのかというところをお願いします。
市長
はい。中井管財人のレクチャーの内容を、つい先ほど、私、レクチャーが終わってから、聞いたばっかりで、複数社手を挙げていただいているという情報も初めて聞きました。1社も手が挙がっていないという状況と比べるとはるかにいいと。ただ、内容は、皆さんにも、管財人の方からご説明があったように、一切、明らかになっておりませんので。ただ、手が挙がっている、複数社手が挙がっているということだけで、少しは、ほっとはしております。今後、細かい内容等を管財人の方に精査していただけるんやと思っております。
それから、回答書についてでございますけれども、質問をいただきました、あるいは、協力要請をいただいた段階で、それ以降検討しておりましたことを、現段階でお答えできる範囲でお答えさせていただいたというのが正直なところだと思います。で、今後の方向性等につきましても、やはり、すべて管財人の方にコントロールしていただきながら、時には、管財人の方からご依頼があるかもしれませんし、あるいは、「こういった方向性は」というご提示があるかもしれませんし、それに応じて対応していきたいというのが今の私の気持ちです。
記者
市長は、「市民負担の最小化」ということをずっとおっしゃられてると思うんですが、市長にとってのこの市民負担最小化というのは、具体的にはどういったことになるんでしょうか。
市長
そうですね、例えば、今後、想定される私どもから出て行くお金っていうと、損失補償というのが一番大きな額になるわけでございますけれども、その損失補償の実施にあたって、これは協議するというふうに特定調停の際になっておりますんで、金融機関との協議を、市民負担の最小化をどうした形で実現できるのかということをお願いしてまいりたいというのが、まず、あります。で、そうはいっても、非常に巨額になりますんで、例えば、新しくできた第三セクターの特別債の起債ということも、ある意味、これは、将来に借金を延ばすんじゃなく、今ようけ払わなあかんものを、逆に細かく分割して払っていいですよという制度でございますんで、ある意味、今の市民にとって、ひとつの最小化ということがいえるかもしれない。そういう意味では、選択肢としては、大きな位置を占める制度かなという気でおります。
記者
市の買い取りについては、最後の手段だとおっしゃってますが、今の段階ではどうですか。
市長
それも、変わりません。管財人の方から、手が挙がっている複数社の状態で、今後、細かい精査に、第2次募集の段階に入っていくわけですから、そんななかで、様々なデータを分析していただいたうえで、こういうところなんですがというお話が、おそらくそういうふうになるのか、その段階で、市として何を選ぶのかと。これはね、ですから、今日初めて聞きましてね、箱の中に入ってまだ蓋をされてますんで、見ることもできないですし、見たいですよ、本当に。本当に見たいですけど、見ることできませんし、それは守秘義務がきっちり入っているなかでの、管財人の方にやっていただいている業務ですから。私も一日も早く、「どういうとこかなぁ」というのは知りたいですけど、すべて管財人にお任せしてます。
記者
一つは定額給付金についてなんですけれども、100万件の申請があって、今のところ30万件ということで、残り70万件という、大阪市は大きいので発送自体も遅かったと思うんですけど、これについて、細かい話はまた後でっていうことなんですが、市長は遅いと考えてらっしゃるのか、その辺どういうふうに原因考えてらっしゃるのかというのが一つとですね、もう一つはWTCについてなんですが、この間随分、橋下知事が、「市の覚悟を見せてほしい」とか、「市がWTCの方に来れば」とか、なんか色々言ってらっしゃいますし、一部報道では先だって、市長が府の方に入居を打診したっていう話も出てますが、その辺について知事との間でどんなお話があるのか、今どういうふうにお考えなのか、この2点についてお願いします。
市長
はい。定額給付金につきましては、私が聞いている情報でも、最初は5月の下旬、それが5月の中旬の後ろぐらいから、実際には5月15日からという形になってるんですが、もっと早くできるかなと思ってた部分は正直ございますが、予想以上に手間取っている、その理由というものが色々あるみたいです。やっぱり申請書類の不備、それをもう一遍送り返さないといけないというものも結構な数あったり、あるいは130万件っていうその書類の多さですね、物理的な、といったものに対応するのに、当初考えていた人数でよかったのかどうかというものも含めて、この後説明があると思います。ただ、結構今ね、現場にお叱りのお電話をたくさんいただいてると、「どないなってんねん」というお電話がたくさん来ているということなんですが、きちんと申請していただいた分については、必ず銀行に入りますので、それはご心配ないようにということしか現状では申し上げられないのが、大変申し訳ないというふうに思っております。この後、市民局から説明をしてもらいます。
さあ、WTCですね。順番から言いますと、どういう順になるのかなと思うんですが、水道部の入居とかいう報道がされた、その入居を打診したということなんですが、その打診ということでいうと、あれはね、(市会建設港湾)委員会、協議会でしたかね、協議会で、そういったWTCの話が出た時に、市民負担の最小化っていうものを、先ほど記者さんからも質問いただきましたが、私はビルが高く売れるということが損失補償を少なくすると、これは非常に単純な理由です、図式でございますんで。その協議会で、ずっと「市民負担の最小化、市民負担の最小化」って言われてて、部屋に戻って、私の部屋に戻って、「ちょっと待てよ」と、今7割ちょっとですか、入居率。それを、例えば府の部局、府庁は入られへんかったにしても、「府の部局で入れるところがあったら、そういうことはお願いできるんやろか」という軽い気持ちで、知事にお電話をしまして、知事に「そういうことって考えられるでしょうか」って聞きましたら、「今後、水道協議が前に進むとしたら、水道部が入ること自体は合理的であると思う」というふうなお返事をいただきました。それ以外には、府庁移転の時に、やっぱり部局が空いてるところに当面移るっていう案を持ってこられた際に、知事自身が「それは考えてません」とおっしゃった手前、「今すぐ方向転換するという訳にはいかんでしょうね」っていう返事でございました。ですから公に、あれが公に入居を打診になったのかどうかっていうのは、私はそういうつもりではなくて、「こんなこと考えられますかなぁ」というものでございました。ですから話はしました、それについて。
それから、「大阪市の本気度」ということを確かおっしゃってたと思います。これは間違いなくおっしゃってましたね、知事が。大阪市の本気度が足らなかったのと、足りなかったのと府庁移転がならなかった理由を聞かれたと思いますかね。本気度が足りなかったことと、それと後は何やったっけ、大阪市の本気度と。
情報公開室市民情報部長
耐震です。
市長
耐震ということをおっしゃったということで。私は、その瞬間に目が点になったのは事実です。あれだけ二人で本気度ある言うて、言うてた訳ですし、府市始まって以来の都市構想みたいなことを、ここへわざわざ多くの記者に集まっていただいて、知事にも来ていただいて、今日お見せしている『咲洲プロジェクト』っていうのは、我々がずっと考えていたもの、それに大手前という、あの地域が重なった形で『海の御堂筋』も表現したりして出した都市構想。もちろん日数的には検討時期は短かったですから、万全のものとは言えないまでも、初めて府と市がそろって大阪市の中にある土地、あるいはまちというものをどうつくるのかというのを表出ししたんですよね、皆さんが。で、「これで、本気度足らん言われたら、どうすんねん」と思ったのは事実で、その瞬間に私の頭に浮かんだ4文字熟語は「責任転嫁」という熟語でございました。これは、いつか言いたかったんで、聞いていただいてありがとうございます。
記者
その分を大阪市に「WTCに来い来い」いうようなことを知事が言ってらっしゃったんですよね。
市長
ですからね、私は確か、ある報道によりますと、「笑い飛ばされた」と、知事がお答えになってたということなんですが、この問題は具体的に考えた時に現実味のない話で、WTCに今、要するに、耐震にするか建替えるか迷ってらっしゃる府が、まず、府庁移転っていう話をされて、その瞬間にWTCの営業活動が一切止まってしまって何ヶ月か続いた訳じゃないですか。じゃあ、あそこに大阪市役所も、それから府庁も全部入れるスペースがあるのかっていうと、現実的にはありえないですよね。そりゃ部局移転っていうことでいうと、我々も本当に府庁が入っていただいた時には、他の部局をATCに移すなり、今入っている部局を移すっていう具体的な検討まで入っておりましたんで、その段階では府市協調してあのまちっていうものは、また新たな姿になるということですが、知事が「府も市もいっしょにいきましょうよ」ってのは非常に乱暴で、笑い飛ばしたのは事実です。「そんなことによう答えませんわ」と言ったのは事実です。
記者
水道統合協議のことでちょっとお伺いしたいんですけども、昨日の市議会の交水委員協議会でですね、ガバナンスの件なんですけども、局長らはですね、要約すると、府が長期計画などをつくると、コンセッション案の意義が全く失われるということで、市がつくりたいということだったと思うんですけれども、平松市長は、「協力してつくる」と、「府と協力してつくることをもう一度確認する」とおっしゃってたと思うんですが、これはどっちなんでしょうか。それと、仮に協力してつくるっていうことならば、どういうふうに協力してつくるっていう意味なのかっていうのがちょっと分からなかったので、お願いします。
市長
コンセッション方式の究極の姿っていうのは、私どもの局が言っている姿だと思いますが、当面、大阪府が広域水道というものに対して責任をもっているわけでございます。で、そのコンセッション型の受託という形になったとしましても、当初、いきなりすべてをといいましても、今回この交渉が、いろんな暗礁に乗り上げそうになったときに、「やっぱり最終的に大阪市の思い通りになるか」とか、あるいは、「大阪府は大阪市を飲み込もうと本当は思うてるんや」とかいう、そういう根元にある不信感みたいなものが、どっかで最後に邪魔をするんではないかという気がいたします。そのなかでより現実的な方策をとりたいというのが、私と知事との基本的合意であると思ってます。ですから、知事からお電話があった時とか、お会いして話した時にも、結局、大阪府全体でコンセッション型をのむには、中長期の計画といったものを大阪府が立てたいと。ただし、これも長い目でみますと、いつまで大阪府水道部っていうものがあるのか。大阪市案を前提でいく場合には、いつかは大阪市が全部をみるという形になっていくでしょうから。だから、そういうものを考えたときに、当然、大阪市が策定段階から協力するのが当然であるし、知事も、「協力してください」と、「策定するにあたって、中長期計画をつくるにあたっても大阪市の協力をお願いする」というふうにおっしゃってましたんで。その形で前に進めていけば、私は、実現の可能性はかなり高いというふうに思っています。ですから、その段階を、段階をおいて物事は変わっていくであろうと。いきなり、いきなりスパッとこう変えられるもんでは、おそらく今の府議会であるとか、私どもの市議会、あるいは水道局の職員、水道部の職員のいろんな歴史、思いを考えるとできない。より実現性の高い方向はそこじゃないかと、私も知事も思っております。
記者
あと、市の水70、80万トン買うというこの件なんですけども、橋下知事が、この水道協議の話が府議会で出た時に、「『大阪市は合理化が絶対できない』と言っている」と言ってました。70、80万トンの水のことなんですけども、仮に大阪府が買わなかったら、どうなるんですか。
市長
その「合理化ができない」っていうのは、どういう話ですか。知事が「(大阪市は)合理化ができない」っておっしゃったっていうのは。
記者
70、80万トンの水の件をちょっと質問した時にですね、府議会終わったあと、すみません、記者の囲みです。「大阪府が単独で値下げをするということならば、もしかするとですね、市の水をあえて買わなくてもいい状況になるかもしれませんね」と。
市長
それ、いつ頃、知事がおっしゃったんですか。
記者
府議会中、5月の26だったか、27だったか。
市長
いや、私は、5月14日に知事に話を聞いた段階では、「市の水は使います、買います」というふうにおっしゃったのと、「コンセッション方式でいきます」と、はっきりおっしゃってるんで。これは、ここにおりますが、政策企画室長も同席してましたし、府の政策企画部長も同席でしたんで、はっきりおっしゃって、「その方向で進めます」というふうにおっしゃってましたんで、私は、大前提として市の水を使っていただくということが、この統合協議の一番核心になる部分と思っています。今、記者さんがお聞きになったように、もしじゃあ、大阪市の水を一滴も要らないということになった場合、なった場合は、統合の意味がなくなるんじゃないですか?要するに、大阪市民にとって、私は最初から、「市の施設がいま動いていない部分の水を動かすことによって、府の余分な設備更新をやめませんか」ということから、利益を出そうとしてたわけですよね。それを「いや、大阪市の水は一滴も要りません」ということになれば、これは「あっ、そうですか」としか言いようがない話です。というのは、大阪市民にとって、その水道協議は何の意味も持たない。
記者
府が単独値下げをするというのがですね、やり方はいろいろあるかと思うんですけれども、そうであって、施設の削減とか、施設計画削減などで値下げをした場合ですね、大阪市もですね、いま余っている水の分のですね、施設規模なりを減らしてですね、同じく単独で値下げをするなりですね、縮小したうえで統合すると、さらにメリットがあるという考え方もあるのかもしれませんが。
市長
それはもっと先の話でしょうね。というのは、大阪府の水道の設備っていうのが、これから25年かけて、大規模改修工事をしないといけない。一方、大阪市の設備っていうのは、大規模改修が50年先にある。この25年の開きがあるから、今回の統合協議がかなりのスピードで前へ進んだんです。それを元に戻す議論になって、逆に言うと、50年先に設備更新を控えているものを、いまからその設備を潰す費用の方がかかるやないかと。なら、いまは余ってるかもしれんけれども、それを持ってる方が安上がりやろうと。潰しにいくより、持ってるほうが安上がりなら、持つんやないですか。だから、そのへんがね、府の、いわゆる大阪市も、府だけの設備を、府の設備だけを削減するんじゃなくて、大阪市が持ってるもんもいっしょに下げんかいと、まるでなんか、「府庁が行くんやから市役所も行け」みたいな同じ論理にはまってないかって思うんですわ。だから、何もかもいっしょにやるとか、いっしょの考え方をする必要はなくて、「より効率的な方法を探しましょうよ」っていうのが、この統合協議の基本にあったはずなんです。ですから、「大阪市民にとっても、府民にとっても」と、「WIN−WIN−WIN」と、我々はずっと言ってますから、その根本が外れた段階では、これはまたまったく別。ただし、ものすごいことがもう既に起きているということなんです。10円下げるのか、1割下げるのか、8円80銭なんか知りません、大阪府がおっしゃってんのは。「それを早くみせてください」ということだけ言ってるんで。で、それをどういう計算をされたのかをみれば、我々が言っている「統合」、あるいは、いま府が考えておられる水の需要予測とか、設備更新の見直しであるとか、その需要予測に基づく設備更新の見直しですよね、そういったものをきちっと、データでみせていただいたら、我々のスタッフが、「1週間もあれば、それで大体の計算ができる」って言ってますから。そしたら、市が言っている方法をその上に重ね合わせるとしたら、「府が、例えば1割として8円80銭下げるうえに、我々はさらにのせられますよ」っていう話になるかもしれない。だから、「早くデータを見せてください」と。昨日も電話したんですよ、知事に。知事に電話しまして、「今日、市会の交通水道協議会で、こういう話になりました」と。で、早くデータを見せていただいたら、我々が、我々の検討をやらせていただいて、府が思っていらっしゃる値下げの効果にどれだけプラスできるのか、これが、例えば「25年から10円」って言ってたものを、そのまま移行できるとは私どもは思っていません。というのは、知事が、「府の値段を下げられる」とおっしゃった時に、ほとんど、私は、知事が聞いていらっしゃるところでは、「市案を軸に」っていう部分、市の削減効果っていうものをベースにした考え方を府はしている。だから、そういう意味で言うと、市の10円っていうものがね、実現できないかもしれない。「いや、私の考え方としてそれでもいいですよ」と、要するに、府がそれだけの努力をされる、そこへ、市の努力が重なったことによって、いま1割と思ってらっしゃる方、いまAとしました。Aに我々の努力のBがのれば、府下の市町村の方達は、AプラスBという効果を得ることができると、これが統合の一番大きな果実ではないかというふうに思ってますんで。昨日も電話でね、知事とは、「いろいろな見方があるでしょうけど、やっぱ前に進めましょうね」という点では、ちょうど鳥取から東京へ行かれたとこだったんですけど、「やりましょう」ということで一致しましたので。
記者
放置自転車について2点お伺いしたいんです。これまでの取組みを市長ご自身はどのように評価されているのかということと、取材をしていると道路は多少改善しているのかもしれないですけども、公園の中に放置自転車があふれておりまして、公園ということでゆとりとみどり(振興局)が管轄で建設局はノータッチで、ゆとりとみどりはあまり撤去作業をしていないようなんですけども、公園の放置自転車をどう思うかお願いします。
市長
はい。放置自転車の取組みに関しましては、ある程度段階的に我々はやっております。キックオフを去年の12月16日にやりまして、まず当面キタとミナミ、これの面的規制に向けて周辺の地域の方々の協力を得る、市民協働の動きにつなげていきたいという形で動いております。その一方で、道路を追い出されたものがどこへ行ってるかという調査もやっておりまして、公園に移っているものは当然邪魔になるような部分に関しては、ゆとりとみどりであろうが建設局であろうが、今後はきちっと対応できる体制を作っていきますので。すぐに何もかもいっぺんにというわけには参りませんから、是非、そういった情報は集めておりますんで対応はしていきます。一定の効果は出つつあります。その一方で、やっぱり撤去に対する苦情も一時ほどではないですが、まだございます。基本は大阪の玄関といえるまちを違法駐輪であふれかえることのないようなまちにしたい、そういう思いから始めておりますんで、多くの方が賛同していただいていると、そういう動きにつながっているという実感を持っております。もちろん、多くの方が不平をおっしゃってるでしょうが、今や、綺麗になって良かったと思っている方のほうが多くの方やと、私は思っておりますんで、今後は地道にきちんと進めるとともに、駐輪場の整備を民間の協力も得ながら、きちっとやっていきたいと思っております。
記者
公園の中なんですけども、禁止区域に大抵の公園はなってないと、指定しないと放置自転車の撤去はできないんだけども、条例をつくるのは建設局で、ゆとみど(ゆとりとみどり振興局)はできないと。一部撤去できる公園もあるようなんだけども、ゆとみどはほとんど撤去活動をしていない。建設局は道路やっているんだから、公園も道路も一緒にやったら効率あがるんじゃないかなと。
市長
効率論でお話もできるんですけども、やっぱり現場を扱っている人間としては、自分たちの権限の及ぶところはどこまでかっていうのは、一番公権力を行使する際に気をつけないといけないところですから、逆に今後の違法駐輪対策のチームがそういった場面にどう対応するのかというのを柔軟に考えていきたいと思いますので、是非、そういった成果をお待ちいただきたい。
記者
水道の話に戻ります。すぐに終わりますんで。昨日の(市会交通水道委員)協議会を聞いていてもですね、市の担当の方がしゃべると、市案が非常にいいのは分かるんですけど、それ以外、要するに、府が先食いするというかですね、市の統合効果を満たしているところを先食いすると。こんなん受けられへんみたいな、全く受けられへんというような印象を持つんですけど。でも市長がしゃべるとそうではないんだなと。多少、府が先食いしてもですね、例えば10円下げると言っていたのが、市の効果3円しか下げれなくても、統合してもいいと思ってらっしゃるんですよね。
市長
もう全然問題ないです。
記者
なんでその、府もそうなんですけど、事務方と首長さんとの間でやっぱり温度差がどうしてもこちらサイドは感じるんですね。それはどうしてかというか、それが続いたことで、やっぱり統合協議が長引いてる部分もありますんで、これがあまりそのまま長引くとですね、今度は首長さんが何でコントロールできないんだっていうそっちの話になってくるんで、何でこういうふうになっているのかっていうのをちょっと教えていただければ。
市長
1年数ヶ月やってまいりまして、この間の取材をずっとやっていただいている皆さんには何が原因かよくお分かりだと思います。やっぱりどっちが言うてることが正しいのかということで張り合ってますと、水源から蛇口まで一貫して水道事業をやっている方に分があるのは、これはもう仕方のないことなんです。それだけの技術者もいますし、それだけの計算ができる人間もいるわけですから、そういった部分をきちんとオール大阪のために生かしていただくという考え方をすればいいだけの話で、大阪市域だけを守るとか、そういう考えございません。で、10円今回、10円なのか1割なのか分かりませんけど、府がおっしゃってるというその金額が下がったこと自体、全ての府民の税金がその分少しでも、税金っていいますか、使う費用がですね、大阪市域が除かれていますけれども、軽減されるということでもありますし、それをどういうふうにして計算されたかというのが、新たな設備更新というものを最小化されているということであれば、逆にそこにかかる府税の投下額も抑えられているという見方をすればいいだけの話で。見方を変えれば、この府市統合協議というものが進むことによって、どれだけの利益を得られるかということがお分かりいただけると思いますし、そのために何とか知事と力を合わせて前向きに進めたいと思っています。是非応援してください。
 

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