平成21年6月22日 大阪市長会見全文

【平成21年度6月補正予算案について】


みなさん、おはようございます。
本日は、補正予算案として提案いたします新しい経済対策の内容が決まりましたので、ご説明をいたします。今回の補正予算案は、国の景気対策としての全国15兆円規模のお金を受けてのものでございます。貴重な原資を大阪市としてどう有意義に使えばいいのか、色々と考えました。世界的な経済危機、地球環境問題、そして環境と関連するエネルギー問題、そういった世界的な潮流は、一(いち)地方自治体としても、決して他人事ではございません。世界そして日本は大きな転換期、おそらく100年に1度の、あるいはもっと大きなレンジ(範囲)での転換期にあると言っても過言ではないと思います。ましてや、関西の中核市である大阪市は、率先して日本の経済、社会を引っ張っていく責任があると考えております。私は、今回の対策は、地域主権の観点のもとに、住民の声を一番身近で感じている自治体として、そして圏域の母都市として、地域生活の安全・安心、そして環境などをキーワードとした活性化への取組みなどに重点を置き、大都市大阪らしい対策となるよう工夫をいたしました。では、内容をご説明します。
今回の対策のテーマは『今の大阪の安心、そして将来の大阪を開拓する施策』です。未来を自分たちで創っていかなければならない、そんな時代に我々は、いると思います。対策は『大阪の未来創生事業』、『緊急雇用創出事業』、そして児童虐待防止や新型インフルエンザ対策という『喫緊の課題への対応』という、この3つの柱から成り立っております。一番左の『大阪の未来創生事業』、これは、環境と教育を重視した大阪らしい施策として特に工夫を凝らしたものでございます。今回、国からの予算が来るということで、厳しい財政状況のもとでは実行の決断がしにくい、または、なかなかできなかった事業などに、思い切って取り組むこととしました。出来なかったことに、なんとか取り組むことができるようになったわけでございます。国の補正予算は今回1回だけの可能性が大きいと思います。だから、環境と教育につきまして、将来に向けた意味のある予算の使い方となるよう、そういう願いで組んだ思いでございます。本日はこの『大阪の未来創生事業』と、一番右にございます『喫緊の課題への対応』に絞って説明させていただきます。画面では黒丸をつけております項目についてでございます。 まず、『大阪の未来創生事業 環境実践都市の実現』とあげさせていただきます。
経済危機を契機としまして、地球温暖化対策をはじめとする環境分野問題は、今まで以上に、世界的な規模で大きな潮流となっております。この世界的な動きに対し、単に都市環境といった面からだけ捉えるのではなくて、大阪が持っておりますものづくりのポテンシャルや、あるいは国際的な競争力も活かしまして、産業そのものを転換していくということ、産業構造そのものの転換ですね。それから、まちのエネルギー源をグリーンエネルギーに転換する、そして市民のライフスタイルを環境に良いものに変えていくといった、先進的な環境づくりを実践していく都市をめざしたいと思っております。4つの施策項目のうち、本日は特に1番の『環境産業への転換』、2番の『グリーンエネルギーへの転換』、この2つについてご説明いたします。
まず、大阪市が環境産業の先進都市・リーダーとなって、日本をリードしていく。そういう責任が、我々、大阪市にはあると思っております。低炭素社会構築に向けました世界的な気運と、今回の経済危機とが合わさって、環境をキーワードとした新しい産業への期待感、これが現在は高まっているところであると我々は思っております。この新しい動きをいかに敏感にとらえて、大阪の中小企業が持っておりますものづくりのポテンシャルを、どうやって活かしていくんだということ。さらに、今回の補正予算を活用しまして、行政が先駆的な分野に積極的に支援・誘導を行って、大阪の産業構造を『環境への配慮が価値を持つ社会』に向けた産業構造の転換、大きくその転換を図っていきたいというふうに思っております。
具体案をご説明いたします。省エネルギー、あるいは新エネルギーへの取組みを、新しい産業として構築していくうえで最大の課題は、いかに需要と供給の好循環を創り出すかという点でございます。この問題の解決のために、中小企業の取組みを軸といたしました諸事業をパッケージ化して行政ができることを精一杯やろうということになりました。ポイントは、省エネ、新エネルギー機器の需要を増やすことと、機器を供給する側の技術開発が、いかにかみ合って、この需要創出、供給力創出というこの施策が相乗効果を生み出すことができるかどうかということにかかっております。具体案はここに書いてございますけれども、例えば、メッキなど大阪の地場の技術におきまして、環境への負荷を低減させるため、工業研究所と中小企業との新しい技術開発を共同で行う。そして、その研究成果を、広く市内の企業に活用してもらおうではないかということでございます。そして、これが新しい市場の開拓につながるであろうということは、こういった取組みをやることによって得られるCO2削減効果を活かして、是非新しい市場を開拓したいということです。内容的には、中小企業のグループ化を図りまして、少量の排出量をまとめ、大企業との取引につなげる仕組みづくりを研究しようではないかということでございます。『中小企業のまち大阪』の視点から、排出量取引の先進都市をめざします。
次に、『自己資金型ESCO事業の導入』ということでございますけれども、需要と供給の好循環を創り出すための『自己資金型ESCO事業の導入』ということなんですが、先進的な省エネルギー技術を、環境科学研究所など、左に書いてございます今回実施施設、4つの施設に導入しまして、民間事業者が技術力を競いあって事業参入できる機会を提供する、そういう狙いがあります。さらに、光熱水費の節約と共に、CO2の削減にもつながる取組みであります。ちなみに、この導入によるCO2の削減効果でございますけれども、年間およそ700トン、大阪城公園とほぼ同じ広さの緑を創ることに相当するんだそうです。年間約700トンのCO2の削減、そして光熱費の削減ということになりますと、現時点では年間約1,500万円削減できるということです。
次に、『グリーンエネルギーへの転換』について考えてみたいと思います。温暖化問題でありますとか、化石燃料が枯渇していくという将来を見据えますと、再生可能なグリーンエネルギーへの転換というものが不可欠でございます。この中でも太陽光発電は、大阪、関西がすでに高い技術力、競争力、国際競争でございます、それを持っている分野です。このポテンシャルを更に高めるために、市民への普及を促進するための環境を整え、かつ先導的に市場を拡大していくことが必要でございます。そのことによって、産業の活性化にとどまらない、環境への関心というものを呼び起こしたいと思っておりますし、意識や生活スタイルも、そういった地道な取組みから変えていくことができるのではないかと思います。その実践として、『大阪を太陽光発電のまちにします』、こういう宣言でございます。この言葉が私の願いを表しております。
私は、太陽光発電の導入拡大を積極的に図り、将来的にエネルギーの地産地消、これをめざし、大阪を太陽光発電のまちにしていきたいと考えます。そのための予算として、21億9,900万円を計上いたしました。施策の柱は2つあります。1つは、市の持っている施設で、太陽光発電を実際にどんどん展開していくこと。もう1つは、太陽光発電設備を設置される企業や家庭に対する補助を21年度は2倍に増やします。1キロワットあたり10万円の補助になりまして、この額ですけれども、政令指定都市ではトップクラスとなります。
次に、学校や区役所など、79の市が持っている施設に太陽光パネルを設置しまして、市民に太陽光発電の効果を積極的にPRしてまいりたいと思っております。予算計上は20億6,600万円になります。本庁舎は屋上緑化とあわせてグリーン庁舎としてまいります。発電量は現在、ここに409キロワットとあるんですけれども、これを全てやりますと、92施設、平成22年度末で2,000キロワットということになって、年間でおよそ2,200万円の電気代の削減につながります。また、年間約900トンのCO2削減効果が見込まれまして、(約)140ヘクタール、大阪城公園のおよそ1.3個分の緑を創るのと同じ効果となります。市民の皆さんにその効果を実感していただくために、学校では環境教育の生きた教材として色々な活用を行っていってほしいと思います。市役所でありますとか、区役所でありますとか、今、一体、この天気でこれぐらいの電気が起きてますというようなことを見えるような形で展開してまいりたいとも思っております。
それとですね、補助です。太陽光発電設備を設置される企業やご家庭に対する補助を21年度は2倍に増やすと言っておりますけれども、1キロワットあたり、これ、10万円の補助になります。1キロワットあたり10万円の補助となって、これが政令市のトップクラスであるというふうに言っておりますけれども、標準的な4キロワットの太陽光パネルで、設置費用がおよそ280万円と言われております。国と本市の補助を合わせますと68万円の補助が受けられることになりまして、設置費用の(約)24%が軽減されることになります。計画どおり、これが計画ですが、年間400件の設置が実現しますと、こちらの方のCO2削減効果がこれです、およそ800トン、年間です。大阪城公園(約)1.2個分の育成林を創るのと同じ効果であるということでございますから、この補助制度、是非市民の皆さんにも、手を挙げていただきたいと思っております。担当窓口は、こちらです、大阪市環境局地球温暖化対策担当で、06-6630−3491です。
さあ続いて、『大阪の未来創生事業』でございます2つ目、『「知識基盤社会」の担い手を育む教育環境の整備』についてです。市民の皆さんから見ていただいたポイントっていうと、この2つになると思います。電子黒板をすべての小・中・特別支援学校に備えるということ。さらに、理科の実験器具を備えるということでございます。本市では、『人が集まり、育ち、新しいものを生み出す大阪』というのを、めざすべき将来像の1つと捉えております。次世代の新しい産業を担う人材は、情報通信技術を活用する能力と、理数系の知識・技能を活用して、課題を解決する能力を兼ね備えるということが求められます。個性や才能を伸ばして新しい価値を生み出す、将来の大阪の元気の源となる人材育成のため、次の事業に取組みます。
まず、『わかる授業』・『魅力ある授業』の展開のため、学校ICT(Information and Communication Technology)環境の整備としまして、27億6,900万円を計上いたします。特に、電子黒板機能付デジタルテレビは、映像や音声を使いましたデジタル教材を活用した授業を実施できるということで、創造的な授業が期待できるわけですが、子どもたちも授業に熱心に参加することになると思います。こういった形で考えております。
次に、実験・観察の体験学習を充実するために、理科の教材機器の整備としまして、5億2,200万円を計上いたします。新学習指導要領に盛り込まれた、理科授業の指導内容の充実のために、新たに必要となる実験・観察器具等をすべての小学校・中学校に整備するということでございます。
続きまして、未来創生事業3つ目の『健康・生活施策の充実』といたしまして、家庭内暴力や児童あるいは高齢者への虐待による被害者の中には、加害者との関係で住民登録と違う住所に住んでおられ、定額給付金や子育て応援特別手当を受け取ることができないという方がいらっしゃいます。これらの方々への取扱いに対しまして、国に対しては、全国共通の取扱い、これを是非お願いしたいというふうに要望してきたんですが、国のほうは「自治体の判断に委ねる」という回答を送ってきてくれただけでございました。そこで、市独自の判断といたしまして、DV被害者のみならず、政令指定都市で初めて、児童虐待、高齢者虐待被害者の方も対象といたしまして、定額給付金相当額を支給することにしております。
続きまして、『安心実現社会の構築』に向けた取組みについてでございます。防犯カメラの設置費の補助率、現在2分の1でございますけれども、これを4分の3に引き上げます。つまり、4分の1で設置できるということでございます。防犯カメラの設置というのは、街頭犯罪の抑止効果が非常に高いということは、もう皆さんご存知のとおりです。少しでも多くの住民の方にご協力いただきたいと思っております。今回の補助充実によりまして、標準的なケース、これが標準的なケースでございます。普通、設置費用は30万ほどかかるであろうと。ここに補助額が22万5千円となりまして、設置者負担は7万5千円ということになるわけでございます。是非、この機会に、防犯カメラの設置を通じた地域防犯活動にご協力をいただき、取り組んでいただきたいと思っております。担当窓口はこちらです。地域防犯カメラが左の方で、全市域を対象としております。都市整備局の民間住宅助成担当。そして事業者防犯カメラの方は、これはモデル区を対象としておりまして、市民局安全まちづくり担当が窓口になっております。
最後に、喫緊の課題といたしまして、2つ、ご説明いたします。
虐待から児童を守るために、24時間365日対応の専用ホットラインを開設いたします。予算案は5,000万円です。市民の皆様全員が、虐待防止に関心を持っていただいて、未来を担う子どもの生命・安全を地域で見守っていただきますようにお願いしようとこういうことで、24時間の児童虐待ホットライン、これはまだ仮称でございますけれども、詳細、具体名、決まりましたら、また、お伝えをいたします。
続いて、新型インフルエンザ対策の推進についてご説明いたします。市民の生命と生活を守る基礎自治体として、この秋にも第2波が訪れるのではないかといわれております新型インフルエンザですが、今回の補正予算案では、応援医師の配置でありますとか、医療従事者防護服等の物品整備、さらにはPCR検査機器等の増設など具体的な経費として、1億8,100万円を計上しております。
ということでご説明してまいりましたが、観光客で賑わう元気な大阪の姿を取り戻すために、『元気復活、リバイバル大阪』というふうに銘打ちまして、インフルエンザに負けない元気な大阪をアピールし、天神祭、そして水都大阪2009、御堂筋カッポ、更には光のルネッサンスへとつないでいく取組みを展開したいと思っております。13日に東京で『いらっしゃい大阪キャンペーン』を実施いたしましたが、これに続いて金沢、名古屋、岡山などでも連続して行うとともに、台湾や韓国をターゲットとした海外向けキャンペーンにも取組みたいと思っております。また、『子どもが元気!大阪が元気!キャンペーン』といたしまして、夏休み期間中、大阪市立科学館、自然史博物館、天王寺動物園、天王寺公園、長居植物園、なにわの海の時空館については、入場料を無料といたします。中学生以下は無料という施設が多いのですが、ご父兄あるいは保護者の方、いっしょに行っていただく方に料金をいただいておりました。これも全て無料となりますので、夏休み中、これらのところへ是非行っていただきたいと思います。さらに、7月のトライアスロンジャパンカップ大阪を皮切りに開催されます、様々なスポーツ大会や、恒例となりつつあります大阪クラシックなどの場を活用しまして、元気な大阪を内外に積極的にアピールしてまいりたいと思っております。
以上、新しい経済対策の主な施策・事業を説明させていただきました。「ピンチがチャンス」、未曾有の経済危機に悲観するのではなく、これは「新しいものを作れ」というシグナルであると私は思っております。未来をここにしっかりとつかもうとすれば、新しい仕組みや新しい産業、そして新しい何かを自らの力で作っていかなければなりません。大阪市は、その恵まれた歴史と文化、都市としての拠点性を考えますと、全国の都市の中でも、ずば抜けた存在であると私は思っております。「これから、こういった先人が残してくれた財産を活用して、市民とともに新しい大阪を作り上げていくんだ」というメッセージを込めて、今回の経済対策を策定いたしました。「未来の大阪、新しい大阪に向かっていっしょにがんばっていきましょう」ということが私からのメッセージでございます。以上でございます。ありがとうございました。
質疑応答
記者
今回、色んなものが盛り込まれてるんですけれども、市長として「特にこれをひとつ、今回の予算の売りなんだ」ということになると、どこの点になりますでしょうか。やっぱり太陽光発電の部分でしょうか。
市長
はい、ありがとうございます。環境と教育、この2つだと思います。やりたくてもやりきれないっていいますか、手もつけられないぐらいの部分がありましたが、今回こういった補正予算が出たことで、将来につなげるためにやりたかったことに重点的にお金を入れさせていただくということでございます。
記者
都市、元気復活とリバイバル大阪の取組みの中で、海外で、具体的には「台湾と韓国で」ということをおっしゃいましたけれども、例えば向こうのメディアにですね、大阪市なり大阪府のコマーシャルを流すとか、そういった都市プロモーション的なことまで視野にいれているのですか。それとも単に訪問客に対してキャンペーンをはるというようなことにとどまるのか、その辺の具体的な話をちょっと聞きたいんですが。
市長
はい。これ、本当を言えば私、現地へ行って色んなキャンペーンもやりたいんですけれども、残念ながら日程的には行くことはできないと思います。ですから、海外事務所の機能を通じまして、あらゆるチャンスを活かして、コマーシャルをうつのかどうかということよりも、都市プロモーションを色んな機会に展開したい。その中にコマーシャルがひとつ入るかもしれませんけれども、費用対効果っていうのを十分に考えたうえで、集客さらには関西の魅力というものを売り出していきたいと思っております。
記者
今の説明にはなかったんですけれども、フェリーに関しても予算を2億円ほどつけていると思うんですけども、これはどういったお考えからなんでしょうか。
市長
はい。フェリーっていうものは、大阪が非常に大きな拠点としてあるという、物流の1つの大きな手段の1つという認識を、我々は長い歴史の中で持っております。高速道路だけが1,000円になって、もちろんあれは、いろんな形で1,000円になってるんですけれども、この高速道路が1,000円になったことによって、フェリーがほんとに存立の危機っていいますか、状況にあるという話を聞いておりまして、そこにどういった形で貢献できるのか。海というものは、物流だけではなく観光も含めて、時間にゆとりのある方は「ゆったりと動いてくださいね」というものも含め、あるいは咲洲のR岸壁をフェリーに泊まってもらえるようにしましたのでそういった面も含めて、今後の物流としてフェリーをここでなくしてはならんやろうという形で動かせていただきたい。そういう思いです。かといって全面的にこう、大阪市がフェリー会社を持つみたいなことではないので、やれることはどこだろうというのを探した結果、あの予算になっているというふうにお考えください。
記者
すみません、2点お願いします。まず、リバイバル大阪の件なんですけども、国内向けのキャンペーンですけれども、東京はこの間、市長自ら出向いてということになりましたけれども、今後の金沢、名古屋、岡山も、ご自身で行かれてということで企画しておられるのか。あと、この都市を選んだ理由とですね、もう1点なんですけども、ここで補正の方になりますけれども、グリーン化の事業の中の排出量の取引市場のについてなんですけども、市長、市場創設についてですね、現時点でどういう思いをお持ちなのか、そこをちょっと詳しくお話しいただけますでしょうか。
市長
はい。岡山とか、金沢、名古屋ですね、これは、大阪観光キャラバン隊というものが大阪府とともに、それからこれはたぶんコンベンション協会も絡んでくると思いますけれども、そういったところとスケジュールがもうすでにあがっている部分がございましたので、そこを積極的に、『いらっしゃい大阪キャンペーン』という形で売っていこうというものでございまして、私、本当言えば、金沢、名古屋、岡山、行きたいんですが、残念ながら日程的におそらく行けないんじゃないかなと思ってます。日程が許せば、ちょこっとでも顔を出して、大阪のPRをしたいとは思っております。岡山に関しては、桃太郎まつりというものが、8月1日、2日というところであると聞いてますんで、そこへこう、「相乗りさせていただけますか」という形で、桃太郎まつりの集客が78万人ぐらいと言われてますから、そこで効果的にPRしたいと、そういう思いでございます。
それから、排出量取引についてですが、これは全く新しい取組みになると思います。大阪が持っている中小企業、中小零細企業が90%以上であるということ、なおかつ、ものづくりも含めて、そういった企業集積を、どう今後の環境の中で活かしていくかというところで、やはりこの1つにまとめるという方向が、一番環境問題に寄与するのではないかと。大企業とのリンクを図っていくうえでも、有効な手段ではないかということで、研究費をつけるということでございます。ですからこれは、まだまだ日本でも最初の取組みといっていいですよね、になりますので、具体的に研究していく中で様々な問題点、あるいは産業界側からの反発とか、逆に、協力も得られるかもしれない。いろんなものが見えてくる。いろんなものが見えてくる中で、大阪市が環境先進都市、基礎自治体の中で、これだけ環境をあらゆる面で考えていく都市であるということをアピールするためにも、ここには予算をつけたいと思った次第です。
記者
今回、市長も先ほど、「国の補正はこれ1回限りかもしれない」とおっしゃいました。太陽光発電の補助にしてもカメラの補助にしても、21年度のみということでついています。これが果たして本当に大阪の将来のためになるのかという部分が、私はちょっと、どうなんだろうという不安も少しはあるんですけれども、今後のその継続性についてどのようにお考えなんでしょうか。
市長
はい。私も当初、同じような疑問を持ちかけたんですが、例えば、太陽光パネルをとりまして、今、非常に価格が高いです。ところがその太陽光パネルを作っている、あるいは研究している企業、産業の集約というものが、集積地が、大阪を含めて大阪のすぐ近くにございます。なおかつそういった開発、作っている企業とのいろんな応用性を、多分、探れる技術集積というものは、大阪市内にある中小企業はいっぱい持ってると思いますから、これを今、ここに踏み込んでいくことで、20数億出すことによって、逆にこれはお金の還流を促すという意味と、それからコストの削減効果も将来的に生み出すであろうという、攻めの投資であるというふうに思っています。本来ですと、国がこういったことを大きく決めて、「公(おおやけ)のところにこういったものを設置しましょうね」っていうことになるんでしょうけど、今回は真水のままおりてきたお金を、自分たちが、これから環境を考えたときに、ここに今投下することで、きっと、サイクルを起こすことができるんではないかなと。需要と供給とか色々書いてますけれども、ここにこれだけの産業の集積地があるものに対して、今までは、お金、地方自治体、非常に苦しい行政運営やっておりますから、やりたくてもやれなかった部分、ただしこれは先進、先端技術であると。これからは、未来をつかんでいくうえで、非常に重要な技術であり、日本、なかんずく関西がこれにものすごい力を持っている地域であるとなっているからこそ、ここに思い切ったつっこみ方をしたいという思いで予算を組みました。それが太陽光パネルに対する我々の見解です。
防犯カメラにつきましても、ある意味、同じことが言えております。民間の方には、市内全域で補助をしておりますし、重点地域は3区、モデル地域で防犯カメラの設置を促す施策をとりました。これで何が起きるかっていうと、必ず街頭犯罪の発生率、下がります。すでに、これを施策として打ち出してから、皆さんご存知のように、1月から5月まで集計においても、大阪市内の街頭犯罪は着実に減りつつあります。これは大阪府警が本当に力を出していただいて、懸命に地域の動きと連動しながらやっていただいてますんで、そこにハードとして防犯カメラが加わることによって、どれだけ劇的な効果が出るかというのは、日本のほかの都市、例えば東京の成城などを見ましても明らかなことでございます。ここにも、今年限りであっても、これだけのものを突っ込んだらこれだけの効果が出たということであれば、今後、同じことはできないかもしれませんけれども、逆に、大阪市が持っている財政調整力をもって、それにさらに一歩踏み込んだ形をとっても、市民の皆さんには納得していただけるんだろうと、そういう思いでつけました。
記者
すみません、もう1点。雇用、今回はちょっと説明なかったんですが、緊急雇用に関してもお伺いしたいんですけれども、また今回も新たに29事業で新たな雇用が生まれると思います。もうすでにこの緊急雇用事業、始まっていて、どういった成果が出ているのか。3カ月雇用、6カ月雇用というものをこれから、この基金がある以上、繰り返していくわけですけれども、大阪市としては、これをどうプラスに転換していきたいとお考えなんでしょうか。
市長
「非常に短期スパンでの雇用にしか過ぎないではないか」というふうに言われております今の状況ですが、私はやはり、これが安定した雇用にどうつなげていけるかというところを、絶えず、大商さんとかと模索しながら、あるいは連合大阪と模索しながらやっていくべきであるというふうに思っております。ただそうは言っても、この新自由主義経済と言われる中で、長年慣れ親しんで、派遣が3分の1を超えているという現状になってしまってるわけですから、その現状をいきなり転換することは不可能であろうという認識は持っています。そのためにはやっぱり、「本来、雇用とはどうあるべきか」という、国がおおもとのところできちんとした施策を打っていただく中で、我々は、この地域で経営をされている方たちに対し、雇用というものについての様々な方針、あるいは説明、そして、これからの施策といったものを打っていかなければならない、そういう時期に来てるんだと思います。具体的に大阪市が何をできるかというのは、まさしくこれから色々な形で出てくると思いますが、私どもとしては、新たな雇用創出ということはもちろんのこと、働くということの意味、あるいは生きがいというものにつながる雇用というものを、やはり大きな声で言っていかなければならない。そういう基礎自治体の市民の悲鳴が、一番先に届くところであるからこそ、やらねばならないことをやっていく。ちょっと抽象的になって申し訳ないですが、また、具体的な施策等、皆さんにお出しできるようになれば、表明してまいりたいと思います。
記者
2ページ、3ページの項目として『環境産業への転換』というのが大きなテーマとしてあがってるんですが、具体的な事業の中身を見ますと、ビジネス活動のグリーン化とかですね、自己資金型ESCO事業など、既存の企業が環境面に配慮するように仕向けている部分が大きいように見受けられます。ただ、産業構造の転換といいますとですね、大阪市内の既存の産業、例えば、機械金属とかですね、そういった企業も、環境分野に、より取り組むように仕向けるようにも聞こえるんですが、市長はどこらへんまでめざしてらっしゃるんでしょうか。
市長
まさしく今おっしゃっていただいた形で、私どもが持っている施設といいますと、産業創造館がございます。あの産業創造館の可能性っていうものは、もうみなさん、お気づきだと思いますが、中小企業にとどまらず、あるいは、大阪市域にとどまらない、そういったスケールというものを、絶えず模索しているところでございますから、そういったところがたぶんアンテナの先端になって、色々な方向性、これを環境施策、これだけ重点的に打っていきますんで、ものが動きます、まさしく。ものが動いたときに、どういう動きが今後、波紋となって広がっていくのかっていうのをきちんとキャッチしたうえで、方向性を示したい、示せるのではないか。それは中小企業、大阪市内にございます製造業のものづくり企業に対しても、前から言っております、政策推進ビジョンの中でも言いました「『売り』づくり」という形できちんとした体系を取っていけるであろうと思いますし、ある意味、一(いち)大阪、一(いち)日本にとどまらない動きに繋げられればと思っております。それが、都市間交流を長い間続けてきた大阪市の、その市民レベルでの交流っていうのは本当に根付いておりますんで、そういった間にも、繋げていける、無限の可能性を秘めているというと言いすぎかもしれませんが、やはり、大阪市がめざすべきは、そういった大きい方向性を探っていきたいと思っております。
記者
市長が、環境面で非常に力を入れたいとおっしゃることですね、これ、1ページで見ると、『大阪の未来創生事業』で209億という、その額であれば、ある程度、非常にまとまった額だと思うんですが、これの中身を見させていただくと、結局、色々なところに分散して振りむけることで、結局、総花的というか、薄く広くになってしまってないのかなっていうようなところは疑問に思うんですが、その辺っていうのはいかがなんですかね。それぞれの項目に対しては、当然、十分な額っていうのは、じゃあどれ位なのかっていうことも含めて色々議論があるところだと思うんですが、もっと1つの項目とかに重点的に振り向けるとかっていうような選択っていうのは、議論としてはあったんですかね。
市長
もちろんこれは、財政局主導で、振り分けはしてくれてるんですが、その中の、やっぱり、一番大きなポイントといいますのは、今回、こういう形で補正予算がおりるということで、今まで、大阪市やりたかったけれども財政難の折からできなかった部分と同時に、「それが将来につながるかどうか」、ここが一番のキーワードだと思います。ですから、環境というときに、まだ割高な発電の太陽光パネルではありますけれども、まだ割高だからと言って、公がじいーっと待って、市民が先に買って、公が安くなったときに買うというんではなく、まず、これからの産業の基幹をなすであろうという方向性が出たものに重点的に入れるという形では、私は、この209億を未来創生事業で。確かに、ここに大きな枠があって、それを細かくみると細分化して効果が小さいのではないかというふうにおっしゃるのも分かりますが、じゃあ、「209億パネルに行ってええのか」というと、他にも、教育であるとか、そういったことにまわしたいという思いの結果、こういう形になったということです。例えば、『快適な都市環境の創出』で14億5,000万、『グリーンエネルギーへの転換』で21億(9,900万)、これが太陽光パネルになるわけですが、そういった形で細かくみているということで、いずれも、先へ、未来に向かって、今、産業をどういう形で興していくのかということにリンクしているお金の使い方になっていると思っています。一点突破でいける部分もあるのかもしれませんが、それにしてはやっぱり様々、まだまだ色々と考えたい部分がありますから、一番、大きく使わせていただいたのは、環境と教育、ということで、是非、そちらのところで効果が出てほしいと思ってますし、防犯、安全・安心のまちづくりというところに、さらに勢いをつけるお金になってほしいと思っています。
 

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