平成21年7月30日 大阪市長会見全文

【咲洲コスモスクエア地区・夢洲先行開発地区を対象とした開発協議会(仮称)の設置について】

皆さんこんにちは、よろしくお願いいたします。
今日はまず、リリース資料はございませんけれども、咲洲、夢洲の今後の開発に関わって私の考え方をご説明させていただこうと思っております。
WTCに関わりまして、おととい管財人の要請を受けた形で、正式に橋下知事に府庁移転をお願いいたしました。知事からも「再挑戦する」というお言葉をいただいております。今後は、管財人との間で府が買取る場合の条件や買取り価格について早急につめていただく必要がありますが、その際、判断の大きな要素や議論となるのは、やはり咲洲、夢洲地区の今後のあり方、将来像だと思います。私はこの地域の将来像を検討し、各方面からの要望に応えていくためには、この際、経済界も含めたあらゆる知恵の結集が不可欠であると考えております。府、関経連、大商、経済同友会そして市のトップ5者による懇談会の開催をお願いして、その席で咲洲コスモスクエア地区、夢洲先行開発地区を対象として、北ヤードのような、府、関経連、大商、経済同友会及び市で構成される仮称ではございますけれども『開発協議会』の設置をお願いしたいと考えております。
この地区といいますと過去は、大阪市だけで将来像を色々と描いて開発を進めてきた経緯がございますけれども、その結果として現在の状況を引き起こしてしまっている訳でございます。こうした事実を私は真摯に反省しなければならないと考えております。この地区のあり方や誘致施設、そして整備方針については現時点でも様々な意見もある訳ですけれども、目先の課題解決のために安易に判断するのではなくて、将来をも見据えた広い視点での対応が不可欠であると考えております。知事もおっしゃっておりますように、成長著しい南、東アジア地域に開かれた窓口として、大阪市だけの利益という本当に狭い枠組みにとどまらないで、関西全体の利益に貢献する高いポテンシャルを持った地域だと思っております。そのためにも、府市だけでなくて経済界にも当事者としての意識を持っていただいて、積極的に議論に参加していただきたいという思いでございます。また、アジアと申しますと、先日、特別顧問への就任を依頼させていただいた寺島実郎氏の助言と指導も仰いでまいりたいと考えておりますが、府市、経済界が一丸となって協力し、この地区を南、東アジア地域に対する関西の窓口として確立させる、そのことが重要でございまして、府庁にこの地に来ていただくことが、関西全体の浮上につながることを府議会の皆様、府民、市民の皆様にも是非ご理解していただきたいと、このように思っております。関係者の皆様の賛意が得られれば、今後、『開発協議会』で様々な意見を集約、検討して、咲洲、夢洲地区の活性化のために、大阪全体が一丸となって取り組めるよう努力してまいる所存でございますので、どうかよろしくお願いいたします。

【新たなごみ減量目標の設定について】

次にまいります。ごみ減量の新たな数値目標についてご説明申し上げます。去年の8月7日になりますが、この定例記者会見の席で唐突に「森之宮工場の建替えを凍結する」と、「計画を凍結する」と発表したんで、早いものですね、あれからもう1年たつのかという感じですが、あの時の発言は大阪のごみ問題、大阪市のごみ問題を市民、事業者の方々と共に「もういっぺん根底から考えてみたい」と、「議論を巻き起こしたい」という強い思いから発したものでございます。そういうことから、去年秋に発表しました政策推進ビジョンでは、市民の皆さんと協働で行う象徴的な3つの事業の1つにごみ減量というものを掲げまして、市役所もいっしょになって取組んでいくという決意を示しました。ごみ減量問題につきましては、この間、『大阪市廃棄物減量等推進審議会』におきましてご議論、ご検討をいただき、中長期のごみ減量目標値として「ごみ処理量120万トン以下。達成時期は10年以内の出来るだけ早い時期」という答申を、去る6月12日に受けております。その答申の中で、特に、市内で発生するごみの6割を占めます事業系ごみにつきまして、「1事業所あたりのごみ量で計算して、その値を政令指定都市の平均値まで減らすように」という具体的な指摘もいただいております。
答申内容につきましては、市会でのご議論も頂いて、掲げるべき中長期の目標値について色々と考えてまいりました。そして私が出しました答えは、本日報道発表しておりますけれども、ごみ減量の新たな中長期の目標値につきまして、答申からさらに踏み込んで110万トンといたします。併せて、達成時期につきましても2年前倒しし、今から6年後の平成27年といたしました。110万トンまで減量するというのは、平成19年度実績数値148万トンからの比率ということでいいますと38万トン減らす、つまり25%減ということになります。「38万トンっていう量がどれくらいの量かな」と調べてみましたら、お隣の堺市の年間ごみ量とほぼ同量ということでございますので、かなりきつい目標かもしれませんが、これは市民の皆さんに対して『いっしょにやりまひょ』という私からのメッセージでもございます。市民と企業の皆さん、そして市が力を合わせていっしょに取り組んでいくことができれば、十分達成可能ではないかと思っております。ありがたいことに、昨年平成20年度のごみ処理量、これは速報値でございますけれども、134万6000トンになっておりまして、19年度から13万トン以上減らすことができております。経済の垂直落下、経済が悪くなるとごみの量が減るということらしいんですが、垂直落下の影響、かなり大きいとは思いますけれども、市民、企業の皆さんのごみ減量に対する関心の高まりも大いにあると、大変感謝しているところでございます。今後はこのごみの量が、景気が上がっていくとリバウンドするなんてことのないように、市民の皆さん、そして企業の皆さんの引き続いてのご協力を是非よろしくお願いしたいと考えております。
次に、目標を設定しましたら、そのあとに今度は、ごみ焼却場のあり方についてという問題がやってまいります。これも資料にございますように、中断しておりました『大阪市ごみ焼却場整備・配置計画検討委員会』を8月4日に再開する予定でございます。検討委員会では110万トンを前提に、ごみ焼却場の配置計画について議論をしていただきます。さらに、議論いただくにあたりまして、私が大事なことと考えております、「これまでのごみ焼却場というものは、単にごみを燃やすためだけの施設ととらえていなかっただろうか」という点でございます。環境問題が地球規模の関心事となっている今、環境に配慮した新しいごみ焼却場のあり方につきまして、幅広い見地からご意見をいただきたいと思っております。ごみを少なくするっていうのはもちろんなんですけれども、ごみを処理するにあたりまして、例えば発電に利用するにしましても、どうしたら効率よく、限りある都市のエネルギーを有効活用していけるのかという視点、そうした最先端のあらゆる技術を駆使した、これからの時代のごみ焼却場のあり方も含めてご意見をいただきたい、このように思っております。議論の上では大変なご苦労をおかけすることになるかと思うんですけれども、秋口には意見をとりまとめてもらって、それを踏まえて、ごみ焼却場についての方向性を打ち出したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【2010年上海万博大阪出展のシンボルマークの決定について】

次です。上海万博大阪出展のシンボルマークが決定したというお知らせでございます。これでございます。
上海万博大阪出展シンボルマーク 画像
上海万博大阪出展シンボルマーク(PDF114KB)
大阪府にご在住の、王怡琴(オウ・イキン)さんの作品でございます。応募作品が307点の中から最優秀賞に選ばれたもので、漢字文化圏である上海万博を意識しまして、大阪の「大」の字を「水の波」と組み合わせたということでございまして、「大」の字が流れるような、せまってくるような、そういった立体感のあるイメージになっていると思っております。このシンボルマークを活用して、PR活動を幅広く行ってまいりますので、よろしくお願いいたします。なお、この会見のあと、15時から市長応接におきまして、作者の王怡琴さんの表彰を行わせていただきます。表彰式にはデザインの審査委員長でもあります橋爪紳也さんにも同席いただきますので、取材の方も是非よろしくお願いいたします。

【2010年上海万博大阪館のファサードに用いるアート作品の募集について】

次に、上海万博大阪館のファサード、ファサードといいますと建物の正面という意味だそうですが、大阪館の正面の顔になる部分に、縦3.2m、横およそ30mというファサードを飾る巨大なアート作品を募集することになりました。募集要領については報道発表資料をご参考いただきたいと思いますが、応募期間は来る8月1日から10月31日までとなっております。大阪出展の基本テーマ『環境先進都市・水都大阪の挑戦』、これを感じさせるもので、大阪を思いっきり表現していただきたいと思いますので、どしどしご応募いただきますようよろしくお願いいたします。

【『おおさか動画チャンネル』のスタートについて】

次にお手元にお配りしております『ますます見やすく、魅力たっぷりの「おおさか動画チャンネル」がスタートします』という報道発表についてでございます。これが動画チャンネルのトップページでございます。


『おおさか動画チャンネル』トップページ(PDF2.6MB)
大阪のこと、大阪市政のことをもっと知っていただきたい、あるいは興味を持っていただきたいということでリニューアルをいたしました。例えば、ここに『平松邦夫の大阪ニュース』という1チャンネルがございますけれども、このような形で、市長が市政の動きや私の考えを動画で発信するというのは、政令市でも初めての試みではないかなと思っております。市長会見の動画と合わせまして是非ご覧いただきますよう、よろしくお願いいたします。

【『大阪クラシック〜御堂筋にあふれる音楽〜』について】

次です。大阪の秋の風物詩となりました今年で4回目となります、大阪フィルハーモニー交響楽団大植英次音楽監督プロデュースによります大人気のイベント『大阪クラシック』開催についてでございます。お手元にこのパンフレットをお配りしていると思いますけれども、今年は『水都大阪2009』が開催されている期間の8月30日から9月5日の土曜日までの1週間、御堂筋を中心に『水都大阪2009』が開催される中之島地区にも拡充します。今までは縦の御堂筋が中心でした。今年は横の中之島も入りましてクロスの形になっております。ビルの1階やカフェ、ホールなどでクラシックをお楽しみいただきたいと思っております。詳しくは報道発表、もしくは『市政だより』の8月号でご案内いたしますが、このパンフレットはですね、大阪市のサービスカウンターあるいは区役所、そして各区コミュニティ協会、この庁舎の1階の市民情報プラザでもお配りしておりますが、ホームページでもご覧いただけるようになっております。是非皆さんにも見ていただきたいと思いますが、今年は、去年が66公演だったんですけども、なんと100公演に公演の数が広がりました。これはなんでここまで大きくなったかっていいますと、アーティストの方達が、「是非に私達もこういった場所でやりたい」と自発的におっしゃっていただいたことから、どんどんどんどん数が増えて100になったという、皆さんの思いが積み上がって100になりました。この『大阪クラシック』は回を増すごとに素晴らしいものになってきていると思っておりますし、多くのアーティストの方々がボランティアで参加していただいている、それを市民が聴衆として、あるいはボランティアとして盛り上げていただくという本当に市民協働の素晴らしい形の1つであると、私は思っております。そして今年も、去年に続いて最終日に、私も大植さんの指揮に合わせて出演させていただく予定になっております。多くの方々に音楽を楽しんでいただける1週間といたしますので、よろしくお願いいたします。

【『城灯りの景』の開催について】

最後に『大阪城 城灯りの景』、今、後ろにポスター貼ってございますけれども、これを『水都大阪2009』のオープニングに合わせて平成21年8月21日の金曜日、22日の土曜日に開催します。大阪城本丸広場や西の丸庭園など15,000個、およそ15,000個のろうそく行灯で彩りまして幻想的な空間を楽しんでいただくほか、今年は、子ども達を中心にしまして、およそ1,000人の参加者で光る風船を持って大阪城公園内をパレードして、到着地の西の丸庭園で壮大な光のアートを演出する、関西初登場の『GINGA(銀河)』や、子ども達の作品を展示する『キッズアートバッグ』など、趣向をこらした催しも実施いたします。このポスターちょっと下に貼ってございますけれども、このあと『城灯りの景』の詳細も含めて『大阪城サマーフェスティバル』の西の丸庭園イベントについてご説明する予定になっております。是非、皆様にもよろしく宣伝方お願いしたいと思います。長くなりました、以上でございます。
質疑応答
記者
冒頭におっしゃった咲洲、夢洲開発の『開発協議会』に関連してですが、ご説明の中にもありましたけども、なぜ今この時期にですね、そういう組織をおつくりになるのかっていう質問が第1点。第2点は、いつ、どのようなメンバーでおつくりになるのかっていうのが2番目の質問。3番目は、この協議会を通じて、大阪市としてですね、どのような働きかけを出席される機関に呼びかけようとされているのか、あるいは何をめざそうとしているのか、もう少し具体的に教えてください。
市長
まず、なぜこの時期にということでございますけれども、管財人からようやく、ようやくって言うと語弊がありますけれども、私、この地域に府庁に来ていただきたいという思いは、知事から要請、買いたいというお申し入れが去年の8月にありまして、その時に色々と考えた結果、知事がおっしゃってることと全く同じ、そのエリアの活性化と、それから関西にとってこの地域が持っているその潜在的な可能性というものを、どうして活かしきれなかったんだろうという思いをずうっとしておりました。何とか活かす手立てはないだろうかと。それには、やはり府庁に来ていただきたいという思いから、この間、管財人からの依頼を受けた形で、おととい知事に表明いたしました。で、その時から、表に向けましては、経済界への協力を具体的にお願いしていくというのを言っておりますけれども、実は、経済界からもすでに皆さんご存知のように、このエリアに対する思い、関西経済界としてのバックアップについての意思表示をしていただいておりましたので、これを単なる意思表示に終わることなく、具体的な実態として像を結ぶためには、やはり、それぞれの思いを公の席できちんとお話し合いができる、5者懇(大阪府、大阪市、関西経済同友会、関西経済連合会、大阪商工会議所)のメンバーによる協議会みたいなものを是非立ち上げていただきたい。その中で、私が言いたいことも言わせていただければ、逆に知事が思っていらっしゃる、府が思っていらっしゃるこのエリアに対する思い、関西経済界が持っていらっしゃるこのエリアに対する思いというものを、大きく打ち出していけるのではないかと思っています。
具体的なメンバーというのは、私と知事はもう、これはもう固定だと思いますが、それ以外に関しましては、同友会さん、関経連さん、大商さん、それぞれのやはりトップの方においでいただきたいと思っております。そして、やはり、この北ヤードの開発とまちづくり協議会の会長をやらせていただいておりますが、その中で色々な民間の知恵を頂戴しながらつくり上げてくる中で、官が何ができるのかということの、この住み分けというものも以前に増して、非常に公に情報が、非常に透明性のある情報が出つつあると、こういう形っていうものが、市が1人で、何かひとり相撲をとっていたあのエリアにとっては、一番大事なことなんではないかというふうに思うのが正直なところです。ですから、8月1日から、夢咲トンネルが開通しまして、新たなアクセスルートが1本できるあのエリアと、それから夢洲が持ってる可能性といったものから、知事が先日立ち上げられた、大阪市も入っておりますけれども、電気自動車の研究開発というようなものも、具体的に知能の部分については大阪駅北地区で、そして実務の部分については咲洲エリアあるいは夢洲というところで、ものづくりまで含めた大きな動きができるエリアであろうと私は思います。是非、そういったものに来ていただけるような、公としてのやれる範囲はどこなのか。もちろん、府も市も今お金がないという状況の中で、具体的な方策というものを、例えば特区ですね、特区的な構想も含めた形で展開することが可能なのではないかと思っておりますし、経済産業省等にお願いしながら、あらゆる国の支援というものもいただいたうえで、ここが関西というものを見渡した時には、大阪だけではないエリアだというのは、皆さんも一目瞭然でお分かりになると思います。兵庫もすぐ近くにありますし、和歌山も見えますし、そして淡路島から向こうに広がっている瀬戸内海も見渡せるというところ、是非、そういったところにこれからの環境、エネルギー、未来産業といわれるものの頭脳とものづくりの基地、それを大阪に持ってきたい。別に、「大阪市に持ってきたい」じゃなくて、「関西に持ってきたい」、そういう思いで動かせていただきたい。そのためには、やっぱり経済界もあらゆる方たちの協力も得ないとと思っていますんで、「ひとり相撲をすんのは、もうやめや」ということです。
記者
いつ頃をめどに。
市長
そうですねぇ、やはり選挙がありますんで、選挙が終わってからその間に。今日こういう形でしゃべらせていただいておりますが、まだどなたにも何も言っておりませんで、先日、『大阪市連合防火協力会』で、隣にいらっしゃった野村大商会頭には、「実は、橋下知事にお願いして、経済界の皆さんにも協力を得たいと思ってますんでよろしく」というふうに、立ち話程度ではお願いをしましたが、正式には何も申しておりませんので、今後は、私の方から各団体に出向かせていただいてお願いにあがり、そういった、あとはもう事務方でスケジュール調整から場所の設定というものをしますが、実現するのは選挙終わった後にならざるを得ないのかな。できれば早く立ち上げたいと思ってます。
記者
先ほどの質問の関連なんですが、WTCの管財人の中井先生が知事と市長に要請に来られた7月24日の際にですね、その問題について、WTCの周辺の民間の土地が20年以上も使われなくて塩漬けになっていて、それがビル全体の価値を下げるような要因にもなっているので、それも一体になって進めていかなくてはいけないと。そういった場合には、WTC自身も私も参加したいというような発言をされたんですけれども、その一連の流れと今回のこの協議会っていうのは、同じリンクするものと考えていいんですか。
市長
全く無関係だとは言えないですが、私自身の動きというのは、あくまでも管財人のその手綱の中にいましたので、私、会社更生法を申請した立場上、更生管財人の方がどういう方針をお示しになるかということが、まず一番の、私にとって動けるか動けないかのそのきっかけでございました。先日、中井管財人から「是非、市長動いてほしい」と言われましたので、府庁移転という具体的な、まず府庁移転という具体的な目標を提示すると同時に、管財人おっしゃってたのは、「単にこのビルだけの問題ではない」と、この周辺がどうあるべきかということをずっとおっしゃっていましたので、それは私の思いも全く同じでございました。ですから、ずっと思っていたことと同じことを、管財人が感じていただいたということで、より一層力になっていることは確かです。でも、根本的にやっぱりそれに向かって全力で動くべしは市であり、ご協力をいただけるのであれば経済界もいっしょになって動いていただいて、そこに府が大阪府の中心として府庁を構えていただくということになれば、ますますあのエリアにとっては素晴らしい未来が描けるというふうに思っています。
記者
あとそれと今日ですね、橋下知事が府議会の各会派に対して、WTCのことについて決意表明といいますか、そういうのをされています。
市長
あっ、そうですか。
記者
で、その中で、まず午前中にあった中でですね、自民党さんのほうから、「大阪市が具体的に防災面であったり、交通アクセスであったり、何かそういう咲洲エリアの具体的な案というものを示さないと、前には進まないでしょう」というような、そういった意味のご発言をされているんです。それを受けて、市長としては、「じゃあ大阪市、具体的にこうですよ」って、今持ち合わしているものって何かございますか。
市長
まず、前回の府庁移転の上程の時に問題になった防災面っていうのは、あのWTCビルがどんな災害にあっても、他が全部つぶれても、ただ1つ残っているべしなのかどうかと、それが防災拠点なのかどうかという部分で、こちらの反論は一切できない状況にございました。もちろん、当初思っていたよりも地盤沈下している地域、地区、ポイントは咲洲の中にありますけれども、それとて、今考えられる津波の高さでは大丈夫な護岸がある。そして、その護岸の足りない高さのところについても、ほとんどが荷役作業のために、港湾作業のために、わざと低くしてある地域もございますんで、そういったところを拠点としてあそこに置くんだという話がもういっぺん再燃するようであれば、市としてもきちんとそれに対して対応することは可能です。知事との間でお話を、先日、WTCを見に行った日の夜でございますが、電話で少しの間お話をさせていただいた際に出たのは、「防災拠点っていうのは一体何なんだろうか」というお話でございました。よくご存知のように、自治体の防災というものは、まず基礎自治体である市町村がどれだけの能力を持って、被害状況の把握に努め、そしてその被害が起きているところを救出するのかという、その一番最初の段階であり、なおかつ現在ある都道府県というのは、都は別にして、府県というのはそういった自分達のエリアの市町村で起きている事態を、いかにいち早く集約、情報集約をして、国ないしは自衛隊に出動を要請するといった、そういう情報集約機能であって、直接出動機能というのは、我々市町村の方がはるかに大きいであろうというお話もしましたし、今、議会、府議会の方で問題にされる、例えばその防災面ということであるならば、大阪市にはこの中之島地区本庁、それから阿倍野にここ以上に防災面での機能を持った施設を持っております。知事には、「一度、阿倍野を見に来てください。もし何か本当にそういう災害が起きた時には、府だとか市だとか言ってる場合じゃないというのが現実ですから、ありとあらゆる使える施設を府市関係なく使っていくと、そういう体制をつくるための話し合いもしませんか」というのを申しました。だから、それが防災に関する府市協調であり、インフルエンザの時に知事も苦しい思いで「政令市は除く」みたいなことをおっしゃった。そういうことのないような府市の連携というのは当然あり得るというか、あるべき姿やと思ってますから、これをきっかけにそういう話し合いが進めばいいなと思っております。
交通アクセスの問題は、これはご承知のように一朝一夕に解決するものではございません。咲洲から市内に出てくる道路ということでいいますと、8月1日に夢咲トンネルが開通しまして1本ルートができます。それとは別に、利便性の向上ということでいいますと、天保山のインターチェンジから入って市内に入る場合には、南へ迂回しない、ぐるっと回らないといけない環状の渡り線の建設が、それでも26年完成めどということで今動いておりますんで。例えばすぐに打ち出して、何年めどで解決できるという問題ではないので、コスモスクエア駅から中央線に乗っていただいたら15分で本町駅に着くんだというその地の利が、「アクセスが悪い」とおっしゃるんであれば、どこがアクセスがいいのかなというのが正直な感覚です。
記者
WTCに関してですね、「共同都市構想」というのを発表されていらっしゃるんですけれども、今回はそれを踏まえてのものになるのか、あるいは、もう一から練り直すのかという点が1つと。あと、先の府議会でも、市長ですね、府議会の方にお招きするというような動きがありましたけれども、府議会のほうでは特にですね、大阪市の本気度が足りないということを今言われてますんで、その点、市長がですね、直接、府議会に何らかの説明の場をされるというお考えはあるのかどうか、この2点をちょっと。
市長
はい。「共同都市構想」につきましては、あの時点ですらお互いの本気度を、私はあの時点で表し得たと思って、皆さんにお集まりいただいて、発表させていただきました。今になって、非常に準備不足であるとか、批判される方はあるんですけれども、府と市が1枚のペーパーであれ、ああいう形で1つのまちの姿というものを描いたことは、今までになかったはずですから、これだけでも画期的な一歩をあの時点で印していたと、私は思っております。で、じゃあ、あの上にさらにトレースする形で絵を描いていくのかっていうと、今回は、大阪市から府に対して、「是非、府庁に来ていただきたい」と。「このエリアを大阪市は開発に失敗しました。その失敗をきちんと真摯に反省したうえで、もういっぺんこれだけ素晴らしいエリアの可能性を、府の力をお借りして、さらには経済界の力をお借りして、絵を描きたいと思ってます」ということですから、府市だけの都市構想ではなく、先ほど申しました『開発協議会』、仮称でございますけれども、こういったものの中でも、色んな形で具体化されていくのではないかというふうに期待しております。
府議会からのお招きということなんですが、「お招き」ではなく、「ご招致」だったんではないかなとも思うんですが、実はやはり、何て言うんですかね、議会の中においての、前回、知事が「府庁としてWTCを買いたいんですが」と市におっしゃってこられて、それに対して私が、「じゃあ、優先的に考えましょう」という、そういう流れの中の話でございまして、やはり、どちらかというと府議会での動きというものは、知事のガバナンスの範囲内であったであろうと思っております。今回も、色んな形が想定はされます。当然、そのいったん否決したものを全く同じ形でもういっぺん出すのかというふうに、批判も、あるいは反論もされるかもしれませんが、今日のこの会見で、「違いますよ」ということを、私は、「前回とは全く違いますよ」ということを、大阪市からお願いしたんですから、大阪市から買取りをお願いしました。管財人の意向を受けるという形ではございますが、私の思いと全く同じ形でのご依頼でしたので、何のてらいもなくスムーズに動きはとれます。で、府議会に行けば、本当にじゃあ行ったことによって大きく前に動くという、そういう保証があるんであれば喜んで出かけますが、それ以外のところで、出かけていいのかどうかっていうのは、これはもうちょっと考える時間をいただきたいと思います。それ以外の議会でのやりとりというよりも、そうですねぇ、あらゆる機会を通して、この件が実現するように努力したいという思いですから、それが具体的にどういう形になるのかっていうのは、おとといに言ったばっかりですので、具体的にこうしたい、ああしたいがいっぱいありますが、色んな局面で出していきたいと思います。
記者
また協議会の話ですけども、9月からもう大阪府議会が始まってしまいます。その中で、並行してやっていくにしても、時間的に十分間に合うと思いますか、ある程度の姿を描くにしても。
市長
府議会が9月から12月まで、連日、休みなく行われるんでしょうか?
記者
休みなくじゃないんですけど、3カ月間、ロングスパンでやると思うんですけれども。
市長
ロングスパン、スパンは長いですよね。ただし、その間に全く話ができないという状況ではないと思いますし、その上程をいつされるのかという、そういう関係もございますでしょうから、私は色んな形でお出しする時間はあると。もちろん十分にあるとは思っていませんが、過去に、去年の8月から今年の3月までかけた色々なデータもある訳ですし、そういったものを今回、大阪市がお願いするにあたって、さらに詳細なデータでありますとか、あのエリアをどういうふうにしたいという思いも、今まで以上のことを言わせていただいておりますので、これを具体的にどうするかっていう形になれば、それを協議会でお話をしたいということですので、当面、やっぱり経済界の中でも、特に環境問題、エネルギー問題、そういったこれから先、あのエリアがやはり一番活性化するであろうと思われる、その業界を中心にですね、色々とその感触を探ったり、直接お願いにあがったりしながら、動きはしてまいりたいと思います。
記者
やはりWTCで、また3つ、すみません。前回とステージが違うということで、市長の、今回、責任でというか、自ら要請したと。いくら管財人からですね、要請を受けたといっても、市長の判断であると。これがですね、言われたのが民間の締切りの7月31日より前に言われてるんですよね。だから、もし府が来るのが、また府議会で否決されて、しかもその時に民間が全て手を下ろしていたということになったら、市民負担の最小化を言われていた市長としては、一番最大化の道をとったと、市長の責任においてとったと、管財人の責任もあるでしょうけど、市長も一定の責任がかかってくると思うんですけど、その点についてはどう思っているのかというのが1点と。次が、府議会を通るというのは、前回と現段階であまり変わらないですけど、どれぐらい通ると思っているのかというのが2つ目と。3つ目はですね、管財人が「10月ぐらいまでに方向性を決めてくれ」と言っていましたけど、市はいつまで府とですね、協議をするつもりがあるのか、いつで締め切るのか。そうしないと、民間もどんどん逃げちゃうでしょうし、市も買い取るにしても準備がいると思いますんで。この3点、すみません。
市長
はい。まず、民間の手をお挙げになっていただいているという、買取り希望のスポンサーということになるんだと思いますが、その動きにつきましては、中井管財人が、大阪市と府を同じ日に訪れられた、あのあとで伺いました情報によれば、やはり、ああいう動きを機に、「せっかく手を挙げようと思ってたのに」と、おっしゃってる民間のスポンサーも現実にはあるという話は聞いております。しかしその一方で、依然としてあのエリアの、我々はずっとエリアの魅力ということを言っておりますので、そのエリアの魅力を感じていただいており、収益性のあるビルであるということで、依然として買取りたいという意向をお持ちのスポンサー候補もあると聞いてます。ですから今回動くにあたって、管財人の方に確認をしたのは、「これで完全に民間が切れるということではないですよね」と。ただ、本当に民間の方も、非常に積極的に前向きに、あのエリアということを評価していただいているとは聞いているものの、私が動くことによって、手を下げるということがないと。ただ、期限ということで言いますとね、後ろへ少しずれると。だから、「民間を排除して」と、先週、記者さんおっしゃったけど、民間を排除して府と最優先で交渉を行うというんではなくて、民間は民間で残っていただいたうえで、ただエリアの中で、民間か府かという、こういう天秤にかけた場合に、府を重くみさせていただくことは了承してほしいというふうに、管財人のほうからお願いしているというふうに聞いてますんで、そこについては、まだ、すごいリスクを自分で取りに行ったという感覚ではなく、ベストウェイを探しにいってるというつもりで、前向きに動いてます。そういうことです。
府議会通るかどうか。これは、私では如何ともしがたい問題でございますから、知事に頑張っていただくしかない。知事に頑張っていただく中で応援はさせていただきますし、それも積極的な応援を色々な形でさせていただきたいと思っています。
日程感につきましては、これは管財人の方ともう一度しっかり打ち合わせをしないと、具体的に今ここで申し上げることはできません。
記者
この間ですね、新聞報道で出ています保育士さんの採用試験についてでございます。全盲のですね、視覚障害がある全盲の女性が、こちらの大阪市さんの保育士採用試験を、去年もチャレンジをしたいというふうに申し出ていらっしゃったのを、点字受験を認めなかったというのを、この秋のですね、採用試験から認めることに方針転換をされた。その具体的な理由をですね、教えていただきたいというのがまず1点と。そして、その全盲の女性、本人様がですね、昨年9月、大阪市長様宛ということで、提出された嘆願書がございます。そちらのほうには、公的な採用試験がですね、障害者、「公的な採用試験が障害者から受験の機会を奪うようでは、一体どこへ訴えていけばよいのでしょうか」というふうにですね、まさに切実につづられていらっしゃいます。昨年ですね、こうした受験資格を満たしていながら受験さえできなかったこの女性に対してですね、市長さんは今回、どうお言葉をかけられますか。この2点、お答えいただけたらと思います。
市長
非常に申し訳ないといいますか、保育士の資格をきちんとお持ちになってらっしゃる方が、保育士になりたいということで、お受けになる道がなかったっていうことが、これはやっぱり、大阪市として反省しなければならない点だと思います。私はまず、今大阪市っていうのは、先進的にそういうことに門戸を開き、取り組んできたまちであります。ですから、現場だけの判断で、これは「もし採用というようなことになっても大変だから」みたいなことで、「むしろ障害を持たれている方専用の試験というものもありますんで、そっちをお受けいただいたほうが」みたいな形で言ったことが、ご本人に対しては、ご本人は「いや、みんなといっしょの場所、今までと同じような形で働きたい」という、そういう思いを強くお持ちであったということを無視したということで、逆に申し訳なかったと。ですから、そういった体制をとることが当たり前のことであって、「当たり前のことをもういっぺんきちんとしませんか」という指示を出しました。で、それが1年、ちょうど去年から比べて1年遅れてしまって申し訳なかったんですけれども、今後、そういうことのないように、現場には指示を出しました。どういう指示かっていいますと、「大阪、自分達がいる局も色んな局があって、その局なりの事情ってものがありますけど、そこに縛られないでほしい。自分達、そこからすっと下がってみた時に、大阪市という大きな組織の一員である。その大阪市がどういった歴史を持っており、弱い人たちにどういった手を差しのべてきたまちなのかということを、きちんと分かってほしい」ということを言いまして整理をさせていただきたいと、かように思っております。
記者
ありがとうございます。確認ですけど、ということは大阪市としては謝罪ということで受け止めてよろしい訳ですね。
市長
実は本当に申し訳ないんですけど、その陳情というものが、私の手元にきちんとした形で見せてもらってない、去年の段階でね。ですから何を要求されているのかという部分でいうと、私は、受ける権利をきちっと、当たり前なんですけれどもね、整理すると、整備するということで、今回お許しいただければと思っております。
記者
ありがとうございます。
記者
不正契約なんですけれども、調査結果が出たということで、2年間で191件ということですが、この数字について、市長はどのように受け止められるかということをお伺いしたいです。
市長
はい。これは随契、随意契約の中での不適正な契約が191件あったということを、今日、発表させていただいたと思いますけれども、調査をやったということ自体が、随意契約っていうのは比較的小額、何十億という契約と比べますと小さい額での、比較的という意味ですが、契約でございますんで、ある程度、現場、現場の裁量にまかせていた部分があって、具体的に言いますと、棚卸しと言いますかね、細かい分析なり検証というものがなされていなかったことが今回はっきりしました。ですから、すごい数だったんで、13,000弱の精査を全部させていただきまして、その精査にあたったスタッフの中には不適正資金の時にお世話になりました弁護士の先生、それから会計士の先生にも入っていただいて、その犯罪性、訴追性とも含めた検討、検査をやっていただいて、その結果として件数が今あがっております中で、これで全部や思いますけれども、2年間ではね。で、いわゆる犯罪性っていいますか、それがなかったというのを聞いた時にはほっとしました、正直。ほっとしましたが、やっぱり公金、これは不適正資金の時にも感じましたけれども、公金が使いにくい形で現場にあるのか、使いにくいからといって使いやすい形に変えてしまっていいのかという部分で、もういっぺんきちんとした議論を現場でやらなあかんし、それを市の管理部門がどこまで知っているべきであるという1つの大きなきっかけになるだろうと思います。今後明らかになっている部分で、これはやはり行き過ぎであるという事例に関しましては、きちんとした処分もさせていただきたいと思っておりますし、皆さんに情報をお出ししながら、是非市民の方にもご理解が得られるように。そして、明日?
情報公開室市民情報部報道担当課長
明日です。
市長
明日、部会(第2回不適正契約等調査部会)を開きます。その部会の中で、今私が申しましたような、本来この、ここに使われるべき公金がどういった形で使われれば、一番公正で透明性が確保される使い方なのかといったことも含めて協議していただきたいと、部会で話し合っていただきたいと、このように思っております。
記者
2点お伺いします。1点目は、市長、夏休みを一応まあ、いつとられるご予定かということが1点と。それから先ほど民主党のマニフェストを受け取られましたけれども、生活保護については「ちょっと残念だ」ということでしたが、全体的な評価とですね、あと念のため、総選挙に向けたスタンスというものはこれまでと変更ないのかどうか、確認させてください。
市長
はい。夏休みでございますが、13日から20日までお休みいただく予定にしております。国内です。「その間、皆さんも是非お休みをとってください」と言いながら、選挙があるんで、皆さん忙しいと思いますけれども。
民主党のマニフェストにつきましては、本当に私自身せっかく、せっかく言うたら語弊ありますね、呼んでいただいて、シンポジウムに知事といっしょに出させていただいて、その中で本当に、生活保護費全額国庫負担っていうものが、「やりましょう」って言っていただいたことに非常に力を感じまして、先ほども言いましたようにブログにもその辺書いたんですけど、残念ながらそれが入っていなかった。ただ、民間、民間って言いますかね、民間の視線という、市民の暮らしとかという部分については、かなり突っ込んだ書き方をされている、苦労の跡が伺えるというふうにも思います。それと、地方分権という部分で、まだまだ、本当の地域主権を言っている基礎自治体の思いというものを、どこまで汲み取っていただいたのかなあという部分は、やや不満に思うところでございまして、大都市制度の問題、さらには、一括交付金ではなくて、我々は一括交付金っていうと、「いったん集めて、それをどう分配するねん」というところでまた中央の思惑とか色んなその政治勢力の動きみたいなものが介在してしまって、「ニアイズベターという地方分権の本当の形ではないでしょう」ということから、我々は「税源移譲」っていうことをずっと言い続けてる訳ですから、そこをもうちょっと踏み込んでいただければよかったのになあという思いでございます。それから、衆議院選挙に関するスタンスは今まで通り全く変わりはございません。以上です。
 

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