1 医療安全管理部の役割
大阪市立総合医療センター(以下「当センター」という)は、大規模高機能病院として設置され、医療の専門化・細分化が進む中、政策医療として救急医療、小児医療、周産期医療、精神医療、感染症医療、災害医療にも対応し、先端技術を備えた公的医療機関として、市民の健康で豊かな生活に貢献しています。
昨今、医療の高度化・細分化とともに、全国的な傾向として、医療事故が増える傾向にあり、医療の安全管理対策の強化と医療事故防止は、患者さんの要望が高い喫緊の課題となっています。
医学が進歩した現在においても、医療はリスクを伴い、不確実なものであり、合併症を完全に無くすことが難しいのも事実ですが、少しでも医療を確実なものにし、合併症が無くせるよう私ども医療従事者は誠実に医療を行っています。
当センターでは、医療は患者さんと医療従事者の協同でなされるものであることから、患者さんもその不確実性を認識して頂いたうえで治療に主体的に参加して頂き、医療従事者と患者さん及びご家族とのパートナーシップを推進していきたいと考えています。
市民に最良の医療を提供するためには、安心して医療を受けられる環境を整備するとともに、質の高い医療を継続的に提供するため、職員全員が安全管理についての必要な知識・技術の向上を図りつつ、医療事故の防止と患者さんの安全確保への高い意識を持つことが重要です。
そこで、当センターでは、医療安全管理対策の企画立案、実行、評価等の組織横断的な活動に従事し、病院の運営体制に対する一種の牽制組織としての機能を果たし、医療安全の確保及び医療事故発生時の対応など、体制の強化を図ることを目的に、平成20年4月に医療安全管理部を設置しました。
その役割は「大阪市立総合医療センター医療安全管理規程」に明記され、具体的な行動についても、「医療安全管理対策マニュアル」で定めており、また、医療安全の基本情報となる有害事象報告システム(インシデントレポート)も定着化し、医療安全管理を遂行するために必要とされる規約も含め体制は整備されています。
また、医療を支える間接部門の医療安全管理対策の重要性から新たに、医療安全にかかる院内の小委員会を統括する医療安全向上委員会が平成21年10月に設置され、院内全部門にわたる総合的な医療安全管理を行うこととなりました。
さらに、大阪市市民病院群における医療安全管理対策の取り組みが行われているなか、平成22年4月には当センターが有する医療安全対策を他の2市民病院(十三・住吉市民病院)と共有し機能的連携を図り、大阪市市民病院群全体の医療安全対策の向上を進め、病院局の医療安全管理を担っています。
また、同4月から、医療安全管理部内に院内感染防止対策室が新たに設置され、従来からある医療安全管理室と院内感染防止対策室が連携して医療安全の向上を図っています。
2 医療安全管理体制
当センターの医療安全管理部の沿革としては、
- (1) 平成18年9月に当センターに医療安全管理者(看護師)1名を専従で配置しました。
- (2) 平成20年4月に医師2名、医療安全管理者(看護師)1名の計3名体制で医療安全管理部を
発足しました。 - (3) 平成21年4月には、医師2名、医療安全管理者(看護師)1名に加え、事務職2名の計5名
体制に組織強化しました。 - (4) 平成22年4月には、医療安全と医事紛争を扱う対象を、総合医療センターのみから2市民
病院(十三・住吉市民病院)にまで対象を広げ、集約を図りながら一層の医療安全の充実
を図っています。同時に、院内感染防止対策室を部内に設置し、感染管理認定看護師を新
たに配置し、看護師2名の6名体制に組織強化し、各職種が密接に連携して医療安全管理
業務の充実を図っています。
3 医療安全管理部の基本方針及び行動指針
【基本方針】
- (1) 患者さんが安心で安全な医療を受けられる環境を整える。
- (2) 医療事故を未然に防げるように対策を講ずる。
- (3) 院内感染を未然に防げるように対策を講ずる。
- (4) 医療事故及び院内感染発生時に、適切・迅速に対応する。
- (5) 医療従事者が、安心して医療を提供できる環境を整える。
【行動指針】
- インシデントレポートを活用し、事例の分析・対策・周知を行い、医療事故の発生を防止するよう努める。
- 患者さん及び家族から寄せられる「皆様の声」の中から、リスクマネジメントを行ううえで貴重な意見を吸い上げ、分析・評価のうえ必要なものについては、改善提案を行う。
- 医療安全管理にかかるマニュアルの整備を図る。
- 全職員を対象とした医療安全管理のための研修を開催する。
- 医療安全向上委員会に属する医療安全管理小委員会での課題・問題点を検討のうえ対策を策定し、当センター全体の医療安全の向上をめざす。
- 各年度の医療安全のテーマを決め、重点的に対策に取組む。
- 医療事故発生時には、直ちにリスクマネジメントチーム(RMT)を結成し、原因の究明のための客観的な調査・分析を行い、必要に応じ、医事紛争委員会を開催する。
- 医療事故発生時には、患者さん及び家族と医療従事者の間の円滑なコミュニケーションが図れるようにサポートするとともに、双方の当事者のケアを行う。また、研修参加等を通じて、円滑なコミュニケーションが図れる人材を育成する。
- 医事紛争案件の円満な解決をめざす。訴訟案件については、弁護士と連携し対応する。
- 各市民病院の医療安全管理委員会及び医事紛争委員会と連携して、市民病院全体の医療安全の向上をめざす。
- 感染制御チーム(ICT)において、感染症の水平伝播および職員感染防止対策、抗菌薬適正使用を推進する。
- 医薬品の投与に際しての安全管理を推進する。
- 医療ガス等の適切な管理をはじめ、施設面での安全管理対策を講ずる。
- 医療機器の安全管理に際して、医療機器安全管理小委員会および透析機器安全管理分科会が中心となり、適切な管理に努める。
- 部内において定期的にカンファレンスを行い、医療安全管理の向上のための改善策を検討する。
4 医療安全管理部の所管する各種委員会
- (1) 病院局医療安全管理委員会(毎月開催)
- (2) 総合医療センター医療安全管理小委員会(毎月開催)
- (3) 総合医療センター医療安全向上委員会(毎月開催)
- (4) 病院局医事紛争委員会(随時開催)
- (5) 総合医療センター医事紛争委員会(随時開催)
- (6) 総合医療センター医療機器安全管理小委員会(年2回程度開催)
- (7) 総合医療センター透析機器安全管理分科会(年2回程度開催)
- (8) 総合医療センター院内感染防止対策小委員会(毎月開催)
5 公表基準に基づく医療事故等の公表
当センターでは、発生した医療事故等について、患者さんをはじめ市民の皆様に適切に情報提供を行うことにより、病院運営の透明性を高め、知る権利に応えるとともに、医療への信頼性を高めることを目的として「大阪市市民病院事業における医療事故等の公表基準」を定めています。この公表基準に基づき、発生した医療事故等の件数については、平成18年度から年1回定期的に一括公表(概ね7月1日に前年度1年間のレベル別報告件数等を公表)しております。
また、医療過誤であることが明らかであり、かつ、患者さんにとって事故が死因となった場合(レベル5)や事故による障害が一生続く場合(レベル4)などの有害な結果が発生した場合は、事故発生後、速やかに患者さんなどの同意を得て報道機関等へ個別公表も行っています。
今後とも、医療安全管理体制の充実に努め、皆様から信頼される病院になるように努めてまいります。
「平成22年度公表」へのリンク
総合医療センター:H23.7.1「公表基準に基づく医療事故等の公表」十三市民病院:H23.7.1「公表基準に基づく医療事故等の公表」
住吉市民病院:H23.7.1「公表基準に基づく医療事故等の公表」
6 医療安全管理部の業務実績
当センターの医療安全管理部の業務実績は、次のとおりです。
(1)医療安全管理にかかるマニュアル等の整備
① 暴言・暴力・不当要求対応マニュアル(平成21年7月制定・実施)
② 医療安全向上委員会に関する規程(平成21年9月制定・実施)
③ 転倒・転落防止に関する市民病院ガイドライン(平成22年3月改訂・同4月実施)
④ 離棟対応マニュアル(平成22年3月制定・同4月実施)
⑤ 周術期肺血栓塞栓対策マニュアル(平成22年12月制定・実施) など
(2)医療安全研修の実施及び医療安全ニュースの発行
① 医療安全研修
1) 平成22年10月19日
・テーマ 医療安全研修「大阪市医療事故調査委員会報告」
・参加者 253名
・講 師 池原副院長兼医療安全管理部長、白野感染症センター医師
2) 平成22年11月16日
・テーマ 医療安全研修「周術期肺血栓塞栓対策について」
・参加者 191名
・講 師 安宅中央臨床工学部長兼集中治療部副部長
3) 平成23年1月28日
・テーマ 医療安全研修「クレーム対応講座」
・参加者 153名
・講 師 大野担当係長
② 医療安全ニュース
・平成22年度4回発行
7 院内感染防止対策室
お知らせ
役割
病院は治療の場である一方、多様な病原体をもった方が集まり、薬剤耐性菌も存在する場であるという側面があります。また、免疫が低下している方も多く、注射や手術などの医療行為も行われるため、病原体が体内に侵入し感染するリスクが通常の環境に比べて高いといえます。
そのような環境の中で、病院で新たに感染すること(院内感染)を可能な限り予防し、患者さんに安心して医療を受けていただけるよう努めるのが私たちの役割です。
あわせて、職員が感染する職業感染を予防することにも取り組んでいます。
指針
| 感染制御医師 (ICD) |
感染症センター | 白野 倫徳 |
|---|---|---|
| 感染管理認定看護師 (ICN):専従 |
医療安全管理部 | 河野 尚美 |
| 感染制御認定臨床微生物検査技師 (ICMT) |
検査部 | 光野 典子 |
| 薬剤師 | 薬剤部 | 小野 滋 |
院内感染防止対策室スタッフを中心とした多職種からなるICT(感染制御チーム)を結成し、院内感染防止に向けての活動を行っています。
主な活動内容
- 1) 病棟回診による院内感染防止対策の確認・普及
- 2) サーベイランス(感染率の監視)
- 3) 院内感染防止マニュアルの作成・改訂
- 4) 職員への研修
- 5) 抗菌薬適正使用に向けての取り組み
- 6) 感染症発生時の対応
- 7) 感染症診療・感染対策についての職員からの相談窓口
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8 院内BLS研修の開催について
院内急変対応チームワーキング
(事務局:医療安全管理部)
総合医療センターでは、患者の院内急変対応システムの標準化を目的として、平成23年7月に「院内急変対応チームワーキング」を立ち上げました。 国内の報告によりますと、入院病床100床あたりの救急コールの平均件数は年間4.0件あり、その中で心停止は30~50%程度、少なくとも1~2人と推定されています。この数値を当院の病床数にあてはめると、年間10~20人の予期せぬ心停止が発生する可能性があることになります。 院内で患者に急変が発生した場合に適切な対処を行うことができるような院内の体制を確立することは、防ぐことができた可能性が高い死(可避死)をなくすためにきわめて重要な課題であります。 そこで、その対策のひとつとして、「院内急変対応チームワーキング」では、「心肺蘇生法の職員教育の徹底」に取り組みます。院内の全職員が「院内BLS(Basic Life Support:一次救命処置)研修」を受講し、正しく実施できることを目標として掲げ、定期的な「院内BLS研修」の開催や指導者の育成を開始しました。 「院内BLS研修」では、少人数構成で早期通報、成人・小児のBLS、AEDの使用方法、BVM(アンビューバック)の使用方法に関する実習を中心に90分で学習することができます。 研修修了者には、もれなく 平成23年12月14日(水)には、初回の「院内BLS研修」が都島センタービル7階のシミュレーションセンターで開催され、講師には、救命救急センターの師岡(もろおか)先生をお招きし、多くのインストラクター看護師のご協力を得て、病棟を中心に18名の看護師が真剣な表情で受講しました。 平成24年1月以降も定期的に「院内BLS研修」を開催いたしますので、職種を問わず奮ってご参加ください。 〔参考〕
[修了証] ![]() [名札用シール] ![]() |
[研修の様子]![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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