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【報道発表資料】大阪市公正職務審査委員会による勧告について

[2009年12月21日]

問い合わせ先:情報公開室 監察部 公正職務担当 (06-6208-7445)

平成21年12月21日 14時発表

 本日、大阪市公正職務審査委員会から、職員等の公正な職務の執行の確保に関する条例第9条第1項の規定に基づき、次のとおり大阪市長に対して勧告を行いましたので、お知らせします。 

  1. 生活保護未収債権の催告等の懈怠による不納欠損(勧告)
  2. トイレットペーパー買入入札における仕様書の記載の不備(勧告)

 

(参考)

大阪市公正職務審査委員会(コンプライアンス委員会)

         つじ きみお

委 員 長   辻 公雄  (弁護士)

         ごろかわ やすし 

委員長代理  五郎川 康 (公認会計士)  

         せきね みきお

委   員     関根 幹雄 (弁護士)

 

1. 生活保護未収債権の催告等の懈怠による不納欠損(勧告) 概要

1 通報概要

  1.  未収金が残っている被保護者のケースファイルを保存年限の延長をせずに廃棄している。
  2. 消滅時効が5年であるため、最大60回分割払いを認めているが、最初から60回を超えた分割を認めているものがある。
  3. 60回払いの場合、初回から59回までは低額均等割りを計上し、最後の1回に残金全額を計上しており、本来の債権額と調定額が乖離し、多額の隠れ債権がある。
  4. 生活保護システムから催告状が出力されることになっているが、既に生活保護を廃止されているケースについては、催告状が送付されていない。

2 調査結果

 (1) 生活保護に係る未収債権とは

  1. 保護開始時点では資力が無かったが、後日、交通事故保険金・年金・失業保険・生命保険等の給付金により資力が生じたような場合に、収入が判明した段階で、被保護者に返還請求を行う債権(生活保護法第63条)
  2. 給与、年金、保険金等により収入があるにもかかわらず、これを隠匿して不正に保護を受給したこと等が判明した場合に、被保護者に返還請求を行う債権(生活保護法第78条)

  消滅時効 法律上の中断措置がなされない限り、権利を行使し得る時から5年で完成

  債務者による時効の援用は不要 (地方自治法第236条)

未収金の額

平成20年度決算

調定額(A)

5,444,639,530円        

収入額(B)

1,884,786,161円        

不納欠損額(C)

779,949,904円        

未収金(D=A-B-C)

2,779,903,465円(93,362)    

※ 上記未収金とは別に、平成21年度以降に調定される額として、少なくとも30億円を超える債権(E)がある。

   未収債権の総額(F=D+E)

 

 (2) 被保護者のケースファイルの廃棄について

  • 「生活保護経理事務マニュアル」作成・実施(平成18年5月)以前には、少なくとも11の区役所保健福祉センターにおいて、債権回収がされず未収債権が残ったままの被保護者に関する書類(ケースファイル)が、保護廃止後5年で廃棄されていた。
  • 財務会計システム(平成11年4月)が導入される以前のものについては、個別の債権者名が不明となっている場合もある。

 (3) 未収債権の分割納付について

  • 生活保護に係る債権が発生した場合には、速やかに債権額の全額を調定(債権額を決定し、これを歳入として予算に計上すること。以下同じ。)することが基本
  • 被保護者の状況から明らかに全額を一括返済できないときは、分割納付可能
  • 消滅時効が5年であるから、分割回数は60回・5年以内が妥当とされているが、実施機関(24区役所保健福祉センター、更生相談所及び緊急入院保護業務センターをいう。以下同じ。)の一部では、最初から60回・5年を超える分割納付を認めていた。
  • 初回から59回までを低額な均等返済額とし、最終の60回目に残額全部を返済するという分割納付を健康福祉局は容認しており、全ての実施機関で採用

 (例)100万円の債権 初回から59回までを1万円、60回目に41万円返済

  • 調定年度については、各実施機関とも、健康福祉局の指導に従い、債権額全額ではなく、当該年度の分割納付額を調定している。

 (例)初年度の調定額は、100万円ではなく、12万円のみを調定

 (4) 催告及びその後の時効中断措置について

  • 「生活保護経理事務マニュアル」で定める債権回収の手続
  1. 被保護者が滞納したときは、納期限後20日以内に「督促状」を送付
  2. 「督促状」の期限から相当の期間が経過しても不履行の場合、「催告状」を送付
  3. 「催告状」にも応じない場合、簡易裁判所による支払督促、小額裁判、訴訟提起、差押え、仮差押え等の時効中断措置をとる
  4. 判決正本等の債務名義による強制執行など、強制力のある法的な債権回収
  • 「生活保護システム」により、年5回(4月、6月、9月、12月、3月)、前月までの未収金に対する「催告状」が発行されており、内容を確認の上、「催告状」を債務者へ発送する必要がある。
  • 少なくとも17の実施機関において、保護廃止後のケースについては、転居先の住所が不明、業務量の増大による担当職員の繁忙等により、不完全にしか送付されていなかった。

 (5) 不納欠損処分について

  • 不納欠損処分とは、時効等により債権が消滅した場合や徴収不能により債権放棄をした場合に行われる地方自治法上の会計処理手続であり、決算上の不納欠損額として処理計上される。

  過去5年間の生活保護未収債権の不納欠損処分の状況

  • 全件消滅時効の完成によるものであり、平成20年度決算では、4,375件、約7億8千万円にも達している。
不能欠損年度別一覧表

平成16年度

平成17年度

平成18年度

平成19年度

平成20年度

件数

0

0

3

0

4,375

金額()

0

0

618,880

0

779,949,904

(注)不納欠損処分の会計処理を行っていない年度については、件数・金額を0と表記

 

3 判 断

 (1)・(2) 現状及び総論

  • 大阪市における生活保護費 2,382億円(平成20年度決算)
  • 被保護者約 10万世帯、13万4000人(平成21年10月現在)
  • 市長を委員長として、「生活保護行政特別調査プロジェクトチーム」を編成し、保護費の全額国庫負担を国に要望するなど、生活保護制度の適正なあり方について検討を進めている。
  • 生活保護の返還金等は、資力を有する被保護者が急迫により、または不正、不実により給付された公金であり、本来保護費として支給されるべきでなかったもの
  • 大阪市の非常に厳しい財政状況だけでなく、全額税金で運営されている生活保護制度に対する市民の信頼を確保し、適正に収入申告を行っている被保護者よりも不誠実な被保護者が有利にならないよう被保護者間の公平性を確保する観点からも、返還金等の未収債権の調定及び回収を確実に行うことが何よりも重要

(3)  被保護者のケースファイルの廃棄について

  • 調査結果(2)のとおり、通報指摘事実が実施機関からの報告書により明らかになったことは、極めて遺憾である。

(4) 未収債権の分割納付について

  • 生活保護費は、その4分の3を国が負担し、4分の1を地方公共団体が負担するが、国からの負担金の交付額は次の計算式により算定される。
  • (費用の額-返還金等の調定額+不納欠損額)×4分の3
  • 健康福祉局は、当該年度の分割納付額のみを調定する取扱いを各実施機関に指導(先の100万円60回分納であれば、初年度の12万円のみを調定)
  • 厚生労働省は、「債権が発生した場合は速やかに、債権額の全額を調定することが基本である」とし、明らかに全額を一括返済できない場合に限り履行延期の特約を行うことを認めている。
  • この分割方法をとる場合には、地方自治法に基づき自治体において適切に納入指導や時効中断措置等の債権管理が行われていることが前提となる。
  • 各実施機関からの回答等では、債務者の資力や返済能力を十分に考慮せずに上記のような分納を認める履行延期の特約を行っていた事例が認められた。
  • 安易にこのような分納処理を行うことが常態化してしまえば、資力ある債務者の返済意欲を低下させ、計画的な債権回収が困難になるだけでなく、実施機関の職員に債権管理の意識が希薄となり、結果として、さらなる不納欠損により、大阪市の債権が時効消滅により失われかねない。
  • したがって、危機意識をもって適切に納入指導や時効中断措置等の債権管理を行うよう実施機関に周知徹底する必要がある。

(5) 催告状の送付の懈怠

  • 少なくとも17の実施機関において、保護廃止後のケースについては、転居先の住所が不明、業務量の増大による担当職員の繁忙等により、不完全にしか送付されていなかったことは極めて遺憾である。
  • 保護廃止後の住所変更等の把握や死亡した者の相続人の調査についても、住民基本台帳法及び戸籍法による公用請求等により、債務者の住所や債務の継承者を調査することも可能であり、催告書の送付を怠っていた理由とはならない。
  • 激増する被保護者に対して実施機関の職員数が不足している、繁忙である等の事情については、汲むべき要素はある。
  • 「生活保護行政特別調査プロジェクトチーム」を編成し、未収債権の問題についても取り組もうとしていることは評価できるが、現状ではマニュアル等が現場の各実施機関の職員に徹底されてなかったことが問題。
  • 債権回収に際して、催告を的確に行わず、それに引き続く法的な時効中断措置を取らず、漫然と期間を徒過し、約7億8千万円もの公金たる債権を時効消滅により不納欠損処分をしている現実は重く受け止めなければならない。

4 勧 告

  1. 全実施機関における未収債権額の調査を行い、その全貌を把握した上で、催告状の送付、その後の時効中断措置の実施など、適切な債権管理を行うこと
  2. 組織的な債権回収システムの構築に努めること
  3. 安易な不納欠損処分が生じないよう、未収債権の分割納付及び調定のあり方を再度検討すること

ダウンロードファイル

  • pdf勧告の概要 (pdf, 17.88KB)

    勧告の概要を掲載しています~生活保護未収債権の催告等の懈怠による不納欠損~

  • pdf勧告文 (pdf, 24.67KB)

    勧告文を掲載しています~生活保護未収債権の催告等の懈怠による不納欠損~

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2. トイレットペーパーの買入入札における仕様書の記載の不備(勧告) 概要

1 通報概要

  1.  『仕様書には、「JIS規格合格品であること」と明記されているにも関わらず、実際には、JIS規格合格品ではない(JISマークの入っていない)品物が納入されている。
  2.  「JIS規格合格品を納入させるように」と環境局の担当者に伝えていたのに、必要な措置を講じていない。

2 調査結果

 (1) 入札の経過

  環境局は、毎年、地域団体等が行っている資源集団回収の支援品(配給品)として、再生紙トイレットペーパーの買い入れをしている。

事実の経過

日時

確認できた事実

平成21814

「再生紙トイレットペーパー買入」について、事後審査型制限付一般競争入札を執行する旨の公告を契約管財局長が行う。

仕様書には、次の事項が記載されていた。

規格 「JIS規格合格品であること」

数量 330,560巻  納入期限 平成211116

事業担当 環境局環境施策部家庭系ごみ減量担当

平成21年9月11

開札(電子入札)

・予定価格は9,538,000円(税抜き)

・入札参加者A6,773,174円、B5,778,188円、C8,098,720円(税抜き)

・Bを落札候補者とした(落札率60.5%)

平成21年9月15

・Bの資格審査後、契約管財局長は、Bとの間で、税込みで契約金額6,067,097円、納入期限平成211116日とする再生紙トイレットペーパーの物品買入契約書(以下「契約書」という。)を締結

平成21年9月29

・環境局は、Bから見本品の提示をうけたところ、見本品は、D製紙株式会社の製品であり、日本工業規格(JIS)適合品であることを示すJISマークの表示がなかった。

平成2110月初旬

B以外の入札参加業者から、仕様書において「JIS規格合格品であること」を入札条件にしておきながら、JISマークの表示されていない商品を納入させるのはおかしいとの疑義が、環境局に提示された。

平成211015

環境局は、「JIS規格合格品であること」という仕様書の規格を満たしているかどうかについて、Bに問い合わせたところ、次の2種の証明書の提出を受けた。

      平成211015日付けでD製紙株式会社がBに対して発行した自社製品がJIS規格の基準を満たしている旨の証明書

      平成211014日付けで岐阜県産業技術センター所長がD製紙株式会社に対して発行した試験報告書

平成211112

環境局が弁護士に法律相談に赴いたところ、弁護士から、仕様書の「JIS規格合格品」の記載は、JISマークの表示まで求めるものではなく、JIS規格の基準を満たしている製品と理解するのが一般的であるとの助言を得る。

平成211116

環境局は、Bの提出した見本品は、公的な第三者機関による試験結果により、JIS規格の基準に合致していることが確認できたとして、納入確認検査を行い、当該再生紙トイレットペーパー330,560巻の完納を認め、物品買入検査調書を作成した。

3 判 断

 (1) 「JIS規格合格品」には、JISマークのない同等品を含むか否か

  • JISマーク表示制度は、当該製品がJIS(日本工業規格)に適合していることを認証し、これを国民に表示する国家制度であり、この認証を受けるためには、①製品のサンプリング試験と②品質管理体制の審査を受け、これに合格する必要がある。
  • 単発の製品が、JIS規格で定める基準に基づく製品試験に合格しただけの同等品とは、市場における信頼度のみならず、製品供給に係るコストが異なってくる。
  • 国や他都市の物件買入契約の仕様書を見れば、同等品を許容する場合には、通常「JIS規格品又はこれと同等の品質を有する製品」などの記載が行われていることや、平成20年度以降の環境局の仕様書には同等品を認める記載が削除され「JIS規格合格品であること」に限定されていたこと等からすれば、「JIS規格合格品」とはJISマークが表示されたJIS規格品を指し、同等品は含まない趣旨であるとするのが社会通念に照らし、相当である。

 (2) 仕様書の記載の不備により、入札の公正が害されたか否か

  • JISマークが表示された規格品と同等品では、製品供給に係るコストが異なってくることから、入札参加者が札入れする価格に差が生じるのは明らか。
  • 現に、本件入札に参加した別の業者が仕様書によりJISマークが表示された規格品が納入製品であると考えて、落札者Bよりも相当高い金額を札入れしており、仕様書に「JIS規格品又は同等品」のように明確な記載があった場合と比較して、入札の公正さが害されたおそれがないとはいえない。

 (3) 環境局がBによる同等品の納入を認めたことが契約書に照らして適切であったか否か

  • 環境局が検査の上、物品買入検査調書を作成して完納を認め、製品を納品させている以上、Bに債務不履行は認められず、今になって大阪市側から契約解除等を行うことはできない。
  • 本来であれば、仕様書に定められた規格に適合しない製品については、環境局はこれを不合格とし、JISマークが表示された規格品との取替えなど必要な措置を取らねばならず、Bがこれに応じない場合には、債務不履行として契約解除をする必要があった。
  • 少なくとも、僅少の不備があるが、使用上重大な支障がないと認められ、かつ、期限等から取替えが困難と認める場合には、相当の価格を減価のうえ、これを採用する減価採用の手続を取るべきであったといえる。

4 勧 告

  1. 入札の仕様書の記載は、入札参加者の見積もりや入札価格に大きく影響し、入札の公正さを担保する重要な要素であることから、同等品を許容する場合には、「JISマークの表示のある規格品又はこれと同等の品質を有する製品」など、一義的かつ明確に記載し、入札参加業者によって理解に違いが生じないよう配慮されたい。
  2. 契約締結後の納品検査を厳格に行い、仕様書と異なる製品が確認された場合には、補修、取替え等必要な措置又は減価採用の手続を取るなど、厳正に行われたい。
  3. 上記1.、2.の点について、契約担当部局への周知徹底を行うとともに、再発防止策を策定されたい。

ダウンロードファイル

  • pdf勧告の概要 (pdf, 13.22KB)

    勧告の概要を掲載しています~トイレットペーパーの買入入札における仕様書の記載の不備~

  • pdf勧告文 (pdf, 15.83KB)

    勧告文を掲載しています~トイレットペーパーの買入入札における仕様書の記載の不備~

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