「生涯教育」の考え方は、昭和40年(1965年)に開催されたユネスコの会議「成人教育推進国際委員会」でポール・ラングランによって初めて発表されました。ユネスコではこれに基づき、人が生まれてから死ぬまでの各時期における学習と、学校だけでなく家庭・職場・団体・図書館・マスメディアなど多種多様な学習場面のタテとヨコの二つの基本軸によって枠組みされた社会の全教育システムの再構成を構想しました。
昭和47年(1972年)にユネスコの教育開発国際委員会から発表された報告書「未来の学習」(フォール・レポート)では、「社会全体が学校化社会から学習社会へ変身すべきであり、社会を構成するすべての部門が学習資源を提供し、教育活動に参加するようにならなければ生涯教育の理念は達成されない。学習社会は、生涯教育にとっての前提条件であり、同時に到達目標である」と述べています。学習する側に主体をおいた考え方の出現であり、ここに“生涯学習”という概念が形成されてきました。
昭和60年(1985年)に発表された「ユネスコの学習権宣言」では、「学習権なくして、人間的発達はなく、あらゆる教育活動の中心にある学習は、自分自身をなすがままにされる客体から、歴史を創造する主体に変えていくものである」と生涯学習の重要性を述べています。
平成9年(1997年)7 月にドイツのハンブルグで行われたユネスコの第5回国際成人教育会議において成人教育宣言が採択され、「成人教育は権利以上のものであり、21世紀への鍵である。それは積極的な市民性の帰結であると同時に社会生活への完全な参加の条件である。それは生態学的に持続可能な開発を育み、民主主義と公正、男女平等、科学的・社会的・経済的な開発を促進し、暴力紛争が対話と正義に基づいた平和の文化に転換された世界を創るための強力な概念である。成人学習はアイデンティティを形成し、人生に意味を与えることができる。生涯にわたる学習は、年齢、ジェンダー平等、しょうがい、言語、文化的・経済的格差といった要因を反映した学習内容への変革を迫っている。」と、地球的諸課題の解決に向けた成人教育の必要性を述べています。
わが国では、昭和46年(1971年)に社会教育審議会の答申のなかで、社会教育を進めるにあたり「生涯教育」の考え方を採用したのが始まりです。
昭和56年(1981年)には、中央教育審議会で、生涯教育は「国民の一人ひとりが生涯にわたって行う学習活動を援助するために打ち立てられるべき教育制度全体の基本理念」と定められました。
昭和59年(1984年)には、臨時教育審議会答申で「生涯学習は、市民の自主的で主体的な学習が基本にあり、民間を含めて全行政にまたがる柔軟で幅広い活動である。就学前教育、学校教育、社会教育などのありかたを見直し、これまでの学校中心の教育制度をあらため『生涯学習体系への移行』が必要である」と提唱されました。
昭和60年(1985年)には放送大学が開学し、昭和62年(1987年)には教育改革推進大綱が閣議決定されました。
平成2年(1990年)には、生涯学習振興法が施行されるとともに、生涯学習審議会〔平成13年(2001年)1月の中央省庁再編により,中央教育審議会生涯学習分科会に再編〕が文部大臣(当時)の諮問機関として設置され、その答申を踏まえて必要な施策が行われてきています。
平成12年(2000年)の生涯学習審議会報告等を踏まえ、平成13年(2001年)には社会教育法の一部改正が行われ、平成14年(2002年)の中央教育審議会答申も踏まえ、家庭教育支援や奉仕活動・体験活動推進のための取り組みは、文部科学省が中心となり経済産業省など関係省庁とも連携しつつ行なわれてきています。
大阪市では、昭和63年(1988年)に「大阪市生涯学習推進会議」を設置し、全庁体制で生涯学習の推進を図るとともに、学識経験者等で構成された社会教育委員会議の提言を受け、社会教育施設の整備・運営、学級・講座をはじめとする社会教育事業の実施、社会教育指導者の養成、学習情報の提供などを行ってきています。
生涯学習の時代を迎え、市民一人ひとりの生涯にわたる学習を支援するため、社会にある様々な教育機能や学習機会の効果的な連携をはかりながら、生涯学習のための環境条件を整備・拡充してまいりました。
平成4年(1992年)2 月に「生涯学習大阪計画」を策定し、市民のだれもが、いつでもどこでも、必要に応じて楽しく学び続けられる「人間尊重の生涯学習都市・大阪」の実現をめざして、総合的・体系的な推進を図ってきました。
しかしながら、市民を取り巻く社会環境は、大きく変化しており、市民の価値観や公共サービスに対するニーズが多様化するなかで、成熟した市民社会を創造するためには、市民が社会の担い手として、NPO、企業、行政と対等のパートナーシップを築き、協働していくことが重要になっています。
また、青少年が夢と希望を育み、ひとりの人間として自立して歩めるよう、学校や家庭だけでなく、地域社会のなかでの「居場所」づくりや体験学習の機会、世代間の交流等による「地域の教育力」の向上がますます必要となってきています。
策定の趣旨
「前計画」では、生涯学習推進の基本目標を「つくる(人・活力・文化の創造)・まもる(人権・歴史の尊重と自然の保護)・ひらく(未来・地域・世界への明るい展望)、人間尊重の生涯学習都市・大阪」としてきました。
「新計画」では、今までの考え方に加え、「市民力」の育成を進め、「地域の教育力」の向上に向けた「教育コミュニティ」づくりなど、市民一人ひとりの自己実現や「まちづくり」につながる自主的・主体的な循環型の学習活動を支援し、「自律と協働の社会」づくりをめざします。
計画の期間
「大阪市基本構想」〔平成17年(2005年)3月策定〕の実現に向けて、大阪市がとるべき施策の方向性を示す「大阪市基本計画」〔平成17年(2005年)12月策定〕との整合性を図りながら、大阪市の生涯学習分野の計画として位置づけ、計画の期間を、目標年次とする平成27年度(2015年度)までの10年間とし、中間時点で、社会状況等の変化に応じて見直すこととします。
基本理念 ~「自律と協働の社会」をつくる生涯学習の推進~
生涯学習の基本は、市民一人ひとりの自由で主体的な学習活動にあり、行政の役割はそれらの活動が効果的に行われるよう、その環境を整備するところにあります。しかし、社会のあり方や「公共」に対する考え方は、大きく変化してきており、現代社会のさまざまな課題に対して、市民をはじめ多様な担い手が協働しながらその解決にあたるという、「あらたな『公共』性」とも呼ばれる考え方が注目されています。このような市民一人ひとりが、直面するさまざまな課題を自らの意思と責任において、主体的に解決するための「自律と協働の社会」の確立を基本理念とします。
施策の体系
① 「市民力」を育む生涯学習社会づくり
② 「まなび」を基本としたコミュニティづくり ~小学校区を中心に~
③ 大阪の歴史・文化・自然環境を活かした「まなび」のネットワーク
づくり
グローバル社会が現実のものとなり、都市や地域に様々な影響を及ぼす一方で、私たちは今、かつて経験したことのない人口減少社会の入り口に立っています。量の拡大を前提としてきた社会システムの転換が迫られる時代を迎え、これからの大阪が、国際社会の中での持続的な発展を実現し、そのもとで時代の変化に柔軟に、かつ的確に対応していくことが必要です。
市民の学習活動は、生きがいや心の豊かさ、新たな知識や技術などを獲得するための学習のみならず、社会の変化に伴うさまざまな課題に対応するための学習活動などの分野に着実に広がってきています。
「生野区生涯学習推進計画」は、大阪市の「総合計画」や「生涯学習大阪計画」の理念をふまえ、「生野区地域福祉アクションプラン」・「生野区未来わがまちビジョン」との整合性を保ちながら、生野区の特色を活かした区民の生涯学習を支援するシステムづくりをめざし、区民一人ひとりの自主的・主体的な学習活動が共生の輪を呼び、コミュニティや地域を変えるーつの大きな力になることを目的として策定しました。
さまざまな生活場面にある人々が、自ら必要とする学習課題や知識・技術を身につけたいという意欲を満たす学習内容を見つけ、身近な場所で学習でき、学習した知識を社会に活かしていけることが理想であり、①それぞれのニーズに即した区内外の生涯学習情報が入手できること。 ②生涯学習のプログラムづくりに市民が参加できること。 ③学習の成果が地域のまちづくりに活かせること。このような生涯学習基盤整備を行なっていくことが必要です。
生野区は、少子高齢化が急速に進んでいる区であるとともに、人口に占める外国籍住民の割合が高いという特性があり、福祉に重点をおいた『やさしさとぬくもりのあるまちづくり』や『日常生活レベルでの国際交流を進める多文化共生のまちづくり』が課題となっています。生涯学習活動を行うなかで、共生をキーワードとした世界に開かれたコミュニティづくりを行っていくことが、生野区における生涯学習の一つの役割といえます。
生野区生涯学習推進計画は、生野区における生涯学習推進の基本計画と位置づけ、「生涯学習大阪計画」との整合性を考慮し、目標年次を平成27年度(2015年度)までの10年間とし、中間時点で、社会状況等の変化に応じて見直すこととします。
基本理念:「自立と協働の社会」をつくる生涯学習の推進
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