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第7号 「いじめ」 精神科医師 金子 浩二

2017年1月6日

ページ番号:5974



 「いじめ」がよくないということは誰もが分かっていることですが、なぜか「いじめ」はなくなっていきません。「いじめ」の議論が始まると、「いじめられる方にも原因があるのではないか。」といった意見まで出てきてしまいます。これは一体どういうことなのでしょうか?「いじめ」という問題はどうやったら解決していくのでしょうか?

 そもそも子どもたちは、身体の発育に合わせて精神機能もゆっくり成長していきます。大人になり、精神的に成熟した結果として、自らを尊重できるようになり、同時に他者を思いやる気持ちを持ち合わせられるようになります。当然ながら、子どもたちはそういった精神発達の途上にあります。まだ十分に相手を尊重できない者同士が集まり、物事を「善い」ものか「悪い」ものかと二元的に感じてしまいやすい状況の中で、子どもの世界に自分とは異質なものや違和感のあるものを排除してしまうということがあるかもしれません。しかし、実はこのような発展途上の排除につながる心理は、「いじめ」が発生する現場だけでなく、子どもたちの他のあらゆる活動の場にも現れてきます。幼い頃の食べ物の好き嫌いはひどいものですし、誰もが悪い怪獣をやっつける正義のヒーローを応援しています。泥んこ遊びを過剰に汚く思うことや、異性や大人を嫌なものと感じる時期は誰にでもあるものです。でも、嫌いな給食を食べなければいけないこともあるし、学芸会で悪役をさせられることもあります。いつも優秀な成績を収めていても、試験に落っこちたりすることもあります。子どもたちは、そういった体験を繰り返す中で、その時に感じる精一杯の考えを表現し、良い結果と悪い結果を織り交ぜながら、前述のような成熟への過程を歩んでいきます。それは自らにおいては長所を活かし、短所とも上手に付き合っていけるようになることを意味し、他の人に対しても同様の感覚を持つことで、ようやく人格を認め合った人間関係を築いていけるということです。

 現代は、何から何までマニュアル化されている時代です。これは便利なことですが、あたかも「正しい生き方」があるような錯覚を起こしてしまいがちです。「好き嫌いをしない」「いつもお行儀がよい」「誰からも愛されている」「清潔にする」といったことも大事なことですが、もしかしたら、我々大人社会が、子どもたちの成熟の足がかりとなる表現活動の場と、その解決の場を奪い取っているのかもしれません。そういった表現の場が「いじめ」だけでは、ちょっと暗い気持ちになってしまいませんか?

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