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第4号 トラウマ 精神科医師 金子 浩二

2017年1月6日

ページ番号:5977

温かく見守る姿勢が重要



 正確にはPTSD(Post-traumatic Stress Disorder:外傷後ストレス障がい)等の外傷性精神障がいを指していたこの言葉は、今や日常的に使われていて、「私のトラウマは××××。」「トラウマになるよ。」などと傷ついた体験のすべてに当てはめているような状況です。「幼い頃に野良犬に吠えられたのがトラウマとなって、動物嫌いになりました。」といった具合です。

 医学的に外傷とは「人間の心がある強い衝撃を受けて、その心の動きに半ば不可逆的な変化を被ってしまうこと。」となっており、そのトラウマ(外傷)を理解するモデルとして「体験強度」と「体験距離」という概念があります。「体験距離」が十分とれずに、「体験強度」が大きく強烈な体験を至近距離で体験してしまった場合、それが精神を圧倒するような外傷(トラウマ)となるということです。例えば危うく命を落としそうになった体験などを指すわけです。

ポイントはこころの整理


 当然、傷つきのない人なんていませんし、日々の生活は常に何らかのストレスにさらされているわけです。通常我々人間は、生活の中で受けた外傷(トラウマ)を忘れてしまったり、考えないようにしたり、前向きに考えるなどして、なんとか処理していきます。処理しきれず自分自身の生活を脅かしてしまうようなトラウマは困ったものですが、私たちの日々の行動は、それまで受けてきた外傷(トラウマ)を癒すために行っているという考えもあります。つまり、それぞれの人生そのものを形作るものとして、トラウマがあるという考えです。我々の性格は、生まれ持ったものに、様々な体験の積み重ねの上に成り立っているということで、難題を乗り越えていく作業が、それぞれの人の個性になっていくというわけです。

 これだけトラウマという言葉が一般化されてきますと、「今の言葉は○○さんを傷つけたかなあ?」などと「自分が人を傷つけ、トラウマを与えているのでは?」といった問題が出てきています。子を持つ親御さんや教育機関の先生は「しつけ」を必要とする場面で、この「トラウマ」という言葉に苦悩されることも多いのではと思います。苛立ちや責任転嫁による行動は言語道断なことで、こういった行為は外傷的です。「傷つけはしまいか?」と悩んでいる位の方々なら、全く大丈夫なことです。気になって眠れなくなるような「トラウマ」状態とならないように気をつけてください。「かわいい子には、旅をさせよ」といった言葉もあるように、トラウマと向き合い、トラウマと格闘する子どもたちの周囲に居る人々は、温かく見守る姿勢こそが最も大事なことだと考えます。

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