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第3章 基本理念 ~「自律と協働の社会」をつくる生涯学習の推進~(1)

[2009年7月27日]

1 パートナーシップに基づく協働の生涯学習社会づくりの推進

(1)「自律と協働の社会」の確立

  • 我が国では、明治以降、行政が主として公共サービスを担い、企業が私的サービスを担う一方で、本来は主権者である市民を公共サービスの消費者的立場に置いたまま近代化が進められ、戦後も高度経済成長とともに社会資本の整備が進められてきました。
  • 1990年代に、大阪市をはじめ多くの自治体で策定された生涯学習計画においても、いつでもどこでも学ぶことができる「学習社会」をつくるための学習環境の整備は、あくまで行政(学校を含む)が主導し、民間教育機関、各種の社会教育関係団体等の協力を得ながら行うものと考えられてきました。
  • しかしながら、近年、市民ニーズの多様化・個別化・高度化が進む一方、市民社会の成熟化が進み、市民自らがNPOなどをつくり「公共」を担おうとする動きもみられるようになってきました。社会のあり方や「公共」に対する考え方は、大きく変化しており、現代社会のさまざまな課題に対して、市民をはじめ多様な担い手が協働しながらその解決にあたるという、「あらたな『公共』性」(*19) とも呼ばれる考え方が注目されています。
  • 大阪は、古代より国内外をつなぐ交通拠点として発展し、「天下の台所」と呼ばれた江戸時代には、経済的繁栄を背景に、「町人」と呼ばれる人々が担い手となり、豊かな文化を築くとともに、富永仲基、山片蟠桃などの合理主義的学問や緒方洪庵の医学・洋学等が育まれました。また、「町人」達は、「まち」の自治を一定程度担い、橋などの社会資本の整備に自ら取り組んだり、さまざまな芸能文化を発達させてきた歴史があります。明治期以降も、学校をはじめ、中央公会堂や大阪城天守閣など、市民の寄付をもとにつくられた施設は少なくありません。現在でも、関西には全国規模で活躍するNPOが多いなど、大阪は、豊かな「市民力」の伝統のうえに、市民社会の形成が進んできた歴史と伝統をもつ「まち」です。
  • 今後は、大阪市はもとよりさまざまな市民セクター(*20) 、企業が協働して社会的な役割を果たし、市民一人ひとりが、日常的に直面するさまざまな課題を自らの意思と責任において、主体的に市民自治の観点から解決するという「自律と協働の社会」づくりが重要です。
生涯学習を担う機関ごとの特性と違い(概念図)

(2)生涯学習推進に関わる各機関の役割

  • 生涯学習の推進にあたっては、市民一人ひとりが、人生のあらゆる段階や場面において、自分に適した手段・方法を選んで、主体的に学習に取り組めるよう、市民相互、あるいはNPOや行政、企業などが協働し、それぞれの特性を活かしつつ相互に連携するなど、ネットワーク型の活動を進めていくことが必要です。
  • 大阪市は、公共的課題で、継続的・安定的かつ平等に全市域を網羅する必要があり、なおかつ営利事業では成り立ちにくい、社会的課題に対応した学習機会の創出や、「教育コミュニティ」を支える市民ボランティアの養成・研修、学習相談などの分野を中心にその役割を担い、個別・多様なニーズについては、非営利事業の分野ではNPOが、営利事業として成り立ちうるような分野では企業や民間教育機関、社会人大学・大学院などが、主にその役割を担いながら、相互に協働し、生涯学習を推進していくことが必要です。

1)NPOなどの市民セクターの役割

  • NPOなどの市民セクターは、その専門性や柔軟性・先駆性といった特性を活かした個別・多様な学習機会の提供に取り組むほか、民間組織としての自由な立場を活かした相談・コーディネート機能の発揮、身近な地域社会における、一般教養、趣味、健康あるいは環境保全、消費生活、人権等についての学習機会の提供などを中心に、その役割を担うことが求められています。

2)企業等の役割

  • 民間教育機関は、受講料の負担を求め、一定の学習ニーズがあり営利事業として成立する一般教養、趣味、健康、資格取得、起業・経営等についての学習機会を提供します。
  • また、一般の企業においては、市民グループやNPOの「まなび」を、企業の社会的責任(CSR)(*21) の観点から、それぞれの企業の特性を活かした資金や物的側面から援助したり、人材の相互交流(企業からの専門家の派遣など)や、子ども・青少年の職場体験(インターンシップ(*22) )の受け入れなどの協働事業を実施することが期待されます。

3)高等教育機関(大学、専門学校など)の役割

  • 高等教育機関については、都心部でのサテライトキャンパスの開設や昼夜開講制(*23) の実施など、働きながら学ぶ社会人に対して高度な学習機会を提供するほか、多くの大学に設置されるようになった「生涯学習センター」による先進的・専門的な知識・技術など研究成果を活かした市民への学習機会の提供も重要な役割です。
  • 近年、「地域(社会)貢献室」を設置する大学も増えているように、地域社会に開かれた大学として、教官を講師として派遣したり、インターンシップ制度の活用により、NPOや行政、企業などとの連携事業を実施することも重要な役割になると考えられます。

4)大阪市が果たすべき役割

  • 生涯学習の推進にあたって、NPOや高等教育機関、企業などの特性を見極めたうえで、相互のネットワークを構築し、よりよい生涯学習社会づくりをめざした、ひとづくり、しくみづくり、まちづくりを図ります。
     具体的には、「生涯学習大阪計画の目標設定と進行管理」「現代的・社会的課題に関する学習機会の創出」「『教育コミュニティ』を支える市民ボランティアなどの養成・研修」「高度な調査相談・情報サービス」「図書館における市民の必要課題に関する資料・情報の選定、収集、提供」「博物館における市民にとって必要な資料・情報の選定、収集、提供と後世への継承」などをすすめます。

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