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木造釈迦涅槃像(和光寺) 1躯

2019年1月9日

ページ番号:8840

木造釈迦涅槃像

もくぞうしゃかねはんぞう

分野/部門

有形文化財/美術工芸品〔彫刻〕

所有者

宗教法人 和光寺(わこうじ)

所在地

大阪市西区北堀江3

紹介

 法量 : 像高 167.7cm
木造釈迦涅槃像 写真

 和光寺は善光寺如来出現の地と伝えられる一方で、難波の地が仏教伝来の地とされるためか、釈迦信仰の寺としても著名である。そのため4月8日の灌仏会は多くの人でにぎわう。釈迦誕生図、涅槃図といった釈迦関係の画像も伝来しているが、この釈迦涅槃像は、釈迦信仰の中心となる像である。もともと和光寺には 2躯の釈迦涅槃像があった。そのうち1躯がこの像だが、もう1躯は銅造の涅槃像で、戦前の本堂にはこちらがまつられていた。しかし、銅造の方は第2次世界大戦で本堂が焼失した際に失われた。現在伝わる木造の涅槃像は、戦前は土蔵に収められており、幸いにも火災を免れたものである。 
 和光寺像は等身大の木彫像で、本堂の後陣に安置される。右体側を下にして横臥し、右手は屈臂して手首をさらに内側に曲げ、五指を伸ばす。左手は体側に沿って伸ばし、五指も伸ばし、左足をやや後方にずらして右足の上に載せる。螺髪は彫出し、肉髻相を表し、三道相を刻む。大衣を偏袒右肩に着け、その一端を右肩に懸ける。もう一端を左肩に二重に懸け、左腋前に衣のたわみを表す。大衣は左体側では脛までを覆い、右体側では右足下まで敷かれる。裙を着け、体躯前面には大衣が垂下して広がる。
 ヒノキ材による寄木造りで、彫眼、内刳りを施し、表面は現状で古色仕上げとする。頭体を別材で造り差し首とし、頭部は面相部にさらに別材を矧ぐ。体躯は横木を3段に積み上げ、右肩と右肘で別材を矧ぎ、指先は後補になる。
 やや扁平な印象を与える矩形に近い面相、背面をほとんど省略した大ぶりな衣文表現から、室町後期から江戸時代初期に製作されたものと考えられる。 
 釈迦入滅の姿を描く涅槃像は、画像の作例は数多いが、彫像は少なく、貴重である。

用語解説

灌仏会(かんぶつえ) 新暦の4月8日に釈迦仏の誕生を祝う仏教行事

螺髪(らほつ) 巻き毛状になった如来の髪。彫り出したものと、別に作って貼り付けたものがある

肉髻相(にっけいそう) 仏の身体的特徴を現す三十二相の一つ。肉髻は如来の頭頂部に一段高く隆起している部分で、悟りを開いた証とされる

大衣(たいえ) 僧が着る袈裟の一つ。僧の正装衣で、9条から25条の布片を縫い合わせた1枚の布からなる

偏袒右肩(へんたんうけん) 右肩をあらわにする衲衣の着方。ふつうは衣の端をわずかに懸ける

裙(くん) 僧侶がつける、黒色でひだの多い下半身用の衣服

彫眼(ちょうがん) 木彫像において、眼を彫り出してあらわしたものを彫眼と呼び、これに対し、眼の内部をくり抜き眼球状の水晶・珠玉・ガラスなどを嵌め込んだものを玉眼という

内刳り(うちぐり) 木の干割れを防ぐため、また重量の軽減化のため、像底や背面から内部を刳ること。一木造りの仏像などでは像底や背面から刳ることが多いが、寄木造りの技法が完成した以後は像内全面に施されることが多い

参考文献

大阪市文化財総合調査報告書45『大阪市内所在の仏像・仏画 和光寺の仏像・仏画について』(大阪市教育委員会 2003)

 

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