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【第67号】「おうちで伝える『性』のおはなし その1 ~まずは知ろう。リアルな現状と家庭の役割。」 NPO法人ピルコン理事長 染矢 明日香

2017年6月29日

ページ番号:419810

おうちでの性教育が必要な理由


「おうちで伝える『性』のおはなし」というと、あなたはどんなイメージをお持ちでしょうか?
「いのちの誕生や性行為について子どもに聞かれたら、答えに困ってしまいそう…。」
「自分も親から聞いたわけでもないし、子どもは自然に学んでいくもの」
「最近性被害についてのニュースを聞くたびに、心配になる」
色々な考えがあると思いますが、社会に目を向けてみるとどうでしょうか。
今やインターネットを通じて性の情報はあふれ、子どもたちも簡単にアクセスすることができ、子どもたちはさまざまな性の問題を抱えています。性教育は人生が左右されるとても大事なことです。保護者や身近な大人が、性の知識や子どもへの対応方法を知っておくことは、健やかな子どもの成長をサポートする上で不可欠です。今回のコラムでは、子どもを取り巻く性についての現状や知識、子どもへの対応などについてお伝えしたいと思います。

子どもを取り巻く性の現状…ネット情報の教科書化と性行動の分極化

子どもを取り巻く性の現状

子どもを取り巻く性の現状は、今どのようになっているのでしょうか。日本性教育協会(※1)編「『若者の性』白書-第7回青少年の性行動全国調査報告-」(2013年)によると、子ども・若者が参考にする性情報源について、友人・先輩からというのが最も多いですが、インターネットが急増しています。高校生男子の約半数、大学生男子の7割近くがインターネットを性行動の情報源としていると回答しています。

 そして、若者の性行動は「低年齢化」しています。先述の調査報告によると性交経験率は

・中学生 男子:3.8% 女子:4.8%

・高校生 男子:15.0% 女子:23.6%

・大学生 男子:54.4% 女子:46.8%

とあり、性に関するリスクについて、日本の中絶件数は、厚生労働省の発表(2015年)によると年間約18万件になります。20代の中絶が最も多いですが、10代の中絶も年間約2万件になります。性感染症も性行動が活発な若い世代を中心に広がり続けており、最近は梅毒という性感染症の患者数が急増していることも問題になっています。

性行動の分極化

また、調査報告によると、現在は性行動の低年齢化から、「分極化」が進んでいると言われています。これは、コミュニケーションが活発な層での性行動はより活発になる一方で、コミュニケーションが不活発な層では消極的になっているということです。若者が性経験をもつことが一般化した一方で、性経験や恋愛経験のない若者も増え、別の調査では、性について関心がない、もしくは嫌悪感を持つ若者が男女共に増えていることもわかっています。性教育でも避妊や性感染症予防だけではなく、そもそもコミュニケーションが苦手な層に対して、どのようにアプローチをしていくかについても課題になっています。

学校の授業における性教育


学校の授業における性教育は、身体や心の発達、家庭環境がそれぞれに異なる子どもたちすべてを対象にすることから、受精や妊娠は取り扱うけれども、性交などの具体的な話をすることが難しい状況にあります。(中学校学習指導要領※2参照)性についての話は、とても大切で、デリケートなことであり、ある子どもは性についての話を聞く準備が整っているけれど、ある子どもはまだその時期ではないということもあり得ますし、保護者の考え方もさまざまだからです。
このような学校の状況を考えると、子どもたちが性に興味を持ったとき、成長に合わせて、きちんと性について話すことができる保護者や身近な大人の役割はとても大切だと思います。

インターネットで検索すると…


誰にも教えてもらえない状況で、性について興味をもった子どもが、インターネットで性や性行為について検索すると、どのような情報が出てくるか、ご存じでしょうか。 今ではアダルト動画や過激な性表現のあるマンガも、無料で見ることができます。そして、その内容はアクセス数を増やすためにどんどん過激化し、際限なく増え続けています。JK(女子高校生)、JC(女子中学生)に並び、JS(女子小学生)のジャンルや、「レイプ・強姦」といった性暴力的な表現も人気のジャンルやキーワードとして挙げられます。もしこれらが性行為の教科書になっているとしたら…とてもこわいことですよね。性的な嫌悪感が広まっていることの背景には、こうした性情報の偏りがあるのかもしれません。

性についての正しい知識を


「インターネットなどに掲載されている情報は、女性をモノのように扱ったり、暴力的・過激な表現が含まれたりしていて、現実とは全く違うことや、実際にすると相手や自分を傷つけてしまうこともあるんだよ。実際の性行為では、どちらかがしたくないことは無理にしなくていいし、相手や自分を守る知識を身につけ、話し合うことで、お互いを大切にし合い、愛情を深めることや幸せにつながっていくことなんだと思うよ」などと、子どもたちに伝えてあげる存在が近くにいたらいいなと感じます。性行為についての正しい情報を知らなければ、もし子どもが性被害にあった際に、大人に助けを求めることができず、問題が深刻化することや、子どもがその重大性を認識することなく性加害や性的ないじめをしてしまうことも考えられます。こうした子どもの性の関心や疑問への受け皿として、また、性情報の管理、性被害・性加害を防ぐという視点からも、保護者や身近な大人の役割がとても重要になっていると思います。

子どもが性のトラブルにあわないために必要なことって?

では、どうすれば子どもの性のトラブルの予防につながるのでしょうか。子どもが望む予防教育のポイントとして、厚生労働省の調査(※3)によると以下の意見が多かったそうです。

・危ないことは危ないと言ってほしい

・堂々と話してほしい

・ふざけ半分の言い方はよくない

・心配時の具体的な連絡先を教えてほしい

・身近な話を聞きたい

性のリスクについて具体的に身近な例を交えて話しながら、堂々と大事なこととして話をすることが大切ということです。

保護者や身近な大人の大切な役割


子どもへ科学的な性の知識を伝えることは、保護者や身近な大人だけではなく、学校での性教育や性教育の書籍、医療の専門家ができることです。しかし、子どもにとって安心できる居場所をつくることや、困った時に相談できる存在になることは、保護者や身近な大人だからこそできる大切な役割です。
逆に言えば、安心できる居場所がなく、相談できる身近な大人がいないと、子どもが心のよりどころを外に求めて、リスクの高い恋愛や性行為につながることもあります。また、夫婦関係が対等ではない、暴力がある関係性が「普通」であると思い育った子どもが、対等な人間関係を築いていくことはより難しいこともあるでしょう。性について困った時に身近な大人が子どものSOSに気付かなければ、問題が深刻化することもあります。
性について話す・話さない以前に、子どもの性や家族形成の意識に大きな影響を与えているのが保護者や身近な大人なのです。子どもたちが自分らしさを大切にし、健康で不安のない、お互いを尊重しあう対等で幸せなパートナーシップ・人間関係を築いていけるような性の学びをすることができたら、とても素敵なことだと思います。次回からは、このように大切な性のおはなしを、どんなふうに子どもに伝えるかを考えていきましょう。

※1 日本性教育協会

 一般財団法人日本児童教育振興財団の一部門

※2 中学校学習指導要領(平成29年3月公示)

第7節 保健体育 保健分野より一部抜粋

・思春期には、内分泌の働きによって生殖に関わる機能が成熟すること。

また、成熟に伴う変化に対応した適切な行動が必要となること。

 ・妊娠や出産が可能となるような成熟が始まるという観点から、受精・妊娠を取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わないものとする。

※3 2003年度 地方高校生性行動調査 厚生労働省 HIV感染症の動向と予防モデルの開発・普及に関する社会疫学研究班より

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