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「大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例」の解説及び審査の実例(6条)

2024年4月9日

ページ番号:456526

解説(条例第6条第1項及び第2項)

本項の趣旨・解説

趣旨

  市民等から表現内容の拡散防止の措置及び認識等の公表の申出があったとき又は職権によりこれらの措置及び公表をしようとする際に、あらかじめ、問題となっている表現活動が、条例において措置等の対象としているものであるかどうか及びヘイトスピーチに該当するものであるかどうかについて、大阪市ヘイトスピーチ審査会(以下「審査会」といいます。)の意見を聴かなければならないことを定めたものです。

解説

   条例第2条第1項に規定するヘイトスピーチに該当するかどうかについては、個々の事例ごとに慎重な判断が求められます。また、条例第5条第1項第1号又は第2号に掲げる表現活動であるかどうかについて客観的かつ公正な判断が求められます。

  このため、条例第6条第1項では、市民等から表現内容の拡散防止の措置及び認識等の公表の申出があったとき又は市長の職権によりこれらの措置及び公表をしようとする際には、問題となっている表現活動が、条例において措置等の対象としているものであるかどうか(条例第5条第1項各号への該当性)及びヘイトスピーチに該当するものであるかどうか(条例第2条第1項への該当性)について、あらかじめ審査会の意見を聴かなければならない(諮問しなければならない)こととしているものです。

  なお、条例第6条第1項第2号において、第5条第1項第2号イの「アに掲げる表現活動以外の表現活動で本市の区域内で行われたヘイトスピーチの内容を本市の区域内に拡散するもの」がヘイトスピーチであるかどうかを判断する際には、もととなる「本市の区域内で行われた」表現活動が条例第2条第1項で規定するヘイトスピーチに該当しているどうかを踏まえて判断することが必要となります。

  もっとも、市民等から表現内容の拡散防止の措置及び認識等の公表の申出があった場合において、申出に係る表現活動が条例第5条第1項各号のいずれにも該当しないことが明らかであると認められるときにまで審査会の意見を聴くようにすることは形式的に過ぎ、非効率となることから、第1項ただし書において、審査会の意見を聴くことなく拡散防止措置及び認識等の公表の不実施についての決定をすることができることとしています。なお、第1項ただし書において、審査会の意見を聴くことなく決定することができるのは、条例における措置等の対象となるかどうか(条例第5条第1項各号への該当性)についてであり、申出に係る表現活動のヘイトスピーチ該当性については、当該表現活動が条例第5条第1項各号のいずれにも該当しないことが明らかであると認められるため審査会の意見を聴くことなく申出に対応しないことを決定する場合以外は、必ず審査会の意見を聴かなければなりません。

  第1項ただし書に基づく市長の判断については客観的かつ公正なものでなければなりません。このため、第2項では、第1項ただし書に基づき審査会の意見を聴くことなく拡散防止措置及び認識等の公表の不実施についての決定した場合には、速やかにその旨を審査会に報告することを義務付け、審査会は必要に応じてその報告内容について意見を述べることができることとして、第1項ただし書の規定の恣意的な運用を排除することとしています。

解説及び審査の実例(条例第6条第3項から第5項まで)

本項の趣旨・解説

趣旨

  表現活動が条例における表現内容の拡散防止の措置及び認識等の公表の対象であり、かつ、ヘイトスピーチに該当するという審査会の意見が述べられた場合に、これらの措置及び公表をしようとする際に、あらかじめ、措置及び公表の内容について審査会の意見を聴かなければならないことを定めたものです。

解説

  近年の情報通信手段の発展に伴い、表現活動は多様化しており、直接受け手に訴える手法だけでなく、インターネットを通じて他の表現内容を拡散するなどの手法がとられることも考えられ、表現内容の拡散防止の措置についてもこうした表現活動の態様に応じて適切かつ効果的なものとする必要があります。

  また、認識等の公表については、ヘイトスピーチの抑止につながる一方で表現の自由に対しての萎縮効果を及ぼす可能性も見込まれるとともに、安易にその概要を公表することによりその内容を知った人に誤った認識を与える可能性があるなど差別の拡散につながるおそれも懸念されることから、慎重な対応が必要となります。

  こうしたことから、拡散防止の措置や認識等の公表に当たっては、あらかじめ、審査会の意見を聴かなければならない(審査会に諮問しなければならない)こととしているものです。

  第3項ただし書において、拡散防止の措置については、市民等の人権を擁護するために緊急の措置が必要な場合など条例の目的を達成するために必要な場合には、審査会の意見を聴くことなく措置をとることができることとしています。なお、拡散防止の措置についてのみ審査会の意見を聴くことなく対処できることとしており、認識等の公表については必ず事前に審査会の意見を聴かなければなりません。

  第3項ただし書に基づく判断については客観的かつ公正なものでなければなりません。このため、第4項では、第3項ただし書に基づき審査会の意見を聴くことなく拡散防止の措置をとった場合には、その旨を速やかに審議会に報告することを義務付け、審査会は必要に応じてその報告内容について意見を述べることができることとして、第3項ただし書の規定の恣意的な運用を排除することとしています。

  上記のとおり、拡散防止の措置については、表現活動の態様に応じた適切かつ効果的なものとする必要がありますが、第3項ただし書に基づき審査会の意見を聴くことなく拡散防止の措置をとった場合であっても、第4項の規定により審査会においてより適切又は効果的な措置をとるべきといった意見が述べられることが想定されます。

  第5項では、こうした意見が述べられた場合には、条例第5条第1項の規定による公表において、当該意見(意見の対象とした拡散防止措置を明記する)の内容を公表することとしています。これによって、第4項の意見が述べられた場合の措置の公表としては、市長が第3項の規定に基づきとった措置の内容、これに対して審査会が述べた意見、同意見を受けて市長がとった措置がある場合はその新たな措置がいずれも明らかにされることとなります。

 

「ヘイトスピーチ該当性」並びに「拡散防止の措置及び認識等の公表」の2段階に分けて意見を聴く必要性について

 ヘイトスピーチの該当性については、表現の自由等の憲法上の問題をテーマとし、極めて慎重な判断を要することから、審査会に意見を聴く(諮問する)ものであり、その答申も、担当部局において安易に予測可能なものではないと考えています。ヘイトスピーチかどうかの判断を確定できていない段階で、措置・公表の内容を併せて審査会に諮問することには困難が伴い、その実効性についても問題があると考えられます。そこで、まず、ヘイトスピーチ該当性について審査会の意見を聴き(第一諮問)、その答申において表現活動のヘイトスピーチ該当性が認められた場合においてのみ、当該答申の内容に即し、執行機関としてとるべき措置・公表の内容について改めて意見を聴く(第二諮問)こととしています(参照:申出から結果通知までの基本的な流れ別ウィンドウで開く)。

審査の実例

  条例第6条第3項ただし書の規定に基づき条例第5条第1項の措置を実施した事例と当該措置の内容

※個別具体の案件に対する審査の実例であり、類似した案件であっても、その表現活動全体の特徴によっては、過去の実例とは異なる判断がなされる場合も考えられますので、予めお含みおきください。

実例(具体例)

措置を実施した事例

措置の内容

大阪市内で実施された特定の人種・民族に関するデモ・街宣活動をインターネットの動画投稿サイトに掲載していた表現活動が、ヘイトスピーチと認定した時点においても不特定多数の者が視聴できる状態にあった事例

当該動画投稿サイトの運営者に対して、当該動画の削除を要請した

大阪市民等に関する記事をまとめサイトの特定のウェブページに掲載していた表現活動が、ヘイトスピーチと認定した時点においても不特定多数の者が視聴できる状態にあった事例

当該まとめサイトを作成・管理・運営する機能を提供しているプロバイダに対して、当該まとめ記事を削除するよう要請した

大阪市内で実施された特定の人種・民族に関する街宣活動に係る音声ファイルをインターネット上のウェブページに説明文とともに掲載していた表現活動が、ヘイトスピーチと認定した時点においても不特定多数の者が視聴できる状態にあった事例

当該ウェブページを含むウェブサイトに係るサーバ契約者にサーバサービスを提供しているプロバイダに対し、当該音声ファイルを削除するよう要請した

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市民局 ダイバーシティ推進室 人権企画課
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