大阪市水道局では、大阪大学と共同で「水道資源を活用した都市環境貢献策の推進に関する調査研究」に取り組んでおり、これまで、公共空間や住居空間におけるミスト散布に係る調査研究を重ねてきました。ここでは、これまで実施した実証実験についてご紹介します。

(1)実施概要
平成18年8月21日から9月22日にかけて、大阪市水道局城東配水場内の地上空間に商店街等の街路を想定した実験フィールドを設置し、このフィールドにおいてドライ型ミストを9時から17時まで連続散布し、気温・湿度・地表面温度・風向風速等を測定し、空間冷却効果について調査しました。
(2)実験結果
1)時系列分析
ドライ型ミスト散布により、気温が平均で3℃低下しました。気温低減効果は、散布時間全体を通して見られました。
(3)まとめ
ミストの平均粒径が非常に微小であるため、衣服が濡れるといった心配がないなど、公共空間における水道水を用いたドライ型ミスト散布の実用性が確認できました。また、今回の実験フィールドと類似したような建物で挟まれた街路空間等においては、気温低減化方策としてミスト散布が有効であることが確認できました。

(1)実施概要
平成19年8月9日から10月31日にかけて、撤去予定の市営住宅1棟を実験フィールドとして利用し、実際の居住空間におけるミスト散布によるヒートアイランド現象緩和効果や省エネルギー効果について検証を行いました。
1) ベランダ空間におけるドライ型ミスト散布
403号室のベランダドライ型ミストを散布し冷却した外気を自然風で室内に取り入れ、室内気温等を測定しました。
2) 屋上面での直圧型ミスト散布
503号室の屋上面に直圧型ミストを散布することにより屋上面を冷却し、室内気温等を測定しました。

3) エアコン室外機への直圧型ミスト散布(右図)
403号室に設置したエアコン(冷房能力2.5kW、消費電力500W、28℃設定)の室外機給気口直近に設置したノズル1基により、直圧型ミストを散布することにより、室外機の給気・排気温度、消費電力等を測定しました。

(2)実験結果
1) ベランダ空間におけるドライ型ミスト散布
[室内環境改善効果]
無対策室(402号室)と比較して室温が平均2.0℃、最大2.7℃低下、湿度は平均12%、最大17%上昇し、通風された居住空間では、自然換気にて一定の気温低減効果が発現することが確認できました。
[エアコン使用時間の削減効果]
実験結果を基に、50%以上の人間が許容不可となる室温をしきい値としてエアコンを自動制御させる場合の空調使用時間を試算した結果、ドライ型ミスト散布によりエアコン使用時間を8時間程度削減できるとの試算結果を得ました。

2) 屋上面での直圧型ミスト散布
[室内環境改善効果]
無対策室(502号室)と比較して室温が平均1.4℃、最大1.9℃低下しました。
[エアコン使用時間の削減効果]
空調使用エネルギーは1日あたり806wh(約15%)削減され水道使用によるエネルギー増加量(131wh)を上回る結果となりました。
3) エアコン室外機への直圧型ミスト散布
[エアコン消費エネルギー削減効果]
無対策室(402号室)と比較してエアコン消費エネルギーが2.2kWh/日、33%削減されました。1日平均の削減率は気象条件等にもよるが28~48%程度と安定した効果が得られました。
[室外機排熱量削減効果]
室外機の給排気温度差と風量から算出する排熱量(室外機における付加熱量)が125MJ、73%削減されました。実験期間を通じた1日平均の削減率は、気象条件等にもよるが、約64~119%となりました。
(3)まとめ
水道水ミスト散布は、既存空調システムと共存しつつ、ヒートアイランド現象緩和はもとより省エネルギーにも寄与する可能性を確認できました。
(1)実施概要
平成20年4月から9月にかけて、文部科学省指定のスーパーサイエンスハイスクールである府立天王寺高等学校を実験フィールドとし、教育施設におけるミスト散布による環境改善効果の検証を行うとともに、ミスト散布を通じた環境教育プログラムの作成を行いました。
なお、「環境教育プログラム」の作成・運用については、実験フィールドとした天王寺高校生徒に対して、調査実験への参画や環境特化型浄水場見学など、環境教育プログラムの試行メニューの作成・運用を行いました。
(2)実験結果
1)ミスト散布による教育施設の環境改善効果
教室内で、ミスト散布と扇風機を併用した場合、1日平均で概ね3.3℃の空間冷却効果が得られ、2℃近く空間冷却効果の向上が確認されました。

2)環境教育プログラム運用結果
環境教育プログラムの効果測定を行うため、環境に関する知識、価値観、主体性の項目別に環境意識アンケート調査を行い、環境プログラムの妥当性を確認しました。
○省CO2対策に関する調査研究
(1)実験概要
平成22年7月から11月にかけて、省CO2対策に直結した水道水ミスト散布技術を開発するため、環境局西淀工場(ごみ焼却工場)をケーススタディ対象として、大阪市立大学と共同で空冷式熱交換設備周辺におけるミスト散布の実証実験を実施し、ミスト散布による省CO2対策効果の検証を行いました。
(2)実験結果
1)省CO2対策効果
発電効率を示す蒸気流量当たりの発
電量の時系列データに着目し分析を行
った結果、実験期間を通して平均1.5%
の発電効率の向上を確認しました。
(図では1.8%発電効率が向上)
(1)実験概要
平成22年8月から10月(8~9月:もと扇町高校、
8~10月:西区役所)にかけて、都市レベルの熱環境
の早期改善を目的とした水道水ミスト散布の大規
模導入技術を開発するため、ビル屋上などの高所
から従来のドライ型ミストと比較して大きい粒径
でミスト散布を行い、より広範囲の冷却を行う大
規模ミスト散布に関する実証実験を共同研究等実
施要綱に基づき公募にて選定した共同研究者であ
る㈱いけうちと共同で実施し、ミスト散布による
地上部における冷却効果、また副次的効果として
建物壁面の冷却効果などの検証を行いました。
(2) 実験結果
1)地上部における冷却効果
地上部において、ミスト散布前後の気
温変化に着目して分析した結果、最大
1.5℃程度の温度低下を確認しました。

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