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よどじん(平成27年1月)

2017年2月1日

ページ番号:292285

よどじんコーナーでは、静かに流れる人々の暮らし、何気ない風景、そして人の心に光をあて、みなさまの元にお届けします。
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「その一瞬にすべてをかける」

今月のよどじん、神田和幸さん

 ピンホールカメラと呼ばれる特殊なカメラで撮影された、ジェット機の轟音が今にも聞こえてきそうな、迫力ある1枚の写真。
 その世界では不向きとされてきた動く被写体を、独自のアイデアで見事に捉えた。
 
今月のよどじんは、
「ピンホール写真家」神田 和幸さん

0.2mmから広がる世界

ピンホール写真について語る神田さん

 加島にある自宅には、これまでに撮影された作品がズラリと並ぶ。ピンホール(針の穴)と呼ばれるわずか0.2mmの穴を通して切り取られた映像。レンズを使わずに針の穴ほどの隙間から光を取り込みフィルムに焼き付ける。
 
 神田さんがピンホールカメラの世界に飛び込んだのは今から10年前のこと。それまでもカメラの世界には興味があり、大型カメラを購入し撮影をしていた。しかし撮影しては暗い部屋で現像する作業の繰り返し。その孤独な世界に情熱は消えかけていた。
 そんな時、知人の紹介でお会いした方と、とある作品との出会いが、その後の人生を大きく変えることになる。

きっかけは奥さま

ピンホールカメラとの出会いについて語る神田さん

 今から10年前のお話。その頃日本中が韓流ブームで沸きかえり、神田さんの奥さまもまた、伝説となったドラマに夢中となり、あるスターに心を射抜かれた。そして、なんと来日のタイミングを見図り東京まで会いに行くことに。しかし一人で行くのは不安で神田さんをお供に指名。そして一言「あなたはこの前紹介してもらった写真家の何とかさんに会ってくれば? 一石二鳥じゃない」
 
 一路、東京へ。

神田さんのピンホールカメラ

 今でも写真の師匠と慕う小室氏のもとを訪れた神田さん。そこで見せていただいたピンホールカメラで撮影された1枚の「桜の花」の作品に釘付けになる。「何これ、こんな写真があるの!?」その独特の世界観に衝撃を受けた。しかし本当の衝撃はそのあとの小室氏の言葉だった。
 
「それは妻が撮った写真ですよ。始めて4か月目くらいかなぁ」
「4か月でこんな写真が撮れるのか…」
 
 ピンホールカメラ本体の製作も手掛ける小室氏。「私にも1台作ってください」。その場で即決し懇願した。

文部科学大臣賞を受賞!

2007年 JPS展 文部科学大臣賞受賞作品(4枚組のうちの1枚)

 特殊なカメラといっても、レンズなしファインダーなしというのは、言わば写真の原点。小さな穴から入り込むわずかな光を、時間をかけて焼き付ける。そのため、シャッタースピード(1枚を撮影する時間)は数秒から数十分に及ぶ場合もある。昔の偉人の写真が杖をついていたり、何かにもたれかかったりしているのは長時間撮影の名残。
 
 神田さんは、そんなピンホール写真の常識を打ち破る動く被写体を捉え、数百キロで飛ぶジェット機まで撮影してしまう。
 
(写真:2007年 JPS展 文部科学大臣賞受賞作品(4枚組のうちの1枚))

2010年 JPS展 銅賞受賞作品(4枚組のうちの1枚)

 コンテストに応募した際は、審査員の一人から「この写真は加工しているのですか?」との問い合わせが入ったが「フィルムを見ていただければ分かる」と自信を持って独自の撮影術を説明した。納得していただくと「結果を楽しみにしておいてください」と最後に一言。
 
 平成19年にJPS展(日本写真家協会展)の最高賞、文部科学大臣賞を受賞する。
 
(写真:2010年 JPS展 銅賞受賞作品(4枚組のうちの1枚))

『心』で撮る

神田さんのオリジナルアイテム

 ピンホールカメラのシャッターは、黒い板で穴を隠し、それを左右に動かすことで針穴から光を取り込む。通常ならば早くても1/8秒程度のシャッタースピードを、オリジナルアイテムで1/15秒に短縮した。
 
 写る絵を想像し、被写体の音を聞き、訪れるその一瞬に全神経を集中させる。「目で撮るんじゃなくて『心』で撮るんです。その瞬間といったらもう命がけの形相ですよ(笑)」

不可能を可能に

オリジナルアイテムを片手にした神田さんと愛用のカメラ

 不可能といわれることに挑戦する。そこに大きな醍醐味を感じている。
 「実は使用するフィルムの生産がストップしてしまったので、今では撮影することすら困難なんです。でもそれもまたチャレンジの種。新しい発想で乗り越えていきたい」
 昭和24年生まれの65歳。「年を感じさせませんね」と問いかけると「年を重ねるたびに気持ちは若返っていくんです」と笑顔。神田さんの次の目標は、ヨーロッパで個展を開催すること。頑張ってください、神田さん。報告を楽しみに待っていますね。

神田 和幸 プロフィール

1949年 広島県生まれ(淀川区在住)の65歳。ピンホール写歴10年。
2004年4月から、ピンホール撮影では不向きといわれている動くもの、飛行機や熱気球の撮影に成功。
ピンホール倶楽部所属。

【経歴】

 2006年 個展(ピンホール写真) 富士フォトサロン/大阪
       日本カメラ月例コンテスト(カラー部門)金賞受賞

 2007年 JPS(日本写真家協会)展「文部科学大臣賞」受賞

 2010年 個展 中国大連芸術展覧館「夢飛行-神田和幸針穴写真展」

 2014年 ATC(アジア・太平洋トレードセンター)「ピンホール写真展」

 2015年 ヨーロッパにて「ピンホール写真展」開催予定

0.2mmから広がる世界 ~ピンホールカメラの仕組み~

ピンホールカメラの写る仕組み

どうやって写るの?
 
 ピンホールカメラの仕組みはとてもシンプル。太陽の光が反射して暗箱の中に入り、フィルムに映し出される。
(日本針穴写真協会マニュアル本より)

ピンホールと呼ばれる0.2mmの小さな穴

0.2mmの小~さな穴
 
 見えますか?0.2mmの穴。太陽にかざすと小さな光の点が見えます。ここから光を取り込みます。

ピンホールカメラにフィルムをセット

フィルムをセットして
 
 光を吸収しやすい高感度のフィルムを取り付けます。メーカーによっては生産中止し、入手困難な状況となっています。

神田さんオリジナルアイテムで撮影する様子

オリジナル撮影術
 
 黒い厚紙に四角形の穴を開けた神田さんオリジナルシャッターシート。1/15秒でジェット機を捉えます。

PDF版よどマガ!(よどじんコーナー)

広報誌よどマガ!のよどじんコーナー(PDF形式)はこちらからご覧いただけます。

 平成27年1月号 2面(PDF, 341.75KB)

 平成27年1月号 3面(PDF, 360.62KB)

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