岡坊久美子(おかぼうくみこ)

平成3年度 音楽部門(オペラ)

【略歴】
相愛女子大学研究科修了。
1987年文化庁派遣芸術家在外研修員として西独に留学。
オペラ・デビューは1982年、霧島国際音楽祭『コシ・ファン・トゥッテ』のドラベラ。
以後、『真夏の夜の夢』のハーミア、『メリー・ウィドー』のハンナ・グラヴァリ、『フィガロの結婚』の伯爵夫人、『魔弾の射手』のアガーテ等の適役を得て、着々とプリマ・ドンナとしての実績を固めてきた。 特に関西二期会公演『タンホイザー』では、エリザベートという難役に挑み、優美な舞台姿、説得力のある充実した歌唱で大好評を博した。 また、二期会『ばらの騎士』(演奏会形式)では元帥夫人を佐藤功太郎の指揮で歌い、高い歌唱力を知らしめた。
1990年にはフィンランドのサヴォンリンナ国際音楽祭で、三木稔のオペラ『春琴抄』 のてる女役を好演するほか、同氏の『鶴』を初演し大好評を得る。
1990年には、東京二期会オペラ『フィガロの結婚』の伯爵夫人を演唱し、その役柄と容姿とが見事に一致した演唱は高く評価された。
1993年関西二期会公演『こうもり』のロザリンデ役、1997年には『ワルキューレ』のジークリンデ、1998年には『ナクソス島のアリアドネ』のアリアドネ、2000年には『パルシファル』のクンドリー、2003年には『ばらの騎士』の元帥夫人に出演、 声の艶やかさと演技の巧みさで各方面から絶賛、新聞などの批評でも「国際級の演唱」、「すばらしく幅広い表現力で、みごとな歌唱を持続し、しかも弱音の美しさを加えて新しい境地を開いた」と評された。
各種演奏会はベートーヴェン「第九」、ヴィヴァルディ「グローリア・ミサ」、モーツァルト「レクイエム」、フォーレ「レクイエム」、オルフ「カルミナ・ブラーナ」、ヘンデル「メサイア」、ウェーベルン「カンタータ第2番」、ハイドンのオラトリオ 「四季」等のソリストをつとめるほか、ニューイヤーコンサート、オペラ・ガラ・コンサート等でも各地で好評を得ている。1996年11月には初のリサイタルを開催。1996年12月には東京交響楽団の創立50周年記念「ワーグナー・ガラ・コンサート」にエヴァ-マリア・ブンドシュー、ライナー・ゴールドベルク、ヴォルフガング・ブレンデルらと共に出演、好評を得た。
1993年咲くやこの花賞受賞。
1998年2月には札幌交響楽団のマーラーの交響曲第8番「1000人の交響曲」に第1ソプラノとして出演、絶賛を博した。
木川田誠、柴田睦陸、岩田隆子、中田淳子、U.ボアマンの各氏に師事。
現在の居住地ベルリンにおいて、毎年日本歌曲の演奏会を開催し高評を得る。また近年は後進の指導にも力を注ぎ、日独リーダークライスの夏期講習会では、毎年講師として招聘されている。現在、その活動が最も注目されているソプラノ。
関西二期会会員、 日独リーダークライス理事