平成19年2月7日 平成19年度予算案について |
【平成19年度予算案について】 平成19年度の予算編成においては、「改革をゆるめることなく進めるとともに、市政を創造都市へのステージにも拡めていく第一歩の年」として位置付けることをめざしました。 本市の財政については、低水準で推移していた市税収入が最近の景気動向や税制改正の影響により回復の兆しがみえてきたものの、地方交付税などの大幅な減収が見込まれ、また、引き続き福祉費が増嵩するなど、依然として厳しい状況にあります。その一方で、地方分権の推進に伴い、個性と創造性を発揮してさらなる市民福祉の向上と次世代に誇れる都市の確立をめざすことが求められています。 このような状況を踏まえ、19年度予算編成においては、前年度に引き続き市政改革を断行し、投資的経費の圧縮をはかるとともに、早期退職者制度の導入等に伴い退職金が増加する中、職員数の削減や給与構造改革等の取り組みにより経常的経費についても極力縮減に努めました。 また、単に予算を切り詰めるのではなく、公平性と公正性の確保をはかりつつ、真に必要なものを厳しく精査し、創造都市戦略の推進や、こども・青少年の健全育成の取り組みと安心して暮らせる地域づくりをめざした施策への選択と集中をはかることとしました。 このようにして編成した平成19年度の一般会計予算は、前年度と比べ1.6%減の1兆6,261億7,800万円、6年連続マイナスの緊縮予算としました。 その結果、経常的経費を計上している第1部に所要する税等の割合が98.0%と昨年度からは約1ポイント改善しました。また、マニフェストの5年間の歳出削減目標2,250億円に対し、2年間で1,215億円の削減と、5割を上回る達成率となりました。 さらに、人口減少時代を迎え、次の世代の負担を極力抑えるため、起債発行の抑制にも努め、2年間を合計すると削減目標714億円に対し417億円と、達成率は約6割となっています。このようなことから、起債残高は2年連続で減少することとなりました。 また、阿倍野再開発事業や土地開発公社の経営健全化といった「負の遺産」の処理についても着実に取り組んでいくこととしました。 こうした改革を着実に進めることで、財政の健全化と市民からの信頼回復をはかりながら、一方で、新しい発想に立った戦略にもとづき、活力あふれる都市の創造へとステージを拡げていくこととしています。 予算編成にあたっては、まず、歳出の内容をより厳しく精査することとし、地対財特法期限後の事業等については、昨年11月に取りまとめた市の方針に沿って見直しを行うほか、補助金等についても、ガイドラインに基づいて厳しく見つめなおしました。その結果、全体の約3割にあたる126項目、金額では委託料への切替なども含み約10億円の削減となっており、ガイドライン策定による見直し効果が一定得られたものと考えています。 19年度は、多様化する市民ニーズに的確に応えるため「こども青少年局」を設けるなど組織再編を行うこととしており、予算についても、4月のスタート時から業務が停滞することなく円滑に進むよう新局に対応した科目で計上することとしました。 区政改革については、市民に最も身近な区役所の役割がますます大きくなることから、局予算の区への移管を行い、各区の創意工夫により地域の実情に応じた事業を自主的に実施できるようにしました。 また、一層適正・公平で効率的な税務事務を推進するため、指定都市でははじめて、本年秋に24区役所で行っている事務を7つの市税事務所に統合し、市税専門の組織として責任ある体制を構築することとしています。この統合により300人程度の職員の削減をはかるとともに、税務課退去後のスペースを有効に活用し、区役所の機能強化や市民サービスの向上につなげることもできると考えています。 職員の流動化については、昨年は地域安全対策に224人の職員を配置しましたが、19年度はさらに100人程度の現業職員をこれまで事務職員が担ってきた職域や地域防災支援業務等へ配置するなど、流動化を一層促進することとしました。 「平成19年度における新規事業等の主なもの」の中から、特に意をもちいたものとしては、「市政改革の着実な推進」では、市税事務所の開設や区政改革の一環として、局予算の区への移管を行い、地域の実情に応じた個性と特色のある事業を区が自主的に実施できるようにしたこととなります。 「創造都市の実現と都市再生の推進」では、「創造都市の実現」としては、「ユネスコのクリエイティブ・シティ・ネットワーク」への参画や、大学・大学院コンソーシアムの活動拠点設置による大阪圏の人材育成機能の充実を図ることとなります。 「都市再生・プロモーションの推進」としては、企業・大学誘致を促進するための重点産業の立地促進助成として、本社を新増設する先端産業分野や海外大学に対する制度の特例を創設することとしました。 「次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境の整備」としては、引き続き、子育て支援機能の充実を図るため、保育所待機児童の解消をめざすほか、「入院にかかる乳幼児医療費公費負担の対象者を義務教育就学前から小学校3学年修了までに拡充する」とともに、「出産育児一時金について第2子から40万円に増額する」こととしました。 さらに、深刻化する「いじめ」・「不登校」問題について、こども同士で支えあう力を伸ばすことを支援するピアサポート活動など新たな施策を展開していくこととしました。 「第11回IAAF世界陸上競技選手権大阪大会の開催」については、212の国と地域の参加を得、世界中が注目する大会であることから、大阪の魅力を内外に発信する絶好の機会であると考えており、市民参加型のプロジェクトを実施するほか、子どもたちに夢と感動を与える大会となるよう、できるだけ多くの子どもたちに大会観戦の機会を提供していきたいと考えています。 「安心して暮らせる地域づくり」では、障害者のための施策である移動支援事業について、小学校5年生から高校生については基準時間を月12時間から24時間に拡充することとしたほか、生活保護の適正実施の取り組みを強化することとしています。 なお、国民健康保険料については、医療費の増嵩等に伴い、給付費の伸びに合わせて4.5%の改定をすることとしているが、この間の市民負担の増加などを勘案し、賦課方式の変更等による経過措置対象世帯のうち、65歳以上の高齢者世帯等について、年額2万円以内の負担増に留まるよう緩和措置を実施することとしました。また、昨年見直しを見送った重度障害者給付金については、国における障害者自立支援制度の拡充もあり、一定役割を終えたものと考えており、廃止することとしました。一方、難病見舞金については、あり方について引き続き検討することとし、当面存続していくこととしています。 平成19年度予算は、「市政改革マニフェスト」の実行2年目の予算であり、経常経費、投資的経費、特別会計繰出金を合わせた経費の削減は、改革初年度の832億円の削減に19年度の383億円の削減を加えると、削減目標の2,250億円に対して1,215億円の削減となり、達成率5割を上回るものであります。 マニフェストに掲げた数値目標達成に向け、今後も改革を着実に進めるとともに、今申し上げた施策等を効果的に実行することで、大阪が持つ都市の潜在力を引き出し、内外から多くの創造的な人や企業が集まり、新しい文化や産業を生み出す活力と魅力に満ちた「創造都市大阪」を目指していきたいと考えています。 質疑応答 ■記者市税が堅調に伸びてきているが、その中でも、人員削減等のマニフェストは当初計画どおり実行していくのか。 ■市長 確かに市税は伸びてきていますが、大阪市全体の財政の中期的な見通しは決して楽観できないと私は考えています。まずは、市政改革マニフェストをできるだけ期間も短縮してしっかりとやり切ることが今一番大事だと思っています。 ■記者 この予算案の出来に関する市長の感想は。 ■市長 市政改革マニフェストを堅実に実行しながら、新しい都市像の創造に向かっての第一歩を踏み込んだ納得のいくいい予算案だと思います。 ■記者 採点すると100点満点で何点か。 ■市長 100点満点です。 ■記者 昨年と比べて、マニフェストの進捗がスピードダウンしているのではないか。 ■市長 昨年は市政改革元年ということで、かなり踏み込んでマニフェストに取り組みました。5年間の計画では後の年度ほど、工夫を積んで取り組まなければ改革が進まないことになりますが、5年間という期間も出来るだけ短縮したうえでマニフェストを完全にやり切ろうとしているのであり、スピードダウンしたとは決して思っていません。 ■記者 地方交付税の削減と福祉費の増嵩のペースがマニフェスト作成時の想定より早くなっているが、改革の成果に影響は出ないのか。 ■市長 国も財政難の中にあり、地方交付税が厳しい状況にあるのは事実です。地方分権の中で、地方が財政的にも自立し、都市としての特色を出していくために、地方自治体として国に言うべきことはきちんと言っていこうと考えています。地方がきちんと自立しなければ、日本の国全体の形がおかしくなるわけで、国家全体の姿も考える気概を持ちながら改革をやり切りたいと思います。 ■記者 創造都市はどういう都市を目指すのか。 ■市長 ひとつには、都市のインフラストラクチャーとして、交通、上下水道などハード面を重視する従来の視点を改め、都市のインフラストラクチャーは人材にあるという発想を持つことにあり、創造都市のインフラは人材にあります。 「創造都市」の定義というものは、いろいろあるのですが、英国のロジャーという学者が言う「愛される都市」という定義には私も賛同しています。愛されるとそこの都市の住民はプライドを持つようになる。プライドを持てば、その都市をより高いレベルにあげる原動力になり、都市がどんどん発展する。これが創造都市であり、その基本が人材だというわけです。 どのジャンルを目指すのかはまだ分かりませんが、平成19年度には、ユネスコのクリエイティブ・シティ・ネットワークへの参画を実現し、市民、民間主体の取組みを進めていきたいと思います。 |
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