平成19年2月16日    大阪市長会見要旨
 
市政改革マニフェスト及び局長改革マニフェストに掲げています、地下鉄・バス事業のほか9事業に関し、経営形態のあり方に関する方針を決定しましたので、これを公表します。
各局において熱心に検討してきた結果の概要については、お配りしています別添参考資料のとおりですが、それぞれの事業ごとに検討すべき課題も少なからず残されていますので、現時点において一つの選択肢に絞り込むのではなく、引き続いてさらに掘り下げて詳細に検討することが適切であると判断しました。
そのため、今回の方針は、各局の検討結果を踏まえ、選択肢として複数の経営形態を示し、それらを対象に今後引き続いて詳細な検討を行おうとする、「あり方検討の方向性」を「方針」に含めるということにしました。
今回、これまで各局で検討してきた各事業の経営形態のあり方について、市長として一定の方針・方向性を示したわけですが、課題として挙げられているものをきちっとさらに深く精査をしていく作業が非常に大事だと思っています。
平成19年度中、これを目処にそれぞれの事業について具体的な方向性をお示しできるように詳細な検討をしていきたいと思っています。
そういう意味で19年度はこの経営形態の検討ということについて非常に大事な年になると思っています。
10事業について、各局の職員がそれぞれの立場から真剣に検討し、外部の専門家や有識者の意見も聞き、法的な問題もあるので国の意見も聞いて、これからの具体の検討についての整理を精力的にやってもらったと思っています。各局が頑張って、10事業を一斉に検討することができ、よくここまで来たなと思っています。

質疑応答

■記者
当初にマニフェストで掲げた「今年度末までに方針・方向性を示す」という文言からすると、選択肢を複数示す形というのは、達成できなかったという感想を持たざるを得ないのですが、この点、どうお考えか。
■市長
マニフェストの読み方はいろいろあると思いますが、マニフェストの趣旨から言えば、達成できたと思っています。方針・方向性を18年度末までに出すということについては、一つに絞れないのはどこに問題があるのかということを明らかにしたので、マニフェストの趣旨からは外れていないと思っています。
■記者
例えば、交通事業について2案の報告書をどうするかというのは、政治判断だと思うのです。1月に報告書が出されてから市長が具体的に政治判断をするに至る期間があまりに短かった。それで課題の整理が出来なかったというのが実際のところではないかと思うのですが。
■市長
短かったというよりも、本当に良いサービスを将来にわたって持続的に提供できる手段としてどういう経営形態が良いかが一番大事なこと。交通局が出した2案とも持続可能性も発展性もある。局だけで解決できない問題もあるので、全市的にいろんな違う角度からも、これから具体の検討をもっと行い、最終結論に至りたい。えいやっと決めて、後で禍根を残すようなやり方は市政をあずかるトップとしてやるべきではないというのが私の考えです。
■記者
今回の方針の出し方というのは、結論的なことを先送りしたのではないかという印象がぬぐえないところがあるのですけれど、市長は市政改革を進めるにあたって、よく主張されている「スピード感」ということとの兼合いは。
■市長
先送りではないです。今すぐにでも決定できる状況にありながらしない時は先送りと言われても仕方がないでしょうけど。今、これだけ課題が抽出されてこれからそれぞれの課題について検討しようというのは、決して先送りではないですよ。課題についての検討が終わって決断できる状況にあるものは即やる、これが「スピード感」。不十分なまま決断してあとで禍根を残すのは拙速。大阪市のような歴史のある大都市の大きな行政施策を決める場合は、そういう違いを明確に意識しておかないといけないと思います。
■記者
「禍根」というのは具体的にどういうことを想定されているのか。
■市長
例えば、交通事業の場合、ネットワークやアクセシビリティが良くなくて移動しにくいとか、また、採算に行き詰るというようなことが近い将来に起こるようであれば、これは禍根だと思います。
■記者
地下鉄・バスの経営形態をさらに検討するための組織とはどういったものなのか。
■市長
メンバーはまだ決めていませんが、交通事業の経験のある人や交通政策をやっている人など幅広く人選をしたいと思っています。
■経営企画室
交通局の検討課題は多様ですので、それぞれの課題ごとに外部の方が出入りして意見を言っていただけるような弾力的な仕組みについて最終検討しています。
■記者
新年度の4月の立ち上げなのか。
■経営企画室
外部の方のご都合もありますので、4月からと時期を決めるのではなく、必要に応じて随時はいっていただくのがベターだと思っています。
■市長
私もフレキシブルなほうがいいと思っています。
■記者
19年度中の検討の結論はどこを目指すのか。将来、目標を株式会社に置くんだ、あるいは公営企業に置くんだということも含めて決断して、何年後には改革をするなどというところまで持っていくのですか。
■市長
かなり課題整理ができたので、そのひとつひとつについて、スピードを落とさずにできるところまで検討を進めていきます。19年度末にどうなっているかは、やってみないと分からないところもあります。
■記者
どれぐらいのスパンか。
■市長
何年とは言えませんが、集中的に議論をして、納得できるところまで来たら決断します。
■記者
市長がマニフェストを掲げている以上、任期中に結論を出すのが筋ではないか。
■市長
それがベストだと思いますが、出来なかったらその理由を明確にするというのがマニフェストです。
■記者
現時点で決めるには検討が不十分とおっしゃるが、それを決めるというのが市長のマニフェストではなかったか。
■市長
持続可能で本当に発展性のある良いサービスを提供できるということが最終目標であり、そこに至る手段として可能性のあるものが課題など整理された形で出ており、これらの課題をもう少し解決していけば方向も決められると思うので、マニフェストに反しているとは思っていません。
■記者
19年度中に一つに絞るということでよいか。
■市長
19年度中に一つに絞れるとは言っていません。出来る限り検討を深めるということです。
■記者
19年度中も結論が決まらず、20年度も検討ということになると、議論が希薄になって、今から進めておくべき改革すらおろそかにならないか。
■市長
現状における改革は着々とやっています。具体的な方向性については、これからもう少し深く集中的に考えていきたいと思います。
■記者
市長の任期中に結論を出せない場合、次の方にバトンタッチということになるのか、それとも市長がもう1期やるのか。
■市長
選挙に出るか出ないかについては今は考えていません。もう少しよく考えて決めます。市政改革マニフェストは大阪市のものとして決めたので、誰が市長になってもやらないといけないと思います。
■記者
市長が変わればマニフェストも変わることもあるのでは。
■市長
市長が変えたいと思って違うマニフェストを出してくれば変わる可能性もあります。
■記者
そうなれば、今までやってきたのは何だったのかということになるのでは。
■市長
これだけ今、少しずつ、一歩一歩、変わってきているので、そんなことにはならないと考えています。
■記者
10事業について、最終的に結論が出なくてもいいということか。
■市長
それぞれの課題が挙げられ、各事業の具体的な方向性を決めていく上でのバリア(障害)、課題がはっきりしたということです。
■記者
今日、関一元大阪市長の自伝を執筆されたヘインズさんが来られて、その翻訳本が出版されるという発表をされた際に、「今、大阪市は市政改革とかバブルの処理に揺れているので、役立つはずだ」ということをおっしゃっていましたけれど、市長ご自身、そのことについてどう思われますか。
■市長
英語本は半分ぐらい読んだんですが。翻訳本が出たということは知りませんでした。
 
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