平成18年4月26日    大阪市長会見要旨
 

(市長)
 大阪市では、市政改革マニフェストの実行段階に入り、新年度の体制も新たに、すべての職場で改革を進めているところです。これまでは改革のトータルの姿を、ともすれば市政改革本部中心で形作り、引っ張ってきた感があります。私が各局、各区役所などの職場と議論をしてきて感じたことは、個々の職員ひとりひとりにとって、これまでの改革というのは、どちらかというと受身的にとらえる側面が強かったのではないかということです。市政改革の出発点、改革マニフェストの内容からいって、これはやむを得ないし、必要なことであったと私は思っています。しかし、これからは職員一人ひとりが主役であるという意識を一層強く持って改革を進めることのできる、いわゆる職員リード型の市政改革の段階に入ったということを色濃く打ち出していきたいと思います。そういう観点から3 点について話をしたいと思います。

【創造都市戦略の策定について】

(市長)
 市政改革が進捗するなかで、市役所自体の経営改革にとどまらず、大阪というまちそのものの活性化をめざして、創造都市戦略を策定し、来年度から本格展開していきます。創造都市とは、そこに集まる人が創造性を発揮することによって、豊かな産業や文化を生み出す都市ということですが、その源となるのは、創造性をもつ人材です。大阪が、創造性豊かな人材の集まるまちになるために、現在の大阪が、どのような課題を抱え、それをどのように解決していくのかを考えて創造都市戦略、具体的な戦略を検討していきます。このため、内部の職員が自らの知恵・アイデアを出しあえる、いわゆる若手職員によるドリームチームを設置し、創造都市論の研究家をはじめとした外部アドバイザーの助言を得ながら、市民・NPOなどからの幅広い意見を反映して検討を進めていきたいと思います。検討にあたっては、メールを活用して職員から私に寄せられる政策提案や、新たに創設する職員ベンチャー制度での提案なども活用します。今年度前半には考え方を取りまとめ、年度内に戦略を確定のうえ、19年度から本格実施したいと考えています。

【メールを活用した職員から市長への政策提案について】

(市長)  
 1月12日の会見でも触れたメールを活用した職員から私への政策提案について、約6週間で、合計54件の提案が寄せられました。1つ目のテーマである、「既存施設・資産を有効活用し、創造的な人材を大阪に集める方策」では、小学校などの跡地でのクリエイティブな人材の出会いの場、練習の場、発表の場の創出や、芸術系専門学校等と連携した人材育成など、「クリエーター支援方策」についての提案が多くありました。もう一つのテーマである「既存の施設・資産及び地域の力を活用した子育て支援策」では、空き施設の利用や、特色ある保育の実施などとあわせた、本市独自の「認証」保育所の設置など「保育所の待機児童の早期解消方策」や、小学校の空きスペースを活用した育児サークル活動場所の提供など「地域で安心して子育てできる環境づくり」に関する提案のほか、育児に必要な物品のレンタル・リサイクル制度や料金割引などの各種サービスをはじめとした「子育て環境の整備方策」についての提案もみられました。育児用品のレンタル・リサイクルなどは、おさがりの習慣があった昔と違って少子化の現在では、育児の経済的負担を軽減できるという点で生活実感のこもったものだと思います。執行会議で議論の結果、「クリエーター支援方策」及び「子育て環境の整備方策」については、新たに設置するワーキンググループにおいて、また、「保育所の待機児童の早期解消方策」や「地域で安心して子育てできる環境づくり」については、現在、関係部局で設置している子育て支援プロジェクトチームにおいて、提案した職員も参画しながら検討を進めていくこととしました。メールを用いて私に直接提案するというのは、初めての試みでしたが、いずれの提案からも、大阪のまちを良くしようという職員の意欲や熱意は非常に感じられました。今後も機会を捉えて募集を行っていきたいと考えています。

【職員ベンチャー制度の創設について】

(市長)
 昨年度実施しました「中堅・若手職員プロジェクトチーム」においては、実現可能な提案が数多く出され、既に職員名札の改善など、提案の約7割が実現されました。このような意欲ある職員により積極的に市政に参加してもらうため、今年度から、係長以下の若手職員から斬新なアイデアを募り、新規事業の実施に繋げる新たな政策型提案制度として「職員ベンチャー制度」を創設します。「職員ベンチャー制度」とは、事業を提案した職員自らが事業化の検討から事業の推進までを担当する制度となります。現行の「職員提案制度」はどちらかというとコンクール的で、政策提案が事業実施に直接につながらないという課題もありましたが、この制度の創設によって事業化の道が開かれることとなります。この制度の創設により、意欲のある特に若手の職員が職場を超えて議論し、市民のための斬新な政策を提案してくれるものと大いに期待しています。

質疑応答
(記者)
 創造都市戦略の策定に向けて設置される職員チームについて、人数などその具体像は。
(経営企画監)
 人数までは決まっていませんが、人事異動を改めて行うというような形ではなく、各職場横断的なメンバーが週何時間か取り組むというような形でプロジェクトチームを作っていきます。
(記者)
 これまでの意思決定の仕組みが引き続きある中で、大きなテーマにチームを組んで取り組む一番の意義は。
(市長)
 全員参加型で、将来の大阪をどうするかという議論が出来ることだと思います。外部の専門家のアドバイスももらいながら、職員自らが大阪をどうするかということを考える絶好の機会と考えています。
(記者)
 市長自身が考える大阪らしい創造都市戦略とは何か。
(市長)
 他都市とは違って、大阪はまち自身が創造都市的要素で出来てきた面があると私は考えています。大企業に引っぱられる形ではなく、いろんなベンチャー意識をもった人が集まり、ビジネスを行い、まちづくりをしてきたわけで、ビジネス・文化などあらゆる面でダイナミックな活動が日常されているまちをイメージとして持っています。
(記者)
 創造都市戦略とマスタープランの関係は。
(市長)
 マスタープランの中にも創造都市の概念は入っています。その概念をより具体的な戦略にしていくものです。
  (記者)
 メールによる政策提案について、2か月間で54件の応募というのは少なくないか。
(市長)
 必ずしも少ないとは思っていません。私は50件くらいは是非いってほしいと思っていました。
  (記者)
 4月中に口利きの要望記録制度の大枠を創るとのことだったが、進捗状況は。
(市長)
 方向性は執行会議での意思決定もされ、議会にも諮りましたが、具体は今検討中です。
(記者)
 すべてを記録化するとなると、膨大な事務量になると思うが、線引きはどうするのか。
(市長)
 具体的な作業はこれからですが、5月中にはフォーマットを含めて細部まで決めたいと思います。
(経営企画監)
 すべてが同じフォーマットだと事務量が膨大になりますので、日常的に処理できるものと、それ以外のものとでフォーマットは変えます。日常的なものは簡易化した記録を行うことを考えています。
(記者)
 公開については、市の外部の人がその是非について判断するのか。
(経営企画監)
 情報公開請求があった場合は、当然情報公開条例にもとづいて対応します。簡易なもの以外の記録については、市の判断により定期的に公表したいと思います。
 
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