平成18年7月21日    大阪市長会見要旨
 
【市長の要求監査結果について】

(市長)
 4月28日付けで大阪市監査委員会に対して私が要求した、芦原病院に対する補助金についての監査結果について、さきほど通知をいただきました。
 市長から監査委員会に対して特別監査を要求したのは初めてのケースだったわけですが、3ヶ月という短期間でありながら、備品整備事業費補助金をはじめ建物設備補修工事補助金、運営費補助金の5年間にわたる執行状況等について調査いただき、膨大な作業量があったにもかかわらず、監査委員の皆様におかれましては大変ご苦労をおかけしたことに感謝したいと思います。
 監査結果については、実態の伴わない架空の処理は見受けられなかったとのことですが、一部の補助金について、補助目的に合致した支出額が、補助金として執行した金額を下回っているとの判断がなされ、しかるべき措置対応を早急にとられたいとの内容がありました。
 また、同時に結果が示された住民監査請求にかかる監査結果についても一部の補助金について、結論として過大な交付であると判断され、返還を求めるなど補填措置を講じることとする勧告が示されました。金額は2200万円ということですが、本市としても、どのように対応すべきか早急に結論を出していきたいと考えています。
 また、特に言及された事項として、補助金問題の構図、課題設備、過剰職員、経営改善の不徹底ないし遅れ、経営責任の曖昧性、補助金支出の対象や基準の曖昧性、組織的責任等の6点について、厳しいご指摘を頂き「今後、同和対策関連事業を、それが置かれているその時々の客観的な状況の中で正当に捉え、認識し、適切な対応に切り替えていく勇気が必要である。」と結ばれています。
 これらのご指摘については、真摯に受け止め、この間の他の事案も含めて、「地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会」での議論や市会でのご議論も踏まえて、適切に対処してまいりたいと思っています。処分につきましても、全体像を見た上で、私も含め8月中に実施していきたいと考えています。

質疑応答
(記者)
 監査委員会からの報告を真摯に受け止めると言われたが、監査結果に示された市に対する厳しい内容、指摘について、どういう感想を持たれたか。
(市長)
 私は、今の市政に対する正鵠を得た指摘ばかりだと思います。これらを本気で受け止め、改めることは改めるということが、今求められている最大の課題であると考えています。
 監査報告の個々の指摘、ひとつひとつ言葉は、我々が今実行しようとしている改革と軌を一にしていると思われ、本当に正鵠を得た指摘をいただいたと思っています。
(記者)
 昨年、出直し選挙をされた際に、芦原病院とおとしより健康センターの問題を挙げておられたが、その時と現在とでは、芦原病院の問題が違うというか、意味合いが大きく変わっていると思うが、この点はどう思われるか。
(市長)
 昨年は芦原病院への貸付金が問題視されていただけだが、今回は病院への補助金等も含め、かなり深く踏み込んだ、詳細な分析結果と指摘をいただきました。
  繰り返しになりますが、私としては、この結果を真正面から受け止めて、改めるものは改めるということが私に課せられた責務であると思います。
(記者)
 平成15年度に、医療生協への銀行からの融資4億9千万円に対して、医療事業振興協会が債務保証をしていたことが、今回の報告で明らかにされたが、この事実について市長は報告を受けておられたのか。
(市長)
 平成14年から15年にかけてのことで、当時私は担当助役を務めていますので、報告を受けている可能性が強いと思いますが、はっきりとした覚えがないのが事実です。
 当時は私も認識不足でしたので、記憶が定かではないのだと思いますが、私への報告の有無も調べておく必要があると思います。
(記者)
 今発言された認識不足とは、どういうことの認識が不足していたというのか。
(市長)
 当時、病院が資金繰りで大変苦労していることは痛切に感じており、それをどう解決していくのか、どう病院を維持していくのかが、最大のテーマではありました。
 しかし、詳細な資金の流れなどについて、私が現場の職員とどこまで認識を共有できていたのかという反省があります。この点は確認もしていきたいと思いますが、いずれにしても、市長として、総体としての責任は免れないことは当然と考えています。
(記者)
 今日も市会の委員会で質疑がなされるようだが、芦原病院への債権放棄について、今後市会をどう説得されていかれるのか。
(市長)
 債権放棄の議案は継続審議になっているので、今日も審議がなされるわけですが、監査の結果も出たことで、いっそう踏み込んだ議論がなされることと思います。
 市会では、委員の質問に対して、隠すことなく真摯に事実をお答えして、最終結論を得ていきたいと思っています。
(記者)
 市会の方からは、債権放棄を審議するには情報が不足であるという指摘もなされてきたと思うが、今回の監査結果で、市としては事実関係を出し切ったとお考えか。
(市長)
 芦原病院に限って言えば、ひとつの大きな区切りになったと思いますが、ただ調査委員会の方の調査は継続されていますので、すべてが終わったわけではありません。しかし、今回の報告は、補助金問題だけでなく、病院を巡る問題全体について意見を付した報告になっているので、非常に大きな節目になったと思っています。
(記者)
 組織の長としての責任について伺いますが、前回の市長選挙の時は病院への多額の貸付金が回収できていないこと、つまり政策の失敗の責任をとられたものだと思う。しかし、今回明るみになっているのは、政策の問題以前の、明らかな逸脱、不正行為であることから、昨年秋とは責任を負うべき対象になるものが明確に違っていると思う。この点を踏まえ、処分以外に、どういう形で自らの責任を示されようと考えているのか。
(市長)
 病院をめぐる状況、問題については、詳細な部分まで今回の監査結果で明らかになり、よかったと考えています。  処分などをどういう形で、どの範囲で行うかについては、監査報告の内容などを精査したうえで、これから決めていきます。タイミングを失しないように、8月中には決めてまいりたい。
(記者)
 監査の結果は市に損害が出た部分ということで、2200万円の返還が求められたが、数々の不正行為が重なっていることからすると、市民感覚としては返還額が少ないのではないかという意見もあると思うが、この点はどう考えられるか。
(市長)
 監査委員会は、市の損害のレベルについて厳密に監査をされたと思います。  ただ、市民感覚から見てどうかということについては、これからの我々の是正していく姿、処分も含め今後市政を進めていく姿を市民の方に見ていただきたいと思います。
(記者)
 2200万円の返還勧告については、どう対応するか早急に結論を出すと言われたが、それは住民監査請求の結果の勧告どおりに対応するということか。
(市長)
 勧告どおりと言うか、様々な指摘については、市政の政策の中にこれらをどう反映させていくかということが残っています。 監査委員会が監査された結果に基づく勧告ですから、これを100パーセント尊重するということです。
 
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