平成18年8月3日    大阪市長会見要旨
 
【「第6回大阪市地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会」の議論を受けて】

(市長)
 本日、第6回の「大阪市地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会」が開催されましたが、この委員会は6月19日に第1回委員会が、6月26日に第2 回委員会が開催されました。第2回委員会では、団体との意見交換にかかるガイドラインについて議論をしてもらい、大阪市としての「団体との協議等のもち方に関する指針」を7月3日付で策定しました。7月18日には第4回委員会が、7月26日には第5回委員会が開催されました。そこでは、ひとつ目に、委託事業、補助金等について、二つ目には、未利用地、建物の使用についてご意見をいただきました。
 本日の第6回目の委員会では、・特別な優遇措置等について、・職員の法人等の役員への受嘱及び職務専念義務にかかる調査結果について、・報道等のあった事案に関する調査結果についてご意見をいただきました。今後は、引き続いて、・管理作業員、給食調理員にかかる、いわゆる学校における職員配置の適正化の問題、・青少年会館の職員配置の適正化、・保育所における職員配置の適正化、・ふれあい人権住宅の募集対象区域の拡大などの政策的な課題について、8月 10日、30日、31日に予定されている委員会で議論してもらい、ご意見をいただきたいと思っています。
 今後は委員会からいただいたご意見に沿って、また市会等での議論も踏まえて、大阪市としての結論を早急に出していきたいと思っていますが、私はこの際、抜本的な見直しを行いたいと考えています。
 本日の委員会では、二つの指摘がなされたと聞いています。ひとつは、平成15年度の芦原病院への銀行融資に際して、大阪市医療事業振興協会が債務保証を行ったことの報告を、当時健康福祉局の担当助役であった私に対して行ったという説明が委員会の場であったことです。二つ目は、これまでの一連の問題を健康福祉局だけの問題にとどめるのではなく、早めに全庁的な検討、対応をすべきでなかったかということです。
 ひとつ目の債務保証の件についてですが、これまでも言っているように報告を受けたという記憶が私にはありません。ただ二つ目に指摘されていることについては、私は真摯に重く受け止めています。地域医療を守るためとはいえ、迂回融資と補助金を利用したその融資返済は極めて不適正な事務処理であり、それを行った幹部職員の責任は重大だと考えています。一方で、私自身についても一般的な監督責任だけでなく、当時上位の立場にあった者として、時宜を得た病院の経営状況の把握と適切な対応の検討指示を怠ったことの責任は極めて重いと考えています。
 その重さを受け止めて、私に対しては、これまでにない厳しく重い、大幅な報酬減額という処分を課さなければならないと考えています。

質疑応答
(記者)
 医療事業振興協会が債務保証をしたという報告を受けていたということだが、どういう報告を受けていたのか。
(市長)
 担当局の方から、私に対してそのことの報告をした、私とやりとりをしたということまでしか今は聞いていません。
(記者)
 その時のやりとりが文書か何かに残っているのか。
(市長)
 それは改めて調査してまたお知らせします。
(記者)
 報告を受けていたことを、市長は今日初めてお聞きになったのか。
(市長)
 担当局が報告をしたということは聞いていましたが、当時報告を受けたことについては、申し訳ありませんが、記憶にありません。
(記者)
 担当局が市長に報告していたということは、いつごろ聞かれたのか。
(市長)
 最近、1週間くらい前の市会でのやりとりであったかと思う。それに対して私は記憶にないと申し上げたと思います。
(記者)
 市会の場で、担当局の職員が報告をしたという答弁をしたということか。
(市長)
 そういうニュアンスの話があったかのではないかと思う。
(記者)
 それ以外には、報告を受けていた件について、担当局から聞いておられないのか。
(市長)
 直接、具体にどういう報告をしたのかということについては聞いていない。
(記者)
 市長への報告の際に、問題点の指摘もあったのか、単に事実だけの報告であったのか、どういう報告であったのかで、この件の判断も変わってくると思うが、どういう形のものであったのか。
(市長)
 それは今調べてもらっています。
(記者)
 今日の調査・監理委員会では、市長に対してどういう報告があったと各委員に報告されたのか。
(経営企画監)
 健康福祉局から、当時助役であった現市長に対してこの件を報告していたということを聴取していましたので、単にその事実を委員にお知らせしただけです。それに対して市長は記憶にないとされているという事実もあわせてお知らせしています。
(記者)
 先ほど大幅な報酬の減額を行うとおっしゃられたが、それはこの債務保証の報告を受けていたことも含めてのことか。
(市長)
 この間報道された様々な事象全体を受けて、報酬の減額を行うつもりです。
私としては、報酬の50パーセント6か月の減額を私に課する決意をしています。報酬の50パーセント6か月の減額というレベルが、この間の問題に対する私の責任、私に課すべき処分のレベルであると考えています。
ただ、これは条例にして市会で了承を得なければなりません。
(記者)
 その条例案は、9月市会に上程されるのか。
(市長)
 直近の市会は9月なので、その時に提案します。
(記者)
 今までで一番大きな減額と思われますが、過去にはどのような減額があったのか。
(総務局長)
 昨年の10月に、財政事情による減額と職員厚遇の問題による減額に加えて、ながら条例にかかる問題を受けて、30パーセントの報酬減額を行っています。
(記者)
 債務保証の件も含めて、報酬を減額されるということは、債務保証の件については、記憶にはないが、担当局から報告があがっていたということを認められるということか。
(市長)
 私としては、今回指摘されているように、担当局任せにせずに、早めに全庁的な検討と対応をとるべきであったこと、組織風土やガバナンスに問題があったことを、重く受け止めている。その時々に、適切な判断をすべきであったのに、しなかったことに大きな責任を感じていますので、それを念頭にして私自身に対して最も重い処分を課する必要があると考えています。
(記者)
 報酬減額の条例が市議会で通った場合、いつからどういう減額がなされるのか。
(総務局長)
 現在、財政問題に対する報酬減額10パーセントが継続されているので、50パーセント減額の条例が可決されれば、実質的にはプラス40パーセント減額ということになります。また、9月の市会で可決すれば、翌月の10月から減額がなされます。
(記者)
 60パーセントのカットになるというわけではないのか。
(総務局長)
 市長が受ける報酬総額の50パーセントになるという意味です。
(記者)
 財政問題に対する減額というのは、いつからなされているのか。
(総務局長)
 平成17年1月からです。
(記者)
 今回の減給の対象は、芦原病院問題に限定してのことか。
(市長)
 この間出てきた、飛鳥に関する事項も含め、全体に対するものです。
(記者)
 これまでは報酬減額は10パーセントの上に10パーセントを上積みする形でされてこられたと思うが、今回はやり方が違うのか。
(市長)
 今回は、報酬総額の50パーセントを減額したいという趣旨です。
(記者)
 今日の委員会の中で、実行行為者としての職員だけでなく、是正を怠った上司も含め処分を行うべきものと指摘され、不作為に対する処分が求められているが、この点はどのように受け止められているか。
(市長)
 是正を怠った上司も厳正に処分するようにとのご意見はしっかりと受け止めてまいります。また、内容も分析のうえ、今後に向けた方針もしっかりと立ててまいりたいと思います。
(記者)
 前回の会見の時に、債務保証の報告を受けたことについて記憶がなく、認識が足りなかったというような発言があったと思うが、改めて、報告を受けたという記憶がないことについて、どう考えておられるかをお聞きしたい。
(市長)
 これは誠に申し訳ないことですが、記憶にありません。
ただ、記憶がある、ないということよりも、その当時、この件について指導する立場、責任のある立場にあったということが問題であると思っております。
(記者)
 記憶にないというのは、その当時、この事案を重要視していなかったのではないかとも思えてしまうのですが、その当時の認識はどうであったのか。
(市長)
 病院が財政的には非常に苦しいということは認識していました。もっと早い時期に処理すべきであったということを非常に重く受け止めています。
(記者)
 医療事業振興協会が債務保証をするということが、法に照らして疑義あるのではということも含めて、市長に報告があったという認識か。
(市長)
 当然不適切な行為なのであるが、その当時どうであったかは記憶にないので、何とも言えませんが。どういう風に報告があげられたのかは調査します。
(経営企画監)
 今日の委員会の調査結果にありますように、医療事業振興協会は、この債務保証が寄付行為上の目的のひとつである「大阪市の行う医療の円滑な推進に寄与する」という目的を達成するために必要な事業と位置づけていたとする健康福祉局の報告を掲載し、それを事実関係として報告しています。
(記者)
 その当時、健康福祉局は協会の目的の範囲内で不適切であるという認識はなかったということか。
(経営企画監)
 そういう事実関係の報告を健康福祉局から受け、その事実を今日委員会に報告しています。
(記者)
 そうすると市長への局からの報告もそういう認識の範囲内のものであったということか。
(経営企画監)
 それは推測であって、現在そこまでの事実確認はできていません。
(記者)
 報酬50パーセントカット6か月というのはどういう基準での判断か。
(市長)
 報酬50パーセント減額が6か月続くというのは、実質的にかなり重い処分、他都市の例などと比べても重いものだと認識しています。今回の問題では、それくらい重い指摘をいただいているものと認識しています。
(記者)
 大阪市長しての処分では、今までで最も重いものになるのか。
(市長)
 私の聞いている範囲ではそうです。
(記者)
 これで市民の理解を得るというか、一連の問題にケリがつくということか。
(市長)
 そうではありません。まずは最終責任者である私に厳しい処分を課さなければならないと思っています。市民の理解という点では、今日いただいているような様々な課題をきちっとやりきることが、市民の理解につながっていくものと考えています。
(記者)
 関係者の処分は、どういう姿勢で臨まれるのか。
(市長)
 非常に不適切で、あってはならない事務処理を行ってきたわけですから、調査結果も踏まえて8月中に厳正に処分します。事案は軽いものではないと認識していますので、厳しい姿勢で臨みます。
(記者)
 報酬の減額は具体的にどういう額になるのか。
(総務局長)
現在の報酬がおよそ150万円なので、50パーセント減のおよそ75万円になります。
(記者)
 債務保証の問題は、その後の迂回融資など不適切なものにつながっていったのですが、その報告も受けていたということで市長も関与していたわけです。その立場で、今後コンプライアンスだとか、ガバナンスといったものが中心となる市政改革の推進に影響はでないのか。
(市長)
 この点は、私自身非常に深く反省しています。コンプライアンス、ガバナンスという観点からは、非常に大きな教訓になったと認識しています。今後、この認識を職員皆で共有して改革を進めていこうと思っています。深く反省をしています。
 
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