平成19年4月23日    大阪市長会見要旨

【西成区の住民登録問題について】

本日午前中に、西成区の住民登録問題についての大阪市の姿勢等について公表しましたが、この件について改めて私のほうから申し上げたいと思います。西成区内の特定施設を住所とする住民登録問題について、随時監察の結果がまとまり、十分な居住実態の確認を行うことなく、日雇い労働者への配慮等から転入・転出届を受理してきたという事実が確認されました。このような取扱いが長年にわたって慣例的に続けられてきたことについては、市長として誠に申し訳なく思っております。区として、居住実態のない届出を防止させるべきであったわけですが、組織として適切な対応をとれなかったことに対し、本日、歴代区長の責任を問うことにしましたが、この件については、結果として約2,000人近い方の住民票を消除することにもなり、私自身、責任を強く感じております。今後は、こういうことのないよう再発防止に向けて万全の策を講じるよう指示をしましたし、住所を有しない者の選挙権行使のあり方について国に対して要望することも含めて検討していきたいと思っています。

【世界陸上について】

先日、記者会見でお話し、記事にもしていただきましたが、昨日のこどもカーニバルには雨にもかかわらず、ほぼ予定どおりの約1万8千人の参加がありました。世界陸上の体験コーナーも、最後まで順番待ちの列ができるほど盛況で、多くのこどもたちに陸上競技を体験していただくことができました。これからもこういうことをして盛り上がりを作っていきたいと思っています。
これも先日申し上げましたが、5月5日にグランプリ陸上が長居で開催され、同日に、世界陸上大阪大会市民応援団美化キャンペーンも行われます。今回からは、世界陸連のほうで、グリーンプログラムをとりいれた大会にしようということが決定されていますので、市民応援団の美化キャンペーンは非常に良いと思います。今のところ、400人以上の市民の方々が参加してくれることになっていますし、タレントのまなさん、かなさんやトラッフィーも参加するので、イベントを盛り上げていきたいと思います。

【クリエイティブOSAKAアワードについて】

この事業は、創造都市づくりに必要な創造人材である若手デザイナーの才能を発掘し、顕彰することで、活動の場を広げ、ビジネスチャンスにつなげていこうというものです。若手デザイナーからデザインを募集し、優秀作品を市の印刷物等に採用します。今年度は前期・後期の年2回、各5種類、合計10種類のデザイン募集を行うこととしています。これは、昨年1月から3月にかけて、電子メールにより職員から私に寄せられた提案をもとに予算化された事業のうち、初めて実施するものです。対象は、大阪市内に在住もしくは在勤・在学の、40歳未満の若手デザイナーの方で、5月1日から6月15日まで募集します。審査会で入賞作品を決定し、7月上旬に表彰を行いたいと思っています。今回募集するのは、国民健康保険料の収納啓発ポスター、大阪産業創造館の紹介ポスター、ノーマイカーデーを啓発するポスター、防火啓発ポスター、大正区内にある7ヵ所の渡船場の共通シンボルマークの以上5点です。審査員は、大阪デザイン団体連合機構の山田 崇雄(やまだ たかお)さん、日本グラフィックデザイナー協会の杉崎 真之助(すぎさき しんのすけ)さん、宝塚造形芸術大学教授で、大阪市の広報報道アドバイザーを務めていただいている平山 壽邦(ひらやま としくに)さんの3名。それぞれ、市長賞1点、優秀賞2点を選定していただきます。市長賞受賞者には、賞金として20万円、優秀賞受賞者には5万円を贈呈します。市長賞・優秀賞受賞作品については、今年の秋以降、市役所ホールで展示するほか、後期の受賞作品と合わせて、来年、クリスタ長堀のギャラリーや大阪産業創造館などでも展示を行う予定です。また、市長賞を受賞された方については、市役所1階の市民ロビーで、受賞作品に加え、その方(受賞者)の他の作品の展示会も予定しています。この事業で、若手デザイナーにビジネスチャンスと活躍の場を提供できればと思っていますし、大阪には若手のデザイナーやデザイナーをめざしている方がたくさんいらっしゃるので、そういう方の力を借りて、創造都市大阪のイメージアップにもつなげていきたいと思っています。

【大阪城ホール文化・スポーツイベント振興助成事業について】

大阪市において本年8月に世界陸上の開催や創造都市戦略が推進される中、財団法人大阪城ホールでは、平成19年度から「大阪城ホール文化・スポーツイベント振興助成事業」を実施し、より積極的に文化・スポーツの振興を図っていきます。助成内容は、メインホールであるアリーナを使用して、主として青少年の健全育成をめざす文化・スポーツ振興事業に対し、一定の要件のもとに1事業あたり準備・本番を含めて3日以内の基本使用料を免除するものです。助成対象事業は、@主として青少年の健全育成に寄与する文化・スポーツ振興事業 A幅広い市民参加が見込まれ、市民の理解、共感が得られる事業 B少なくとも全市的な規模で実施し、団体が主催する事業 C営利目的としない事業などの要件を全て満たしている事業 Dその他選考委員会が適切と認める事業で、年間概ね3〜5事業とし、同一事業への助成は基本的には3年以内とします。助成申し込みの受付は、実施する前年度の4月1日からの1ヶ月間で、助成の決定は、選考委員会で選考して決定します。19年度分については申し込み時期が過ぎているため、既に使用予約を受けているものの中から助成申請に基づいて選考します。また、本事業を円滑に実施するため、ホールのホームページに掲載するとともに、文化・スポーツ振興団体やホール利用者等に対し、いろんな機会を通じて周知徹底を図っていきたいと思います。

【星空コンサートについて】
4月29日に大阪城西の丸庭園で、今年創立60周年を迎える大阪フィルハーモニー交響楽団のもと、昨年に引き続き2回目の星空コンサートを開催します。指揮者は大阪フィルハーモニー交響楽団の音楽監督を務める大植英次さんです。昨年は私も参加しましたが、9,300人が集まり、非常に盛り上がった素晴らしいコンサートでした。今年はプログラムも工夫をこらしたものになっていますので、ぜひ、成功させたいと思っています。

質疑応答

■記者
サミットについて、本日中に開催地が決定されるようだが、現在の心境は。仮に首脳会議が大阪に決まらなかった場合は、分離開催するといわれているその他の会議を市で開催するよう要望するのか。
■市長
できれば、大阪、関西で首脳会議を開催してほしいと思います。古都の美しさをアピールしたいということもあって大阪、関西として手を挙げたので、首脳会議以外の会議のひとつでも大阪で開催してほしいと思いますし、そのいくつかが関西で開催されることを期待しています。

■記者
明日の学力テストについては、学校の序列化とか競争が激しくなるのではないかとかいう指摘もある。大阪市としては全面的に参加されると思うが、これについてどう思うか。
■市長
個人的な意見でいえば、学力テストは生徒の全能力をためして序列化しようとしているわけではなく、芸術的な要素や文学的な要素など、いろいろな要素がある中で、あくまでも学力評価をしてこれからの教育行政をどうしようかという材料を得ようとするものです。生徒の人間としての全評価をしているわけではないですし、単なる序列化をしようとしているわけでもないと思っていますので、学力テストがきちっとしたやり方で行われて、そのデータが将来の基礎学力の向上に生かされることを望んでいます。

■記者
住民登録の件で、国に要望するとのことだが、どういうことを要望するのか。
■市長
住民基本台帳法については、学者の方々などの間でも議論があります。確かに効率的に出来ていますが、消除の影響が一気に選挙権にまで及んでしまうなど、単に事務手続きの効率化だけのためにそれがどんなに大きなマイナス面があるかということについては、個人的に疑問を持っていますし、学者によっても意見が分かれていますので、法律の専門家の意見を十分に聞いて、どうすればこのようなことをカバーすることができるのか、まずはそれについて検討をしたいと思っています。

■記者
住民登録の処分について、区長に処分を出したということの判断の根拠は。
■市長
住民基本台帳法では、その権限と責任は、政令市の場合は区長にあるということになっています。法律上、事務手続きの最終責任者は区長なのです。私自身も大阪市の市長として、大量の消除者が出たということについては責任を感じています。調査データにもありますように、日雇労働者への配慮等から、それでもどうかと思いながら届出を受理していたのだと思いますが、やはり結果としては、法律上、あってはならないことなので、今回、処分を行いました。

■記者
職員の学歴詐称について、1,141人という中間的な数字が出たが、あまりにも数が多い。多さもさることながら、停職1ヶ月という処分の内容があまりにも甘すぎるという強い反発が市民の方からもあるようだが、処分を見直す考えはないのか。全職員の40人に1人が嘘をついていたということについてこれまで、採用担当は何をやっていたのかという声もあるようだが、採用担当に対する調査・処分は考えていないのか。
■市長
数が多いことについては、私も結果を見て大変驚きました。停職1ヶ月という処分については、直接的に何か行政に対して害を与えたというわけではなく、日常の業務は普通に遂行しているので、懲戒免職では重過ぎるし、その人の生活権まで奪ってしまうというのにはあたらないというのが私の考えです。また、この期間中にきちっと申告しなければ懲戒免職という二重の手段を講じていますので、処分を変える考えはありません。採用については、例えば学歴を高く偽っているときは、最終学歴校に問い合わせればわかりますが、こういうケースの場合は逆ですので、客観的に調べる術がないのが実情です。しかし、1,141人という数の重みは認識していますので、今後は十分に注意しながら採用をしていきたいと思います。
 
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