平成19年5月23日    大阪市長会見要旨
 

【はしかについて】
4月に入ってから、東京を中心にはしかの集団発生が確認され、大学等で臨時休校が相次いでいます。大阪でも5月11日に府下の大阪狭山市の専門学校において集団発生が確認され、臨時休校の措置が取られました。大阪市内では集団発生事例はまだ報告されていませんが、散発的な発生事例は報告されています。このような中、行政として備えをしておくことが大事ですので、5月17日に対策会議を開催し、教育委員会、こども青少年局を通じて、保育所、幼稚園、小・中・高校等に対して文書による注意喚起を行っています。また、市民からの問い合わせに適切に対処するために、20項目以上にわたるQ&Aを作成して各区の保健福祉センターへ配布するとともに大阪市のホームページでも情報提供を行っています。また、一例でも患者が発生したら、大阪市のほうでそれを把握し、きちっとした対応をする備えをしています。
1歳、2歳、それから5歳から7歳を対象にはしかの予防接種を行っています。これは義務接種ではありませんが、きちっと受けてほしいと思います。また、予防接種を受けてない人、感染もしたことがない人、どちらか定かでないような人などで心配な方は、最寄りの医療機関で自費になりますが抗体検査が受けられます。抗体検査を受けるまでもないけれどちょっと相談したいという方は、保健福祉センター等で相談体制を整えていますので、そちらに相談をしてほしいと思います。

【世界陸上について】
5月17日に東京の銀座数寄屋橋で100日前イベントとして、カウントダウンボードの点灯式を行いました。為末選手をはじめ非常に多数の方が参加されました。
5月20日には世界陸上プラザが御堂筋にオープンしました。心斎橋から南へ100メートルほど行った、御堂筋に面したいい場所です。この場所は、ルイ・ヴィトンが新しいビルを建設する予定地で、着工するまでの間、公共的な目的に有効に使って欲しいという申し入れをいただき、場所としても御堂筋沿いにブランドショップ、そごう、大丸が立ち並び、心斎橋筋商店街にもほど近い良い場所なので、世界陸上プラザとして利用させていただいています。ここでは、TBS、MBS、読売新聞社、組織委員会、三越などがそれぞれブースを出展しており、長居スタジアムで選手と一緒に走っている合成写真が撮れるなどの面白い仕掛けや、選手のシューズ等の展示があります。また、前売り券や公式グッズの販売等を行っているほか、大阪市として、大阪の文化・観光の案内も行っています。楽しいところですので、たくさんの人に来てもらいたいと思います。
5月29日には、長居陸上競技場で小学校陸上運動会と記録会が行われます。当日はシドニーオリンピック5000メートル代表選手の志水見千子さん、アトランタオリンピック走り高跳び代表選手の野村智宏さん、シドニーオリンピック400メートル、1600メートル代表選手の小坂田淳さんの3選手に来ていただき、小学校5・6年生を対象に模範演技と指導をしていただく予定です。

【メールを活用した職員から市長への政策提案について】
昨年に続いて2回目ですが、今回は市民との協働と「食」を切り口とする2つのテーマについて、2月16日から4月16日までの2ヶ月間にわたり、職員からの政策提案を募集しました。その結果、第1回目の54件を上回る78件の提案が寄せられ、それぞれのテーマごとに4提案、合計8提案について、現状認識、新規性、独創性、実現に向けての課題などの点でよく考えられていると評価しました。これらの提案について、ワーキンググループを設置して、実現可能な企画案の策定に向けて検討を進めていきます。特に「食」については、本市に総合的に取り扱うセクションがないので、@「食」の拠点・イベント、AITを活用した「食」に関する情報発信、B「食」に関する人材の活用の3分野に分けてワーキンググループを設置して、プロジェクトチーム的に横断的な検討を進めていきます。
提案件数が増えたことは、大阪というまちを良くしようということについて、個々の職員の意欲や熱意が高まり、一人一人が真剣に考えていることの結果だと思い、頼もしく、素晴らしいことだと思います。これからもいろいろなテーマについて募集をしていきたいと思います。
昨年の提案からは「クリエイティブ OSAKA アワード」「エコアートフェスタ大阪」「大阪クリエイティブファイル」の3つを予算化しましたが、今回も8提案の中から実行に移せるものを予算化してやっていきたいと思います。

質疑応答

■記者
政策提案の8つの中で、気になったもの、面白いと思ったもの、意外だったもの、これは気づかなかったというものなど、市長があえて一つ選ぶとすればどれか。
■市長
この8提案は、最終、執行会議メンバーで選びましたが、どれもいいと思います。これから絞り込んでいく段階ですので、どれか一つというのはまだ言えません。
■記者
全部を予算化するというよりは、この中から絞って予算化をしていくのか。
■市長
これは政策提案で、予算化して実行に移すということなので、全部というよりは絞り込んでやったほうがいいと思います。 中にはすでに市民が実行しているものでそれを大阪市の政策として取り入れたらどうかというものもあるし、非常に実現性の高い案ばかりだと思います。 区役所からは、昨年は5件でしたが、今回は12件の応募がありました。区役所は市民と毎日、直接に接しており、区役所がいい仕事をするようになれば、それが即、市民サービスの向上につながるので、区役所からの応募が増えたことはいいことだと思います。

■記者
同和行政の見直しの中でもあげられていた中学校給食について、教育委員会が12校での給食の廃止を決めましたが、市長はどのようにお考えか。
■市長
教育委員会から出していただいた今回の結論は、非常に現実的で全体を考えた適切な結論だと思います。
■記者
しかし、無くなるほうからすると、アンケートなどを見ていても、給食を望む保護者の声が多いが、そのあたり、どうお考えか。
■市長
やはり、ここでも特別扱いをしないという原則を貫きたいと私は思っています。
今回の結論は給食の廃止で困る子どもさんに対する対処もきちんと考えた案になっていますので、これで対処できると思います。 こういうことをクリアしていって、本当の意味での差別のない社会をめざすことができるのだと思っています。
■記者
特別扱いしないとなると、全部(全校)で実施するという考え方もあると思うのですが。
■市長
親の努力も促しながら、子どもへの直接被害を最小限にするという考え方を貫いた、今後も見据えた現実的で適切な判断だと思います。

■記者
現在、国で教育に関する3法案の成立が確実ということだが、例えば評価システムであるとか、副校長投入による序列化であるとか、いろいろ意見もあるようだが、市長は今回の法案、どのように感じておられるのか。
■市長
教育はこれからの日本の根幹にかかわるきわめて大事な問題ですが、法案は法案として、これをどのように運用していくかが非常に大事だと思います。序列化とかそういう取り方もあるかもしれないが、一つの組織のあり方としてこれは考えないといけない。また、例えば生涯学習については、力を入れてやると明記していますし、文部科学省からのコメントを見ている限り、予算化もするというようなコメントもあります。大阪市は特に生涯学習に力を入れているので、そういうところは私は評価をしています。 全体として実際にどのようにプラスのほうに持っていけるかは運用の仕方次第ですので、法案自体については、私個人としては評価しています。

■記者
現在、政府で導入が検討されている「ふるさと納税制度」について、大都市を中心に慎重論も広まっているようだが、市長としてはどのように受け止めているのか。
■市長
住民税というのは本来、現在住んでいるところから得られる受益とそれに対する負担というのがベースの考え方だと思います。自分の払っている税金がどのように使われるかについて国民が関心を持ち、議論するというのはいいと思いますが、単に地方の活性化とか地域活性化ということであれば、今でも自治体への寄付に対する住民税の控除という寄付制度や、地方交付税もあります。「ふるさと」の定義も明確ではなく、どれぐらいの人が税金の一部を「ふるさと」へまわすのかという大雑把な数字もない中では、考えをまとめるのは非常に難しいと思います。また、今の税制では「ふるさと納税制度」を具体化していくのは非常に難しいと思いますが国の研究会が具体的な体系ややり方をこれから検討するということですので、私個人としては、もう少し研究会の動きなどを見て自分の考えを決めたいと思います。 今はまだ判断材料がほとんど無いに近いというのが私の実感です。

 
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