平成19年7月2日    大阪市長会見要旨
 

【世界陸上子どもプロジェクトについて】
6月29日に行われた世界陸上大阪大会の理事会で、子どもプロジェクトとグリーンプロジェクトについて承認されましたので、その内容等について申し上げたいと思います。
世界陸上の開催まであと54日となったわけですが、2ヶ月をきって、いよいよ近づいてきたなという感じをもっています。ご承知のように昨日まで(6月29、30日、7月1日)、世界陸上大阪大会の最終選考会である日本陸上競技選手権が長居陸上競技場で開催されまして、今日の午後、出場選手のリストが発表される予定になっています。場所は中央公会堂です。世界中でも、それぞれの国の代表が決まりつつありますので、次第に国民の関心が高まると思っています。アメリカの100メートル男子のタイソン・ゲイ選手など、非常に楽しみな選手が決定しています。
子どもプロジェクトはかねてから言っていますように、1人でも多くの子どもたち、特に小学校高学年から中学生の子ども達に、現場で世界のトップアスリートの真剣勝負を見てほしいと考えています。それを見ることで、その子どもの心に何か残るだろうと思いますし、それがその子の人生に何か影響を残す。次の世代を担う子どもたちですから、これは非常に大事なテーマですので、これを進めてきています。大阪市内だけではなく、近隣の市町村、近畿一円の子ども達にも観戦をしてもらえるように、各府県等の教育委員会を通じて、各学校に対して希望調査を行ったところ、約700校から5万人の応募がありました。各学校からの観戦希望については、今後も受付を行いたいと考えています。5万人というと、2000年の4月から3ヶ月間、天王寺の美術館で開催されたフェルメールの展覧会では、観客60万人のうち5万人が子どもでした。世界陸上では、大会期間の7日間で5万人の子ども達が観戦するということになり、これまで例のない、子どもを中心にした大会になると思います。
これ以外にも、北海道から福岡まで各地で、各国の事前合宿が行われますが、この合宿の行われる土地からの子ども観戦の希望があればこれも受け付けたいと思っています。和歌山市内ではフランスが合宿をしますが、先日、和歌山からバスを連ねてフランスの応援に行きますというお話をいただきました。こういうものは、積極的に受け入れていきたいと思っています。
それから、この子ども観戦に係るボランティアとして、高校生約300人を募集します。このボランティアは、招待した子ども達の誘導や、応援のサポート、安全管理を行ってもらいます。また、『常にごみがまったく落ちていない会場』の維持にも携わってほしいとも思っています。ボランティアとしては、すでに4000人を超える方が応募されていますが、ボランティアとして世界最高の大会に参画したという感動を持ってもらうということは大変意味があると思っていますので、別途300人の高校生ボランティアを募集したいと思っています。
次に『一校一地域運動』ですが、これは大阪市内の小学生に、自然素材を使って、選手村や空港などに設置するウエルカムボードを作ってもらい、選手や観客を歓迎するもので、IAAFのグリーンプロジェクトにも通じるものです。 子どもリポーターについては、既に実施しました大阪国際女子マラソンや国際グランプリ陸上大会で活躍した子どもリポーターに、世界陸上でも、観客、ボランティア、メディア関係者の方々へリポート活動を行ってもらいます。 最後に『絵画コンクール』ですが、これは大会終了後の事業として、大会を観戦した子ども達の感動を絵に描いてもらう『絵画コンクール』を実施します。こういうことを通じて、子どもたちに何か財産を残したいと思っています。
次に、大阪大会における環境への取り組み(グリーンプロジェクト)ですが、スポーツと環境については、国際オリンピック委員会(IOC)と国連環境計画(UNEP)とが連携し、大会運営における環境負荷を抑える取り組みを早い段階から進めています。スポーツの世界から世界の環境問題への取り組みをということで、IOCの環境委員会、トップはハンガリーのパル・シュミットですが、ここが10億本の木を植えようという活動をしています。そこに世界陸上も積極的に参加して、この大会をクリーンでありグリーンであるということを目的として、グリーンプロジェクトをスタートさせます。これは植樹活動のためにチャリティー基金を募るということと、大会の会場を常にクリーンにするということの二つ取り組みです。このグリーンプロジェクトは、国際陸上競技連盟(IAAF)の事業として、大阪大会を発祥に、次期開催都市のベルリンやその次の韓国のテグへと、ずっと世界陸上選手権大会の開かれる都市へと引き継いで実施されます。先日、グリーンアンバサダーとして、高橋尚子選手と室伏選手に植樹などをしてもらいました。それから歌手のサラ・ブライトマンさんがグリーンアンバサダーの1人として歌を歌うことになっています。次のベルリンの大会ではフラッグと同時にこのグリーンプロジェクトを引き継ぐセレモニーが行われることになっています。大阪大会では全47種目ありますが、金メダリストによる記念植樹も実施し、スポーツの素晴らしさと環境の重要性を後世に残していきたいと考えています。

【創造都市関連について】
ひとつめは、先週の6月29日に報道資料として公表しておりますが、未来のロボット技術者・創業者育成プログラムとして、『ロボット工作教室・夏休み子ども体験教室』の参加者募集について説明します。経済活性化などの観点から、教育界や経済界と連携し、次の時代を担う子ども達のものづくりや創業への関心を高めることを目的として、「ロボット工作教室・夏休み子ども体験教室」を実施します。ものづくり・製造業は、商業やサービス業といった他の産業にも波及効果が大きい事業ですし、大阪・関西の基盤産業の一つとしても、非常に大事な産業分野であると思っています。このため、創業・ベンチャーを生み出す風土づくりが必要であるということで、それに対応するため、高校生等を対象に、製造業の現場でのインターンシップの実施を通して、中小製造業の次世代人材の確保・育成を図っていきたいと思っています。どんな精密機械よりも正確にちょっとした鉄管の傷などを見つける技術、そういう技術が工場で継承されており、そういう現場を見るとすごいなと思います。そういう現場でインターンシップをすることと、小中学生を対象にロボット工作や新商品の企画体験、工場見学などを行うことで、ものづくりや創業への関心を深めてもらうということを目的としています。 教育の現場でも、子ども達の「生きる力」の育成を目標に掲げ、その取り組みの一貫として、「働くこと」への関心・意欲を高めることができるよう、「職業体験学習」を採り入れた、いろんなキャリア教育を行っておりますし、早くからものづくりに興味・関心を持つ子ども達の才能を伸ばしていけるような施策を推進しています。ものづくりの内容によっては、10歳までに見ているかどうかということが非常に大事であるという分野もあるということも言われていますので、小中学生に早くから、そういう現場に接し、体験してもらうということは非常に意味があると思っています。 来年4月開校予定の中高一貫教育の咲くやこの花高等学校でも、ロボット工学を専攻分野に採り入れる予定になっています。 このような現状等を踏まえて、またこういうプログラムを通して、大阪・関西の将来を担う人材の育成ができるようにしていきたい。創造都市という大阪市のテーマとも一致していると思います。 もうひとつは官民協働サイト事業についてご説明します。市民生活に必要な情報については、市政だより等を通じて積極的に市民に情報提供を行っていますが、市民のライフスタイルやニーズの変化に伴い、情報を提供・発信する側としても工夫が必要だということで、この事業はインターネットでの取り組みですが、市民が行政と民間の情報をワンストップで得られるようなサイトができればという観点から、情報発信の一つの方法として実施することにしました。 具体的には、大阪市は、民間サイトに「官民協働サイト」としての認定を行って、そこを通じて市政情報を提供します。一方、民間事業者は、市政情報を自らのサイトに掲載することによって、利用者増加が期待でき、両者の利害が一致することにもなると思います。この事業により、市政情報の提供場所が増えると同時に、新たな収入の確保にもつながるということで、非常に期待しています。 今回は、市政情報と民間情報の掲載アイディアなどの企画提案についてのコンペを実施するというお知らせです。コンペは8月10日に実施します。新たな発想で、斬新なビジネスモデルを民間事業者からご提案いただけることを期待しています。コンペには一社でも多く応募してほしいと思っています。創造都市の観点からも、これにはしっかり取り組んでいきたいと思います。 それから、ちょっとこれは別件になりますが、今朝の執行会議で決めましたので、お知らせします。 年金記録確認に要する戸籍等の証明書発行手数料を無料にします。7月9日からの実施を目処にしていますが、準備が整い次第前倒しして、早くスタートすることも考慮に入れています。今問題になっている年金相談に係る証明書について、社会保険庁からの依頼書により必要な証明書を確認したうえで、無料で発行します。無料対象の証明書は、『戸籍(除籍)謄・抄本等』『戸籍記載事項証明書』『住民票の写し』『住民票記載事項証明書』『戸籍の附票』『外国人登録原票記載事項証明書』の6種類です。社会保険庁の事務局と話を進めていまして、この依頼書によって必要とする証明書を確認したうえで、それについては、無料で発行するということを決めました。7月9日には必ず実施することにしていますが、早く手続きや準備が終われば、前倒しもありという決定をしました。 最後ですが、東京で事故のあったの温泉施設について、消防局と健康福祉局が改めて立ち入り検査をした結果を公表しています。検査した全61施設について、問題は確認されてないとの報告を受けています。この結果を大阪府に報告します。

質疑応答

■記者
3セクの社長の人事についてお伺いしたいのですが、ひとつはOWD(大阪ウォーターフロント開発株式会社)について。市の指針では、年齢の上限が原則63歳、例外でも65歳となっていて、(上限を超えた市OBが着任したことについて)昨年のこの席上で市長は今年の6月までに限りとおっしゃったと思うのですが、あえてまた再任を依頼された理由と今後の見通しについて。それともう一つは、WTC。WTCも特定調停の付帯決議で、民間の方ということになっていたと思うのですが、あえて前市長室長にお願いした理由と見通しをお聞かせいただけますか。
■市長
前者については、6月の株主総会の一つを目処にしてそのように申し上げていましたが、株の売却が少し手間取っており、作業半ばで、相手との交渉途中ですので、私の決断であえてその作業が終わるまで、留任としました。その作業が終わり次第、新社長にバトンタッチをしてもらいます。
WTCについては、前任社長が急に健康上の理由でどうしても出来ないという申し出をされまして、株主総会のちょっと前だったのですが、私も直接に「せめてこの1年か1年といわずとも、もうちょっとやってほしい。体力的に無理がかかるようなことはなるべくしていただかなくてもいいような体制もとりますよ。」というお願いに行きましたが、どうしても健康上の理由を強く言われましたので、私としても無理は言えないと思い、一月足らずの短期間、かなり探してもらいましたが、適任者がいないという返事でして、やむを得ず、OTS社長に決まっていた河合さんに、次の人が決まるまでつないで欲しいと無理をお願いしました。河合さんも当初、固辞されましたが、私が直接お会いして、今、社長を空席にするわけにはいかないとお願いをして、最終的には受け入れてもらいました。で、株主総会の日に至ったということです。
■記者
WTCは民間人社長を今も探していて、見つかったら代わっていただくということですか。
■市長
もちろんそうです。

■記者
世界陸上の子どもプロジェクトについて、当初、全体の観客の目標が45万人ぐらいだったと思いますが、(子どもプロジェクトは)そのうちの8万とおっしゃっていましたね。ずいぶんな数だなと思って聞いたのですが、この子ども8万人ぐらいをフルに動員すれば、45万人の目標がなんとか達成できそうだというような感じなのでしょうか。
■市長
今のところ、チケットの売り上げが予定の30%弱。ヨーロッパの大会では2ヶ月前に半分ぐらい売れていたらしいが、日本の場合、東京で10数年前に開催された時は、(大会が)始まってから売れたらしい。カールルイスが世界記録を出して、そこからだーっと。1ヶ月前にもう少し売れるように今、組織委員会で一生懸命やっています。日本選手が今日決まり、何日には日本の誰々が出るなどがはっきりしますので、売れることを期待しています。世界の有名選手がいつ、何に出るかという情報を的確に流してほしいという希望がありましたので、それはやりたいと思います。

■記者
参議院選挙モードにかなり入ってきていると思いますが、立候補予定者から応援の要請等がどの程度来ているのかということと、そういう依頼が今後あった場合、どのような形で対処されていくのか、お聞かせいただけますか。
■市長
今までは、事務所開きの案内で、ひとつは行き、ひとつは国家予算要望が重なって、終わる頃到着だった。それ以後の要請は今のところありません。要請があれば、こちらの公務とのプライオリティを考えて、特段支障がないか見極めをして、できるだけ対応したいと思います。これから7月終わりまで、かなりいろいろ行事も詰まっていますけど、依頼があれば、公務に支障のない範囲で対応していきたいと思います。

 
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