平成19年7月25日    大阪市長会見要旨
 

【世界陸上について】
世界陸上もいよいよ一ヶ月前となり、今日は8月25日の朝をどういう気分で迎えるかなと思ったりしていました。今月30日には、長居陸上競技場でテロを想定した総合訓練を実施します。世界陸上が安全に無事終了することを願っており、残り1ヶ月、万全の対策で取り組んでいきたいと思っています。ぜひ、皆様方にも取材もしていただきたいと思います。

【大阪市・市立大学 新時代パートナーシップ協議会の設置について】
本日は、大阪市立大学の金児学長兼理事長にもおいでいただいておりますが、大阪市立大学と「新時代パートナーシップ協議会」を設置することになりましたので、そのことについて説明します。大阪市立大学は平成18年4月から公立大学法人に移行し、金児理事長のリーダーシップのもと、伝統ある大学として、また公立大学として、地域社会への貢献や都市大阪のシンクタンク機能の発揮など、魅力ある、そして市民の誇りとなる大学づくりを主体的・自律的に進めておられます。過日、第1回大阪市公立大学法人評価委員会が開催され、近々1年間の評価結果が出されると思います。一方、大阪市でも市政改革を進めており、創造都市づくり等戦略的な都市経営に取り組んでいます。創造都市研究科という大学院コースを持っているのは、大阪市立大学が唯一の大学ですし、そういう意味でも「新時代パートナーシップ協議会」では、大きな力を発揮していただけるものと期待しています。大阪市と大阪市立大学はこれまでも密接に連携してきましたが、改めて協議会を設置し、新しい連携のためのメニュー等も考えていきたいと思いますし、大阪市が抱えるいろんな都市問題の解決のためのひとつの大きな役割を果たしてもらえると思っています。同時に、市立大学にとっても大阪市という都市からいろんな研究材料が得られるので、双方に非常にメリットのある協議会になると思います。こうしたことから、本日午前中に金児理事長とお話して、大学の経営課題の解決に向けた支援策や創造的な連携方策などについて、私も金児理事長も議論に参加して検討・協議を行う「新時代パートナーシップ協議会」を設置することとしました。
この協議会には、プロジェクトチームも設置し、大学の経営課題の解決に向けた支援策並びに、市立大学の人材・知的資産の市政及び地域貢献・活性化の取組への活用、双方の課題認識に基づく共同プロジェクトなど具体の連携方策を検討していくこととしています。これまでも、大学からは市のいろいろな審議会に学識経験者として参加してもらっており、市の職員も大学で講義をしたりしています。協議会の設置によって、そういう事をもう少し体系的・効率的にやっていけると期待をしています。大学は、これからの都市にとって大事な資産になるので、大学と都市行政が双方うまく意思を通わせ、現実的な成果があがるように取り組んでいきたいと思っています。 理事長からもお願いします。
(大阪市立大学学長兼理事長)
大阪市立大学は、法人化以前は大阪市の大学局という一部局であり、大学の運営や事務業務には大阪市の職員が参画し、また大学の執行部と市長・助役との間で懇談会が定期的に開催され、その中で現状報告や諸課題について話し合いの場がもたれてきました。相互の情報の共有と連携については問題がなく行われてきました。例えば、先ほど市長からもお話しがありましたように、大阪市政の各般において、各局の基本政策や具体の施策を審議する審議会や委員会などに大学の教員が参画して提言などを行ってきましたし、政策課題については、特定のテーマのもとに大阪市からの研究の委託等も行われてきました。
大阪市立大学にとって、地域貢献は一番大事な機能の一つであり、文化交流センターでの市民を対象とした公開講座や医学部での市民医学講座など、市民向けの公開講座を展開してきました。また、市民の生涯学習、文化への欲求などにも積極的に応じてきました。さらに、大阪市立の高校との高大連携、市教委が進めているスーパー商業高校への協力や学術情報総合センターの市民利用制度、医学部における「健康・予防医療産業」の創出など、多くの大阪市の施策にも貢献してきました。 しかし、法人化以後は法的には市から独立し、法人職員によって構成される法人運営本部や大学運営本部によって経営・運営が行われることになり、また、これまで市と連携してきた大学教員の高齢化や退職などもあり、大学の有する人材や知的資産に関する情報が市に伝わりにくくなっていくことが懸念されます。 また現在、大学は多くの経営課題を抱えており、例えば学舎の老朽化や附属病院の看護師不足、JR杉本町駅周辺整備などで、これらの課題は設立団体である大阪市の理解と支援がなければ根本的に解決できない問題であり、そのために大学と市との間で十分な協議が必要であると考えています。
大阪市が抱える課題についても、さきほど市長がおっしゃったように、創造都市をめざした戦略的な都市経営に取り組んでおられ、大阪市立大学では平成15年度に創造都市研究科を設置し、また昨年には、大阪の街に溶け込みながら研究する組織「都市研究プラザ」を開設しています。このように9研究科を擁する大学として、全学をあげて市と共同プロジェクトチームを組み、大阪市の創造都市戦略に大きく貢献することが可能であると考えています。協議会のなかで具体の方針を策定していきたいと考えています。
協議会およびプロジェクトチームの設置により、大阪市立大学がこれまで以上に市民に親しまれ、市民の誇りとなる大学となることを願っています。

【大阪市立図書館「調べ学習」支援を充実】
次に大阪市立図書館「調べ学習」支援を充実について説明します。
大阪市立図書館では、知識創造型図書館への変革に向けたプロジェクト事業を進めています。その一環として、子どもの豊かな心と温かい感性を育み、確かな学力の基礎である読解力と創造力を育成するため、知識や思考力の獲得に重要な時期である小学校高学年を主な対象とした調べ学習用図書の整備・充実を図ることとしました。
これまでも学校教育への支援として、「調べ学習」のための団体貸出等を実施してきており、平成18年度には市内159校の小学校に約26,000冊の本を貸し出しています。年々利用が増加しています。私も学校の図書館に行きまして、子どもが一生懸命調べている様子を見ましたが、こういうことは、単なる知識の獲得だけでなく、ものを考える、新しいものを創り出すという力をつける良い学習法だと感じました。今年度から毎年各地域図書館(23館)へ2セットずつ、中央図書館には29セットを配備していき、平成22年度には、全小学校を対象とした300セット、約9000冊の図書の整備を行います。また、大阪市立図書館における「調べ学習」の支援事業として、司書が図書館の使い方や、新聞、雑誌も含め、図書館に所蔵されている多種多様な資料の探し方や、4月から供用を開始した商用データベースなどの図書館における電子情報の入手方法の説明など、大阪市立図書館と学校との連携をさらに深めて、子どもたちが自分で必要な情報を探し出す力を身につけるよう進めていきます。
大阪市立図書館では、今後も明日の大阪を担う創造的人材の育成に貢献すべく取り組みを行っていきたいと考えています。

質疑応答

■記者
「新時代パートナーシップ協議会」での取り組みについて、具体的にこれをと考えているような項目、具体化しているような項目はありますか。
■学長兼理事長
協議会は、市長と私とが中心になり、大学の役員と大阪市の副市長、経営企画監、市政改革室長、計画調整局長等がメンバーとなって、双方の経営課題について情報を共有したり、今後の取組方針について、具体方策を協議したりするという役割を担っています。協議会での審議内容に基づいてプロジェクトチームを設置します。このプロジェクトチームは大きく2つに分かれます。ひとつは「経営改革支援プロジェクトチーム」で、大阪市立大学の経営課題を共有化してその課題の解決に向けた市からの支援方策等を決定していただくもので、月1回程度、定例的に開催していきます。もう一つは「創造的連携プロジェクトチーム」で、本学の人材、知的資産を市政に活用していく具体的な方策について考えていくものです。具体的には地域貢献への取り組み、都市大阪を活性化するための施策の共同研究のようなものがあると思います。この「創造的連携プロジェクトチーム」の中で本学の教員が都市大阪のシンクタンクとしての貢献ができると考えています。
■市長
大きくは今、学長が言われたとおりです。個々具体のいろんなプロジェクトをこれから双方で相談して作っていきたいと思います

■記者
WTCとATCの家賃の件で、先日鑑定結果が出ましたが、その結果を踏まえて、市長のお考えをお聞かせいただきたい。
■市長
裁判の中での鑑定であり、訴訟上の専門的な問題も含まれるので、代理人である弁護士とも十分に相談、協議をしていきたいと思っています。裁判とは別に、大学の学識経験者、弁護士、公認会計士等の方で構成される特定団体経営監視委員会を設置しておりますので、鑑定の結果を委員会にきちっと報告をして、これからどのような会社経営の進め方があるか等について、委員会の方の意見を聞きたいと思っています。今、日程調整をしてもらっていますが、なるべく早い時期に委員の意見を聞きたいと思っています。

■記者
フェスティバルゲートに入居しているNPOの受け入れ先について市長が異例のコメントを出されました。その後、受け入れ先探しをしていますが、現在、厳しい状況だと聞いています。現時点の市長の思いをお聞かせいただけますか。
■市長
今まであそこを使って活動されてきたNPOは新しい時代をにらんだユニークなNPOだと思っています。ああいう活動はこれからの街づくりに非常に大事ですので、活動はぜひ続けてほしいと思っています。しかし、フェスティバルゲートを維持していくのは、実際、オール大阪で考えた場合、厳しい問題ですので、活動拠点として使ってもらえる別の場所を斡旋しているところです。そういう場所を使って活動をされるところもあるでしょうし、自ら場所を探すという団体もあるかもしれませんが、とりあえず、すべてのところに代替の場所の斡旋をしたいと思い、今、やってもらっています。

■記者
参院選への市長の応援の話ですが、前の会見のとき、事務所開きに行かれたという話でしたが、それ以降、何かありましたでしょうか。
■市長
要望があれば行くと申し上げたとおりです。この間、安倍総理が来られて、できれば来てほしいということで、ちょうど時間もうまくあっていたので行きました。別に壇上に上がるわけではないので一聴衆ですね。しかし、安倍総理とは直接、話も出来ました。もう日も少ないですが、要望があれば同じような対応はしたいと思っています。
■記者
マイクを握っての応援演説っていうのはしないようにしているのですか。
■市長
しないようにというより、そういう形になっていなかったということです。要望もありませんでした。
■記者
3年前の時も全然そういうことはされなかったのですか。
■市長
そうですね。国政選挙では、国会議員を中心にその前の応援演説をする人はかなり数が多いので、そういう形の要望はないです。
■記者
この参院選では一回もないのですか?
■市長
ないですね。
■記者
公明の事務所開きのときはマイクを握っていらっしゃいましたね。
■市長
あっ、そうそう。そうです。自民党の事務所開きのときが、国家予算要望とちょうどぶつかっていて、行ったら、ちょうど終わったところでした。物理的に間に合わなかった。
■記者
3年前は自民公に対して、同じように対応されていたと思いますが、今回は意識的に自公だけにされているのですか。
■市長
要望がないところに押しかけて行けませんからね。

■記者
同じような質問になってしまうかもしれませんが、前回の市長選で、推薦が自公でしたがその関係で。民主に風が吹いているようなかたちになっていると思いますが、そういう情勢についてどのように思われますか。
■市長
答える立場ではありません。メディアの報道ではそのようですが、我々サイドで調査しているわけでもないので。実際、選挙投票日が終わらないと分からないのではないでしょうか。
■記者
今回の選挙結果は、ご自身が次の市長選に出られるかどうかの判断材料にされますか。
■市長
いや、それは関係ありません。

 
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