平成19年10月15日    大阪市長会見要旨
 

【メールを活用した職員から市長への政策提案の具体化および職員ベンチャー制度に関する検討結果について】
今日はまず、メールを活用した職員から市長への政策提案の具体化と職員ベンチャー制度に関する検討結果について説明したいと思います。
資料はお手元にあるかと思いますが、今年度は78件の提案がありました。今回は、市民等との協働と「食」を切り口とした2つのテーマについて政策提案の中から選んだ優れた提案について、提案者と関係局職員によるワーキンググループで、提案実現に向けて検討してきました。
その結果、9つの企画案がまとまりました。そのうち、特に事業目的・事業内容が明確で、また、その事業を行うに際しての関係先の考え方や、すでに大阪市がやっている既存の施策との整合性というようなことを考慮して、「支援者とNPO等をつなぐマッチングシステム」、「市民活動推進基金等の効果的活用」、「大阪グルメアワード」の3つについて、平成20年度の事業化をめざすということにしました。
「支援者とNPO等をつなぐマッチングシステム」は、地域貢献活動を支援したいと考えている企業と支援を求めているNPO等を相互に結び付けるための仕組みづくりです。これは、このマッチングというチャンスがなかなか少ないので、「結び付ける」という仕組みづくりをするものです。次の「市民活動推進基金等の効果的活用」は、基金の財源確保のために、基金のPRあるいは募金、寄付を広く受け入れるための仕組みを作るということで、これもこれまで無かったことで、必要な事業であると考えました。
「大阪グルメアワード」は、小学生に野菜の栽培・収穫体験をしてもらったり、大阪産の食材を使った料理コンテストを開催し、優秀な作品について弁当等の商品化をめざそうというものです。
残念ながら事業化に至らなかった6つの企画案についても、将来的に環境や条件が整えば事業化は可能であると考えていますので、今後の施策の参考にしていきたいと思っています。
次に、昨年創設した「職員ベンチャー制度」について今年度は14件の提案がありました。その中から「大阪市政総合PRマスコット事業」と「区役所チャンネルの開設モデル事業」について選考し、提案メンバーにより事業立案に向けた検討を行いました。
残念ながら事業化としての決定には至りませんでしたが、しかしながら、企画提案したメンバーの事業化に向けての取り組みの姿勢は高く評価できると思いましたし、プレゼンテーションの力が非常に高く、表現も分かりやすいものでした。
今回、精力的に企画案をまとめた職員の熱意、努力に、非常に力強いものを感じました。そして、この熱意、努力こそ、これからの大阪市を創造していく原動力であると確信しています。
プレゼンテーションを聞いても、やろうというパワーを感じましたし、市職員のプレゼンテーション能力も非常に高くなっているなということを改めて感じました。
これからも、いろいろ、職員からの提案を受けていきたいと考えています。

【区政改革にスポットをあてて区役所事業を紹介】
次に、(先日)市税事務所を開設しましたが、これは、市税事務所体制をつくったということ以外に、いわゆる、区役所の改革というか、区役所も大きな転換期を迎えたということも同時に言えるわけで、現在の重点項目であります区政改革にもスポットを当てて、一部の事業を紹介したいと思います。
言うまでもないことですが、区政改革のめざすところは、区役所が市民に最も身近な行政機関として、より良く機能するということと、そのことを通じて「大阪市が変わった」ということを市民に実感してもらうということで、そのことが非常に大事だと思っています。
ワンストップサービスや証明書交付請求書の統合というこれまでの区での成果をまとめたものを1枚ものの資料にしています。私は常々、ベストプラクティスに学ぶということを言っていますが、区においても、ある一つの区での取り組みが、他の区から見て、自分の区でもこれは採用したほうがいいと思ったときは、それを取り入れようということで、これが拡がっていき、それがさらには、区の間での競争にもつながって、そして、全体として市民サービスの向上につながるということを大いに期待しています。
大阪の24行政区は皆さん方よくご存知のとおり、それぞれ全く違う特性を持っていて、その地域の実情も非常に違う。その中で、一律ではなく、本当にきめ細かく市民のニーズを捉えて、タイムリーに対応していくためには、これまでの市役所がやってきたような画一的なアプローチではなく、まずは地域の実情を本当によく知ってもらわねばならないし、一番知りやすい立場にある区役所、そこに、大いに私は期待をしています。これこそ、区政改革の基本の精神ですから。「市民との距離の近さ」というのは、区役所の最大の強みですよね。それを生かして、身近な区役所が拠点となって、地域の様々なニーズ・課題を把握し、地域住民との参画・協働による取り組みをすることがこれから非常に重要になってくると思っています。
そのためにも、平成19年度に創設した区の独自予算を拡充し、今後も権限や予算を局から区へ積極的に移していく。それから、区役所が主体的に行う、地域に密着した事業を充実していきたいと思っています。
お手元にお配りしていますが、此花区で11月11日(日)に区民約1,000人が参加予定の舞洲一斉清掃が行われます。これは、区民の中から、舞洲を広く区民にもっと知ってもらい、舞洲を区民にとっても貴重な資源として育てていこうという機運が起こり、この機運を区役所が捉え、区内の企業なども巻き込んで、今回の取り組みを企画したと聞いています。
これは素晴らしい、いいことだと思いますし、身近な地域資源は市内にたくさんあるわけですが、こうした身近な地域資源を掘り起こし、まちの魅力として育て、発信し、自分たちもそれをまちへの愛着につなげていくということも、区役所でしかできない、区役所の強みを生かせる分野だと思っています。
今回、此花区を取り上げたわけですが、このほかにも、区役所ではそれぞれの地域と連携した清掃や地域安全見守りなど、いろんな事業がすでに行われています。一昨日の13日には旭区で大阪工業大学と連携した淀川の掃除が行われ、昨日の14日にも西成区で1400人規模の大掃除、これも区でつくった『心あわせて、力をあわせて、つながりづくり』というコンセプトで行われています。
こういう市民と区役所が主体となった、地域地域での取り組みが広く知られることが、まちづくりに取り組む住民の皆さんの意欲を高めるということにもつながると思っています。こういう動きを大事にしていきたいと思っています。
ふれあいトークも24回やりましたが、区民のボランティアとかNPOの人が身近な問題を取り上げて、区全体にそれを広げようとか、いろんな行動をやっているのを、これからの大阪市政のひとつの大事な力だと私は思っています。
区役所自身も、もっと積極的に報道発表をしたいと考えていますし、私もそのことを積極的にこれからPRしていきたいと思っていますので、お集まりの報道各社の皆さん方のご協力もぜひよろしくお願いしたいと思います。

質疑応答

■記者
市長選の関係ですが、先日、民主党が毎日放送元アナウンサーの平松邦夫さんを擁立という記事が報じられ、民主党は近々、正式に決定して、記者会見をという運びになるようです。新たにまた候補者が出るということになりましたが、そのことについての市長のご見解をお願いします。
■市長
私は、平松さんという方個人は、存じ上げないし、あまり予備知識もないのですが、立候補されるのは、当然、誰でも持っている権利ですから、これは、自由だと思います。民主党の推薦と報道で聞いていますが、私の今後の行動とは直接は関係ありません。私は私の信念でやりますので、特段のコメントはありません。
■記者
市長選が自民党と民主党の対決という構図になりそうだということについてはどうお考えですか。
■市長
(平松さんは)民主党推薦で出られて、私は今、自民党、公明党に推薦をお願いしていますが、まだ決定していません。ご質問の趣旨は、国の国政選挙の構図を念頭において聞かれているのかと思いますが、全体の国の流れがそういうことですし、その現実はある程度、地方へも波及してくるでしょうね、実態としては。
■記者
大阪府の太田知事なんかは、そういう国の自民対民主の争いをあまり地方に持ち込んでほしくないというようなことをかねがねおっしゃっていますが、そういう考えはおとりにならないのですか。
■市長
これは、当事者が望むか望まないかという問題ではなく、現実として、そういう波及は起こりうると私は思います。
■記者
その中で、自公の候補として、民主党と対決していくという決意でいらっしゃるわけですか。
■市長
推薦をお願いしている以上、ぜひ、ご推薦いただきたいと思っています。ご推薦いただければ、私は、無所属ですが、自民、公明の推薦を得た候補として(たちます)。しかし、私は推薦を頂くにあたっても自分の考えをきちっと説明してますし、その線上で私はやっていきたいと思います。地方の大阪市という市の市長として、やるべきことをやるという、それが私の信念ですから、それをやっていきたいと思います。
■記者
土曜日に公明党にマニフェストについて説明をされたと思いますが、どんな内容だったのか、どういうやりとりがあったのかについて、できれば。それと、まだ自民党、公明党ともに推薦は決定されていませんが、後援会としては、16日に事務所開きをして、18日に決起集会を開くとのことで、それまでにやはり推薦をいただきたいというか、決めていただきたいというか、そういう思いがあるのでしょうか。
■市長
土曜日の件は、土曜日は私の基本政策について、はじめに私のほうから全体説明をして、その後、個々の項目について質疑がありました。項目がたくさんありますので、予定より少し時間オーバーして、1時間40〜50分ほどかかりました。非常に熱心に、各項目一つ一つについて質問があり、それに私が答えた。非常に私にとって有意義な時間だったと思います。そこは何も決める場ではありません。質疑をした。明日の16日に事務所開きが後援会主催であります。18日も後援会の総会が開かれます。これは、候補者の私としては、大事な行事ですが、これと政党推薦は直接関係はない。いずれにしても、選挙は11月4日から始まりますから、その準備をきちっとしないといけないので、後援会と私が一体となってこれをやっていきたいと思っています。18日の後援会の総会、決起集会と後援会が言っていますが、これは非常に大きい一つの吉所だと思いますので、そこへ向かって私も、全力で後援会の皆さんに私の考え、基本政策について改めて私の口から説明をして、一層理解を深めていただいて、それをもっとひろげてほしいと。そういう大会になるように、やっていきたいと思います。
■記者
自民党の時と同じように、やはり、各項目について、例えば、この辺をもう少し加えたらどうかとか、逆に省いたらどうかというような要望などはあったのでしょうか。
■市長
省いたらどうかというのは無かったですけども、新たに加えたらどうかというご意見はあり、それは、大きいくくりの中に入っているのもあるし、まったくそこに入っていないのもあったので、これはちょっと検討させてもらいますと返事をしています。いずれも建設的なご意見です。
■記者
基本的には、先日、マニフェストを発表された会見の時のお考えと同様で、あの基本政策はもう変更はしないということなのでしょうか。
■市長
大枠、骨格に関する変更はしませんが、いずれも建設的なご意見ですので、表現とか新たな細目の追加とかで非常にいいなあというのは、いれてもいいと思っています。その辺は柔軟に考えています。
■記者
先ほど、職員ベンチャーでの説明の中で、職員のプレゼンテーション能力があがっているので喜ばしいというお考えをお示しになりましたが、同時に、市民にそういう政策を伝えるプレゼンテーション能力というのは、自治体トップには非常に重要だと私は思います。そういう観点からは、ご自身、どう評価なさいますか。それから、市長選のからみで言えば、相手候補の平松さんというのはもとアナウンサーですから、その意味ではかなり強敵だと思うのですが、ご自身、どう思われているのでしょうか。
■市長
プレゼンテーション能力というのは非常にこれから大事なことは事実です。市の職員の中にもこんなにレベルの高い連中がいるなというのは、非常に心強く思いました。同時に、もっと大事なことは、そのコンセプト。内容はどうかということが一番大事で、それプラス、プレゼンテーションの技術。これは基本です。ベンチャーやメールによる提案でも、中身もしっかりしているし、表現能力もよかったと私は思いました。私自身がどうかというのは、これは第3者評価で、私は分からない。前に誰かにうまくないというのは言われたけど、努力しないと仕方がない。
■記者
マニフェストはまた変更されたものを発表されるのでしょうか。
■市長
市民には、11月4日以後に全部、印刷物として配りますから、そのときには変更や追加は、可能ですけど、骨格は変えません。表現の仕方など、自民、公明からいただいたアドバイスで、これはいいというものについては、考えて、ちゃんと対応したいと思います。

 
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