平成19年12月18日    大阪市長会見要旨
 

【退任にあたって】
本日12月18日付けで大阪市長を退職いたします。この4年間、間で1回選挙をはさみましたが、記者クラブの皆様にも大変お世話になりましたし、まずはこの4年間、市長としての私を支えてくださった市民の方々や多くの方々に、心から厚くお礼を申し上げたいと思います。記者クラブの皆様にも定例の記者会見以外にもいろいろ取材もしていただき、大阪市の考えていることを広報していただいたこと、この場をお借りいたしまして、厚くお礼を申し上げたいと思います。
同時に、今の大阪市の置かれている現実を直視し、現状をよく理解して、昨年2月に策定しました市政改革の基本計画、市政改革マニフェストと呼んでいますが、これをベースにした市政改革を実際に行動に移し、1年11ヶ月足らずの短期間の間に、職員の削減や経費の削減等を実際にやり遂げてくれた職員に心からお礼を申しあげたいと思います。実際、市政改革をやったのは私ではなく職員ですから、職員の皆さんは是非、この1年11ヶ月の間にこれだけの成果を挙げたということに自信を持って、これからの大阪市政を進めてほしいと思っています。
大阪市は日本における大都市とはいえ、やはり基礎的自治体の一つであるわけで、日常的な行政サービスは非常に幅広く、同時に非常にボリュームのある仕事ですが、これが市長が代わったということで一瞬たりとも停滞することがないように、是非、職員はそのことを念頭に置いて市政を進めていってほしいと願っております。
地方分権の時代というか、これは国際的にもそうですが、先日も京都でグローバル化時代におけるローカルガバナンスというシンポジウムがあり、私も、知っている人も出ていましたので勉強に行きましたが、EUでも北米でもアジアでも、やはり、地方分権という一つのキーワードが非常に大きいウエイトを占めているということがよく分かりましたし、これはやはり避けられない。今、日本の国が進めているやり方が本当にベストかどうかは別として、これは非常に大事なことですので、この受け皿である地方自治体、特に大阪市のように影響力のある自治体はきちっと、今やるべきことをやっておかねばならない、そういう大事な時だと思いますので、是非、市政が停滞しないように進めてほしいと思っています。

質疑応答
記者
今のお話にもありましたが、次の市長の平松さんとの引継ぎ、これはどのようになっていますか。
市長
次の市長には先日、1時間半ぐらいお会いして、私の考えている大阪市の抱えている課題、それから現状について申し上げました。同時に、今皆さんに言いましたように、市長が代わることで市政が停滞するということが絶対あってはならないので、それはやはり行政の責任ですから、これはきちっと一瞬の停滞もなく流れていくように、是非お願いしたいということを申し上げました。
記者
現状をどのように伝えられたのですか。
市長
1つは財政。私がお会いしたのは先週ですが、3週間ぐらい前から、各局から現状の説明をやってもらっていましたので、そのヒアリングの中からある程度の予備知識を得られたと思いますが、私はやはり基本的なことで、気がかりなのは今申し上げたように、地方分権の受け皿としての大阪市が本当にきちっとしてなければ経済的な成長とか発展、そういうことも期待できないと。経済界の方との接点もこの2年間余り、市政改革本部やいろんな場面で非常に多くの機会がありました。そういうことで、役所の中の常識ではなく、市民の目線も大事ですし、いろんな企業を経営してる方々と同じような視点も非常に大事だと思います。関西全体の経済は地盤沈下と言われますが、私は必ずしもそうとは思っていませんが、やはりより発展していくためには、そういう要素もいると私は思っていますので、率直に自分の考えを言いました。これは私の考えですよという前提で、組織のスリム化とかこういうことは非常に大事ですということを申し上げました。市政が停滞することがないようにということはもう、繰り返し、お伝えしました。
記者
そのあたりは伝わったと思われますか。
市長
程度は分かりませんが、かなり理解された、現状認識はある程度されたと思います。
記者
4年間、本当にいろんなことがありましたが、市長が今振り返って一番印象に残っていることは。
市長
やはりひとつは2年前の選挙です。これも賛否両論でしたし、そのときはなぜ選挙するかという説明にかなり終始していましたが、今振り返って、やって良かったと思います。40日間という市長不在の空白期間を作ったことは事実ですし、経費もかかったという批判もありますが、ひとつのきちっとした区切りというかけじめがつけられたので、次の市政改革を進めるにあたってはやはりやって良かったと思います。
一連の同和関連の問題で、大量の職員の処分をし、懲戒免職者も出したりしたのは非常に厳しい一つの試練でしたが、本当に差別を解消するにはどうしたらいいかということを、原点から考えなければならないところに来ていて、それに沿った市政を進めるべきという結論に達して、特別扱いをしないということを運動体にも明確に伝えました。
それからコンプライアンスの条例化も、振り返ればひとつのエポックというか、大きなことだったと思います。
記者
市政改革を、最終的にはやり遂げることはままならない状況ですが、率直に、悔しさとか、そういったことはありますか。
市長
悔しさというよりもう一歩やっておきたいというのは組織のスリム化。私の考えでは、これ抜きには大阪市の将来は不安で、完全に体質が変わるところまでもう一歩というところで出来なかったことは残念です。しかし、これは選挙ですので、その結果は厳粛に受け止めたいと思います。
記者
平松市長にこれだけはお願いしたいというのは。
市長
繰り返しお願いしたいのは、市政が停滞することがなくきちっと流れていくようにと、市長が代わったがために市民に迷惑がかかるということだけは避けてほしいということで、これは繰り返しお願いしましたから、その点は十分に理解していただいたと思います。
記者
4年間をあえて一言でいうとどんな4年間だったなと思いますか。
市長
これはどこの市長でも一緒ですが、ハードワークですよね。
記者
自身で4年間を採点すると。
市長
これは難しいですが、60点はかろうじて超したと思います。
記者
それはどういう判断ですか。
市長
60点を仮にすれすれの落第点でない点としたらということです。
記者
足らないところは。
市長
前にどこかの会見でも言われましたが、説明下手だと。
記者
では、市長がしようとしたこと、あるいはしてきたことっていうのはうまく伝わらなかったというのもあったということですか。
市長
行財政改革というのを分かりやすく説明するやり方は多分あると思いますが、非常に難しい。多分、一般の市民の方が理解しにくいことの一つだと思います。もうちょっとうまく言えば出来たんでしょうけれど、理解するのは大変難しかったと思います。例えば、経費をこれだけ削減した、大阪市の財政状況はこれだけ厳しいと言っても、それはそれぞれの家計とかそういうところから見たら金額の桁がぜんぜん違うので、理解しにくいとこはあったと思いますが、これは仕方がない。もうちょっとそういうトレーニングはいるでしょうね。職員もみな一緒の立場だと思います。
記者
辞められたあとはどうなさるお考えですか。
市長
まだぜんぜん決めていません。明日以後に考えようかと思っています。
記者
とりあえず、明日は何をされますか。
市長
明日は午前中に引継ぎのセレモニーがありますから、午前中はこっちに来ます。
記者
大阪市民、あるいは日本の国民というか、有権者に対して最後にメッセージ、要望を含めてみたいなのがありましたら。
市長
市民の方はそれぞれの意見を持っておられるので、むしろこちらが市民から聞きたいと思います。どんどん世の中や社会が変わりつつあるわけですから、こちらが要望するのはおこがましいと思います。むしろこちらがもっときちっと理解をしておかねばならないと思います。
 
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