平成20年2月20日    大阪市長会見要旨

【平成20年度予算案について】

おはようございます。朝早くからお集まりいただきましてありがとうございます。
ただいまから、平成20年度の予算編成の説明をいたします。
今、パワーポイントのスクリーンが私の後ろにございますけれども、ここに出ているものと同じものを資料としてお配りしております。
それでは始めさせていただきます。
このたびの予算編成におきましては、改革を緩めず目標達成に向けて取り組むとともに、市民が主役の市政により、大阪の元気を取り戻すことをめざしました。このため、まず、現在の厳しい財政状況を踏まえて、行財政改革を一層推進することとし、「公平性・透明性の確保」を図りながら、「財源の確保」や「人件費の見直し・公共事業の削減」に努めることといたしました。その上で、こども、地域、そして大阪が元気になる施策へと重点化を図ることといたしております。
こうした方針のもとに編成しました一般会計の予算規模は、前年度と比べ2.1%減の1兆5,925億円、7年連続のマイナスの緊縮予算としており、景気対策前の平成3年度以来となる1兆5千億円台の規模となっています。全会計の歳出規模につきましても、前年度と比べ4.6%減の3兆8,560億円、3年連続のマイナス予算としており、平成4年度以来の3兆円台の規模となっています。最も基本的な収入である市税は、前年度と比べて0.9%増の6,868億円で、その伸び率は、昨年度予算の9.8%と比較すると鈍化しており、市税収入のピークであった平成8年度決算と比較すると、約900億円の減収となっていることから、依然として厳しい状況と言えます。
次に、市政改革の達成状況でございますが、5年間の一般会計の歳出削減目標2,250億円に対しまして、3年間で1,754億円の削減としており、78%の達成率となっています。この達成状況の内訳につきましては、経常経費では、900億円の削減目標に対して、429億円の削減、投資的経費では、1,100億円の削減目標に対して、1,008億円の削減、特別会計繰出金では、250億円の削減目標に対して、目標を上回る317億円の削減としています。今後、歳出の内容を精査し、さらに経常経費の削減に取り組む必要があると考えています。
また、市債発行額につきましても、5年間の削減目標714億円に対して、3年間で584億円の削減としており、達成率は82%となっています。この発行抑制により、予算ベースの市債残高は、一般会計・全会計ともに3年連続で減少することとなりました。しかし、依然として高水準にあることから、引き続き市債発行の抑制に努める必要があると考えています。
また、職員数の削減につきましては、市立大学の独法化を含んだ5年間、7,000人以上の削減目標に対して、3年間で約6,100人の削減としており、8割の達成率となっています。
次に、予算における財政健全化の主な取り組みについて申し上げますと、まず、WTC・ATCの抜本的処理策については、1月末に立ち上げた検討委員会の意見を聞きながら、予算審議に向けて、再建策や最終処理策の手法のメニューを提示していきたいと考えております。そして賃料につきましては、継続家賃の鑑定をもとに減額を要請することとし、予算を減額し計上することとしております。
また、道路公社の経営改善をはかるため、特に経営が厳しい土佐堀駐車場の借入金を、20、21年度の2ヵ年で分割して繰上げ償還するとともに、公社駐車場全体の借入金の利子補給を行うことといたしました。
補助金等につきましては、ガイドラインに沿って126項目の内容を見直し、金額では、交付金等への科目切り替えも含めて29億円の削減をはかることとしています。
地対財特法期限後の事業等については、「見直し方針」に沿って6億円の削減を行うこととし、2ヵ年累計では45億円の削減としています。
このほか、施設活用の見直しとして、ごみ焼却工場の配置計画を、10工場から9工場の稼動体制へと見直すこととし、公共事業の見直しとして、新人工島土地造成事業のうち、緊急性の乏しい市単独事業部分を21年度をもって休止することといたしました。 また、経営形態の見直しとして、工業研究所を地方独立行政法人へ移行させるほか、民間委託の推進として、指定管理者制度の導入を大規模公園等にも拡大し、さらに、歳入確保策として、市税や保育料等の未収額圧縮に向けた取り組みを強化することといたしました。
なお、こうした改革を着実に推進するとともに、官房機能を統合・強化するため、経営補佐部門を再編することといたしました。 市政の企画立案部門と秘書部門を一元化し、「政策企画室」を新設するほか、市民目線に立ったガラス張りの市政を実現するため、「情報公開室」を設置するとともに、「市政改革室」については、市政改革を強力に推進するため、市長直轄の独立部局として位置づけることといたしました。
次に、平成20年度予算で重点的に取り組むこととした施策について、ご説明します。
今の大阪市は、市の情報が市民に行き届いていない、ポテンシャルが活かされていない、「官」と「民」の壁があるなど、いろいろな意味で閉塞感があると強く感じています。この閉塞感、停滞感を打ち破り、大阪を明るく元気にしていくためには、やはり市民の創造的なアイデアや市民パワーを活かすことが重要だと常々言い続けております。 そこで平成20年度予算では、市民が主役の“元気な大阪”をめざすべく、『こどもが元気!』『地域が元気!』『そして、大阪が元気!』という『3つの元気づくり』をキーワードとして施策の重点化を図ることとしました。 まず『こどもが元気!』ですが、核家族化、親の育児不安、ライフスタイルの変化など、こどもを取り巻く環境は大きく変化してきています。こども本人についても、からだの不安やこころの不安など、健やかに育つ上での不安要素がいろいろとあります。こうした中、大阪市の合計特殊出生率は、依然として全国平均を下回る状況が続いています。大阪市の子育て施策は、他都市と比較しても、決して劣っているものではありませんが、「大阪市内では子育てがしにくい」という誤解も根強くあります。こうした固定観念を払拭するためにも、20年度予算では、子育てを支える仕組みの充実や、こどもの「生きる力」の育成、確かな学力を身につける教育の充実、中学校昼食など「食育」の推進に力を入れました。主な事業としては、まず平成21年度末に保育所待機児童の解消を図るため、民間保育所の整備助成、市の建物や市有地を活用した民間保育所整備など、様々な手法によって20年度に1,591人の定員枠拡大を図ります。また、子育て世帯の経済的な負担を軽減するため、乳幼児医療費公費負担の対象者を入院で小学校修了まで引き上げるとともに、妊婦がより健康で安心して出産を迎えられるよう、妊婦一般健康診査の公費負担を2回から7回へ拡充します。また、こどもの創造性を育むための豊富な体験機会を提供するとともに、中学校昼食事業として、弁当を持参できない生徒に昼食を提供するほか、新たに親子弁当教室の開催や弁当レシピ集の配布など弁当の持参に対する支援や、中学校における選択制給食の検討も行います。
2つ目は「地域が元気!」です。
私は「市民との協働なくして大阪の再生なし」と考えています。NPOやボランティア活動に関心のある市民は大変多く、実際、市内のNPO法人も増えてきています。また、各地域では、住民が主体となった様々な取組みが芽吹いてきています。こうした流れをもっと大きく、より活発にしていくため、市民活動への支援や、区の創意工夫による事業、特色のある地域づくりを進めていきます。また、地域が元気であるためには、高齢者や障害者のための施策など地域福祉についても着実に取り組むことが大切です。これらの施策によって、「地域が元気」になるよう、取り組みます。20年度の主な事業としてはまず、地域貢献活動を効果的に支援するため、社会貢献活動を行いたい企業等と支援者を探したいNPO等を結びつけるマッチングシステムを作ります。また、現地指導や啓発、整理などの自転車利用適正化事業を市民とともに各区の実情に応じて行う「トライアルプラン」や、共通の水辺空間を利用して三区のまちづくり事業を行う「三区物語」など、100を超える「区の創意工夫による事業や個性と特色ある事業」を実施します。このほか、学校の緑化では、これまで進めてきた運動場の芝生化に加えて、新たに校舎等の壁面緑化にも取り組みます。
3つ目の柱ですが、「こどもが元気!」になり、「地域が元気!」になり、そして「大阪が元気!」になるよう、つなげていきます。
大阪は多くのポテンシャルを持っています。例えば、大阪には面積当たりで見れば東京都の区部を上回るほどの事業所が集積していますし、NPO法人の数も指定都市で一番多いなど、経済についても、人についても、大阪は大きなパワーを持っていると思います。しかし、現在の大阪は、残念ながらこうしたポテンシャルを十分に活かしきれているとは言えません。次世代ロボット開発ネットワーク「RooBO」(ローボ)など、具体的な成果が出つつある分野も一部ありますが、さらに大阪の持つポテンシャルを最大限に活かし、活性化を図る必要があります。そのため、官民一体となって大阪ブランドを強化するとともに、企業や大学、NPO等と連携して産業の育成・支援を図るほか、芸術や文化などで高い評価を受けることのできる人材を育成するなど、「大阪が元気!」になるよう、取り組みます。主な事業としては、大阪への進出意欲を持つ大規模先端工場や重点産業分野の企業等に対して、引き続き立地促進のための助成を行うとともに、在阪企業の定着にも力を入れていきます。また、次世代ロボットテクノロジー産業創出事業では、商店街や医療機関など人が集まる場所でロボットの導入試験を行うなど、新産業の育成・支援にも引き続き取り組みます。
次に「水都大阪ブランドの確立」です。『水都大阪2009』は「市民が主役となる元気で美しい大阪づくり」などを基本コンセプトとして、21年8月から10月にかけて開催する予定ですが、20年度はその開催準備を進めるとともに、連携事業として、東横堀川に船着場を整備するなど舟運活性化の促進にも取り組み、水都大阪の魅力の創出、発信に努めます。
こうした“3つの元気づくり”を進めるには、それを支える基礎として、『市民が主役の市政運営』の実現や『行財政改革の着実な実施』も重要です。
『市民が主役の市政運営』の実現に向け、市民の目線に立ったガラス張りの市政を進めていくため、新たに情報公開室を設置するとともに、「(仮称)なにわ元気アップ会議」として、市民と私が直接対話する場を大幅に増やします。また、将来的な市民憲章の制定なども見据え、市民が主役のまちづくりの機運醸成に向けた市民との意見交換や公開フォーラムなども開催します。
『行財政改革の着実な推進』については、平成20年度は特に、事務事業の点検・見直しのための手法の確立に取り組むとともに、各局や各区で行っている人事・給与・旅費等の共通管理業務の集約化・簡素化を図るため、「(仮称)総務事務センター」を稼動させるほか、「(仮称)大阪市債権回収対策会議」を立ち上げるなど歳入確保にも強力に取り組みます。
以上、いくつかの事業をご紹介しましたが、もちろん重点的に取り組む事業はこれだけではありません。お手元の資料には、高齢者施策や障害者施策、女性施策など引き続き着実に取り組む分野も含め、平成20年度予算で重点的に取り組む事業の主なものをまとめていますので、後ほどご一読していただければと思います。
私からは以上です。

質疑応答
記者
財政厳しい中で、平松カラーというのはどこに打ち出されているのか、市長からお願いいたします。
市長
平松カラーが何色なのかということですが、私は重点的なこども施策を選挙で訴えておりまして、「安心して子どもを育てられへん」というお母さんの声とかが、結構、身に響いておりました。そうしたことから、予算を組むにあたって、と言いましても、今日で2ヶ月ちょっとでございますのでその間に、すでに大枠が組みあがっていたところへいろいろと修正をかけていった部分がございます。子育て支援施策の中で、自分の意見は少し入れられたかなと思っております。大枠でどこまで色が出せたか、自分の色がどうなのかということを言いますと、予算、お金の面だけではなく、機構改革等の方向で、情報公開室を設置する動きでありますとか、そういう部分で、2ヶ月という期間の中では職員も私の思いを察してくれて動いてくれたのではないかと思っております。平松カラーが何色かというのは自分でもちょっと分かりません。
記者
具体的にいくつか施策を説明されたと思うのですが、例えば、給食なんかは公約されていましたし、そういうところに現れているのかと思ったのですが、もう少し具体的に教えていただけますか。
市長
給食につきましては、すでに「20年度からは昼食を提供するという形で動く」というのが教育委員会の方針として決まっておりましたので、20年度はもう、その方向で行かざるを得ないと思っております。しかし給食実施に向けての調査費をつけるようにという指示を出し、少しですがついております。そして子育て支援ということで先ほども言いましたが、妊婦検診の無料化を、今までは2回でしたけれども、これをもうちょっと拡充して7回へ。これは市会からのご要望等もあり、大阪市で安心して子どもを育てていただく基本でもあるということから、ここはやはりきっちりと大阪市としてするということです。そして、乳幼児医療については小学校卒業までの入院無料化という形の私の気持ちを指示した上で、変えてもらった部分が出ております。
記者
今、自分の意見を少し入れられたということでしたが、予算全体の中で、ご自身の意見は何%ぐらい反映できたと思いますか。
市長
数値目標には弱いのですが、説明させていただきましたように、これだけ大きな予算ですが、自由が利く部分というのが意外と限られておりまして、そんな中で、しかも決算特別委員会があり、予算のためのいろいろな打ち合わせがありという中で、自分自身が全く知らなかったお金の使い方、税金の使い道というのもございましたし、そんな中で、自分が思った部分についてはかなり言う事は聞いてもらった。ただ正直言って、完全に100%、このお金の使い道を理解したかと言われると、本当の自信はございません。そこまでの時間的余裕と自分の経験の無さがございます。ただ、それについては、職員の経験を尊重して、職員とかなり話し込んだ上で、その経験値を尊重した予算になっています。20年度にそれを執行していくにあたって、もう一度、自分の目でじっくり見ながら、配分状況等を考え直したいとは思っています。
記者
ご説明がありましたが、やはり大阪府の暫定予算との関係で、まだ不透明なところがあるという事については、どのようにお考えでしょうか。
市長
これは、私が橋下知事にお会いする度に、「なるべく早い機会に、本当に影響を受けるかもしれない部分について、じっくりお話し合いをさせてほしい」とお願いをしています。それは別に大阪市だけの問題ではなくて、大阪府下すべての市町村長が今、まさしく思っていらっしゃる部分だと思います。ですから、当面、この予算を組まざるを得ないのは、各市町村、同じことで、大阪市としても同じことです。なるべく早く、各項目につきまして大阪府がどうお考えになっているのか、7月からの予算というふうにおっしゃっていますので、6月までにどれだけそういう話し合いの機会を持てるか、現場同士の意見の交換の機会が持てるのか、そして、それも府民、市民にきちんと情報を出して、納得のいく形で(予算を)組めるのかということだと思います。じゃあ市は、大阪府がどう言ってきても、今立てた予算を何も修正しないのかと聞かれると、それはまた別で、きちんとお互いに情報や意見を交換する中で、大阪府が「それはやはり無駄である」と考えた部分で、大阪市は「いや、絶対に必要だ」という部分もあるかもしれない。そういった場合にどうするのかをやはり情報は出していきたい。すべての情報は出していきたいと思っています。そして、お互いに協調して削減できるのではないかというような部分がもし見つかれば、その方向でも動きたいとも思っております。ですからそれは、6月までにいかにそういう話し合いの機会を持つかということにかかってくるのではないかなと。府下、全市町村長がそういう思いだと思います。
記者
話し合って、話し合って、努力されて、それでも最終的に府が認めないとなった部分で予算計上されている部分については、どのように手当てされるお考えなのかということと、御堂筋パレードについて、必要性も含めて、どういうことを考えていらっしゃるのかについて教えてください。
市長
話し合って、話し合って、府は切る、そして市は絶対に必要だ。さて、財政局長、どうしましょう。
財政局長
どうしても大阪市が必要だとういう部分については、財源が無しでやらざるを得ないということになります。
市長
ですから、トータルとしてそういうケースの場合は、府が2分の1の場合は、2分の1の予算でのぞむということにならざるを得ない部分もあれば、その2分の1ではどうしても執行できないというようなものについては、全体のやり方の見直しというものが出てくるのではないかという話はしているのですが、個別的に、あるいは具体的に、「この件について、ちょっと話をしましょうか」というのがまだ無いので、どのようになるのかについては、私も具体的に話し合うことを心待ちにしているのが現状です。例えば、ある新聞社の座談会で、統合を持ちかけられた3つのことがあったのですが、その件についても、橋下知事の統合提案に対して私は、「府市協調という部分ではそれは考えてきたけれども、統合という部分については自分自身、イメージも、あるいは職員の意見も聞いていないので、持ち帰って検討する」と答えました。持ち帰って検討した結果については、資料等は橋下知事にお渡ししたり、メールでお返事したりしている状況です。
記者
御堂筋パレードは。
市長
御堂筋パレードにつきましては、私自身も去年、予算が削減された時点で、今までのままの規模のパレードを実行する、実現するというのはかなり無理があるのではないかということを第一印象として持っておりましたので、御堂筋パレードなのか、あるいは、御堂筋フェスティバルなのかというような方向性の修正は迫られるだろうなと思っております。そういったときに橋下知事が当選されまして、橋下知事は御堂筋パレードよりも御堂筋を歩行者天国にして、そこにいろんな人の集まりを演出することはできないだろうかというような意見を持っておられました。私自身も正直、知事が当選される前に、それを職員に言ったこともございましたので、そういった方向での話し合いができるなと思っております。ただし、ここにも、これを長年支えてきてくれた21世紀協会、関西財界の意向というものがございますので、それについては、知事にも「一緒にその21世紀協会と話し合わないといけないんじゃないですか」と言っていこうと思っております。ご存知のように大阪市は例年春に、御堂筋賑わいフェスティバルで、全御堂筋区間ではございませんけれど、歩行者天国を演出しておりますし、そこに多くの方の協力もいただいておりますので、そういったノウハウがありますよということは知事にもお伝えしております。
記者
平松さんは常々、「民間の目線でおかしいと思うことはおかしいと言っていく」とおっしゃっておられますが、今回の予算で事業の見直しにあたって、平松さんの指示で事業を廃止する、縮減する、見直すといった点があったのならば教えてください。
市長
現在、市政改革の一連の動きの中で、非常に多くの事業の棚卸し作業が、行われているということを、外側にいたときは知りませんでした。中に入って、今はいろいろな事業の見直しが現実に行われているという情報や、すでにある一覧表をもらっておりますが、20年度の中で、もういっぺんさらに、本当に市民の意向も含めた公の席での事業仕分けという方法を取りながら、それを議論していく中で、見直しを図れるのではないかという部分がきっと見つかるであろうと思っております。確かにこの2ヶ月では、「この事業はおかしいやないか」、「やめてしまえ」というような指摘はしませんでした。個別的には、例えば、土地等の取り扱いについて、これを維持しておくのか、売却方針でいくのかみたいな指示は出しましたが、それは本当に個別の事業でございますので、大きな事業として考えたときには、まだそこまで指示は出せておりません。民間目線、市民目線でと言ったのは、そういう事業仕分けという手法を公の場で、市民との討論や、あるいは担当者もそこに連れて行って、何でそれが必要なのかという意見もお聞きすることによって、職員の意識改革につなげていきたいとも思っているのが現状です。20年度、この予算が通って、本当に動き始めるときに、そうしたその市民と一緒になって動けるかどうかという部分に賭けてみたいと思っております。
記者
経常経費の削減のところで、3年間でも半分以下しか達成できていませんが、今後どのように進めていかれるのかについてお聞かせください。
市長
3年間過ぎた時点で48%の達成率。その原因の大きなものには、職員削減と言いながら公務員ですので、なかなかその、単に人数を削減するという方向ではなくて、仕事の見直しをする中から仕事量を減らしてきている現状がございます。それと、繰上げ定年と言いますか、早期退職等を募った中で余分にかかった退職金等もございますので、そういった支出があったがゆえの48%だと思っております。残りの52%を2年で達成できるのかどうかということですが、これは達成するために全力を尽くす方向で動きます。7000人削減をさらに上積みする。20年度の中頃から先ぐらいには、それより先の数値目標として、お出しするつもりでおりますし、ここをきっちり削っていかないことには、依然として厳しい財政状況にあることは、皆さんご存知のとおりで、今日お示ししたとおりでございますので、そんな中から「経常経費が積み残しのままやないか」と言われないように、臨んでいきたいと思います。はい。
記者
学校給食の選択制の件で、今回100万円というかたちでの検討ということですが、いつぐらいまでに検討して結論を出されたいのかという、今後の具体的なスケジュール。それとあと、廃止に伴う1年間の経済的な負担(軽減)の措置をされるということなんですが、現場の先生達からは、かなり経済的に苦しい世帯の子ども達も多く、もし仮に、実際に弁当を持っていくということになった場合、まあ、選択制になった場合ということもあるのですが、かなり苦しくなっていくのではないかという指摘も出ています。こういう問題についてどのようにお考えかお聞かせください。
市長
激変緩和措置を1年間に限り取らせていただくということで、今まで何十年にもわたって続いてきた12校の給食はやめますという形で動いておりました。教育委員会の方針もそういうかたちになっております。そこで、激変緩和措置として180円。これもまだ完全に決まったわけではございません。予算としてお出しするわけですから、今後、市会の議論を経なければならないということがございます。現在給食を受けていらっしゃる方の中で就学援助を受けていらっしゃる方の比率は存じあげております。一方で、給食を一切実施していない他の学校にも就学援助を受けていらっしゃる方がおられ、その比率も聞いておりますが、そういう人たちには今までなんの給食費補助もなかったわけですから、これは不公平がずっと続いている状況です。あと1年また、やや中途半端な不公平感が残りはしますけども、その先、私は本当に早い時点で、選択制の中学校給食を全校で実施していきたい。一斉に全校でできるとは思っていませんが、できる限り早く、その全校実施に向けた動きを現実のものにしていきたいと思っていますので、これは20年度が始まってからの私の動き方を見ていただくしかないなというのが実情です。調査費については多分、「100万円しかついてへんやないか」、「そんな小額でええんやろうか」というようなニュアンスもお持ちだと思いますが、これについては、教育委員会の方でも学校昼食について、全国各地の実情を調査しているデータはもうすでにございます。そのデータは、学校給食というものを前提に入れて収集したものではもちろんございまいせんので、私の方針を受けて、学校給食と、選択制にしろ給食というものを視野に入れた調査をしなければならないのですが、今まで集めたデータにどう上乗せしていくかという調査ですから、その程度の額でも十分ですということでした。もし途中で、それで足りないという訴えがあれば、足しましょうということは言っています。
記者
今回、予算の編成と組織改正の件で、立案段階から公表されるということで、現実公表されましたけども、市会の方からかなり反応があったようですが、肝心の一般の市民の方からの反応があまり感じられませんでした。その辺についてのご感想と今後の改善点について何かお考えがあればお聞かせください。
市長
ごめんなさい、一般市民の方の反応が感じられなかったということについては、広聴のところに何か意見が来ているかどうかの集約が、私、まだできておりませんので、ちょっとお返事できないのですが、確かに、組織改革と予算の第1案、素案のような形をお出しした後の反応として、皆さんご存知のように、いろいろなご意見をいただけました。私は、このご意見をいただけたことが前進だと思っていますし、その間で市会での議論等もございましたので、その市会での議論というのは、議員の方たちがいろいろな形で、市民に対して発信もされることだと思います。素案をお出しした段階で、「これは素案です」と言っていましたとおり、今回、いろんなご意見を反映した形で、「こういう組織でいきたい」あるいは、「こういう予算でいきたい」という形でお示しできたので、一定の前進はあったのではないかと思っております。そういう形の中で、私が最初に、本当にやりたいと言っておりました情報公開室の設置について、かなりいい形での情報公開室というのを組み上げることができそうな気がしておりますので、それも20年度、見守っていただきたい。市民の方には見守っていただきたいなあと思いますし、(市会には)こういう形でこの予算を何とか通していただきたいなというのが正直なところです。
記者
初めての民間市長ということで、今回、民間の目で予算編成の状況を見られたと思うんですけれども、構造的に全体的な予算のベースが縮小する中で、扶助費が増えたり、あるいは、国の交付金が減額されていったりというような、これまであまり実感として持たれていなかったことを実感されたと思います。大阪市としての今年度予算、今大阪市が置かれている状況というのを市民に対して分かりやすい言葉で言えば、どのように説明されるのかというのを一言伺いたいのと、行政体として、債権団体などにならずに存続していけるのかどうかの今の印象を率直にお聞かせください。
市長
本当に、予算編成作業というのは、今まで見たこともないような金額が目の前を通り過ぎていくわけです。これがどういう形で浸透していくのかというのは、これから私が実際に見せていただくことになると思います。今回の予算は、市政改革の5年間の基本的な計画の中に乗った流れではございます。乗った流れということで言うと、過去2年間にされてきた財政改革が本当にそのスピードを緩めることなく、それに私も乗せてもらっています。ただ今までは、選挙でも言いましたが、市政改革が進んでいるかということに対しての市民の感覚が「いや、感じていない」ということでしたので、逆に言えば、それを私は市民に対して情報発信することによって分かっていただきたい。確かに、大阪市が大変苦しい状況は変わりませんが、その中で、最初にございました「平松カラー」ということで言えば、もしこれがカラーだとすれば、子育て施策、あるいは、そうした弱い部分にどれだけのものを配することができるかという部分で、知恵は出してもらったつもりの予算です。本当に、財政再建団体になりかかっている大阪市を、この5ヵ年計画で建て直そうとしている中途の段階でございますので、まだまだ厳しい局面というのがこれから出てまいります。厳しい局面が出てきますが、その際にも私は、情報発信をしてまいりますので、皆さんにこういった厳しい局面にある大阪市をどうしたいのか、どうしようとしているのかを、やはり理解していただきたいという気持ちです。そんな中で、何でも切ってしまったらいいというふうには、私は絶対に思いません。やはり大阪市としてずっと保ち続けてきた市民の気持ち、市民に対するサービス、大阪市民だからこそこういうものがあるんだというものを誇れるような気持ち、これは美術館でもそうですけれど、そういったものをいかに苦労しながらでも持ち続けるのかということも、やはり一つの知恵の使い方だと思っていますので、是非、その辺をご理解いただきたいと思います。例えば、キャッチフレーズ的に「今回の予算は何々予算」というふうに言えるかというと、まだ自分の中では思い浮かばないのですが、流れとしては、緊縮予算の中で、子育てサービス、子育て支援の部分を少しでも種はまけたかなというのが自分の思いです。今後、いろいろな部分をもっともっと、いろんなお金の使い方を精査しながら、この1年、市民と一緒に新しい大阪を作り上げていきたいと思っております。
記者
今回の初めてのこの予算に、点数をつけるとすれば何点かというのと、比べられたくないでしょうが、大阪府の橋下知事と比べると、改革に対する思いというかインパクトに欠けるのではないかと見ている市民の方もおられるような気もするのですが、そのあたりどうお考えでしょうか。
市長
まず、何点かについてですが、これは正直申し上げて、もう大枠が決まっている中に入ってきて、しかも、その大枠というものが大阪市の場合は直接行政ですから、本当に出さなければならないところというのがもう決まっているわけです。自由裁量ができる範囲の中でも、自由裁量とは言いながら決まっている。そうなると何が自分の色が出せる範囲かと言いますと、重点施策予算といわれるその分野でしかないわけです。「そうじゃないんだ」と橋下知事はおっしゃると思いますが、それは、府というものの行政のあり方と、直接行政をやらなければならない基礎自治体としての市としての行政のあり方とは違うということを市民の方に早く分かっていただきたいというのが私の思いです。確かに、知事の場合は、「全部ひっくり返して、予算をゼロベースで見直す」というかたちをおっしゃいました。ゼロベースで見直したことによってどれだけ市町村が今、困っているかというのは、皆さん、取材されたらよくお分かりのことだと思いますし、大阪市でもこれだけの影響を受けております。先日、橋下知事にお会いした時にも申しましたが、財政非常事態宣言をされた府が置かれている財政状況と、それから大阪市は、確かに大変な状況です。負の遺産も山ほどあります。それを整理しなければならないときに私を市長にしていただいたという認識も持っておりますが、そういう状況の中で大阪市は過去2年間、市政改革を本当に取り組んできているというその気持ちがありますので、その流れを止めたくないという部分も私にはありますから、何もかもいっぺんひっくり返して見直そうかというようなことをやって、果たして大阪市政が進むのかどうかという部分では、私は、市と府の違いを感じると言わざるを得ません。市民の方が、「大阪市はぬるいやないか」と言われるとしたら、じゃあ、サービスがいきなり止まったりするようなことがあっていいのだろうかという部分で、「これは、暫定予算で進んでいく府の補助であるとか、各市町村に影響が出てくるときの議論をお聞きになってから判断していただきたいですね」というふうに申し上げます。大阪市民も府民税を払っておりますし、それは他の市町村だって同じこと。府市協調、府市統合、いろんなことを言われますが、府市協調できるところは本当に探していきます。そして、具体的に「ここで府のお金が何億減ります」、「それについては市も何億減ります」というような形もこれから出していけますので。是非、そこを見ていただきたいと思います。市民の方は、全く極端な府と市の違いというか、財政に対する違いがあると感じていらっしゃると思うのですが、それは、やはり直接行政であり、なおかつ、何もかも自分のところで持っていて、しかも多くの人員を抱えてしまっている、これを何とか少なくしないといけないという作業に今、取り掛かっている大阪市のやり方と、33の市町村を抱えている大阪府では、行政の質の違いがあると私は思っています。全く同じような形でやれれば、切ってしまえばいいということであれば、お金はあるわけですから。そうじゃない部分をどう配分していくかというのが予算の組み方だと思います。橋下知事も今、それできっと苦労されていると思いますし、この、これから3ヶ月、4ヶ月、本当に苦労されると思います。ちょっと長くなってすみませんでした。
記者
情報公開のからみで先日、環境局が不存在による非公開決定を取り消すということで、昨日、檜垣局長が見張り番に対して謝罪をされました。未明の会見で市長が出てきて、調査を指示されましたが、あの件について、改めてどのように感じていらっしゃるのかについて教えていただけますか。
市長
環境局長からも担当者からも報告を受けました。未明の会見といいましても、正式な記者会見ではなくて、私が勝手に夜中に出てきて、わーっと言ってしまった会見ではあったんですけれど。「公文書とか情報を公開してくれ」と市民から言われる、その市民の気持ちといいますか、それはやはり不信感に根ざしたものだという気がします。そしたら、行政、あるいは市役所に勤めている人間として、市民に不信感を持たれたのだということで襟を正さないといけない部分が、どこかでやはり隠そうという形で動いてしまっていた気持ちがあるのではないか。そこへ私がいきなり入り込んできたわけですが。市民が見せてくれと言っていて、そして、個人情報との兼ね合い等、いろいろ難しい問題がありますが、この市民グループ、あるいは市民の方の思いに応えるためには、情報を公開するしかないでしょう。あるいは、公文書ではないと思っていても、業務日誌と書いてあるメモがあれば、「こんなメモもありますけど」と、主体的に出していく動きというものが今まで全く無かったということが分かりました。それについては、今回の件できっちりと是正されたと思っています。是正はされましたが、まだまだ、それが意識として染み付いていくか、染み込んでいくかという部分では、それこそ市役所を預かるものとして絶えずチェックをしていかなければならないとも思います。それと、その環境局の問題で言えば、普通でいう勤務、まあ言えば、どこで誰が何時から何時まで、どういうかたちで働いていたという事が、各センターによって違う書式で行われていたということ自体が私には信じられないことでした。もう一刻も早い書式の統一を今、指示しておりますので、その書式統一ができた段階で、また皆さんにお示しして、「これで足らんところはないですか」みたいな意見も聞きながら、市民の方の不信を呼ぶことのないように、本当に環境局の現場でふれあい収集とかいろいろ前向きに仕事をしている人達もいますから、そういう人たちが、市民の皆さんから批判を浴びることのないような、きちんとした体制を取りたいと思っております。本当に申し訳なかったと思います。あれだけ、いろいろな形で情報公開の請求をしてくださった方に対して、あまりにも不誠実な対応が続いていたということで、局長のお詫び会見があったという認識でございます。
記者
先ほどのお話の中で、橋下知事から具体的な統合提案があったということですが、具体的にどういった統合提案があったのかということと、持ち帰って考えられたということですが、それに対する現時点での市長のお考え、方向性などがあれば教えていただけますか。
市長
はい、先日の新聞社の会談の時にいきなり3つ「統合」というふうに言われました。一つは水道事業の統合でございます。それから信用保証協会についての統合、そして、府住宅供給公社と大阪市の公社の統合。この3つをいきなり持ち出されました。私は、府市連携や府市協調というお話とか、二重行政をいかに無くすかというその論調で絶えずお話をされているというのは知っておりましたので、その府市協調のデータはたくさん持って行っていたのですが、いきなり統合と言われて度肝を抜かれまして、「いや、統合できる部分があれば、前向きに考えればいいですし」と言うと、そういうその役人的な答弁みたいな部分も橋下知事は大分お嫌いなようで、「じゃ、生でいろいろお話ができる機会があればいいですね」ということになりました。
それで、水道事業に関してですが、これは大阪市ベースといいますか、大阪市が考えている方向であれば、統合は可能だと。ただ、府がどう考えていらっしゃるかというのは、いきなり統合という話だけでしたので、具体的な話はまだ出ておりません。例えば大阪の水道事業、これは府営水道よりも市営水道の方が安い料金で提供できておりますし、なおかつ、取水口から蛇口まで全部一環して大阪市が管理しているという部分もございます。ですから、先日、知事には、一度、メディアの前で知事と私と、それから担当水道局の職員を並べて、統合問題を話し合いましょうかという提案はしました。ですから、それが統合になるのか協調になるのか、分かりませんが、かなり具体的に前向きに進むと思います。
住宅供給公社に関しましては、府は住宅供給公社なのですが、大阪市は「住まい公社」という形で名前を変えて、いろいろと調査をしておりまして、大阪市としても大きな借金はあるのですが、それをきちんとキャッシュフローベースで経営できるようにという形での経営健全化計画も立てております。それに対して府のほうがどうかというのが、やや、大阪市側の現場サイドではクエスチョンマークが付いておりまして。ただ、これも大阪市側から見た言い方ですので、府側がそれに対して、「いや、府はこう思っているんや」ということが返ってきた時に、じゃ、何をもって統合やと。つまり、大阪市営の住宅っていうのは大阪市内にしかないわけですよね。府営というのは、全部で10万戸ぐらいですか。そのうちの1万4千戸が市内にあるという話をおっしゃってて、知事がおっしゃってるのは、供給公社という組織を統合したいとおっしゃっているのか、あるいは、その大阪市内にある1万4千戸の府営住宅と市営住宅を統合したいとおっしゃってるのか、その辺りがつかめていませんので、その辺りについて、さっき水道で言いましたような形で、公の場で府市協調あるいは統合を具体的に話し合う場があってもいいのではないかと。そういうふうに考えています。
信用保証協会については、今、データを取り寄せていろいろと分析している最中でございますが、これも、この事業は府がおやりになった方がいいじゃないですか、あるいは、ここの部分は府がおやりにならずとも、市がやったらいいんじゃないですかというように、むしろ協調の方で動く方がいいのではないかという印象は持っていますが、土俵について話すことはやぶさかではございません。
この3つでございます。
 

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