平成20年6月19 日 大阪市長会見要旨 |
皆さん、こんにちは。よろしくお願いいたします。
今日は6月19日でございます。思い出しますのが、昨年の12月19日でございましたが、私、初登庁させていただきました。『まる』ということで言うと、昨日が、『まる半年』過ぎて、今日から新たな7ヶ月目の初日ということになります。後ほど、この半年間というものについては、振り返らせていただきたいと思います。 【大阪市立美術館『佐伯祐三展』、『大阪市立近代美術館コレクション、その誕生と成長』について】
今日はまず、私が常々「大事にしていきたい」と言っております文化に関係する話題からお伝えしたいと思っております。
お手元にお配りしております報道資料のうち、大阪市立美術館で『佐伯祐三展』を、この秋、9月9日から10月19日まで開催いたします。 今回、大阪市立近代美術館建設準備室が所蔵します53点の他に、各地の美術館や個人が所蔵します佐伯祐三の作品、およそ110点を集めまして、さらに、佐伯ゆかりのヴラマンク、ユトリロの作品など10数点をあわせて展示するということになっております。 それと、別の報道資料をお配りしておりますけれども、『近代美術館コレクション、その誕生と成長』と銘打ちまして、モディリアーニ、ローランサンなど、代表的な作品でありますとか、小出楢重(こいでならしげ)、今井俊満(いまいとしみつ)など、大阪ゆかりの作家の作品展を佐伯祐三展と同時開催することになりました。 近代美術館というのは、建設が計画されてから、もう25年経つそうなんですが、この近代美術館、多くの寄贈作品も含めまして、すでに、コレクションは4,000点を超えております。 私が市長になりましてから、「これだけ数多くのコレクションを、単にためておくだけ、あるいは、しまっておくだけではもったいないやないか」というのを、常々言っておりました。それで、「何とかなれへんのか」と言いましたら、ちょうど秋に『佐伯祐三展』の企画があるので、その時に、コレクションのごく一部でございますけれども、広い市立美術館の展示室を使って、皆さんに見ていただきたいという、そういう思いが実現しました。今回は、約70点の特集展示を、『佐伯祐三展』と同時開催することになっております。 確かに、近代美術館の建設準備室がいろいろと努力してくれておりまして、やや小ぶりな場所をお借りして、近代美術館の作品を展示したりしておりましたが、大阪市にありますあの立派な市立美術館で、きっちりとこういう形で見たいというふうに、あるいは、市民の皆さんに見ていただきたいという思いが実現して、非常に私は嬉しゅうございます。 この機会に、市民の財産として、すばらしい芸術作品があることをご紹介してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。まだ、秋でございます。9月9日からでございます。もちろん、モディリアーニも出てまいります。 【天王寺動物園】
次に、天王寺動物園の話題でございます。
美術館があります天王寺公園内には天王寺動物園もありまして、その『天王寺動物園にコアラ2頭が仲間入り!!』というお知らせでございます。 右がオスの1歳のバーク、左がエンバー、メスの2歳でございます。 ![]() ![]() それから、お手元にございます天王寺動物園の情報紙ですが、これは明日発行されます、天王寺動物園のフリーペーパーで、『トゥゲザー』でございます。この『トゥゲザー』というのは、これが創刊2号になりまして、『日本初の動物園のフリーペーパー』と書いておりますけれども、ここにいろいろ広告をいただいて、これをフリーペーパーとして大阪市内の地下鉄の各駅に置かせていただいたり、あるいは動物園でももちろんご覧いただけるという(ものです)。大阪市の天王寺動物園も、ぜひ皆さんに、今まで以上に楽しんでいただきたい、親しんでいただきたいと思います。 コアラなんですが、平成18年12月15日メルボルン動物園生まれのオス、これがバーク、それから平成17年11月12日ヒールズビル動物園生まれのメスの若い2頭でございます。大阪市の姉妹都市でありまして、この7月に私も訪問させていただきますオーストラリアのメルボルン市ですが、このメルボルン市の動物園から6月24に送られてまいります。これまで3回にわたってメルボルン動物園から8頭のコアラをいただいておりますけれども、今回で合計10頭のコアラをいただくということになりました。 天王寺動物園では、現在、メルボルンから贈られてきた2頭と天王寺動物園生まれの3頭、(合わせて)5頭のコアラが飼育されておりますが、最も若いコアラでも12歳ということで、これは人間に例えるとだいたい50歳ぐらいだそうです。かねてから若いコアラを熱望しておりましたけれども、今回、メルボルン動物園のご好意により、願いが叶うことになりました。 今年は、メルボルン市とは、(姉妹都市)提携30周年という記念の年でございますので、市長としまして、メルボルン市を訪れて、先日大阪市を訪れてくださいましたソー市長とお会いして、大阪市を代表して、私からも、このコアラのお礼を申し上げたいと思っております。 2頭の一般公開なんですが、天王寺動物園での検疫が終わり次第行うと聞いております。ぜひ、楽しみにしていただきたいと思っております。 【『なにわ元気アップ会議』について】
もう一つ、市民協働チームの『なにわ元気アップ会議』のお知らせでございます。
今回で8回目になります『なにわ元気アップ会議』は、今度の日曜日、6月22日の午前11時から12時30分まで、東住吉区の駒川商店街に『市民協働チーム』とお邪魔しまして、『東住吉区未来わがまち会議』と『駒川商店街振興会』が協力して開催します、『わがまち楽校・子ども仕事体験参加』の現場を訪問することにしております。
駒川商店街というのは、地元でも市内でも有数の商店街でございまして、この振興組合のご協力をいただきまして、12人の子どもたちが5軒のお店に分かれまして、仕事を実体験している様子を見せてもらうことになっております。 その後、商店街の中にありますココロホールで、仕事体験に参加した子どもさんたちと一緒に、その子どもさんたちの報告を聞きまして、その後、(駒川商店街)振興会の方や未来わがまち会議のメンバーの方と、まちづくりをテーマに意見交換させていただくことにしています。 将来を担う子どもたちに焦点を当てて、子どもたちがまちのことを知ることにより、まちへの関心・愛着を育てたいと思います。 逆に、子どもたちからの働きかけによりまして、大人の意識改革を促進するという、多くの世代が協働する仕組みづくりを進めるまちづくりの活動を、非常に興味深く思っておりまして、懇談会の中でも活発な意見が出されるだろうと期待をしております。 また、その22日の午後ですが、渡船を体験してみようと思います。市内には、市が運営する8箇所の渡船場がございますが、今も市民の足となって活躍しているところであります。 22日は、16時ごろに西成区南津守2丁目、千本松大橋の東詰めにあります千本松渡船場から乗船し、大正区南恩加島1丁目との間を往復して、乗客の皆さんとお話をしてみたいと思っております。 【市長就任後の6ヶ月を振り返って】
お知らせは以上ですが、この場をお借りしまして、私なりにこの半年間を振り返らせていただきたいと思います。
質疑応答去年の12月19日、初登庁の時以来、あっという間の半年でもあり、長い半年でもございました。本当に月並みな言い方になりますが、去年の12月の段階で初登庁させていただいた時に、「半年ぐらい経ったら、ちょっとは落ち着いてるかな」とか、あるいは「自分自身が、市長としての仕事というものを、ずいぶんマスターできているかな」とか思っていたんですが、やはり一番大きな誤算というのは、不適正資金の問題にかかわりまして、つい先日まで、その調査検討委員会の報告をもらって、今もまだ、そのお金の返し方でありますとか、処分の量でありますとか、そういうのを係に検討してもらっているという状況でございます。何度も市民の方にお詫びをさせていただきまして、そしてその様子を、今日ここにいらっしゃる皆さんに、「市民の皆さんに」という形で、お伝えいただきましたことを、心から感謝を申し上げますとともに、そうしたメディアの皆さんの協力と報道があって、私が3回目の調査を、私がメールを出すという形で指示を出した時にも申しましたように、「まだまだ自己申告という形で出ていない部分があるとしたら、もう最後のチャンスで、重い荷物を降ろしてほしい」という呼びかけに応えてくれた職員も何人かおりました。「これで幕を引くのか」とか、「線を引くのか」とかいう、いろいろなご批判もあるようですが、いったん線を引かせていただきたい。でないと後ろ向きの仕事ばっかりしないといけないという思いがしますので。今回の、この不適正資金問題、これは公正職務審査委員会から2月4日に私が勧告を受けて、取り組んでまいりました。全く慣れない職場雰囲気の中で、さらには慣れない機構の中で、いろいろと戸惑いながら試行錯誤をした部分もございますけれども、この間、自分自身が感じていた以上の縦割り、並びに、そこに節があるという表現もさせていただきましたように、自分の思いが即座に下に伝わるものだと思っていた大きな権力機構のトップに立ったという実感は、逆に、この不適正資金問題の調査の段階におきまして、一筋縄でも、ふた筋縄でもいかない現状というものが、やはり4万2000人弱という、今で、4万1150人ぐらいだと思いますが、その組織の中で、末端にまで自分の思いを届けることが、いかに難しいかということを実感したと同時に、それを受け止めてくれる職員の存在にもこの半年間、もちろん、何度も出会ってきております。そうした意味で、この不適正資金問題というものは、私にとりまして、非常に大きな教材となったという気がしております。「そんな呑気なことを言っててええんか」という市民のお怒りのお言葉があるのも存じております。この間の不適正資金問題というものに対してのお怒りのお言葉を、ずっと私も目にしております。そしてその、お怒りのお言葉にどうやったら応えられるんだろうか。やはり、再発防止策をどうとるのか、そして、職員のコンプライアンス意識をきっちりと持っていただいて、でも市民に対するサービスは滞りなくサービスをするという部分が、我々の仕事の根本でございますので、その根本の部分をきっちりと全うしてもらいたいという気持ちをさらに強くすることができました。今後、何度も申しておりますが、同じようなことでまた新たに不適正資金があったみたいなこと、あるいは、作ったというようなことが明らかになった場合は、もう厳罰に処すというふうに言っておりますので、総務局とも相談しながら、罰則規定というんですか、処分規定というんですか、その再検討もしたいと思っております。やはり、市民の信頼を一日も早く取り戻したい、本当にその思いがいっぱいでございます。 それから、やはりそうですね、市長になって、4月から新しい予算がスタートしたわけですけれども、組織改革ということで言いますと、私(市長)直属という形で、市政改革室、情報公開室、さらには、その情報公開室の中に市民協働チーム、そして、政策企画室の中に秘書機能を全部含めたという形で、まあ、あまりにも行財政の経験がございませんので、逆に市長を補佐してもらうような形で、市長官房を作らせていただきました。その市長官房の機能は、情報公開室の中の市民協働チームに一番代表されているように、市民と市の中心部であります市長との距離感をいかに縮めるかということで、元気アップ会議を、何度も何度もさせていただいたり、あるいはサプライズ訪問でおじゃました先で、市民の皆様と直接対話ができたりと、『こどもが元気、地域が元気、そして、大阪が元気』というその3つの柱に立った20年度予算をスタートさせて、この3つの元気のキーワードというのは、私の任期中、半年経ったということで言いますと、(今後)3年半は、これはキープしていくフレーズになると思います。そうした元気づくりのために新しいことができたということでは、一番目に見える形では、私は、市民協働チームの設立、並びに、今、現れている活動ではないかと思っております。 さらに、市政改革というものに対しましての思いでございますけれども、私が思っていた以上に、大阪市の姿勢というもの、市政改革に取り組むスタンスというものは、外から見ている以上に、かなり細かい点で進んでおりました。しかし、同じように、同じ目線で見ましてですね、市役所の外にいる時に思っていたことと同じなのは、やはり、上から一方的に切っている部分はないだろうかという部分を、絶えず検証しなければならないという思いは、最近もしております。特に、大阪府の橋下知事が登場されて以降、果敢な財政再建策を次々と打ち出される中で、文化を何としてでも守りたい、あるいは文化というものが何なのかという議論を、今後とも知事と、やはりいろんな形で、事あるごとにお話をさせていただく機会を持ちたいと思っています。私は、「少数の支持しか得られないものは、消え去るものだ」というふうなことをおっしゃる知事に対しまして、「いや、少数であるが、伝統があるからこそ守らなければならないものがあるのではないですか」というのを絶えず、やはり問いかけていきたいし、大変、財政赤字、ひどいんです。大阪市も大変な財政状況の中で、そんな中でもここは、市民の皆さんに説明をして、「この形で税金を使わせてください」というようなことを言い続けていきたいなと思っております。そういった意味で、切るほうも大事なんですけれども、元気にする策をやはり考えたいと思っています。大阪が元気になるためにということで、先日立ち上げました、『経済』『文化・観光』『こども』『安全・快適』という、その4部会。総合計画審議会の中に、専門部会として立ち上げることができました。そして、初会合のその報告を目にしましても、今までにはなかった会議の流れ方がしているのではないかというふうに思います。と言いましても、今まで無かったかどうかというのは、私、おりませんでしたので、職員に聞いて、「今まで、こんなん、あったか」というのを聞きながら、手探りでやっておりますが、一番違うというのは、外部の委員の方だけで審議をしていただくものを、職員がまとめて答申として出してくるというような形ではなくて、「職員、一緒に入ってくれ」と。「議論の中に入ってくれ。そして、専門家の方と、あるいは、識者といわれる方と議論を戦わしてほしい。そんな中で、市の論理というものが通るものかどうか。あるいは、民間の方が、公会計も含めて、誤解されている部分もあるのかもしれないので、そういった部分を、自らの経験ではっきりとものを言ってほしい」ということを、言い続けております。そうした実現可能な案、この秋ぐらいに、まずその方向性を取りまとめてもらって、そこから先に、一応「3年お願いします」というふうに言ったんですが、具体的な楽しい案がいっぱい出てくることを期待しております。 それから、やはり一番大きいのは、これから先、26日に、判決を控えております、WTCの賃料訴訟。第3セクターの再建にかかわる大きな段階を迎えるということになりますけれども、私はこの間、銀行にご挨拶に行かせていただいて、初めて、銀行と正式に債権放棄という言葉を使ったり、あるいはWTCという具体的な名前を挙げて、この間、検討してきた経緯をご説明申し上げました。そんな中でどうしても、新聞紙面とか、メディア、報道とかに、『処理』という言葉が出ますと、「あっ、潰すんかな」とか、「もう、見放すのかな」というような形で報道されることが多うございます。私が申し上げたいのは、咲洲をもういっぺんきっちり見直したいということでございまして、ATC、WTCを含む咲洲全体のエリアが、この間、経済のいろいろな波に翻弄されて、本来、思っていた形からはずいぶんかけ離れたものになっているような、そういう気がします。それは渋滞問題でもあり、あるいは、国際フェリーがちょっと離れたところに着くとか、港でありながら、港の中には、コンテナ船しか来ないとか。そういったものが、具体的に、この7月8日から変わります。7月8日に、ATCのR岸壁に、さんふらわあというフェリーが入ります。このフェリーが入ることによって、ATCの港の顔が変わると私は思っております。順次、(コンテナ船が)夢洲に移動していく中で、フェリー埠頭化していきたいと思っておりますし、そのフェリー埠頭化することによって、大阪の港の玄関口にATCが待ち構えていますよと。あそこにいろんなショップがあって、レストランがあって、その中を散策していただいて、それから、公共交通機関に乗っていただけますよという形が、まずこの7月8日から、少し前進するわけです。そのためにも、短期的な課題としましては、案内板の改善でありますとか、広告物規制のあり方について、検討するように、指示をしております。咲洲コスモスクエア地区といいますのは、地元の人たちが懸命な努力を続けていただいておりまして、企業、市民が一体となって、自主的にコンサートの開催などを行われ、まちおこしをやっていただいています。その一帯で、キャナルという水路がございますが、キャナル一帯をコスモスでいっぱいにしようという、『南港みどり祭開催実行委員会』が結成されておりまして、私もその名誉委員長に就任することになりました。WTCは、何らかの形で、やはり今みたいに中途半端な状態のまま置いておくわけにはいかないと思っております。それを、金融機関の皆さんとか、あるいは職員とかの知恵を借りながら、市民負担が一番少ない形はどういう形なのかというのをめざして、一丸となって努力を続けていく先に、咲洲の再生を見据えたい。これも、横断チームの咲洲プロジェクトチームを作り、森下副市長をトップに据えまして、そのプロジェクトチームで具体的に局の壁を越えて、あの地域をどうすれば活性化できるのか、しかも、大きな公金をつぎ込んで活性化するというものではなく、民間の知恵を借りながら、あの地域を絶対に活性化するんやという思いで取り組んでいきたい。そういう思いでいっぱいでございます。 それから、府との2重行政という部分で、4月になりましたかね、1回目の府との水道協議もやらせていただきました。橋下知事とは、先ほど、文化の面で対立しているようなお話しも申しましたけれども、事あるごとに、情報を、「私、こう思うんですが」とか、あるいは電話で、「あれについてはこういうことです」とか、報道で伝わっていない部分というものが、当然、皆さんの編集の後で、知事がご覧になるものですから、それについて私の方から、知事にお電話をしたり、メールを打ったりすることがございます。知事からもそういったメールが来たり、電話が来たりという中で、大阪府も市も財政危機であると、「二人並んだら、10兆やな」と言いながら、歩いておりますけれども、財政危機をどう乗り切るのか。橋下知事の進める財政再建プログラム、多くの部分で評価はさせていただきますが、一方で医療費助成制度の見直しなど、市民サービスの低下を招く場合には、私、これを「するな」と言ってはいません、1回も。「これはやめてくれ」とは言わずに、「市民、府民に説明責任がありますよ」、「それをきっちりと分かるように説明した上で、ぜひ、知事は説明責任を果たしていただきたい」と、絶えず申しておりますので、そこは、よろしくお願いします。 それから、水都大阪2009実行委員会の委員長といたしまして、このイベントを実施の方向でまとめることができましたことを、本当に嬉しく思っておりますし、これから1年、来年の8月22日に向けて、いろんなイベントの際に、水都大阪2009というものを売り込んでいきたいと思っています。それはもう橋下知事がすでに、いろんなところで言いまくってはります。「水都、水都、水都2009、やります」ということを言ってくれていますので、そういった橋下知事の勢いも一緒になりながら、水都大阪2009を成功させたい。そして、その後に残るものというものを大事に見据えて、水都というものを作り上げていきたいと思っています。 さらに、大阪らしい地方分権モデルを、全国に先駆けて構築したいと思っております。その思いは、私も知事も同じ思いだという部分では共通していると信じております。明日、水道事業の提携の2回目の直接意見交換会、これを行わせていただきますが、事務事業のあり方以外にも、税源移譲がどうあるべきであろうというような話も含めまして、胸襟を開いて、知事とは今後とも話し合ってまいりたいと思いますし、何度も申しますけれども、地方分権モデルとなるようなのろしを大阪市から大阪府と一緒になって上げてまいりたいと、かように思っております。 以上でございます。 記者
先ほども出ていましたWTCの件ですが、賃料訴訟の判決等にかかわらず、2月に出ています(大阪市特定団体再建検討)委員会からの報告で、もう、経営自体がだいぶ厳しい状況になっている。先ほど、中途半端な状況にはしておけないとおっしゃって、市民負担が少ない形で考えたいとおっしゃっている。もう少し具体的に、市長として、今のところどのようにしていこうとしているのか、まず1点伺いたいのと、あともう1点が、4年前の再建からわずか4年でこういう状況になってしまっていることに対して、前回最終判断をした關前市長を含めての、市の責任についてどうお考えなのか、2点、伺えますか。
市長
2月に出た再建検討委員会でのシミュレーションの10通りのうち4通りは、新たなお金、ニューマネーをつぎ込まないと再建は不可能であると。それもかなりの額をつぎ込まないといけない。これは、市会で附帯決議が出ておりますように、ニューマネーをつぎ込むことが非常に困難であるという現状の中で、選択肢が狭められたというふうにも申しております。そして、その6通りの、いわゆる『処理』といわれる案につきましても、いろいろな組み合わせを考えないといけないなという段階にきていると思います。それと、銀行に債権放棄を要求する中で、かなり厳しい銀行側の対応といいますか、がございました。それは、ある程度予想はできたことでございまして、確定判決と等しいという、その特定調停を経たわけでございますから、銀行側のおっしゃることももっともだと思う部分はございます。ただそこで、じゃ、何も策がないのかという部分で、金融機関の、銀行の専門家の方と、そして市の職員とで、あるいは、さらに弁護士とか、いろいろな方に入っていただいて、方策を、市民負担を少なくする方法はないのかというのを、一緒に検討させていただきたい。これはこの方向で行きますというふうには、決めてはまだおりません。ですから、例えば、今、もう遅れに遅れておりますけども、地域力再生機構というものが、いつできるのか。それができた時にそれを利用することを選択できるのかとかですね、やはり、市民負担を最小にすると同時に、どれだけ説明責任、私自身の市民に対する説明責任を果たせるのか。透明性を確保できるのか。そういった、極めて高い政治判断を要求される局面になってくるという認識でございます。今ここで、「この方向でこうやりますんで、よろしく」っていうわけにはちょっといかない現状です。4年前の特定調停が早くも破綻したのは、なぜですかというのは、こっちも聞きたいぐらいで、選挙の際にも一番分からなかったのが、特定調停というのは、専門家が集まって、これなら大丈夫だろうということで結んだものが、周囲の環境変化によるものなのか、あるいは不作為によるものなのか、もうだいぶ前から危ないと言われていました。住民訴訟という形で賃料訴訟が起きたということもあるんでしょう。 前任者の關市長の責任論ということでございますけれども、これは、「この特定調停を結んだのは私です」と絶えずおっしゃっていました。「特定調停を結んだこと自体に責任を問われるようなことになれば、私が責任をとる」と關市長はおっしゃっておられました。その特定調停にかかわる訴訟というものも、今まだ起きておりますし、その判決を待たないと、何とも言えないというのが正直なところでございます。 記者
前回、別の問題の裏金のときに、關前市長には、もう、退職金を2回ももらわれていないので、求めないということをおっしゃっていましたが、今回はどうされるのかというのを伺いたかったのですが。
市長
それは、何の場面にですか。どういうケースでですか。
記者
今回のWTCの件で市に返還するような場合です。
市長
WTCの問題が、例えば、これは市長として特定調停を結んだこと自体がミスであるという判決が確定した段階の話と違いますか。
記者
そうです。
市長
それが確定するのは、まだまだ先の話であって、それが確定したらどうするんですかっていうのはちょっと違うんではないかなと思います。今、お答えすべきことではないというふうに、私は思います。
記者
就任半年についてですが、後ろ向きな仕事も多かったというふうにおっしゃっていましたけれども、率直に言って、自己採点されるとしたら、何点ぐらいだと思われますか。
市長
合格点が60点だとしたら、60点はいただけると思っています。というのは、確かに不慣れな部分で、ばたばたした部分もあります。でも私の姿勢というのは、絶えず市民のためにというのは変わっておりませんし、市役所の中に対しては、「これどうなってんねん」「何でや」というのを、絶えず投げかけております。そんな中で少しずつ、情報公開につきましても、こういう定例記者会見につきましても、2週間に1回であったものを、1週間に1回させていただいて、その都度、いろいろな情報をお出しするということ、さらには市の職員に対して、「絶対に隠すことあかんぞ」と。なおかつ、ネガティブ情報についても、きちんと情報をまとめて、対策まで講じた上で、皆さんにお知らせするようにという形で、やり続けております。まだまだ、職員が慣れていないのは、これはもう仕方がないことで、私自身も慣れていない。職員の使い方という部分、あるいは職員に助けてもらうという形では慣れていないのは、ある程度仕方がない部分はあると思います。本当に変わりつつありますので、前向きに。ただ、そんな中で、不祥事が、本当に次から次から出てまいります。これは予想外のことですが、いや、その予想外ということ自体が、おかしいのかなとも思うのですが、「えー」というようなものまで出てきました。これに対してはもう、「毅然とした対処をする」としか言いようがありませんし、その再発防止策が講じられるものは、再発防止策を講じます。すぐに対策を取ります。どんどん出てきていただいたら、逆にこれは、公正職務審査委員会の辻委員長が、いつもおっしゃているんですが、700件とか800件とかいう内部通報があるということが、おかしいというバッシング、「大阪市はまだそんだけおかしいやないか」というバッシングがある一方で、辻委員長は、「いや、これが正常化の途中なんや。何でも、持っといで」という内部通報制度でございます。「どんなことでも、一応1件として、勘定するよ」という形で積み上げてきた数字がそれですから。そういう形で、変わりつつありますし、今回の不適正資金の問題についても、自己申告という形でやらせていただいたんですが、あれだけの数が出てきたということでも、変わりつつあります。私は本当に、自分が思っていること、それから「市民のためにどういう動きをしたらええんや」というようなことを、職員と話し合いたいし、職員にその自分の気持ちをぶつけていきたい。ただし、やっぱり4万2千人弱というこの組織の大きさに、なかなか事務的にそれができずにいるという部分です。少しずつでも、それでも前に進んでいきます。少しずつ浸透していきたいと思っています。ぜひ、市民の皆さんにも、見守っていただきたいと思う次第です。
記者
何かと橋下知事と比べられることが多かったと思いますが、今後、平松市長のカラーは、どういうふうに打ち出していこうと思っていらっしゃいますか。教えてください。
市長
カラーって、 自分で何色というのは、僕はやはり、ないと思います。じゃあ、橋下知事のカラーは何色なんでしょうと。橋下色っていうのは、強烈に出すぎるぐらい出ているとは思います。でも、その橋下色に対抗して自分の色を出そうとは思いません。私は、一歩ずつ、本当にいいと思うことを重点施策として取り上げて、そして、いいと思ったことに税金を使わせていただく、振り分けをする役目でございますので。ただ、あまりにも大きな所帯です。一年経って、ようやくその一通りの流れが経験できる。恐らく、一年半経っても、「この部分は知らんかったなぁ」っていうのがきっと出てくると思いますが、それも職員に助けられながら、職員一丸の色でいきたいと思っています。
記者
そのいいと思うというもの、何か、今、一つ教えてもらっていいですか。
市長
はい。これは、私の重点施策の中で、こども施策を挙げさせていただきました。待機児童の完全解消。保育所待機児童の完全解消もそうですし。完全解消のために何ができるかというと、単に保育所を建てたらいいというものではない。今までのようにお金があれば、単に建てればいいんですよね。土地を買って、単に建てればいいけれど、お金がないような状況の中で、どうやるんだというと、縦割り行政の中で、乗り越えられなかった壁を乗り越えるように、市長として指示を出すことはできるわけです。「他の局がここを使いたいと言ってるけど、この土地、これだけあったら、保育所が作れるやんか」というような話はできるわけです。そういう話を、具体的に進める役目を私が担っていると思っています。私は、選択制の給食を実施したいと言っておりますけれども、その気持ちも全然変わっておりません。現実にいつから本当に選択制の給食、中学校給食を実施できるのか。これについては、橋下知事もおっしゃっています。先日も、これは新聞報道だったと思いますが、橋下知事も中学校給食に選択制を導入したいということをおっしゃっていて。ただ、気になったのが、そこに『政令市は除く』みたいなのが一言入っていたので。「差等補助だけはやめてください」「差等補助は、あきませんよ」というのは、先日もお会いした時に、一言申しました。
記者
WTCの関係で、先ほど、「4年前に特定調停が破綻したのはなぜか、こちらが聞きたい」とおっしゃっていましたが、このことは、まさに半年前におっしゃっていた言葉であって、今まさに今半年経って、「こちらが聞きたい」とおっしゃるのは、あまりにも当事者性がないというか、この半年、何をやっていたのかと思うのですが、その原因究明、選挙で公約された、「こちらが聞きたい」とおっしゃったことに、これまで半年、どういう取組みをなさってきて、今どういう段階まできているのか、説明していただけますでしょうか。
市長
外から見ていた『WTCの特定調停』というその流れを、私なりに、市長になってから、いろんな情報源を通じて、取材はしております。取材をしている中で、この特定調停というスキームを選ばざるをえなかったという、当時の公会計の仕組みと言いますか、これは、WTCをつくった時まで遡る仕組みだと思いますが、大阪市の公金の、銀行との関係において、大阪市がその信用というものを、今後のいろんな事業に際して、銀行からいろんな形で資金の融資を受けたりしなければならない、あるいは債券を発行したりしなければならないという、そういう部分で、あの時点で破綻をしていれば、将来への大きな禍根を残すという判断があったんだという説明は聞きました。その判断が、正しかったのかどうかについて、私は、分からないという意味を申しております。なおかつ、その特定調停自体が住民訴訟になっておりますので、これを表向きに調査をしていくということが、この訴訟に何らかの影響を与えるのではないかということを危惧して、私は、表立って、その調査のことについては、触れてはおりません。そういう事でございます。自分自身、「この半年間何をしていたんだ」と言われる、そのお叱りの言葉、謙虚に受け止めさせていただきたいと思います。本当に、前向きにWTCに取り組もうと思えば思うほど、その大きなハードル、高いハードルというものが、次から次から、出てきている状況ではございますけれども、しかし、先ほども時間をかけて申しましたように、咲洲をもういっぺん再構築することが、WTCの価値を上げることに必ずつながる。それが、WTCの一個だけの価値を上げようとしたから、中途半端な開発の状況の中で、「ひとつだけに人が入ってほしい」とか、「テナントさんが入ってくれ」という動きをやっても、それが実らなかったんだという認識を私は持ちました。それは、この半年で、あの地域という部分で、WTCを考えられることができるようになった部分が、変わったといえば、変わったといえるのかもしれません。 |
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