平成20年12月26日    大阪市長会見要旨

よろしくお願いします。
早いもので、今年最後の定例記者会見となりました。
途中、私の健康の都合で何回か抜けてしまいましたこと、申し訳ございませんでした。

【市長の上海市訪問について】

さて最初は、上海市の訪問につきましてでございます。24日に報道発表させていただきまして、すでに報道もしていただいておりますけれども、一昨日の24日に開催されました上海万博大阪出展実行委員会でも話がございましたが、来年の1月12日、月曜日の祝日でございます、の昼から14日の水曜日まで、中華人民共和国の上海市へ出張いたします。これにかかる旅費は、私も含め6人まいりますが、合計で79万円となっております。
上海市とは、昭和49年4月18日に友好都市提携を行って以来、さまざまな分野で友好交流を行っておりますが、平成21年度には友好都市提携35周年を迎えることになっています。
上海滞在中には、韓正市長を表敬訪問するとともに、平成22年に開催されます上海万博のベストシティ実践区、これへの出展契約調印を、実行委員会を代表して行ってまいります。先日、府庁で橋下知事がサインをしてくださいました、その書類を持ってまいります。あらゆる機会を捉(とら)えまして、私は「大阪の広告塔となりたい」というふうに言っておりますし、「トップセールスをする」と言っております。今年7月のメルボルン出張の際にも、メルボルン市役所のホールをお借りいたしまして、『大阪セミナー』を開催したわけですが、今回上海でも、日中経済貿易センターの協力もいただきまして、上海へ進出している日本の企業の方を対象に、上海万博への大阪出展、それからまちづくりについて、プロモーションを行いたいと思っております。さらに、上海市が進めておられるライトアップ・河川観光事業や、河川の水質環境保全事業を視察いたしまして、今後の本市の事業にも活用してまいりたいと思いますし、成長する上海の活気とパワーを感じてまいりたいと思っております。

【『Sibos(サイボス)2012』の大阪開催の内定について】

次に、『Sibos(サイボス)2012』の大阪開催の内定につきまして、お手元に資料をお配りしております。
国際会議Sibosの2012年大阪開催が内定したという連絡がございました。非常にうれしく思っております。
Sibosは、国際業務を行うおよそ8,700もの金融機関が加盟するSWIFT(スィフト)、これは本部がベルギーにあるそうですが、SWIFTが主催する大規模な国際会議でございまして、日本で初めての開催が大阪で実現するということは、国際コンベンションの誘致を進める大阪市にとりましても、極めて意義深いものになると思っております。
今回の内定に先駆け、SWIFTの担当部長が大阪視察に来られた際に、私から直接、大阪の交通利便性でありますとか、あるいは良質な宿泊施設、さらには『コンベンション都市・大阪』としての優位性や、近代的な先物取引市場の発祥地としての大阪の歴史ですとか、大阪の人の魅力なども紹介しまして、最大限のアピールをさせていただきました。
また、橋下大阪府知事や中野三井住友銀行副会長からもトップセールスをしていただいたり、あるいは関西経済連合会会長、大阪商工会議所会頭、関西経済同友会代表幹事連名による要請文を送るなど、官・民・経済界が一丸となったオール大阪での誘致活動が実を結んだものだと思っております。こうした大阪の熱意。その時にお会いしました担当部長の方も、大阪のまちの素晴らしさと、そして官・民・財界一体となって歓迎するというメッセージに非常に感激していただいたことを覚えております。
こうした機会、Sibos開催の機会を捉えて、大阪の魅力を世界に発信してまいりたいと思います。今後も、元気あふれる大阪に向けて、官民を挙げましたオール大阪の体制での国際コンベンション誘致に取り組んでまいりたいと思っております。

【水と歴史の都『大阪』の再発見ウォークについて】

次は、来年に向けての一つの構想でございますけれども、先日、公表させていただきました私の政策推進ビジョンの中で、『海の御堂筋』構想の推進というのを打ち出しております。
大阪城、中之島から安治川を経て海に至る道筋。道筋といいますか川筋といいますか、これを御堂筋に匹敵する、水を中心とした東西のシンボル軸として捉えまして、近代大阪発展の歴史的ストックでありますとか、文化・集客資産等も活(い)かした海と都心をつなげるまちづくりを、市民や企業の皆さんといっしょになって進めて行きたい、というものでございまして、もちろん一朝一夕にできるとは思っておりませんし、行政だけでやっても空回りになるだけやと思っております。多くの人に賛成していただいて、少しずつ、少しずつ実現に向けて、描き出していきたいと思っておりますが。
そういう風に思っておりましたら、早速、ゆとりとみどり振興局から、都心型としては日本最大規模といえる2万人規模のウォーキング『大阪ウォーク』を海の御堂筋にかけてやれないだろうかという提案が起きております。大阪城を中心としまして、中之島やベイエリアなど、『海の御堂筋』を歩くコースも計画しているということなんですが、大阪の魅力を市民も来訪者も体感できるイベントとなるのではないかと思っております。来年、皆さんご承知のように、大阪府も市も、そして経済界もいっしょになって『水都大阪2009』を開催するわけでございますけれども、大阪市としても、独自に『川と海をつなぐ舟運(しゅううん)にぎわいまちづくり事業』の実施に向けました準備を進めていますが、この『大阪ウォーク』が『水都大阪2009』の掉尾(とうび)をかざるビッグイベントになればと前向きに検討したいと思っております。
ウォーキングというのは、この平坦な大阪のまち、そしていろいろな集積がびしっとこう詰まっている大阪のまちにとっては、非常に健康にもいいし、いい運動になるし、ということで、私も一度、天王寺動物園から北区の自分の家まで3時間ほどかけて歩いて帰ったことがあるんですけれども、まちを歩くこと自体がまちを知ることの第一歩になるというふうに考えております。
私のビジョンにございます放置自転車問題、あるいは防犯の問題、さらには環境や防災など、関心を持っていただく良い機会になると思いますので、この『ウォーキング』を市民各層に広げていきたいなと思っております。
政策推進ビジョンを策定途上の段階で公表することで、市のさまざまな部署にも浸透し始めておりまして、今回のような新たな発想でビジョンの実現に向けた動きが出てくるという、そういう動きを大事にしたいと思っておりますし、私、大変うれしく思っております。今後もさまざまな場面でこうした動きが出てくることを期待しております。

【大阪府の『市町村補助金』について】

次にまいります。大阪府の『市町村補助金の交付金』につきまして、一言申しあげたいと思います。24日に発表されました大阪府の交付金28億円につきまして、大阪府と府市長会との間で、市町村補助金の交付金化等について、合意に至ったという報道がなされておりましたけれども、実際は、一昨日の府知事と府市長会会長らとの会談において、府側から回答のあった案に対して、あくまでも会長が個人的見解を述べられたものであり、今後、各市と協議して決定していくことを市長会として確認しております。また、私は常々、訴えておりますけれども、政令市という理由だけで、いわれのない補助金の差別、いわゆる『差等補助』につきまして、大阪府が、財政力など客観的な数値に基づかずに、単に政令市という理由だけで、補助金や交付金の対象から除くということは、決して許されるものではないと思っております。政令市・中核市の取扱いについての説明は、「府が責任を持って行う」と府が述べたと聞いておりますけれども、具体的な点については、明確にされなかったようであります。今後、府からの具体的な申し出を待つことになるわけですが、他の政令市や中核市に呼びかけ、共同で、府との協議を行いたいと考えております。本市では、すでに国の地方分権改革に先駆け、府に対し、住民に最も身近な行政を担う本市が実施すべき事務についての資料提供を依頼し、現在、府からの回答をもとに市内部で検討を行なっているところでございます。財源と合わせた府から市への権限移譲が実現しますと、いわゆる『差等補助』、これ、分かりにくい言葉なんですが、この問題は自ずと解消されることになるんだろうと思っております。大阪市としては、真の地方分権の実現に向けて、交付金の問題と合わせて、権限移譲につきまして、府との協議を積極的に行いたいと思っております。

【2008年の報道へのお礼と2009年に向けて】

さて、去年の12月19日に市長になりましてから、2回目の年末を迎えることになるわけですが、今年1年、報道機関の皆様にも、いろいろと市の状況を取材、そして報道していただきまして、本当にありがとうございました。
昨日、光のルネサンス、多くの人に来ていただきました。皆様に報道していただいたおかげで、まだ、概算でございますけれども、来場者数は138万人で去年よりもおよそ23万人の増加を見たという報告が入っております。これはまだ概算でございます。
来年は、何と言いましても、WTC、そして府市水道協議。この2つに関しましては、新年早々の大きな課題になるという認識でございます。本当の意味で府市協調がどうあるべきか。全ての情報が公開されていく中で、皆様にも実感していただけると思っておりますし、実感していただきたいという気持ちでおります。
それから、何と言いましても2年目に入ります私としましては、市民協働、情報公開はもちろんなんですが、その市民協働の動きをさらに幅広いムーブメントとして巻き起こしていきたいという気持ちでいっぱいでございます。皆様にも、より多く報道していただけるような動きを、市民の中に入り、あるいは職員の中に入って、広めてまいりたいと思いますので、是非ご協力お願いしたいと思います。
年末年始でございますけれども、職場によりましては、正月も業務があるわけですが、29日にはまだ多くの職員が働いていると聞いております。そういうところにも顔を出したいと思っております。
そのあと30日から2日にかけましては、国内におりますけれども、お休みをいただきたいと、かように思っております。
私からは以上でございます。
質疑応答
記者
お決まりで申し訳ないのですが、御用納めの今日ですね、1年振り返って、簡単にでかまいませんので、感想をお願いいたします。
市長
はい。1年のインタビューを各紙、あるいは各局にしていただきましたので、重なるのであえて申しませんでしたが、やはり、一番大きかったのは不適正資金の問題で、市民の皆さんに大きな不安、不満をお与えしてしまったという部分でございます。過去のことであるとはいえ、だめなものはだめとはっきり、しっかり言っていける、正していける大阪市役所でありたいという思いでやってまいりましたこの1年、いろんな意味で、マイナスの材料も出ましたが、プラスの材料も出てきていると私は感じております。私だけが感じていたのでは何にもなりませんので、それをより多くの市民の皆さんに感じていただけるような動きを、私一人では限りがございますので、市役所の職員が一丸となって取り組んでまいることが出来るように、より一層のコンプライアンス意識の高まりと同時に、「市民協働って何やねん」という部分を、市の職員の隅々まで実感してもらえるような、そんな動きと提案をしていきたいと思っています。この一年、本当に凝縮された、あっという間の一年でございました。しかし、一歩前進できたという気持ちは持っておりますので、この一歩がどれくらいの幅だったかというのは、また何年か経ってから評価していただけるのではないかと思っております。以上でございます。
記者
一点は、光のルネサンスで去年よりも来場者が多くなったということで、市長の分析とか感想を改めて伺いたいのと、この間、タクシーの運転手さんがですね、「こんなに人が集まっているのにお金を落とす場所が少なすぎやしないか」みたいなことをちょっと言っていたんですけれども、来年に向けて、何かそういった、「もっとこういうことをしたら、よりいいイベントになるんじゃないか」というお考えがあればお聞かせください。
市長
ありがとうございます。光のルネサンスは私も初めての経験だったんですね。去年来たときには缶詰になっておりまして、一生懸命、「予算って何や」というような話をしておりました。実際には見ることはできませんでした。今年初めて見せていただきまして、先日、知事とお会いした際にも話したのですが、すばらしいイベントであると。これをもっともっと多くの人に見ていただきたいという思いと、同時にやはり、点灯式とか、いろいろなイベントを通じまして、知事も大きく声を上げていただいたことから、お客様が年々増えてきていましたので、今年も増えるだろうと思っていましたが、その増え方が急カーブに上がったのは、そういったこの一年の大阪という文字の発信力、これは橋下知事によるところも大きいですし、それから市のゆとりとみどり振興局をはじめ、光のルネサンスの実行委員会の努力も大きかったと思います。それから、鳥取市のご協力をいただいた砂像、ウエストライトパークの展開も大きかったと思います。来年に向けて、あるいは、来年以降に向けて、ますますこのイベントをやっぱり定着させていきたいと思いますし、一年に一度、クリスマスのシーズンに中之島近辺を中心にして、光の渦、あるいはにぎわいを感じていただける場所にしたいなあと思っております。
それから、タクシーの運転手さんが「お金を落とすところないな」。確かにそうですね。あったからといって、この不景気でどれぐらい落ちたかというのは、話は別なのですが、規制緩和という部分で考えますと、来年は水都大阪2009というイベントの中で、この川沿いの地域でどうしたもの、どういったものが展開できるのか。飲食店でありますとか、あるいは、物販ですね。そういったものの規制緩和等も含めた展開が、まず水都大阪で実験されると思います。そういった実証実験を重ねながら、大阪市の中之島にふさわしい物販なり、飲食という形式がどういうものかというものを、やっぱり探っていきたいという気はしております。あるいはお土産ですよね。やっぱり来ていただいたら、中之島に来ていただいたという、光のルネサンスに参加したという公認のお土産があってもええんかなぁなんていう気もしました。以上でございます。
記者
WTCの話でも、賃料の話なんですけれども、市長は市会のほうで、WTCの社長さんと直接交渉をされるというような姿勢で臨まれるとのことですが、これまでの経過を見ていると、果たして打開できるのかという気もしているのですが、その辺は、見通しみたいなものはあるのでしょうか。
市長
そうですね、実は年内にも調整をと思ったんですけれども、残念ながら、スケジュールが合いませんでした。年明け早々にそういう時期をつかまえて、恐らく私のほうからWTCにお伺いすることになると思います。そしてやはり、大阪市としての予算を組んでおりますので、そのタイムリミットも近付いておりますことから、のんでいただきたいというお話をさせていただきます。それが進まないことには大阪市の予算としても、底をつくわけでございますから。年明けのいつになるかというのは、決まり次第、隠れて行くつもりはございませんので、お知らせするということになると思います。よろしくお願いいたします。
報道担当課長
他にありませんでしょうか。
市長
それじゃ、僕から、一点だけ。いいですか。何か、自分から言うというのは変なんですが。実は、朝に取材を受けましたWTCの鑑定価格の件について、実は午前中の段階では、どういう表現をしたらいいのかという形で、非常にあいまいな、枠、範囲をとった言い方をしておりましたが、その後やはり、ここまで府の数字がはっきり出てきており、大阪市だけが幅を持っていてもということで、これはあくまでも作業中という、まだ最終のはんこをもらった鑑定報告書ではございませんので、作業中の数字であるということを前提に、153億という数字を言わせていただきます。以上、こちらからの押し付けの、何ていうんですか、押し売り的な、数字になりましたが、よろしくお願いします。
ありがとうございました。本当に、1年、ありがとうございました。来年、大変な年になるのは自覚しておりますし、そんな中で、私は、ほんまに市の職員、変わりつつあるという実感を持っているのですが、その実感を皆さんにも感じていただけるような、そんな市役所にしていってほしいと、絶えず、職員に、私のほうからはっぱかけます。まだまだ厚遇問題の尾を引いて、いろいろメディアの皆さんに対しては、まず殻に閉じこもるという部分もありますが、「そんな時代やないで」ということを、大きな声で言ってまいりたいと思いますし、また皆さんのほうからも、そういった職員にいろんな形で水を向けていただきたいと思います。区役所、いろんなところ、走っていきます。それと同時に、もちろん市民の中、走っていきますし、来年、どれだけのことができるか。今は非常に希望に満ちた年になるようにという思いをこめて、2008年の幕をゆっくりと引かせていただきたいと思っております。
どうもありがとうございました。
 

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