平成21年2月18日 大阪市長会見要旨 |
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【平成21年度予算案について】
皆さん、おはようございます。
質疑応答
まず、大阪市を取り巻く財政の状況でございます。環境ですが、世界的な経済金融危機に伴いまして市税収入が大幅に減少する中で、福祉費や市債償還の増加が見込まれ、阿倍野再開発事業などの財務リスクの処理にも着実に取り組む必要があることから、危機的な財政状況が、より深刻化しつつあります。またその一方で、雇用創出などの緊急経済対策や、元気回復に向けた施策が急務ともなっております。こうした状況を背景に、予算編成にあたった次第です。 まずは、『財政の健全化』を一層進めることとし、急激な市税収入の減への対応と『経費削減の取組』の反映によりまして、持続可能な都市をめざすことといたしました。 その一方で、施策の重点化を図り、政策推進ビジョンを予算に反映することによって、元気な大阪をめざしていくとともに、『緊急経済対策』にも取り組んで、雇用創出や市民生活と中小企業への支援を行うことにより、現在の経済環境の悪化に早急に対応することとしております。 こうした編成方針のもとに計上いたしました、一般会計予算の歳出規模でございますけれども、『緊急経済対策』の取組みにより1兆6,278億円となり、前年度と比べまして353億円、2.2%の増となっていますけれども、これは、中小企業緊急融資のための預託の増加分が含まれているためでございまして、それを除きますと、実質的な歳出規模は、財政の健全化の推進によりまして1兆5,812億円となりまして、前年度と比べて113億円、0.7%の減と、8年連続のマイナスとなっております。 なお、全会計の歳出規模は3兆8,399億円で、前年度と比べて0.4%減、4年連続のマイナス予算となっております。 次に、財政の健全化についてですが、市税収入につきましては、経済環境の急速な悪化を受けまして、法人市民税が過去最大の落ち幅となったことから、全体では過去2番目の落ち幅となる458億円、6.7%の減となり、市税収入のピークでした平成8年度決算、これと比べますと、およそ1,400億円の減収となっておりまして、厳しい財政状況がより深刻化しつつあります。予算要求段階では、既に300億円以上の歳出削減に取り組んでいたわけですけれども、このような急激な市税収入の落ち込みによりまして、244億円の収支不足が発生したことは周知のとおりでございます。このため、予算編成過程で歳出削減の精査を行うとともに、地方交付税の確保や基金取崩しの追加などの財源対策を行うことにより、ようやく収支不足を解消することができたわけです。また、『経費削減の取組』の見直し内容を予算に反映することによりまして、無駄のない効率的な行政をめざした改革を推進することといたしました。 人件費でございますが、職員数を655人削減するほか、給与カットなどにより、132億円の削減を行いました。なお、交通局・水道局を含めた全職員数についてでございますが、1,033人の削減を行うことから、21年度の職員数は4万人余りとなり、22年度には削減目標の3万人台とする見込みです。 次に、物件費につきましては、各種補助金や地対財特法期限後の事業等の見直し、維持管理費の縮減などにより、74億円の削減を行いました。さらに、投資的経費につきまして、中之島線等の大規模事業の収束により、145億円の削減としております。 その結果、市政改革の達成状況でございますが、5年間の一般会計の歳出削減目標2,250億円、これに対しまして、21年度までの4年間で2,118億円の削減としており、94%の達成率となっています。 さらに、22年度には『経費削減の取組』を実現することによりまして、2,447億円の削減が見込まれます。これによって、当初比109%の達成率となる見込みですが、現在の経済状況等を勘案しますと、今後も引き続き歳出の内容をより一層精査していく中で、経常経費の削減に取り組む必要があると考えております。 また、市債残高につきましても、一般会計・全会計ともに4年連続で減少することとなりましたが、依然として高水準にあることから、引き続き市債発行の抑制に努める必要があると考えております。 予算編成におきましては、施策の選択と集中によりまして、大規模事業の収束などによる事業費の見直しや、人件費・物件費の削減により生み出された限りある財源を『教育』『子育て』『環境』『安全』『文化観光』などの施策に重点的に配分しております。また、セーフティネットの構築などに、予算全体の4割近く、正確には37.3%になりますが、4割近くを計上しております。 なお、これらの具体的な事業につきまして、この施策の重点化でございますが、これは『重点的に取り組む主な施策』として、後ほどまとめてご説明を申し上げます。 また、緊急経済対策でございますが、去年12月に緊急経済対策本部を設置し、全市体制で取り組みを進めております。20年度補正予算と21年度予算を合わせて総額1,852億円を計上し、切れ目のない対応を行ってまいります。具体的には、雇用支援対策として、46億円を計上し、学校給食調理業務民間委託の拡充、定額給付金の給付事務などにより、およそ1,000人の新規雇用創出をめざします。また、中小企業支援対策として、1,258億円を計上し、緊急対策資金融資を継続して実施するほか、緊急相談窓口を設置し、引き続き相談に応じてまいります。生活支援・安心対策といたしまして、548億円を計上し、定額給付金や子育て応援特別手当の支給、妊婦検診の拡充などを行います。さらに、官公需関連対策として、前倒し発注の計画的な推進などの取り組みを進めてまいります。 なお、大阪府と関連する課題としまして、まず、いわゆる差等補助でございますけれども、これまでからその解消について、府に申し入れを行なってまいりました。平成21年度予算では昨年度のおよそ8倍、5億7000万円に拡大されてしまう見込みとなっております。常々言ってることなんですけれど、大阪市民はすべて大阪府民でございます。そして、ほかの府民と同じように府民税を負担しているにもかかわらず、政令指定都市であるという理由だけで、こういった補助金等を措置しないというのは、私は、道理に合わないことでありますし、この内容をご覧いただいたら分かりますように、これは子育てでありますとか、あるいは医療でありますとか、それに関連した部分での5億7000万円に拡大される、いわゆる差等補助の存在自体につきまして、是正されるように、府にこれからもねばり強く求めてまいりたいと思っております。 その一方で、これは臨海部のまちづくり、『関西州を見据える大阪府との連携』とさせていただいておりますが、これに資する臨海部のまちづくり事業といたしまして、従来の企業立地促進助成に加えまして、大阪港咲洲トンネルの普通車の通行料金を半額にするほか、R岸壁のフェリー対応化に伴う需要動向調査でありますとか、夢洲の土地造成がほぼ完了している地区におきます土地需要調査など、咲洲プロジェクトとして、総額22億円あまりの予算を計上しております。 以上、予算案の概要でございました。
先週、『「元気な大阪をめざす」政策推進ビジョン』につきまして、私から公表させていただきましたが、平成21年度はこのビジョンの実現に向けたスタートの年ということが言えます。その基本にあるのが『市民協働』という考え方でございます。大阪市では、地域で本当に大阪市のために活動しておられる団体、個人の方が多くいらっしゃいます。そういったさまざまな地域に根ざしたまちづくり活動を行っておられる方たちと、そして多くの企業、NPO、大学、専門学校、文化施設など、いろいろな社会資源が集まっているまちでございます。こうした地域のパワー、そして大都市のパワーを結集して、『協働』を大阪のまち全体のムーブメントにまで高めて、市民をはじめ大阪にかかわる全ての人々といっしょになって、大阪を元気なまちに、そして『いちばん住みたいまちへ』と感じてもらえるようなまちづくりに取り組んでいきたいと思っております。 去年の予算編成を思い出しますと、やはりどうしても「途中からいっしょに入った」という感じがいたしますけれども、今回の予算は初めて、ま、いわば私が一から手がけた予算ということが言えるわけです。非常に厳しい財政状況の中ではありますが、ビジョンに掲げた目標に向けまして、さまざまな具体策を盛り込ませていただきました。 まずは、『T 「協働」をまちのムーブメントに』ということで、『協働』をキーワードに、政策推進ビジョンを具体化するための施策に重点を置いたということです。 もう一つ、『U』では、保育所待機児童対策や救急医療対策など、行政がしっかりと責任を果たさなければならない課題についても早急に解決を図るべく重点を置きました。 就任以来、「なんて縦割りなんだろう」という思いを何度もしました。その縦割りをすべて無くすことはできないにしても、その縦割りの筒がそれぞれにきっちりと連携を果たし、連絡を密にすることによって、逆に力になりうることがあるではないかということをずっと言い続けてきたわけです。それと同時に同じ事業をやっていながら別の部局であるというような無駄を省いていこうということも言ってまいりました。今回の予算編成を通じて、ようやく局同士が情報をいかに共有するのか、あるいは手をつないで事業を進めていくのかといった素地を作れたと私は思っております。 ではポイントを絞りまして、主な内容のご説明に入ります。 まずは、暮らしやすいまちにするための、『地域防犯対策』『放置自転車対策』『ごみの減量』という、住んでいらっしゃる方にとっても、あるいは大阪を訪れる方、大阪に移り住んで来られる方にとっても最も身近で関心が高い3つの課題に、しっかりと目標を設定して取り組んでまいります。 まず、『ごみの減量』に関しまして、その『ごみの減量』を進める方策の一つとして、事業系ごみを例にご説明いたしますと、ごみ全体の64%、94万トンを占めるといわれる事業系ごみでございますけれども、この事業系ごみをいかに減量するのかというのが非常に大きな課題でございます。そこで、焼却工場に搬入される事業系ごみがピット内に投入される前に、産業廃棄物が紛れ込まないようチェックを強化いたします。作業効率を上げるためにベルトコンベアーを設置して、流れ作業の中で産業廃棄物が見つかれば事業者に持ち帰ってもらうということです。そして、収集運搬業者や排出事業者に対しまして、適切な処分方法の指導啓発を行いたいと思っております。こうした適正化を徹底することで、年間およそ5.3万トン、パッカー車にしますと、2トンのパッカー車で2万6000台分を超える事業系ごみの減量が図れるということになります。21年度はこうした事業系ごみの適正処理に、機器の設置費など、およそ2億6800万円を計上しております。22年度以降は機器の設置費がなくなるために、ランニングコストとして、およそ4300万円という数字を聞いております。このほか、『地域の防犯対策』でございますけれども、青色防犯パトロールへの支援でありますとか、防犯カメラの設置費補助などに、6億7800万円を、また『放置自転車対策』では、キタ・ミナミでの重点的な取組みなどに、4億5900万円を計上しております。 この3つの対策は、さまざまな相乗効果も期待できると私は思っております。 3つをばらばらに取り組むのではなくして、情報を広く市民の皆さんと共有することから、そして、いろんな形で発信させていただくことから、一体的に取り組んで、協働の動きを大阪全体に広げていきたいと、こういう思いでおります。 次に、『大阪を元気にするための推進エンジン』の取組みでございます。 その一つとして、『環境』をキーワードにした取組みを進めてまいります。ビジョンではサツマイモが大きく取り上げられましたが、こうした身近な取組みを通じまして、また、成果を目に見える形で情報発信していくことにより、環境問題を広く市民の皆さんに、しかも身近に感じてもらう、あるいは身近な問題として理解していただければと思って取り組むわけでございます。 21年度のヒートアイランド対策の目玉は、市内のあちこちでのムーブメントの仕掛けづくりと言えると思います。市役所屋上ではサツマイモによる『緑のカーペット』を敷き、その効果を測定して公表いたします。また、一部の区役所では水耕栽培以外に手軽なプランターでの栽培もやっていきたいと思います。 余談になりますけども、サツマイモといいますと、秋になると収穫を迎えるわけですが、残ったツルでありますとか、あるいは葉っぱ等は処分するわけですが、実は天王寺動物園におりますゾウの春子たちがこれを食べてくれるということでございます。もちろん、葉っぱだけではかわいそうなんですが。ゾウはこれを消化してウンチになるわけですが、それを肥料とすることができます。ですから、この肥料を次の芋植えに使うということになれば、まさに究極の循環ということが言えるんじゃないかとも思っております。こうしたちょっと興味を引くような話も、市民の皆さんに環境への関心を持ってもらえればというきっかけにもなりますし、子どもたちにとって、そういう循環という気持ちを持ってもらえる入り口としては、いいトライアルになるんではないかと思っております。その行き着く先に、その屋上でできた『スイートポテト・コンテスト』などもできればいいんですが、どうなりますか。 また一方で、ゴーヤの『緑のカーテン』づくりです。これは24区役所で実施の予定です。真夏の区役所の壁がどういった感じになるのか、是非ご覧いただきたいと思います。さらに、『緑のカーテン』は、20校ほどの小中学校でも行います。22年の夏には、全ての学校で『緑のカーテン』を作ろうと思っています。子どもたちの環境教育や体験が家庭への取組みとして広がっていくことを期待しております。 そのほか、市民の手で進められて大きな広がりを持っております『種から育てる花づくり事業』などの実績も、これからますます積み上げていきたいと思っております。 ヒートアイランド対策の少し大きな話になりますが、長堀通での『風の道』の実験を行います。今回は、およそ1kmの区間を対象とした実験でございますが、『風の道』づくりには、緑化が重要な要素になると聞いております。それ以外にも、遮熱性舗装の試験実施、道路への散水、また沿道での打ち水なども欠かせません。さらに、市民の皆さんによる『緑のカーテン』づくりや『緑のカーペット』づくりなどが、この沿道で取り組まれるということも重要な要素となります。 こうした市民といっしょになった取組みを通じまして、『ちょっと涼しい夏の大阪』を体感できれば、あるいは実現できればというふうに思っております。これがやはり『協働』という視点でないと、単に上から決めて実験するというものではなく、地域の皆さんの協力を得ながら、この区間を実験しましょうよという声をあげていくことで、「どこにしようかいな」と、この長堀通のどの部分にするかというものも、まず地域のご協力が得られるというのが大きな要素になると思います。環境局、あるいはゆとりとみどり振興局、さらには建設局、多くの局・区、そして市民の方が関連する連携体制を、どれだけ具体化できるかという実験でもあると思って取り組んでまいりたいと思います。 次に、大都市であります大阪を『文化』『環境』を軸にしまして、その魅力にますます磨きをかけていきたいということで、ちょっと中之島に重点を絞ってご紹介しようと思いますが、これまでのさまざまな事業整備によりまして、『水の都大阪』のシンボルであります中之島の景観は大きく変わりつつあります。21年度は『中之島公園の再整備』を完成させます。これは8月に完成するはずです。それから、併せて中之島公園の対岸にあたります土佐堀川左岸の護岸緑化を、民間ビルの協力による壁面緑化などといっしょに行いまして、景観の向上を図りたいと思っております。 また、今年はご存知のように、中之島をメイン会場といたしまして、『川と生きる都市・大阪』をテーマに、『水都大阪2009』が8月22日から開催されます。多くの方々に是非楽しんでいただきたいと思いますけれども、一過性のイベントではないんですよというのをずっと言い続けております。この中之島というエリアが、大阪市民だけではなく、大阪府、あるいは関西全体の中の真珠と言えるような地域になるように、市民・企業・NPO等の皆さんの知恵をいただいて、今後のまちづくりに活かしていきたいと思っております。まず、「そういった動きをやります、始めます」というキックオフイベントとして『水都大阪2009』を位置づけたい、私はそういう思いでおります。 『中之島公園の再整備』や『水都大阪2009』などに、合計3億9600万円を計上いたしました。 次に、『光でかがやく中之島』です。冬の風物詩として定着しております『OSAKA光のルネサンス』を、『水都大阪2009』のファイナルイベントとして、中之島公園剣先地区などにも広げ、たくさんの方々の目を楽しませたいと思っております。また、このイベントに合わせまして、中之島ガーデンブリッジを暫定的にライトアップするほか、剣先地区の大噴水のライトアップも行いまして、魅力ある中之島を演出したいと思っております。これらの事業費として、1億1800万円を計上しております。 さらに、『文化に触れられる中之島』としまして、大阪城などでの大道芸で実績があります『パフォーマーライセンス制度』に、新しくストリートミュージシャン部門を設け、中之島エリアで演奏できる機会を提供いたします。場所としては、市役所の正面玄関でありますとか、あるいは、今度できます中之島の水上ステージですね。そのほかに、中之島の企業にお願いをしまして、ビルの公開空地等でのパフォーマンスを予定しております。ミュージシャンの選定ということでございますけれども、これは一定の選考基準を持つ既存のコンテストなどとも連携して行いたいと思っております。一定レベルを示すライセンスを取得したミュージシャンに自由に活動していただくことで、『文化に触れられ、訪れたくなる中之島』、これの魅力の一つになるようにしたいと考えております。ニューヨークで言いますと、こういうライセンスがバナーを、オーディションをやりまして、オーディションに受かった人だけがニューヨークシティからバナーをもらえ、このバナーが掲示されていれば、演奏できる場所っていうのを決めております。私、ニューヨークにいた時に、地下鉄の構内で弦楽四重奏をやっていらっしゃるのを見てびっくりしたことがあります。轟音(ごうおん)の中で懸命に弦楽四重奏をやっていらっしゃるのを、じっくり聴いておられるという方もいらっしゃいました。そういったものが実現できるかどうか、一歩ずつ広げていきたいと思っています。ライセンス制度の充実のほか、近代美術館用地を活用したにぎわいづくりでありますとか、あるいは近代美術館のあり方の検討調査を含めて、合計2000万円を計上しております。 こうしたさまざまな取組みによりまして、中之島を『水辺の文化都心』として実感していただきながら、大阪城から中之島、安治川を経て海に至る川筋を、『海の御堂筋』。大阪城から中之島、安治川、そして海に至るという東西のシンボル軸として『海の御堂筋構想』を進めてまいります。21年度は、川と海をつなぐ舟運で『海の御堂筋』を体感できる『みなと観光交流促進』や『海の御堂筋』をはじめとした大阪のまちの魅力を歩いて体感します『(仮称)大阪ウォーク』の開催を予定しております。これらの予算としまして、合計5800万円を計上しております。 そのほか、2010年上海万博に出展し、水都大阪の都市魅力とブランドイメージを、是非広く発信していきたいと考えております。 さて次は、『こどもの生きる力アップ』を掲げておりますけれども、その大きな枠組みは、大阪のまち全体で子どもをはぐくもうということでございます。もちろんこれまでも、こうした視点で家庭や地域住民、さらには学校がいっしょになって、子どもを見守り、育てているわけでございますが、大都市大阪にはたくさんの企業や文化施設、大学・専門学校などが集まっております。こうした大阪が持つさまざまな社会資源を活かして、子どもの生きる力アップを図ってまいりたいと思っております。 まず、『就学前のすこやかな育ち』を支えるための取組みでございますけれども、出産直後っていいますと、どうも外出しにくい、それから育児不安、ストレスを抱えるといった問題があるようです。そういったことから、『なにわっ子すくすくスタート事業』としまして、出産直後から3か月児の健康診査までの間に保健師・助産師が全ての家庭を訪問して育児支援や相談を行うなど、保護者の子育て不安の軽減を図ります。 また、就学前に基本的な生活習慣など、生きるための基礎を身に付けるための具体的な手法をまとめましたプログラムを幼稚園・保育所、家庭で実践していただけるようにしたいと思っておりまして、こうした施策に合計8100万円を計上しております。 次に、『一人ひとりの学力を確実に伸ばす』ため、常勤講師を学校規模などに応じて配置し、習熟度別少人数授業を小学校3年生から中学校3年生まで一貫して行うとともに、指導内容の充実を図ります。非常勤講師を常勤化することによって、20年度予算で9億円弱でございました事業費が13億円強と大きくなりますが、これは力を入れてやっていきたいと思っております。ただ、先ほどご覧いただきました予算総論を説明した際に触れましたが、ここで3億1900万円の差等補助が発生しております。これを、府が市を差別することがなければ、市の予算としては10億円の市費で同じ事業ができるのにという思いがあります。こうした差等補助は是非とも早急な解消を求めていきたいと思っております。 このほか、小学校に指導員を配置して、放課後の自主学習を支援する『ステップアップ事業』に4900万円を計上します。全ての小学校で実施するほか、指導員の研修を行うことで充実した取組みにしてまいりたいと思います。 また、子どもたちのさまざまな個性や才能を伸ばすため、公立・民間の文化施設、企業のミュージアム、あるいは研究施設といった大都市ならではの多彩な施設のご協力を得まして、夏休みにさまざまな体験プログラムを提供する『サマースクールシティ事業』を新たに実施するなど、多様な体験機会を設け、事業費合計1200万円を計上しております。 このほか、大阪市では、各小学校区で家庭・学校・地域が連携して学校を支える“はぐくみネット”に活動していただいておりますけれども、中学校区単位で見ますと、残念ながら学校と地域との関係が希薄になる傾向があります。せっかく小学校区でしっかりとできているネットワークを、新たに中学校区単位で無くさないために、『学校元気アップ地域本部』を設け、地域や企業のボランティア人材と学校をつなぐことによって学校を支援し、『元気な学校』づくり、これを図っていきたいと思います。 さらに、退職された校長や有識者等を学校に派遣して教員の校内研修を実施し、授業力のアップも図っていきたいと思います。これらの『元気な学校』づくりに、合わせて1億1300万円を計上しております。 こうして、家庭や地域、学校、企業などがそれぞれの役割で力を十分に発揮し、まさに、社会全体総がかりで、子どもたちの生きる力をアップしていくことが私の狙いです。今までもこういった考え方、概念はあったんですが、じゃあそれを具体的にどう実現するんだというところで、各局、各部、ばらばらの展開、あるいは区でばらばらの展開であったものを、いかに横糸をつなげるかということに重点を置きました。教育委員会、こども青少年局等のしっかりした連携のもとで、21年度をそのスタートの年としたいと思っております。 21年度に取り組むさまざまな事業についてご説明してまいりましたが、こうした取組みを進めていくうえで、最初に申しました『市民協働』というものがやはり欠かすことができません。そのための仕組みづくりとして、市民協働についての指針の策定でありますとか、優れた協働の取組みの成果を情報収集し、ベストプラクティス(協働の取組みと成果)として発信する機能などを充実していきたいと思います。さらには、地域からの意見や提案につきまして、地域SNS(※1)などを活用して市民と双方向での情報共有の仕組みを作りあげ、市民と行政とがいっしょになって取り組めるようなムーブメント、うねりのような力へ高めていきたいと思っています。今回、こうした経費に6500万円を計上しております。 ここまで『協働』を軸とした施策についてお話してまいりましたが、もちろん、行政の責任としまして、行政自らが取り組んでいかなければならない課題にも早急に対応したいと思っております。 まず、私の公約でもございます保育所待機児童対策。大阪市はこれまで、平成13年度から19年度までの7年間で、5,600人以上の入所枠拡大を図ってまいりました。その結果、大阪市の保育所入所定員は4万を超え、これは指定都市で一番多い定員数。第2位が横浜市の3万5千強なんですけれども、4万を超えております。それでもなお20年の4月時点で696人という、指定都市で3番目に多い保育所の待機児童数を数えております。21年度はこれまで進めてまいりました各年度の整備実績を大きく上回る2,200以上の入所枠拡大を図るため、28億3400万円を計上し、21年度末に待機児童の解消を図りますと申し上げております。これは民間保育所の整備でありますとか、整備助成、それから公立保育所を整備して民間保育所に移行したいという動きの中で、反対運動、起きておりますが、私、「ここで絶対に質を落とすことのないように」ということを、絶えず大きな声で関係各局に指示しております。もし、本当に具体的に質が落ちたというような事例がありましたら、教えていただいて、その中で改善を図っていきたいと思っております。それから、同じく私の公約でございます中学校給食につきましてですが、先日の記者会見でもお話してまいりました。先行実施しております昼食事業が、わずか2%の実績しかない現状から見まして、この厳しい財政状況の中で、まず昼食事業の実績を上げることに優先順位を置きたい。やはり、先日も申しましたが、2%という数字では、20億以上かかるといわれる全校実施に向けて踏み出すことはできないだろうという判断をいたしました。しかし、その実施率を上げるために、市は何もしないでただ待っているだけかというのではなく、21年度からは、市が配送費など経費の一部を負担することで、利用価格を現在の1食あたり350円から280円程度にするとともに、昼食内容の充実も図ります。2学期から全ての中学校で昼食事業をこの形で実施させていただきたいと思います。 このほかにも、親子弁当教室や弁当レシピ集の配布などの食育事業を実施することにより、合わせて1億6900万円、これを予算計上しております。 ちょっと長くなりました。予定より長くなってしまいまして申し訳ありません。 以上、重点的に取り組む主な施策を説明してまいりました。これらの取組みの前提といたしまして、福祉などセーフティネットの構築をはじめ、基礎自治体の責務として実施する施策や事業というのはもちろん着実に実施してまいります。 引き続き行財政改革にも着実に取り組むとともに、21年度予算のこうした重点的な取組みを私が先頭に立ちまして、市民の皆さんといっしょに考え、そしていっしょになって進めていきたいと思いますし、現場にいる職員たちにも絶えずそういった話をしながら市民といっしょに走り続けていきたいと思います。人が『生まれ』『育て』『学び』、さらには『働き』、そして『住む』という、それぞれのライフステージで私が政策推進ビジョンに掲げました『大都市、そしていちばん住みたいまちへ』を実現してまいりたいと思います。是非、市民の皆さんのご理解とそれからご協力を願いして、私の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。 (※1)地域SNS:SNSとはSocial Networking Serviceの略で、限られた利用者だけが参加できるインターネット上の会員制サービスのこと。地域SNSは、家庭のパソコンや個人の携帯電話から、日常的にサイト内の日記や電子掲示板を利用したり、行政情報、地域情報などを入手することができる、地域向けの交流・情報提供サービスである。 記者
3つ、質問をしたいと思っています。今回の予算を見ているとですね、やっぱり大阪っていうまちが、都市として収縮しながらですね、何となく予算として内向きなんじゃないかなっていう印象があるんですけれども、近畿圏全体が元気にならなければ、法人市民税の高さからいってもですね、やっぱり大阪っていうのは元気にならないと思うんですけれども、その辺りで平松市長がおっしゃってる『市民』というのはですね、これは、今大阪に住んでいる市民のことなのか、それとも、昼間人口の話なんかが次期の計画なんかでも出てますけれども、大阪に来る人も含めた市民なのか、それはどういうふうにお考えなのかっていう点とですね、柱の一つになってるベイエリアの、まあこれは世界に向けてのまちづくりだと思うんですけれども、その中でですね、陸と夢洲のコンテナターミナルの運営っていうのが一つ大きな柱になってくると思うんですけれども、今の貸付けの状況で、実際この運営がですね、この貨物量が減ってる中で、十分、大丈夫だと、もうこの支援の中でやっていけるんだというふうに見ておられるのか、それとも、危なければ、まださらに支援の用意があるという形で考えておられるのか。そのベイエリアの点が2点目。3点目に、予算の中で水道の統合に関する予算っていうのが全く含まれていませんけれども、今度、明日ですかね、ちょっと日程的にはうろ覚えなんですけれども、市町村に対して理解を求めて説得といいますか。
市長
20日ですね。
政策企画室長
20日です。
記者
あさってですかね。その中で、何か裏付けっていいますか、「大阪市はここまでやる気なんです」という熱意を見せないとなかなか理解というのは広がらないんじゃないかなと思うんですけれども、その辺り、それが含まれていないという辺りっていうところで、若干、あんまり大阪は外を向いていないんじゃないかなと思うんですけれども、その辺り、どうでしょうか。
市長
はい、ありがとうございます。全体的に、都市の内向きではないかというご指摘でございますが、私が言っている市民協働の市民っていうのは、やはり、大阪市に住んでおられる265万といわれる人たちのことがまず思い浮かびます。かといって、企業市民といわれる法人市民税、あるいは、大阪に働きに来られている方のことをないがしろにしているわけでは、一切、ございません。それは、産業振興ということで表すべきなのか、あるいは今置かれている非常に厳しい経済状況、特に99%以上が中小零細企業といわれる大阪市にとって、経済的に振興策をどう打つべきかということでは、それなりの予算の組み方はさせていただいているというふうに思っております。確かに、重点施策の中では市民協働にポイントを置き、フォーカスを当てましたけれども、かといってこれが内向きなのかどうかというのは、この市民協働のムーブメントが本当に成功したときには、きっと、そのスプロール現象っていいますか、どんどんこう、外へ向かって広がっていく同心円の核たりうる運動の基礎を作りたいという思いでございますので、内向きよりも、僕はむしろ外向きだと思っています。ベイエリアのお話ございました。あのコンテナの細かい数字の点につきましては、私、持ち合わせておりませんけれども、今後の支援をどうするかということよりも、大変重要な問題だと思います。ただ、ようやくトンネルができて8月に供用開始ということになりますけれども、そういった形で、売りづくりといっている施策を、あのバックヤードでどういう形で展開するかという方向性も含めて、ベイエリアの開発というものにお金を入れる前の、プランニングの段階であると思いますので。例えば、一番最後にお示ししました咲洲プロジェクトも、いわば大阪の産業振興につながるものだと、私は思っております。『大阪府との連携』となっていますけれども、WTCに大阪府が来ていただくと、これをさらに大きく膨らましながら、他の施策もどんどん打っていきますよっていうことは、先日申し上げたしだいです。 それから、水道統合の予算が一切ないということですが、これも20日にいろいろなお話は、現実、させていただきますが、もしそこで、具体的に前向きになったときには、補正で対応できますので、きちんと対応させていただきます。どういう予算があるのかっていうのは、まず、今回の統合っていうものが、大阪府が持っている資産、それを大阪市が引き継いで、なおかつ今、更新時期を迎えている、これから25年かかって更新しようというものを、いかに効率よく止めながら、府下42市町村に水をお配りすることができるのかという証明をする段階でございます。ですから、そこに何がしかの予算を組む必要があったのかどうかというと、私は、むしろ、予算は今はまだ出ていない、それでいいんだというふうに理解しております。予算を付けたから大阪市はこれを大阪市として大阪府の水道を全部任せてくださいと言えるという時限の話ではないというふうに思っております。もし、関係各局で、僕の発言、訂正すること、あったら、言ってくださいね。以上です。よろしいですか。 記者
2点、お伺いします。最初に予算全体のことですけれど、パワーポイントの一番最初のほうに、『市財政を取り巻く環境』としての最後のですね、『危機的な財政状況がより深刻化』と、もう一つは『求められる雇用創出や元気回復』と、ちょっと矛盾した命題が課せられているわけですね。今回の予算では、どちらかを一方的に重視するっていうわけにいかなかったと思うんですが、市長の中ではどういうふうなさじ加減だったのか教えてください。もう一つは、予算、市民協働を中心にいろんな重点施策が掲げられてますけれども、従来、例えばハコモノだったら、予算が付けば、後は執行をきちんと管理すれば、ハコっていうのは基本的に建てられるわけですけれども、市民協働はソフトの予算が非常に多いわけですよね。今後、市民協働と言っても、260万の大都市で市民協働はなかなか大変だと思うんですが、実際にこれで成果を出していくためのポイントをどういうふうに考えているか、教えてください。
市長
はい。まず、この危機的な財政状況がより深刻化していく中で、雇用創出して元気回復、この相矛盾するかのように見える整合性をどうとるのかということに対するお答えでございますけれども、これが外的要因で非常に突発的に起きたことで、本来ですと、元気回復だけをどーんと出していきたかった部分で、やむを得ずこういう形になったということは否めませんが、例えば雇用創出につきましても、産業空洞化っていうと、ものづくりの一番人手がいるという部分で、大阪市内にそういった産業が目立って存在しなかったという部分から、緊急に雇用をどんどん作らなければならないといった地方の都市で見られる大きな雇用問題とは少し質の違う問題が大阪市にはあると思っています。でも、大阪市であるが故に、そういったその周辺都市で仕事がなくなった方たちに対して、新たにそういう職を提供できる機会を設けようやないかという動きを、雇用創出という形で言っております。それは例えば、前に連合大阪さんとお話したときもそうでしたし、その後で大商さんにもお話をしに行かせていただいたときにも(そうですが)、連合は連合、企業は企業、行政は行政でいろいろな資格取得講座をばらばらでやっているものを、さらに統合することによって、より有効な雇用創出の道へつなげることができるんではないかという取組みをしたいと思っていますし、そういったことから元気回復というものをつなげていきたい。これは状況でありまして、この状況を踏まえたうえで、ここへ進んでいきたいという形でございますから、確かに深刻化する状況を乗り越えていかないといけないと思います。何とか売りづくり機能を、ネットワークを作っていくことによって、大阪の中小企業、元気になってほしいと。単に資金援助をしてるっていいますか、緊急金融融資だけではない形でのものづくり、売りづくりというものに、積極的に取り組んでいきたいと思います。それから、今回の予算を、予算執行を管理していたらいいというそのハコモノを造るというものではなく、むしろソフト面での市民協働という抽象的な概念というふうに言えるのかもしれませんが、私の中では、24区いろいろ走り回らせていただいたおかげで、実際に人の顔が見えています。今、やっていただきたいと思う人の顔が見えています。ですからそういった方たちと行政、この場合は区役所ということになりますが、区役所が市民局と一体となって、どうそういう人たちとかかわっていくのか。ですから、区政改革という命題に結びついていく話になるやろなあと思っています。ソフト重視と見られる部分は、多分、その市民協働という部分だと思うんですけれども、それ以外の、例えばこども施策、ここにはかなり重点を置きましたので。教育にしてもそうです。ですから、それだけではなく、全体的にやっぱり、『大都市、そして一番住みたいまちへ』へ向かって、何から築き上げていくねんと。土台作りやろうというふうに、今は思っています。その土台は大阪市の場合、やっぱり、たくさんいらっしゃる、多くいらっしゃる大阪市民の遺伝子に訴えかけると言いますか、民がつくりあげてきたまちであるという誇りを、もういっぺん大阪市民の皆さんに持っていただいて、市民協働の動きの中からすばらしいまちにしていきたい。進捗管理という部分で言いますと、数字目標を掲げている『放置自転車対策』とか、あるいは『街頭犯罪のワースト1返上』でありますとか、それから『ごみの減量』にしても、すべて数字目標を掲げたことによって、その道中での進捗管理はきっちりと見える形でできるであろうと思っていますから、単に予算をつけてハコモノが建った、済んだなあという事業ではない、継続性のある事業として、また途中で見直しができる、数字が道中から見えているわけですから、途中でいかようにも見直しができる予算を組んだつもりです。 記者
歳出の中でもですね、やっぱり扶助費っていうのが大きく占めていて、その中でもその半分が生活保護費であると。生活保護はというと最近の景気の悪化でですね、また増えていて、他の人件費とかと違ってなかなか削減ができない。大阪っていうまちは、その生活保護が全国でもかなり多いということで、大きな課題となってくると思うんですけども、その中で、就労支援とか大阪府も大阪市もやっていると思うんですけども、市長、今後、大きく問題となってくるような、すごい負担となってくるこの生活保護に関して、どのように対応していかれる考えなのかなっていうのを聞かせてください。
市長
はい。生活保護は、国が憲法に則って作っている制度でございまして。ただし昭和25年ですか、制度ができて以来、一度も見直しがされていない運用が続いています。こうした運用に対して、大阪市はその中心となりながら、同じ意を持っている府県、あるいは市町村といっしょになって、国に対する法改正の見直し要望をずっと続けておりますので、より一層この動きを続けてまいりたいと思います。今までは大阪市が突出して多かったわけでございますが、たしか4%超えていましたかね。大阪市内で9万世帯が対象になっていると思います。やっぱり国に対して、絶えずはっきりと「この制度を考え直して欲しい」ということを言いながら、一方ではやっぱりこれ、最後の、何ていうんですか、最後の安全の綱、網という部分を考えますと、きちんと生活保護申請を出される方にきちんとした対応をしながら、本当に生活保護が必要な人にはお出ししていくというのが、今我々に与えられている使命です。ただやっぱり、どう考えましても2400億になろうとする総額ですね、そのうちの4分の1が大阪市の負担でございますから、人件費等考えますと600億を超えると思うんです。間接費等入れたらもっとになるでしょう。そういった制度を我々は税金で運営しているわけですが、国にやっぱり根本からもういっぺん考え直して欲しい。これは、国にあるさまざまな無駄をやっぱりとことんなくしていただかないと地方自治体・市町村が、ここまで重い荷物を背負っている割に、どうも国の方が背負っておられない部分を感じることは最近多々ありますんで、お願いしていきたいなと思ってます。
記者
去年の予算案の中ではですね、就任されて間もなくということで、平松カラーが薄いのではという印象も拭えなかったんですけれども、この来年度に向けた新年度の予算案の中では、ご自身のカラーを、どういうカラーでどこまで盛り込めたと、分析というか評価されているかをお聞かせください。
市長
はい。重点施策に関しまして、かなり時間を割いてご説明申し上げましたように、これを作りあげるにあたっても、関係部局とかなりの時間をかけて作らせてもらいました。先日も「カラーは」と聞かれて、市民協働かな、市民カラーかなというようなことを申しましたように、私自身、市役所の中に入って特に感じた縦割りをどれだけ有効な形で連携させるかという部分に神経を使ったつもりです。ですから、今の行政の枠を全部、一気にぶち壊すことはできないわけですけれども、ある行政の縦割りの中で、連携をこの1年、局員・職員にしっかり連携することを課題として、突き付けた予算であると自分では思っています。ですから、それの進捗管理というものを私は絶えず見守っていきたいと思いますし、現時点で自分が考えられる能力をフルに発揮させてもらったというふうに思っておりますので、何とかこの予算で市民の方たちの動きを待ちながら、市役所一丸となって動くという方向を探したいと思っています。ただ、税収不足といいますか、この不透明な部分が今後どうなるかというのはひとえに財政局長の手腕にかかる部分はあるのかなと思っています。それと、先ほどの生活保護に関する質問で数字がちょっと手元にございますので。府内の失業者数なんですが、3月までに府下で1600人を超える非正規労働者の雇い止めが今後生じるであろうというふうに発表されておりまして、市内の12月の生活保護の申請件数が1,707件。前年同月比で言いますと、30%増と大幅な増になっております。ですから、最初に私(申し上げましたように)、その瞬間的に職をなくしてしまうという部分で言うと、それとのタイムラグが大阪市の場合はあって、今後そういったものが増えてくるであろうというふうに思います。有効求人倍率を見ますと、市内では12月時点でやはり1.2を超えています。でも、今後その傾向がこういう形でやっぱり下がってきていますので、注視しながら、例えば大阪商工会議所と連絡を蜜に取りながら、あるいは我々がやっております産業創造館でどういった動きがあるかとか、絶えずアンテナを張り巡らしながら、施策を考えたいと思います。 記者
『こどもの生きる力アップ』ということでですね、人も金もつぎ込んで、学力のアップということを掲げてらっしゃいますけれども、これは何度かご発言あったかもしれませんけど、これだけ人と物を費やして、一体、その教育をどういうところにもっていくのか、何をめざしていくのかということについてお答えいただけますか。
市長
はい。まず、社会全体で見守る体制をきっちりとろうやないか、という中で、大都市、大阪市が抱える特殊性といえるのかどうか。やはり、少子高齢化進んでいき、なおかつご両親が働いていらっしゃる、保護者が働いていらっしゃるという状況のなかで、子どもたちを見守る、その一番キーとなるべき学校がどうあるべきか。就学前のいろいろな試みもやりますけれども、こと就学時ということに関しますと、やはり小学校3年から中学校3年までの習熟度別少人数授業が、私は、効果を上げてくれると思って信じてここへ突っ込んでいっております。何を求めるのかにつきましては、先日の記者会見でも申し上げましたけれども、単に「点数を上げよう」じゃないんです。学力テストの点数を上げるためにこれをやるんではなく、本当の意味で大阪の子どもたちの人間力、連想力でありますとか、言語力でありますとか、これから社会に出て必要となるべき基礎の、そういったものをどうやったら、この時期に、基本を学んでいただくことができるのかというところにポイントをあてて、教育委員会にお願いしました。たまたま教育委員会の方向性も、私と同じ方向を向いてくれているということでございますので、こういった事業に突っ込んでいくということプラス、ある意味、雇用という部分でも、ここで、確か習熟度別少人数授業で、今まではフルタイムではなかった。だから、非常勤を常勤にする、本務並みに200人追加します。ですから、どこかで人数が当初、我々が削減予定としていた人数よりも、100人増えている形になっている数字がどこかにあると思うんですが、この数字の100人増えているのは、200人がここの本務に変わる、非常勤の人を常勤にするという部分で(全体では)100人増えているということになります。めざすところは、前から言っていることと全然変わらないので、本当にこどもの人間力を築き上げてもらうために何が一番いい方法があるのかというのを教育委員会のほうでプログラム組んでくれています。このプログラムをとことんやりきってもらうということで、それで実績上がるかどうかを、見させていただきます。
記者
3点お願いしたいんですけれども、まず1点目が、市長が重点的に力を入れていらっしゃる放置自転車なんですが、これは予算もプラスで投入されているということなんですけれども、ここまで力を入れられるのはどうしてなのかというのが1点。それから、収支不足の対策として、これが退職手当債。いわゆる赤字債だと思うんですが、それをマックスまで充てるということで、そういった判断をされたのは、これはどうしてなのかと。ちょっと府と比較をすると、府のほうは、ゼロにされたという経緯もあるので、そのあたりのお考えと、それから、国の直轄事業負担金なんですけども、これも見直しということで、あがってはいるんですが、どのように見直しされるのかということと、実際にカットとかそういったことも考えられているのかどうか、というあたり、3点お願いします。
市長
はい。放置自転車対策につきましても、これも市民協働の一環というふうに言っておりまして、単に放置されている自転車を全部なくすんだ、撤去するんだっていうだけの予算ではありません。ここに市民の方にいっしょにサイクルサポーター制度に入っていただいて、地域としてこの自転車をどう見るのかということを、私、訴えております。ですからモデル地区として、キタとミナミ、大阪の玄関口だけでもまずきれいにしましょうということを申しました。それと同時に、自転車等が持っている『加害者イコール被害者、被害者イコール加害者』という関係を、是非、市民の皆様それぞれが感じていただきたい。あと大阪は非常に便利な平坦なまちですから、ほんのちょっと、歩いて10分で行ける距離でも、自転車だったら5分だからそれに乗ってしまう。ポンと乗り捨てて行ってしまうというところを「是非歩いてください」というふうに言いたいですし、もう一方で、今でも『市民の声』で、「駐輪場も造らんと撤去するな」という声もあるんですが、要するに駐輪場も造っていきます。これから。いろいろな形で駐輪場を造りながら、放置自転車対策をやりたい。それはなぜかと言いますと、やっぱり暮らしやすいまち、住みやすいまちをめざしているからということでお答えになるかと思います。それから次に、2番目で退職手当債の話なんですけれど、40億円増額して160億円にしております。大阪府の退職手当債を発行しないということについて、これは、私、財政局長から今朝聞いたんですけれども、大阪府はですね、一方で行政改革推進債であるとか、減収補填債を含めてトータルで474億円付けています。ですから、名目が変わったということではないかなと思います。ですから、その474億円である行政改革推進債とか減収補填債の額が17.7%増になっていますので、それと比べますと、大阪市の場合はそれに関しては22億円1.9%増で、これはどちらも将来に借金が残りますので、同じ考え方。むしろ本市の方が発行を抑制しているということが言えます。 間違いないですね、いいですか、何か付け加えることありますか、財政局長。 財政局長
ちょっと付け加えさせていただきますと、退職手当債といいますのは、単に退職手当に対して発行が認められるというものではなく、まさにその、定員の削減とかですね、人件費の適正化、これをするということを前提に認められる起債でございますので、これが必ずしもその悪い起債という意味では我々考えておりません。まさに行革を推進する、している団体に対して認められている起債ですので、これを発行するということが、必ずしも悪いとは思っておりません。そういった意味で、決して大阪府は発行してないのに大阪市はというのは、ちょっと違うかなと考えております。
市長
それと、国の直轄事業の負担金についてですが、これは先日、関西新空港の位置づけを国に対して要望するアピールに、私も名前を連ねさせていただきましたように、本当に国が地方に何を押し付けてくるか分からないなかで、「国がきちんとしなければならないことはやってよ」ということは絶えず、大阪市の場合は言い続けてまいりました。ですから、直轄事業の負担金というものも、国の当該部局とそれから当方の、本市の部局とで絶えず相談をしながら減額をしてまいりましたし、無くす方向で考えて欲しいというのは言い続けております。去年は、例えば、夢咲トンネル建設費でありますとか、国の直轄事業がありましたし、あのトンネルについても、大阪市としてこれは必要なトンネルであるということで事業をお願いしている経緯がございますので、今、21年度予算で37億円でしたか、37億円の直轄事業がございます。これも、ほぼ、我々がお願いしている事業をいっしょにやるという形になるんだと思います。ただ、話を聞きますと、請求書の来かたが、我々、普通、請求書が来るのは、明細から何から全部付いた請求書が来て当たり前だというのが、橋下知事も怒ってらっしゃいましたけれども、いきなり何の金か分かれへんものが、「これ払い込め」という形で来る今のやり方は、やっぱりこの情報公開の流れのなかで、国にも是非見直していただきたいし、市民に理解を得られる形での負担であれば、当然負いますが、そうではなくていきなり、「これだけ振り込んでください」は、やっぱり時代の流れとしておかしいであろうということは言ってまいりたいと思います。
記者
私も3点あります。一つはですね、市民協働、8億円ほど増になっていまして、ただ重点予算は全体では少し減になっていますよね。本当であれば、市長の思いとしては市民協働はもっと予算を付けたかったんだけれども、税収が非常に落ち込んでいるとかですね。あと、阿倍野再開発のその収支不足のお金を入れなければいけないとかですね。そういう要因で、もう泣く泣くこの程度にということなのか、その辺りの思いをというのが1点です。2点目は、先ほどの財政局長からの説明で話のあった退職手当債とかを3年間発行したりですね、基金を取り崩したりとかと、泣く泣く努力をしてもですね、300億円、今のところ足りないというようなお話だったと理解してますけれども、今後の見通しとしては、これは人件費カットとか1,200億円、9年間でやって、更にそこから頑張っても、それだけ足りないという状況ということですから、かなり厳しい状況と認識されていると思いますが、今後、これどうやって対応していくおつもりがあるのか、というのが2点目です。3点目は、先ほど言った阿倍野再開発とかですね道路公社への、将来負担を軽くするためにということで、また公金投入がされていくわけですけれども、平松市長の責任ではないとはいえ、今回の予算で市長の責任でそういう形で、負の遺産の処理に公金が次々とつぎ込まれていかれるわけですよね。これに対して誰も責任を取らないまま、お金だけが予算の中で紛れ込んで、「ちゃんと処理します」と言ってもですね、「なんでこないなったんや」ってというのがないまま突っ込んでいくというのは、これは市民の理解が得られるのかというのは、ずっと私疑問に思っているんですが、ここらへん、(説明)できるのは、たぶん、代わられた平松市長しか言えないし、できないことだと思いますので、それをどう市民に説明されるのか、3点お願いします。
市長
非常に重い質問を最後にしていただいたなと思うんですが、市民協働の予算が、8億ということなんですが、その全体からして、少ないのか多いのかという部分。私は、市民協働って、ハコモノを造るわけでもなし、それこそ、いろんなボランティア活動をしておられる方の動きに、区役所、現場、市役所の職員が、どうかかわりながら積み上げていくのか。市民の方が優先順位一位で動いていただこうという、動きやすさを作り出すための予算ですから、もともとそんなにほしいとも思っていませんでしたし、「どんだけかかんねん」というものは、私の中で具体的に思ってもいませんでしたから、実際に動いてみて、足らんようになれば、「これ、補正予算組んでな」という世界になるんだと思います。そういうその柔軟性のある動きだと思いますから、むしろ、足りなくなるぐらいのうねりが起きればありがたいことではないかと思います。それから、今後の収支不足に対する見通しを、今から立てなければならないんでしょうが、我々としては、去年の9月の時点で、『経費削減の取組(素案)』を出させていただいたときに、職員の人件費カットを9年間やることによって、収支合い償う段階にまでいけるという一つの線をお示ししました。確かにそれからすると、大きな外的要因の変化によって、対応を迫られる局面が出現しているわけですが、それを、これから先もずっと不安に思って暮らすよりも、今をいかに乗り切るかということに、重点を置いていきたいと思います。それと同時に、やっぱり、今年立てている予算につきましても、途中で進捗管理は当然しなければならないと思います。これが、今までの公会計の考え方と少し違うところであろうと思いますので、残るものは残しながら、進めていくというような方向性をどこかで出さないといけないと思います。 阿倍野、道路公社、その他いろいろある負の遺産の処理問題です。本当に厳しい処理が目の前にいくつも迫ってきております。どうしてそんなことに手を突っ込んだんだとか、あるいは、なぜそこで、これだけのお金を払わなければならないのかとか、という思いは当然ございますが、それをすべてリセットするわけにいかないということも、お分かりいただけると思います。そこでできた施設で、逆にうまいこといっている部分、うまいこと運営されているところもありますし、同じように造られた場所で、一方でもう完全に破綻(はたん)寸前。なぜこういったものを造ったのかわからない。そういったものは、やはりあの処理していきます。処理せざるを得ないからしていきます。もう、断腸の思いと言うか、なんて言ったらいいんですかね。これは苦しい判断ですけど、じゃあここで、「一切お金を払いません」と言えるんであれば言いたいですが、そういうわけにいかない部分で、どこに責任があったのかというものは、明らかにできる範囲はしたい。それは思います。ただ、もう年月が経っていたり、これは(市会の)委員会でも時々答弁をさせていただきますけれども、いかに遡(さかのぼ)っていっても資料がない状況であるとか、もう訴追もできないような状況であるとか。あるいは、社会通念として、公務員に課せられる責任の範囲みたいなものの、その分散していた状況であるとか。そういったものを考えると、いかにその訴求しても訴求しきれない部分のほうが先に見えてしまう現状があるのは事実です。記者の方、おっしゃるように、「市民が納得せえへんやないか」という部分は分かるんですが、いや、納得する、しないじゃなくて、「こういう状況があるんです」というのをきちっと説明すらしていなかったんではないかという部分で、「ここには市の判断ミスがありました」と言えるような状況があれば、はっきり、「これは、市の判断ミスがありました」と言うでしょうし、それよりも、今見えてきている中で言うと、やっぱり国の公共投資政策というものによって、踊らされた、踊らされたと言うと市の責任になるんですが、不景気の中で、残っている景気浮揚策は公共投資しかないみたいな形で一気に動いた時代のツケを、今まさに、我々が背負わされているということだと思います。ただ、やっぱり、公的資金が山ほど入っている金融機関、破綻しそうになった金融機関が山ほどあって、大きな公的資金が入っていった過去の歴史があるわけですから、こういったときに助けてくれんのちゃうの、という思いはどっかにあります。具体的な動きにつなげるのかどうかはわかりませんが、大阪市がそれだけ、きちっと普通の市に戻りましたということを、内外に向かって宣言できるような状況であるとするならば、公的金融機関、金融機関に対しても、大阪市は、もうちょっと強くものを言っていけるんではないかなと思います。 記者
ごく簡単で結構なんですけど、ちょっとそもそもの話で、市長が今回のこの、初めて一から手がけられた予算ということなんですけれども、ネーミングをしていただくと何予算になるのかということと、あるいはそれがちょっとお答えしにくいということであれば、ちょっと自己採点を。ちょっと平たい質問で恐縮ですが、自己採点で、何点ぐらいまでいくかというのを、ちょっとお答え願えますか。
市長
ありがとうございます。まあ何予算かとネーミング付けるとしたら、ごめんなさいワンパターンで。市民カラーですね。市民活動、市民協働型。あるいは、縦割り排除ではないんですが、横穴。これもおかしいな。何か、あの、要するに、そういうポイントなんです、僕が言いたいのは。「各局連携して動いてよ」っていうことを、絶えず言い続けていこうと思う予算です。自己採点は100点以外の何ものでもないです。そうでないと、こういう形で皆さんの前にお示しできないと思います。この100点が、120点になるような動きをしないといけないという思いでやらせていただきました。
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