平成21年4月9日 大阪市長会見全文

【中之島周辺における川沿い緑化の取組みについて】

こんにちは。本日まず、中之島周辺におけます民間建築物の壁面緑化についてということから、お知らせをさせていただきたいと思います。
一つは、建築家の安藤忠雄さんが進めておられます壁面緑化計画、これは土佐堀川沿いの民間ビルなんですけども、この民間ビルの所有者に対しまして具体的にこうということではありません。「壁面緑化をしませんか」と呼びかけていこうというものですけども、安藤さんの呼びかけに対しまして、多くの方が前向きに応えてくださっているということでございます。川筋に沿って、民間ビルの壁面緑化が進むことは、水辺の景観の向上といった観点はもとより、地域全体の緑化推進、それから環境の面でも高い効果をもたらすものと考えております。で、このたび、安藤忠雄さんの呼びかけに応えて、土佐堀川沿いの廣田証券ビルが壁面緑化に着手したとお聞きしております。
これがまあイメージというふうに捉えていただきたいんですが、これは現時点でこういうふうになってるそうです。「これは、それに加工して将来こんなふうになるのかな」というので、これは壁面緑化の見本です。これはどうも外国のようです。こういった形のビルがいっぱいあるというイメージ。ヨーロッパのようでございます。これは安藤さんの研究所からお借りしてきたものでございます。

中之島・壁面緑化計画
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中之島周辺の壁面等の緑化について
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大阪市としましては、こうした呼びかけに同調し、賛同しまして、同調した取り組みを進めていこうと思ってますし、具体的に申しますと、こちらになります。平成21年度に関しましては、この難波橋から、これは淀屋橋、この間の護岸緑化、こういう形で護岸緑化を進めていきたいと思っていますし、3年間の重点事業として、この湊橋までの間の護岸緑化を大阪市としても進めていこうと思ってます。また、八軒家浜の壁面などにおいては、府と協力しながら、大阪府と協力しながら、積極的に緑化を進めたいとしております。
ご存知のとおり大阪市っていうのは222.3kuだそうでございますけども、狭い面積で、その狭い面積の中で10%が水、水面、川ということでございます。
川が面積に10%を占めている大都市、大都市の中で非常に割合が高いというふうに聞いております。
他の大都市の川の面積率、数字を見てみますと、東京都区内で5%、名古屋市も5%、横浜、広島でそれぞれ3%といったところでございますから、大阪市の10%っていうものが、やはり『水都大阪』ということばにふさわしい数字ではないかと思います。川が都市の中心部を、『ロの字型』、よくいいます『水の回廊』といいます。カタカナの『ロの字型』で流れているという、そういった部分でも世界的に珍しい都市だということでございますので、『水都大阪2009』に向けていろいろなこれから継続性のある取組みを続けていきたいと思っています。そういった水辺、川を生かした取組みというのが『水都大阪2009』なんですが、私が進めますビジョンでも、この川筋を『海の御堂筋』と名づけて、「魅力あるリバーフロントを形成していきたい」ということも言っております。そのためにも、先ほどご紹介しました民間ビルの壁面緑化や、私どもで進める護岸緑化など、そういった形で「市民・企業の皆さんと歩調を合わせ、水と緑、豊かな環境を演出していきたい、つくっていきたい」というふうに思っています。
大阪は確かに八百八橋といわれておりますし、水辺の多いまちだといわれていながら、その川をあまりにも意識しなさすぎた時代が長くあって、で、そういったところから淀川の100周年、新淀川ができて100周年ということにかけて、水都大阪というイベントが成り立ってきたという風に聞いております。すばらしいきっかけをつくってもらったと思っておりますので、たとえば『とんぼりリバーウォーク』もそうなんですけれども、8月に新しい形で中之島公園がオープンいたします。そこでは今までの中之島公園と雰囲気違うな、より水に近い形を意識してつくっているな、というのを皆様に実感していただけると思います。
何年先になるか、わかりませんけども、「大阪ってこんなに川あるいは緑が多かったんか」と、「水辺に憩える空間があったんか」と言われるような、やっぱり町の姿をつくっていきたいというふうに思っております。これから『海の御堂筋』沿いに、もし建替えを考えておられるような建物があれば、是非川に向かった演出というものも、取り入れていただきたいな、というようなことも絶えず発信してまいりたいと思っております。
今回は、まず「中之島周辺の魅力アップのために、水辺の緑化が着実に進んでいきますよ」ということをお知らせさせていただきました。
この3年間でこの地域、このエリアはかなり大きく変わりますから、その変わっていく様を是非、皆様楽しみながらご覧いただきたいというふうにも思っております。

【『なにわ元気アップ会議』について】

続きまして、『なにわ元気アップ会議』です。そちらに2つ書いてございますが、市民協働チームとの動き、2年目を向かえます。さらなるパワーアップをめざすといっておりました。
今年は、市民協働チームにも新しい風といいますか、現場の声、市民の声を的確に反映させながら進めたいと思っておりますので、協働の重点であります放置自転車を担当する建設局、ごみ減量を担当する環境局の職員をチームの新メンバーに追加いたしました。これまでの形、枠にとらわれない新たな活動の展開を期待しております。
ですから市民協働チーム、そして区役所、各事業の現場、そして本庁、それぞれが、いろんな場面で協働しながら連携をとり、効果的に動いて市民の人たちと祭りを盛り上げていく、そんな動きに『市民協働』というこの漢字で書くと何となく堅苦しい4文字ではございますが、それをうねりとしていきたいというのが私の思いでございます。まあ、なかなかこういうふうに言いましても、それぞれ受け取る側でいろんな温度差があるのかもしれませんし、そういった温度差もあって当たり前の大きな組織です。「大きな組織をどうやって活性化させるんや」という命題を自分なりに、自分自身につきつけながら、「まず動いてみる」というのが私の1年目でございました。1年動いたことによって得られたものをどう広げるのかというのが2年目に課せられた課題だと思っておりますんで、「かなり手ごたえを感じながら進めることができる」と私は今の時点では思っております。ですから、いつかはその、市民の皆さんから「おっ、大阪市変わってきたんちゃうか」というふうに言っていただけるような、そんな大阪市にしていきたいと思っております。
『なにわ元気アップ会議』、本日発表の資料をお配りしておりますが、今年度も24区で開催したいと思っております。その皮切りとしまして、4月12日の日曜日に東住吉区で、13日の月曜日は浪速区で、2日連続となるわけですが、どちらも『地域防犯』にかかわるテーマで『なにわ元気アップ会議』を開催します。
ご承知のとおり、『大阪市地域安全対策本部会議』におきまして、『街頭犯罪の発生件数ワースト1の返上』を目標にしまして地域防犯安全対策推進モデル区というのを選びまして、さまざまな防犯活動の取組みを、予算をきちっとお付けして、「地元の人たち、市民の皆さんといっしょになって進めよう」という動きがすでに具体化しておりますけれども、東住吉区はこのモデル区の一つでございます。12日は、14時からキックオフイベントとしまして、『東住吉区地域安全区民決起大会』を東住吉区民ホールにおいて開催します。なにわ元気アップ会議は、14時45分から区役所内の会議室に場所を移しまして、この取組みの中核を担っていただく『子ども見守り隊』の皆さんと意見交換を行って参りたいと思います。
一方、浪速区はモデル区ではないんですが、『安全・安心な賑わいのあるまちづくり』のためにワースト1返上を目指そうと、地域住民と区内に拠点を置く企業なども一緒になっていただきまして『なにわ区どんじりバスターズ』という名前をつけました、そのバスターズを結成して、いろいろな場面でワースト1返上のためにキャンペーンを実施してくれるということになりました。13日の月曜日13時20分から、なんばパークスの2階にございます『キャニオンストリート』の特設会場で、企業等のマスコット・キャラクターたちを『どんじりバスターズ』の隊員として委嘱を行いまして、出陣式もやろうというわけです。引き続き、13時30分から、同じ場所で地域の代表者、企業の代表者そしてその『どんじりバスターズ』にも参加してもらって、『なにわ元気アップ会議』を行おうと思っております。
この2つの元気アップ会議は、どちらも、積極的に地域の防犯活動に取り組もうとしていただいている皆さんとの意見交換でございますので、街頭犯罪ワースト1の返上というものを本当に具体的なテーマとして掲げ、数値目標もあげた上で積極的にやっていくというものを感じていただけるイベントになればと思っておりますし、予算は4月から執行しておりますけども、警察の統計というのは実は、こないだ本部長にお話しを聞きましたら暦年なんですよね。年度統計ではなくて、『平成21年の1月から12月までの犯罪発生件数』いうような数え方するらしいので、なるべく早く、4月から予算という形になりますけども、即座に執行でき、速やかに犯罪が少なくなりつつあるということを実感していただけるような、まちにしていきたいと思っております。是非皆さん方にも取材に来ていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。私からは以上でございます。
質疑応答
記者
WTCなんですけども、橋下知事が、またもう一度というようなご発言を最近してらっしゃるようですけれども、そのことについての市長のお考えとですね、直接何か橋下知事とその件についてやりとりをしているようなことがありましたらお聞かせください。
市長
はい。知事日記を読ませていただいておりまして、いろんな新聞に書いてらっしゃいます。その中でおっしゃってるということはチェックしております。先日お電話いただいた時に、「知事また言ってはるんですね」というのは言いましたが。「諦めてませんよ」というような雰囲気はおっしゃってます。具体的に何をという話はまだ一切しておりません。私としましては、更生管財人にお願いしているわけでございますんで、その中で今度は逆に私と知事という形ではなくて、更生管財人から大阪府のほうにアプローチがあるのかどうかという次元の話になるんじゃないかと思います。で、もしそういったところで前向きってところが出てくれば、知事はあの時に府市都市構想、共同都市構想をゼロに戻す、ゼロになりましたというふうにおっしゃったと私、ニュースで見ておりますけれども、これをもういっぺんつくりあげていくことになるのかなとは思っておりますが、具体的な話はまだきておりません。
記者
もう一点。水道協議のほうなんですけれども、府にもうボールが投げられている状態だとは思いますけども、具体的な、決まっているスケジュールあるいは協議日程などありましたら教えてください。
市長
はい。現時点で知事にお願いしておりますのは、府下市町村の市町村長会の中で、「知事から各42市町村長にボールを投げていただけますか」ということはお願いしました。知事はそれを快諾してくださっています。あとは府水協との関係ということになるのかもしれませんが、各首長さんが理解していただければいいのではないかという判断です。具体的な日程感っていうのはまだ、もう決まってる?
政策企画室長
まだです。17日にむけてどういうことができるのか、今調整しております。
市長
17日がご存知のように、確か市長会。市長会が17日にやるということで、それを拡大して、市町村長会にするのかどうかというところで、今調整していただいてると思います。で、それがもしその形になれば、その場所で大阪市水道局、あるいは大阪市の思いというものもご説明する場面があるかもしれないなと。まず知事からご説明していただけるんだと私は理解しております。
記者
あの、二つ聞きたいのですが、一つ目はWTCの庁舎移転が頓挫した、府市連携の象徴であったとこがですね、ちょっと頓挫してしまった。今、水道統合事業が進んでいる、市長の中で、WTCが頓挫してしまったので、「是非今回は」、「ちょっと是非なんとか」、という気持ちがあるかと思うんですが、その辺、市長がどう思われているのかと、橋下知事と、WTCが頓挫して、「是非今度は何とかしよう」というやりとりをしていらっしゃるのかということとですね、もう一つがですね、突然質問させてもらうんですが、なにわ筋線っていう来週あたりにトップ会談があるということで、そこでどんなお話がされるのか、ちょっとわからないですが、市長として、なにわ筋線についてどういうふうに考えておられるのかということ、その2点よろしくお願いします。
市長
はい。WTCが、府庁移転ということが先日の府議会で否決されたことが水道協議のアクセルを踏む一因になるのかというと、これは全く別物であると、私は思っております。それぞれにそれぞれの、利点を感じるから前に進めようとしていたものでありまして、一つ一ついろんなことを話しあう土台ができたということだけでも、WTCひとつをとりましても、たとえば先日もご説明いたしました大阪府市という形で都市構想というもの、中身がないとか酷評はされたものの、酷評されながらも、ああいう紙自体が出るということ自体が新しい地平に入っているんだという部分をおわかりいただければ、一歩ずつそれを踏み固めていくと道はできると私は思っております。ですから、WTCがだめだったから水道に力を入れると、そういう考えは毛頭ございません。それは知事も同じやと思います。水道は水道、WTCはWTC。あるいはこれから先いろんなものが、府市の間で話し合われることになるだろうということは、先日も知事とお会いしたときに、前向きにやろうねということでは一致しておりますので、また世間をお騒がせすることになるかもしれませんけれども、「あらゆる意味で前向きに行こうね」という認識では一致しておりますので。
それから、なにわ筋線。この点に関しては前向きかどうかといわれますと、大阪市は非常に微妙な決断といいますか、微妙な立場にあるのは、淀川左岸線の延伸と同じような意味を持っている部分があります。というのは、そのスキームも事業主体も決まっていない中に大阪市として、どれだけの財政負担を強いられるのかという面でございます。昨日も知事、結構、東京で派手にやっていただいているわけでございますが、国の直轄負担金の問題で、国のあり方というものに対して、大きな声を上げていっていただいております。それと同じ線上にある問題だと思いますし、また、なにわ筋線は関空の活性化っていうものにとって非常に大事な線であるとおっしゃってます。ただ、関空の活性化に今からなにわ筋線に全力投入して「何年でできんねやろ」と思ったときに、それはそれとして、もっと活性化に寄与する部分を具体的に考えていくのも、も一つそのバイパスとしてやらなければならないことではないかっていうのを感じております。具体的には、まだその今度お会いする経済界と、それからあの府も入ったなにわ筋線っていいますか、都市交通網の懇談会ですか、それについてのレクチャーを受けておりませんので、また受けた段階でお話できることがあればお話します。
記者
先ほどの、『なにわ元気アップ会議』、一年を迎えたということでチーム編成でその今後取り組んでいく、進められる、建設と環境の職員を入れられるということですけども、振り返って今後も進めていく上で、直接民意を汲み取っていくための工夫っていいますか、方向性みたいなものをもう少しありましたらお伺いできればと思います。
市長
一年間で122回ですか、いろんな形で、市民の方たちが活動していただいている現場に行くことができました。そのことによって、自分の方針、政策ビジョン、推進ビジョンを含めて、しっかりと自分の中では描くことができたと思ってますので、より具体的にいろんな形を実際に日頃そういう仕事をしてくれている職員とともに市民と向かい合うという形にもっていきたいという気持ちから、市民協働チームの中に、建設、環境の職員に入ってもらうと。で、前から縦割りやとか、横に穴があいてないとか、いろいろ言うてますが、やっぱりこれ変えていくのは現場からやと、そういう風土を変えていくのは、私は現場から変えていくという思いで、ほんとに蟻の一穴という言葉がありますけども、小さな穴がどんどん広がっていくだけの影響力をもつ、私は大阪市役所っていうのはそれぐらい市民に向かっているDNAを持っている組織やと思っています。ですから現場を重視していきたいですし、「市民のために」ということが直接基礎自治体の根本でありますんで、そこをもう一遍、二年目でさらに広げていきたい、そんな思いです。あとは現場出ていったときの区役所ですね、区役所とどう連携していくか、それをさらに横に広げるかといったもので、それを・・(市長の携帯電話が鳴る)すみません、大阪市歌を着メロにしてます、すいません。別に宣伝したわけやないです。大阪市のホームページからダウンロードできます。そういった「市民協働の動きをぜひ取り上げていきたい」、「その尖兵となるべき部隊になってほしい」、で、「ぼくを助けてほしい」、「市民の中に入り込んでいってほしい」と、そういう気持ちです。
記者
昨日の(市会の)建設港湾委員協議会の中でも、ふれられていたと思うんですが、WTCの特定調停の報告書で、結局、「よう分からんかった」というような部分が大変多かったというふうな印象を受けたんですけれども、じゃあ、責任をどうとるか、あるいは、責任の所在も明らかになっていないじゃないかというふうな、印象として、結局、誰も責任をとらないで終わってしまってるという印象を恐らく市民も受けるんではないかと思うんですが、その点について、このまま報告書を出して、それで、責任の部分について、誰が責任をとるという意味ではなくて、今後こういうことがあった場合、あるいは、今後、再発防止をどうしていくのかということも含めて、責任の明確化ということに、今後、どうやって取り組んでいくのかということがないと、報告書の意味っていうのはあまり無くなってしまうのではないかと思うのですが、そこはいかがでしょうか。
市長
昨日も1日、私自身、やや不思議な思いで協議会の席に座っておりました。16年10月に出された報告書は、多くの議員の方、当時もいらっしゃいましたので、お読みになってます。なおかつ、その際に、16年10月の報告書を主導されたっていいますか、まとめられた席には、外部の委員の方、つまり、「内部に甘いやないか」と昨日も言われたんですが、いや16年10月の報告の中で外部にお願いした特定団体調査委員会の報告書であり、その委員会が後ほど、特定団体の経営監視委員会に変わるわけですが、同じメンバーで。そういった外部の方たちが当時の磯村市長、さらには佐々木元助役、それからほかの方にもヒアリングをしている資料もきちんと出ております。で、それでいて、その報告書にその最後に「公文書が存在しない」ということが書いてあって、それが16年10月ですから、17、18、19、20、21、5年近くそこから月日が経っており、で、我々が調査をやったのは4年ぐらい経った時点からの調査ですから、新たな事実が見つかるかどうかということ、そら、見つかればそれにこしたことはないと思っておりましたし、で、当時、本当に公文書が無かったのかどうかというところも含めて、いろいろと聞きましたが、やっぱり出てこない。で、我々のやった調査っていうのは、16年10月は、なぜ、特定調停を結ばなければならなくなったかの経緯について、関係者からいろいろ聞いて、それに対する報告書でございました。で、我々がやったのは、特定調停を結んで、わずか3年、ま、2年半ぐらいからもう、新聞の報道などによりますと、経営状態悪化とかですね、このままでは2次破綻もといった記事が踊るような、当時、私、ここにはおりませんけれども、そういう状況に立ち至っていながら、明らかになっていない点が多すぎるという部分でやった調査です。ですから、特定調停の責任を問うということよりも、なぜ特定調停に至らなければならなかったのか、どうして特定調停を選んだのかということに主眼を置いてる調査ですっていうのは、私、委員会でも何回か言った覚えがございます。で、「その責任は誰にあんねん」ていうのが明らかにならずとも、誰に責任があったかいうのを明らかにするためにも、公文書が無い中でね、その、肝心な部分が無い中で、つっこんでいける限界っていうのが、いくら外部の委員の方にお願いしたとしても、16年当時ですら見当たらなかったものが、今後、出てくるとは思えないという部分で、確かに、そら、皆さんにしたら、長いこと待って、去年の年末に出るはずの報告書が、3月末に出てあれかというふうにおっしゃるかもしれないけれども、あの中に、今までになかった記述の部分であるとかね、つまり今までは、聞き取りをやったとしても、調査報告書が無いとか、議事録が無いとかで、表に一切出ていなかった内容を、聴取という形ではありますが、こういうふうに言っている人もあるというような記述で出せていますんで、そういうものをすべてこう、出せる範囲で出した中で、じゃあ責任は誰やといわれたら、私は、結果責任としては、特定調停以後、これだけ短期間に破綻をせざるをえない状況になった責任というもので言えば、結果責任として、市長にあるんではないかということを申し上げました。で、これがね、どうも、議員の先生方とかには、分かっていただけないのが、やや、不思議な感じがいたします。私以上にこの経緯に関しては、長年にわたって、委員会を通じて質疑をされておられる方たちでございますから。当然そういった間の動き、情報の流れというものについてはご存知のはずですし、こういう調査の限界というものもお分かりいただいていると思っておりました。で、消化不良だという私の言葉に何度もおっしゃっていただいたようでございますが、それに関しては、やれる限りのことは市長としてやっていきますんで。組織として、その、組織を挙げて調査するという限界は感じました。ただ、今回作ったプロジェクトチームっていいますか、森下さん(副市長)のもとでまとめてくれたチームにつきましては、解散とかそんなんではなくて、ちょっとまあ一段落しといてもらおうという気持ちではおります。まだ皆さんの中でも、「今でもすっきりこないなあ」という思いでおられるとは思うんですが、例えば、裏金の問題のその調査のときには、これは、犯罪、直接犯罪に結びつくかもしれないということで、こちらから検察出身の弁護士の方にお願いして、刑事訴追できるかどうかっていう部分をかなり厳しく見ていただいたっていう記憶がございます。そういう追及と今回の追及というものが、どこにその犯罪性があるのかとかですね、といった部分での限定の仕方とか非常に難しい部分がありましたので、私は早い時点で、去年のいつでしたかね、かなり早い時点、6月ぐらいの段階で、その責任追及という方向性は公に残ってるものが無いので、難しいかもしれないと。でも、やっぱりなぜ特定調停を選んだのか、そして、どうしてその特定調停の内容がこういう形になったのか、さらに、その特定調停からわずかの期間でこういった形になったのかという、その因果関係を明らかにしたいというふうに言ったのが、この調査の主眼であり、それはその調査報告書の最初のページにも書かせていただいております。そういった前提で、そういった前提でやらせていただいた調査が、ぜんぜんその調査の趣旨に沿っていないというのは、私は違うんじゃないかと抵抗したい部分でございます。本当に今までにない情報も出てます。それから、今までに出たとは言いながら、過去のことですから、忘れてる方も多い。あるいは、その当時、ぜんぜん興味が無かった市民の方たちも多い。なら、もういっぺん、その前にあった調査報告とかそういったものを簡潔にまとめていく中から、このWTCといったものがどういった歴史を負い、さらには、どういった扱いを受けてきた建物であり、なおかつそこに大阪市の意図がどういうふうに働いていたのか。その場面でガバナンスがどこにあったのか。どういったガバナンスであったのかと。統治能力があったんだろうかというようなことまで含めて検証してきたわけですから、確かに一定の、方向性っていいますか、大阪市の責任、大阪市全体にあった責任というものを、もう2度と起こさないという方向性で出したつもりでおります。
記者
その特定調停の調査報告書にからんでですね、金融機関にお話を聞きに行かれるということで、金融機関に市長ご自身が行かれるというお話でしたが、それの見通しとですね。昨日も(建設港湾委員)協議会でちょっと森下副市長が言われてたと思うんですけども、金融機関の損失補償について大阪市としてどういう態度を、対応をとっていくのか、これをあらためて会見の場でお伺いしたいと思います。
市長
はい。金融機関には、すでに事務方から接触をしてもらっています。スケジュールが決まりましたら、皆さんにもお知らせして行かせていただきたいと思っております。これは金融機関にやはり、消化不良になっているという部分について、もし資料が残っているならお見せいただきたいということとか、あるいはその当時の関係者にお話が聞けるようであれば、聞かせていただきたいというお願いをしに行きたいと思っております。その一方で、昨日、協議会の中で副市長が答えました件でございますけども、これは今後、更生管財人のもとで、作業が進んでいく過程において、その損失補償をどうするのかという局面に至った時に、やはり我々としては、損失補償等さまざまな状況をやっぱり市民負担をいかに少なくするかという大前提のもとで、金融機関に対して交渉に当たるのが筋だと思っておりますし。そういう方向性、今、調停とかですね、色々出ておりましたけれども、そういった方向性も選択肢の一つとしてあり得るだろうなという、検討を当然するであろうということでございます。
記者
関連で。今後ですね、損失補償を支払っていく際に、もし市の方でお金が足りない場合は、4月から5年間、起債をすることが認められましたが、その条件は議会の議決が要ると。総務省に聞くと、言い換えれば、経営責任や何でこういうことになったかという原因を、議会でもしくは行政の内部で明らかにしていただくための趣旨の法律の改正であったと、いうふうに言ってるんですけども、その起債をする際にですね、今回の報告書なり市長の認識なりですね、起債する際の条件を満たしているようなものが今回出てきたとお思いなのか、起債するかどうかまだ分からないかもしれませんが、起債するとしたらこういう条件を満たしているとお思いなのかどうかということを1点だけ聞かせて下さい。
市長
はい。つまり、過去にいわゆる検証も不十分なまま、あるいは合意形成がどうなされたのか分からないまま、行われたことに対して今大変な目にあっていると、というところが、その過去と同じ形のまま現在の行政を運営しているのであれば、私は起債を申請する権利も能力もないと思います。そういった意味では、この間、市政改革とかガバナンス改革とかを通じて一定の前進あるいは情報公開等を通じまして、市民に対する説明責任を果たそうとしている努力、そういった姿勢、さらには今回こういった形で特定調停に至る経緯を明らかにしようとする努力、状況分析あるいは市自らの反省ですね、そういったものを積み重ねていくことによって、起債を受けられる資格はあると、私は感じております。で、それを受けるかどうか、申請するかどうかというのは今後の話になると思います。
記者
ちょっと違う話で恐縮なんですが、中央の方で、自民党と公明党が15兆円規模のまた新たな経済対策だったり、生活支援というものを出しています。それは今後、補正の方へ提出かもというような動きなんですけども、今のそういう流れについて、一時のものになっちゃうんじゃないかとかいろんな意見があると思いますが、市長ご自身はどう思われますか。
市長
今、国の借金が800兆を超えてるんですよね。で、大阪市もようけ借金している身ですんで、大きなことは言えないんですけれども、やっぱり地方分権というものの本質がどこにあるのかということをきちんと考えていただいたうえで、その移行手段として、いろんな財源措置がなされるとか、いうのであれば大歓迎でございますが、単に一時凌ぎ的な形でさらにこうお金が出てくるというのは、「日本にとって本当にいいんだろうか」という思いは根本のところでございます。あの日本も、今回の世界同時不況、リーマンショック以降の中では、むしろ海外輸出産業重点の経済基盤というものがいかに脆弱(ぜいじゃく)であったかというのがはっきりした中で、今後、われわれ基礎自治体としては地方分権をより一層、推し進めていく、地域主権を打ち立てていかなければならない基礎自治体のあり様というものを考えたときに、上から降ってくるお金をいつまでも待ってんのかと。本来なら、この大阪市域で、5兆円の税収を上げてるわけですから、それを全部よこせなんて言ったことはございませんし、せめてその今、6対4で国対地方になっている部分を、まずは5対5、将来的には逆転した4対6という形にしてほしいという訴えを続けているわけでございますから、そういった根本のところを変える努力も見せていただきたい。で、非常に厳しい状況でございます。地域の財政状況、あるいは中小企業の景況感とも非常に厳しい状況でございますから、そういった国民の今の飢餓感というものを将来的にも満たしていただけるような形での政策展開をお願いしたい、というのが一番言いたい部分です。
 

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