平成21年11月17日 大阪市長会見全文

【『泉布観』の再生・活用などに向けた本市への寄附の募集について】

皆さんこんにちは、よろしくお願いいたします。
去年、ちょうど1年前になるんですけれども、皆様にふるさと納税制度を活用した本市へのご寄附をお願いさせていただきました。大阪市を愛するたくさんの市民や全国におられる大阪市のサポーターの皆さんから、平成20年度に頂戴いたしました個人の寄附金の合計でございますが、およそ1億870万円、これは、ふるさと納税制度の対象となる金額でございます。あらためて心から感謝申し上げますとともに、頂戴いたしました寄附金は、それぞれの目的に沿った事業に大切に使わせていただきたいと思っております。
ふるさと納税制度は、ご寄附をいただいた分の一定額までは税金が控除されます。寄附いただいた額に応じて所得税が還付され、道府県、市町村民税は寄附に応じた額を差し引いて請求されるという制度でございます。引き続き、今年も大阪市へのご支援をよろしくお願いしたいと思います。当然、今年も控除を受けていただく確定申告をしていただくためのフォローといいますか、「申告をお忘れになっていませんか」っていうような葉書を送らせていただきたい、案内はさせていただきたいと思っております。ご寄附は、「この事業に寄附したい」、「こういったものに使ってほしいんや」ということで、お申し出に沿った使い方をさせていただこうと思っております。ご希望のメニューやご寄附の方法などは、詳しくは大阪市のホームページ、それから各区役所や本市の施設に、このリーフレットを置かせていただいておりますんで、是非ご覧いただきたいと思います。
そのメニューでございますけれども、今年は特に、ここにあるんですが、水都大阪の継承につながる取組みの1つとしまして、『泉布観』の整備に向けた取組みへのご支援を呼びかけたいと思っております。
これが、先程の写真を大きくしました『泉布観』でございます。桜宮の大川沿い、ちょうど造幣局の正門前に建っておりますけれども、明治4年に建てられたレンガ造りでは最も古い洋風建築でございます。国の重要文化財にも指定されておりますが、このように大変美しく、歴史的にも文化的にも非常に価値がある施設でございます。建物の老朽化と内部などの傷みが進んでおりまして、現在は年1回の公開時期のほかは、周辺地区ともども閉鎖しているという、大変残念な状態にあります。今年は『水都大阪』に絡んで、夜間公開、特別に3日間プラスして多くの皆さんに来ていただきました。それから、もう1つですね、こちらの、これお手元に、皆さんのお手元にチラシもお配りしているんですが、これは『天満音楽祭実行委員会』の皆さんが、独自にチラシを作って『泉布観』への寄附活動を始めていただいたものです。本当にありがたいことです。「え〜もん」、ここに書いてあるんですが、「え〜もん残さなあかん!助けてやろうゃ〜ナァ!!!」と書いてありますが、大阪市民が持っているDNAと言いますか、大阪が本来持っている力が感じられる表現だと思います。地域や市民の皆さんが『泉布観』を保存していこうというこの動き、大変ありがたいし、この機運を私も大事にしたいと思っております。更なる市民協働の動きにつなげていきたいということから、まさに『いっしょにやりまひょ』ということで、『泉布観』へのご支援をお願いすることとしました。建物の外観補修、それから敷地内の整備におよそ1億円を見積っております。できるだけ早くこの地区を常時公開しまして、大川沿いの水辺エリアをより素晴らしいものにしていきたいと思っております。水辺と言いますと、この夏、『水都大阪2009』、190万人の方に来ていただいて、水都大阪の魅力、川辺の魅力というものを十分に感じていただけたと思います。新しくなりました中之島公園、八軒家浜、桜之宮公園と合わせて、この『泉布観』によりまして、大川沿いの景観というものが、さらに魅力を増すのではないかと私思っております。
春、桜の季節は、造幣局の桜の通り抜け、有名でございます。通り抜け終わって出て来たら、その正面にこの『泉布観』が真っ白な姿で威容を現している。こういう景色を早く見たいなあと思っております。大阪市のふるさと納税制度によるご寄附、大阪の文化を守り、元気な大阪づくりに役立てますので、是非よろしくお願いいたします。

【『市民活動のためのクリック募金』の協賛企業の決定について】

次も寄附に関連する話でございます。『大阪市 市民活動のためのクリック募金』ホームページを10月30日に開設いたしまして、協賛企業を募っておりましたところ、こちらでございます、大阪市信用金庫さんと、それから大阪信用金庫さん、この2社から応募がございまして、本日より、この2社のバナーをホームページに掲載しております。この「クリック募金」というのは、ホームページ上の協賛企業のバナーをクリックすると、協賛企業がクリックした人に代わって、寄附をしてくれるという仕組みでございます。一般的な募金と違い、募金を行う人が金銭を提供する必要がないところから、身近な社会活動として近年注目を集めているもので、この寄附金につきましては、大阪市で活動するNPO等の市民活動団体の行う公益的な事業に対する助成金として活用させていただきたいと思っています。大阪市は引き続き、クリック募金に協賛いただける企業を募集しています。ご応募よろしくお願いいたします。このクリック募金、ワンクリック3円の寄附で大阪市に入ってくる仕組みになっております。市民の皆さんも、クリック1つでできる市民活動として、是非ご参加をお願いしたいと思います。

【『大阪市こども相談センター』の開設について】

次です。『大阪市こども相談センター』の開設についてのご説明です。この11月はちょうど、『オレンジリボンキャンペーン』、『児童虐待防止推進月間』ですが、児童虐待につきましては、大阪市のホームページにも「ふせごう!児童虐待」というページを新たに設けまして、私はその中で、「ひょっとしたら虐待かな」と思ったら、間違っていても構わないから、ためらわずに通報、連絡をしてくださるようにという呼びかけを行っています。虐待で苦しんでいる子どもは我慢せずに相談してほしい。また、子育てに悩んでいる人についても、「1人で抱え込むということのないように是非相談してください」と呼びかけをさせていただいております。その相談を受ける児童相談所ですが、相談が増えてくるとともに、相談内容も現在、複雑多様化しておりまして、また、いち早く対応することで虐待を未然に防ぐことにもなり、機能強化を進めてまいりました。いよいよ、年明け平成22年の1月4日から、児童相談所を市内中心部である中央区森ノ宮に移転いたします。そして、教育センター内にあります教育相談部門を統合のうえ、新たに『こども相談センター』として開設いたします。『こども相談センター』では、相談を一元的に受け付ける総合相談窓口、とりあえず「ここに相談してください」と、そういう窓口を新たにつくりまして、相談しやすさを追求するとともに、教育、医療、福祉、心理の専門職による総合アセスメントを実施し、子どもにとって、より最適な支援を図っていきたいと思っております。また、児童福祉司、児童心理司などの相談体制の強化を図りまして、児童虐待の未然防止や早期発見、早期対応に一層努め、児童虐待防止のさらなる推進を図るとともに、里親への支援も充実したいと考えています。『こども相談センター』が子どものセーフティネットの核としての機能、その役割を十分に果たせるように、一層努めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。

【HOPEゾーン事業 船場地区『まちなみ修景整備』の第1号の完成について】

次ですが、「HOPEゾーン事業」による、まちなみ修景整備事業の船場地区における第1号が完成したというお知らせです。「HOPEゾーン事業」といいますと、市民の皆さんといっしょに地域ごとの特性を活かしながら、建物の修景整備など、具体的なまちづくりを進めていこうという事業でございます。船場では、平成19年度から取組みを始めています。今回、中央区の船場地区としては初めての事例になります『芝川ビル』、『生駒ビルヂング』の修景整備が11月21日に完成いたします。「修景」という字は、修復の「修」に、景色、景観の「景」という字で「修景」と書きますが、まちなみを意識して、建物の外観を整えるという意味です。『芝川ビル』並びに『生駒ビルヂング』というのは、国の登録文化財にも指定されております船場を代表する近代建築です。船場の魅力、大阪の魅力をより高めようという、事業の趣旨に賛同する建物オーナーと、地元協議会、大阪市が連携、協力することで今回の修景整備が実現いたしました。
11月21日、今週の土曜日になりますが、2つのビルでの修景工事の完成披露も行なわれます。私も出席させていただく予定になっておりますが、午後5時から、『芝川ビル』で完成披露式が執り行われることになっており、午後7時から午後8時(正確には午後8時半)の間には、『生駒ビルヂング』で時計塔のデモ点燈が行われる予定となっております。道修町(どしょうまち)といいますと神農(しんのう)さんのお祭りがございます翌22日、23日、この2日間は、地元協議会主催のまちづくりイベントも開催されると聞いております。こうした機会に、是非、船場にお越しいただいて、まちの持つ深い魅力や地域の想いに触れていただいて、地域の皆様と連携した取り組みが進んでいると、そういう実態をご覧いただきたいと思っております。

【『OSAKA光のルネサンス2009』について】

次は『OSAKA光のルネサンス』のご案内でございます。今年で7回目を迎えます。大阪の冬のイベントとして市民の人気も高く、去年は138万人という大勢の方に来ていただきました。もうすっかり大阪の年末の風物詩と言えると思いますが、今年も12月1日火曜日から25日金曜日までの25日間開催させていただきます。12月1日から11日までは、市役所正面玄関と市役所南側のストリートの点灯を行いまして、12日から全てのイベントがスタートいたします。今年は、『水都大阪』で新しくなりました中之島公園のバラ園から剣先付近、中央公会堂周辺を加え、ほぼ中之島全体で展開いたします。市役所の正面も変わります。『OSAKAあかるクラブ』からクリスマスツリーの『アカルクロス』2本とともに、御堂筋正面全体をイルミネーションで飾ります。期間中、市役所ロビーは「水都」で行ないました、『おもてなしカフェ』も再開して、今回はシャンペンでありますとか、ホットワインなども楽しんでいただけるということで、これが『関西ウォーカー』の『中之島ウォーカー』という特集号でございまして、いつから配布?

情報公開室市民情報部報道担当課長
今日からです。

今日から、フリーペーパーとして、皆さんのお手元にも、すぐ手近なところで取っていただけるということです。何しろ中を見ていただきますと、見どころ満載で私自身も、「今年はちょっと派手になるなあ」という予想をはるかに超える賑わいを想像できそうな、そういう感じがしますのと同時に、ここに知事と私の写真も載っておりますけれども、大阪府では御堂筋をライトアップしてくれます。で、中之島、この一帯から4丁目に至る、この西に至るところは大阪市がやらせていただくということで、やや競争しながら、賑やかな大阪の冬の風物詩を演出したいと思っています。今までにない取組みであるとか、今までとは違う雰囲気っていうのは必ず出ておりますんで、是非ご覧いただきたいのと同時に、産業創造館が中小企業、ベンチャー企業に開発、提案を募集した光のルネサンス公式グッズ、これも登場いたします。今回からの新しい企画が盛りだくさんの『大阪光のルネサンス』、是非、お楽しみいただきたいと思います。皆様のご来場をお待ちしております。

【『近鉄百貨店ショップATC』の開店について】

最後の項目です。お手元にございます資料『近鉄百貨店、ATCに出現!』についてご説明いたします。現在、大阪市と大阪府並びに経済界が一丸となりまして『夢洲・咲洲地区まちづくり推進協議会』を立ち上げ、咲洲地区の活性化に向けて取り組んでおりますけれども、そのような動きの中で大手百貨店の進出でございます。推進協議会にとっても朗報と言えますので、私からご案内させていただきたいと思っております。現時点では期間限定となっております、平成21年11月20日金曜日から、来年の2月28日まで、近鉄百貨店が『ショップATC』として、ATCのITM棟2階に出店することになりました。ITM棟2階といいますと、ニュートラムを降りられてWTCなどへ行く連絡通路が2階になります。ATCのメイン通路からすぐの場所で大変便利な場所で、店舗面積はおよそ1,000u。第1弾企画としまして、11月20日から12月の25日まで、『近鉄百貨店ウインターフェスタin南港』と称しまして、お歳暮ギフトサロン、クリスマス関連商品などの季節的なもの、南港食市としてお菓子や惣菜なども展開されると聞いています。この近鉄百貨店のATC進出が、当地区の一層の発展を促すことを期待していますので、よろしくお願いします。ATCでは近鉄百貨店のオープンの翌日の21日には、大阪市中央卸売市場の協力を得まして、ATCが主催するイベント『食と環境を考えよう〜秋の味覚体験〜』が、潮風のステージ、これはトレードセンター前駅を降りてすぐの所だそうですが、そこで開かれまして、水産物もお求めいただけるということですから、こちらもよろしくお願いしたいと思っております。少し長くなりました。本日は以上でございます。
質疑応答
記者
前回、1度質問にあがったことで恐縮なんですけれども、大阪城ホールのですね、ウルトラマーケット、これが閉館することについてのですね、市長のお考えとですね、あと、そういう劇団とかの活動拠点、少ないそうなんですけれども、市として、支援なり、そういうことをされていくお考えがあるのかという、その2点についてお願いします。
市長
はい。今回の閉館につきまして、これ、先週だったと思いますが、お答えさせていただきました。先週じゃないな、給食食べに行った時に、インタビューを受けましてお答えしましたけれども、大阪市と直接、全く、大阪市がやってる大阪城ホールというものではないので、大阪城ホールと劇団との契約の話というふうに理解しております。そのいきさつとして、備蓄倉庫を探しているんだと。災害用の備蓄物資ですね、災害緊急物資を、特に、あの近辺で置いておくところが、確か4万人分程足りないと聞いておりまして、その場所を探しているのは事実でございます。で、色んなところをあたってみましたけれども、最適な場所が大阪城ホールであるという情報は入ってきておりますものの、それとこの今回の契約案件とが直接リンクするというふうには、私どもは考えておりません。ですから、前にも申しましたように、やはり当事者同士で、どうも感情の行き違いとかですね、聞いているところでは、感情の行き違い、あるいは説明不足といったようなものも散見されるようですので、じっくりと話し合っていただきたい。その結果、大阪市がどうするかということは、また別次元の話になるんじゃないかなと、今でもそう感じております。はい。
記者
政府の緊急雇用対策の一環の『ワンストップサービス』なんですけれども、30日からの試験的な運用が始まると聞いてるんですが、大阪市では具体的にどこの場所でやるのかっていうのは決まってるのかということと、先週も国のほうに要望されたと思うんですが、改めて、市としてこのサービスへの思いっていうのをちょっとお聞かせいただきたいんですが。
市長
はい。大阪市内のハローワーク、確か5カ所ございます。で、その5カ所に、現在考えておりますのは、11月30日でございますけれども、1カ所あたりに、生活保護関連で2人、それから住宅手当の給付関係で1人という計3人、かける5の15人の支援体制を組むということを聞いております。で、11月30日、1日だけの試験実行ということで、政令市、指定都市市長会としての協力に応じますということを国のほうにお伝えしてまいりました。その時にもお願いしたのは、その都市それぞれの事情があるので、一概にこれが全ての期間、今後は定期的に開催するんだというふうには、決めていただきたくないというふうにはっきり言っております。それは今も変わりません。大阪市は特に、年末になりますと、私ども、生活保護を担当している職員だけではなくて、全職員の中で越年事業というものに長年にわたって取組んでおりますし、手が回らないというのが実態です。それと、この事業全体、『ワンストップサービス』というものについては、やはり先日、国に対して要望した際にも、4項目めに書かせていただいていた、本来、仕事を探しに来られる、そのハローワークではなくて、生活保護を申請に来られる方のところで、まだまだ稼働年齢層での申請というのが増え続けているという現状が現場にございますんで、そこへ、逆に、ハローワークの方、あるいは就労支援という方たちに来ていただいて、そこで、就職口についてのワンストップになるのかツーストップになるのか、どういう言い方が適当なのか分かりませんが、本当の意味で仕事を探しておられる方たち、あるいは、働けるのに仕事がないんだという方たちに対して、国がなすべきことっていうのは、私はそこやというふうに思っておりますんで、ハローワークでのワンストップサービスではなく、生活保護申請に来られている方たちの、本当に困っておられる気持ち、悲痛な叫びをお聞きになりながら、仕事先をお世話していただくほうが近道ではないかと思っております。
記者
先週末ですね、一部の業界紙で報道されたんですけども、前原大臣がスーパー中枢港湾の絞込みをかけるということの政策を受けて、大阪市さんと神戸市さんがですね、年内にもスーパー中枢港湾、阪神港の連携を深めるために、専門的な組織を立ち上げるというふうな報道がなされたんですけれども、本当にそういうふうなお話があるのか、どの程度話が進んでいらっしゃるのかをお願いいたします。
市長
それは港湾主導でたぶん、話がもし進んでいるとしたら、まだ最終段階に入っていないから私のところには報告は上がっていないんだと思いますが、ただ、スーパー中枢港湾の絞込みに関しましては、我々としてもせっかくここまでやってきた事業であり、なおかつ世界的にも歴史的にも、神戸、大阪という港が果たしてきた物流に対する役割というものは大きいものがございます。それを整備するということで、かなりの整備を今までやってまいりまして、ようやく大阪港に関しましてはその方向性がはっきりと見えた段階でございますから、これからお金を入れなければならないという点では、ほかの、ほかのと言いますか、ライバルは1つしかたぶんないとは思うんですけども、と比べましても、これから入っていくお金の額ということで言いますと、大阪港に関しては思ってらっしゃるよりは少なくて済む。なおかつ、あと物流ということを考えますと、その取り扱い品目の内容が多岐にわたるのは、やはりこの阪神港であるというような、我々が思っている阪神港の姿というものを国に対してきっちりと印象付ける動きをしたいと思っております。そういう印象付ける動きをする中から、さらに必要な要素っていうのは何なのかっていうのを探っていく中で、どうしても東京、横浜、あの関東ですか、1港に絞り込むことのないようにという動きはしたいと思っております。それが具体的に神戸と大阪の間でどういう協議機関をつくるのか、あるいは、国に対してどういった段取りを踏みながら今の政権にお願いしていくのかっていうのは、これから具体的になっていく話じゃないかと思っております。はい。港湾いる?港湾、今日はいない。はい。
記者
先日ですね、事業の点検っていう3,000に及ぶ事業の点検がございました。で、市は削るだけではなくてですね、地域にお任せしていく部分も出てくると思うんですけども、市は今まで大きなベイエリアとかですね、大きな開発を市がお金を入れてやってきた中で、今後、市長がしている市民協働と絡んで、どう絡んでいくのかですね、ちょっと大きな話になるんですけども、どういう方向性でこの事業の見直しっていうのを進めていくのかっていうのを教えてください。
市長
はい。市政改革室が中心になって、あの事業の洗い出しっていうものを、事務事業全てにわたってやらせていただきました。もちろん、前の市政改革の段階でも、ある程度の事務事業の見直しはやらせていただいたんですが、今回ほど徹底して全ての事業を洗い出そうとしたことは初めて、おそらく初めてではないかと思います。私の直轄という形で政策企画室、市政改革室、情報公開室という3室を直轄に持っておりますけれども、市政改革室で洗い出したこれだけの事業というものを、今度はもっと広い観点からどこで市民協働と絡んでいくのか、あるいは、そこに縦割りであるがゆえに、ばらばらで下りてしまっている事業というのは、同じ事業の方向性を示していながら、ばらばらになっているものを統合することによって得られる統合のメリットと経費の削減、そういった方向性でもとらえていきたいと思ってますし、それから、民間の方の力でやれるのではないかというものを、どう洗い出していくのかというものを、私、政策企画室と、それから、それをどういう形で市民の皆さんに説明するんだという部分で情報公開室、この3室の連携プレイに大いに期待しておりまして、これが一番より分かりやすい形で出ていくことが、「きちっとした事務事業の点検をやったんだよ」という市民に対する説明責任を果たすことになると思っています。そういったものが積み重なっていくことによって、「あっ、大阪市これだけのことをやってるんだ」、あるいは、「ここを市民に頼んできてるんや」ということがあぶり出されてくるのではないかというふうに期待して、そういった動きを待ってます。はい。
記者
政府のですね、事業仕分けなんですけども、連日作業進んでおりますけども、まず、この作業と言いますか、国が今回取り組んだこと、これに対するまず全体的な評価をお聞かせ願いたいのとですね、あと、その中でも個別でですね、地方交付税の抜本的な見直しについて話が出ておりますし、あと、生活保護、大阪市のほうでもチームつくって取組んでおられるものについてもですね、これ逆に不正請求ですとか、あと、就労支援については強化しなさい、したほうがいいんじゃないかというような意見出てますけれども、そこも合わせて市長のご見解を伺えればと思います。
市長
はい。事業仕分け、うち(大阪市)も、加藤代表に、構想日本の加藤代表にお願いして、1回のトライアル、そして1回の本仕分けとやらせていただきました。それで、本当に厳しい視線にさらされた職員の経験とか、あるいは、市民に対する説明責任をどう果たすんだという部分で、ずっと私どもの仕分けは臨んでまいりましたし、仕分けの対象にあげる事業というものの選別についても、試行段階とは、今年やらせていただいた、今年度やらせていただいた仕分けではかなり突っ込んだ、事業に踏み込んでいったと思ってます。で、国の仕分けですが、国の機関、つまり説明責任を果たす側ですね、官僚の方の準備不足というか、仕分けというものに対する認識不足といいますか、それがあるのかなという第一印象でした。その次には、逆に、この仕分けの手法というのは、私ども基礎自治体は、職員が全てそのお金の流れを、一番、市民に至るまでの流れというものを把握しています。ところが国というのは、今の税金の集め方と、それをいかに地方に分配していくかという、その辺のお金を分ける作業をされているんであって、そのお金が地方の一番下の我々基礎自治体に来る時には、どういう形で国民の手に渡っているか、それを国民がどういう思いで待ってるかというのを、ご存知ない部分があるん違うかなという気はします。ただ、事業仕分けをされているその事業によって、例えば、非常に共感できるのは、天下りについて、「ここにこんな金が突っ込まれてええんか」という叩き方をしていただいているのは、私も非常に拍手をもって見ている立場ですが、これは、迂回機関みたいなものが潤うための存在として映ってしまっていると、そこがもっとね、そこの説明責任はもっと果たしていただきたい。たぶん、自分とこの機関、別につくっている機関を攻撃されて、「攻撃」って言ったらおかしいですね、仕分けをされている訳ですから、それに対する説明責任というのは直にあったん違うかなと思いますんで、色んな意味で、色んな見方をしてしまっている。一通りでは見られないというのが、やはり、国の抱えている様々な事業を全て、机上、台上に載せて仕分けをしているから、これはやむを得ないことだろうと思っています。ですから、仕分けの内容によっては応援したいものもありますし、「ちょっと待ってよ」と、「それ、そのままいったら、本当にそうなったら困るんですよ」という思いで見ているものもございます。ただ、これは、加藤代表が私どもの仕分けの際にもおっしゃっていたように、「不要、廃止と判断がされても、即座にやめろというのではなく、ここでもう一度、きちんと一から見直さないと駄目ですよ」と。その見直すために、一から積み上げていく議論、あるいは説明責任というものが存在しているんですよというのを明らかにする手法であるというふうに私は受け取っておりますし、加藤代表も先日そういうふうにおっしゃっていたように、私どもの仕分けをしていただく際には感じましたので、そういうふうに思っております。
 うち(大阪市)で、一番やっぱり困ったなあと思うのは、次世代スーパーコンピュータの、この技術の推進に関して止まるということとかですね、それから、地域科学技術振興とか産学間連携が廃止されるということが、「なんでやろうなあ」と。つまり、今まで日本というものは、「独自技術よりも、よそから来た先端技術を、加工技術が優れている」と言われてたところが、一方では、「最先端の技術を開発したり、生み出していく能力もあるんだよ」というのを、世界に向けて広く知らしめるための投資をしないということは、「次世代スーパーコンピュータの開発競争から降りますよ」という宣言でもあろうし、その一方で、これからの技術開発、あるいは新しい環境問題とかに取組んでいくうえにおいて、「これだけの決意を持った科学技術の振興をしますよ」という部分での出遅れ感、立ち遅れ感。だから、ここもね、やっぱり説明責任につながってくる。国民に広く、「これだけのことをやりたいと思ってます」、もちろん、「これ以上に経費がかかるかもしれない」という部分も見せながらご説明いただければ、納得できる部分がいくつかあるんではないかなあと思っております。ちょっと長くなりまして、申し訳ありません。
記者
実は同じようなことを聞こうと思ってたんですけども、そうしますと、例えばまだ途中で、各地に、地方、地方に与える、どういう影響を与えてくるのかというのは、まだちょっと茫漠としているとこもあると思うんですけども、今現在として、大阪市にとってですね、特に影響が来そうだなというところとか、どういうふうにご覧になっているのかなあというのを伺いたかったんですけれども。
市長
結構たくさんありますよ、やっぱり。ただ、昨日でしたっけ、生活保護の(検討)、昨日でしたよね。生活保護のその方向性っていうもので、私、先週、東京に行かせていただいて、「これはやっぱりもう雇用施策も含めて抜本的に改正していただかないと、どうにもならないところに来てますよ」と。特に、稼動年齢層が続々と生活保護の門を叩きつつあるという状況を、かなりあちこちで言ってまいりました。で、そういったものを一応踏まえた形での仕分けはしていただいたという点では、これが具体的にもっと施策となって、これからの生活保護行政を抜本的に見直すというような動きと同時に、多面的、多方面からのアプローチによる社会保障制度の構築というものに進んでいっていただけるとありがたいというふうに思います。
記者
話題が変わって申し訳ないんですが、昨日から明日まで、天皇皇后両陛下が大阪をご訪問されています。で、市長も今日午前中、昨日からですけれども、同行されている場面があるかと思うんですが、来阪に対してどのようなご印象をお持ちでしょうか。
市長
はい。もちろん、これだけ間近で天皇皇后両陛下にお会いするのは初めてのことですし、お言葉を交わさせていただく機会というものは滅多にございませんから、私は私なりに、それなりに緊張した気持ちで、今日の東洋陶磁美術館でのお話、さらには、昼食会で私の右隣に天皇陛下お座りいただきましたので、で、真向かいに、斜め向かいに皇后陛下お座りになりました。お話をさせていただきました。非常に光栄であると同時に、天皇皇后両陛下の国民、市民に対する思いやりの深さっていいますか、例えば東洋陶磁美術館でも、一番興味を持たれる、全てに興味を持たれてたんですが、時間の関係で短いご説明の時間しかなかったんですけれども、可愛らしい子どもの造形であるとか、あるいは絵付けの部分で言いますと、動物、植物といった非常にその親しみやすいものにすごく楽しそうに、天皇皇后両陛下がお話を交わされていたのが印象的でございました。さらにお食事の間には、大阪に前にお越しになった時の印象であるとか、一番直近は確か世界陸上でお見えになった時でございますが、その前にはやはりなんと言いましても70年の大阪万博、あるいは花博の時の思い出であるとか、そういうことを楽しそうに、あの時に、「一番上の子はね、こうだったんですよ」とか、「二番目の子はね、こんなことがありました」とかっていうふうに、皇后陛下がお話くださったのが非常に印象的でございました。私のほうからは、知事が残念ながらご同席できないということで、「『水都大阪』がこういうイベントでした」ということとか、「今後、これから水の都大阪をこういう形で皆さんに親しんでいただこうと思っております。で、府と市の力を合わせて、大阪を是非、世界に名だたる水都として、これからも頑張っていきますので、また見に来ていただきたいな」と思うのが今の気持ちです。非常に緊張しましたが、楽しいひと時を過ごさせていただいたことを大阪市民に代わって御礼を申し上げたいと思っております。
 

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