平成22年2月4日 大阪市長会見全文

【2010年上海万博大阪出展の展示概要の公表について】

皆さんこんにちは、よろしくお願いします。
今年の5月1日から10月31日まで開催されます上海万博について、まずお知らせいたします。
大阪を世界に売り込む絶好のチャンスだと思っておりますけれども、大阪府、そして経済界と共同で、『環境先進都市・水都大阪の挑戦』、これをキーワードにしまして、日本の都市として唯一『大阪館』を出展いたします。
本日報道発表しておりますが、これまで詳細にお知らせできなかった、大阪・関西の企業などが有する優れた環境技術の展示内容も含め、『大阪館』の展示概要をお知らせいたします。
大阪は過去に多くの公害を経験しております。しかし、その克服に向けた挑戦を早くから行ってきた技術と知恵を持ったまちでございます。そういう大阪・関西の環境技術を、特に中国でも関心の高いところだと思いますけれども、水、エネルギーの分野を中心に展示することとしております。
まず、水の分野の例として、大阪市水道局が115年以上にわたりまして培ってきた優れた水道技術を、『水源から蛇口』という水の流れにあわせて展示をいたします。高度浄水処理技術や管路技術に加えまして、ISO22000を取得した世界標準の品質管理技術などを、中国、世界に紹介したいと思っています。また、下水を高度に処理することによる水辺の再生ですとか、下水道汚泥の資源化・エネルギー回収など、総合的な循環システムをめざす大阪の下水道技術についても紹介いたします。こうした技術に加えまして、大阪・関西企業の持つ技術も紹介します。例えば、海外では中近東や、日本国内では離島などで、水不足の解決に貢献してまいりました海水淡水化技術を紹介するとともに、世界最高水準を誇る最新の逆浸透膜によるろ過技術を、体験型の展示物を用いて楽しく、そしてわかりやすく展示いたします。
次にエネルギーの分野ですが、最先端の家庭用燃料電池など新エネルギー技術や、省エネルギー技術を紹介いたします。
まず、大阪大学の技術なんですけれども、温度差を利用して、高い変換効率を実現した『熱電変換』の最新研究発表なんですが、ちょっと分かりにくいんですけれども、分かりやすく言うと、例えば、人の手の温もりと物のあいだ、こういう具合に、こういうあったかい手で冷たい水を持つこの温度差がですね、電気エネルギーに変わるというものでございます。子どもから大人まで、来場者の皆さんに触っていただいて楽しんでいただけるという体験型の展示でございます。
次に大阪市立大学の技術なんですけれども、オーロラを人工的に再現しようというものです。
地球には、私たちが存在するために必要な地磁気、それと大気があるわけなんですが、それらの存在と役割を理解していただいて、美しさだけではなくて、地球の大切さ、それについても考えていきたいと思っております。
また、大阪府立大学のLED照明の活用による省エネルギー化や、ロボットによる省力化を実現する人工光型植物工場の技術もご紹介いたします。
万博開催まであと86日。協力いただく大学や企業などと出展に向けて準備を進めていただいております。7000万人を超える来場者が予想される上海万博に出展できるというこの機会を最大限に活用しまして、大阪の大学や企業などが持っている技術や水都大阪の魅力を、十分に、中国、世界に向けてアピールしたいなと思っております。
皆さんにも、是非、大阪館の展示内容をご紹介いただき、多くの方に上海万博、そして大阪館においでいただけるようにご紹介いただきたいなと思っています。
よろしくお願いいたします。

【鹿児島市、熊本市、福岡市の三市長による表敬訪問について】

次にお知らせを2つです。
明日2月5日、金曜日ですが、まず午後3時から、鹿児島・熊本・福岡の3市長が大阪市役所にお越しになります。
既に1月22日に報道発表させていただいていますが、鹿児島市、熊本市、福岡市では、平成20年8月に3市の交流連携協定を締結されております。今回は、来年、平成23年春の九州新幹線鹿児島ルートの全線開業を見据え、連携事業の一環として『鹿児島・熊本・福岡 三都市連携大阪プロモーション』として来阪されるものでございます。大阪で観光プロモーションのほか、食の、食べるほうです、食の商談会、観光交流会なども行われると聞いております。
明日は、3市長のほか、各都市から親善大使の方々も来られ、観光と食の面における三都市の魅力をアピールしていただく予定になっております。
九州新幹線『さくら』により直通運行されますと、大阪と鹿児島が4時間弱で結ばれるということでございます。九州全域からの大阪へのアクセスも便利になり、九州と大阪の交流人口が拡大することは間違いないと思っておりまして、非常に期待しているところです。
今回、お越しいただけるということは、大阪にとってもこの上ないプロモーションのチャンスでもあります。大阪市は、豊かな歴史的・文化的資源や、ホスピタリティあふれる人が魅力であり、九州の方にも楽しんでいただけるまちだと思っております。また、京都、奈良、神戸を結ぶ中心に位置しておりまして、それぞれ30分ほどの短時間で移動できるという絶好のロケーションでもあり、こうした大阪の魅力をPRし、九州からも多くの観光客の方々に来ていただけるよう、頑張りたいと思っております。
皆さんの取材をお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。

【地方分権シンポジウムの開催について】

このように都市間連携というものは、色んな項目で、それぞれの思いでも協力し合っていけると、私、思っておりますけれども、ま、これにも関連いたしますけれども、次の項目は地方分権シンポジウムについてでございます。
明日5日です。午後6時半から、大阪市、大阪市隣接都市協議会の共催で『地域主権時代の基礎自治体のあり方 都市内分権と水平連携』をテーマにシンポジウムを開催いたします。シンポジウムは、地方分権について市民の皆さんにより深く理解していただきたいという思いで、平成8年度から毎年開催しています。
今年は、まず、『地域主権時代の基礎自治体のあり方』をテーマに、龍谷大学法学部の富野暉一郎(とみのきいちろう)教授の講演をしていただきます。そのあと、阪口吹田市長と富野教授と私の3人とコーディネーターの大阪市立大学大学院法学研究科の阿部昌樹教授によるパネルディスカッションを行います。
今後のあるべき基礎自治体の姿について参加者の皆さんとも一緒に考える場にしたいと思っております。
こちらの方の取材もよろしくお願いいたします。
本日は以上でございます。ありがとうございました。
質疑応答
記者
府市の共同チームについてちょっと改めてお伺いします。市長が就任2年終わった時におっしゃっておられた府市の共同チームですけれども、改めて確認で、そもそもどういうものを連携してやるということで立ち上げようとされたのかというのが1つと、それに対して昨日、橋下知事が会見で、その府市、もっと広い範囲で連携するようなチームに何故しないのかというようなご意見もあったようですが、それについてどうお考えなのかというのが2つ目と、3つ目は、最終的に府市の共同チームというのをどういうものにされたいのか、なんかちょっとこじれちゃってるような感じもするんですけれども、それについて教えてください。
市長
これ、今まだ事務方でですね、事務方でお互いに協議をやりながら、やろうねという掛け声を掛けさせていただきました。その掛け声を掛けたきっかけっていうのは、府にWTCをお買い上げいただいて、それから夢洲・咲洲地区の開発推進協議会というものを経済界にもお入りいただいてやっていく。で、その中で実際の動きとしては、すでにあのエリアへ実際に見学会を開いたりという形で動き始めておりますし、トップセールスということでいいますと、知事と私とで中国総領事館の誘致であるとか、私は私でまた8日に都市プロモーションをやったりという動きをやっております。ですから私の思いとしては、せっかく府が咲洲庁舎としてお使いいただくあのエリアに、ATCにも我々のベースになるところがある訳ですから、お互いがばらばらの部局ではなく、1つの部局としてまず咲洲・夢洲、あのエリアに具体的に何かができる共通のセクションを設けようではないかと。で、それができて何かの形が見えた時には、これから例えば咲洲・夢洲がこういう開発できましたよ、あるいは企業が来てくれますよ、在外公館来てくれますよ、にぎわいが増しましたよという時に、じゃあ次に何ができるんかということを広げていく、そういうものであろうと思うんです。この間の水道協議であるとか、府市連携というものを話し合っていく中で、私、市の職員とよく話をするんですが、その際に、府の職員の枠組みをつくる際の優秀さ、これは間接行政あるいは権限行政として長年培われたノウハウ、あるいは人の使い方という部分で非常に早い仕事をされると。一方、私ども基礎自治体として、直接行政に携わっているものとしての利点というのは、それぞれ現場における具体的な動きを積み重ねるという部分でありますんで、これが2ついっしょになることで相乗効果をめざしていく、これが私のそもそもの思いでございましたから。今のところ、中間報告を受けておりますけど、そっからはなんら変更はないという方向で動いていると聞いてます。はい。ただ、知事が昨日おっしゃったことっていうのは、それから先のことを先に決めとかんかいという部分で、いつもなんかどうも食い違ってるように見えてしまう発信をされるんで、そうじゃないですよと。先に当然、もっともっと具体的な府市連携をね、色んな形で咲洲エリアだけでない連携をやれる形にするためには、まずやっぱり具体的な成果を残さないと、それぞれの府民市民に説明責任を果たせないんじゃないかという思いでいます。
記者
今の質問での関連なんですけれども、市長、今、中間報告を受けているというふうにおっしゃいましたが、今どの段階にその共同セクションというはあるのかということと、昨日の知事のお考えでは、なかなか大阪府の、共同セクションにいる大阪府のパーツっていうのは、大阪市とはリンクしにくいんではないかというような感じもあったんですけど、そういったことではなくて、必ずもうこの共同セクションはやるんだと、新年度からスタートするんだということでよろしいんでしょうか。
市長
はい。いや、知事がどういうふうにおっしゃってるのかっていう部分を、「えっ、こういう話が進んでるの」っていうふうにも聞きましたけれども、これまだ予算編成過程で、うちがどういう対応でいくのかとか、どういう人間構成、人数、お互いにそれぞれのプランというものはもう出ているようにも聞いておりますし、で、それに向けて何が必要なのか、何をめざすのかっていう具体的な詰めを、今やっている最中だという報告を受けています。ですから4月といいましても、WTCの契約というものがきちんと交わされて、部局の場所をどこに置くのかとか、まだまだ細かいことをきちんと詰めなければならないことがございますので、それを具体的にやっていくのは新年度予算がカチッとこう形になったとこからで十分であると思ってますし、自分が思っている方向も変わってませんので、いけると思ってるんですけど。はい。
記者
それとその府市連携に関連してなんですけれども、今回、知事が府市再編というようなことを出されてですね、現場の職員の方、もうすでに走りだして、連携で走り出している分野はたくさんあると思うんです。で、そういった現場の職員の皆さんの不安であるとか、あと、混乱と言いますか、影響、何らかの影響が、今後ないかということが心配なんですけれども、今言っている再編論と実際の現場でやられている作業というものへの影響っていうのはどうでしょうか。
市長
これももう何度も同じこと申し上げて申し訳ないなあと思いながらも、これしか言えないんで。というのは、その再編の形が見えないといつも言ってます。大阪市だけが知事は欲しいのか、それか、大阪市の、例えば建設であるとか港湾であるとか、そういった部分だけが欲しいのか、それとも何をめざされるのかが。単に大阪の景気が悪いのは府市がばらばらやからとかおっしゃってますけど、これ、日本国中、まあ一番大阪が中心を、大阪市が占めており、そこが力を持っているという部分で、まあ2年間何かしようと思うと、いつも目の上のたんこぶやと思ってらっしゃるんだと思うんですが、だからこそ、我々の時代で出来上がりつつある府市連携というものがね、本当に市民府民の方たちの期待は大きいと思うんです、私は。この期待が大きいものの成果を見ずして、いきなり形から入るというのは、私は分からないとしか言いようがない。で、せっかく成果を求めるという動きを色んな部分でやり、その本当に成果、具体的な成果が今見えつつあると思っているのが、私、職員間同士の連携、連絡という1つをとっても、今まで1年にいっぺんぐらいしか話したことのなかった部署がですね、今や連日のように大阪をこうしようか、ああしようかという話をしていると聞いておりますんで、いやすごい動き方になったなあと。これを、知事の言い方をされるとね、なんか、あたかも大阪府全体、あるいは大阪市の今のあり様自体が全く駄目だという植え付けをされている。これは府民市民にとっては不安に思う材料になるんではないかなと。一方で海外からお越しになる方が、この街、特に水都大阪とか、あるいは光のルネサンスとかという形で、我々が懸命に積み上げてきた都市資産というものをご覧になった時に、「大阪いいじゃない」と言っていただける部分は、私は市長になりましてから数多く経験しているんで、余計に「駄目じゃないですか」って言ってる部分が、私には分からない。で、これを言うと、「だから駄目なんです」とまたおっしゃるんですけどね、そうじゃないですよ。だから、府民市民の方に不安とかを与えないためにも、やはりもっと具体的なプランなりビジョンなりをね、示していただかないと。知事がビジョンとおっしゃってるものは、あれをビジョンというのなら、なんぼでも誰でも言えるかという、そういうところまで具体性の積み上げがない、そう感じるのは私だけではないと思うんですけどね。はい。で、職員に不安があるのではないかっていうと、それは毎日、連日、あのように報道されますんで、「市長、何らかの反論してくださいよ」とか、あるいは我々は今のままこれ懸命に基礎自治体としての仕事をね、やっていくことでいいという、そういう確認をしてくれてると思いますんで。本当に大変ですよね。早くはっきりしたビジョンを示していただかないと。ただし、昨日ちょっと気になったんは、政治家と知事という使い分けをされるようになってまいりました。私はそれを前から指摘はしております。これは政治家としてはおっしゃってもいいけれども、知事にやっていただきたいことは別にあると。ですからそういう意味でいうと、これから大阪市としては知事にやっていただきたいことっていうのを、具体的に申し上げていく段階になるんだろうなあと思います。
記者
水道統合協議なんですが、先日42市町村が企業団ということになってですね、これからまた将来的に府内一水道をめざすということで、大阪市さんの立場が今後どうなるか、ずっと将来のことになるかもしれないんですが、今の段階でそういうところに市長、改めてそこに入られるというかですね、どういうスタンスで取り組んでいくのかと。当初は橋下知事が、「統合しましょうよ」ということで始まって2年間近くやってきてですね、コンセッション方式でですね、一時期まとまって、最終的には企業団となってしまったと。で、当初からですね、ぶちまける前に市町村の意向をですね、やっぱり聞くなり何なりしてですね、やったほうがやっぱり、結果的になんですけどよかったんじゃないかなあと。で、そういう橋下さんの、こう、ぶちまけていっしょにやろうということでやってきたこのスタンスというか、姿勢ですね、今思えばどういうふうに振り返っておられますかということです。
市長
1月30日でしたっけね、企業団。あのあとに、私のコメントという形で、通りいっぺんのって言うと怒られますが、その日の印象という形をお知らせしましたけれども、あれから日が経っておりまして、色々やっぱり自分自身もこの2年というものを振り返ってみました。熱い思いでお互いの思いをぶつけ合った部分と、本当に冷静な分析を大阪市の水道局がやらせていただいたと思っております。で、まずコンセッション方式に関しまして、知事は全面的にすばらしいプランであるということで、「大阪府はこれでいく」ということをはっきりおっしゃった記憶がございます。そのおっしゃったことを一切お触れにならずに、企業団方式で、これはまだ企業団方式は固まっていないと私は思っています、企業団方式を検討するという府水協の思いが決まったということで。で、それを一切、そのコンセッションではない方向にいったことに対するご自身の指導力を発揮しなかったことについて触れずに、企業団方式が、さも地方分権のモデルであるかのようにおっしゃったという新聞記事を読みまして非常に失望いたしました。あの2年の月日を返せなんては言いません。そんなこと言いません。でも、この間に、やっぱりあれだけ情報公開をした流れっていうのは、大阪市の水道の実力を如何なく世にお示しすることができて、115年に近い歴史を持っているだけの、日本でも、日本の自治体の中でも本当にトップの経営企業体、トータルな水管理システムというものを持っているんだということをお示しできたという部分が大きな収穫であり、大阪市水道局の職員にとっては、今後の大きなやりがいに結びついていくと思います。コンセッション方式は、例えば府水協の皆さんが「GO」と出していただいて、府のほうにその方向が出れば、2月にももう具体的なプランをお示しできるところまで完成しておりましたので、その完成した文章を冷凍庫に入れることにいたしました。いつでも解凍できるようにということです。ですから、皆さんにはこの2年、全ての情報を出してやってまいりましたので、一体何が問題だったのか、「ウィン、ウィン、ウィン(WIN−WIN−WIN)」と言ったことを、私は、大阪市民にも利益があり、府民にも、府にも、市にも利益があるという形で一番いい方法を提示できたと思っていたんですけれども、残念ながら最後の最後に指導力を発揮していただかなかったことが原因であると、原因の1つであると、私は思っております。そういった意味では今後ですね、大阪市が持っている能力という、大阪市の水道局が持っている能力というものを、やっぱり広く市民にも還元したいと思っておりますんで。例えば今、ベトナムと去年覚書を交わしました。今後ますます、まだまだアジアで水に悩んでいる所がたくさんあるようですし、関西の企業が持っているすばらしい高度な技術、水処理技術を持っておりますから、それといっしょになって大阪の名前を上げるために、より効果的な海外展開の方法を探るという方向にシフトしていきたいと思っております。はい。
記者
同じ水道に関する質問なんですけれども、ではいったん、やっぱり大阪府と市の水道統合っていうのはもう白紙に戻ってる状態という受け止めでいらっしゃるんでしょうか。
市長
結局、企業団方式ができるかどうか分からない段階ですから、まだ。完全白紙かどうかっていうと、さっきも申しましたように、「うちは冷凍庫入れましたよ」ということですから。コンセッションではない。ただね、知事っていいますか、事前にはいくつかの市がコンセッションのほうがいいというふうな判断をしてくださってるっていうのを、かなりの数って言いましてもまあ半分はいってないですけれども、あると聞いておりましたんで、なぜ、いきなりすべてが企業団方式で異論が出ないという形になったかどうかが分からないのが事実です。で、竹山市長にも期待したんですけれども、残念ながら企業団方式のほうにシフトされたということなんで。白紙?うーん、まあ現時点では、まず企業団をおつくりになるという方向に動かれるんでしょう、この1年。確か9月ぐらいに大きな企業団としての形をつくらないといけないリミットがあったのかな。我々はさっき申しましたように、いったんもう冷凍庫へ入れますんで、そっから先は逆に、新たな大阪市水道局のあり方というものを、今持っている力がどういったものかっていうのを、国際貢献とかですね、色々な形でたぶん大阪の名前を上げていくことができると思いますから、大阪市民の方は、そういったところにも期待をしていただきたいと思っております。
記者
府市連携の、知事の話に戻って申し訳ないんですが、我々の取材に対してですね、「平松市長は基礎自治体の長として、大阪全体のビジョン、さらには関西のビジョンを持っていない」というふうに、名指しをされて、断言、昨日されたんですけれども、それについて、市長はどういうふうにお考えになるのかという点をお願いします。
市長
果たしてそれにお答え、定例会見でお答えすべきかどうかという部分も、私、分からないままお答えするとすれば、どうなんでしょうねぇ、大阪市がこれまで果たしてきた役割というものをお考えいただいたり、あるいは、大阪市が周辺市あるいは大阪市のベッドタウンとして発展してきている都市、その中における歴史的な役割というものをしっかりと認識していただいたら、軽々にそういう判断をお下しにはなれないぐらいの貢献度を持っているまちだと思っています。で、私にその広域的視点がないというご批判だとすれば、私は大阪市長として定例記者会見を受けておりますし、大阪市長としてお話できる範囲というのはここまでであろうという思いでお答えしております。で、それではなくて、逆に政治家、平松邦夫として広域的な観点をどう思うのかというと、また別の話になりますし、それは定例会見ではないところで、いつでもお話はしたいと思ってます。ただ、いつも言いますように、水平連携っていうものは、内側が充実した時に、じわっと外へ向かって同心円的に広がっていくものばかりではなく、例えば海外との連携とかですね、それから政令市、この4市も政令市がかたまっている素晴らしいその力のあるまちがかたまっているエリアをどうやっていくんだという、そのエリア間の連携みたいなものは、知事が思い描いておられる道州制という方向性となんら一致しないものではない。つまり、いくら関西州をつくっても、その中に核になる、その稼ぎ頭であるべしまちの存在というものを、ばらばらに分解して管理しやすいようにとか、そういう視点だけでお考えになるのは危険であろうというふうに思います。特に関西はそういうまちがたくさんありますから。で、その中核になるのが大阪であり、京都であり、神戸であり、そして政令市の堺であろうと。あるいは、そのほかの中核市、特例市といわれる市の連携をどうとるかということで、私は、地域主権という言葉で下からどんどんどんどん積み上げていく動きがね、今まさに少しずつ見えはじめているだけに、そこの市民合意というものが、つくりあげていこうと、あちこちでつくりあげていこうとしている段階で。大きいことを言われるほうが目はいくんですよ、当然。ところが実際に、じゃあ、きちっとこれをやっていただかないと困るという部分を、この前も申しましたように、例えば府の労働行政をどうされるんですかとか、あいりんセンターの問題でありますとか、それから大阪市と堺市の問題でいうと差等補助の問題でありますとか、まだまだ地に足つけていただかないといけない問題が山ほどあるし、中心だけではなく周辺部には周辺部の問題がありということを申しておりますから、それが広域的な視点がないと言われると、知事の広域的視点というのは何なんやろうなあというのが、よく分からないという、だから、分からないというところにまた行き着いてしまうんです。例えばね、今日はまだ聞かれてませんけれども、先日の港湾に関する国際戦略港湾をめざす動きというもので、ずいぶん、その広域ということをおっしゃり、なおかつ国際戦略のない港湾行政というものの先行きに関して、広く警鐘を、大きな警鐘を鳴らされたと思っておりますが、私は、知事は確か会見で、府の職員には、これは大阪市と神戸市の問題だから、かまないというか、中に突っ込まないというか、いうふうにおっしゃったということを聞いております。で、逆だと思うんです。つまり、ああいう会議っていうものを、初めて大阪市と神戸市と、さらにはそれぞれの府県、商工会議所、いっしょになっていよいよ名乗りをあげましょうねっていう、今までになかった動きをやる時に、そういう疑問をお持ちなのであれば、事務方の打ち合わせの段階で、当然そういう情報は入っている訳ですから、その問題提起をしていただいていれば、問題提起をしていただいていれば、30分という短い設定を倍近く使った訳ですけれども、ああいう時間の使い方ではなくて、みんなでやろうねっていう感じになったんではないかと思いますから。場所の設定というものを、やはりそれぞれの自治体なり、経済界なりのご協力をいただきながら積み上げていかなければならない局面っていうのはある訳ですから、それをしっかりと理解していただいたうえで臨んでいただかないと、今後、府との、あるいは橋下知事が出てこられる色んな協議の場というものが、単なるその場その場でのフリーディスカッションの場になってしまう恐れを感じました。ふと思い出したのが、横に座っていらっしゃって、ふと思い出したのが、やっぱりちゃぶ台返し、水道協議のちゃぶ台返しのことを思い出しました。あの時点ではまだまだ就任されて間がなかったんで、府の職員とのコミュニケーション不足。つまり段取りというものは必ずあって、その段取りの中で自分の疑問をぶつければいいんです。私はそういうつもりでいつも市の職員とレクチャーを受けてますから。分からないことは、やってますんで。ん?
情報公開室市民情報部報道担当課長
ちゃぶ台返しは、水都です。
市長
何言うたっけ?
情報公開室市民情報部報道担当課長
水道協議。
市長
あっ、ごめんなさい。水都のちゃぶ台返し。ちょっと興奮してるんですかね。「水都」と濁ってしまって「水道」と。
記者
橋下知事のことでしつこくて申し訳ないんですが。
市長
あの、もうね、本当にこう毎日が、毎日が橋下さんっていう感じになりつつありますが。
記者
就任2年の各社のインタビューでですね、次期大阪市長に前横浜市長の中田宏さんを推薦するような発言もあったんですが、知事と市長とのその信頼関係っていうのが大丈夫なのかなと思っている市民も多いかと思うんですが、その辺りのお考えをお伺いします。
市長
電話ありましたよ。あれは、知事から。朝でしたけども、「新聞に載ってますけど」って、「実はこうこうこうで、こういう流れの話の中で、なんとなく大阪市長に橋下さん自身をみたいな話の次に、つい言ってしまったことで」っておっしゃってましたが。ただ、それは選挙のことですから、知事が、あの方が一番いい、つまり思ったとおりの府政ができる、あるいは大阪行政ができる方だと思ってらっしゃるんじゃないでしょうか。今一番、目の上のたんこぶといいますか、鬼みたいに見えてるのが僕みたいですから。でも、支持率が非常に高い知事から鬼だと言われるのは、やや光栄な部分もあり、「いっしょにやっていこうね」っていうのは、絶えず、あのあと何回お会いしても、「府市協調路線は曲げないよ」と、「今までにできなかったことやろうね」っていうのは言ってますから。ですから、それが、だから、知事、橋下知事と、政治家、橋下徹さんというものの使い分けなのかどうか、かなあって思いますね。中田さんっていうのは、まあ私もお会いしたこともありますけれども、それについてコメントする場じゃないですよね。はい。
記者
水道統合についてなんですけれども、この間、知事がですね、企業団方式に大阪市が、水道料金が上がる可能性があるからといって加わらないのは、府全体の利益を考えてないんだみたいな言い方で、逆になんかそういう責め方というかですね、過去の府市の合意はなんだったんだろうなあというような感じの責め方に転じてきてるんですけど、そのことについてご反論があればというのが1つとですね、あと、なんかその『橋下党』と言うんですか、統一地方選挙に向けてなんか市議も数人みたいなことを、なんか橋下知事もおっしゃってますが、市長はまたそれとは別かもしれませんけども、例えば市政運営を円滑にするうえでですね、統一地方選に向けてなんらかの考え方であるとか、そのいわゆる平松党ではないですけど、考え方に賛同してくれる人をみたいな形で動かれるおつもりは現時点でありますでしょうか。
市長
まず、コンセッションでお互いが合意していたものが企業団という形になった動きに関して、大阪市が悪いのではないかというような、大阪市が自分とこの利益しか考えてへんからそうなるねんみたいな論調は、一言で言えば責任転嫁です。はい。
選挙ですけれども、知事の周りにいらっしゃる方々、府議会議員の方々とか、市会議員の方でも何人かはいっしょにお食事をしたりとかお話をされたりしている方があるのかもしれません。ただ、今、外へ伝わってきている『橋下新党』とは、たぶん、党とはならずに、おそらく政治グループという形で、ややふわっとした感じでいかれると思うんですが、選挙というものにそれだけ多くのグループを立てられるということは、私は、地域社会に対して大きな責任を担うということでありますから、当然きちんとした綱領なり、めざすものはこれであるということをお出しにならないと、コメントのしようがないというのが現時点の私の考えです。確かに、あれだけ人気がおありになって多くの支持を獲得されている方ですから、「いっしょにやろうや」言うたら、いっぱい色んな人が集まって来はると思いますけれども、そういった方たちを選ぶのは市民であり府民である訳ですから、その判断に委ねるとしか言いようがないと思います。ただ、大きな影響力がある方だけに、社会に負うべき責任というのは必然的に重いというふうに思いますので、是非そういった情報をきちんと整理してお出しいただきたいなと思っております。自分自身はそんな気全くありません。はい。
記者
府と市の関係に戻ってまた恐縮なんですけども、橋下知事が連日のようにですね、府市再編や大阪市解体ということで強烈なメッセージを出しておられる中でですね、2日の日、おとといですけれども、原口大臣も、今回の府市再編については、これは地域の決断であって府民の判断であると。で、知事の改革も、まあこれは応援したいというようなですね、お話も会見の中でおっしゃってましてですね、で、知事も相変わらず支持率も非常に高いという中でですね、このままですね、府市の再編がですね、もう一気にいってしまうんじゃないかというような危機感とかですね、そういうものは市長の中では、今、ありますでしょうかね。
市長
いや、だから、府市再編のプロセスとかね、ゴールとかね、具体的な手順とか、一切見えてませんので、何をもってその解体とおっしゃっているのか。大阪市を解体するということはどういうことなのか。つまり、その際によく言われるのが、30万都市であるとか、人口要件で分割していくというような区政改革もおっしゃってるんですけど、これは例えば、大阪みたいに非常にその区によって性格が違う、人口密集地を抱えているところで具体的に適用できるのかどうかということを考えていただいたら、まず無理であろうと思うのが、私は普通だと思うんです。例えば、30万要件で割ったにしても、それを、じゃあ西成区どこへ入れるんですか、で、人口一番多いのが平野区なんですが、平野区をどこに入れるんですかとか、そういうことまで、地元の住民の思いというものをきっちり斟酌していただいたうえでお考えになっているのかどうかが見えないんです。で、非常に危惧しますのは、やっぱり、なんて言うんですかねぇ、これは、『大阪維新』というふうに最初にその予算をたてられた時に感じたことでもあるんですけれども、上から一方的に切り取られる、効率的な都市運営、都市経営というものの時代では今はもうないんだというのが地域主権の認識だと、私は思っています。そこで、効率論のみを追いかけるように聞こえる部分、確かに効率的な都市経営っていうと、すごくかっこいいかのように聞こえますけど、じゃあその中で、私どもが抱えている13万人の生活保護受給者をどうするんですかとか、あるいは、そのほかにも、福祉要件、就職の問題、雇用の問題、様々に取り組んでいただきたい問題が山ほどあるのに、単にその解体と言っていることが、さも新しいことをおやりになるかのように響くことに対しては、全面的に私は警鐘を鳴らさなければならない立場にいると思っています。で、本当にそういう動きが出てきた時には、実際に知事がお考えになっている府市の新しい姿というものが見えた時には、また別の反応をするかもしれませんけれども、今までにおっしゃっていることだけで連想する効率的な都市経営というような形でのあり様は、この大都会、何もかも、矛盾も大きく抱えている大阪市には全く適合しない考え方であるというふうに、直感ですけどね。ですから、割と抵抗を。そんなすんなり「分かりました」とも言わないし。知事にとっては1人の指揮官だったら何もかもうまくいくみたいにおっしゃってることもあるようですけれども、これも危険な発想で、弱い人がどんどんどんどん置いていかれるような社会になるんではないかとか、あるいは、本当に、この指止まれで止まる人だけが正しいんだという、正か邪か、鬼か福かみたいな分け方をしていいのかなあっていうのは絶えず感じますね。これは僕の人生、今まで61年生きてきた人生の中で、やっぱりすごく違う価値観だなっていうのは感じます。
記者
すみません、1点だけ。水道協議でちょっと念のためなんですが、私の理解では、府市の統合協議っていうのは、大阪全体でコストダウンしていく、あるいは合理化していく、そういう目的があって始まったものだったと思うので、府民とともに市民に対してメリットが残らなかったことについて、非常に残念に思っているんですけれども、現時点で。で、ひとまず府との統合協議がもう白紙ということなのであれば、今後大阪市として、なんらかの合理化、あるいはコストダウン、市民メリットを出していくために、独自の路線を歩むということなのか、それとも当面ですね、他の市町村が協議をしていく成り行きをしばし見守るというようなスタンスになるのか、ちょっとその辺りをですね、一言お聞かせください。
市長
はい。府水協が42市町村の中で、例えば10市ぐらいでもね、コンセッションでいこうよという異論があった中で、まあ多数決で企業団に行くというのではないということですから、逆にいつまでも成り行きを見守っている場合ではない。我々は我々で、今、与えられているテーマ、これは大阪市水道局もきちんと人員削減とか、経費効率であるとかっていうものを精査していくうえで、ただ、やっぱりこれだけの技術を持っているものを、私としては海外展開に積極的に打ち出していけるような方向を探ってほしいと。それが大阪市民にとってプラスになるし、大阪全体の名を上げる、そういう動きにつながることは間違いないと思ってますから、じいっとその企業団の結成の動きを待つということは一切ありません。はい。
 

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