平成22年9月10日 大阪市長会見全文 |
【地域防犯対策の成果と今後の取り組みについて】市長
はい、みなさま、こんにちは。本日はまず、地域防犯対策についてです。地域防犯対策上、防犯カメラが効果的であるということにつきましては、いろんなところで実証されているわけですけれども、大阪市では補助制度を設けてこれまで積極的に設置を進めてきております。
これをご覧いただきますと、当初、21年度から23年度までの3年間で、約1,500台の設置を目標としておりましたけれども、国の交付金も活用して、4倍の6,000台まで目標を引き上げて実施してまいりました結果、21年度末で実に5,334台という設置実績を挙げることができました。これは、先日の「大阪府内では、21年度に約6,800台の防犯カメラが設置され、府内の街頭犯罪の防止につながった」という新聞報道にあてはめてみますと、そのうちの8割近くを大阪市の分が占めておりまして、本市の取り組みが府内の犯罪発生件数の減少に大きく貢献していることがわかります。 防犯カメラにつきましてなんですが、今年度も1,000台を用意していましたが、この9月末にも予定台数に届いてしまうという勢いでございます。制度開始からわずか1年半で6,000台を超えることになりまして、この補助制度は十分にその役割を果たしているといえると思います。まだまだ、設置希望者も多いことから、あと500台予定台数を増やしますので、ぜひ活用していただきたいと思います。 大阪市内の街頭犯罪発生件数なんですが、7月末現在の最新の集計でも、8項目中、ひったくりを含めまして5項目で発生件数のワースト1を返上しております。人口10万人当たりの発生率では、ワースト1を返上しているということは既に申し上げているとおりです。こういった成果は、大阪府警、そして地域の皆さんの大変なご努力によるものと考えておりますし、実際、青色防犯パトロールや自転車盗難防止監視員の配置など、地域防犯対策が本格化しました平成21年の10月以降、減少傾向がはっきりと表れております。市民の皆さんの地道な活動が成果に繋がっていることが統計からも読み取れまして、まさに防犯の取り組みが地域コミュニティに支えられているということを実感しております。 街頭犯罪発生件数ワースト1の返上に向けて、今後も緩めることなく進めてまいりますが、地域ごとの課題を着実に解決していくには、これまでどおりではない新しいやり方を取り入れていくという時期にきたという判断をしました。もっときめ細やかに地域の実情に応じた防犯対策をとるためには、地域のことを把握している区長に任せまして、リーダーシップを発揮してもらおうと考えており、既にそういった点を区長に指示しております。具体的には、区役所を生活安全対策、これの拠点と考えまして、その役割を最大限発揮できる仕組みを整えるとともに、23年度予算では、新たに、区長自らが地域防犯の予算と決定権限も持って、地域や所轄警察署と連携しながら必要な事業をできるようにします。区役所の役割を大きく変えていきたいとこれまでもずっと申しあげているわけなんですが、地域防犯対策におけるこの取り組みがその先駆けといえるものだと思っております。 【生活保護に関する自治体連携掲示板を開設します】
続きまして、生活保護に関する自治体連携掲示板の開設についてです。ただし、これは掲示板といいましても、一般の方がインターネットからアクセスできるというものではございません。自治体の連携の取り組みとしてのご紹介です。
生活保護の問題は大阪市だけではなくて全国的な課題であり、以前から他都市との連携は非常に重要であると考え、貧困ビジネスの情報共有という面からスタートしまして、6月のプロジェクトチームの会議には、多くの自治体にも参加してもらいました。こうした自治体連携の取り組みを一歩進めて、情報共有や意見交換を、一方通行ではなくて同時に共有できるような方法はないんだろうかと、プロジェクトチームに対して指示を出しておりましたが、この掲示板の開設でそれが可能になります。 掲示板は、ご覧のように「大阪市生活保護自治体連携掲示板」という名称でございまして、LGWAN(エルジーワン)、これは「総合行政ネットワーク」のことなんだそうですが、これを利用して開設します。LGWANは、地方公共団体を相互に接続する行政専用のネットワークです。行政専用ということからセキュリティが高く、新たな経費負担も生じません。これからはどの自治体でも、いつでも掲示板にアクセスでき、自らの意見を書き込むこともできます。さらに、複数の自治体が掲示板上で会議を行うこともできるということになります。 で、この掲示板は、14日に開設予定でございます。これまでも連携してきました、指定都市、近隣都市の52の市には正式にお知らせいたしますけれども、今後は全国の自治体にも呼びかけて、参加を募りたいと思っております。多くの自治体に積極的に参加していただいて、知恵や工夫、改善例などを共有することで、一緒になって、生活保護の適正化や制度の抜本的改革に取り組んでいければと願っております。 【中国国籍の方の生活保護申請について】
ところで、中国国籍の方の生活保護集団申請の件でございますけれども、西区、浪速区の合わせて7世帯、17人の生活保護申請中の方が、一昨日から本日にかけて申請を取り下げる手続きをされました。これにより、46人全員が生活保護の申請適用を辞退したことになりますが、大阪市の手続きはこれで終わるのではなくて、既に受給済みの方について保護決定を過去に遡って取り消すのかなど、そういった問題も残っております。
従前より申し上げておりますように、入国管理局の再調査の結果に関する見解や、関係資料をいただいた上で、大阪市としての最終的な意思決定、これをさせていただきたいと言っておりますが、生活保護の実態がなくなったからといって、その必要性がなくなるわけではありません。また、穿った見方をしますと、一旦、生活保護を辞退することによって、国または地方公共団体に負担をかけないこととし、ほとぼりが冷めた時点で再申請するのではないかということも懸念されますし、やはり大阪入国管理局から今回の入国審査の経過や考え方をお聞きしなければならないと思っております。 本日午前中に、担当部長が大阪入管局を訪れたところ、調査の回答につきまして本省とも協議しており、具体的な時期については申し上げられないということでしたが、一日も早く回答をいただきたいと思っております。 【キタエリアにおいて放置自転車等の夜間撤去を実施します】
次にまいります。放置自転車の夜間の撤去に関するご報告でございます。これまで、夜間の撤去は実施しておりませんでしたが、自転車が集中して、通行の大きな妨げになっているために、地元の町会や、商店会や企業の方々から要望があり、所轄の警察とも協議を重ねた結果、今月28日火曜日、それから29日の水曜日の2日間にわたりまして、キタエリアで実施することになりました。
この地図が場所になります。ちなみに8月に調査いたしましたこの地域の放置自転車台数のデータでは、9月28日、こちらですね、に、撤去を行います曽根崎新地・堂島エリアでは964台、それから、29日に撤去を行います梅田駅周辺では852台の放置自転車がございました。当日ですけれども、地元の方々と協働しまして、自転車の適正利用を市民に呼びかけるという啓発活動を併せて実施いたします。また、撤去を実施する日までの間、対象地域のお店などに対しましても啓発のチラシを配布いたします。撤去作業でございますけれども、通行の方々の安全を図るためにも、所轄警察署と協力して実施いたします。 今後、当面は月1回程度の撤去を実施し、作業の際の安全確保や通行障害等の課題を整理していきます。そして効果の検証を行って、必要に応じて撤去回数の検討を行っていきたいと思っています。もちろん、撤去だけではなくて、今年度、キタエリアでは約2,000台の駐輪場整備も予定しておりますし、今後も引き続き駐輪場の整備を積極的に進めていきたいと、こう考えております。 【市営交通事業の今後の施策展開(案)を取りまとめました】
最後に地下鉄事業についてですが、地下鉄事業は、多くの方々の利用のおかげで、7年連続で黒字を確保し、22年度には全国の公営地下鉄で初めて、累積欠損金が解消される見込みとなりました。これからは、生み出した利益を市民・利用者の方にお返しするとともに、社会貢献にも努めていきたいと考えております。具体的内容につきましては、このあと交通局より説明いたしますので、ここではポイントだけ申し上げます。
まず、料金サービスでございますけれども、通勤、あっ、ごめんなさい、通学定期券、これの値下げを考えております。以前も申し上げたことがあると思うんですけれども、大阪市では大学等の学校を市内に誘致する努力を続けています。これは、やはり、街の活力っていうのが、若い人たちが集まって、そして街を周遊していただいて、といったことが非常に大きいと考えておりますけれども、もう一方で、子育て世代の負担を軽くしたいということで、通学定期券、これを何とか値下げしたいと考えております。内容としましては、現在の定期代、現行の定期代を2割値下げし、通常料金の70%引ということで、公営地下鉄で最大の割引率にしたいと考えております。さらに、この前申し上げました、1駅100円運賃でありますとか、梅田駅の乗り継ぎ時間の緩和なども含めまして、社会的ニーズにマッチした料金サービスの拡充が実施できないかどうか、引き続き交通局で検討してもらっております。その他、駅ナカ事業の展開も考えておりますし、相互乗入れの充実など利便性の向上として、去年実施したんですけれども、京都嵐山・天下茶屋間直通運転のようなダイヤ設定も検討いたします。 今回の案は、改革型公営企業として、市民・お客さまとともに歩んでいきたいと、こういう思いで作ったものでございます。地下鉄・市バスは皆さんの交通機関です。もっと利用しやすいものにしていきたいというふうに考えておりますので、ぜひ皆さんの応援を期待しております。本日は以上です。 質疑応答 記者
2点お伺いします。1点は、先ほどの中国人の方の生活保護の申請で辞退されたということなんですが、理由などは聞いておられますか。どういった理由で。
健康福祉局生活保護制度担当部長
区に来られまして、保証人の方と同行して来られたということなんですが、特に理由ということはおっしゃっておらないということで、聞いておりますが。
記者
分かりました。それともう1点、今日、また別のテレビ番組の収録があったと伺ってますが、その収録はいかがだったでしょうか。
市長
それ、聞いていいんですか。12日に放送されますバラエティ番組です。そうですね、主に生活保護がどうして大阪で多いのかというようなことが多かったのと、二重行政の存在についてという点に主に話が及びました。私の説明、あるいはスタジオの中での皆さんの会話といったものは、ぜひ、これも私が言っていいのかどうか分からないんですが、放送でご確認いただければと思います。はい。
記者
分かりました。ありがとうございました。
記者
今日午前中に、大阪市公館のほうでプレゼンテーションをなさって、流暢な英語で、びっくりしたんですけれども、冒頭のご出席でしたけれども、全体的に、今日の手ごたえっていうのをお聞きになっているかどうかっていうことと、今後ですね、一度ホーチミンのほうに実際にいらっしゃってということもあり、今後の展望ですね、どんなふうにお考えかということを教えてください。
市長
はい。今日のテーマは、水ビジネスの海外展開についてということで、逆浸透膜で世界的にもシェアが大きい日東電工さんにも出席していただいて、私どもの水道局の理事が、水ビジネスの展開についてやったと聞いております。細かい報告は受けておりませんので、冒頭だけの出席でしたから、またそれは改めてご報告したいと思います。ベトナムからは、ホーチミン市をはじめ、ベトナムへ来て一度、いろいろなビジネスの話もしたいということはうかがっておりますけれども、日程調整等がなかなかつかないということで、おそらく今年中は無理ではないかと今のところ思っております。しかし、機会を捉えて、ぜひ私も、現地でいろいろと指導にあたっている、あるいは研究にあたっている私どもの水道局の職員と現地の話を聞いてみたいというふうに思っております。はい。 記者
ありがとうございました。
記者
すいません。昨日の知事との意見交換会のことなんですけれども、ひとつ、ちょっと細かい点なんですけれども、特別支援学校の議論の中で、結局、結論がですね、ちょっと分かりにくいところもあったかなと思ったんですけども、結局、自治紛争処理委員とかにですね、申し立てを検討してるってことだったんですが、これについて昨日の議論の中で何か方針に変更があったのか、あるのかどうなのかということとですね、あと、全体振り返って、改めて冷静に昨日を振り返られてですね、改めてどういった認識をもたれたのかっていうことをお願いします。
市長
はい。特別支援学校については明らかに現在、府の設置義務があるということですので、昨日は今年度っていうふうに、私、間違って言っておりましたが、23年度の国家予算要望の中に府が市町村、一定規模の、以上の市町村にはこれをぜひ自分ところで建てると、あるいは管理するっていうものを盛り込んでおられました。ですから、その動きを一緒にやろうということは、ひとつの確認事項だと思います。で、一方、ややあやふやだったのは、じゅあ、これから制度が変わるまでの間はどうなんだというと、府のほうはその運動をしたらもう終わりだというふうに思ってらっしゃるかもしれませんが、これは明らかに、現在決められているとおりのことをしていただきたいという我々の思いは一緒ですから、それがなされないということになると、自治体間の紛争について言っていけることがあるということであれば、これは我々の法律担当者とも協議しながら考えるひとつの選択肢であろうと。ただ、本当に国に対してね、はっきりと、地方分権、今、大阪府では教育をめぐって北部の市町村ですか、市の連合ですね、北部の連合と、それから大阪府との教育委員会の移譲というものについても、なかなか最後の段階でうまく機能していない部分ありますから、やっぱり教育問題に関して地方分権はどうあるべきか、あるいは教育委員会という存在そのものがどうなのかといった議論に進むんだろうなという気がします。 全体の印象ですね。暑くて。会場が本当に暑くて疲れました。それと、どういうんですかね。既に自分で決めておられる結論に導くための尋問を繰り返される方に対して、懸命にその理由を問おうとしたものの、受け入れられなかった人間の気持ちというものが、なんとなく分かるかなという思いでいました。ただ、しっかりと読んでいただいたら、内容をしっかりと読んでいただいたら、私は誰のために今、懸命に大阪市政を動かそうとしているのかということがわかりますし、一方で知事のほうは、府というレベルをはるかに超えた議論をされているかと思えば、一方で非常に細かいところの議論もされているという。それが、冷静に振り返ればそういう感じかなあと思います。はい。 政策企画室長
すいません、特別支援学校のことで、ちょっと補足させていただきたいと思うんですけれども、昨日、一応、府市協力して国に対して法の改正を要望していくというのは、今、市長が申し上げました。法改正が行われるまではですね、府に設置義務がございますから、法改正までの間の支援学校整備に関しての府の補助金の請求につきましてはですね、行っていくということは再度ですね、昨日の場でも、記者会見の場で、確認しております。で、ちょっと状況を確認させましたところ、21年度では管理運営費に関しては、市費ベースで16億円を要求しておりますけれども、交付税では、知事は交付税で面倒見てるっておっしゃいましたけども、交付税では8億円しか歳入されておりません。残りは本市の持ち出しとなっておりますので、付け加えさせていただきます。
記者
昨日の共同会見の終わり際にですね、市長、来年の市長選についてですね、統一地方選の結果を見て判断されるとおっしゃられたんですが、具体的に、どういう結果が出ればこう、出馬を考えられていて、どういう結果なら出馬しないっていうふうなお考えなんでしょうか。
市長
それも含めて統一地方選挙後に考えるっていうふうに申し上げたつもりです。はい。知事があそこで何言われるかっていうのが、非常に興味深かったんですけどね。はい。
記者
私も昨日の件で、えーと、知事としては市長とのですね、違いを浮き彫りにしたいというふうな、ある意味それは狙い通りだったと思うんですけども、市長のほうはなんとか最後はですね、その逆で連携を模索したいという思いを最後まで言っておられましたけど、知事にはそれがまったく届いていないように私には見えたのですが、そこは、説得できなかったというか、思いが届かなかったというか、そこに関してはこう、どういうふうに受け止めてらっしゃるんでしょうか。
市長
ある意味残念ですね。せっかくあれだけの時間を使ったわけですから、もっと具体的に大阪市を良くするとか、あるいは関西圏を良くするとか、という話にいければいいなとは思いました。で、具体的にいろいろな問題っていうものをこれから、市から投げかけていきますんで、府に対して。で、それを解決していく姿勢というものがどう見えるかということで、市民の皆さんにも分かっていただけるでしょうし、大阪府としての役割は何なのかということも分かっていただけると思います。はい。
記者
昨日の議論、NHKさんのもう一回放送を見ながら振り返ってたんですけど、結局、あの議論をしたことでですね、大阪市とか大阪府がどう良くなるのかっていうのは、双方よく分からなかったようにも感じるんですが、昨日の議論の意味というかですね、その、したことで良かったなという部分があれば。それと、そのあまり不毛な議論だというような部分があったんだったら、その部分をちょっと教えていただければ。
市長
はじめから対立を際立たせるというか、対立点を明らかにさせるというのが、台湾からお帰りになった空港での知事の発言だったというふうに聞いております。ですから、そのとおりの筋書きで、おそらく、知事としては、思ってらっしゃると思いますけれども、要するに、府市協調であるとか、連携であるっていうのは、いろんな具体的なもので解決できる部分がいっぱいあると思いますんで、私としては、その大阪市長でいる間、ぜひその方向性を模索していきたいという思いは変わりませんし、職員同士の間で少しずつその、コミュニケーションがとれるという関係が、昔の本当に府市仲違いの状況と比べますと、水道協議をめぐって、なりませんでしたけども、その職員同士の顔というのは見える関係はできつつありますから。これはやらないと大阪のためにならないですし、それからやっぱり知事として府をどうされたいのかなっていう、具体的な部分が私には見えなかったです。いくらでも協調できる部分、あるんですよね。ベイエリアだってそうだし。だから、早くやっぱりそういう、前向きな部分を市民、府民の方にお示ししないと、よりいっそう不安に思われるだけであって、その不安に思われるっていう部分が、関西全体にとってプラスかマイナスかって考えたときに、私はマイナスにしかならないと思いますんで、なんとかそれがプラスに見ていただけるような努力を続けたい、そういう感じです。ありがとうございました。
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