障害者差別解消法の施行に伴う 本市における対応の手引き (令和4年9月改訂版) 〜 一人ひとりが障がい者差別の解消に向けた主体として 〜 大阪市福祉局 目 次 1.本手引き作成の趣旨 2.障害者差別解消法について 3.対応のポイント 4.障がい別による障がい特性について 5.障害者差別解消法に関するQ&A 6.障害者差別解消法 7.関連リンク集 ※ 障害の「がい」の字の表記について 本市では行政文書は原則としてひらがなで表記していますが、法律上の文言を引用する場合などは漢字で表記しています。 1.本手引き作成の趣旨  平成28年4月1日に「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(「障害者差別解消法」)が施行され6年がたちます。  この法律は、障がいを理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項や、国の行政機関、地方公共団体等、民間事業者にお  ける障がいを理由とする差別を解消するための措置などについて定めることによって、すべての国民が障がいの有無によって分  け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現につながることを目的としていますが、この  法律のことをどれぐらいご存知でしょうか。  差別はしてはいけないということは誰しもが思っていることで、差別なんてすることはないと思われている方もいるかもしれま  せん。  しかし、現実には理解が得られず、つらい思いをしたり、排除されたりする方がいます。よかれと思ってしたことが、差別にあ  たることもあります。  令和3年6月4日、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律」が公布され、公布の日から起算  して3年を超えない範囲内において政令で定める日から施行することとされました。  障がいを理由とする差別の解消の一層の推進を図るため、事業者に対し、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配  慮をすることを義務付けるとともに、行政機関相互間の連携の強化を図るほか、障がいを理由とする差別を解消するための支援  措置を強化することとなっています。    障がい者差別の解消に向けて、障がい福祉の担当のみならず、まず私たちひとりひとりすべての職員の正しい理解が必要です。  なぜなら、障がいを理由とする差別はあらゆる場面で起こる可能性がありますし、あらゆる手続きや行事等において、障がいの  ある人から合理的配慮の提供を求められる可能性があるからです。  「明日、窓口や電話で障がいのある人から合理的配慮の提供を求められたらどう対処すべきか」 「明日、障がいのある人から差別を受けたと相談されたらどう対応すべきか」  すべての職員が障がい者差別の解消について自分事として考えられるようなわかりやすい資料となるよう、本手引きの改訂を行  いました。  日々の業務を行う中で、「これは障がいによる差別にあたるのではないか」と気付けるアンテナを持てるように、差別をなくす  ために何かできることがあるのではないかという視点を持てるように、合理的配慮の提供があたりまえのものとなるように、ひ  とりひとりの考えが深まることを目指しています。   2.障害者差別解消法とは 障がいを理由とする差別の解消を推進し、全ての国民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊 重し合いながら共生する社会の実現をめざし、平成25年に成立に、平成28年4月に施行されました。 ◇令和3年6月に障害者差別解消法の改正法が公布され、事業者による合理的配慮の提供が努力義務から法的義務へと改められま  した。なお、公布の日から起算して3年を超えない範囲内において施行されることとなっています。 ◇また、大阪府では「大阪府障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例(大阪府障がい者差別解消条例)」を令和3年4月  に改正し、事業者による合理的配慮の提供を義務化しました。     ポイント    「不当な差別的取扱い」と「合理的配慮をしないこと」が障がいを理由とする差別にあたります。  そのため、行政機関や事業者は、不当な差別的取扱いをすることが禁止されており、また合理的配慮の提供を行うことが求めら  れています。   不当な差別的取扱いとは? 障がいを理由として、正当な理由なく、商品やサービス等の提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりすることで、権利利 益を侵害することは不当な差別的取扱いにあたります。 不当な差別的取扱いをすることにより、障がいのある人の権利利益を侵害することは、障がいを理由とする差別にあたります。 例えば・・・ ・「危ないのではないか」という理由のみで、具体的な検討をせずに断る。 ・保育園や幼稚園において、障がいのあるこどもだけを漠然とした危険があることを理由に園外保育への参加を断る。 ・バスの運転手が、障がいがあることを理由に、介助者の同乗を求める。 ・宅建業者が、障がいのある人に対し、障がいを理由として誓約書の提出を求める。 ・学校行事や授業への参加に、保護者の付き添いを条件とする。 ・正当な理由なく、店内で、身体障がい者補助犬の同伴や待機を拒否する。 (※ここに記載しているものはあくまで例示であり、これらに限定されたものではありません。差別に当たるかどうかは、個別の   事案ごとに判断する必要があります。) 正当な理由が存在する場合、つまりサービスの提供の拒否等が、客観的に見て正当な目的の下に行われたものであり、かつ、その 目的に照らして、当該取扱いがやむを得ないといえる場合は、不当な差別的取扱いに該当しません。 ≪正当な理由の判断に当たって≫ 正当な理由があるかどうかの判断にあたっては以下のポイントをふまえる必要があります。 *正当な理由は、相手方の主観的な判断に委ねられるのではなく、相手方の主張が客観的な事実によって裏付けられるもので、そ  れが第三者の立場から見ても当該取扱いがやむを得ないと納得を得られるような客観的なものでなければなりません。 *正当な理由について、具体的な検討をせずに拡大解釈することは、法の趣旨を損なうことになり、認められません。  このため、個別の事案ごとに、障がいのある人、事業者、第三者の権利利益や相手方の事務・事業の目的・内容・機能の維持等  の点から、総合的・客観的に判断する必要があります。 *正当な理由があると判断した場合には、相手方は障がいのある人にその正当な理由を具体的に説明すること、理解を得るように  努めることが求められます。 合理的配慮の提供とは? 障がいのある人から何らかの配慮を求める意思の表明があった場合に、負担になりすぎない範囲で、社会的障壁を取り除くために 必要で合理的な配慮(必要な変更および調整)を行うこと。 合理的配慮の不提供により、障がいのある人の権利利益を侵害することは、障がいを理由とする差別にあたります。 合理的配慮の提供の例 ◎要約筆記を用意する ◎介助スロープ板を渡し、乗降の介助を行う ◎筆談をする 合理的配慮の提供を求められた側に、「過重な負担」が生じる場合は、合理的配慮の不提供にはあたりません。 ≪過重な負担の判断に当たって≫ 過度な負担かどうかの判断については、以下のポイントをふまえる必要があります。 *過重な負担については、経済的・財政的なコストの他に業務遂行に及ぼす影響等を考慮する必要があります。  また、事業者の規模や配慮に当たって求められる専門性や技術水準、事業の本質的内容を変更するようなものでないかどうかも  考慮する必要があります。 *過重な負担について、具体的な検討をせずに過重な負担を拡大解釈することは、法の趣旨を損なうことになり、認められません。  このため、具体的場面や状況に応じて総合的・客観的に判断する必要があります。 *過重な負担は、事務・事業への影響の程度、実現可能性の程度、費用・負担の程度、事務・事業規模、財政・財務状況等の点か  ら、総合的・客観的に判断する必要があります。 環境の整備とは? 障害者差別解消法(第5条)では、行政機関及び事業者は、合理的配慮を的確に行うための環境の整備を行うよう努めることとし ています。 環境の整備とは、不特定多数の障がいのある人を対象として行われる事前的改善措置のこと バリアフリー化施策、情報の取得・利用・発信におけるアクセシビリティ向上のための施策、職員に対する研修等のことをさします。 例えば・・・ ・入口ドアに「耳マーク」を貼付し、「耳が不自由なお客様に配慮したコミュニケーションが行える」ことが入店前にわかるよう  にする。 ・聴覚障がいのある人が、受付の順番で呼ばれてもわからないため、順番がきたら振動してお知らせする機器を導入する。 ・ホームページ等にて、障がいのある人に向けた情報をわかりやすく掲載するとともに、音声読み上げや文字拡大機能をつける。 などが、環境の整備にあたります。 「合理的配慮」と「環境の整備」のちがい 合理的配慮・・・個別の場面において個々の障がいのある人の意思に応じて行われること 環境の整備・・・不特定多数の障がいのある人を対象に行われること 対象となる「障がい者」とは? 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む)その他の心身の機能の障がいのある人で、障がいや社会的障壁により 継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にある人のことを指します。   ◇障がい者手帳(身体障がい者手帳・療育手帳・精神保健福祉手帳)を持っていない人も含まれます。   社会的障壁とは? 障がいがあると、多くの人が当然にできていることができなかったり、勘違いをされたり、理解されずに困ったり、つらい思いを したりすることがあります。 これは、この社会には障がいのある人や高齢者、外国籍の人など様々な人がいるにも関わらず、そのことを考慮していない社会に なっているからです。 そのため障がいのある人にとっては、困りごとや不利益をもたらす「社会的障壁(バリア)」が生まれてしまいます。 具体的には・・・ 物理的バリア 階段や歩道の段差など、物理的なバリア 制度のバリア 障がいを理由に入学試験や資格試験、免許の取得を制限することによって生じるバリア 文化・情報のバリア 音声情報や文字情報など、必要不可欠な情報が提供されていないことで生じるバリア 観念(心)のバリア 障がいのある人への差別や偏見、障がいに対する理解がないことで生じるバリア これらのバリアは誰が解決していくのか? 医学モデル 「障がい」を個人の心身機能によるものとし、リハビリなどをして社会に適用できるように「障がいのある人本人が乗り越えなけ  ればならない」とする考え方。 社会モデル 「障がい」は社会が作り出しているものであり、「障がいを取り除いていくことは社会の責務である」とする考え方。 障害者差別解消法は「社会モデル」の考え方を取り入れています 例えば・・・ 階段しかないところでは、車いすでは上に上がれません。 スロープが設置されれば、車いすでも上がれます。    車いすを使用している人は、何も変わっていません。 周囲の環境が変わったことで障がいが解消されました。    社会モデルに基づくと、誰にでも障がいはあり得ると考えられます。    例えば・・・    高い壁の上には届きません。          脚立を持ってくれば届くようになります。       障がいのある人もない人も、周囲の環境次第で、できることとできないことがかわってきます。 社会モデルでは、程度の差があるだけで、障がいのある人もない人も同じ前提です。    社会モデルを理解することが合理的配慮や環境の整備を行ううえで大事なポイントです!    「事業者」とは? 商業その他の事業を行う者で、個人か法人・団体か、営利目的か非営利目的かを問わず、同種の行為を反復継続する意思をもって 行う者のことです。 ◇個人事業者、社会福祉法人や特定非営利活動法人といった非営利事業者も含み、さらにボランティア活動をするグループなども  入ります。 一般私人の行為等について 事業者でない一般私人の行為や個人の思想や言論については、法による規制にはなじまないと考えられ、障害者差別解消法の対象 とされていません。 しかし、障害者差別解消法においては、すべての人に障がいを理由とする差別をなくしていくことが求められており、個人の差別 的行為は、法の趣旨に反しているといえます。 障がいや障がいのある人に対する理解を一人ひとりが深めていくことが、障がいを理由とする差別をなくすことにつながります。 障がいのある人が、差別なく、社会に参加するためには、周囲の理解や協力が必要です。また、事業者も個人から構成され、個人 の考えが事業方針や対応に反映されるといえますので、すべての市民の理解を深めることが重要となります。 3.対応のポイント   (1)相談者が行政に対して合理的配慮を求めている場合    ◇まずは、寄り添う姿勢をもってその内容をよく聴いてください。  障がいの特性や困っている状況、求める内容は様々ですので、まずは、障がいのある人が求めている内容を聞いて、何ができる  のか、考えてください。 ◇求められている内容をすぐに対応することができない場合は、代替手段がないか検討してください。  対応が難しい場合でも、その理由を説明し、理解を得るように努めることが求められます。 ◇話し合い、何ができるのか考えてください。  それぞれが持っている情報(障がいの状態や提供できるサービス内容等)や意見を伝え、建設的な対話をすることが求められて  います。 ◇障がいのある人の求める内容が明らかな場合には、適切と思われる配慮を提案するなど自主的に対応することが望まれます。 初期対応が大切です!! コミュニケーションの不足や、傾聴しない姿勢が、障がいを理由とする差別につながることも考えられます。 障がいのある人に寄り添う姿勢を持つなど、特に初期対応を丁寧に行うことが求められます。 私たち公務員は、全体の奉仕者として公平性・中立性が強く求められていますが、すべての人に同じことを提供することでは、公 正でない場合があります。 障がいの状況、それぞれのできることできないことは個別に異なるので、それに合わせて提供するものも異なってきます。それが 合理的配慮です。 『合理的配慮を行うことで、すべての人が同じスタートラインに立てるように。』 その視点で考えると、おのずとすべきことが見えてくるのではないでしょうか。 (2)事業者から差別を受けた、と相談があった場合 相談内容が、「事業者から不当な差別的取扱いを受けた」または、「合理的配慮の提供がなされない」といったものである場合、 あるいは、「事業者として障がいのある人から合理的配慮の提供を求められたがどうしたらいいのかわからない」といったもので ある場合、各区役所や各区障がい者基幹相談支援センター、地域活動支援センター(生活支援型)、人権啓発・相談センターに障 がい者差別の相談窓口がありますので、つないでください。 差別の相談であることが明確でない場合も多くあることから、「差別」という単語が出てこないときであっても、寄り添う姿勢で 聴いていただき、「この内容はもしかして障がい者差別にあたるのではないか」と思われた際は相談窓口につなぐようにしてくだ さい。 相談窓口は、その後相談者側の聴き取り、事業者や関係者への聴き取りを行い、建設的対話による相互理解に向けて対応策を提案 します。 お困りのことがありましたら、いつでも福祉局障がい者施策部障がい福祉課(06-6208-8075)までお問合せください。 4.障がい別による障がい特性について 障がいのある人と接する際には、それぞれの障がい特性に応じた対応が求められます。 以下、代表的な障がい特性をまとめています。 ただし、障がいの程度や状況等は人それぞれですので、実際に対応する場合には、これらの特性を念頭に置きつつ、柔軟な対応を 心がけてください。 視覚障がい 先天性の場合もあるが、糖尿病性網膜症で受障される人も多い。  ・視力障がい:視覚的な情報を全く得られない、またはほとんど得られない人と、文字の拡大や視覚補助具等を使用して保有す   る視力を活用できる人に大きく分けられる。(全盲、弱視といわれることもある)   *視力をほとんど活用できない人の場合、聴覚、触覚、嗅覚など、視覚以外の情報を手掛かりに周囲の状況を把握している。   *文字の読み取りは、点字や、画面上の文字情報を読み上げるソフトを用いてパソコンで行うこともある(点字の読み書きが    できる人ばかりではない)。   *視力をある程度活用できる人の場合は、補助具を使用したり、文字を拡大したり、近づいて見るなどの様々な工夫をして情    報を得ている。  ・視野障がい:目を動かさないで見ることのできる範囲が狭くなる。  ・色覚障がい:色を感じる眼の機能が障がいによりわかりづらくなる状態(色が全然わからないというよりは、一定の色がわか   りづらい人が多い。  ・光覚障がい:光を感じ、その強さを区別する機能が、障がいにより調整できなくなる状態。暗順応(明→暗で目が慣れてくる   こと)や、明順応(暗→明で目が慣れてくること)がうまくできない。 聴覚・言語障がい ・先天性の聴覚障がいの場合は、手話でコミュニケーションをとる人も多い。 ・難聴者は補聴器や人工内耳で聴覚を補完する。 ・人工内耳を装用している場合、スピーカーを通じる等、残響や反響のある音は、聞き取りにあまり効果が得られにくい。 ・聴覚障がいは外見上わかりにくい障がいであり、その人が抱えている困難も他の人からは気づかれにくい側面がある。 ・聴覚障がい者のコミュニケーション方法には手話、筆談、口話など様々な方法があるが、どれか1つで十分ということではなく、  多くの聴覚障がい者は話す相手や場面によって複数の手段を組み合わせるなど使い分けている。 ・聴覚の活用による言葉の習得に課題があることにより、聴覚障がい者の国語力は様々であるため、筆談の場合は、相手の状況に  あわせる。 視覚と聴覚の重複障がい(盲ろう) ・視覚と聴覚の重複障がいの人を「盲ろう者」と呼んでいるが、障がいの状態や程度によって様々なタイプに分けられる。 <見え方と聴こえ方の組み合わせによるもの> @全く見えず聴こえない状態の「全盲ろう」 A見えにくく聴こえない状態の「弱視ろう」 B全く見えず聴こえにくい状態の「盲難聴」 C見えにくく聴こえにくい状態の「弱視難聴」 <障がいの発症経緯によるもの> @盲(視覚障がい)から聴覚障がいを伴った「盲ベース盲ろう」 Aろう(聴覚障がい)から視覚障がいを伴った「ろうベース盲ろう」 B先天的、あるいは乳幼児期に視覚と聴覚の障がいを発症する「先天性盲ろう」 C学齢期以後に視覚と聴覚の障がいが発症する「後天性盲ろう」 ・盲ろう者がそれぞれ使用するコミュニケーション手段は、障がいの状態や程度、盲ろうになるまでの経緯、あるいは生育歴、他  の障がいとの重複の仕方によって異なり、通訳や介助方法も異なる。 ・テレビやラジオを楽しんだり、点字を修得していなければ本や雑誌を読むことなどもできず、家族といてもほとんど会話がない  ため、孤独な生活を強いられることが多い。 肢体不自由(車椅子使用) ・脊髄損傷(対麻痺又は四肢麻痺、排泄障がい、知覚障がい、体温調節障がいなど) ・脳性麻痺(不随意運動、手足の緊張、知的障がい重複の場合もある) ・脳血管障がい(片麻痺、運動失調) ・病気等による筋力低下や関節損傷などで歩行が困難な場合もある。 ・ベッドへの移乗、着替え、洗面、トイレ、入浴など、日常の様々な場面で援助が必要な人の割合が高い。 ・車椅子使用者にとっては、段差や坂道が移動の大きな妨げになる。 ・重度であれば電動車椅子を使用する場合もある。 肢体不自由(車椅子使用以外) ・脳血管障がい(歩行可能な片麻痺、運動失調) ・麻痺の程度が軽いため、杖や装具歩行が可能な場合や、切断者などで義足を使用して歩行可能な場合は、日常生活動作は自立し  ている人が多い。 ・失語症や高次脳機能障がいがある場合もある。 ・長距離の歩行が困難であったり、階段、段差、エスカレーターや人ごみでの移動が困難な場合もあり、配慮が必要。 失語症 ・聞くことの障がい  音は聞こえるが「ことば」の理解に障がいがあり「話」の内容がわからない。  単語や簡単な文ならわかる人でも早口や長い話になるとわからなくなる。 ・話すことの障がい  伝えたいことをうまく言葉や文章にできない。  発話がぎこちない、いいよどみが多くなったり、誤った言葉で話したりする。 ・読むことの障がい  文字を読んでも理解が難しい。 ・書くことの障がい  書き間違いが多い、また「てにをは」などをうまく使えない。文を書くことが難しい。 高次脳機能障がい ・交通事故や脳血管障がいなどの病気により、脳にダメージを受けることで生じる認知や行動に生じる障がい。身体的には障がい  が残らないことも多く、外見ではわかりにくいため「見えない障がい」ともいわれている。  以下の症状が現れる場合がある。 ・記憶障がい:すぐに忘れてしまったり、新しい出来事を覚えることが苦手なため、何度も同じことを繰り返したり質問したりす  る。 ・注意障がい:集中力が続かなかったり、ぼんやりしていてしまい、何かをするとミスが多く見られる。2つのことを同時にしよ  うとすると混乱する。主に左側で、食べ物を残したり、障害物に気が付かないことがある。 ・遂行機能障がい:自分で計画を立てて物事を実行したり、効率よく順序立てられない。 ・社会的行動障がい:ささいなことでイライラしてしまい、興奮しやすい。こだわりが強く表れたり、欲しいものを我慢できない。  思いどおりにならないと大声を出したり、時に暴力をふるったりする。 ・病識欠如:上記のような症状があることに気づかず、できるつもりで行動してトラブルになる。 ・失語症(失語症の項を参照)を伴う場合がある。 ・片麻痺や運動失調等の運動障がいや眼や耳の損傷による感覚障がいがある場合がある。 内部障がい ・心臓機能、呼吸器機能、腎臓機能、膀胱・直腸機能、小腸機能、肝機能、HIV による免疫機能のいずれかの障がいにより日常生  活に支障がある。 ・疲れやすく長時間の立位や作業が困難な場合がある。 難病 ・神経筋疾病、骨間接疾病、感覚器疾病など様々な疾病によりさまざまな障がいを生じる ・常に医療的対応を必要とすることが多い。 ・病態や障がいが進行する場合が多い。 知的障がい ・出生時からの、またはおおむね18歳頃までの発達期に生じた脳の障がいが原因 ・「考えたり、理解したり、読んだり、書いたり、計算したり、話したり」する等の脳の知的な機能に発達の遅れが生じる。 ・金銭管理、会話、買い物、家事などの社会生活への適応に困難を抱えるなどの課題がある。 ・主な原因として、ダウン症候群などの染色体異常、または先天性代謝異常によるものや、脳症や外傷性脳損傷などの脳の疾患が  あるが、原因が特定できない場合もある。 ・てんかんを合併する場合もある。 ダウン症 ・染色体の突然変異によって起こり、通常、21 番目の染色体が1 本多くなっていることから「21 トリソミー」とも呼ばれる。 ・特性として、筋肉の低緊張、多くの場合、知的な発達の遅れがある。 ・心臓に疾患を伴う場合がある。 自閉症スペクトラム ・対人関係の苦手さ(場の雰囲気で相手の気持ちを理解するのが苦手) ・コミュニケーションの苦手さ(一方的に話し続けるなど、コミュニケーションのやり取りが苦手) ・限定した興味、こだわり、想像力の障がい(こだわりが強い、パターン化傾向、イメージを広げることが苦手) 学習障がい ・「読む」「書く」「計算する」の能力が、全体的な知的発達に比べて極端に苦手 注意欠陥多動性障がい ・注意力を維持することの苦手さ(うっかりして同じ間違いを繰り返す、すぐ飽きる、じっくり腰を落ち着けて取り組む場面を避  ける、先延ばしする) ・多動性(じっとしていられない、おしゃべりが止まらない) ・衝動性(辛抱できない、約束や決まり事を守れない) 精神障がい ・精神疾患の発病により、長期にわたり、日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態が続く。 ・精神障がいの原因となる精神疾患は様々であり、原因となる精神疾患によって、その障がい特性や制限の度合いは異なる。 ・代表的な精神疾患として、統合失調症や躁うつ病(気分障がい)等がある。 ・障がいの特性も様々であるため、積極的に医療機関と連携を図ったり、専門家の意見を聴くなど関係機関と協力しながら対応す  る。 統合失調症 ・発症の原因はよくわかっていないが100人に1人弱がかかる極めて一般的な病気 ・「幻覚」や「妄想」が特徴的な症状だが、その他にも様々な生活のしづらさが障がいとして現れる。 ・陽性症状  幻覚:幻聴が主で、人の話し声が聞こえたりする。  妄想:明らかにあり得ない内容を確信してしまい、周りが訂正しようとしても受け入れられない。 ・陰性症状  打ち込んできた趣味、楽しみにしていたことに興味を示さなくなる。  人づきあいを避けて、引きこもるようになる。  身なりにまったく構わなくなり、入浴もしなくなる。など ・認知や行動の障がい:考えにまとまりがなく、何が言いたいのかわからない。相手の話の内容がつかめない。など ・感情の障がい:感情の動きが少なくなる。他人の感情や表情についての理解が苦手になる。その場にふさわしい感情表現ができ  なくなる。など 躁うつ病(気分障がい) ・気持ちが落ち込んだり(うつ状態)、活発(躁状態)になったりを繰り返す。 ・やる気が出ない、疲れやすい、死にたくなるなどの症状がでる。(うつ状態) ・ほとんど寝ずに働き続けたり、しゃべり続けたりする。(躁状態) 依存症(アルコール) ・飲酒のコントロールができない。 ・自己中心的になったり、嘘をついたり、否定的になったりする。 ・暴言や暴力、徘徊、妄想をともなう場合もある。 てんかん ・突然意識を失って反応がなくなるなどの発作がおきる。 ・発作の間は意識がなくなり、周囲の状況がわからない状態になる。 認知症 ・認知症は、単一の病名ではなく、種々の原因となる疾患により認知機能が低下し、生活に支障が出ている状態 ・原因となる主な疾患として、アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症(ピック病など)  がある。 ・認知機能の障がいの他に行動・心理症状(BPSD)と呼ばれる症状(不穏、興奮、幻覚、妄想など)がある。 《障害者差別解消法に関するQ&A》 Q1.障害者差別解消法を制定する趣旨は? A.  障がい者施策に関しては、平成18年に国連において障害者の権利に関する条約が採択されるなど、近年、障がい者の権利保護に向  けた取組が国際的に進展してきたところである。  本法は、差別の禁止に関するより具体的な規定を示し、それが遵守されるための具体的な措置等を定めることにより、この基本原  則を具体化する法律として位置付けられるものであり、全ての国民が、障がいの有無によって分け隔てられることなく、相互に人  格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障がいを理由とする差別の解消を推進することを目的とするものである。 Q2.障害者差別解消法と障害者基本法の関係は? A.  障害者基本法では、「全ての国民が、障がいの有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重さ  れるものである」という理念の下、基本原則の一つとして「差別の禁止」を掲げるとともに、医療、教育、雇用、公共交通などの  分野について、障がい者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めている。  その上で、本法は、障害者基本法第4条に規定された「差別の禁止」の基本原則を具体化し、同法に規定する施策の分野も含む広範  な分野を対象として、差別の禁止に関するより具体的な規定を示し、それが遵守されるような具体的な措置等を定めるものである。 Q3.本法の名称について、「差別の禁止」ではなく「差別の解消」としている理由は? A.  本法においては、行政機関や事業者等における障がいを理由とする差別を禁止するとともに、それを社会において実効的に推進す  るための基本方針や指針の策定等の措置や、相談・紛争解決の体制整備等の国や地方公共団体における支援措置についても定めて  おり、これらを通じて差別のない社会を目指すものとして、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」としている。 Q4.障がい者の親が子どもの障害を理由として不当な差別的取扱いを受けた場合などは、本法の対象になるのか? A.  本法は、あくまで障がい者本人を対象とするものであるが、例えば、障がい児を持つ親が、当該障がい児の付き添いとして当該障  がい児とともに施設を利用しようとしたときに、当該障がい児の障がいを理由として障がい児同伴での施設の利用について不当な  差別的な取扱いを受けた場合などは、対象となりうるものと考える。 Q5.「事業者 商業その他の事業を行う者」の範囲は? A.  個人か団体か、営利目的や非営利目的かを問わず、同種の行為を反復継続して行う者であって、国、第二条第四号に規定する独立  行政法人等、地方公共団体及び第二条第五号に規定する地方独立行政法人等を除いたものを指す。  対価を得ない無報酬の事業や社会福祉法人や特定非営利活動法人の行う非営利事業も含まれる。 Q6.本法で「障がいを理由とする差別」の定義規定を置かない理由は? A.  個別の事案において特定の行為が差別に該当するか否かは、それぞれの事案に応じて個別具体的に判断されるものであり、本法で  は、「障がいを理由とする差別」についてあらかじめ一律に定めることはしていない。 Q7.障がい者からの「意思の表明」があった場合に限定している理由は?   意思の表明がない場合には、「必要かつ合理的な配慮」を行う必要はないのか。 A.  「意思の表明があった場合において」としているのは、「合理的配慮」とは社会的障壁の除去を必要としている障がい者が現に存  在する場合における個別の対応として求められるものであり、配慮を求められる相手方から見て、当該者が障がい者なのか、配慮  を必要としているか否かがわからない場合についてまで、具体的に配慮を義務付けることが困難なためである。  なお、障がい者からの意思の表明がない場合にも、法的な義務は発生しないものの、行政機関等や事業者が自主的に適切な配慮を  行うことは、本法の趣旨に照らし望ましいことと考えている。 Q8.「意思の表明」については、障がい者本人からの意思の表明に限られるのか。「意思の表明」ができない障がい者については、   「必要かつ合理的な配慮」はできないことになるのか。 A.  知的障がい等により、本人が自ら意思を表明することが困難な場合には、その家族等が本人を補佐して意思の表明をする場合も、  解釈上含み得るものと考えている。   Q9.「家族等」とは具体的に誰なのか。 A.  障がい者の家族等としては、たとえば障がい者の家族、支援者等、コミュニケーションを補佐できる者が該当する。 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法) 第一章 総則 (目的)  第一条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない  者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有すること  を踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解  消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け  隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。 (定義)  第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。  一 障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)があ        る者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをい        う。  二 社会的障壁 障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念    その他一切のものをいう。  三 行政機関等 国の行政機関、独立行政法人等、地方公共団体(地方公営企業法(昭和二十七年法律第二百九十二号)第三章の    規定の適用を受ける地方公共団体の経営する企業を除く。第七号、第十条及び附則第四条第一項において同じ。)及び地方独    立行政法人をいう。  四 国の行政機関 次に掲げる機関をいう。  イ 法律の規定に基づき内閣に置かれる機関(内閣府を除く。)及び内閣の所轄の下に置かれる機関  ロ 内閣府、宮内庁並びに内閣府設置法(平成十一年法律第八十九号)第四十九条第一項及び第二項に規定する機関(これらの機    関のうちニの政令で定める機関が置かれる機関にあっては、当該政令で定める機関を除く。)  ハ 国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項に規定する機関(ホの政令で定める機関が置かれる機関にあっ    ては、当該政令で定める機関を除く。)  ニ 内閣府設置法第三十九条及び第五十五条並びに宮内庁法(昭和二十二年法律第七十号)第十六条第二項の機関並びに内閣府設    置法第四十条及び第五十六条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)の特別の機関で、政令で定めるもの  ホ 国家行政組織法第八条の二の施設等機関及び同法第八条の三の特別の機関で、政令で定めるもの  ヘ 会計検査院  五 独立行政法人等 次に掲げる法人をいう。  イ 独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。ロにおいて同    じ。)  ロ 法律により直接に設立された法人、特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人(独立行政法人を除く。)又は    特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち、政令で定めるもの  六 地方独立行政法人 地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人(同法第二    十一条第三号に掲げる業務を行うものを除く。)をいう。  七 事業者 商業その他の事業を行う者(国、独立行政法人等、地方公共団体及び地方独立行政法人を除く。)をいう。 (国及び地方公共団体の責務)  第三条 国及び地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、      及びこれを実施しなければならない。 (国民の責務)  第四条 国民は、第一条に規定する社会を実現する上で障害を理由とする差別の解消が重要であることに鑑み、障害を理由とする      差別の解消の推進に寄与するよう努めなければならない。 (社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮に関する環境の整備)  第五条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施      設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。 第二章 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針  第六条 政府は、障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策を総合的かつ一体的に実施するため、障害を理由とする差別の      解消の推進に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。  2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。  一 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向  二 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項  三 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項  四 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項  3 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。  4 内閣総理大臣は、基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の意見を反映させるために必    要な措置を講ずるとともに、障害者政策委員会の意見を聴かなければならない。  5 内閣総理大臣は、第三項の規定による閣議の決定があったときは、遅滞なく、基本方針を公表しなければならない。  6 前三項の規定は、基本方針の変更について準用する。 第三章 行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置 (行政機関等における障害を理由とする差別の禁止)  第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることに      より、障害者の権利利益を侵害してはならない。  2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があっ    た場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の    性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 (事業者における障害を理由とする差別の禁止)  第八条 事業者は、その事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者      の権利利益を侵害してはならない。  2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合におい    て、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及    び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。 (国等職員対応要領)  第九条 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、基本方針に即して、第七条に規定する事項に関し、当該国の行政機関及び独立      行政法人等の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第三条において「国等職員対応要領」という。)      を定めるものとする。  2 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者その他の関係者の    意見を反映させるために必要な措置を講じなければならない。  3 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、国等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。  4 前二項の規定は、国等職員対応要領の変更について準用する。 (地方公共団体等職員対応要領)  第十条 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、基本方針に即して、第七条に規定する事項に関し、当該地方公共団体の機      関及び地方独立行政法人の職員が適切に対応するために必要な要領(以下この条及び附則第四条において「地方公共団体      等職員対応要領」という。)を定めるよう努めるものとする。  2 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めようとするときは、あらかじめ、障害者そ    の他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。  3 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、地方公共団体等職員対応要領を定めたときは、遅滞なく、これを公表するよう    努めなければならない。  4 国は、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人による地方公共団体等職員対応要領の作成に協力しなければならない。  5 前三項の規定は、地方公共団体等職員対応要領の変更について準用する。 (事業者のための対応指針)  第十一条 主務大臣は、基本方針に即して、第八条に規定する事項に関し、事業者が適切に対応するために必要な指針(以下「対       応指針」という。)を定めるものとする。  2 第九条第二項から第四項までの規定は、対応指針について準用する。 (報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)  第十二条 主務大臣は、第八条の規定の施行に関し、特に必要があると認めるときは、対応指針に定める事項について、当該事業       者に対し、報告を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。       (事業主による措置に関する特例)  第十三条 行政機関等及び事業者が事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別を解消するための措置につい       ては、障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)の定めるところによる。 第四章 障害を理由とする差別を解消するための支援措置 (相談及び紛争の防止等のための体制の整備)  第十四条 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由とする差別に関する相談に的確に応ずる       とともに、障害を理由とする差別に関する紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものと       する。 (啓発活動)  第十五条 国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消について国民の関心と理解を深めるとともに、特に、障害を理由       とする差別の解消を妨げている諸要因の解消を図るため、必要な啓発活動を行うものとする。 (情報の収集、整理及び提供)  第十六条 国は、障害を理由とする差別を解消するための取組に資するよう、国内外における障害を理由とする差別及びその解消       のための取組に関する情報の収集、整理及び提供を行うものとする。 (障害者差別解消支援地域協議会)  第十七条 国及び地方公共団体の機関であって、医療、介護、教育その他の障害者の自立と社会参加に関連する分野の事務に従事       するもの(以下この項及び次条第二項において「関係機関」という。)は、当該地方公共団体の区域において関係機関       が行う障害を理由とする差別に関する相談及び当該相談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための       取組を効果的かつ円滑に行うため、関係機関により構成される障害者差別解消支援地域協議会(以下「協議会」という。)       を組織することができる。  2 前項の規定により協議会を組織する国及び地方公共団体の機関は、必要があると認めるときは、協議会に次に掲げる者を構成    員として加えることができる。  一 特定非営利活動促進法(平成十年法律第七号)第二条第二項に規定する特定非営利活動法人その他の団体  二 学識経験者  三 その他当該国及び地方公共団体の機関が必要と認める者 (協議会の事務等)  第十八条 協議会は、前条第一項の目的を達するため、必要な情報を交換するとともに、障害者からの相談及び当該相談に係る事       例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組に関する協議を行うものとする。  2 関係機関及び前条第二項の構成員(次項において「構成機関等」という。)は、前項の協議の結果に基づき、当該相談に係る    事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組を行うものとする。  3 協議会は、第一項に規定する情報の交換及び協議を行うため必要があると認めるとき、又は構成機関等が行う相談及び当該相    談に係る事例を踏まえた障害を理由とする差別を解消するための取組に関し他の構成機関等から要請があった場合において必    要があると認めるときは、構成機関等に対し、相談を行った障害者及び差別に係る事案に関する情報の提供、意見の表明その    他の必要な協力を求めることができる。  4 協議会の庶務は、協議会を構成する地方公共団体において処理する。  5 協議会が組織されたときは、当該地方公共団体は、内閣府令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。 (秘密保持義務)  第十九条 協議会の事務に従事する者又は協議会の事務に従事していた者は、正当な理由なく、協議会の事務に関して知り得た秘       密を漏らしてはならない。 (協議会の定める事項)  第二十条 前三条に定めるもののほか、協議会の組織及び運営に関し必要な事項は、協議会が定める。 第五章 雑則 (主務大臣)  第二十一条 この法律における主務大臣は、対応指針の対象となる事業者の事業を所管する大臣又は国家公安委員会とする。 (地方公共団体が処理する事務)  第二十二条 第十二条に規定する主務大臣の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、地方公共団体の長その他の執行機        関が行うこととすることができる。 (権限の委任)  第二十三条 この法律の規定により主務大臣の権限に属する事項は、政令で定めるところにより、その所属の職員に委任すること        ができる。 (政令への委任)  第二十四条 この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、政令で定める。 第六章 罰則  第二十五条 第十九条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。  第二十六条 第十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の過料に処する。 附 則 抄 (施行期日)  第一条 この法律は、平成二十八年四月一日から施行する。ただし、次条から附則第六条までの規定は、公布の日から施行する。 (基本方針に関する経過措置)  第二条 政府は、この法律の施行前においても、第六条の規定の例により、基本方針を定めることができる。この場合において、      内閣総理大臣は、この法律の施行前においても、同条の規定の例により、これを公表することができる。  2 前項の規定により定められた基本方針は、この法律の施行の日において第六条の規定により定められたものとみなす。 (国等職員対応要領に関する経過措置)  第三条 国の行政機関の長及び独立行政法人等は、この法律の施行前においても、第九条の規定の例により、国等職員対応要領      を定め、これを公表することができる。  2 前項の規定により定められた国等職員対応要領は、この法律の施行の日において第九条の規定により定められたものとみな    す。 (地方公共団体等職員対応要領に関する経過措置)  第四条 地方公共団体の機関及び地方独立行政法人は、この法律の施行前においても、第十条の規定の例により、地方公共団体      等職員対応要領を定め、これを公表することができる。  2 前項の規定により定められた地方公共団体等職員対応要領は、この法律の施行の日において第十条の規定により定められた    ものとみなす。 (対応指針に関する経過措置)  第五条 主務大臣は、この法律の施行前においても、第十一条の規定の例により、対応指針を定め、これを公表することができ      る。  2 前項の規定により定められた対応指針は、この法律の施行の日において第十一条の規定により定められたものとみなす。 (政令への委任)  第六条 この附則に規定するもののほか、この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。 (検討)  第七条 政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、第八条第二項に規定する社会的障壁の除去の実施についての      必要かつ合理的な配慮の在り方その他この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結      果に応じて所要の見直しを行うものとする。 関連リンク集 ・ 内閣府-共生社会政策「障害者施策」 http://www8.cao.go.jp/shougai/index.html ・ 「障害者の権利に関する条約」 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html ・ 「障害者基本法」 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kihonhou/s45-84.html ・ 内閣府「障害を理由とする差別の解消の推進」 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai.html ・ 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(本文) http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html ・ 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/kihonhoushin/honbun.html ・ 関係府省庁における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/taioyoryo.html ・ 関係府省庁所管事業分野における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応指針 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/taioshishin.html ・ 障害者差別解消法リーフレット http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_leaflet.html ・ 障害者差別解消法リーフレット(わかりやすい版) http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai_wakariyasui.html ・ 合理的配慮等具体例データ集(合理的配慮サーチ) http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/index.html ・ 内閣府「合理的配慮の提供等事例集」 http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jirei/example.html ・ 障害者差別解消法福祉事業者向けガイドライン 福祉分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針(平成27 年11 月厚生労働大臣) http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sabetsu_kaisho/dl/fukushi_guideline.pdf ・ 医療関係事業者向けガイドライン 医療分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針(平成28 年1 月厚生労働大臣) http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sabetsu_kaisho/dl/iryou_guideline.pdf ・ 衛生事業者向けガイドライン 衛生分野における事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する対応指針(平成27 年11 月厚生労働大臣) http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/sabetsu_kaisho/dl/eisei_guideline.pdf ・ 公共サービス窓口における配慮マニュアル http://www8.cao.go.jp/shougai/manual.html ・ 平成28 年4 月(一部公布日又は平成30 年4 月)より、改正障害者雇用促進法が施行されました。(厚生労働省) http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shougaisha_h25/index.html ・ 大阪府「障がいを理由とする差別の解消に向けて」(「大阪府障害を理由とする差別の解消の推進に関する条例」をはじめ、   大阪府の取組内容が掲載されています。) http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/syougai-plan/sabekai-kaisai.html ・ 日本弁護士連合会「自治体担当者向け障害者差別解消相談対応マニュアル」 https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/activity/data/handicapped_person_manual.pdf ・ 大阪ふれあいキャンペーン(障がい者団体、地域福祉団体、府・市町村等が一体となり、協賛企業・団体等の協力も得ながら、 障がい者理解のための啓発事業を展開しています) http://www.pref.osaka.lg.jp/keikakusuishin/syougai-info/fureai.html 障害者差別解消法の施行に伴う本市における対応の手引き (令和4年9月改訂版) 〜一人ひとりが障がい者差別の解消に向けた主体として〜 令和4年9月 大阪市福祉局障がい者施策部障がい福祉課 〒530−8201大阪市北区中之島1−3−20 電話(06)6208−8075