障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律の概要 (令和3年法律第56号) 経緯   障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号。以下「障害者差  別解消法」という。)附則第7条においては、施行(平成28年4月)後3年を経過した場合  に事業者による合理的配慮の在り方その他の施行状況について所要の見直しを行う旨規定さ  れている。  このため、障害者施策委員会において議論が行われ、令和2年6月に意見書が取りまとめら  れている。  この意見書等を踏まえ、以下の措置を講ずる。 概要   障害を理由とする差別の解消の一層の推進を図るため、事業者に対し社会的障壁の除去の  実施について必要かつ合理的な配慮をすることを義務付けるとともに、行政機関相互間の連  携の強化を図るほか、障害を理由とする差別を解消するための支援措置を強化する措置を講  ずる。 1.国及び地方公共団体の連携協力の責務の追加    国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策の効率   的かつ効果的な実施が促進されるよう、適切な役割分担を行うとともに、相互に連携を図   りながら協力しなければならないものとする。 2.事業者による社会的障壁の除去の実施に係る必要かつ合理的な配慮の提供の義務化    事業者による社会的障壁(障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁   となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの)の除去の実施に係   る必要かつ合理的な配慮の提供について、現行の努力義務から義務へと改める。 3.障害を理由とする差別を解消するための支援措置の強化   (1)基本方針に定める事項として、障害を理由とする差別を解消するための支援措置の     実施に関する基本的な事項を追加する。   (2)国及び地方公共団体が障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情     報(事例等)の収集、整理及び提供に努めるものとする。   (3)地方公共団体は、障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報(     事例等)の収集、整理及び提供に努めるものとする。 ※施行期日   公布の日(令和3年6月4日)から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める   日 参考   障害者差別解消法では、行政機関等と事業者は、事務・事業を行うに当たり、障害者から  何らかの配慮を求められた場合には、過重な負担がない範囲で、社会的障壁を取り除くため  に必要かつ合理的な配慮(合理的配慮)を行うことを求めている。  (※障害者差別解消法(改正法施行前)では、行政機関等は義務、事業者は努力義務とされ   ている。)  例えば   段差がある場合にスロープなどで補助する   意思を伝え合うために絵や写真のカードやタブレット端末などを使う  注:「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針」(平成27年2月24日閣議決定)     に基づき作成 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律 新旧対照条文 〇障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)(抄) 改正法  (国及び地方公共団体の責務)  第三条(略) 2 国及び地方公共団体は、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策の効率的   かつ効果的な実施が促進されるよう、適切な役割分担を行うとともに、相互に連携を図り   ながら協力しなければならない。  第六条(略) 2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。  一 障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な方向  二 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事    項  三 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項  四 国及び地方公共団体による障害を理由とする差別を解消するための支援措置の実施に関    する基本的な事項  五 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 3〜6(略) (事業者における障害を理由とする差別の禁止)  第八条(略) 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている   旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者   の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応   じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。 (相談及び紛争の防止等のための体制の整備)  第十四条 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由と       する差別に関する相談に適格に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する       紛争の防止又は解決を図ることができるよう人材の育成及び確保のための措置そ       の他の必要な体制の整備を図るものとする。 (情報の収集、整理及び提供)  第十六条(略) 2 地方公共団体は、障害を理由とする差別を解消するための取組に資するよう、地域におけ   る障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報の収集、整理及び提供を   行うよう努めるものとする。 現行 (国及び地方公共団体の責務)  第三条(略)   (新設)  第六条(略) 2 基本方針は、次に掲げる事項について定めるものとする。  一 障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向  二 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事    項  三 事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項  (新設)  四 その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項 3〜6(略) (事業者における障害を理由とする差別の禁止)  第八条(略) 2 事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている   旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者   の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応   じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければ   ならない。 (相談及び紛争の防止等のための体制の整備)  第十四条 国及び地方公共団体は、障害者及びその家族その他の関係者からの障害を理由と       する差別に関する相談に適格に応ずるとともに、障害を理由とする差別に関する       紛争の防止又は解決を図ることができるよう必要な体制の整備を図るものとする。 (情報の収集、整理及び提供)  第十六条(略)   (新設) 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の一部を改正する法律 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)の一部を次のように 改正する。 第三条に次の一項を加える。 2 国及び地方公共団体は、障害を井雄とする差別の解消の推進に関して必要な施策の効率的   かつ効果的な実施が促進されるよう、適切な役割分担を行うとともに、相互に連携を図り   ながら協力しなければならない。 第六条第二項中第四号を第五号とし、第三号の次に次の一号を加える。 四 国及び地方公共団体による障害を理由とする差別を解消するための支援措置の実施に関す   る基本的な事項 第八条第二項中「するように努めなければ」を「しなければ」に改める。 第十四条中「できるよう」の下に「人材の育成及び確保のための措置その他の」を加える。 第十六条に次の一項を加える。 2 地方公共団体は、障害を理由とする差別を解消するための取組に資するよう、地域におけ   る障害を理由とする差別及びその解消のための取組に関する情報の収集、整理及び提供を   行うよう努めるものとする。 附則   この法律は、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。