障がいのある子どもといっしょに ~子どもや保護者との建設的な対話を進めましょう~  令和3年6月に改正障害者差別解消法が公布され、事業者による「合理的配慮の提供」が 義務化されることとなりました。令和6年4月1日に施行されることとなっていますが、 大阪府においては、大阪府障がい者差別解消条例が令和3年4月に改正されており、府内 事業者による「合理的配慮の提供」が既に義務化されています。  府内の幼稚園や保育園、認定こども園も事業所の一つにあたり、障がいのある子どもに対 して、「不当な差別的取り扱い」をしてはいけません。負担が重くなりすぎない範囲で、その 子どもにとって適切な「合理的配慮の提供」を考え、実施すると必要があります。 ◆”インクルーシブ保育・教育はインクルーシブ社会の礎” 大阪府内の保育園でのできごとを紹介します。 全盲の女の子を受け入れた保育園で、「しっぽ鬼」をする機会がありました。 保育士は「保育士が手をつないでいっしょに走れば楽しめるのでは」と考えました。 するととある園児が「音ならわかるんじゃない?」として、 しっぽに鈴をつけるアイデアを提案しました。 本人と話し合い、実際にやってみると、彼女はひとりで多くのお友達を捕まえることができました。 これは、大人より柔軟な発想で、子どものほうから「どうすれば一緒に遊べるか」、ごく自然に 考えることができた事例です。「合理的配慮」とは何も難しいことではありません。ちょっと した工夫や発想の転換によって、障がいのある子どもも一緒に楽しむことができます。 ※このエピソードは、NHK厚生文化事業団の「第57回NHK障害福祉賞入賞作品集」から一部を引用しています。 幼稚園や保育園、認定こども園などに入園する障がいのある子どもとその保護者は、 はじめて外の世界に出ていくことになる方も多く、様々な不安を抱えています。 ・友達ができるだろうか ・障がいを理由にいじめられたりしないだろうか ・園での生活についていけるだろうか ・運動会や遠足などの行事に参加できるだろうか ・そもそも、園に受け入れてもらえるだろうか… もちろん、受け入れる側にも不安はあります。。 ・どのような障がいなのか、うちの園でうまく対応できるだろうか ・周りの子どもは受け入れてくれるだろうか、いじめられたりしないだろうか ・どのような配慮をすればいいのか、ケガをさせてしまわないか… これらの「漠然とした不安」から受け入れを拒否したり、退園を求めたりすることは、 障がいを理由とした「不当な差別的取扱い」にあたります。 お互いの不安を解消する(適切な合理的配慮を考える)ためには、 お互いを知ること(建設的な対話)が最も必要です。 建設的な対話のポイント  障がいの特性は、人によって様々であり、「合理的配慮」も求められる場面や状況によって 異なりますので、個々の希望や状況に応じて、適切な配慮を一緒に考えていくことが重要です。  たとえ障がいが同じでも、Aさんに提供した合理的配慮が、Bさんにとっては必要のない配慮 であったり、Bさんには合わずにかえってしんどくさせてしまう場合もあります。  建設的な対話によってお互いを理解したうえで、必要な配慮、できることと難しいことを話し合い、 可能な配慮や工夫を一緒に考えるなど、柔軟な対応ができればトラブルは避けられます。  それでも、園や先生方の「不安」が先行してしまうこともあるかと思います。  「もし何かあったらいけないので、○○は他の子といっしょにさせられない」  「もし何かあったらいけないので、保護者の同伴を条件にします」  「遠足等の行事は遠慮してほしい」「手間がかかるので受け入れられない」… などといった漠然としたリスクや不安から、利用を制限したり条件を付けたりすることは、「不当な差別的取扱い」や 「合理的配慮の不提供」にあたる場合もありますので、そうした対応は避けましょう。  あくまでも、個別具体的に検討し、必要な対応を考える必要があります。  もし、子どもや保護者が求める内容が過重な負担になるような場合は、別の方法を提案するなど、 できるかぎりお互いが納得できる結論に至ることができるよう、対話を重ねましょう。 「どう工夫すれば、障がいのある子どもを受け入れられるか」 「どう工夫すれば、他の子どもと同じスタートラインに立って一緒に楽しく過ごせるか」 という視点で考えることが大切です。  そうした工夫を考える姿勢は、障がいのある子どもだけでなく、他の子どもの教育・保育にも必ず 活かすことができると思います。ぜひ、一緒に考えていきましょう。 ◆相談窓口について ・大阪市では、障がいを理由とする差別に関する相談窓口を各区役所のほか、各区障がい者基幹相談支援センター、  地域生活支援センター、大阪市人権啓発・相談センターに設置しています。  詳しくは、大阪市福祉局のホームページをご確認ください。(下記URL)  https://www.city.osaka.lg.jp/fukushi/page/0000340671.html ・また、対応を迷われる場合については、大阪市福祉局障がい福祉課(06-6208-8075)にご連絡ください。