障がいを理由とする差別の相談窓口における対応状況 令和6年9月から令和7年1月まで 1相談窓口ごとの受付件数 区障がい者基幹相談支援センター1件 地域活動支援センター生活支援型0件 区役所0件 福祉局・人権相談センター4件 つなぐ窓口内閣府4件 合計9件 同じ事案について、複数の窓口に相談していることがある。 2相談者の内訳 本人2件 家族3件 支援者等0件 事業者4件 不明その他0件 合計9件 3障がい種別ごとの件数 視覚障がい1件 聴覚障がい言語障がい0件 肢体不自由1件 その他の身体障がい0件 知的障がい1件 精神障害高次脳機能障がい含む0件 発達障がい0件 難病0件 その他不明6件 合計9件 4対象分野別件数 重複あり 商品サービス5件 福祉サービス1件 公共交通機関0件 住宅0件 教育1件 医療2件 雇用0件 行政機関0件 その他1件 合計10件 5障がい種別ごとの対象分野別件数 重複あり 視覚障がいその他分野1件 肢体不自由医療分野1件 知的障がい教育分野1件 障がいその他不明商品サービス分野5件 障がいその他不明福祉サービス分野1件 障がいその他不明医療分野1件 合計10件 6対応結果及び相談内容相談の主訴 傾聴不当な差別的取扱い1件 解決合理的配慮の不提供2件 啓発不当な差別的取扱い1件 啓発合理的配慮の不提供1件 助言不当な差別的取扱い2件 助言合理的配慮の不提供2件 合計9件 相談内容の分類であり、相談者の主訴をもとに判断し、計上しています。 対応の過程で最終的に分類が異なる場合があります。 傾聴 相談者が事業者への接触や解決を望まず、聞き取るにとどまったもの要望、問合せ等含むあるいは、適切と思われる相談先を紹介したが、結果が不明なもの 改善 事業者が何らかの改善策を講じたが、相談者の納得状況が確認できないもの 解決 事業者が改善策を講じ、相談者の納得を得たもの 啓発 相談内容に対しての解決には至らなかったが、事業者に対して啓発を行ったもの その他 未解決のうち、事業者が改善策を講じず、啓発にも応じなかったもの 助言 事業者からの相談に対し、助言をおこなったもの 継続 集計時点で対応が継続しているもの 7具体的事例 個人情報保護の観点から、内容は適宜修正しています。 事案ア 傾聴 福祉局受付 相談者家族 障がい種別不明 対象分野商品サービス 相談の主訴不当な差別的取扱い 相談内容 ショッピングモールにゲート付きの障がい者等専用駐車場があり、そこを利用したかったが、事前登録が必要とのことで、駐車することができなかった。 常時利用するショッピングモールではないので登録の必要性は感じていない。 単発で利用される方も多くいるはずなのに、事前登録することを条件としているのは障がい者差別ではないか。 対応 当該ショッピングモールに連絡し、障がい者専用駐車場について確認したところ、「車両番号の登録がなくても、該当する障がい等級であれば、ゲートにあるインターホンで連絡していただき、障がい者手帳をカメラに提示していただければゲートを開けている。 その際、次回の利用に向けて、車両番号を登録していただきたい旨をアナウンスしている」とのことであった。 また、「その後、登録したかどうかの後追いはしておらず、次回来られた際に利用制限をすることはない」と確認した。 さらに、障がい者専用駐車場のゲート外にも、障がい者専用駐車スペースがあることを確認した。 なお、相談者とショッピングモールとの実際のやり取りを確認することはできなかった。 その後、相談者へ連絡し、確認した内容を伝えたところ、ゲートのある当該駐車場に実際に通れなかったわけではなかったことが判明した。 車両登録をしないと利用できないようなものの言い方をされたため行政に連絡したとのことで、行政から直接ショッピングモールへ連絡を入れたことで、相談者は納得された。 事案イ 解決 福祉局受付 相談者支援者 障がい種別肢体不自由 対象分野商品サービス 相談の主訴合理的配慮の提供 令和6年度第1回部会からの継続案件 相談内容 電動車いすを使用している方。 ビルの2階に入っているレンタルビデオ店で、店舗入口は外階段で2階に上がったところにある。 ビルの中にエレベーターがあったため、エレベーターで2階に上がったが、店舗のドアは締め切られており入店できなかった。 店に問い合わせたところ、「入店の際は外階段を使用してもらっており、階段を使用できない方はお断りをしている」という説明であった。 障害者差別解消法を説明し、合理的配慮の提供が行われるよう改善を求めたが、返答がない状況である。 行政からも働きかけをしてほしい。 対応 店舗を訪問。 申出のとおり、ビル内の2階にある店舗のドアは締め切られており、外階段を利用するように案内が書かれている。 このドアが店内のどこに位置するのか確認したところ、店舗内のドアの前には、商品の陳列棚が設置されており、天井まで固定されているため、すぐに動かせられるような状況ではないことがわかった。 また、スタッフの人数が少ないため、防犯上、店舗の入口は1か所にしているとのことであった。 事業者として合理的配慮の提供について考える必要がある旨を説明し、このドアを常時開けておくことは難しいとしても、車いすを使用している人など、階段を使用できない方が来られたときに、個別にドアを開けて入店できるようにするなどの対応策を提案した。 その後、社内で検討がなされ、店内のレイアウト変更により、ドア前の陳列棚が移設された。ドアを常時開けておくことは防犯上難しいが、エレベーターが必要な方が来られたときに、スタッフがそのドアを開けて入店できるように改善された。 事案ウ 解決 障がい者基幹相談支援センター受付 相談者家族 障がい種別肢体不自由 対象分野医療 相談の主訴合理的配慮の提供 相談内容 医療機関に入院していたが、障がいの状況から自分でナースコールを押すことができず、看護師を呼びたいときは大きな声を出して呼んでいた。 そのような中、医療機関から「呼ぶ声が大きいため他の患者に迷惑がかかる。個室料はかかるが個室を利用してほしい」と言われ、やむを得ず了承し病室を変更した。 本日退院したが、今後も利用したい医療機関である。一方で、費用面を考えると厳しいので何とかならないか。 対応 基幹相談支援センターから医療機関へ連絡し、次の2点について話をした。 1点目今回の事案では、医療機関から個室への変更を求めているので、個室料が発生するのはおかしいのではないか。 2点目個室に変更する以外の方法で、例えば看護師の巡回を増やすなど、医療機関として何等かの配慮を考える必要があるのではないか。 医療機関において検討がなされた結果、今回の個室料はかからないこととなった。 また、今回は緊急入院であったこともあり、事前に配慮の調整がなされなかったが、以前入院したときは、ナースステーションのすぐ横の部屋になるように調整してもらったため、今後もそのような合理的配慮を考えてほしい旨を伝えた。 医療機関からは今後入院する際には、今回のようなことが起きないようにすると話があり、相談者も納得された。 事案エ 解決 福祉局受付 相談者本人 障がい種別視覚障がい 対象分野その他 相談の主訴合理的配慮の提供 相談内容 事業者とやり取りをしており、視覚障がいがあることを伝えていた。 やり取りの中で書類が送られてくることとなったが、届いた書類はA4サイズの書類で、視覚障がいのない人向けの書類だった。 A3サイズで送付してほしい旨を伝え、一度はA3サイズで送付してくれたが、再度書類の送付をお願いしたところ、A4サイズで送付された。 合理的配慮に欠けるのではないか。 対応 当該事業者へ事実確認のため連絡したところ、「A4サイズの書類を送付したが、相談者から連絡があり、A3版に大きくして送付してほしいと申出があったので、A3サイズで再送した。 それから少し時間が経ち、また同じ書類を送付してほしいと申出があったが、その都度対応する職員が異なるため、A4サイズで送付してしまった」とのことだった。 職員同士の情報共有ができていなかったことが原因であり、その点について相談者へ謝罪し納得されたとのことで、このようなことが起きないように職員同士の情報共有を行っていくと説明があった。 事案オ 啓発 福祉局受付 相談者本人 障がい種別その他 対象分野住宅 相談の主訴合理的配慮の提供 令和6年度第1回部会からの継続案件 相談内容 化学物質過敏症で、マンションの自宅前の清掃(洗剤を使用する水拭き)で体調が悪くなるので、自宅前の清掃はしないでほしいと伝えている。 清掃担当者によって対応が異なり、何度申し出ても徹底されない。 合わせて住民ひとりひとりに化学物質過敏症のことを理解してほしいので、啓発チラシを掲示してほしいと言っているが対応してくれない。 化学物質過敏症のことを理解してくれず、対応してくれないので、ベランダで大声で叫んでいるが、そのことがマンションの掲示板に貼り出されて困っている。 対応 管理会社及び管理組合と面談を行った。 「自宅前は共用スペースにあたり、管理会社としては清潔さを維持する義務があるので、清掃をしないということはできない。年に2回清掃業者が入っており、その際は洗剤を使用しているが、普段の清掃員が行う清掃は洗剤を使用していない」とのことであった。 普段の清掃については現地を確認済み 何が合理的配慮の提供にあたるのかは、双方の対話をすることでみえてくるものなので、事業者として合理的配慮の提供を考えるための対話を行ってほしいことを説明し、また、化学物質過敏症に関する啓発チラシの掲示について話をし、一定理解いただいたが、何年も前から、相談者への対応に苦慮している状況とのことであった。 その後、相談者と面談を行った。 自宅前の清掃の話もあったが、主な申出内容は、近隣住民の使用する洗剤の種類や洗濯の時間を変更してほしいというものであった。 障害者差別解消法は事業者を対象としているので、自宅前の清掃の際の合理的配慮については間に入って調整できる旨を説明。 また、合理的配慮を考えるには、双方の対話が重要であることを説明した。 双方への聞取りの後、話し合いの場の日程調整を行ったが、相談者から「近隣住民の洗濯洗剤のにおいで困っており、これが改善されないなら話し合いは拒否する」と連絡があり、話し合いの場の調整に至らなかった。 事案カ 啓発 福祉局つなぐ窓口 相談者本人 障がい種別その他 対象分野医療福祉 相談の主訴合理的配慮の提供 相談内容 母と同居しており、母の支援として看護師、医師、ヘルパーが自宅を訪問する。 相談者が科学物質過敏症のため、訪問する方の使用する洗濯洗剤や柔軟剤で体調が悪くなるので無香料の洗剤を使用し、柔軟剤は使用しないでほしいと申し出をしたところ、看護師については、制服は対応してくれたが、下着や靴下については対応してくれない。 また、医師やヘルパーについても、無香料の洗剤で対応してほしい。 対応 それぞれの事業者に対し、対応についての確認を行った。それぞれの事業者でできることを考えて対応していることが確認できたが、事業者で対応していることと、相談者の希望には乖離があり、相談者の納得が得られていないことがわかった。 事業者へは、あらためて合理的配慮の提供の考え方を説明し、引き続き対話をしながらできることを考えてほしいと伝えた。 相談者に対しては、望んでいる事をやってくれないと責めるばかりではなく、母の支援に入ってもらうために、相談者自身にも何か歩み寄れる部分はないのか考えてほしいと説明し、一定の理解を得た。 事案キ 啓発 福祉局つなぐ窓口 相談者家族 障がい種別知的 対象分野教育 相談の主訴不当な差別的取扱い 相談内容 私立幼稚園の生活発表会で、合奏のプログラムがあったが、楽器も持たずに離れたところで座っているだけであった。 これまでも運動会の練習に参加させてもらえなかったり、遠足を休むように言われたりと、差別的な対応や発言があった。 差別にあたるということを認識してもらい、改善してほしい。 卒園式は他の園児と同じように練習にも参加したい。 対応 相談者である母(当該園児も同席)と対面で聞取りを行い、その後園を訪問し、事実確認をした。 生活発表会の合奏プログラムについては、1つの楽器につき園児1人を割り当てている。 園としては、当該園児は演奏をしたがらず、本番で音が抜けてしまうことになるため、当該園児に担当楽器の割り当てをせず、その場にいることを「参加している」と認識していたことがわかった。 本市からは、当該園児が演奏に参加したいと思う可能性がある中、練習の時から担当楽器を割り当てておらず、他の園児と同じ機会が与えられていないことは、不当な差別的取扱いにあたる旨を説明し、園の認識している「参加」について考え直すよう伝えた。 また、当該園児が1人で楽器を担当することが難しいのであれば、その楽器は2人で担当するように変更するなど、これまでのやり方を変更や工夫することが合理的配慮にあたる旨を説明し、理解してもらった。 運動会の練習については、参加を促すものの、普段過ごす部屋から出ようとしなかったため、結果的に参加ができていなかったということ。 遠足については夏場の行事であり、水分をとることが難しい本児を心配して、例えば夕方からの参加もできるということを相談したが、そのことが休むように言われたと捉えられたのかもしれないということであった。 後日、園と家族との話し合いの場が開かれたため、その場に同席し、あらためて、他の園児と同じ機会が与えられないような対応は不当な差別的取扱いにあたる旨を説明し、その考え方を踏まえて、卒園式について考えるよう促し、理解を得た。 事案ク 助言 福祉局つなぐ窓口 相談者事業者 障がい種別その他 対象分野商品サービス 相談の主訴不当な差別的取扱い 相談内容 全国的にスポーツクラブを展開している会社からの相談。 スポーツクラブの利用約款において、入会資格の1つとして「感染症等の疾患その他第三者に伝染または感染するおそれのある疾患を有していない方」と定めている。 会員からの問い合わせで、「知人はB型肝炎に感染しているがスポーツクラブへ入会できるか」と聞かれている。 この方の入会を拒否することは、障害者差別解消法の不当な差別的取扱いや、合理的配慮の不提供にあたるのか教えてほしい。 対応 感染症の担当部署へ確認したところ、B型肝炎ウイルスは、主として感染している人の血液や体液が他の人の体内に入ることによって感染する、血液等が体内に入る可能性によって感染リスクが変わってくるとのことだった。 確認した内容を踏まえ、相談者へ次のとおり助言した。 1点目、障害者差別解消法の対象になるかは個別に聞取りが必要であるが、感染症患者等の人権尊重の視点で考える必要がある。 2点目、スポーツジムでの活動が、血液等が体内に入る可能性の高いものなのかについては、当該ジムの活動内容や環境等によって判断いただきたいが、病名だけを理由に一律に利用を断るのではなく、B型肝炎について正しく理解したうえで、受け入れについて考えていただきたい。 3点目、感染リスクがないとは言い切れないので、感染予防を適切におこなっていただきたい。 なお、感染症予防等に関する部分については担当部署を案内した。 事案ケ 助言 福祉局つなぐ窓口 相談者事業者 障がい種別不明 対象分野商品サービス 相談の主訴合理的配慮の提供 相談内容 バスツアー会社からの相談。 ツアー利用者にバスの前方座席を希望する方が多いため、前方座席の希望者にはツアー基本料金にプラス料金を設定し、配席している。 今回、障がいのある方から、合理的配慮としてプラス料金を免除してほしいと申出があった。 今回は申出のとおり料金を免除したが、障がいのある方からバスの前方座席の確約に追加料金を取ることは、合理的配慮の不提供となるのか相談したい。 対応 相談者に対し、次のとおり助言した。 1点目、障がいを理由として前方座席に配席する必要がある場合に、座席を調整することは合理的配慮の提供にあたる。 この合理的配慮が事業者において義務となっており、この場合に費用を取ってはいけないと考える。 2点目、前方座席に配席する必要があるかどうかは、個別にその方の状況を確認したうえで、判断いただくこととなる。 3点目、判断材料のひとつとして、障がい者手帳があるかもしれないが、障がい者手帳を持っていても、前方座席に調整する必要のない方もいると思うので、障がい者手帳があるということで一律に判断することがないようにお願いしたい。 また、障がい者手帳を持っていない方でも、合理的配慮が必要な方は、障害者差別解消法の対象となるので、この考え方を踏まえて対応していただきたい。 事案コ 助言 福祉局福祉局 相談者事業者 障がい種別不明 対象分野商品サービス 相談の主訴合理的配慮の提供 相談内容 美術館からの相談。 海外の方の来館が増えているが、海外の方が使用している車いすは見たこともない形のものが多く、車いすなのかどうかもわからない。 スピードも出るので、展示物にぶつからないか、他のお客さまにぶつからないかなど不安である。 合理的配慮をしなければならないことは理解しているが、合理的配慮が必要な障がいのある方なのかどうか判断するためにも、車いすの規格や車いすであることを確認するポイントがあるなら教えてほしい。 対応 相談者に対して次のように回答した。 1点目、お申出の車いすは、ハンドル型の車いすだと思われる。 日本でハンドル型の車いすを使用している方はあまり見かけないが、海外ではハンドル型の車いすを使用している方も多い。 2点目、ハンドル型も車いすであるという理解が必要。 3点目、スピードが出て危ないと感じた際に徐行を促すことは差別にはあたらない。 4点目、車いすを使用していることが、必ずしも館内での配慮が必要だということにはならないので、コミュニケーションをとって、個別の状況に応じて合理的配慮について考えていただきたい。 事案サ 助言 福祉局福祉局 相談者事業者 障がい種別不明 対象分野商品サービス 相談の主訴不当な差別的取扱い 相談内容 書店からの相談。障がいがあるか確定しているわけではないが、ある方の対応に悩むことがある。 「同じ要件で1日に複数回電話がある」「商品の取り置きをしているが、家から出ると警察に捕まるので取りに行けないと言われる」「突然怒り出したり、泣き出したりする」 このような方に取引致しかねる旨伝えた場合、合理的配慮の不提供にあたるのか相談したい。 対応 メール及び来庁での相談に対し、次のように助言した。 1点目、合理的配慮の不提供にあたるのかという相談だが、不当な差別的取扱いにあたるかどうかの内容である。 2点目、正当な理由なく障がいということだけを理由に店の利用を断ることは不当な差別的取扱いにあたる。 3点目、障がいについて理解してほしい。 4点目、旅館業法の改正において、カスタマーハラスメントと障害者差別解消法について整理されているので、参考としてほしい。