【資料1】 大阪市長居障がい者スポーツセンター建替基本構想(骨子案) 令和4年9月 大阪市 ? 目次 第1章 基本構想の策定に当たって 1 背景と趣旨 2 基本構想の策定の目的 第2章 障がい者スポーツの現状と課題 1 障がい者スポーツを取り巻く状況の変化 2 本市障がい者スポーツ振興施策に関連する計画 3 市内障がい者の状況 4 本市の障がい者スポーツ振興施策 5 障がい者スポーツセンターの概要 6 周辺施設の状況 7 利用者ニーズ 8 障がい者スポーツセンターの課題 第3章 社会環境の状況等 1 社会環境の状況 2 施設整備に関連する本市の主要な計画、指針・施策等 3 戦略会議の方向性と建替えに向けた今後の検討の留意事項 4 マーケットサウンディング(市場調査)の結果概要 第4章 基本構想の基本的な考え方 1 基本理念・コンセプト 2 コンセプトを踏まえた基本的な整備方針 3 施設の方向性 4 施設の名称 第5章 建築計画の考え方 第6章 事業計画の考え方 第7章 運営計画の考え方 第8章 整備に向けた今後の課題と整備スケジュール 参考資料 第1章 基本構想の策定に当たって 1 背景と趣旨 (1) 施設の開設経緯 ?昭和49年に全国初の障がい者専用のスポーツ施設として長居障がい者スポーツセンターを開設 ?利用者の増加に伴い、平成9年に舞洲障がい者スポーツセンターを開設 (2) 障がい者スポーツセンターが果たしてきた役割 ?専門性の高い指導員を配置し、「障がいのある人が、いつ一人で来館しても、安心してスポーツを楽しむ事ができる」を基本方針として運営 ?多彩なメニューを展開し、障がいのある人にスポーツの機会を提供することで、障がいのある人の自立と社会参加の促進に重要な役割を果たしてきた (3) 施設のあり方検討について ?時代の経過とともに、利用者の増加、利用目的やニーズが多様化する中、長居障がい者スポーツセンターの老朽化が進行 ?今後も障がい者スポーツ振興の拠点施設として存続、機能を強化していくため、令和元年度から障がい者スポーツ振興とスポーツ施設のあり方検討を実施 ?令和3年度には、持続可能な施設マネジメントの観点から改めて障がい者スポーツセンターの今後のあり方について検討を行った結果、令和3年11月17日開催の戦略会議において、長居障がい者スポーツセンターの老朽化の対応として、建替えなどの方向性を決定 (4) 建替基本構想の策定に向けて ?建替えの方向性の決定を踏まえ、建替え後の施設や設備及び規模等を検討することを目的として、令和4年2月から3月にかけて利用者等へのアンケート調査を実施 2 基本構想の策定の目的 長居障がい者スポーツセンター建替えに当たっては、利用者ニーズにより効果的・効率的に対応することでサービスの向上と経費の縮減等が図る必要がある。また、さらなる障がい者スポーツ振興を通じた共生社会の実現に向けて、本市障がい者スポーツ振興の中核的な拠点施設としての役割が果たせるよう取組を進めることが重要である。 そのため、施設整備に必要な機能・規模及び整備候補地を検討したうえで、「新たな長居障がい者スポーツセンター(仮称)」の基本理念・コンセプト、建設計画、事業計画及び運営計画について、基本的な考え方を取りまとめた基本構想を策定することを目的とする。 今後、この基本構想を踏まえて、詳細な施設の機能や規模等についてさらに検討を進め、基本計画の策定につなげていく。 ? 第2章 障がい者スポーツの現状と課題 1 障がい者スポーツを取り巻く状況の変化 (1) 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 ?新型コロナウイルス感染症の影響により1年開催を延期し、無観客により実施 ?国籍、性別、年齢、障がいの有無に関わらず、多様な人が集い、大会を通じた共生社会に対する理解・関心の高まり ?長居・舞洲障がい者スポーツセンターの利用者を含めた本市ゆかりの選手の活躍 (2) 新型コロナウイルス感染症 ?新型コロナウイルス感染症の影響によりスポーツ環境の変化 ?緊急事態宣言の発出などに伴い、本市障がい者スポーツセンターでは休館し、開館後においても感染拡大防止のため、利用方法の変更に伴う利用者の大幅な減少 ?本市障がい者スポーツセンターでは、コロナ禍に対応した自宅等でもできる運動の動画配信、オンラインによるスポーツ教室の取組を実施 (3) 第3期スポーツ基本計画 ?令和4年度からの第3期スポーツ基本計画が策定され、「する」「みる」「ささえる」ことを真に実現できる社会を実現するため、「新たな3つの視点*」を支える施策を推進 ?障がい者の週1回以上のスポーツ実施率40%(若年層は50%)程度の目標は継続 ?今期から、障がい者の年1回以上のスポーツ実施率を70%(若年層は80%)程度、障がい者スポーツを体験したことのある者の割合を20%程度とすることを新たな施策目標として追加 ※ 新たな3つの視点 @ スポーツを「つくる/はぐくむ」 ?社会の変化や状況に応じて、既存の仕組みにとらわれずに柔軟に見直し・改善し、最適な手法・ルールを考え、作り出す A 「あつまり」、スポーツを「ともに」行い、「つながり」を感じる ?様々な立場・背景・特性を有した人・組織があつまり、課題の対応や活動の実施を図る B スポーツに「誰もがアクセス」できる ?性別や年齢、障害、経済・地域事情等の違いによって、スポーツ活動の開始や継続に差が生じないような社会の実現や機運の醸成を図る (4) 障害者スポーツ振興方策に関する検討チーム報告書 ?文部科学省において、東京オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーとして、スポーツを通じた共生社会の実現に向けた取組をより一層進めるため、「障害者スポーツ振興方策に関する検討チーム」を設置し、障害者スポーツの振興方策について議論 ?同検討チームにおいて、令和4年8月に示された基本的な考え方・方向性は以下のとおり ?健常者と障害者のスポーツを可能な限り一体のものとして捉え、「ユニバーサルスポーツ」の考え方を施策全般において推進 ?障害者スポーツの普及に当たっては、障害者のスポーツへのアクセスの改善に向けて、DX等の活用も含め、多面的に取り組む ?アスリートの発掘・育成・強化に当たっては、地域の環境整備を進めるとともに、競技成績への影響が大きいクラス分け機能を大幅に強化することが必要 ?施策展開の前提として、一般的に脆弱とされる障害者スポーツ団体の組織基盤の強化や地方公共団体の体制整備に向けた改革が急務 2 本市障がい者スポーツ振興施策に関連する計画 (1) 大阪市スポーツ振興計画 ?令和4年度からの第2期大阪市スポーツ振興計画が策定され、「誰もがスポーツを楽しめる元気あふれる大阪のまちをめざします」を基本理念として掲げ、SDGsの達成にスポーツで貢献していくこととし、同計画に基づく施策を総合的に推進 ?「健康・生きがい」「活力」「コミュニティ」の3つ目標と、それに基づく指標を設定し、様々な取組を実施 ?障がい者スポーツに関しては、障がいのある人へのスポーツを始めるきっかけづくりや習慣化、障がい者スポーツや障がいへの理解促進に取り組み、誰もがともに楽しめる機会や環境づくり進める (2) 大阪市障がい者支援計画 ?障害者基本法における「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものである」との理念に基づき、これまでの取組や障害者差別解消法等の趣旨を踏まえ、同計画に基づく施策を総合的に推進 ?「個人としての尊重」「社会参加の機会の確保」「地域での自立生活の推進」の3つを基本方針として様々な取組を実施 ?障がい者スポーツに関しては、障がいのある人が心豊かな地域生活が送れるよう、身近な地域におけるスポーツ活動を推進するほか、障がいのある人ない人誰もがスポーツを一緒に親しみ楽しめる機会づくりや環境づくりに取り組み、障がい者スポーツ振興を図り、障がいのある人の社会参加と自立を促進するとともに、障がいへの理解を促進する ? 3 市内障がい者の状況 (1) 障がい者手帳所持者数の推移 ?令和3年度末の市内の障がい者手帳所持者数は212,788人、人口比7.8% ?身体障がい者手帳の所持者数を除いて年々増加しており、全国も同様の傾向 (2) 障がい者のスポーツ実施状況 ?令和元年度における本市の障がい者の成人(当時の20歳以上)週1回以上のスポーツ実施率は31%(全国25.3%) ?本市では約半数の障がい者がスポーツを全く行っていない ?全国を上回るものの、国のスポーツ基本計画に掲げる目標である週1回以上40%、年1回以上70%には未到達 ※ 最新の状況は、本年12月頃に障がい者基礎調査の中で把握する ? 4 本市の障がい者スポーツ振興施策 (1) 障がい者スポーツセンターの運営(指定管理事業) 長居、舞洲障がい者スポーツセンターにおいて、専門性の高い指導員を配置し、スポーツ指導にあたるほか、スポーツ教室など各種講習会を開催するなど、障がい者に対する各種のスポーツ及びレクリエーション活動の機会を提供している。 (2) 障がい者スポーツ振興事業(委託事業) 障がい者スポーツの普及と市民の障がいへの理解を深めるため、市障がい者スポーツ大会や地域親善交流会等を開催するほか、障がい者スポーツ指導者の養成に取り組んでいる。 (3) 国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会(共催事業) 障がい者スポーツの普及をめざし、国際交流に資するため、世界の強豪女子チームが参加する車いすバスケットボール競技大会を開催している。 (4) 障がい者スポーツ振興ふるさと寄附金 大阪市障がい者スポーツ振興の取組を知ってもらい、応援してもらう仕組みづくりとして、ふるさと寄附金(納税)実施している。 ? 5 障がい者スポーツセンターの概要 (1) 施設の概要 ア 設置根拠条例 大阪市障害者スポーツセンター条例 イ 設置目的 障がい者に対し、スポーツ及びレクリエーション活動の機会を提供するとともに、障がい者のスポーツに関する講習会等を開催することにより、障がい者の自立と社会参加を促進し、もって障がい者の福祉の増進に寄与することを目的とする。 ウ 各施設の概要 長居障がい者スポーツセンター 所在地 大阪市東住吉区長居公園1番32号 開設 昭和49年5月2日 敷地・延床面積 13,273u・8,503u 構造 鉄骨及び鉄筋コンクリート造2階建、一部平屋建 主な施設機能 体育室、トレーニング室、プール、卓球室、ボウリング室、屋外運動場、会議室、研修室 舞洲障がい者スポーツセンター 所在地 大阪市此花区北港白津二丁目1番46号 開設 平成9年10月1日 敷地・延床面積 18,120u・14,374u 構造 鉄筋コンクリート造(一部鉄骨)6階建 主な施設機能 アリーナ、トレーニング室、プール、卓球室、ボウリング室、多目的広場、会議室、宿泊研修施設 (2) 主な実施事業 大阪市障害者スポーツセンター条例第3条に基づき、両センターでは、次の4つの柱に基づく事業を実施している。 ア スポーツ活動の機会の提供 ○ 個人・団体利用者のスポーツ指導等 ?専門性の高い指導員を配置し、利用者の障がいや健康状態、利用目的に応じた指導や障がい者団体やスポーツ団体等の活動の支援等を実施 ○ スポーツクラブの育成と支援 ?スポーツを通じた仲間づくり、技術の向上、スポーツ活動の場として公認スポーツクラブ制度を設けて、その活動の育成・支援を実施 イ 各種講習会の開催 ○ スポーツ教室事業 ?障がい者とその家族・友人がスポーツ及びレクリエーション活動に親しみ、健康で豊かな生活を送ることができる機会の提供を目的として、各種スポーツ教室を実施 ○ スポーツ・レクリエーション交流事業、文化交流事業 ?日頃の成果を示す場として、競技スポーツ大会や仲間づくり、健康の維持増進、スポーツの生活化を進めるためのレクリエーション事業を開催 ウ 人材育成 ○ 障がい者スポーツ指導者の養成 ?障がい者スポーツをささえる人材を育成するため、スポーツ推進委員や区スポーツ施設の指定管理者等を対象に障がい者スポーツ指導員資格を取得するための講習会を開催 ○ ボランティア等の育成 ?センターが実施する事業に積極的にボランティア活動の機会の提供するほか、大学生・専門学校生などの実習の受入を実施 エ 普及啓発 ○ 障がいの理解講座 ?障がい者とその家族だけでなく、日々障がい者と関わっている人たちを対象に、障がいの理解及びスポーツとの関わりについて学び、障がいへの理解促進に向けた講座を開催 ○ 情報発信 ?障がい者スポーツセンターだよりの発行、ホームページや公式LINEを通じて、実施事業の周知や障がい者スポーツに関する情報発信を実施 【参考】大阪市障害者スポーツセンター条例(抄) (事業) 第3条 センターは、前条の目的を達成するため、次に掲げる事業を行う。 (1) 障害者に対する各種のスポーツ及びレクリエーション活動の機会の提供 (2) 障害者のスポーツに関する各種講習会の開催その他障害者のスポーツの指導 (3) 障害者のスポーツの振興を担う人材の育成 (4) 障害者のスポーツに関する普及啓発 (5) その他市長が必要と認める事業 ? (3) 利用状況 ア 開館からの延利用者数の推移 ?長居障がい者スポーツセンターでは、平成21年度以降、概ね35万人の利用者数で推移 ?舞洲障がい者スポーツセンターのスポーツ施設では、平成17年度以降、概ね25万人の利用者数で推移 ?舞洲障がい者スポーツセンターの宿泊・研修施設では、周辺地域におけるホテルの開業等に伴い、平成28年度をピークに利用者数が年々減少 ?令和元年度末頃から、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、利用者数が大幅に減少 イ 直近5年間の利用者数の内訳 (ア) 長居障がい者スポーツセンター 平成28年度 361,511人 平成29年度 373,081人 平成30年度 345,425人 令和元年度 311,583人 令和2年度 37,646人 令和3年度 60,429人 (イ) 舞洲障がい者スポーツセンター(スポーツ施設) 平成28年度 267,446人 平成29年度 263,637人 平成30年度 257,826人 令和元年度 225,974人 令和2年度 38,840人 令和3年度 49,436人 (ウ) 舞洲障がい者スポーツセンター(宿泊・研修施設) 平成28年度 27,001人 平成29年度 24,736人 平成30年度 23,290人 令和元年度 21,051人 令和2年度 5,486人 令和3年度 4,723人 ウ 障がい種別にける利用者数の推移(個人利用・延人数) ?長居・舞洲障がい者スポーツセンターともに、近年では、身体障がい者よりも知的障がい者の利用が多い エ 地域別の利用状況(個人利用・実人数) ?長居障がい者スポーツセンターでは約3割、舞洲障がい者スポーツセンターでは約5割が市外利用者となっている(※令和元年度個人利用の障がい者実人数) (4) 運営収支 ア スポーツ施設使用料収入(大阪市の歳入[指定管理者に徴収委託]) 長居障がい者スポーツセンター 平成29年度 667千円 平成30年度 549千円 令和元年度 574千円 令和2年度 122千円 令和3年度 289千円 舞洲障がい者スポーツセンター 平成29年度 2282千円 平成30年度 2219千円 令和元年度 1978千円 令和2年度 387千円 令和3年度 416千円 ※ 個人利用:大阪府内に住所を有する障がい者、介護人は無料 ※ 団体利用:大阪府内に住所を有する障がい者で構成する団体で、その構成員が1/2以上で無料、1/10以上・1/2未満の場合は半額 イ 指定管理者の収支決算 大阪市から長居障がい者スポーツセンターへの業務代行料 平成29年度、30年度  285351千円 令和元年度 287792千円 令和2年度 285720千円 令和3年度 289457千円 舞洲障がい者スポーツセンターへの業務代行料 平成29年度、30年度 346950千円 令和元年度 350813千円 令和2年度 352747千円 令和3年度 353018千円 6 周辺施設の状況 (1) 市内及び長居公園周辺に存在する施設の状況 ア 障がい福祉施設 ○ 公共施設 広く市民が利用する施設 障がいのある人の自立と社会参加の促進を目的として、東住吉区に早川福祉会館を設置 支援を受ける方が特定される施設 障害者総合支援法等に基づき、此花作業指導所(此花区)、敷津浦学園(住之江区)、心身障害者リハビリテーションセンター(平野区)を設置 ○ 民間施設 ?市内には、指定障がい福祉サービス事業所、指定障がい者支援施設、指定一般・特定・障がい児相談支援事業所、指定障がい児通所支援事業所、指定障がい児入所施設が多数存在 イ スポーツ施設 ○ 公共施設 各区スポーツセンター、各区プール・トレーニング室等 スポーツやレクリエーションの場を提供し、市民の健康維持や増進を目的として、各区にスポーツセンター、プール等を設置 その他競技施設等 ヤンマースタジアム長居、ヨドコウ桜スタジアム、丸善インテックアリーナ大阪、丸善インテック大阪プール、ITC靭テニスセンターなど、国際的な競技大会などの大規模競技大会に対応した施設のほか、様々な施設を設置 ○ 民間施設 ?市内には、民間事業者が運営するトレーニングジム、フィットネスクラブが多数存在 ?最近では、利用者の様々な目的やニーズに対応したパーソナルジムや24時間型ジムなどが増えるなど、多様化している ?その他、スイミングスクール、卓球スクール、ボウリング場、テニス場、フットサルコート、ゴルフクラブなどが存在 ウ 宿泊施設 ?市内には、旅館業法の許可を受けた施設は、令和4年6月末現在では約1,700施設、特区民泊施設と住宅宿泊事業の施設等では約4,800施設が存在(※ 健康局健康推進部生活衛生課の施設一覧より) (2) 他都市の障がい者スポーツ施設等の状況 ア 他都市の障がい者スポーツ施設の状況 ?令和2年度の調査では、全国には150の障がい者専用・優先スポーツ施設が存在(※(公財)笹川スポーツ財団「障害者専用・優先スポーツ施設に関する研究2021」より) ?最近では、横浜市では、障害者スポーツ文化センター横浜ラポールに加え、東京パラリンピックの開催を契機として、新たに令和2年1月に障害者スポーツ文化センターラポール上大岡をオープン ?名古屋市では、障がい者スポーツセンター、福祉スポーツセンターに加え、新たな障害者スポーツセンターの整備に向けて、令和4年度に基本計画を策定予定 ?また、札幌市では、身体障害者福祉センターに加え、2030年の冬季五輪の招致を契機として、新たな障害者スポーツセンターの整備に向けて、令和5年度に基本構想を策定予定 ?他都市の主要な障がい者スポーツ施設では、基本的な機能として、体育室、プール、トレーニング室を有している イ 国内で今後開催される障がい者スポーツ大会等 ?国内では、2024年に世界パラ陸上競技選手権大会が兵庫県神戸市で開催されるほか、2026年にアジアパラ競技大会が愛知県・名古屋市で開催される ?また、2025年夏季デフリンピックに向けて東京で招致活動が、2030年冬季パラリンピックに向けて、札幌で招致活動が進められている? 7 利用者ニーズ (1) 建替え後の機能・サービス等に関するニーズ ア スポーツ施設 (ア) 現在の長居障がい者スポーツセンターにある機能 施設全体 規模の拡大、大人・こども用のスペース分け、競技種目の対応への拡充 体育室 木製等の床、バスケットコート2面への変更、ランニングコースの設置 プール 水深を一定、コースの増加、こども用プール、ジャグジーの設置、飛込ができる場所の確保 トレーニング室 部屋の拡大、器具の充実 卓球室 部屋の拡大、サウンドテーブルテニス室の新設 ボウリング室 レーン数の増加、器具拡充(視覚障がい者用ボールの導入等) 小体育室 サッカースペースの設置やトランポリン等の器具の充実 プレイルーム こども用遊具等の設置 アーチェリー場 50m撃への対応 (イ) 現在の長居障がい者スポーツセンターにない機能 屋内施設 ボッチャ専用コート、スタジオ、e-sports、カーリング、ダーツ、ビリヤード、ボルダリング、リハビリ施設、団体用の用具倉庫 など 屋外施設 ランニングコース(自転車含む)、屋外グラウンド(野球・フットサル、投てき種目等)、スケートボード、テニスコート、乗馬 など イ 共用施設 会議室 多諸室整備・拡大や防音対策、運動ができる空間 ラウンジ レストランの再開、軽食スペース・休憩室の設置 ロビー・通路 設備改善(点字ブロック、スピーカー、照明、換気機能等)、通路幅拡大、階段の安全性向上、エレベーター増設 更衣室 個室化や増設、家族更衣室やセキュリティ等の設備の充実、お風呂、サウナの導入 トイレ 箇所数の増、個室拡大、共用トイレ整備、こども用トイレ設置、設備の充実(音声案内、背もたれ、ウォシュレット、空調、介助への配慮、ベッド) 駐車場 歩車分離、車いす駐車場設置、台数増加、駐車スペースを広げる、屋根付き・地下化 その他 有料施設、ベビールーム、給湯室、複数の出入口、避難用設備の充実、宿泊施設、コンサートホール、視覚障がい者の資料閲覧スペースの導入 ウ サービス ?予約方法改善、ルール改善、支払方法のキャッシュレス化、ジュニア向け等のスクール増加、介助者も一緒に遊べる工夫、誘導アナウンス改善、飲食店拡充(メニュー充実、障がい者雇用等)、スタッフの接遇向上・声掛け充実などへの意見があった。 (2) 建替え場所に関するニーズ ?利用者の多くが現在の長居障がい者スポーツセンターがある現地を含めた長居公園内での整備を望んでいる ?また、工事期間中においても継続して利用できることを望んでいる 8 障がい者スポーツセンターの課題 ?利用ニーズ等の多様化による機能面への対応 ?開設時と比べ利用者数の増加、感染症対策による施設の狭隘への対応 ?障がいのある人・ない人との交流の機会の創出 ?持続可能な施設に向けた利用者負担のあり方の検討 第3章 社会環境の状況等 1 社会環境の状況 (1) 持続可能な開発目標(SDGs)との関連性 ?2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2016年から2030年までの国際目標であり、「誰一人取り残さない」社会の実現をめざすものとして、包括的な17の目標を設定 ?国連では、スポーツが社会の進歩に果たす役割は、「スポーツもまた、持続可能な開発における重要な鍵となるものである。我々は、スポーツが寛容性と尊厳を促進することによる、開発および平和への寄与、また、健康、教育、社会包摂的目標への貢献と同様、女性や若者、個人やコミュニティの能力強化に寄与することを認識する。」と示されており、SDGsの17項目それぞれの達成に向けた課題に取り組む潜在的能力を備えた重要かつ強力なツールとして、スポーツがその役割を果たすことを期待 ?本市においても、「大阪市まち・ひと・しごと創生総合戦略」のもと、2025年大阪・関西万博の開催に向け、「SDGs先進都市」を実現し、2030年のSDGsの達成に貢献していくこととしている ?本市における障がい者スポーツ振興の取組を通じて、SDGsの達成に貢献していく必要がある (2) 社会情勢 ア 人口減少、超高齢化社会 ?人口減少時代に突入したことを受け、国においては、「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」を策定し、将来にわたって「活力ある日本社会」を維持することを将来の方向性としている ?本市においても、近年増加傾向にあった人口は今後減少に転じ、人口減少・高齢化の進展し、2045年には約250万人(2015年に比べ▲7.1%)にまで減少することが見込まれている イ カーボンニュートラル ?令和2年10月に政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、「カーボンニュートラル」をめざすことを宣言 ?本市においても、2050年「ゼロカーボンおおさか」の実現を長期目標に掲げ、2030年度までに温室効果ガス排出量を30%削減(2013年度比)することを目標に地球温暖化対策の取組みを進めている カーボンニュートラルとは 温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します ウ デジタル社会 ?デジタル技術の進展によりデータの重要性が飛躍的に高まる中、障がいの有無、年齢、所得、地域、国籍等にかかわらず、いつでも、どこでも、デジタル化の恩恵を享受できる、「誰一人取り残されない」デジタル社会の実現に向けて、本年6月にデジタル庁において、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が策定 ?第3期スポーツ基本計画では、スポーツ界においてDXを導入することで、様々なスポーツに関する知見や機会を国民・社会に広く提供することを可能とし、スポーツを「する」「みる」「ささえる」の実効性を高めることを政策目標としている ?本市では、日々進歩するデジタル技術やデータを活用し、大胆に業務を見直すことによって、行政サービスの向上と徹底した業務効率化を図るDXを進めていくため、本年度末に「大阪市DX戦略」の策定予定であり、その戦略の策定に向け、本年4月に「Re-Designおおさか 〜大阪市DX戦略の基本的な考え方〜」を策定 2 施設整備に関連する本市の主要な計画、指針・施策等 (1) 市政改革 【市政改革プラン3.1】 ア PPP/PFIの活用促進 ?限られた財源を有効に活用し、最適な公共サービスを効率的かつ効果的に提供していくため、官民の最適な役割分担のもと、コスト削減やサービス向上が期待できるものは、PPP/PFIなどの民間活力の活用の積極的な検討・導入につなげる必要がある イ 持続可能な施設マネジメントの取組の推進 ?将来の人口推移などを見据え、施設利用者の安全・安心を確保しつつ、持続可能な施設マネジメントの取組を推進していく必要がある ウ 市民利用施設に係る手続きの利便性向上 ?施設利用手続き等において、オンライン化による利便性を向上する必要がある (2) 施設マネジメント 【大阪市公共施設マネジメント基本方針】 ア 規模の最適化 ?施設の複合化・多機能化による効率的な施設整備を進め、余剰地の売却や管理の一元化による維持管理費の縮減の検討を行う必要がある ?施設の整備や維持管理、運営等において、効率的かつ効果的な整備と良質なサービスの提供を行うため、PPP/PFI手法も含めた民間活力の導入の検討を進めていく必要がある イ 予防保全による長寿命化 ?適切な維持管理を実施し、長期的なコストの縮減・平準化を図るとともに、施設を長期に利活用するため、利用者の安全確保に努め、施設の長寿命化を推進していく必要がある ウ 多様なコスト縮減手法 ?省エネルギー化やZEB化に向けて、再生可能エネルギーやエネルギーの有効利用など、様々な環境配慮技術について、経済性や施設特性も考慮し、導入の検討を進めていく必要がある (3) 環境 【大阪市地球温暖化対策実行計画】 ?2050年ゼロカーボンおおさかの実現に向けて、大阪市公共施設マネジメント基本方針に基づき、公共施設の省エネルギー・省CO2化の推進、公共施設のZEB化の検討を行う必要がある (4) 緑化 【新・大阪市緑の基本計画】 ?みどりの魅力あふれる大都市・大阪の実現に向けて、施設整備においても、緑化推進及び緑地保全による景観形成、防災・減災、環境保全・改善に貢献する必要がある。 (5) デジタルトランスフォーメーション(DX) 【Re-Designおおさか 〜大阪市DX戦略の基本的な考え方〜】→【大阪市DX戦略(仮称)】 ?データやデジタル技術の活用を前提に、社会環境の変化に的確に対応していくことにより、一人ひとりの多様な幸せ(Well-being)を実感できる都市への発展の実現に向けて、行政サービスの向上と徹底した業務効率化を図るDXを推進していく必要がある。? 3 戦略会議の方向性と建替えに向けた今後の検討の留意事項 (1) 戦略会議の方向性 ?長居障がい者スポーツセンターの老朽化の対応として、建替えを行うことを決定 ?現行の2館体制のあり方については、将来の施設需要を勘案しながら長居障がい者スポーツセンターの建替え完了後、5年を目途に利用状況や社会経済状況を踏まえ、改めて検討 (2) 今後の留意事項 ◆ 建替え用地の検討 ?長居公園内において建替える場合には、建築基準法等による日影規制、都市公園法等による建蔽率の規制等について事前把握が必要 ◆ 建替え時の施設計画における機能確保の検討 ?建替え工事期間中においても継続してスポーツができるよう配慮することが必要 ?感染症対策や、将来的な障がい者スポーツのニーズの変化等にも機動的に対応できる持続可能な施設計画とするべきである ◆ 他施設との複合化等の検討 ?地域特性や施設特性を勘案しながら、他施設との複合化や多機能化により、効率的な施設整備に努める必要がある ◆ 整備・運営手法の検討 ?PFI手法の導入など民間活用の可能性を積極的に検討するべきである ?ライフサイクルコストの低減化を図る必要がある ◆ 適切な利用者負担のあり方の検討 ?障害者基本法第24条の趣旨を踏まえつつ、市外の利用者割合の状況から、適切な利用者負担のあり方について検討していく必要がある ? 4 マーケットサウンディング(市場調査)の結果概要 (1) 実施概要 ?基本構想の検討に当たって、障がい者スポーツセンターの整備や運営等に関して、民間事業者の自由な発想に基づく幅広い事業提案を求めるため、マーケットサウンディングを実施 ?9社から参加申込があり、8月に対話(ヒアリング)を実施 ?各事業者からの主な提案内容は下記(2)のとおり (2) 実施結果 今後記載 ? 第4章 基本構想の基本的な考え方 1 基本理念・コンセプト 「第2章 障がい者スポーツの現状と課題」と「第3章 社会環境の状況等」を踏まえ、建替え後の「新たな長居障がい者スポーツセンター(仮称)」のめざすべき方向性を示した基本理念、基本コンセプトは次のとおり。 ■ 基本理念 ひとりでも・みんなでも いつでも・どこでも スポーツをたのしみ、つどい、そしてつながる 新たな障がい者スポーツセンター ■ 3つの基本コンセプト ?障がいのある人がいつ一人で来館しても、安心してスポーツを楽しむ事ができる施設 これまでの基本方針を継承しつつ、さらなるユニバーサルデザインを追求し、気軽に安心して利用できる施設をめざします。 ?障がい者スポーツを通じて、障がいのある人とない人とが交流できる施設 これまでの障がい者専用施設としての運営は重視しつつ、障がいのある人とない人との交流や障がい者スポーツへの関心を高めるための機能を新たに追加し、共生社会の実現に向けた施設をめざします。 ?質の高いサービスの提供と持続可能な施設 これまでのサービスは踏襲しつつ、デジタル技術を活用し、予約等の利便性を図るとともに、様々な状況下においても、誰もがいつでも・どこでもスポーツに親しむことができる施設をめざします。また、民間活用を積極的に検討し、環境への配慮や市税負担の縮減が図られるよう、将来にわたって持続可能な施設をめざします。 2 コンセプトを踏まえた基本的な整備方針 障がいのある人がいつ一人で来館しても、安心してスポーツを楽しむ事ができる施設 ?様々な障がいや多様なニーズに配慮しながら、安全・安心な「スポーツ機能」の整備 ?スポーツを通じたこれまでのつながり大切にした「継続性」のある整備 障がい者スポーツを通じて、障がいのある人とない人とが交流できる施設 ?障がいのある人とない人とが自然と交流できる「仲間づくり機能」の整備 ?障がい者スポーツに触れ、関心を高めるための「体験型機能」の整備 質の高いサービスの提供と持続可能な施設 ?DXを導入した「先進的なスポーツ施設」の整備 ?未来のこどもたちに誇れる「環境にやさしい施設」の整備 ?長期的なライフサイクルコストの縮減・平準化を図る「持続可能な施設」の整備 3 施設が果たすべき役割 現在 両センターが拠点施設として連携しながら事業を展開 建替後 長居障がい者スポーツセンター 本市障がい者スポーツ振興の中核的な拠点施設 舞洲障がい者スポーツセンター 建替え完了後5年を目途に改めて2館体制のあり方を検討 4 施設の名称 (1) 正式名称 現時点では、「大阪市長居障がい者スポーツセンター(仮称)」とし、正式名称は今後検討する。 (2) 施設の愛称 市民から公募又はネーミングライツの実施を検討? 第5章 建築計画の考え方 1 必要な機能・諸室、適正規模 ?利用者ニーズに即したサービス向上と、将来の人口減少も見据えた持続可能な施設マネジメントの観点から、舞洲障がい者スポーツセンターの機能に配慮した機能と適正な規模について検討 ?複合化施設の検討 ?2月のアンケート結果で意見のあった現在ある施設の改善、ない施設の導入に対して、少数意見を含め、今後大阪市の考え方を示す ※ 今後の留意事項(A機能・B複合化)への対応 2 建築計画(平面、構造、設備)等 ?現地建替え・移転建替えパターンを検討 ?パターン別による工期・概算事業費(第6章で詳細に記載)を比較 ※ 今後の留意事項(A機能)への対応 3 整備場所 ?現地、移転建替え候補地の検討 ? サービスの継続性、コスト面等から建替え候補地を検討 ※ 今後の留意事項(@用地)への対応 ? 第6章 事業計画の考え方 1 事業手法の整理 市場調査の意見を踏まえつつ、各事業手法のメリット・デメリットの整理 (従来型、DB、DBO、PFI、リース方式、その他) ※ 今後の留意事項(CPFI)への対応 2 概算事業費及びVFMの算出 上記1の各事業手法別による概算事業費と支出年度を比較し、簡易VFMを算出 建設費、設計費、除却費の内訳明細を算出 ※ 今後の留意事項(CPFI)への対応 3 財源調達方法の整理 補助金、起債、助成金、寄附金等の活用可能な財源について整理 補助金については、建設費のほか、省エネ設備等にかかる補助金等について検討 4 入札・契約方法の比較評価 各入札・契約方法のメリット・デメリットの整理 (競争入札、プロポーザル方式、ECI方式、CM方式等) ? 第7章 運営計画の考え方 1 事業期間 各事業手法に基づく事業期間整理 ・従来型、DB:5年 ・DBO、PFI(BTO)、リース方式:15〜20年程度 ・その他 ※ 今後の留意事項(CPFI)への対応 2 実施事業 新規・拡充する取組 自主事業の可能性 3 運営収支及び利用者負担 利用者負担を徴収した場合における運営収支に与える影響のシミュレーション 各事業手法に基づく短期・中期の運営収支シミュレーション ※ 今後の留意事項(D利用者負担)への対応 4 ライフサイクルコスト 65〜80年のライフサイクルの算出及び算出方法の説明 ? 第8章 整備に向けた今後の課題と整備スケジュール 1 整備に向けた今後の課題 ?本基本構想において示した考え方のもと、整備に向けては、今後実施する予定の基本計画の策定、PFI導入可能性調査を経て、詳細に検討していく必要がある ?整備・運営に関して、競争性が確保できるよう、公募要件の検討に際して改めて市場調査が必要 ?サービス向上を図るとともに、財源の確保、民間資金の活用、適切な利用者負担のあり方の検討を踏まえ、市税負担の軽減が図られるよう取り組む必要がある 2 整備スケジュール ?今回の基本構想の策定以降、事業手法(従来型・PFI方式等)別に、完成までのスケジュールのシミュレーションを示す ? 参考資料 1 基本構想の調査・検討の概要 基本構想調査・検討の概要 2 基本構想検討会議の概要 (1) 基本構想検討会議メンバー 石橋 勇人 大阪公立大学大学院情報学研究科 教授 栄徳 美沙季 大阪障がい者スポーツ指導者協議会 理事 岡 幸一 社会福祉法人精神障害者社会復帰促進協会 法人統括部長 加我 宏之 大阪公立大学大学院農学研究科 教授 崎山 忠行 長居障がい者スポーツセンター公認クラブ 大阪グッパーズ 副部長 曽根 裕二 大阪体育大学教育学部教育学科 准教授 田垣 正晋 大阪公立大学大学院現代システム科学研究科 教授 津川 智江 社会福祉法人大阪市手をつなぐ育成会 評議員 林 かよみ 長居障がい者スポーツセンター公認クラブ視覚障害者マラソン練習会 長居わーわーず 代表 三上 真二 公益財団法人日本パラスポーツ協会 スポーツ推進部長 吉岡 聡司 大阪大学サステイナブルキャンパスオフィスキャンパスデザイン部門准教授 (2) 基本構想検討会議の開催概要 第1回(令和4年6月17日開催) ・障がい者スポーツセンターの概要と経過 ・マーケットサウンディングの実施 ・施設の整備・運営に関する意見交換 第2回(令和4年9月5日開催) ・ 基本構想(骨子案) 第3回 第4回 3 用語集・引用元 本資料の用語の説明、引用元を記載