表紙 大阪市長居障害者スポーツセンター建替え基本構想(中間案) 令和4年11月 大阪市 ※ 音声読み上げ機能に配慮した文字の変換を行っています。 構成 第1章 基本構想の策定に当たって 1 背景と趣旨 2 基本構想の策定の目的 3 基本構想の策定以降の必要なプロセス 第2章 障害者スポーツの現状と課題 1 スポーツ・障害者スポーツの概念 2 障害者スポーツを取り巻く状況の変化 3 本市障害者スポーツ振興施策に関連する計画 4 市内障害者の状況等 5 本市の障害者スポーツ振興施策 6 障害者スポーツセンターの概要 7 周辺施設及び他都市の障害者スポーツ施設の状況等 8 建替えに関する利用者ニーズ 9 障害者スポーツ振興、障害者スポーツセンターの課題と方向性 第3章 社会環境の状況等 1 社会環境の状況 2 戦略会議の方向性と建替えに向けた今後の検討の留意事項 3 施設整備に関連する本市の主要な計画、指針・施策等 4 マーケットサウンディング(市場調査)の結果概要 第4章 基本構想の基本的な考え方 1 基本理念・コンセプト 2 コンセプトを踏まえた基本的な整備方針 3 施設が果たすべき役割と今後の方向性 4 施設の名称 第5章 建築計画の考え方 1 建築計画の基本的な考え方 2 現在のしょ室の利用状況等 3 必要なしょ室・機能の検討 4 複合化等の検討 5 しょ室・機能、規模の建築モデル案 6 適正な規模の検討 7 整備場所の検討 第6章 事業計画の考え方 1 事業計画の基本的な考え方 2 事業手法の検討 3 財源確保の検討 4 入札・契約方式の検討 第7章 運営計画の考え方 1 運営計画の基本的な考え方 2 施設運営に関する取扱い等の検討 3 実施事業の検討 4 利用者負担のあり方の検討 5 その他 第8章 整備に向けた今後の課題と整備スケジュール 1 整備に向けた今後の課題 2 整備スケジュール 参考資料 ? 第1章 基本構想の策定に当たって 1 背景と趣旨 (1) 施設の開設 大阪市では、全国初の障害者専用のスポーツ施設として、昭和49年に長居障害者スポーツセンターを開設し、その後利用者の増加に伴い、平成9年に開設した舞しま障害者スポーツセンターとともに、障害のある人にスポーツやレクリエーションの機会を提供しています。 (2) 障害者スポーツセンターが果たしてきた役割 これまでの間、本市障害者スポーツセンターでは、障害のある人を中心に「いつ一人で来館しても指導員や仲間がいて、安心していろいろなスポーツを楽しむ事ができる」という基本方針のもと、専門性の高い指導員を配置し、障害のある人のニーズに応じたスポーツの指導等を行っています。 長居障害者スポーツセンターは、交通至便な長居公園内に設置し、周辺にも様々なスポーツ施設が設置されているなど、長居公園にある優位性から、障害者の健康維持・増進のみならず、外出や他者との交流、仲間づくり、いきがいや生活の質の向上により、自立と社会参加の促進につながる施設として大変重要な役割を果たしています。また、各種スポーツ教室の開催や障害者スポーツ用具の開発、指導者の養成など、これまで全国の障害者スポーツの発展を牽引してきました。 舞しま障害者スポーツセンターは、宿泊・研修施設を併設し、各種競技大会の開催や合宿等にも活用されており、両センターが障害者スポーツの拠点施設として連携しながら、障害のある人の健康づくりからリハビリテーション、レクリエーションのほか、競技スポーツまで幅広いニーズに対応するとともに、障害への理解促進にも大きく寄与してきました。 これまで多彩なメニューを展開し、全国1位(長居)、2位(舞しま)の利用者数があり、満足度も非常に高く、とりわけ、重度の障害のある人、知的障害のある人からは、安心してスポーツを楽しむ事ができる施設として高いニーズがあり、加えて、障害者スポーツ指導員等の育成拠点としても重要な役割を担うなど、障害者スポーツ振興を通じて、障害者の福祉の増進に寄与しています。 (3) 施設のあり方検討の実施 時代の経過とともに、利用者の増加、利用目的やニーズが多様化する中、長居障害者スポーツセンターの老朽化が進行してきたことを受け、今後も障害者スポーツ振興の拠点施設として存続、機能を強化していくため、令和1年度から障害者スポーツ振興とスポーツ施設のあり方検討を実施しました。 令和3年度には、地域における障害者スポーツの現状把握や持続可能な施設マネジメントの観点から改めて障害者スポーツセンターの今後のあり方について検討を行った結果、令和3年11月17日開催の大阪市戦略会議(以下「戦略会議」という。)において、長居障害者スポーツセンターの老朽化の対応として、建替えなどの方向性を決定しました。 (4) 利用者ニーズの把握 建替えの方向性の決定を踏まえ、建替え後の施設や設備及び規模等を検討することを目的として、令和4年2月から3月にかけて利用者等へのアンケート調査を実施しました。 そのアンケート結果により明らかになった利用者ニーズ等を踏まえつつ、長居障害者スポーツセンター建替え基本構想(以下「基本構想」という。)の検討を進めることとします。 2 基本構想の策定の目的 これまで障害者スポーツセンターが果たしてきた役割のもと、引き続き障害のある人にスポーツの機会を提供し、障害のある人の健康維持・増進、いきがいや、生活の質の向上など、障害のある人が安心してスポーツを楽しむ事できる障害者専用スポーツ施設としての運営を重視し、また障害者スポーツ指導員等の育成拠点として、その機能を継承、発展させていく必要があります。 長居障害者スポーツセンターの建替えに当たっては、そうした機能を継承、発展していくとともに、誰もが「する」「みる」「ささえる」スポーツの価値を享受し、さらなる障害者スポーツ振興を通じた共生社会の実現に向けて、建替え後の「新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)」が本市障害者スポーツ振興の中核的な拠点施設としての役割が果たせるよう、各区スポーツ施設をはじめ、地域の多様な主体と連携しながら取組を進めることが重要です。 また、これまで長居障害者スポーツセンターをはじめとする長居公園で育まれてきた仲間とのつながりを大切にしながら、障害者スポーツの体験などを通じて、障害のあるスポーツ未実施者の掘り起こしのほか、障害のある人同士のみならず、障害のある人・ない人との交流の機会を創出することにより、障害や障害者スポーツへの理解が深まります。 さらには、多様化する利用者ニーズに、より効果的に対応し、サービス向上を図るとともに、戦略会議における方向性や今後の留意事項を踏まえながら、より効率的に実施することにより経費の縮減等を図る必要もあります。 そのため、本市では、障害者スポーツの現状と課題、社会環境の状況等を踏まえつつ、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の基本理念・コンセプト、建築計画、事業計画及び運営計画について、基本的な考え方を取りまとめることを目的として基本構想を策定します。 また、次項で示すとおり、この基本構想の策定から新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)が完成するまでには様々なプロセスを要します。この基本構想において、今後導入する施設の機能やコスト等の検討結果など、完成までの進捗過程を見える化し、利用者をはじめとする多くの市民の方々に施設や障害者スポーツを知っていだだき、また様々な意見を伺いながら、適宜反映することで、より良い施設にしていくとともに、市政運営の透明性を確保していきます。 今後、この基本構想で示した基本的な考え方のもと、施設の機能や規模等の詳細についてさらに検討を進め、基本計画の策定につなげていきます。 3 基本構想の策定以降の必要なプロセス ■ 基本構想の策定 ・施設整備のコンセプト、建築計画、事業計画等の「基本的な考え方」を取りまとめた「基本構想」を策定します。 ・基本構想では、整備候補地、導入機能、その概ねの規模、配置イメージなどをまとめます。 ■ 基本計画の策定 ・基本構想で示した建築計画、事業計画等の考え方に対して、肉付けをした「基本計画」を策定します。 ・基本計画では、設計与条件を整理し、施設イメージの概念、概算事業費などをまとめます。 ■ PFI導入可能性調査 ・基本計画を踏まえ、PFI事業範囲や事業スキーム、官民リスク分担等を検討し、VFM評価を実施します。 ・民間事業者への市場調査、VFM評価のもと、整備・運営における整備(事業)手法を決定します。 ※整備(事業)手法については、第6章を参照 → 決定した整備(事業)手法に基づき、設計・施工を実施 ■ 基本設計 ・基本計画を踏まえ、意匠を決定し、建築、電気設備、機械設備の基本設計を実施します。 ・基本設計では、構造や配置、レイアウト、備えるべき機能や設備、内外のデザイン等を「基本設計図書」として取りまとめます。 ■ 実施設計 ・基本設計に基づき、施工を考慮したデザインと技術面の両面にわたって詳細な設計を行うとともに、工事費の具体的な積算を実施します。 ・建築、電気設備、機械設備工事の発注のため「実施設計図書」を作成し、計画通知を申請し、建築確認後、各工事に着手します。 ■ 施工 ・実施設計図書に基づき、建築、電気設備、機械設備工事を実施します。(既存施設の解体工事等の実施時期は整備場所によります。) 【完成(竣工から開館)】 ・竣工から準備業務が整った後、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)が開館します。 第2章 障害者スポーツの現状と課題 1 スポーツ・障害者スポーツの概念 (1) スポーツについて ア 国の「スポーツ」の捉え方 スポーツ基本法(平成23年法律第78号)の前文冒頭において「スポーツは、世界共通の人類の文化である。スポーツは、心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得、自律心その他の精神の涵養等のために個人又は集団で行われる運動競技その他の身体活動であり、今日、国民が生涯にわたり、心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のものとなっている。」と示されています。 国のスポーツ基本計画において、「スポーツには、競技スポーツに加え、散歩やダンス・健康体操、ハイキング・サイクリング、野外活動やスポーツ・レクリエーション活動も含まれており、正に『文化としての身体活動』を意味する広い概念である。」と示され、スポーツ基本法制定以降、その前文の趣旨を踏まえ、スポーツの意義や価値が広く国民に共有され、スポーツを「する」「みる」「ささえる」という様々な参画を通じて、施策が展開されてきました。 イ スポーツの価値 国のスポーツ基本計画において、「する」「みる」「ささえる」を通じて、スポーツに「自発的に」参画し、「楽しさ」や「喜び」を得ることは、人々の生活や心を豊かにする「Well-being※」の考え方につながるものとして、こうした「スポーツの価値」を基本としつつ、スポーツを通じて様々な社会課題を解決したりすることができるという側面を持つ「スポーツが社会活性化等に寄与する価値」という観点もあると示されています。 ※「経済財政運営と改革の基本方針2020」(令和2年7月17日閣議決定)においては、「人々の満足度」と示されています。 (2) 障害者スポーツについて 「スポーツ」については、スポーツ基本法の前文に示されている一方で、法令等において、「障害者スポーツ」の明確な定義は示されていませんが、本市では、スポーツ基本法に掲げられているスポーツ、つまり、個人又は集団で行われる運動競技その他の身体活動であって、健康づくり、リハビリテーション、レクリエーションのほか、競技スポーツまで多岐にわたるもので、かつ、障害のある人が取り組むものを総称して「障害者スポーツ」と捉えています。 (3) 障害者スポーツに関連する様々なスポーツの呼称 障害のある人のスポーツの国際的な競技大会である「パラリンピック競技大会」で行われる競技を中心に障害のある人が行うスポーツは「パラスポーツ」と呼ばれています。最近では、東京2020大会後のレガシーとして障害者スポーツへの理解や日常的にパラスポーツの名称も使用されていることなどから、令和3年10月には、公益財団法人日本障害者スポーツ協会が「公益財団法人日本パラスポーツ協会」に名称変更されました。パラリンピック競技大会以外にも、聴覚障害のある人のための大会として「デフリンピック競技大会」、知的障害のある人の大会として、「ヴァータスグローバル競技大会」などが開催されています。 パラリンピックの正式種目であるボッチャは、ヨーロッパで生まれた重度脳性麻痺者もしくは同程度の四肢重度機能障害のある人ために考案されたものですが、誰もが取り組みやすいということで、障害のある人のみならず、障害のない人も一緒に競技を楽しむ場面が増えています。このように、障害があってもスポーツができるよう、ルールや用具を実践者の障害の種類や程度に適合(adapt)させることによって、高齢者、子ども、体力が低い人など誰もが参加できるという「アダプテッド・スポーツ」や、障害の有無に関わらず、みんなが一緒に実践できるという意味の「ユニバーサルスポーツ」、障害の有無、年齢、性別に関わらず全ての人々を包含(inclusive)したという意味での「インクルーシブスポーツ」などの言葉があります。 この他にも、創意工夫により誰もが楽しめる「ニュースポーツ」や「ゆるスポーツ」、テクノロジーを活用して年齢や障害などの身体差を解消した「超人スポーツ」などの新たなスポーツが生み出され、障害のある人を取り巻くスポーツは多様化しています。 この基本構想では、これらの新たなスポーツも合わせて「障害者スポーツ」と表現しています。 2 障害者スポーツを取り巻く状況の変化 (1) 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 新型コロナウイルス感染症の影響により1年開催を延期し、無観客により開催されました。国籍、性別、年齢、障害の有無に関わらず、多様な人が集い、大会を通じ共生社会に対する理解・関心が高まりました。 また、長居・舞しま障害者スポーツセンターの利用者を含む本市ゆかりの選手が活躍しました。 (2) 新型コロナウイルス感染症 新型コロナウイルス感染症の影響により、スポーツを取り巻く環境が変化しています。 緊急事態宣言の発出などに伴い、本市障害者スポーツセンターでは休館を余儀なくされ、再開後も感染拡大防止のため、利用方法の変更を行うなど利用者が大幅に減少しました。 そのような中で、コロナの状況下に対応した自宅等でもできる運動の動画配信、オンラインによるスポーツ教室の取組を実施しています。 (3) 第3期スポーツ基本計画(スポーツ庁) 令和4年度からの第3期スポーツ基本計画が策定され、東京オリンピック・パラリンピック競技大会のスポーツ・レガシーの継承・発展に向けて、重点的に取り組むべき施策とともに、スポーツの価値を高めるため、国民がスポーツを「する」「みる」「ささえる」ことを真に実現できる社会をめざすため、「新たな3つの視点※」とそれらを支える施策が示されています。具体的には、多様な主体におけるスポーツの機会の創出やスポーツ界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、スポーツを通じた共生社会の実現などの項目について、今後5年間に総合的かつ計画的に取り組むこととしています。 障害者の週1回以上のスポーツ実施率40%(若年層は50%)程度の目標は継続し、今期から、障害者の年1回以上のスポーツ実施率を70%(若年層は80%)程度、障害のない人(一般成人)を含め、障害者スポーツを体験したことのある者の割合を20%程度とすることを新たな施策目標として追加しています。 ※ 新たな3つの視点 @ スポーツを「つくる/はぐくむ」 ・社会の変化や状況に応じて、既存の仕組みにとらわれずに柔軟に見直し・改善し、最適な手法・ルールを考え、作り出す。 A 「あつまり」、スポーツを「ともに」行い、「つながり」を感じる ・様々な立場・背景・特性を有した人・組織があつまり、課題の対応や活動の実施を図る。 B スポーツに「誰もがアクセス」できる ・性別や年齢、障害、経済・地域事情等の違いによって、スポーツ活動の開始や継続に差が生じないような社会の実現や機運の醸成を図る。 (4) 障害者スポーツ振興方策に関する検討チーム報告書 文部科学省において、東京オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーとして、スポーツを通じた共生社会の実現に向けた取組をより一層進めるため、「障害者スポーツ振興方策に関する検討チーム」を設置し、障害者スポーツの振興方策について議論されました。同検討チームにおいて、令和4年8月に示された基本的な考え方・方向性は以下のとおりです。 ・健常者と障害者のスポーツを可能な限り一体のものとして捉え、「ユニバーサルスポーツ」の考え方を施策全般において推進 ・障害者スポーツの普及に当たっては、障害者のスポーツへのアクセスの改善に向けて、DX等の活用も含め、多面的に取り組む ・アスリートの発掘・育成・強化に当たっては、地域の環境整備を進めるとともに、競技成績への影響が大きいクラス分け機能を大幅に強化することが必要 ・施策展開の前提として、一般的に脆弱とされる障害者スポーツ団体の組織基盤の強化や地方公共団体の体制整備に向けた改革が急務 3 本市障害者スポーツ振興施策に関連する計画 (1) 大阪市スポーツ振興計画 本市では、令和4年度からの第2期大阪市スポーツ振興計画を策定し、「誰もがスポーツを楽しめる元気あふれる大阪のまちをめざします」を基本理念として掲げ、SDGsの達成にスポーツで貢献していくこととし、同計画に基づく施策を総合的に推進しています。 同計画では、「健康・生きがい」「活力」「コミュニティ」の3つの目標と、それに基づく指標を設定し、様々な取組を実施することとし、障害者スポーツに関しては、障害のある人へのスポーツを始めるきっかけづくりや習慣化、障害者スポーツや障害への理解促進に取り組み、誰もがともに楽しめる機会や環境づくりに取り組むこととしています。 (2) 大阪市障害者支援計画 令和3年度に策定した大阪市障害者支援計画では、障害者基本法(昭和45年法律第84号)における「全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものである」との理念に基づき、これまでの取組や障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)の趣旨等を踏まえ、同計画に基づく施策を総合的に推進しています。 同計画では、「個人としての尊重」「社会参加の機会の確保」「地域での自立生活の推進」の3つを基本方針として様々な取組を実施することとしています。障害者スポーツに関しては、障害のある人が心豊かな地域生活が送れるよう、障害のある人もない人も誰もが身近な地域でスポーツを一緒に親しみ楽しめる機会や環境づくりに取り組んでおり、さらなる障害者スポーツ振興を通じて、障害のある人の社会参加や障害のある人に対する理解を促進していくことが重要としています。 4 市内障害者の状況等 (1) 障害者手帳所持者数の推移 令和3年度末の市内の障害者手帳所持者数は212,788人で対人口比7.8%となっています。 身体障害者手帳の所持者数を除き、年々増加しており、全国も同様の傾向にあります。 (グラフ省略) (2) 障害者のスポーツの状況等 ア 障害者のスポーツ実施率 令和1年度における市内障害者(成人[当時の20歳以上])の週1回以上のスポーツ実施率は31%(全国平均25.3%)であり、全国平均を上回るものの、国のスポーツ基本計画に掲げる目標である週1回以上40%、年1回以上70%には未到達となっています。 また、約半数の障害者がスポーツを全く行っていないことが判明しました。 ※ 最新の状況は、令和4年12月頃に障害者等基礎調査の中で把握予定。 (グラフ省略) イ 障害者スポーツ指導員 障害者スポーツ指導員は、公益財団法人日本パラスポーツ協会及び加盟団体等が公認障害者スポーツ指導者制度に基づき資格認定する指導者であり、身近な地域における障害者スポーツをささえる人材として重要な役割を担っています。 本市では、令和1年度から各区スポーツ施設の職員を対象とした指導者の養成に取り組み、最近では登録者数が増えています。 (グラフ省略) ※ 令和3年度末登録者数 大阪市455人、全国25,953人 5 本市の障害者スポーツ振興施策 (1) 障害者スポーツセンターの運営(指定管理事業) 長居・舞しま障害者スポーツセンターにおいて、専門性の高い指導員を配置し、スポーツ指導にあたるほか、スポーツ教室など各種講習会を開催するなど、障害者に対する各種のスポーツ及びレクリエーション活動の機会を提供しています。 (2) 障害者スポーツ振興事業(委託事業) 障害者スポーツの普及と市民の障害への理解を深めるため、市障害者スポーツ大会や地域親善交流会等を開催するほか、身近な地域における障害者スポーツ活動をささえる障害者スポーツ指導者の養成などに取り組んでいます。 (3) 国際親善女子車いすバスケットボール大阪大会(共催事業) 障害者スポーツの普及をめざし、国際交流に資するため、世界の強豪女子チームが参加する車いすバスケットボール競技大会を開催しています。 (4) 障害者スポーツ振興ふるさと寄附金 大阪市障害者スポーツ振興の取組を知ってもらい、応援してもらう仕組みづくりとして、ふるさと寄附金(納税)制度を設けています。 (5) 各区における障害者スポーツ振興の取組 各区役所と地域団体等が連携し、障害者スポーツ振興の取組を推進するとともに、そうした取組を通じて、障害や障害者スポーツへの理解促進のための周知及び啓発に取り組んでいます。 ? 6 障害者スポーツセンターの概要 (1) 施設の概要 ア 設置根拠条例 大阪市障害者スポーツセンター条例(平成17年条例第119号) イ 設置目的 障害者に対し、スポーツ及びレクリエーション活動の機会を提供するとともに、障害者のスポーツに関する講習会等を開催することにより、障害者の自立と社会参加を促進し、もって障害者の福祉の増進に寄与することを目的としています。 ウ 各施設の概要 ■ 長居障害者スポーツセンター 所在地 大阪市東住吉区長居公園1番32号 開設 昭和49年5月2日 敷地、延床面積 13,273平方メートル、8,503平方メートル 構造 鉄骨及び鉄筋コンクリート造2階建て、一部平屋建て 主な施設機能 体育室、トレーニング室、プール、卓球室、ボウリング室、屋外運動場、会議室、研修室 ■ 舞しま障害者スポーツセンター 所在地 大阪市此花区北港白津二丁目1番46号 開設 平成9年10月1日 敷地、延床面積 18,120平方メートル、14,374平方メートル 構造 鉄筋コンクリート造(一部鉄骨)6階建て 主な施設機能 アリーナ、トレーニング室、プール、卓球室、ボウリング室、多目的広場、会議室、宿泊研修施設 (2) 主な実施事業 大阪市障害者スポーツセンター条例第3条に基づき、両センターでは、次の4つの柱に基づく事業を実施しています。 ア スポーツ活動の機会の提供 ○ 個人・団体利用者のスポーツ指導等 ・専門性の高い指導員を配置し、利用者の障害や健康状態、目的に応じた指導を実施しています。 ○ スポーツクラブの育成と支援 ・スポーツを通じた仲間づくりや技術の向上、スポーツ活動の場として、公認スポーツクラブ制度を設け、その活動の育成や支援をしています。 イ 各種講習会の開催 ○ スポーツ教室事業 ・障害のある人とその家族・友人がスポーツ及びレクリエーション活動に親しみ、健康で豊かな生活を送ることができる機会を提供するため、各種スポーツ教室を開催しています。 ○ スポーツ・レクリエーション交流事業、文化交流事業 ・日頃の成果を示す場として、競技スポーツ大会や仲間づくり、健康の維持増進、スポーツの生活化を進めるため、スポーツ・レクリエーション交流事業等を開催しています。 ウ 人材育成 ○ 障害者スポーツ指導者の養成 ・障害者スポーツをささえる人材を育成するため、スポーツ推進委員や区スポーツ施設等の指定管理者の職員を対象に障害者スポーツ指導員資格を取得するための講習会を開催しています。 ○ ボランティア等の育成 ・障害者スポーツセンターが実施する事業について、ボランティア活動の機会を提供するほか、大学生・専門学校生などの実習の受入を実施しています。 エ 普及啓発 ○ 障害の理解講座 ・障害のある人とその家族のみならず、市民の障害への理解を深めるために、障害とスポーツとの関わりなどについて、障害当事者の体験やリハビリテーション等の医学的な知見をわかりやすく解説する講座を開催しています。 ○ 情報発信 ・障害者スポーツセンターだよりの発行、ホームページや公式LINEを通じて、実施事業の周知や障害者スポーツに関する情報を発信しています。 【参考】大阪市障害者スポーツセンター条例(抜粋) (事業) 第3条 センターは、前条の目的を達成するため、次に掲げる事業を行う。 (1) 障害者に対する各種のスポーツ及びレクリエーション活動の機会の提供 (2) 障害者のスポーツに関する各種講習会の開催その他障害者のスポーツの指導 (3) 障害者のスポーツの振興を担う人材の育成 (4) 障害者のスポーツに関する普及啓発 (5) その他市長が必要と認める事業 (3) 利用状況 ア 開館からの延利用者数の推移 長居障害者スポーツセンターでは、平成21年度以降、概ね35万人の利用者数で推移しており、舞しま障害者スポーツセンター(スポーツ施設)では、平成17年度以降、概ね25万人の利用者数で推移しています。舞しま障害者スポーツセンターの宿泊・研修施設では、周辺地域における宿泊施設の増加に伴い、平成28年度をピークに利用者数が年々減少しています。 新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、令和1年度末頃から長居・舞しまのスポーツ施設及び舞しまの宿泊・研修施設いずれも利用者数が大幅に減少しています。(直近5年間の利用者数について巻末の参考資料2に記載) (グラフ省略) イ 障害種別における利用者数の推移(個人利用・延人数) 長居・舞しま障害者スポーツセンターともに、近年では、身体障害者よりも知的障害者の利用が多くなっています。 (グラフ省略) ウ 地域別の利用状況(個人利用・実人数) 長居障害者スポーツセンターでは約3割、舞しま障害者スポーツセンターでは約5割が市外利用者となっています。(※令和1年度個人利用の障害者実人数) (グラフ省略) (4) 運営収支 ア スポーツ施設使用料収入(大阪市の歳入[指定管理者に徴収委託]) ■ 長居障害者スポーツセンター 667千円から122千円 ※新型コロナウイルス感染症の影響により減少 ■ 舞しま障害者スポーツセンター 2,282千円から509千円 ※同上 ※ 個人利用:大阪府内に住所を有する障害者、介護人は無料   団体利用:大阪府内に住所を有する障害者で構成する団体で、その構成員が2分の1以上で無料、10分の1以上・2分の1未満の場合は半額 イ 指定管理者の収支決算 長居・舞しま障害者スポーツセンターの合計 業務代行料 毎年約6.4億円(うち長居2.9億円、舞しま3.5億円) 7 周辺施設及び他都市の障害者スポーツ施設の状況等 この基本構想において、施設の建築計画等を検討するため、現在の障害者スポーツセンターの機能と類似する周辺施設及び他都市の障害者スポーツ施設の状況等について調査を実施しました。 (1) 類似する周辺施設の状況 ア 障害福祉施設 ○ 公共施設 ・広く市民が利用する施設 障害のある人の自立と社会参加の促進を目的として、東住吉区に早川福祉会館を設置 ・支援を受ける人が特定される施設 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)などに基づき、此花作業指導所(此花区)、敷津浦学園(住之江区)、心身障害者リハビリテーションセンター(更生療育センター)(平野区)を設置 ○ 民間施設 市内には、指定障害福祉サービス事業所、指定障害者支援施設、指定一般・特定・障害児相談支援事業所、指定障害児の通所支援事業所、入所施設が多数存在します。 イ スポーツ施設 ○ 公共施設 各区スポーツセンター、各区プール・トレーニング室等 スポーツやレクリエーションの場を提供し、市民の健康維持や増進を目的として、各区にスポーツセンター、プール等を設置 その他競技施設等 ヤンマースタジアム長居、ヨドコウ桜スタジアム、丸善インテックアリーナ大阪、丸善インテック大阪プール、ITC靭テニスセンターなど、国際的な競技大会などにも対応した施設のほか、様々な施設を設置 ○ 民間施設 市内には、民間事業者が運営するトレーニングジム、フィットネスクラブが多数存在しており、最近では、利用者の様々な目的やニーズに対応したパーソナルジムや24時間型ジムなどが増えるなど、多様化しています。 その他、スイミングスクール、卓球スクール、ボウリング場、テニス場、フットサルコート、ゴルフクラブなども存在しています。 ウ 宿泊施設 市内には、旅館業法(昭和23年法律第138号)の許可を受けた施設が1,700程度、特区民泊施設と住宅宿泊事業の施設等が4,800程度存在しています。 (※ 大阪市健康局健康推進部生活衛生課の旅館業等の施設一覧[令和4年9月]より) (2) 障害者スポーツセンター及び各区スポーツ施設の比較 ア 各施設における利用状況の比較 障害者スポーツセンター、全区のプール・トレーニング室における「障害者」・「介護人」の利用者数の合計を比較したところ、区プール・トレーニング室では、障害者スポーツセンターに比べて「介護人」の割合が低く、1人での利用が多い傾向となっています。 ※ 長居・舞しま障害者スポーツセンター 障害者351千人、介護人186千人   区プール・トレーニング室 障害者306千人、介護人39千人 イ 障害種別における利用の内訳 区プール・トレーニング室を利用する障害のある人について、身体障害者が約7割であり、概ね手帳所持者の割合と比例しています。一方で、障害者スポーツセンターでは、長居・舞しまともに、知的障害者が最も多く、とりわけ、舞しまでは半数以上となっています。 (グラフ省略) ウ 障害種別における利用割合 各障害種別ともに、長居・舞しま障害者スポーツセンターでは、区プール・トレーニング室と比べ、重度の障害者の割合が高い傾向にあります。 (グラフ省略) (3) 他都市の障害者スポーツ施設の状況 ア 設置状況 令和2年度の調査では、全国には150の障害者専用・優先スポーツ施設が存在しています。 (※公益財団法人笹川スポーツ財団「障害者専用・優先スポーツ施設に関する研究2021」より) 横浜市では、障害者スポーツ文化センター横浜ラポールを設置しており、東京2020パラリンピック競技大会の開催を契機として、新たに「障害者スポーツ文化センターラポール上大岡」を令和2年1月にオープンしました。名古屋市では、名古屋市障害者スポーツセンター、名古屋市福祉スポーツセンターを設置しており、今後新たな障害者スポーツセンターの整備に向けて、令和4年度に基本計画を策定する予定です。また札幌市では、札幌市身体障害者福祉センターを設置しており、2030年の冬季五輪の招致に向けて、新たな障害者スポーツセンターの整備をめざし、令和5年度に基本構想を策定する予定です。 イ 主要な施設のしょ室・機能の比較 他都市の主要な障害者スポーツ施設では、基本的な機能として、体育室、プール、トレーニング室を有しています。 (比較表省略) ※ 障害者の施設使用料(神戸市以外は無料、ただし、横浜市はボウリングのみ200円/ゲームを徴収) ※ 神戸市は、障害者の施設利用料は一般の半額(土曜日のみ障害者専用利用日として無料) (4) 国内で今後開催される障害者スポーツ大会等 国内では、2024年に世界パラ陸上競技選手権大会が兵庫県神戸市で、2025年にはデフリンピックが東京都で、2026年にはアジアパラ競技大会が愛知県・名古屋市でそれぞれ開催される予定です。 その他、札幌市では2030年冬季五輪の招致活動が進められています。 8 建替えに関する利用者ニーズ 令和3年11月の戦略会議における建替えの方向性の決定を踏まえ、建替え後の施設や設備及び規模等を検討することを目的として、令和4年2月から3月にかけて利用者等へのアンケート調査を実施し、建替えに関する利用者の主な意見について整理しています。 (1) 建替え後の機能・サービス等に関するニーズ ア スポーツ施設 (ア) 現在の長居障害者スポーツセンターにある機能 ■ 利用者が改善をしてほしいと意見のあった主なもの 施設全体 規模の拡大、大人・こども用のスペース分け、競技種目の対応への拡充 体育室 木製等の床、バスケットコート2面への変更、ランニングコースの設置 プール 水深を一定、コースの増加、こども用プール、ジャグジーの設置、飛び込みができる場所の確保 トレーニング室 部屋の拡大、器具の充実 卓球室 部屋の拡大、サウンドテーブルテニス室の新設 ボウリング室 レーン数の増加、器具拡充(視覚障害者用ボールの導入等) 小体育室 サッカースペースの設置やトランポリン等の器具の充実 プレイルーム こども用遊具等の設置 アーチェリー場 50m撃への対応 (イ) 現在の長居障害者スポーツセンターにない機能 ■ 利用者が導入してほしいと意見のあった主なもの 屋内施設 ボッチャ専用コート、スタジオ、eスポーツ、カーリング、ダーツ、ビリヤード、ボルダリング、リハビリ施設、団体用の用具倉庫 など 屋外施設 ランニングコース(自転車含む)、屋外グラウンド(野球・フットサル、投てき種目等)、スケートボード、テニスコート、乗馬 など イ 共用施設 ■ 利用者が改善又は導入してほしいと意見のあった主なもの 会議室 多しょ室整備・拡大や防音対策、運動ができる空間 ラウンジ レストランの再開、軽食スペース・休憩室の設置 ロビー・通路 設備改善(点字ブロック、スピーカー、照明、換気機能等)、通路幅拡大、   階段の安全性向上、エレベーター増設 更衣室 個室化や増設、家族更衣室やセキュリティ等の設備の充実、お風呂、サウナの導入 トイレ 箇所数の増、個室拡大、共用トイレ整備、こども用トイレ設置、設備の充実(音声案内、背もたれ、ウォシュレット、空調、介助への配慮、ベッド) 駐車場 歩車分離、車いす使用者用駐車場の増設、台数増加、駐車スペースを広げる、屋根付き・地下化 その他 有料施設、ベビールーム、給湯室、複数の出入口、避難用設備の充実、宿泊施設、コンサートホール、視覚障害者の資料閲覧スペースの導入 ウ サービス 予約や利用方法の改善、デジタル化の充実、わかりやすい情報発信、スポーツ教室やイベントの充実などに関する意見がありました。 (2) 建替え場所に関するニーズ 現在の長居障害者スポーツセンターがある長居公園内での建替え、また、工事期間中においても継続して施設を利用できることを望む意見が多くありました。 9 障害者スポーツ振興、障害者スポーツセンターの課題と方向性 これまで現状等から次のとおり課題と、その方向性の概要を示し、第4章以降で本市の考え方等を整理・検討します。 (1) 障害者スポーツ振興の課題 ○ 障害の種別や程度に関わらず、誰もがスポーツに参加する機会の確保 → 個々の障害特性、スポーツの目的等により利用する(しやすい)施設は様々であり、市内障害者のスポーツ実施率の状況等を踏まえつつ、多様な主体との連携により、身近な地域におけるさらなる障害者スポーツ振興が図られるよう検討します。 ○ 障害者のみならず、社会全体に障害者スポーツを普及していく仕組みづくり → 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の開催を通じた障害者スポーツへの関心の高まりを契機として、障害者スポーツに関わる「する」・「みる」・「ささえる」人を増やし、障害者スポーツが持つ価値を多くの人々が共有し、意識が変化することで、障害への理解が促進し、共生社会の実現につながるよう検討します。 (2) 障害者スポーツセンターの機能面に関する課題 ○ 利用ニーズ等の多様化による機能面への対応 → 施設の利用状況やニーズを踏まえ、必要なしょ室・機能を検討します。 ○ 利用者数の増加や感染症対策の実施に伴う狭隘化への対応 → 上記と同様に利用状況等を踏まえ、最適な規模を検討します。 ○ 障害のある人・ない人との交流の機会の創出 → 建替え後の施設のコンセプト等を踏まえ、しょ室・機能と実施事業を検討します。 ○ 持続可能な施設に向けた利用者負担のあり方の検討 → 障害者基本法の趣旨等を尊重しつつ、概算事業費などを精査しながら利用者負担のあり方について今後検討します。 ? ? 第3章 社会環境の状況等 1 社会環境の状況 (1) 持続可能な開発目標SDGs(エスディージーズ)との関連性 持続可能な開発目標 エスディージーズとは、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された2016年から2030年までの国際目標であり、「誰一人取り残さない」社会の実現をめざすものとして、包括的な17の目標が設定されています。 国連では、スポーツが社会の進歩に果たす役割は、「スポーツもまた、持続可能な開発における重要な鍵となるものである。我々は、スポーツが寛容性と尊厳を促進することによる、開発および平和への寄与、また、健康、教育、社会包摂的目標への貢献と同様、女性や若者、個人やコミュニティの能力強化に寄与することを認識する。」と示されており、SDGsの17項目それぞれの達成に向けた課題に取り組む潜在的能力を備えた重要かつ強力なツールとして、スポーツがその役割を果たすことが期待されています。 本市では、エスディージーズ未来都市として、エスディージーズの要素を最大限反映し、2030年のエスディージーズの達成に向けた取組を促進していくこととしており、さらなる障害者スポーツの振興を通じて、その達成に貢献していく必要があります。 (2) 社会情勢 ア 人口減少、超高齢化社会 人口減少時代に突入したことを受け、国においては、「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」を策定し、将来にわたって「活力ある 日本社会」を維持することを将来の方向性としています。 本市においても、近年増加傾向にあった人口は今後減少に転じ、人口減少・高齢化が進展し、2045年には約250万人(2015年に比べマイナス7.1%)にまで減少することが見込まれています。出典:大阪市人口ビジョン(令和2年3月改定) イ カーボンニュートラル 令和2年10月に政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」をめざすことを宣言しました。 本市においても、2050年「ゼロカーボンおおさか」の実現を長期目標に掲げ、2030年度までに温室効果ガス排出量を30%削減(2013年度比)することを目標に地球温暖化対策の取組みを進めています。 ※ カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させることを意味します ウ デジタル社会 デジタル技術の進展によりデータの重要性が飛躍的に高まる中、障害の有無、年齢、所得、地域、国籍等にかかわらず、いつでも、どこでも、デジタル化の恩恵を享受できる、「誰一人取り残されない」デジタル社会の実現に向けて、令和4年6月にデジタル庁において、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が策定されました。 第3期スポーツ基本計画では、スポーツ界においてDXを推進することで、様々なスポーツに関する知見や機会を国民・社会に広く提供することを可能とし、スポーツを「する」「みる」「ささえる」の実効性を高めることを政策目標としています。 本市では、日々進歩するデジタル技術やデータを活用し、大胆に業務を見直すことによって、行政サービスの向上と徹底した業務効率化を図るDXを進めていくため、「大阪市DX戦略(仮称)」を策定する予定であり、その戦略の策定に向け、令和4年4月に「Re-Designおおさか 〜大阪市DX戦略の基本的な考え方〜」を策定しました。 2 戦略会議の方向性と建替えに向けた今後の検討の留意事項 (1) 戦略会議の方向性 令和3年11月の戦略会議において、長居障害者スポーツセンターの老朽化の対応として、建替えを行うことを決定しました。 現行の2館体制のあり方については、将来の施設需要を勘案しながら長居障害者スポーツセンターの建替え完了後、5年を目途に利用状況や社会経済状況を踏まえ、改めて検討を実施することとしています。 (2) 今後の留意事項 建替えに向けて、詳細な検討を行うに際して留意すべき検討事項を示しています。 @ 建替え用地の検討 長居公園内において建替える場合には、建築基準法等による日影規制、都市公園法等による建蔽率の規制等について事前把握する必要がある A 建替え時の施設計画における機能確保の検討 建替え工事期間中においても継続してスポーツができるよう配慮する必要がある。 感染症対策や、将来的な障害者スポーツのニーズの変化等にも機動的に対応できる持続可能な施設計画とするべきである B 他施設との複合化等の検討 地域特性や施設特性を勘案しながら、他施設との複合化や多機能化により、効率的な施設整備に努める必要がある C 整備・運営手法の検討 PFI手法の導入など民間活用の可能性を積極的に検討する必要がある ライフサイクルコストの低減化を図る必要がある D 適切な利用者負担のあり方の検討 障害者基本法第24条の趣旨を踏まえつつ、市外の利用者割合の状況から、適切な利用者負担のあり方について検討をしていく必要がある 3 施設整備に関連する本市の主要な計画、指針・施策等 上記2(2)とともに、施設整備に関連して留意すべき主な計画等を示しています。 (1) 市政改革 【市政改革プラン3.1】 ア PPP/PFIの活用促進 限られた財源を有効に活用し、最適な公共サービスを効率的かつ効果的に提供していくため、官民の最適な役割分担のもと、コスト削減やサービス向上が期待できるものは、PPP/PFIなどの民間活力の活用の積極的な検討・導入につなげる必要があります。 イ 持続可能な施設マネジメントの取組の推進 将来の人口推移などを見据え、施設利用者の安全・安心を確保しつつ、持続可能な施設マネジメントの取組を推進していく必要があります。 ウ 市民利用施設に係る手続きの利便性向上 施設利用手続き等において、オンライン化による利便性を向上する必要があります。 (2) 施設マネジメント 【大阪市公共施設マネジメント基本方針】 ア 規模の最適化 施設の複合化・多機能化による効率的な施設整備を進め、余剰地の売却や管理の一元化による維持管理費の縮減のほか、効率的かつ効果的な施設の整備や維持管理、運営と良質なサービスを提供するため、PPP/PFI手法も含めた民間活力の導入の検討を進めていく必要があります。 イ 予防保全による長寿命化 適切な維持管理を実施し、長期的なコストの縮減・平準化を図るとともに、施設を長期に利活用するため、利用者の安全確保に努め、施設の長寿命化を推進していく必要があります。 ウ 多様なコスト縮減手法 省エネルギー化やZEB(ゼブ)化に向けて、再生可能エネルギーやエネルギーの有効利用など、様々な環境配慮技術について、経済性や施設特性も考慮し、導入の検討を進めていく必要があります。 (3) 環境 【大阪市地球温暖化対策実行計画】 2050年ゼロカーボンおおさかの実現に向けて、大阪市公共施設マネジメント基本方針に基づき、公共施設の省エネルギー・省CO2化の推進、公共施設のZEB(ゼブ)化の検討を行う必要があります。 (4) 緑化 【新・大阪市緑の基本計画】 みどりの魅力あふれる大都市・大阪の実現に向けて、施設整備においても、緑化推進及び緑地保全による景観形成、防災・減災、環境保全・改善に貢献する必要があります。 (5) デジタルトランスフォーメーション(DX) 【Re-Designおおさか 〜大阪市DX戦略の基本的な考え方〜】→【大阪市DX戦略(仮称)】 データやデジタル技術の活用を前提に、社会環境の変化に的確に対応し、一人ひとりの多様な幸せ(Well-being)を実感できる都市への発展の実現に向けて、行政サービスの向上と徹底した業務効率化を図るDXを推進していく必要があります。 ? 4 マーケットサウンディング(市場調査)の結果概要 本市では、障害者スポーツセンターの整備や運営等に関して、基本構想の検討段階から民間事業者の自由な発想に基づく幅広い事業提案を求め、その提案内容を踏まえながら、基本構想を策定し、民間活力の導入によるサービスの向上と経費の縮減等が図られるよう、今後の条件整備に役立てることを目的としてマーケットサウンディング(市場調査)を実施しました。 (1) 実施スケジュール ・実施要領の公表 令和4年6月22日(水) ・説明会の開催 令和4年7月11日(月)・12日(火) ・参加申込書・提案書の提出期限 令和4年8月17日(水) ・対話(ヒアリング)の実施 令和4年8月23日(火)〜25日(木) (2) 実施結果の概要 ア 説明会参加事業者  14者 イ 対話参加事業者 9者(建設関係事業者6者、設計関係事業者2者、施設運営事業者1者) ウ 提案及び対話の内容(概要) ■ 施設の整備・運営への参入意欲等 ・各事業者ともに、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の整備や運営に関して、 参入意欲があることを伺うことができました。 ■ 整備・運営に関するアイデアの提案 ◎ 導入するしょ室・機能、自主事業(便益施設)について ・導入するしょ室・機能について、スポーツ施設や共用施設に関して、事業者によって様々なアイデアの提案がありました。 ・自主事業について、飲食、カフェ、物販のほか、サービスに関して、事業者によって様々なアイデアの提案がありました。 ・新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)に宿泊室を導入することについて、各事業者ともに市場性は低いとの意見でした。 ◎ 整備場所について ・現在の長居障害者スポーツセンターを運営しながら現地で建替える場合は、工期が長期化し、そのことに比例して工事費が増嵩するほか、安全対策に相当な配慮が必要であり、休止せざるを得ない機能もあるなど、様々な課題があることから、移転建替えの方がサービス、コスト面ともに良いのではないかと各事業者から意見がありました。 ■ 最適な整備・運営手法 ・設計・施工分離の従来型方式、PFI方式、デザインビルド方式、ECI方式など、事業者により最適な整備・運営手法は様々でありました。 ・運営事業者を先行して選定し、その意見を反映しながら設計していくことは、利用者にとって使いやすい施設となり、より効果的・効率的な整備・運営が可能となるのではないかとの意見がありました。 ■ その他 ・最近の社会情勢により、人件費・物件費が増嵩するほか、建設資材の発注から納入までの期間の長期化、2024年度から建設工事における週休2日の確保の義務化も相まって、工期を従前より長く確保する必要があるのではないかと、様々な事業者から意見がありました。 ? 第4章 基本構想の基本的な考え方 1 基本理念・コンセプト 「第2章 障害者スポーツの現状と課題」と「第3章 社会環境の状況等」を踏まえ、建替え後の「新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)」のめざすべき方向性を示した基本理念、基本コンセプトを次のとおり示します。 ■ 基本理念 みんながたのしみ、つながる障害者スポーツセンター ■ 施設の5つの基本コンセプト ○ 障害のある人がいつ一人で来ても、安心してスポーツを楽しむ事ができる これまでの「いつ一人で来館しても指導員や仲間がいて、安心していろいろなスポーツを楽しむ事ができる」という基本方針を継承し、専門性の高い指導員を配置しながら多彩なメニューを展開のうえ、健康づくりから競技力の向上まで幅広いニーズに対応することで、障害のある誰もが気軽に安心してスポーツを楽しむ事ができる施設をめざします。 ○ 障害者スポーツを通じて、障害のある人とない人とが交流できる これまでの障害者専用施設としての運営、立地する長居公園で育まれてきた施設や仲間づくりの機能を重視しつつ、障害のある人同士やその家族間との交流はもとより、障害のある人とない人との交流、障害者スポーツへの関心を高めるための機能を新たに追加し、共生社会の実現に向けた施設をめざします。 ○ みんなでつくり、ささえあい、はぐくむことができる これまでの障害者スポーツ指導員等の育成拠点としての機能強化や、障害者スポーツに取り組む人の自主性・自律性を促進することで、サービスの提供を受けるに留まらず、みんなが障害者スポーツ振興の取組に主体的に参画できる施設をめざします。 ○ デジタル技術の活用を前提に、質の高いサービスを提供する これまで実施してきたサービスは踏襲しつつ、今後はデジタル技術を活用し、予約等の利便性を図るとともに、最近のスポーツ分野におけるデジタル技術の進展を踏まえ、例えばVR・AR、AI、アプリの活用などによりDXを推進し、様々な状況下や時代の変化においても、誰もがいつでも・どこでもスポーツを親しむ事ができる質の高いサービスを提供できる施設をめざします。 ○ 環境に配慮しながら、持続可能な施設マネジメントを推進する 省エネルギー・省CO2化に対応した設備の導入、緑化の推進等により環境面への配慮をしつつ、民間活用を積極的に検討のうえ、良質なサービスの提供とともに、効率的な整備や維持管理、運営により適切な維持管理を実施し、利用者の安全・安心はもとより、ライフサイクルコストの低減化を図りながら、施設の長寿命化を推進し、将来にわたって持続可能な施設をめざします。 2 コンセプトを踏まえた基本的な整備方針 ○ 障害のある人がいつ一人で来ても、安心してスポーツを楽しむ事ができる ・ユニバーサルデザインを徹底追求した「みんなにやさしいスポーツ施設」の整備 ・これまでのつながりを大切にした「継続性のある施設」の整備 ○ 障害者スポーツを通じて、障害のある人とない人とが交流できる ・立地を活かし、「様々な人々が自然に交流できる施設」の整備 ・誰もが気軽に障害者スポーツに触れ、理解が深まるよう「体験できる施設」の整備 ○ みんなでつくり、ささえあい、はぐくむことができる ・施設の利用やクラブ活動の育成を通じて、「自主性・自律性を促進することができる施設」の整備 ・指導者やボランティアなど、ささえる人を育成し、「みんなが参画できる施設」の整備 ○ デジタル技術の活用を前提に、質の高いサービスを提供する ・予約等のデジタル化を図り、「利便性の高い施設」の整備 ・DXを推進した「先進的なスポーツ施設」の整備 ○ 環境に配慮しながら、持続可能な施設マネジメントを推進する ・ゼロカーボンおおさかの実現に貢献する「未来に誇れる施設」の整備 ・サービス、安全・安心を前提に、ライフサイクルコストを意識した「持続可能な施設」の整備 3 施設が果たすべき役割と今後の方向性 上記の基本理念・コンセプト等のもと、戦略会議の方向性を踏まえつつ、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)が本市障害者スポーツ振興の中核的な拠点施設として、各区のスポーツ施設をはじめとする地域の多様な主体と連携し、障害者スポーツを通じた「共生社会の実現」をめざします。 現在 長居・舞しま両センターが拠点施設として連携しながら事業を展開 建替え後 長居障害者スポーツセンター 本市障害者スポーツ振興の中核的な拠点施設 舞しま障害者スポーツセンター 建替え完了後5年を目途に改めて2館体制のあり方を検討 4 施設の名称 (1) 正式名称 現時点では、「大阪市長居障害者スポーツセンター(仮称)」とし、正式名称は今後検討します。 (2) 施設の愛称等 舞しま障害者スポーツセンターは、「アミティ舞しま」の愛称で呼び親しまれており、アミティ(Amity)は英語で「親睦・友好」を意味しています。新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)についても、正式名称の決定の際に合わせて愛称等を市民から公募する方法又はネーミングライツにより得られた収入を施設のサービスの充実に活用することなどについて今後検討します。 なお、ネーミングライツについては、従来の金銭による対価に限らず、例えば、清掃などの「役務提供」や、「施設で利用可能な物品の提供」など、金銭に代わる民間事業者等が持つノウハウやアイデアを活かした様々な提案型の対価の可能性についても検討します。? ? 第5章 建築計画の考え方 1 建築計画の基本的な考え方 本市の障害者スポーツセンターでは、これまで専門性の高い指導員を配置し、安心してスポーツを楽しむ事ができる場所を提供し、特に、重度の障害のある人、知的障害のある人から高いニーズがあります。新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の建替えに際しては、これまでの利用状況やニーズとともに、将来のニーズの変化等にも機動的に対応可能な建築計画とする必要があります。 令和3年11月の戦略会議の方向性にあるとおり、将来的には人口減少に転じることが想定されていることから、現行の2館体制のあり方については、建替え完了後5年を目途に利用状況や社会経済状況を踏まえ改めて検討することとしています。 そうしたことを踏まえ、本章では、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)が本市障害者スポーツ振興の中核的な拠点施設としての役割を果たし、様々なニーズ等に対応できるよう、舞しま障害者スポーツセンターの機能も考慮のうえ、また将来の施設需要を勘案しながら、必要なしょ室・機能、適正な規模、整備場所などの基本的な考え方を建築計画として取りまとめます。 2 現在のしょ室の利用状況等 (1) 様々なスポーツ競技種目への対応状況 ア 障害者スポーツセンターにおける東京2020パラリンピック競技大会種目への対応状況 車いすバスケットボール、車いすラグビー、ゴールボール、シッティングバレーボール、ボッチャ、バドミントンは、屋内競技(体育室・アリーナ)で対応が可能 車いすフェンシング、テコンドーは、屋内競技(体育室・アリーナでの利用は可、用具はなし) 卓球は、屋内競技(卓球室、体育室・アリーナ)で対応が可能 パワーリフティングは、屋内競技(トレーニング室)で対応が可能 柔道は、屋内競技(遊戯室)で対応が可能 水泳は、屋内競技(プール)で対応が可能 陸上競技は、屋外競技(体育室・アリーナ等での練習は可) トライアスロンは、屋外競技(体育室・アリーナ、プール等での練習は可) 自転車競技は、屋外競技(トレーニング室等での練習は可、用具はなし) 車いすテニスは、屋外競技(体育室での利用は可) 5人制サッカー、アーチェリーは、屋外競技(屋外広場[体育室・アリーナでの利用も可]) 射撃、馬術は、屋外競技(場所・用具ともになし) カヌーは、水上競技(舞しまが体験用カヌーを保有) ボートは、水上競技(用具なし) イ 障害者スポーツセンターにおける全国障害者スポーツ大会種目への対応状況 車いすバスケットボール、バスケットボール、バレーボール、ボッチャ(一部再掲)は、屋内競技(体育室・アリーナ)で対応が可能 卓球(再掲)は、屋内競技(卓球室、体育室・アリーナ) 水泳(再掲)は、屋内競技(プール) ボウリングは、屋内競技(ボウリング室)で対応が可能 陸上競技(再掲)は、屋外競技(体育室・アリーナ等での練習は可) アーチェリー(再掲)、フライングディスクは、屋外競技(屋外広場[体育室・アリーナでの利用も可]) グランドソフトボール、フットベースボール、ソフトボール、サッカーは、屋外競技(屋外広場、体育室・アリーナでの練習は可) ウ その他利用ニーズの高い主なスポーツ種目への対応状況 ウオーキング、ランニング、筋力トレーニングは、屋外、屋内(トレーニング室での利用は可) 体操、ダンス、社交ダンス等、ヨーガ、ピラティスは、屋内(体育室・アリーナ、会議室等)で対応が可能 (2) 現在の各しょ室の利用者数から想定される平均的な滞在者数 必要なしょ室・機能等を検討するため、現在の両センターにおける利用状況から、開館時における平均的な滞在者数を想定します。 (主なものを記載) 体育室:長居・舞しまともに稼働率100%、平均的な滞在者数長居38.4人、舞しま18.5人 トレーニング室:長居17.9人、舞しま7.1人 会議室:長居の稼働率平均60%(平日夜間40から休日昼間90%)、平均的な滞在者数1室当たり13.1人(1室定員40人)     舞しまの稼働率平均40%(平日夜間20から休日昼間70%)、平均的な滞在者数1室当たり14.4人(1室定員40人) (3) 各しょ室の利用者の状況から見た現状の総括 これまで、本市障害者スポーツセンターでは、毎年利用者アンケートを実施し、利用者の声を聴きながら、既存のしょ室・機能の範囲で対応可能なスポーツの種目について、場所の提供、用具の貸出、スポーツの指導に加え、指導者の育成や情報発信などに取り組んできました。 その結果、体育室・アリーナでは、稼働率が高く、様々なスポーツに利用されています。また、プール、卓球室、ボウリング室、トレーニング室も利用者が多い状況にあります。 一方で、会議室については、休日昼間の稼働率は高いですが、平日夜間などは稼働率が低く、定員に対して利用人数の多寡はあるものの、少人数での利用が多いと考えられます。 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)に導入するしょ室・機能について、その利用状況やニーズを踏まえつつ、多様化するニーズやスポーツにも効果的かつ機動的に対応しサービス向上を図るとともに、より効率的な整備を推進していく必要があります。 3 必要なしょ室・機能の検討 本項では、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)に必要なしょ室・機能について方向性を整理します。 その方向性のもと、寸法、素材、設備のほか、様々な障害への配慮や安全対策などについては、今後実施する基本計画や設計などの段階において改めて詳細に検討することとし、その検討に応じて、この基本構想で示すしょ室・機能について変更する場合があります。 (1) 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)に導入するしょ室・機能の方向性と考え方 ア 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)に導入するしょ室・機能 (ア) 現在の障害者スポーツセンターにある機能 まずは、現在の長居障害者スポーツセンターにあるしょ室・機能を基本とし、利用者のニーズ等に対応できるよう、舞しま障害者スポーツセンターの機能も考慮のうえ、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)に導入するしょ室ごとに考え方を整理します。 ○ アリーナ(体育室)【拡充】 【建替えの方向性】 バスケットボールコート1→2面、室内ランニングコースの新設、観覧エリア (その他設計時等に配慮すべき点) コンクリート床を木製又は衝撃吸収性素材に変更、様々な競技施設基準への対応、安全性への配慮 など (方向性の考え方) ・長居・舞しまともに利用者も多く、常時稼働しており、長居の建替えに関する利用者アンケートでは、「コート2面への拡張」、「室内ランニングコースの設置」、「木製床への対応」などの声があります。 ・現在の長居の体育室の主な課題は次のとおりです。 ・1面では、予約、利用者数の状況、大会の開催など、様々なニーズに対応できない ・舞しまでは雨天時にも対応した室内ランニングコースはあるが、長居にはない ・コンクリート床は、木製床に比べて転倒時のけがのリスクが高い など →アリーナ(体育室)は、多くのスポーツ種目に対応が可能であり、汎用性がある機能であるため、様々なニーズに対応できるよう上記の方向性のとおりとします。 (参考:現在の主な機能) 長居:バスケットボールコート1面、観覧エリア、コンクリート床 舞しま:バスケットボールコート2面、観覧エリア、木製床、室内ランニングコース ○ 屋内プール【拡充】 【建替えの方向性】 25m×6から8コース、可動床の新設、車いす入水スロープ、採暖室、 室内観覧エリアから室外観覧エリア 年中利用可能な室内浅型プールの新設 (その他設計時等に配慮すべき点) プール公認規則への対応、水深や安全性への配慮 など (方向性の考え方) ・長居・舞しまともに利用者も多く、長居の建替えに関する利用者アンケートでは、「コース数を増やしてほしい」、「ジャグジーがほしい」「こども用プールの新設」などの声があります。 ・現在の長居のプールの主な課題は次のとおりです。 ・6コースでは利用者数の状況、大会の開催など、様々なニーズに対応できない ・室内プールのフロア台、屋外プールでは水質をきれいに保つことが難しい ・舞しまでは室内にあさ型プール(こども用プール)があり年中楽しめるが、長居の屋外プールは夏季限定 ・室内観覧エリアでは、室温の適切な管理が難しい など →プールは、浮力があり、水泳、水中歩行などは、障害のある人にとっても親しみやすいスポーツであることから、様々なニーズに対応できるよう上記の方向性のとおりとします。 →なお、高温水プール(ジャグジー)については、細かい水滴(エアロゾル)を吸い込むことで感染する可能性のあるレジオネラ症など、衛生管理対策の観点から、必要性について今後検討していきます。 (参考:現在の主な機能) 長居:25m×6コース(うち2コースはフロア台設置)、車いすスロープ、採暖室、室内観覧エリア 舞しま:25m×8コース(公認プール・うち4コースは可動床設置)、車いすスロープ、採暖室、室外観覧エリア、あさ型プール、高温水プール(ジャグジー) ○ トレーニング室【拡充】 【建替えの方向性】 部屋の広さの拡張(210から250平方メートル程度) (その他設計時等に配慮すべき点) 器具の充実、安全性への配慮 など (方向性の考え方) ・長居・舞しまともに利用者も多く、長居の建替えに関する利用者アンケートでは、「部屋の拡張」、「器具の充実」などを求める声があります。 ・現在の長居のトレーニング室の主な課題は次のとおりです。 ・現在の広さでは混雑時に待ち時間が発生している など →トレーニング室は、ストレッチ、筋力トレーニング及び有酸素運動など様々な目的に応じて利用される機能であるため、上記の方向性のとおりとします。 (参考:現在の主な機能) 長居:210平方メートル、舞しま:209平方メートル(各種トレーニング機器を設置) ※ 現在は感染症対策のため、間隔が保てるよう器具を減らしています。 ○ 卓球室【縮小】・サウンドテーブルテニス室【新設】 【建替えの方向性】 一般卓球台6台を4〜5台程度へ、サウンドテーブル専用室(2室)の新設 (その他設計時等に配慮すべき点) 卓球台の間隔、DXの推進による利用の効率化、安全性への配慮 など (方向性の考え方) ・長居・舞しまともに利用者も多く、長居の建替えに関する利用者アンケートでは、「部屋や台同士の間隔の拡張」、「サウンドテーブルテニスができる場所の充実」などを求める声があります。 ・現在の長居の卓球室の主な課題は次のとおりです。 ・現在の台数では混雑時に待ち時間が発生している ・現在の長居にあるサウンドテーブルテニス台は、舞しまのように専用室化されておらず、周囲の音を遮断できないため競技に支障が生じている など →卓球は、人気のある種目であり、部屋の拡張などを求める声もありますが、団体など大人数で利用する場合は、拡充するアリーナで対応するほか、混雑時には共用スペースなどを有効活用することも可能です。 →そのため、上記の方向性のとおり、安全に楽しめる間隔を確保しつつ、常設する一般卓球台は縮小しますが、DXを推進し、利用の効率化を図ることで、これまで以上に多くの人が利用できるよう対応していきます。 →一方で、専用室化したサウンドテーブルテニス室を新設し、空き時間は一般卓球台として併用するなど柔軟に対応していきます。 (参考:現在の主な機能) 長居:一般卓球台6台、サウンドテーブルテニス2台 舞しま:一般卓球台3台、サウンドテーブルテニス室2室 ※ 現在は感染症対策のため、間隔が保てるよう台数を減らしています。 ○ ボウリング室【現状維持】 【建替えの方向性】 4レーン、音声誘導装置、触覚装置等 (その他設計時等に配慮すべき点) DXの推進による利用の効率化、安全性への配慮 など (方向性の考え方) ・長居・舞しまともに利用者も多く、長居の建替えに関する利用者アンケートでは、「レーン数を増やしてほしい」などの声があります。 ・現在の長居のボウリング室の主な課題は次のとおりです。 ・現在のレーン数では混雑時に待ち時間が発生している ・機器のメンテナンスなど他のしょ室と比べ、維持管理費を要する など →ボウリングは、人気のある種目であり、レーン数を増やしてほしいとの声もありますが、市内にある民間施設の活用、他都市の障害者スポーツセンターの設置状況、維持管理費の観点から、上記の方向性のとおり現状維持とします。 →なお、レーン数は現状維持としますが、DXを推進し、利用の効率化を図ることで、これまで以上に多くの方が利用できるよう対応していきます。 (参考:現在の主な機能) 長居・舞しまともに4レーン、音声誘導装置、触覚装置 ○ サブアリーナ(小体育室)【縮小】 【建替えの方向性】 部屋の広さの縮小(430→250平方メートル程度) (その他設計時等に配慮すべき点) コンクリート床→木製又は衝撃吸収性素材、設置器具や安全性への配慮 など (方向性の考え方) ・長居・舞しまともに利用者も多く、長居の建替えに関する利用者アンケートでは、「木製床への対応」、「トランポリン器具の充実」「ボルダリングの設置」などの声があります。 ・現在の長居の小体育室の主な課題は次のとおりです。 ・コンクリート床は、木製床に比べて転倒時のけがのリスクが高い など →サブアリーナ(小体育室)は、トランポリン等の器具を設置し、障害のあるこどもが楽しむほか、少人数でのスポーツや練習などに利用されています。 →しょ室の広さについては、アリーナ(体育室)を1面から2面に規模を拡大するほか、後述する多目的室を新設するため、上記の方向性のとおり、安全に配慮しながら、舞しまと同規模程度とし、現在の長居の規模からは縮小します。 →ボルダリングなど、導入する器具・備品については今後検討します。 (参考:現在の主な機能) 長居:430平方メートル(バレーボールコート1面)、トランポリン、各種遊具等を設置 舞しま:226平方メートル、トランポリン、ボルダリング等を設置 ※ 現在は感染症対策のため、トランポリン等の一部器具の利用を休止しています。 ○ 遊戯室(プレイルーム)【拡充】 【建替えの方向性】 部屋の広さの拡大(75→100平方メートル程度) (その他設計時等に配慮すべき点) 柔道にも対応した床、設置器具や安全性への配慮 など (方向性の考え方) ・長居・舞しまともに利用者も多く、長居の建替えに関する利用者アンケートでは、「こどもの施設・遊具の充実」などを求める声があります。 ・現在の長居の遊戯室の主な課題は次のとおりです。 ・柔道などに利用されていますが、場外の広さが十分でなく、安全性に課題がある ・休日など、こどもの利用が多い時間帯は混雑し、待ち時間が発生している など →遊戯室(プレイルーム)は、武道のほか、リラックスルーム、障害のあるこどもが楽しむ事ができる施設であり、また障害のある家族同士の交流の場にもなっており、様々なニーズに対応できるよう上記の方向性のとおりとします。 (参考:現在の主な機能) 長居:75平方メートル(柔道床に対応)、舞しま:99平方メートル ※ 現在は感染症対策のため、おもちゃなどの遊具の利用を休止しています。 ○ 屋外広場【拡充】 【建替えの方向性】 屋外広場→屋外アーチェリー場(50m撃可)、屋上運動広場 (その他設計時等に配慮すべき点) アーチェリー場は防矢、屋上運動場は落下対策などの安全対策 など (方向性の考え方) ・長居の建替えに関する利用者アンケートでは、「アーチェリーを50m撃てるようにしてほしい」、「テニスコート、野球場、陸上競技場がほしい」などの声があります。 ・現在の長居の屋外広場の主な課題は次のとおりです。 ・アーチェリーについて、安全対策の観点から30m以内の射撃に制限していますが、競技に対応するためには舞しまと同様に50m撃てる環境が必要 ・屋外広場の地面は凹凸があり、球技スポーツには不向き など →長居の屋外広場は、アーチェリーのほか、フライングディスク、キャッチボール、サッカーの練習などに利用されています。 →舞しまの多目的広場は、グランドゴルフなどに利用され、アーチェリー場は建物横の細長い敷地に設置しています。 →効率的な敷地の活用と安全性を確保するため、上記の方向性のとおり、50m射撃が可能なアーチェリー専用の場所は屋外に設置し、それとは別に屋上に運動広場を整備することで、様々なスポーツに対応できるように配慮していきます。 →なお、テニスコート、野球場及び陸上競技場などは、既に長居公園内に整備されているほか、規模を拡大するアリーナでも一部対応が可能と考えています。 (参考:現在の主な機能) 長居:屋外広場、舞しま:多目的広場、アーチェリー場 ○ 会議室【複合化】 【建替えの方向性】 会議室:4室→5〜6室程度(間仕切りを工夫し、部屋数は増やし全体の面積は維持) 和室:2室(現状維持) ※ 早川福祉会館の貸会議室との複合化 ミーティングスペース(新規):会議室とは別に、共用部分を活用し、予約が不要なミーティングスペースの導入を検討 (その他設計時等に配慮すべき点) 利用人数に合わせて柔軟に間仕切りでき、防音・吸音機能を備えた壁、 インターネット環境を充実し、オンライン会議に対応 (方向性の考え方) ・長居の建替えに関する利用者アンケートでは、「広さが異なる会議室の導入」、「部屋数を増やしてほしい」、「防音機能やインターネット環境の充実」、「文化施設」などを求める声があります。 ・現在の長居の会議室の主な課題は次のとおりです。 ・休日昼間の稼働率が高く、予約が競合する一方で、平日夜間など閑散時間帯がある ・利用人数の大小はあるが、最近では会議室の広さに対して少人数での利用も多い ・利用用途も様々であり、隣の会議室の音漏れが生じている など →会議室の様々な利用状況を踏まえ、機動的に対応できるよう、上記の方向性のとおり部屋数について配慮していきます。 →後述する東住吉区の早川福祉会館を複合化することで、施策面、アクセスの向上などのメリットも大きく、規模の最適化を図ります。 (参考:現在の主な機能) 長居:会議室1室120人(3分割可)、和室2室 舞しま:会議室1室40人(2分割可)、研修室100人(3分割可)、大広間 早川:会議室4室(130人、60人、50人、20人)、和室1室 ※ 現在は感染症対策のため、利用人数の制限をしています。 ○ 図書室【複合化】 【建替えの方向性】 早川福祉会館点字図書室の移設による複合化 (その他設計時等に配慮すべき点) 点字図書以外の一般図書や障害者スポーツに関する資料の展示など (方向性の考え方) ・長居には図書室はなく、小規模ではありますが舞しまにはあります。 ・長居の建替えに関する利用者アンケートでは、「スポーツ以外の文化施設の例として点字図書室があればよい」などの声があります。 →上記の会議室に記載のとおり、早川福祉会館を複合化し、早川福祉会館の点字図書室で実施している点字・録音図書の製作・貸出、情報の点字・録音での提供、対面読書やボランティア養成を行います。 →長居障害者スポーツセンターでは、視覚障害者の利用も多く、親和性があり、複合化によるメリットも大きいため、上記の方向性のとおりとします。 (参考:現在の主な機能) 舞しま:図書室1室、早川:点字・録音図書貸出室 ○ 共用施設・その他サービス【拡充】 【建替えの方向性】 トイレ、更衣室、通路、エレベーター、駐車場などの共用施設やサービスの充実 (その他設計時等に配慮すべき点) 安全、安心及び快適性への配慮 など (方向性の考え方) ・長居の建替えに関する利用者アンケートにおいて、「トイレ、更衣室、通路、エレベーター、駐車場など共用施設の充実」のほか、「予約利便性向上やデジタル化などサービスの充実」、「補助犬の預かり機能」などを求める声があります。 ・現在の長居障害者スポーツセンターの共用施設等の主な課題は次のとおりです。 ・男女共用トイレが整備されていない、介助がしやすい家族更衣室などが十分でない ・車いす使用者用駐車場が1台と少なく、一般用も1台当たりの幅も狭い、休日など利用者以外の駐車対策が必要 ・予約の受付がシステム化されていない など →建替えに当たっては、ユニバーサルデザインの追求やDXを推進し、障害のある人にとって安全で安心かつより快適に利用できるよう、共用施設については、今後実施する基本計画において設計与条件のもと整理を行い、設計時においても十分に配慮していきます。 (イ) 現在両センターにないしょ室・機能 次に、時代の経過とともに、利用目的の多様化やニーズへの対応として、現在両センターにないしょ室・機能について、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)に導入するしょ室・機能について検討します。 ○ 多目的室【新規】 【建替えの方向性】 新設(3室程度に区分けが可能な程度) (その他設計時等に配慮すべき点) 様々な用途に対応できるような設備機器の導入 (方向性の考え方) ・長居の建替えに関する利用者アンケートでは、「少人数で利用できるスタジオを導入してほしい」などの声があります。 ・現在では、ジャズダンス、社交ダンスなどの利用もあり、体育室や会議室で代用していますが、体育室ほどの広さを要さず、会議室の場合は音楽など周囲への配慮や床材も利用には適していません。 ・また、新型コロナウイルス感染症の影響により、スポーツ環境も大きく変化し、今後はVR・ARなどのデジタル技術にも対応した機能性が高く、様々な利用目的に対応した「多目的室」を導入する方向性とします。 ・なお、利用者アンケートにおいて、「eスポーツの体験できる施設」を求める声がありますが、国の第3期スポーツ基本計画において、「バーチャル」と「スポーツ」との関わり(いわゆる「eスポーツ」の捉え方を含む。)について検討していく必要があるとしており、本市としても、今後の国の動向やニーズ等を注視しつつ、必要に応じて本多目的室で対応できるよう検討していきます。 ○ カームダウンエリア【新規】 【建替えの方向性】 新設 ※ 設置数については今後検討します。 (その他設計時等に配慮すべき点) わかりやすい表示や場所、静かな場所など設置場所の配慮 (方向性の考え方) ・カームダウンエリアとは、感情やストレスが高まった時に、落ち着くために過ごすエリア(スペース)であり、最近では公共施設や商業施設などに導入されています。 ・本機能については、大きな場所を要さず、障害者スポーツセンターは、様々な障害のある人が利用されており、ユニバーサルデザインへの対応として、「カームダウンエリア」を導入する方向性とします。 ○ 民間活用スペース・障害のある人・ない人が自然に交流できるスペース【新規】 【建替えの方向性】 新設(200から250平方メートル程度) (その他設計時等に配慮すべき点) 障害のある人・ない人が自然に交流できるような機能への配慮 (方向性の考え方) ・長居の建替えに関する利用者アンケートでは、「食堂・レストラン」、「売店」などを求める声があります。 ・長居公園内、周辺には飲食店、小売店が多数存在している状況もあり、現在の長居障害者スポーツセンターについても以前はラウンジにレストランがありましたが、様々な事情から閉鎖しました。 ・そうした付帯的なサービス機能については、自主事業として、民間事業者の責任と資本投下において実施される性格のものであります。 ・一方で、建替え後の施設運営に民間事業者の積極的な参入を促進するためには、そうしたサービスが展開できるようなスペースを確保しておくことが重要であり、マーケットサウンディング(市場調査)においても、自主事業として、飲食、カフェ、物販のほかサービスに関して事業者によって様々な提案がありました。 ・そうしたサービス機能は、施設の入口付近に設けることで、施設のコンセプトにもある障害のある人とない人との交流が自然に生まれるほか、障害や障害者スポーツへの理解促進につながることが期待されることから、「民間活用スペース」を設ける方向性とします。 イ 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)に導入しないしょ室・機能 ○ 屋外プール 【建替えの方向性】 導入しない([再掲]室内に浅型プールを整備) (方向性の考え方) ・屋外プールは、水質をきれいに保つことが難しく、また夏季限定の利用であり、年中楽しめるよう、舞しまと同様に屋内で同様の機能を整備するため、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)には導入しない方向性とします。 (参考:現在の主な機能) 長居:7m四方、舞しま:なし ○ 宿泊室 【建替えの方向性】 導入しない (方向性の考え方) ・舞しまにあるような宿泊施設について、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)に導入することは、マーケットサウンディング(市場調査)において、民間事業者から市場性が低いと意見がありました。 ・長居公園内、周辺地域のほか、舞しまの開館当時と比べ、市内には宿泊施設が多数ある状況などに鑑み、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)には導入しない方向性とします。 (参考:現在の主な機能) 長居:なし、舞しま:客室27室(宿泊定員81名) (2) しょ室・機能の方向性を踏まえた利用者アンケートに対する本市の考え方 令和4年2月から3月にかけて実施した「長居障害者スポーツセンター建替えに関するアンケート」において、みなさまからいただいたご意見等をもとに、上記(1)のとおり新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)に導入するしょ室・機能の方向性の考え方を整理しました。 いただいたそれぞれのご意見に対して、巻末の参考資料1に本市の考え方を記載しています。 ? 4 複合化等の検討 (1) 複合化等の可能性の検討 戦略会議における今後の留意事項で示された他施設との複合化等に関して、効率的な施設整備に努める観点から、第2章7の周辺施設の状況から可能性について検討しました。 ア 早川福祉会館 施設の設置目的、機能に共通点があることを踏まえ、後述(2)で複合化等の効果について検証します。 ■ 障害者スポーツセンター 設置目的:障害者に対し、スポーツ活動の機会を提供等することにより、障害者の自立と社会参加を促進し、もって障害者の福祉の増進に寄与すること 【指定管理施設】 スポーツ施設 (体育室、プール、会議室など) ・ スポーツ活動の機会の提供 ・ 各種講習会の開催 ・ 人材育成、普及啓発 ■ 早川福祉会館 設置目的:障害者の自立及び社会参加を支援し、その福祉を増進すること 【指定管理施設】 貸室(会議室・和室) 【本市委託事業】 点字図書室 障害者相談支援研修センター ・ 集会その他各種行事の場の提供 イ その他の施設 (ア) 支援を受ける方が特定される施設 此花作業指導所、敷津浦学園、心身障害者リハビリテーションセンター(更生療育センター)については、平成25年12月の戦略会議において、順次民間移管を行う施設であることから対象外とします また、身近な地域で支援を受けることができる指定障害者福祉サービス事業所等は既に多数存在しており、複合化等により本市で場所を確保する必要性がないと考えます。 (イ) スポーツ施設 障害者スポーツセンターは、特に重度の障害のある人、知的障害のある人からのニーズも高く、周囲の目を気にせず安心してスポーツを楽しむ事できる場所を提供する必要性から、他のスポーツ施設との複合化等は適しないと考えます。 (ウ) 宿泊施設 長居公園内には、ヤンマースタジアム内に長居ユースホステルが設置されています。 また、民間の宿泊施設については、長居駅周辺に複数存在するほか、特に近隣のターミナルでもある天王寺駅周辺には多数存在しています。 そのようなことから、マーケットサウンディング(市場調査)における民間事業者の意見にもあるとおり、複合化等により宿泊施設を導入することは市場性が低いため対象外とします。 (2) 早川福祉会館との複合化等による効果 ア 施策面による相乗効果 これまでは、スポーツ活動、文化活動をそれぞれの施設で展開してきました。複合化等により、スポーツ又は文化活動が中心であった人がそれぞれの活動に触れる機会が増え、広がりを生み出すことで相乗効果が期待できます。 イ 市内各所からのアクセスの向上 現在の早川福祉会館は、大阪メトロ谷町線「駒川中野駅」から徒歩10分、御堂筋線「西田辺駅」から徒歩15分の立地です。新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)との複合化等により、後述の整備候補地で示す立地のとおり、御堂筋線「長居駅」すぐの場所となり、市内各所からのアクセスが一層良くなることで、より多くの方々の利用が期待されます。 ウ 市費負担の軽減 複合化等を行うことで、維持管理費を抑制することが可能となります。 また、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)が完成する頃には、早川福祉会館は築40年近くを迎え、老朽化が進行し、長寿命化に向けた大規模改修が必要な時期であるため、その費用を削減できます。 さらには、早川福祉会館の建替え費用が不要となり、耐用年数を迎える前であるため、今後、所在区である東住吉区との調整によりますが、売却、転用等の活用の可能性が広がります。 → 上記の効果等を踏まえ、早川福祉会館との複合化等の方向性で検討していいきます。 (参考)早川福祉会館の施設概要 所在地 東住吉区南田辺一丁目9番28号 大阪メトロ谷町線「駒川中野駅」から徒歩約10分・御堂筋線「西田辺駅」から徒歩約15分 開設 ・故早川徳次氏(シャープ株式会社創業者)からの寄付金をもとに障害者の自立と社会参加の促進を目的として、昭和37年に開設 ・施設の老朽化により、平成5年12月に現地建替え(築後28年経過) 敷地面積1,217平方メートル 延床面積3,437平方メートル 構造 鉄筋コンクリート造 地上5階・地下2階建て 主な施設機能 貸室(会議室・和室)、点字図書室、障害者相談支援研修センター 利用状況等 巻末の参考資料3に記載 5 しょ室・機能、規模等の建築モデル案 これまで検討した結果を積み上げたしょ室・機能、規模の建築モデル案は次のとおりです。 本モデル案については、大まかな規模(面積)と配置する階層(フロア)を想定したものであり、今後実施する基本計画において、設計与条件のもと、各しょ室の概ねの寸法・面積、配置場所を示し、その後は設計を経て、建物のデザイン、配置、構造や設備などが詳細に確定した設計図書に基づき工事に着手します。 なお、建築計画のモデル案については、今後実施する予定の基本計画、設計の段階において、導入するしょ室・機能、規模及び配置する階層について変更する場合があります。 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の建築モデル案 延床面積 10,500〜12,000平方メートル程度 建築面積 5,600〜5,700平方メートル程度 階層 3階建 ■ 既存施設 アリーナ バスケットボールコート2面、1,600〜1,700平方メートル、2階 観覧エリア、室内ランニングコース 500〜600平方メートル、3階 プール 25メートル×8コース、浅型プール 1,300〜1,500平方メートル、2階 室外観覧エリア 200〜250平方メートル、3階 トレーニング室 各種トレーニング機器 250平方メートル、1階 卓球室 卓球4〜5台、サウンドテーブルテニス2室 200〜250平方メートル、1階 ボウリング室 4レーン 400平方メートル、1階 サブアリーナ トランポリン等設置 250平方メートル、2階 プレイルーム 柔道対応 100平方メートル、1階 会議室 5〜6室に分割可 300〜350平方メートル、3階 和室 10畳×2間程度 50平方メートル、1階 フリースペース 休憩・談話スペース 300平方メートル、3階 ■ 新設 多目的室 3室 300〜350平方メートル、2階 カームダウンエリア 共用部に適宜設置 10平方メートル 民間活用・交流スペース 内容は運営事業者の提案による 200〜250平方メートル、1階 図書室 早川点字図書室との複合化 400〜450平方メートル、1階 ■ 共用施設 通路・更衣室・トイレ・ミーティングスペース等 2,800〜3,400平方メートル、 ■ 管理施設 事務室・機械室 1,500〜1,800平方メートル、1階 ■ 屋外施設 屋上広場 シングルテニスコート1面程度 200平方メートル、3階 アーチェリー場 50m撃対応 200平方メートル、1階 屋外プール 屋内プールへ 駐車場 車いす用駐車台数、1台当たりの幅の増など 2,500平方メートル、1階 6 適正な規模の検討 前項にて必要なしょ室・機能、規模から想定される建築モデル案をB案とし、将来の施設需要と供給のバランスやライフサイクルコストから適正な規模であることを検証するため、現在の長居障害者スポーツセンターの規模で建替えた場合をA案、現在の長居の2倍の規模で建替えた場合をC案とし、次の3つのモデル案について、比較します。 (1) 施設規模の3つのモデル案 A案 規模等 約8,500u(現在の規模と同じ)、2〜3階建て、 主な機能 アリーナ1面、プール25m×6コース 受入可能 38万人(H27過去最高の利用者数) B案 規模等 約10,500〜12,000u(1.2〜1.4倍)、3階建て 主な機能 アリーナ2面、プール25m×8コース、多目的室の新設、更衣室等の充実 など 受入可能 46〜53万人(A案×1.2〜1.4倍) C案 規模等 約17,000u(2倍)、4階建て 主な機能 アリーナ3面、プール50m×10コース、多目的室の新設、更衣室等の充実、サブアリーナ2面 など 受入可能 76万人(A案×2倍) (2) 将来の施設需要と最適な供給バランス 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)については、建替え後、本市障害者スポーツ振興の中核的な拠点施設として、長期にわたり利用される施設です。建築計画の検討に当たっては、将来の施設需要を勘案しながら、それに対して必要かつ適正な水準である供給として、施設の機能、規模とサービスを提供していくことが重要です。 そのため、本項では、様々な仮定のもと、戦略会議の方向性を踏まえつつ、今後の施設需要と最適な供給のバランスについて検討します。 ア 将来の施設需要の見込み 第2章4(1)「障害者手帳所持者数の推移」に示すとおり、本市の状況について、近年まで微増傾向にあった身体障害者手帳所持者は、令和2年度末から微減傾向にあります。一方で、療育手帳及び精神障害者保健福祉手帳所持者数は年々増加しています。 最近の障害者手帳所持者数は増加傾向にあるものの、コロナ禍前においては、長居・舞しま障害者スポーツセンター及び早川福祉会館の合計の利用者総数は概ね横ばいで推移しています。 第3章1(2)ア「人口減少、超高齢化社会」に示すとおり、本市の人口は2045年には約250万人(2015年に比べ▲7.1%)にまで減少することが見込まれるとしています。 さらには、国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料集2022年版によりますと、2065年度には国内人口が9千万人を下回ることが予測されています。社会情勢など不確定要素も多いですが、長期的な視点に鑑みると、その施設需要は今後下がる可能性が高いと考えられます。 イ 施設需要を踏まえた本市が施設で提供すべき必要な供給サービス等 上記アの将来の施設需要を踏まえつつ、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)が本市障害者スポーツ振興の中核的な拠点施設として、第4章のコンセプトや施設が果たすべき役割にある3つの方向性の実現につなげていく必要があります。 現在の週1回以上のスポーツ実施率(本市31%・国の目標40%)を踏まえ、本市ではさらなる障害者スポーツ振興に取り組む必要があり、スポーツ初心者など障害のある人にとって、安心してスポーツをする事ができる障害者スポーツセンターの利用者数については、今後その施設需要が高まる要素もあります。 しかしながら、その施設需要を新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)だけで対応するのではなく、中核的な拠点施設として、障害者スポーツをささえる指導員等を養成し、各区のスポーツ施設や多様な主体と連携しながら、その需要に対応していく必要があります。また、デジタル技術の活用を前提に利用の効率化を図りながら、オンラインによる取組などDXを推進することで、その需要に対応し、身近な地域での障害者スポーツの振興を図っていくことが求められます。 (3) ライフサイクルコスト ア ライフサイクルコストとは 施設の建設から運用、保全、修繕、解体(廃棄)までの全期間に要する費用のことです。初期の建設(設置)費用であるイニシャルコストと、運用、保全、修繕等のためのランニングコスト、解体コストにより構成されます。 イ ライフサイクルコストの低減化に向けた基本的な考え方 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の建替え及び建替え後の運営に当たっては、持続可能な施設マネジメントの取組を推進していく必要があります。 そのため、大阪市公共施設マネジメント基本方針等に基づき、建物の長寿命化が図られるよう、予防保全による維持管理の推進やメンテナンスサイクルを構築したうえで、適切な時期に長寿命化改修等を実施し、建物を良い状態に保つことで、築後80年程度の利用が可能となることが見込まれ、その結果ライフサイクルコストを低減することができます。 なお、それらを実現するためには、長寿命の部材や設備、省エネルギー機器の導入、管理運営やメンテナンスがしやすい設計などを考慮していく必要があります。 【参考】新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)のライフサイクルコストの粗い試算 移転建替えした場合で、施設の建設、建設後80年間供用し、解体までに要するコスト A案 イニシャルコスト56億円、ランニングコスト153億円、解体コスト5億円、合計214億円、年間当たり2.7億円 B案 イニシャルコスト75億円、ランニングコスト207億円、解体コスト7億円、合計288億円、年間当たり3.6億円 C案 イニシャルコスト110億円、ランニングコスト305億円、解体コスト10億円、合計425億円、年間当たり5.3億円 ※建築物のライフサイクルコスト(一般財団法人建築保全センター)、公立社会体育施設の維持管理・更新費の見通し(スポーツ庁)のほか、これまでの調査・実績等をもとにした粗い試算。 ※将来の物価変動など不確定要素があるため、相当の幅をもって見る必要があります。 ※上記のライフサイクルコスト以外にも、既存施設については、解体や跡地整備費、樹木の移植費用と新施設については、備品購入費、管理運営に関する人件費、事務費及び事業費が別途必要となります。 (4) 適正な規模の総括 今後の人口減少と現在の利用状況やニーズを踏まえ、総合的に検討した結果、A案の規模感では、将来の施設需要に対応できないと考えます。 一方で、C案の規模感では、施設需要に対して供給過多となり、整備費、維持管理費などライフサイクルコストが増嵩することから適切な規模ではないと考えます。 そうしたことを踏まえ、B案の建築モデル案で示したしょ室・機能の考え方をもとに、今後基本計画において詳細に検討していくこととします。 将来の施設需要について、適時その需要を再精査しながら、社会経済情勢の変化にも機動的に対応できるようなしょ室・機能及び規模とするとともに、人材育成や多様な主体との連携の取組や、DXを推進することで、拠点施設としての機能を一層強化し、身近な地域での障害者スポーツのさらなる振興を図ってまいります。 7 整備場所の検討 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の整備場所について、次のとおり検討します。 【前提条件】 整備候補地について、現在の長居障害者スポーツセンターの敷地面積と同程度は必要なことから、可能性のある10,000平方メートル以上の土地を3分類抽出しました。 (1) 整備候補地の検討(第1段階) 長居公園内で可能性のある候補地は、現在の長居障害者スポーツセンターの場所と南側の場所の2か所しかありません。市内で10,000平方メートル以上の用地取得費は相当な費用を要するため、長居公園以外は市内未利用地(令和4年8月31日現在)を検討します。 【整備候補地の比較】 長居公園内 案の1(現地建替え) 候補地 現在の長居障害者スポーツセンターの場所 敷地面積13,273平方メートル 最寄駅からの距離 大阪メトロ御堂筋線「長居駅」より約150m 案の2(移転建替え) 候補地 現在の長居障害者スポーツセンターの南側の場所 敷地面積 約11,600平方メートル 最寄駅からの距離 大阪メトロ御堂筋線「長居駅」すぐ 長居公園外 案の3(移転建替え) 候補地 10,000平方メートル以上の市内未利用地 26か所 敷地面積 10,336平方メートル〜140,942平方メートル (第1段階の検討結果) 現在の長居障害者スポーツセンターでは、市内各所から障害のある人が来館し、日常的に利用される施設であり、交通アクセスは非常に重要です。現在の交通アクセスの良さに加え、長居公園内にあることによる親和性や他のスポーツ施設との連携も可能です。案の3の市内未利用地については、その立地や活用状況から候補地となるような場所は見当たりません。 そのため、次項で案の1・2の長居公園内の候補地について比較します。 (2) 整備候補地の検討(第2段階) ア 候補地の条件比較 主なもの (案の1)現地建替え 現在の場所 区分け工事による工期が長期化(6年程度) 居ながら工事であるため効率的な配置とはならない 通常の新築工事費×1.5〜2倍程度+既存樹木の移植等の費用 工期の長期化、安全対策等に伴う人件費、仮設費が増嵩 (案の2)移転建替え 南側の場所 新築・既存解体等(3年程度) 自由な配置が可能 通常の新築建設費+土地造成費用、地下構造物、既存樹木の移植等の対策費用(+分は今後要調査) (表省略) イ 候補地での整備工程比較 (イメージ図省略) ◆(案の1)現地建替え/現在の場所 現在の場所で運営しながら建替え工事を行う場合、次のとおりローリング工事のシミュレーションを示します。 ローリング工事の概要 第1期<別館解体→部分新築> ■概要 既存別館を解体 →第1期棟(アリーナ・プール)を建設 ■期間 約2年 <主な停止機能> 小体育室、遊戯室、屋外運動場 第2期<本館北側解体・南側部分補強→部分新設> ■概要 既存本館北側を解体と本館南側の補強工事 →第2期棟(トレーニング室等)を建設 ■期間 約2年 <主な停止機能> 小体育室、屋外運動場、ボウリング室、駐車場の一部 第3期<本館南側解体→部分新築後・完成> ■概要 既存本館南側を解体 →第3期棟を建設し、完成 ■期間 約2年 【想定される課題】 ・運営しながらの工事のため、騒音や振動対策に加え、進入禁止など相当な安全対策が必要  ・既存施設においても休止せざるを得ないしょ室・機能が発生 ・効率的な配置とならない ・施設内の既存樹木の移植等が必要 ・通常の新築工事と比べ工期が長期化(3→6年)することに伴い、工事費が増嵩 ◆(案の2)移転建替え/南側の場所 移転建替え工事を行う場合、次のとおり工事のシミュレーションを示します。 (イメージ図省略) 第1期<樹木対策、土地造成> ■概要 沿道部分の樹木を残存 工事エリアの樹木等は可能な範囲で移植 配置計画に基づく土地造成 ■期間 約半年 第2期<新施設の整備> ■概要 新施設の建設工事 駐車場の整備、施設内緑地の再整備 竣工後、既存施設から引越 開館準備後、新施設が開館 ■期間 約2〜2.5年 第3期<既存施設の解体・緑地整備> ■概要 既存施設の解体 跡地の緑地整備 ■期間 約1年 【想定される課題】 ・地下構造物への影響がないような配慮が必要 ・敷地の造成、既存樹木の移植等、跡地の整備にかかる費用が現地建替えに比べ要する (3) 第2段階評価を踏まえた整備候補地の選定等 ア 整備候補地の選定の考え方 上記の2つの案のうち、案の2の南側の場所での移転建替えは、案の1の現地建替えと比べ工事期間の短縮と施設の継続利用の観点で大きなメリットがあります。加えて、案の2はOsaka Metro御堂筋線の長居駅に近接することから、アクセスがさらに向上します。 また、案の1では、隣接地との立地の日影規制において、施設の高さ制限から建築に制約があります。さらには、案の1は運営しながらの工事であるため、設計に自由度が少ないため効率的な配置とはならず、マーケットサウンディング(市場調査)に参加した建設関係の事業者からの意見にあるように、工期が長期化することに加え、安全対策に相当な配慮が必要となるため、工事費が相当増嵩することが想定されます。 以上のとおり、総合的な観点から、候補地は案の2の南側の場所を選定します。 なお、建替えに向けては、今後実施する予定の基本計画や設計等の過程において、公園として、緑の景観にも配慮した敷地のゾーニングを行うとともに、既存樹木の移植等の対策費用や地下構造物への影響など詳細に検討していきます。 イ 現在の長居障害者スポーツセンターの跡地の利用計画 案の2の南側の場所で移転建替えを行う場合は、既存樹木について、これまで公園利用者に親しまれてきたことなどを踏まえ、可能な限り配慮することとし、跡地の活用については移植先とすることが考えられます。 また、公園として、景観に配慮した緑化の整備を基本としながら、長居公園全体の魅力向上への寄与など、詳細については、公園の所管である建設局、指定管理者と今後協議のうえ、現在の長居障害者スポーツセンターの跡地の利用計画を検討することとします。 (4) 整備候補地の選定を踏まえたしょ室・機能の配置イメージ 上記(3)の整備候補地の選定を踏まえ、案の2の移転建替えにおけるしょ室・機能の配置モデル案を示します。 (イメージ図省略) 今後、本モデル案のもと、利用者をはじめ多くの方々のご意見等を伺いながら、基本計画や設計を進めていくこととし、配置イメージや階層については変更となる場合があります。 第6章 事業計画の考え方 1 事業計画の基本的な考え方 本市障害者スポーツセンターでは、本市が指定する指定管理者に管理を代行させる指定管理者制度を導入しています。この制度は、多様化する住民ニーズにより効果的・効率的に対応するため、公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の縮減等を図ることを目的として導入されたものです。 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の整備・運営に関して、大阪市 PPP/PFI 手法導入優先的検討規程に基づき、官民の最適な役割分担のもと、民間活力の活用により、効率的かつ効果的に公共施設等を整備するとともに、良質なサービスの提供を行うため、PPP/PFI手法を導入するための優先的検討を行う必要があります。戦略会議における今後の留意事項においても、PFI手法の導入など民間活用の可能性を積極的に検討するべきであると示されています。 また、整備に当たっては、約70〜80億円を要することから、資金調達、財源確保は重要であり、加えて、整備・運営する事業者を決定するための入札・契約方法については、公正性、透明性及び競争性が確保されるよう取り組まなければなりません。 そのため、本市では基本構想の段階から従来型方式をはじめ、PFIなどの官民連携手法を含めて様々な事業手法を検討するため、マーケットサウンディング(市場調査)を実施し、想定される事業手法について検討を行いました。最適な事業手法については、今後実施する基本計画の策定、PFI導入可能性調査において、事業スキームの妥当性や民間事業化の実現性、財政負担の試算(VFM評価)などを経たうえで決定することとしており、現時点ではPFIの適性を検証し、導入の可能性の有無の簡易な検討を行いました。 そうしたことを踏まえ、本章では、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の整備・運営に際して、様々な事業手法を比較検討のうえ、その中から可能性のある事業手法についてのほか、資金調達・財源確保、入札・契約方法について整理した内容について基本的な考え方を事業計画として取りまとめます。 ※VFM:Value For Moneyの略称。PFI事業における最も重要な概念の一つで、支払い(Money)に対して最も価値の高いサービス(Value)を供給するという考え方のことです。従来の方式と比べてPFIの方が総事業費をどれだけ削減できるかを示す割合です。 2 事業手法の検討 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の整備等にあたっては、官民の最適な役割分担のもと、効率的・効果的な施設整備と良質なサービス提供を図るため、PPP/PFI手法も含めた中から最適な事業手法を導入する必要があります。 まずは、施設の整備・運営に関して、想定される一般的な手法について整理します。 (1) 事業手法の概要 ア 従来型方式(設計・施工分離方式) これまでの多くの公共工事に用いられる手法であり、基本設計、実施設計、建設工事の順に、分離分割して民間事業者に発注する方式。 イ PFI方式(Private Finance Initiative) PFI法(民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律[平成11年法律第117号])に基づき、公共施設等の設計、建設、若しくは維持管理、運営を含め、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用してサービスの向上やコストの削減を図る事業手法。事業方式としては、BT、BTM、BTO、BOT、BOO方式等の頭文字※をとった様々な事業方式があります。 また、地方公共団体が民間事業者へお金を支払う形態をサービス購入型といいます。一方、地方公共団体が民間事業者へお金を支払わず、利用者が料金を支払う形態を独立採算型といいます。これらは事業方式ではなく、事業類型という言葉で示されることが多く見られ、サービス購入型と独立採算型を合わせた混合型もあります。 その他には、独立採算型を前提に、利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する公共施設等運営(コンセッション)方式があります。 ※(参考)PFIの主な事業方式 事業方式 内容 BT方式  Build(建てて)/ Transfer(所有権を移転する) BTM方式  Build(建てて)/ Transfer(所有権を移転して)/ Maintenance (維持管理する) BTO方式 Build(建てて)/ Transfer(所有権を移転して)/ Operate(維持管理・運営する) BOT方式  Build(建てて)/ Operate(維持管理・運営して)/ Transfer(事業終了後に所有権を移転する) BOO方式  Build(建てて)/ Own(所有したまま)/ Operate(維持管理・運営する) ウ DB方式(Design Build) PFI法に基づかず、民間事業者が設計、施工などを一括して発注する方式。事業方式として、DB方式、DBM方式、DBO方式等の事業方式があります。 エ リース方式 民間事業者が施設を建設し、地方自治体がリースする方式であり、運営を包括することが可能な事業手法。 (2) PFIの対象施設 PFIの対象となる公共施設等は、PFI法第2条において定められています。 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の整備・運営に関しては、同法第2条第1項第3号に規定する「教育文化施設」、「社会福祉施設」に該当し、全国のPFI事例として、障害者スポーツ施設では確認できませんが、スポーツ施設や障害者福祉施設では導入事例が多数あります。 (参考)PFI法(抄) (定義) 第二条 この法律において「公共施設等」とは、次に掲げる施設(設備を含む。)をいう。 一 道路、鉄道、港湾、空港、河川、公園、水道、下水道、工業用水道等の公共施設 二 庁舎、宿舎等の公用施設 三 賃貸住宅及び教育文化施設、廃棄物処理施設、医療施設、社会福祉施設、更生保護施設、駐車場、地下街等の公益的施設 四 情報通信施設、熱供給施設、新エネルギー施設、リサイクル施設(廃棄物処理施設を除く。)、観光施設及び研究施設 五 船舶、航空機等の輸送施設及び人工衛星(これらの施設の運行に必要な施設を含む。) 六 前各号に掲げる施設に準ずる施設として政令で定めるもの (参考)PFI方式の主な事業方式 スポーツ施設、障害者福祉施設で様々な事例を確認 (3) 一般的な事業手法の比較検討 ア 実施主体の比較 事業手法別の実施主体について一般的な官民の役割を整理します。 (分担表省略) イ 事業スキームの比較 様々な事業スキームの比較をします。 (スキーム図省略) ウ 発注形態の比較 (ア) 従来型方式=仕様発注 設計、施工、維持管理や運営の細部にわたる仕様を定めた仕様書又は設計図書を作成し、各分野の事業者に分離・分割して発注し、設計事業者と設計業務委託契約、建設事業者と工事請負契約を締結するのが一般的です。 (イ) PFI・DB等方式=性能発注 施設の性能や維持管理、運営など、一括して発注する範囲を決め、それらに求める水準などを定めた要求水準書を作成のうえ、民間事業者に発注し、各事業方式により次のとおり契約を締結するのが一般的です。 ・ PFI方式の場合:民間事業者(SPC)とPFI事業契約を締結 ・ DB等方式の場合:工事(設計・施工一括)請負契約を締結   (DBO方式の場合は、工事請負契約に加え、運営に関する契約を締結) ・ リース方式の場合:リース会社又はSPCとリース契約を締結 性能発注は、民間事業者の自由度と創意工夫により、サービス向上とコスト削減(VFM)が期待されると考えられています。 ただし、要求水準書では細部にわたる定めがなく、民間事業者に幅広い業務を任せることになるので、民間の業務状況を的確に把握して、PFIアドバイザーなどの専門家を配置のうえ、適切な管理や指導をしなければ、求める性能が確保されない場合があるほか、反ってサービスの低下やコストの割高を招く可能性があります。 (イメージ図省略) エ 資金調達方法の比較 (ア) 従来型方式、DB等方式=公共が資金調達 各契約の検査引渡し完了後に公的資金のもと、各契約相手方に一括して支払います。(一部は前払が可能。)建設費については、国庫補助金が該当する場合はそれに加え、地方債を充当するが一般的な資金調達の流れであり、会計年度により支出額が大きく変動します。 (イ) PFI方式・リース方式=民間が資金調達 設計、建設に必要な資金の一部をSPCが金融機関等からプロジェクトファイナンス(リース会社の場合は、コーポレート・ファイナンス)という借入方法で調達します。提供されるサービスの対価としてSPCに事業期間にサービス購入費(リース方式の場合はリース料)を分割して支払い、SPCはその支払いを受け、その収入をもって金融機関に借入金を返済する方法が一般的な資金調達の流れです。PFI手法導入の効果の1つである支出の平準化が図られますが、地方債に比べ金利が高くなることが想定されます。 なお、他都市において、PFI手法でも一部を公共資金調達と併用する事例も見られます。 (イメージ図省略) オ 完成までに要する期間と管理運営期間の比較 事業手法が決定した後、それぞれのパターン別において、基本設計に着手してから実施設計、建設工事が完了するまでと、管理運営の一般的な期間を次のとおり想定します。ただし、マーケットサウンディング(市場調査)の意見にあるとおり、近年の社会情勢を踏まえ、建設工事が長期化することも想定しておく必要があります。 (ア) 従来型方式 基本設計、実施設計、建設工事を分離して実施するため、それぞれの入札期間を含むことから、他の事業手法と比べそれぞれの設計・施工期間が長くなることが想定されますが、DB方式等の手法と比べ、準備期間を要しないことから、開館までの期間が最も早くなることが見込まれます。 (イ) DB等方式・リース方式・PFI方式 設計に着手するまでの準備期間を要しますが、設計・施工の一括発注を行うため、その都度の入札期間が不要となるほか、設計と並行して建築資材の調達を行うことが可能となることなどから、建設工事の工期が短くなることが想定され、結果としてDB等方式・リース方式は従来型方式と開館時期は同様になると見込まれます。 PFI方式の場合はそれに加え、PFI法に基づく実施方針の策定・公表等の手続きなどに期間を要するため、従来型方式等と比べ、さらに約1年程度の期間を要すると見込まれます。 開館までの期間 従来型方式約10年程度、その他の方式約10年〜11年程度 (イメージ表省略) (4) 主なメリット・デメリットの整理 一般的な事業手法から、それぞれの項目におけるメリット・デメリットを整理します。 (表省略) (5) 簡易な検討(定性評価) 大阪市PPP/PFI手法導入優先的検討規程に基づき次のとおり検討を行った内容を整理します。 【定性評価に当たって】 ※基本構想段階における定性評価については、簡易な検討として、「可能性があるものを○」、「可能性が著しく低いものを△」として評価しています。 ※今回実施したマーケットサウンディング(市場調査)の結果から、「民間事業者の参画意向」の項目で一部の方式を△としていますが、PFI方式における他都市事例において、主たる部分はBTO方式とし、付帯事業など部分的に切り離してBOO方式と組合せによる事例もあり、民間事業者の意向を踏まえつつ、最適な事業手法については、今後実施する基本計画の策定、PFI導入可能性調査において詳細に検討することとしています。 ■ 市民サービスの向上可能性 事業手法によりサービス水準の度合いは、高低差はあるものの一定期待されます。内閣府のPPP/PFI導入可能性調査簡易化マニュアルにおける事業手法の比較においても、運営(O)を含めた手法は質を見据えた設計となり、サービス水準が向上すると示されています。 マーケットサウンディング(市場調査)では、飲食、カフェ、物販のほか、サービスに関する自主事業の可能性について提案がありました。民間事業者はBTO・DBO方式など一定の運営期間が確保された場合に投資がしやすくなることが考えられます。 ■ 類似事例の調査を踏まえた評価 他都市の類似事例を調査したところ、障害者スポーツ施設では従来型方式以外の事例を確認することはできませんが、その他のスポーツ施設や社会福祉施設においてはPFI方式やDB方式による様々な事例が確認されます。その中でもPFI方式では、BTO方式の事例が多いことが確認できます。後述の民間事業者の参画意向にあるとおり、マーケットサウンディング(市場調査)では、事業者により最適な事業手法は様々でありましたが、PFI方式、DB方式の可能性があることを確認しています。 ■ 民間事業者の創意工夫の活用可能性 いずれの手法においても民間事業者の創意工夫の活用可能性について、事業手法において、どの程度まで仕様(設計)や要求水準に定めるかによって創意工夫が可能な範囲に差はあるものの一定期待されます。また、内閣府のPFI事業導入の手引き(実務編)においても、どのような事業分野がPFI事業に向いているかについて、設計段階から民間事業者の創意工夫が可能なものとして、庁舎、公営住宅、教育文化施設などが例示されています。 他都市の創意工夫した事例としては、導入するスポーツ施設の一部を自由提案にした事例や図書館の開館日数について要求水準以上の提案があったなどが存在します。 本事業に照らし合わせた場合は、例えば、近年のスポーツ業界におけるDXの推進、長居公園内の立地を活かしたサービス向上に資する自主事業の提案など、総意工夫の可能性は一定程度見込まれます。 ■ 民間事業者の参画意向 マーケットサウンディング(市場調査)において、事業者によって最適な事業手法の意向は異なるものの、各事業者ともに参画意向があることが確認できました。本施設の公益性・公共性から、BOT・BOO・リース方式については、民間事業者が施設の所有権を有することによる税負担などが大きいため、参加した一部の事業者からもメリットが少ないと意見がありました。それらの方式による他都市事例も少ないことなどから可能性は著しく低いと考えられます。また、コンセッション方式は独立採算型を前提としてした方式であるため、本施設の公益性・公共性の特性から可能性は著しく低いと考えられます。 ■ 制度的制約や時間的制約 制度的制約としては、補助金、地方債、特別交付税措置については、事業手法により異なるため、今後基本計画において、引き続き検討します。時間的制約としては、PFI方式の場合、他の事業手法と比べ、竣工(完成)までに要する期間が1年程度長くなることが見込まれるものの、移転建替えの方向性から、現在の施設を利用しながらの建替えであるため、特段の制約には該当しないと考えています。 (6) VFMの簡易な検討(定量評価) 最近の他都市のスポーツ施設の事例を踏まえつつ、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)について簡易な検討を行った結果、現時点の簡易な試算では3%程度のVFMが見込まれます。 (参考事例省略) (7) 簡易な検討に基づく総合的な検討結果 これまでの簡易な検討結果において、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の整備・運営に関して、PFI適性もあり、様々なPPP/PFI手法の導入の可能性があると考えられます。 マーケットサウンディング(市場調査)の対話に参加した事業者からは、従来型方式、PFI方式、DB方式など、事業者により最適な整備・運営手法は様々でありました。 ただし、その中でもPFI方式のうちBOT方式・BOO方式、リース方式は、施設を民間事業者が所有することによる固定資産税などの税負担が大きく、結果それが事業費に転嫁され、また公共性が高い本施設を民間事業者が所有するメリットも少ないため、本事業手法には適さないのではといった意見もありました。 運営(Operate)事業者を先行して選定し、その意見を反映しながら設計していくことは、利用者にとって使いやすい施設となり、より効果的・効率的な整備・運営が可能となるではないかとの意見がありました。それ以外にもPFI方式・DB方式などの性能発注を行う場合は、要求水準書では不確定な要素も多いため、基本設計は従来どおり公共が実施し、実施設計以降を一括発注する基本設計先行型の手法も可能性があるではないかと意見がありました。それらの運営事業者を先行して選定する手法や基本設計先行型の事例は、一般的な事業手法とは異なる先進事例であり、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の手法に適しているのか、法的リスクや必要な手続き等を含め、多様なPPP/PFI手法について検討していくこととします。 今後実施する基本計画、PFI導入可能性調査においてさらなる検討を行い、詳細な要件を示しつつ、改めてマーケットサウンディング(市場調査)を実施し、整備や運営について、民間の参入を促進し、創意工夫のもと、技術やノウハウが十分に発揮できるようにすることで、質の高いサービスの提供やコスト縮減が図られるよう取り組んでまいります。 なお、最近の社会情勢において、為替の変動、資材・人件費の高騰に起因する工事・運営費が今後増嵩することが想定されており、維持管理(M)や運営(O)まで一括発注することは事業期間が長期間になることによる物価の変動等は、選定事業者の費用増やその利益の減少の原因となり得るため、引き続き動向を注視しつつ、リスク分担のあり方について予め検討しておくことが必要です。? 3 財源確保の検討 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の建替えに活用できる可能性のある補助金等について、次のとおり整理します。 (1) 補助金等 ア PFI導入可能性調査 ○ 民間資金等活用事業調査費補助事業(内閣府) 【用途】公共施設等(PFI 法に規定する公共施設等)を対象とした PPP/PFI 事業の導入に係る検討に要する調査 【規模】1件あたりの上限は原則1,000万円 ○ 文教施設における多様な PPP/PFI の先導的開発事業(文部科学省) 【用途】文教施設における先導的な PPP/PFI 手法の導入検討 【規模】1件あたりの上限は原則1,300万円 イ 整備 ○ 学校施設環境改善交付金[地域スポーツセンター新改築](文部科学省) 【用途】地域スポーツクラブの活動拠点となる地域スポーツセンターの新築、改築又は改造を行う事業 【規模】交付対象経費に1/3を乗じて得た額(交付対象面積の上限4,000平方メートル) (必要と認める面積に1平方メートル当たりの建築の単価を乗じたもの) ○ 地域スポーツ施設整備助成(独立行政法人日本スポーツ振興センター) 【用途】地域住民の身近なスポーツ活動の場となる競技施設等の新設(増改築)、改修又は改造を行う事業 【規模】助成対象経費に2/3を乗じて得た額(上限3,000万円) ※ 国庫補助金が該当する場合は不可 ウ 設備 ○ 建築物等の脱炭素化・レジリエンス強化促進事業(環境省) 【用途】災害発生時に活動拠点となる停電時にも必要なエネルギー供給が可能なZEBの実現と普及拡大を行う設備等の導入事業 【規模】交付対象経費に1/3〜3/5を乗じて得た額(上限5億円) ○ 大規模感染リスクを低減するための高機能換気設備等の導入支援事業(環境省) 【用途】高機能換気設備の導入を支援し、感染症の拡大リスクを低減し、CO2排出量を抑制する事業 【規模】交付対象経費に2/3を乗じて得た額(上限2,000万円) (2) 地方債 地方債とは、地方公共団体が1会計年度を超えて行う借入れをいいます。 (表省略) (3) 寄附金  ○ 大阪市ふるさと寄附金(ふるさと納税) ◆ 概要 ふるさと納税制度は、「生まれ育ったふるさとに貢献できる制度」、「自分の意思で応援したい自治体を選ぶことができる制度」として創設され、本市では応援に際する寄附であることから、「ふるさと寄附金」と呼んでいます。 本市では、障害のある誰もがスポーツに親しめる環境をめざして、障害者スポーツセンターでのイベントをはじめ、障害者スポーツ大会の開催や指導者の育成などに取り組んでおり、その取組に対して応援していただく仕組みとして、「障害者スポーツ振興事業」の充実に活用するふるさと寄附金のメニューを設けています。 ○ 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税) ◆ 概要 地方版総合戦略に位置付けられた事業について、本市が「まち・ひと・しごと創生寄附活用事業」を企画立案し、国の認定を受けた場合、当該事業への寄附を行った企業に対して、法人住民税、法人税、法人事業税の税額控除が措置されます。 4 入札・契約方式の検討 この基本構想の策定以降、基本計画の策定、PFI導入可能性調査、整備(事業)手法決定後においては、設計・工事など様々な入札・契約を行う必要があります。 地方自治法(昭和22年法律第67号)第2条第14項では、地方公共団体がその事務を処理するにあたっての基本的原則として、「最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」と規定されています。この原則のもとに、契約締結にあたっては、最も低い金額で契約するとともに、公平に契約の相手方を選定することが求められます。地方自治法第234条では、契約締結の方法として一般競争入札、指名競争入札、随意契約、せり売りの4つの方法を定めていますが、一般競争入札によることを原則として、予定価格の範囲内で最低の価格(せり売りの場合は最高の価格)をもって申込みをした者を契約の相手方とすることを定めています。 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の整備に当たっては、その経費が市税によって賄われるものであるため、入札・契約の公正性、透明性、競争性を確保し、より良いものをより安く調達しなければなりません。 その入札・契約等については、地方自治法などの各種法令、本市契約規則などの各種条例等、その他ガイドラインなどにおいて、その様々な取扱い等が定められています。 (1) 多様な入札契約方式 平成26年6月に公共工事の品質確保の促進に関する法律の一部を改正する法律(平成26年法律第56号)が公布・施行され、新たに第14 条において、「発注者は、入札及び契約の方法の決定に当たっては、その発注に係る公共工事の性格、地域の実情等に応じ、この節に定める方式その他の多様な方法の中から適切な方法を選択し、又はこれらの組合せによることができる」ことが明記されました。その多様な入札契約方式を体系的に整理し、その導入・活用を図ることを目的として、公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドラインが平成27年5月に策定され、公共工事の性格や地域の実情等に応じた入札契約方式の適用が一層進むことの一助となるよう、令和4年3月に同ガイドラインが改正されました。 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の整備に当たっては、約70〜80億円の整備費用を要することから、多様な入札契約方式の中から最適な方式を検討する必要があり、本項では、今後想定されるその方式について整理します。 (2) 発注・契約単位の整理 本市では、公共施設の整備に際して、その設計、工事及び工事監理については、多くが設計・施工の分離・分割(従来型方式)により発注を行っています。 一方で、官民の最適な役割分担のもと、民間活力の活用により、効率的かつ効果的な施設整備や良質なサービスの提供を行うため、多様なPPP/PFI手法を導入するための優先的検討を行い、最適な事業手法を決定し、PFI方式やDB等方式を採用する場合は、設計・施工、維持管理、運営の一括発注する範囲を決めていく必要があります。 施設整備については、測量、調査及び設計業務のほか、建築、外構、植栽、電気設備、機械設備などの新設工事に加え、備品購入、維持管理及び運営業務、さらには既存施設の解体工事や跡地整備など範囲が多岐にわたることから、品質、明確な責任の所在、競争性等を確保し、より良いものをより安く調達できるよう、今後必要な業務等のほか、発注単位を検討していく必要があります。従来型方式やPFI方式等の様々な事業手法について、主な業務・工事等に関する今後想定される発注単位について、下表のとおり整理します。 (表省略) (3) 競争参加者の設定方法の整理 競争参加者の設定方法とは、契約相手方を選定する際の候補とする者の範囲の設定方法のことであり、上記(2)の発注・契約単位を踏まえ、その方法について次のとおり整理します。 ア 一般競争入札 一般競争入札は、公告により不特定多数の者に競争させ、発注者に最も有利な条件を提供する者を選択し、契約の相手方として契約を締結する方式であり、契約締結上の原則とされています。 本市では、必要な資格等を定め、その資格を有する者によって一般競争入札を行い、予定価格の範囲内で最低の価格をもって有効な入札を行った者を落札候補者として資格審査を行う事後審査型制限付一般競争入札により様々な発注を行っています。 平成17年4月に公共工事の品質確保の促進に関する法律(平成17年法律第18号)が施行され、公共工事の品質は、「経済性に配慮しつつ価格以外の多様な要素をも考慮し、価格及び品質が総合的に優れた内容の契約がなされることにより、確保されなければならない」と規定されており、公共工事の品質確保のための主要な取り組みとして「総合評価落札方式」の適用を掲げています。総合評価落札方式は、価格と価格以外の要素(競争参加者の技術的能力、品質の向上に係る技術提案)を総合的かつ適正に評価し、価格と技術の両面から最も評価が高い者を落札者とする方式であり、本市では、一般競争入札を実施する工事のうち、予定価格が6億円を超える工事については、総合評価落札方式の適用基準により検討することとしています。 本市や他都市の整備事例では、建設工事、PFI方式などにおいて、総合評価落札方式を採用している事例が多く、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の整備に関して、特に建設工事においては、価格のみによる競争では品質低下の懸念があり、本方式の適用基準を踏まえ、施工上の技術的な提案を求めることで、性能や品質の確保若しくは向上、維持管理費の軽減等を図ることが重要であることから、総合評価落札方式を適用することが望ましいと考えます。 イ 指名競争入札 指名競争入札は、入札者を広く一般から募ることなく、資力、信用、能力等が確実と認められる特定の者を指名して入札させ、これにより相手方を選択して契約を締結する方式です。契約の性質又は目的による競争に加わるべき者が少数で一般競争入札に付する場合又は一般競争入札に付することが発注者に不利となる場合に採用する方式ですが、一般競争入札の原則に加え、本市や他都市の整備事例を踏まえると、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の整備に該当する発注はないと考えられます。 ウ 随意契約 随意契約は、競争入札の方法によらず、任意に特定の者を選定して契約を締結する方式です。 随意契約による場合は、地方自治法施行令第167条の2第1項の各号に規定するものに限られており、特殊な技術、機器又は設備等を必要とする工事や施工上の経験、知識を特に必要とするとき、又は現場の状況等に精通した者に施工させる必要があるときなど、同第2号に規定する「契約の性質又は目的が競争入札に適しない場合」や同第3号に規定する障害者支援施設などの特定の施設から物品の買い入れ又は役務の提供を受ける契約などがあります。 また、設計・デザイン等のように、業務の内容が高度で専門的な技術力や知識が求められるものや芸術性、創造性が求められるものであって、提案内容に基づいて仕様を作成する方が優れた成果を期待できる業務などにおいて、企画競争方式(コンペ・プロポーザル方式)により最も有利な提案をした者を契約の相手方に決定する方式もこの随意契約に該当します。 本市や他都市の整備事例を踏まえると、特に設計・工事監理委託、PFI方式などの一括発注による事業者やECI方式の優先交渉権者を決める場合などにおいて、企画競争方式(プロポーザル方式)など随意契約を採用している事例も多く、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の整備に関して、一般競争入札の原則を踏まえつつ、契約の性質又は目的が競争入札に適しない場合においては、企画競争方式(プロポーザル方式)についても検討する必要があります。 (4) 発注者における体制確保を図る方式 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の整備に関しては、多岐にわたる業務や工事が輻輳し、様々な関係先との調整を要することが見込まれ、整備を推進する体制を確保していく必要があります。発注者における体制確保を図る方式として、事業促進PPP、CM方式があり、それぞれの方式について、公共工事の入札契約方式の適用に関するガイドライン(国土交通省・下図参照)を踏まえ、今後検討する必要があります。 (図省略) ? 第7章 運営計画の考え方 1 運営計画の基本的な考え方 本市障害者スポーツセンターは、障害者に対し、スポーツ及びレクリエーション活動の機会を提供するとともに、障害者のスポーツに関する講習会等を開催することにより、障害者の自立と社会参加を促進し、もって障害者の福祉の増進に寄与することを目的として、大阪市障害者スポーツセンター条例に基づき設置した公の施設です。 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の運営に関して、指定管理者制度の趣旨を踏まえ、その運営を行う事業者(指定管理者)は、本市との緊密な協力及び連携のもと、民間のノウハウを活用し、条例をはじめ、関係法令及び大阪市の指定管理者制度の運用に係るガイドライン等に定める基準等に従わなければなりません。また、第4章で示した基本理念、コンセプト等のもと、本市障害者スポーツ振興の中核的な拠点施設として多様な主体とも連携し、施設の設置目的の達成、平等利用の確保のうえ利用者のサービス向上を図る必要があります。さらには、施設の効用を最大限に発揮しながら、効率的な運営による市費の縮減を図るとともに、社会的責任及び本市の施策との整合に努め、管理運営を行う必要があります。 そうしたことを踏まえ、本章では、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の運営に関して、条例に規定する休館日や実施事業の範囲など、整備を進める過程において今後検討すべき事項を整理し、基本的な考え方を運営計画として取りまとめます。 2 施設運営に関する取扱い等の検討 現在の長居・舞しま障害者スポーツセンターについては、大阪市障害者スポーツセンター条例、同条例施行規則において、施設の設置、目的から指定管理者の業務の範囲までの運営に関する取扱い等を定めています。 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の開館に向けては、現行の取扱い等を踏まえつつ、利用ニーズへの対応とともに、それに伴うコストとのバランスを踏まえながら様々な施設の管理運営に関する取扱い等について、次のとおり今後実施する基本計画などの段階に応じて検討していく必要がある主な事項について整理します。 (表省略) (1) 休館日 現在の大阪市障害者スポーツセンター条例に定める休館日のほか、市内の他のスポーツ施設の休館日の状況とともに、ニーズとコストとのバランスを踏まえながら、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の休館日について、今後検討します。 (2) 供用時間 現在の大阪市障害者スポーツセンター条例に定める供用時間のほか、市内の他のスポーツ施設の休館日の状況とともに、ニーズとコストとのバランスを踏まえながら、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の休館日について、今後検討します。 (3) 専用利用における時間区分 体育室や会議室等の施設の使用許可に関しては、現在の大阪市障害者スポーツセンター条例等に規定しています。特に、団体等が体育室や会議室等の専用利用する場合の時間区分について、その利用形態によっては、例えばAの午後の区分で4時間の専用利用の申し込みをしても、実際には2時間程度で終了する場合があり、その時間が有効活用できるほか、午後4時から6時までの午後・夜間の時間区分をまたがった利用を希望されるケースもあり、弾力的な運用が望まれます。 そのため、例えば1時間単位若しくは午後1・午後2など、時間区分の運用について、ニーズとコストとのバランスを踏まえながら、今後検討します。 (表省略) (4) 職員の配置基準等 現在の長居・舞しま障害者スポーツセンターの職員の配置基準については、業務責任者1名、業務責任者補佐兼施設責任者(館長)を各館1名、施設の設置目的を理解し、それにふさわしい業務遂行能力を有する者として、業務責任者の下で作業等を行う業務従事者については、障害者スポーツ指導員等の専門知識・資格等を有する担当者、施設の維持管理、設備保守点検等を行う担当者、管理事務担当者については、民間事業者の提案のもと施設の特性に応じた人員を適宜配置することとしています。また、指定管理予定者の選定に当たっては、申請団体としての社会的責任や本市の施策との整合について着目し、施設の特性を踏まえ、障害のある人の雇用などの積極的な取組みについて、評価に反映しています。 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)におけるその配置基準等についても、公募要件に関わる内容であるため、今後実施する基本計画などの段階に応じて検討していきます。 ? 3 実施事業の検討 (1) 目的事業 現在の障害者スポーツセンターの目的事業については、第2章6(2)に記載のとおり大阪市障害者スポーツセンター条例第3条の規定に基づき実施しています。 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)が実施する事業については、これまで実施している障害のある人を対象としたスポーツの指導、スポーツ教室等の開催のほか、障害者スポーツ指導員の養成事業などは踏襲しつつ、DXを推進し、利用ニーズの変化にも機動的かつ効果的に対応することで、サービス向上と業務の効率化をより一層図る必要があります。 とりわけ、本市障害者スポーツ振興の中核的な拠点として、施設でのサービス提供に留まらず、身近な地域における障害者スポーツ振興、障害や障害者スポーツへの理解促進など、その取組や効果を市域に波及していくことが求められます。 本項では、第4章の基本理念、施設のコンセプトのもと、今後重点的に取り組む4つの主な事業の方向性について整理します。 【今後の重点的な取組の方向性】 ■ 障害者スポーツをささえる指導者・人材の育成と活躍できる場の提供 これまでの障害者スポーツ指導員養成講座の開催やボランティアの育成など取組を一層強化し、障害者スポーツに関わる多くの方々の自主的・自律的な活動が促進されるよう、取組のスタートアップを支援していきます。 ■ 多様な主体との連携による身近な地域における障害者スポーツ振興 各区スポーツ施設をはじめ、地域の団体や企業、区役所等の多様な主体との連携により、それぞれが持つノウハウや強みを活用することで、障害者スポーツの取組を効果的に推進し、さらなる障害者スポーツを振興していきます。 ■障害者スポーツを通じた障害のある人・ない人との交流の促進 長居公園の立地を活かし、周辺のスポーツ施設とも連携しながら、障害のある人・ない人が自然に交流できる取組や、気軽に障害者スポーツを知り・体験を通じて、障害や障害者スポーツへの理解を深めていきます。 ■ 障害者スポーツに関する戦略的な情報発信 障害者のスポーツ実施率向上を図るため、未実施者や無関心層に対する魅力的なコンテンツのほか、障害のある人・ない人を問わず、障害者スポーツへの関心を高めるため、効果的かつ戦略的な情報発信に取り組んでいきます。 → 4つの重点的な取組の好循環 DXを推進し、これまでの取組と合わせて、ソフト・ハード両面から拠点施設としての機能を強化し、さらなる障害者スポーツの振興を図る (2) 自主事業 自主事業は、施設の目的事業のほか、施設の設置目的等に沿って管理業務の効果的な実施に影響を与えない範囲内において、本市の承認の下で指定管理者が自主的に行う事業の提案を受けることができ、自らの責任と投資において実施される性格のものです。 現在の長居障害者スポーツセンターでの自主事業については、指定管理者からの提案のもと、利用者サービスの向上を目的として、自動販売機等の設置及びその管理運営を行っています。 新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)について、建築計画において、民間活用スペースを導入する予定としており、その運営を行う事業者(指定管理者)のノウハウのもと、施設の有効活用を図る観点から、公募の際に有意な提案を積極的に受け入れることができるように今後検討します。? 4 利用者負担のあり方の検討 (1) 利用者負担のあり方について ア 戦略会議における建替えに向けた今後の検討の留意事項 障害者基本法第24条において、「地方公共団体は、障害者の経済的負担の軽減を図り、公共施設の利用料等の減免その他必要な施策を講じなければならない」と経済的負担の軽減について規定されています。同法の趣旨を踏まえ、ほとんどの自治体において、障害者の利用者負担について、市内と府県内において差を設けておらず、本市も他都市と同様の取り扱いとなっています。 令和3年11月の戦略会議において、建替えに向けた今後の検討の留意事項として「今後の市内外の利用者の状況や将来の社会情勢の変化を注視しつつ、適切な利用者負担のあり方について、検討していく必要がある」とされています。 イ 適切な利用者負担のあり方の検討に向けて 本市障害者スポーツセンターの運営については、府内の障害者が利用する場合、無料(減免)とし、府外利用者からは低廉な使用料を徴収し、受益者負担率については1%程度となっています。指定管理者の収入としては、本市からの業務代行料が大半を占めており、利用者1人当たりの費用として、長居障害者スポーツセンターでは908円、舞しま障害者スポーツセンターでは1,843円となっています。(平成30年度実績・資産カルテ参照)。 本市障害者スポーツセンターは、市民の財産であり、市税負担で運営していることから、公費負担の公平性を確保する必要があります。 一方で、センターの市外利用者の中には、仕事や学校帰りに利用する、いわゆる「昼間人口」のほか、団体競技など多くのスポーツには仲間が必要であり、市内の障害者だけではチーム編成や対戦ができない場合もあります。 今後、建替えに向けては、そうした利用者の状況を踏まえつつ、近年の社会情勢から、人件費の上昇、建設費及び光熱水費など最近の物価上昇に鑑みると、整備費や維持管理費が増嵩することが想定され、その負担についても検討していく必要があります。 そうしたことから、施設の特性、障害者基本法に規定する経済負担の軽減の趣旨を尊重しながら、今後基本計画において、概算事業費を精査し、適切な公費負担と受益者(利用者)負担について改めて検討していきます。 (イメージ図省略) (2) 料金制度 施設を利用の際に徴収する料金について、現在は、長居・舞しま障害者スポーツセンターのスポーツ施設部分は、指定管理者に徴収を委託する「使用料制」、舞しま障害者スポーツセンターの宿泊・研修施設ではその料金を指定管理者の収入とする「利用料金制」を導入しています。利用料金制は、ニーズに応じて弾力的な料金設定や多様なサービスの提供が可能となり、その料金が直接指定管理者の収入となるため、指定管理者のインセンティブとなりやすく、自主的な経営努力が期待され、多くの市民利用施設では利用料金制が採用されています。 一方で、現在の本市障害者スポーツセンターでは、府外利用者から使用料を徴収していますが、それを利用料金制として、指定管理者のインセンティブとすることは施策の趣旨に合致しません。 そうしたことを踏まえ、上記(1)の利用者負担のあり方とともに、新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)の料金制度についても検討していきます。 5 その他 その他運営に関して、公募要件、業務の基準、成果指標、事業計画、収支計画のほか、大阪市障害者スポーツセンター条例及び施行規則の改正など必要な手続き等について、今後実施する基本計画などの段階に応じて検討していきます。 ? 第8章 整備に向けた今後の課題と整備スケジュール 1 整備に向けた今後の課題 この基本構想における基本的な考え方のもと、整備・運営に向けて、今後実施する予定の基本計画、PFI導入可能性調査、設計の過程において、詳細に検討します。 引き続き、社会経済情勢を注視しつつ、将来の施設需要を勘案しながら、サービスの向上と経費の縮減とともに、入札・契約の公正性、透明性、競争性が図られるよう、最適な事業手法について検討を進めていきます。 2 整備スケジュール この基本構想の策定から事業手法別の整備スケジュールについては次のとおりです。 令和6(2024)年度に事業手法を決定し、その手法によりますが、開館時期は令和13〜14(2031〜2032)年度末頃を見込んでいます。 なお、DB方式等については、PFI方式に準ずる手法として、実施方針の策定・公表の手続きを行っている他都市事例もあり、その場合は、開館はPFI方式と同時期になる場合があります。 いずれにしても、マーケットサウンディング(市場調査)の意見にあるとおり、近年の社会情勢を踏まえ、工事期間が長期化することも十分に想定しておく必要があります。 令和4(2022)年度 基本構想の策定 令和5(2023)年度 基本計画の策定 令和6(2024)年度 PFI導入可能性調査、最適な整備・運営(事業手法)の決定 その後、 従来型方式の場合 令和7(2025)年度 基本設計 令和8(2026)年度から 実施設計、入札等準備期間 令和10(2028)年度から 施工 令和13(2031)年度 竣工、開館 開館後に既存施設の解体工事、跡地整備 PFI方式の場合 令和7(2025)年度から PFIの準備期間 令和10(2028)年度から 設計・施工一括 令和14(2032)年度 竣工、開館 開館後に既存施設の解体工事、跡地整備 デザインビルド等の場合 令和7(2025)年度から デザインビルド等の準備期間 令和9(2027)年度から 設計・施工一括 令和13(2031)年度 竣工、開館 開館後に既存施設の解体工事、跡地整備 ※ 一般的な事業手法として、現時点でシミュレーションしたものであり、今後前後する場合があります。 ? 参考資料 1 長居障害者スポーツセンター建替えに関するアンケート 令和4年2月から3月にかけて実施した本アンケートのうち、建替え後の施設や設備等に関する改善点など寄せられたご意見に対して、基本構想の策定時点における本市の考え方を整理します。 問9:現在の長居障害者スポーツセンターに「ある」施設、設備やサービス等について、建替え後にどういった改善をすればよいと思いますか。(自由記入) ※質問に対する本市の回答を矢印(↓)以降に記載しています。 @現在の運動施設 ■プール 1 コース数を増やしてほしい 2 プール更衣室・シャワー室を広くしてほしい 3 ジャグジーがほしい 4 水深を一定にしてほしい ↓ 1 利用者数やニーズを踏まえ、現時点では6コースから8コースでの整備をする方向で検討しています。 2 介助のしやすい更衣室・シャワー室の広さについて、今後配慮します。 3 レジオネラ感染症のリスクなどを踏まえ、必要性について今後検討します。 4 プール公認規則などを踏まえ、今後検討します。 ■体育館 1 体育室を広く(バスケットボールコート2面)してほしい 2 床をコンクリー床から木製にしてほしい 3 室内ランニングコースを設置してほしい ↓ 1 利用者数やニーズのほか、様々なスポーツに対応できるよう、現時点では2面での整備をする方向で検討しています。 2 コンクリート製の床は安全確保の観点から、木製又は衝撃吸収性のある素材について、今後検討します。 3 雨天時の室内トレーニングなどに対応するため、現時点ではアリーナの上層階に整備をする方向で検討しています。 ■ボウリング室 利用者が多く混雑するので、レーン数を増やしてほしい ↓ 地域の施設の活用、他都市の障害者スポーツセンターの状況、維持管理費の観点から、現状維持の4レーンを想定しています。DXを推進することで利用の効率化を図り、これまで以上に多くの方の利用に対応していきます。 ■トレーニング室 1 器具(ルームランナー・エアロバイク等)を増やしてほしい 2 広くしてほしい ↓ 1 建替え後の器具について今後配慮します。 2 利用者数やニーズを踏まえ、現状より広くすることを想定しています。 ■卓球室 卓球台同士の間隔が狭く、広くしてほしい ↓ 安全に配慮しながら安心して卓球に親しめるよう、卓球台数の配置について今後検討します。 ■小体育室 1 床をコンクリー床から木製にしてほしい 2 トランポリン等の器具の充実 3 夏場暑いので空調を改善してほしい ↓ 1 コンクリート製の床は安全確保の観点から、木製又は衝撃吸収性のある素材について、今後検討します。 2 建替え後の室内の器具について今後配慮します。 3 建替え後には改善する予定です。 ■遊戯室 ジュニア向けの教室を開催してほしい ↓ 既にジュニア向けの教室を開催していますが、ニーズを踏まえ、教室の内容の充実について検討します。 ■屋外プール 水質の改善、きれいにしてほしい ↓ 屋外プールは夏季限定であり、年中楽しめるよう、また衛生面からも舞しまと同様に屋内での整備する方向で検討しています。 ■会議室・研修室 1 広さが異なる会議室を導入してほしい 2 数を増やしてほしい 3 防音の会議室にしてほしい 4 インターネット環境を充実させてほしい ↓ 1 少人数から多人数にも対応できるよう、区分けできる会議室の整備をする方向で検討しています。 2 現在よりも部屋数を増やす方向で検討しています。 3 壁の素材等について今後配慮します。 4 既にWi-Fiを導入していますが、様々なニーズに対応できるようデジタル環境について今後検討します。 ■屋外運動場 1 アーチェリーを50m撃てるようにしてほしい 2 野球ができるような広いグランドが必要 ↓ 1 ニーズと安全面への配慮しながら、50mにも対応したアーチェリー専用の場所を整備する方向で検討しています。 2 野球場のような広さの敷地を確保することはできませんが、体育室でキャッチボール等の練習には対応していきます ■特にない このままで十分 ↓ 現在の施設にも配慮しながら今後検討を進めます。 ■その他 施設が古いので、建替えにより全体を改善してほしい ↓ 建替え後の施設について、安全・安心で利便性の高い施設となるよう検討します。 A現在の共用施設 ■トイレ、更衣室、通路 トイレの増設、全て洋式にしてウォシュレットをつけてほしい、男女共用トイレを整備してほしい、トイレ内にも音声装置をつけてほしい 更衣室を広くしてほしい、きれいにしてほしい、換気をよくしてほしい、介助がしやすい更衣室を整備してほしい 通路が狭いところがある、暗いところがあるので明るくしてほしい、手すりや点字ブロックを充実させてほしい ↓ トイレ、更衣室、通路などの共用部分については、快適性、介助のしやすさなど、時代に即したユニバーサルデザインを追求し、様々な障害のある人に配慮した共用施設の整備について、今後検討します。 ■エレベーター エレベーターの数を増やしてほしい、エレベーターの音声案内があるようにしてほしい ↓ 施設内移動の快適性を確保するため、現時点ではエレベーターを施設の入口付近に2台整備する方向で検討しています。音声案内についても、今後配慮します。 ■ラウンジ 食堂を再開してほしい、談話や交流できるスペースを広げてほしい ↓ 公園内外に飲食店も多い状況から、食堂は必須の施設ではないと考えており、施設の運営事業者の裁量に委ねることを想定しています。弁当などを持ち込んで飲食可能なスペースについては、ニーズ等を踏まえ、確保することを想定しています。 ■駐車場 1 駐車台数が少ないので増やしてほしい 2 1台の駐車スペースも狭い 3 歩行者・車の分離による安全性の確保 4 屋根付き駐車場 ↓ 1 時間帯により混雑することもありますが、利用者数と敷地の広さに鑑み、適切な台数について今後検討します。 2 現在の駐車幅は狭いと考えていますので、今後配慮します。 3 安全性には十分に配慮します。 4 建築規制の関係のほか、建物の階下や地下駐車場などは整備費の関係から、全て屋根付きは難しいですが、一定の配慮は必要と考えており、今後検討します。 ■現状でよい このままでよい ↓ 現在の施設にも配慮しながら今後検討していくこととします。 ■その他 1 ハンガー、くつ置き場を設置してほしい、休憩するいすを増やしてほしい 2 館内空調の改善 ↓ 1 備品での対応が可能と考えており、今後配慮します。 2 建替え後には改善する予定です。 B 現在の利用や予約方法、その他サービスの内容 コロナ禍における予約方法、デジタル化の充実など様々なご意見に対して、DXを推進し、これまで以上に快適で、効率的な利用環境を検討します。 問10:現在の長居障害者スポーツセンターでは、「できない」又は「やりにくい」スポーツや行事はありますか。(○は1つ、「できない」又は「やりにくい」スポーツや行事は自由記入) ※質問に対する本市の回答を矢印(↓)以降に記載しています。 「できない」又は「やりにくい」スポーツや行事の内容 ■文化事業 1 音楽をかけても音が漏れない防音室を整備してほしい 2 交流や調理教室などの文化行事を開催してほしい ↓ 会議室などの防音の壁の素材等について、今後配慮します。 スポーツのみならず、文化行事にも対応できるようハード・ソフト面について今後検討します。 ■バスケットボール、バドミントン、バレーボール 体育館を広くしてほしい、専用コートを整備してほしい、体育館のコンクリート床を改善してほしい ↓ 利用者数やニーズのほか、様々なスポーツに対応できるよう、現時点では2面での整備をする方向で検討しています。 コンクリート製の床は安全確保の観点から、木製又は衝撃吸収性のある素材について、今後検討します。 アリーナでは様々なスポーツに対応することが重要であり、特定の競技の専用コートの整備は難しいと考えています。 ■陸上競技 1 室内にランニングコースを整備してほしい 2 グランドを整備してほしい ↓ 1 雨天時の室内トレーニングなどに対応するため、現時点ではアリーナの上層階に整備をする方向で検討しています。 2 陸上競技用のグラウンドのような広さのある敷地を確保することは難しく、また長居公園内にも陸上競技場が整備されているため、導入する必要性は無いと考えています。アリーナや屋上広場で一部の陸上競技に対応していくこととします。 ■利用方法等 利用方法やイベント等の周知をわかりやすく、早くに知らせてほしい、団体利用の人数の緩和 ↓ 施設からの様々な情報について、より正確かつ速やかに多くの皆様に届くよう、情報発信の強化を図ります。 団体利用人数の緩和については、新型コロナウイルス感染症の状況を見極めながら順次緩和しています。 ■アーチェリー 50mを撃てるようにしてほしい、安全対策を講じてほしい ↓ ニーズと安全面への配慮しながら、50mにも対応したアーチェリー専用の場所を整備する方向で検討しています。 ■野球 野球ができるグランドを整備してほしい ↓ 野球場のような広さのある敷地を確保することは難しく、また長居公園内にも野球場が整備されているため、導入する必要性は無いと考えています。アリーナや屋上広場で、キャッチボール等の練習に対応していくこととします ■テニス テニスコートを整備してほしい ↓ テニスコートは、長居公園内に整備されているため、導入の必要性はないと考えています。アリーナや屋上運動広場で練習などに対応していくこととします。 ■インターネット環境 インターネット環境を整備してほしい ↓ 既にWi-Fiが導入されていますが、デジタル技術の活用を前提にインターネット等の環境の充実化を図ります。 ■サウンドテーブルテニス サウンドテーブルテニスができる場所の充実 ↓ サウンドテーブルテニス用の専用室を整備する予定です。 ■共用スペース 車いすでも容易に通行できるよう段差の解消、介助がしやすい更衣室の充実、お風呂の設置 ↓ 共用スペースの整備に当たっては、ユニバーサルデザインを追求し、車いす利用者をはじめ、様々な障害に配慮します。 なお、シャワー室は導入する予定ですが、お風呂(浴槽)を整備することは現時点では想定していません。 ■スポーツ体験 色々なスポーツ体験ができるよう周知してほしい ↓ これまで以上に様々なスポーツが体験できるよう対応するとともに、情報発信の強化に取り組んでいきます。 ■社交ダンス 会議室を広くしてほしい ↓ 多目的室(スタジオ)を新たに整備することで、社交ダンスなどはより快適に利用いただけると考えています。 ■卓球 卓球室を広くしてほしい ↓ 団体等で卓球を利用される場合は、卓球室を多少広くしても対応できないと考えています。また、混雑時については、拡充するアリーナやフリースペースで対応していくことを想定しています。 ■ボルダリング ボルダリングができる壁を作ってほしい ↓ 器具・備品で対応が可能と考えており、今後導入するかについては検討します。 ■その他 サッカー、ヨーガ、格闘技などができる場所、建替える場合は、利用が混み合う場所を広くしてほしい など ↓ サッカー場のような広さのある敷地を確保することは難しく、また長居公園内にも球技場が整備されているため、導入する必要性は無いと考えています。アリーナや屋上運動広場で練習などに対応していくこととします。 ヨーガや格闘技は多目的室で対応が可能と考えています。 利用が混み合う場所については、利用状況やニーズを踏まえた建築モデル案としています。 問11:現在の長居障害者スポーツセンターに「ない」施設、設備やサービス等について、建替え後新たにあればよいと思うものがあれば教えてください。(自由記入) ※質問に対する本市の回答を矢印(↓)以降に記載しています。 ■宿泊施設 舞しまのような合宿等で利用できる宿泊施設が必要、災害時や帰宅困難時に泊まれる設備があればよい ↓ 周辺施設の状況、市場性が低いこと、敷地の広さの観点から、優先度は低いと考えており、導入する予定はありません。 ■食堂・レストラン 施設内にあることで、周囲の目を気にせず食事ができるため、仲間と一緒に食事ができるため ↓ 公園内外に飲食店も多い状況から、食堂は必須の施設ではないと考えており、施設の運営事業者の裁量に委ねることを想定しています。弁当などを持ち込んで飲食可能なスペースについては、ニーズ等を踏まえ、確保することを想定しています。 ■スタジオ 体育室ほど広くなく、少人数で利用できるスタジオがあればよい ↓ 少人数での利用に対応した多目的室、会議室を整備する方向で検討しています。 ■文化施設 スポーツ以外にも文化施設(点字図書室・ホール・映画館・文化事業)があれば多くの人が楽しむ事ができる ↓ 早川福祉会館点字図書室との複合化を行います。その他ホールや映画館のような機能を確保することは難しいですが、文化事業などについて、会議室や多目的室において、可能な範囲内で対応していくこととします。 ■こども用の施設・遊具 こどもが楽しく遊べる遊具等を設置してほしい ↓ こどもが楽しく遊べるよう、引き続きトランポリンやおもちゃなどの遊具を設置します。長居公園内にも遊具が設置されており、遊具の種類にもよりますが、今後配慮します。 ■グランド 屋外で出来るスポーツが少ないため、場所を広くしてほしい ↓ グランドのような広さのある敷地を確保することは難しく、長居公園内にも様々な屋外スポーツに対応した施設が整備されています。 屋外スポーツの種目にもよりますが、アリーナや屋上広場において、可能な範囲内で対応していくこととします。 ■売店 運動後の休憩として、軽食が買える売店が必要、授産品が買える売店があればよい ↓ 上記の食堂・レストランと同様の性格のものであり、民活エリアを確保しつつ、実施について運営事業者の提案によります。 ■教室・体験等 色々な教室のメニューを増やしてほしい、色々なスポーツを体験や器具の貸出しをできるようにしてほしい ↓ これまでも様々なスポーツ教室の開催、体験や器具の貸出等を行っており、ニーズ等を踏まえ、今後対応します。 ■防音室 音楽や歌を流しても音が漏れない部屋が必要 ↓ 会議室などの防音の壁の素材等について、今後配慮します。 ■休憩室 運動した後リラックスできる休憩室が必要 ↓ フリースペースやプレイルームがその用途になります。 ■体育館 体育室が狭いため広くしてほしい、球技専用の体育室や室内に倉庫を整備してほしい、コンクリート床であるため、木製床にしてほしい ↓ 利用者数やニーズのほか、様々なスポーツに対応できるよう、現時点では2面での整備をする方向で検討しています。 コンクリート製の床は安全確保の観点から、木製又は衝撃吸収性のある素材について、今後検討します。 アリーナでは様々なスポーツに対応することが重要であり、特定の競技の専用コートの整備は難しいと考えています。 倉庫は室内に整備しますが、利用者専用ものを確保することは想定していません。 ■避難所機能 災害時に障害者が安心して避難できる場所としての機能を確保してほしい ↓ 長居公園が広域避難所に指定されています。新たな長居障害者スポーツセンター(仮称)を避難所とするかについては、区の防災計画の関係性から、今後区役所と連携していきます。 ■陸上競技 室内でのランニング、フライングディスク、投てき種目ができるようにしてほしい ↓ 雨天時の室内トレーニングなどに対応するため、現時点ではアリーナの上層階に整備をする方向で検討しています。 フライングディスクはアリーナや屋上広場で対応が可能と考えています。 その他やり投げやハンマー投げのような投てき種目については、陸上競技用のグラウンドのような広さのある敷地を確保することは難しく、また長居公園内にも陸上競技場が整備されているため、導入する必要性は無いと考えています。屋上広場で一部の陸上競技に対応していくこととします。 ■プール 1 プールが混み合うので8レーンにしてほしい、ジャグジー、こども用プール、50mプール、飛び込み用プールがほしい 2 飛び込み用プールがほしい ↓ 1 利用者数やニーズを踏まえ、現時点では6コースから8コースでの整備をする方向で検討しています。 ジャグジーについては、レジオネラ感染症のリスクなどを踏まえ、必要性について今後検討します。 こども用プールは、年中楽しめるよう、舞しまと同様に屋内での整備する方向で検討しています。 50mプールは水泳の初心者にとっては負担が大きく、ニーズにそぐわないと考えます。 2 飛び込み用プールについては、他都市の障害者スポーツセンターの状況、安全性の確保などの観点から導入する予定はありません。 ■ボルダリング 体幹が鍛えられるのでボルダリングを設置してほしい ↓ 器具・備品で対応が可能と考えており、今後導入するかについては検討します。 ■会議室 会議室が不足しているので、部屋数を増やしてほしい ↓ 最近では、会議室の利用人数は定員に対して少人数での利用が多く、土曜日の昼間などは稼働率も高いため、会議室の広さを可変でき、部屋数が増えるよう整備する予定です。 ■テニスコート 車いすテニス、ブラインドテニスができるようにしてほしい ↓ テニスコートは、長居公園内に整備されているため、導入の必要性はないと考えています。アリーナや屋上運動広場で連取などに対応していくこととします。 ■ボッチャコート 誰もが楽しめるスポーツであるので、専用コートがあればよい ↓ 専用コートを確保することは難しいですが、新設する多目的室の利用を想定しています。 ■アーチェリー場 現在は50mが撃てないため ↓ ニーズと安全面への配慮しながら、50mにも対応したアーチェリー専用の場所を整備する方向で検討しています。 ■フットサル場 フットサル場がほしい ↓ フットサル場のような広さのある敷地を確保することは難しく、また長居公園内にもフットサル場が整備されているため、導入する必要性は無いと考えています。アリーナや屋上運動広場で練習などに対応していくこととします。 ■eスポーツ eスポーツに興味がある方が増えているため、体験できる施設があればよい ↓ eスポーツの捉え方について国でも検討していく必要があると示されており、今後必要となった場合は、多目的室で対応していくこととします。 ■サウンドテーブルテニス室 周囲の音が遮断され、競技に集中できる専用室が必要なため ↓ サウンドテーブルテニス専用室を整備する方向で検討しています。 ■スヌーズレン室 重度の知的障害のある人がリラックスすることができるため ↓ リラックスルームの用途としてプレイルームを、その他にはカームダウンエリアを新設する方向で検討しています。 ■福祉相談機能 生活や就労など、ワンストップな相談や情報を知ることができる機関がほしい ↓ 市内には、障害のある人の身近な地域にも民間事業者が運営する様々な障害福祉サービス事業所が存在しており、ニーズを踏まえ、今後検討します。 ■その他(スポーツ施設) カーリング、乗馬、ダーツ、ビリヤード、野球場、リハビリ施設の新設、最新設備や多層階での整備 など ↓ カーリングは冬季種目であり、地理的条件やコスト面から導入は難しいと考えています。 乗馬は鶴見緑地にあり、敷地の確保などから難しいと考えています。 ダーツ、ビリヤードなどは備品での対応は可能ですが、アミューズメント性もあり、本施設に相応しいのかについて検討する必要があります。 野球場のような広さの敷地を確保することはできませんが、アリーナでキャッチボール等の練習には対応していきます。 リハビリ施設の内容にもよりますが、リハビリを目的としたスポーツメニューには対応します。 デジタル技術の活用など、最新の設備については検討します。 多層階については3階建てを想定しています。 ■その他(共用施設) 通路の手すりを増やしてほしい、トイレ(車いす用トイレ・屋外トイレ)の充実、個室シャワー、入浴施設、ベビールーム、湯茶室 など ↓ 入浴施設(浴槽)以外については、安心、安全かつ快適性に配慮のうえ、検討します。 ■その他(サービス等) カラオケ、マッサージができるようにしてほしい、インターネット環境の整備、一般開放、利用・予約方法の改善 など ↓ 既に合唱などの文化的事業に利用されています。カラオケやマッサージは本施設に相応しくないと考えます。 インターネット環境や利用予約方法の改善は、デジタル技術の活用を前提にDXを推進します。 一般開放については、障害者専用施設としての運営は重視しつつ、障害のある人・ない人との交流を促進できるような機能面について検討します。 2 障害者スポーツセンターの直近5年間の利用者数の状況(延利用者数 単位:人) (1) 長居障害者スポーツセンター 平成28年度 361,511 平成29年度 373,081 平成30年度 345,425 令和元年度 311,583 令和2年度 37,646 令和3年度 60,429 (2) 舞しま障害者スポーツセンター(スポーツ施設) 平成28年度 267,446 平成29年度 263,637 平成30年度 257,826 令和元年度 225,974 令和2年度 38,840 令和3年度 49,436 (3) 舞しま障害者スポーツセンター(宿泊・研修施設) 平成28年度 27,001 平成29年度 24,736 平成30年度 23,290 令和元年度 21,051 令和2年度 5,486 令和3年度 4,723 3 早川福祉会館の直近5年間の利用者数等の状況(延利用者数 単位:人) (1) 利用者数の状況 平成28年度 45,440 平成29年度 46,894 平成30年度 46,021 令和元年度 47,144 令和2年度 23,801 令和3年度 26,681 (2) 施設の利用状況 会議室 47,144(令和元年度) (3) 指定管理者の収支決算 業務代行料 毎年約3.4千万円 4 様々な事業スキームの概要 図省略 4 基本構想検討会議の概要 (1) 基本構想検討会議メンバー 石橋 勇人 大阪公立大学大学院情報学研究科 教授 栄徳 美沙季 大阪障害者スポーツ指導者協議会 理事 岡 幸一 社会福祉法人精神障害者社会復帰促進協会 法人統括部長 加我 宏之 大阪公立大学大学院農学研究科 教授 崎山 忠行 長居障害者スポーツセンター公認クラブ 大阪グッパーズ 副部長 曽根 裕二 大阪体育大学教育学部教育学科 准教授 田垣 正晋 大阪公立大学大学院現代システム科学研究科 教授 津川 智江 社会福祉法人大阪市手をつなぐ育成会 評議員 林 かよみ 長居障害者スポーツセンター公認クラブ視覚障害者マラソン練習会 長居わーわーず 代表 三上 真二 公益財団法人日本パラスポーツ協会 スポーツ推進部長 吉岡 聡司 大阪大学サステイナブルキャンパスオフィスキャンパスデザイン部門准教授 (2) 基本構想検討会議の開催概要 第1回(令和4年6月17日開催) ・ 障害者スポーツセンターの概要と経過の報告 ・ マーケットサウンディング(市場調査)の実施に関する報告 ・ 施設の整備・運営に関する意見交換 第2回(令和4年9月5日開催) ・ 基本構想(骨子案)に関する意見聴取 第3回(令和4年11月28日開催) ・ 基本構想(中間案)に関する意見聴取 第4回(令和5年3月開催予定) 5 用語集・引用元 本資料の用語の説明、引用元を記載 (発行) 担  当 大阪市福祉局障害者施策部障害福祉課 住  所 〒530-8201 大阪市北区中之島一丁目3番20号 電話番号 06-6208-8075