ページの先頭です

報道発表資料 帯水層蓄熱利用の普及に向けた国家戦略特区の規制緩和提案を行います

2018年8月17日

ページ番号:443076

問合せ先:環境局 環境施策部 環境施策課 エネルギー政策グループ(06-6630-3480)、経済戦略局 立地交流推進部 立地推進担当(06-6615-3754)

平成30年8月17日 14時発表

 大阪市では、帯水層蓄熱利用技術の普及に向けて、次のとおり、本日(平成30年8月17日)内閣府に対して、国家戦略特区における新たな特例措置に係る提案を行います。

 この提案については、今後、内閣府地方創生推進事務局や国家戦略特区ワーキンググループにおける検討を経て、内閣総理大臣を長とする国家戦略特別区域諮問会議において、提案に係る対応方針が決定される予定です。

 

国家戦略特区提案(概要)

 大阪市域は、戦前及び戦後の高度経済成長期に地下水の過剰な汲み上げによる地盤沈下を生じ、沈静化した今もなお、地下水の採取規制が敷かれている。

 この度、産学官連携により持続可能な地下水利用技術として帯水層蓄熱利用技術が開発され、大阪市域において実証を行い、省エネルギー、省CO2効果等と地盤沈下防止効果が確認されたことから、当該技術を許可できる特例措置を求める。

帯水層蓄熱利用技術の開発と実証成果

 帯水層蓄熱利用は、地下水を多く含む地層(帯水層)から熱エネルギーを採り出して、建物の冷房・暖房を効率的に行う技術で、省エネルギー、CO2排出削減、ヒートアイランド現象の緩和策として期待されています。

 大阪市域は熱需要の高い建物が集中し、地下は豊かな帯水層に恵まれていることから、帯水層蓄熱は地域特性に即した未利用エネルギーであると考えられます。

  本市は、環境省CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業の採択を受け、産学官連携にて、うめきた2期暫定利用区域において、帯水層蓄熱利用技術の実証事業を実施しています。

実証事業概要

「帯水層蓄熱のための低コスト高性能熱源井とヒートポンプのシステム化に関する技術開発」(環境省 CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業)

  • 事業期間:平成27年度~平成30年度
  • 実施者:大阪市、公立大学法人 大阪市立大学、国立大学法人 岡山大学、関西電力株式会社、三菱重工業株式会社、株式会社ニュージェック、株式会社環境総合テクノス、株式会社森川鑿泉工業所
  • 開発目標:日本初の大容量のエネルギー貯蔵システムを実現

これまでの実証の成果

  業務用ビルの冷暖房用の熱源として、新たに開発した大容量熱源専用井戸(注)から熱のみを採り出し、夏期に冷水を作ると同時に生じる排熱は地下に蓄え、半年後の暖房用熱源として使います。同様に、冬期には暖房用温水を作るとともに冷房用の冷水を蓄えます。

 こうした熱源井戸の季節間での切換え運転により、地下に蓄えた熱を有効に活用することで、これまでのところ、地盤沈下などの周辺地盤環境への影響を生じることなく、従来システム比35パーセントの省エネルギー効果が確認されています。

 

(注)大容量熱源専用井戸

 我が国における地中熱利用の事例は、現状その大半が小規模なものですが、2本1組の熱源井戸で大容量の地下水を揚水・還水することにより、熱のみを採り出し、約1万平方メートル以上のクラスのビル(本市の区役所庁舎に相当)の空調を賄うことができます。


帯水層蓄熱利用システムの仕組み

地下水の有効利用のあり方検討

  大阪市域はかつて過剰な地下水の汲み上げによる地盤沈下を経験しましたが、昭和37年に施行された「建築物用地下水の採取の規制に関する法律」等による地下水の採取規制により昭和40年代頃からは沈静化しています。

  法による地下水の採取規制は現在もなお続いていますが、上記の技術開発・実証成果に見通しがついたことから、学識経験者や環境省などで構成する「大阪市域における地盤環境に配慮した地下水の有効利用に関する検討会議」において、今回の実証のデータを踏まえた検討を行い、平成30年8月3日に大阪市域における地下水の適正な有効利用に関する中間とりまとめを行いました。

中間とりまとめの要旨

  • うめきた地区での実証実験の結果等から、帯水層蓄熱利用システムは、汲み上げた地下水から熱のみを採りだした後、全量を元の地層に還元するため、長期間の連続運転においても地盤沈下を生じないことが確認された。
  • 大阪市域の規制地域内は一定の弾性があり、帯水層蓄熱が地盤に与える力は、これに比べて十分に小さいことから、建物の空調用に利用する限り、帯水層蓄熱システムは、大阪市の地下水採取規制区域の全域で、地盤沈下を生じることなく利用できる。
  • 今秋を目途に、帯水層蓄熱利用システムを安全に利用するための設備、構造及び維持管理において配慮すべき事項を追記し、国への提言に向けた最終とりまとめを行う。

国家戦略特区における新たな特例措置提案と今後の取り組み

 上記のとおり、帯水層蓄熱利用技術の省エネ、省CO2や地盤沈下の抑制効果が確認されたことから、国家戦略特区における新たな特例措置として、建築物の冷暖房を目的とした地下水の熱利用の際、汲み上げた地下水を全量還元する場合に限り、建築物用地下水の採取の規制に関する法律第4条の規定に基づき許可できる特例措置を定めることを提案します。

 この特例措置が認められることで、市域の中心部や今後開発が進む臨海部において、帯水層蓄熱利用システムの導入が可能となり、市域の大幅な省エネルギー・省CO2に寄与することが期待されます。

 今後も引き続き検討を行い、今秋にも地盤環境に配慮した地下水の有効利用に関する最終報告を取りまとめ国に提出することで、当該技術の普及に関するルール化に繋げ、2025国際博覧会や、うめきた2期地区開発事業等における先行事例の形成を促進します。

参考

帯水層蓄熱利用とは

  帯水層蓄熱利用は地中熱利用の一種です。

 地中熱とは、浅い地盤中に存在する低温の熱エネルギーです。大気の温度に対して、地中の温度は地下10~15メートル以上の深さになると、年間を通して温度の変化が見られなくなります。そのため、夏場は外気温度よりも地中温度が低く、冬場は外気温度よりも地中温度が高いことから、この温度差を利用して効率的な冷暖房等を行います。

 帯水層蓄熱利用は、地中熱利用の中でも特に地下水を多く含む地層を選択的に熱利用することで効率を高めています。

 この技術は、海外においては導入が進んでおり、オランダでは1990年代から国策として普及し、2014年には累計3000件超の導入実績があります。


出典:環境省ホームページ


帯水層蓄熱利用イメージ図

大阪市内の帯水層蓄熱利用ポテンシャル

 大阪市は、地上には熱需要の高い事業所が集中し、一方で地下の浅層には豊かな地下水が存在しています。市内のポテンシャル量は、2800万ギガジュール/年であり、これは、市内の年間エネルギー消費量の約15パーセントに相当します。これを、市域を250メートルのメッシュで区切り、分布図にしたものが帯水層蓄熱情報マップで、メッシュごとに利用可能な熱エネルギーの目安を色で示しています。

 高いポテンシャルは上町台地以西と南東部に分布しており、梅田・中之島地区など熱需要が高いと考えられる市内中心部が含まれていることがわかります。

 大阪市では、市域の地中に大きな再生可能エネルギーが存在していることを広く認識いただき、このエネルギーの利活用の実現に向けた機運を高めるため、帯水層蓄熱情報マップを本市の地図情報サイト「マップナビおおさか」上で公開しています。

URL:http://www.mapnavi.city.osaka.lg.jp/webgis/index.html

 


大阪市帯水層蓄熱情報マップ

大阪市域における地盤環境に配慮した地下水の有効利用に関する検討会議

  本検討会議は、「帯水層蓄熱のための低コスト高性能熱源井とヒートポンプのシステム化に関する技術開発」(環境省CO2排出削減強化誘導型技術開発・実証事業)の成果等をもとに、大阪市域における地下水の適正な有効利用のあり方について検討することにより、同技術の速やかな社会実装及び普及の促進に寄与することを目的として、平成28年度に設置されました。

<委員名簿>

学識経験者(50音順)

 氏名

所属

 大島  昭彦

大阪市立大学大学院工学研究科 都市系専攻(都市学) 教授

 北田 奈緒子

一般財団法人地域地盤環境研究所 研究開発部門長 主席研究員

 杉田 文

千葉商科大学商経学部 経営学科 教授

 田中 正

(座長代行)

筑波大学 名誉教授

 西垣  誠

(座長)

岡山大学大学院 環境生命科学研究科 特任教授

環境省

環境省 水・大気環境局 土壌環境課 地下水・地盤環境室      

環境省 地球環境局 地球温暖化対策課 地球温暖化対策事業室 

<事務局>

大阪市環境局

本件に関する問い合わせ窓口

 

(事業内容に関すること)

環境局環境施策部環境施策課(エネルギー政策)

電話:06-6630-3480

(特区制度に関すること)

経済戦略局立地交流推進部立地推進担当

電話:06-6615-3754

 

探している情報が見つからない