報道発表資料 巻貝を原因とする食中毒の発生について(注意喚起)
2023年5月24日
ページ番号:600391
問合せ先:健康局 健康推進部 生活衛生課 (06-6208-9996)
令和5年5月24日 14時発表
令和5年5月16日(火曜日)12時頃、大阪市内の医療機関から巻貝を食べたことによる食中毒が疑われる患者を診察したとの届出が大阪市保健所にありました。
調査したところ、当該患者は5月15日(月曜日)に知人が市内の食品販売店で購入した巻貝を3個もらい受け、自宅にて焼いたものを同日17時30分頃に食べたところ、18時30分頃より嘔気、嘔吐の症状を呈し、その後、左上下肢の麻痺及び視界のぼやけの症状が現れ、20時30分頃医療機関に救急搬送されたことが判明しました。
また、食べた巻貝は「ツブ貝」として販売されていたもので、貝の種類は、エゾボラモドキと推察されました。当該患者は殻から取り出した身(肉と内臓)を1個分ともう1個分の肉を食べていました。エゾボラモドキなどの肉食性巻貝は唾液腺(肉の部分に含まれる)にテトラミンという毒性のある物質を持っていますが、当該患者はそのことを知らず、調理時に唾液腺を取り除いていませんでした。
当該患者の症状がテトラミンによる中毒症状と一致していたため、患者の血清及び尿の検査を実施したところ、いずれの検体からもテトラミンが検出されたこと、当該患者を診察した医師から食中毒の届出が提出されたことから、「ツブ貝」を原因とする食中毒と断定しました。
「ツブ貝」等と呼ばれる巻貝には、エゾボラモドキなど唾液腺に毒成分であるテトラミンを持っている種類があり、この唾液腺を取り除かずに食べたことを原因とする食中毒(テトラミン中毒)が、全国で毎年発生しています。巻貝を食べる際には、貝の種類に注意し、テトラミンを持っている種類の場合は、調理時に必ず唾液腺を取り除いてください。
調査概要
発症者の状況
発症者数:1名〔男性(79歳) 大阪市在住〕
受診者数:1名〔入院〕
患者はすでに快復し、退院しています。
主症状
病因物質
原因食品
検体名 | 検査結果(テトラミン) |
---|---|
患者血清(5月15日 20時30分採取) | 2.6ppm検出 |
患者血清(5月15日 21時30分採取) | 2.9ppm検出 |
患者血清(5月16日 6時採取) | 0.43ppm検出 |
患者尿(5月16日 6時採取) | 20ppm検出 |
(注)本報道資料に関して、検査の技術的な事柄については、地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所までお問い合わせください。
担当:地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所 公衆衛生部健康危機管理課
電話:06-6972-1327
参考
≪大阪市における食中毒発生状況≫
令和5年1月1日(日曜日・祝日)から令和5年5月23日(火曜日)まで2件(本件を含まず)
令和4年1月1日(土曜日・祝日)から令和4年5月23日(月曜日)まで2件
(食中毒発生状況の年次集計は、毎年1月1日からの統計です)
(注)エゾボラモドキによる食中毒(過去5年間):0件
巻貝による食中毒について
- エゾバイ科エゾボラ属の多くの種類が有毒であることが証明されており、有毒部位は唾液腺に限られます。
- これらの巻貝はツブやツブ貝(地域によっては赤バイ)として市販され、エゾバイ科エゾバイ属の無毒種もツブやツブ貝として流通しており、注意が必要です。
- 毒の主成分であるテトラミンは熱に強いため通常の加熱では毒性は失われません。また、加熱調理や緩慢解凍により筋肉や内臓に一部が移行します。
- テトラミンは神経毒で、食後30分から1時間程度の短時間で発症し、激しい頭痛、めまい、船酔い感、酩酊感、足のふらつき、眼底の痛み、眼のちらつき、嘔吐感などがみられます。通常は数時間で回復し、死亡することはありません。
- テトラミンの人での中毒量は350ミリグラム~450ミリグラムとされていますが、10ミリグラム程度でも発症した報告があり、エゾボラモドキ1個でも発症することがあります。
- 予防対策としては、確実に有毒部位を除去してから、調理及び喫食するようにしてください。
参考となるホームページ