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パワーハラスメントの防止等に関する指針運用の手引き

2019年1月31日

ページ番号:324758

直近改正 平成30年4月1日

1 趣旨

この指針は、本市において職員(消防局、水道局及び学校園の職員を除く。)の安全衛生管理の観点からパワーハラスメントの防止及び排除の取組みを進め、もって職場における職員の安全及び健康の確保並びに快適な職場環境の形成の促進に資するため、パワーハラスメントの防止等に関する基本的な事項を定めることを目的とする。

手引き

 パワーハラスメントについて、都道府県労働局への相談件数が増加傾向にあるなど、社会問題として顕在化してきたことから、厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」では、その現状や、取組みの必要性及びあり方等に関する議論を重ね、平成24年3月15日に「職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言」(以下「円卓会議の提言」といいます。)として取りまとめました。

 円卓会議の提言においては、「職場のパワーハラスメントは、相手の尊厳や人格を傷つける許されない行為であるとともに、職場環境を悪化させるものである」とされ、「(パワーハラスメントに関する)問題を放置すれば、人は仕事への意欲や自信を失い、時には、心身の健康や命すら危険にさらされる場合があり、職場のパワーハラスメントはなくしていかなければならない」とされています。

 また、人事委員会の「職員の給与に関する報告及び勧告」においても、パワーハラスメントが職員のメンタルヘルスや職場環境等を悪化させる要因になり得ることについて指摘されるとともに、その対応の必要性について意見が出されています(平成25年9月18日及び平成26年9月25日)。

 こうしたことから、本市においては、職員の安全衛生管理の観点からパワーハラスメントの防止及び排除に取り組むことによって、職場における職員の安全及び健康の確保並びに快適な職場環境の形成の促進に資することとし、今般、「パワーハラスメントの防止等に関する指針」(以下「指針」といいます。)及び本運用の手引きを策定しました。各所属においては、これらに沿ってパワーハラスメントの防止等に取り組むこととなります。

2 パワーハラスメントの定義

パワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位、人間関係その他の職場内の優位性を背景として業務の適正な範囲を超えて、精神的若しくは身体的苦痛を与える行為又は職場環境を悪化させる行為をいう。

手引き

 「職場内の優位性」には、職務上の地位に限らず、人間関係や専門知識の有無等の様々な優位性が含まれます。したがって、パワーハラスメントには、上司から部下に対して行われるものだけでなく、先輩・後輩間や同僚間で行われるもの、さらには部下から上司に対して行われるものも含まれます。パワーハラスメントの行為類型としては、次のものが挙げられます。

  1. 暴行、傷害(身体的な攻撃)
  2. 脅迫、名誉き損、侮辱、ひどい暴言(精神的な攻撃)
  3. 隔離、仲間外し、無視(人間関係からの切り離し)
  4. 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
  5. 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと(過小な要求)
  6. 私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

 1については、業務の遂行に関係するものであっても、業務の適正な範囲に含まれません。2及び3については、業務の遂行に必要な行為であるとは通常想定できないことから、原則として業務の適正な範囲を超えるものと考えられます。4、5及び6については、業務上の適正な指導等との線引きが容易でない場合があるものと考えられます。実際、業務の適正な範囲を超えるかどうかは、当該職場の状況や、当該行為が行われることとなった原因、状況、継続性等により左右される部分があります。

なお、ここに挙げた行為類型は典型的なものであり、すべてを網羅するものではありません。また、個人の受け取り方によっては、業務上必要な指導を不満に感じる場合でも、これが業務の適正な範囲で行われている場合には、パワーハラスメントには該当しません。

3 所属長の責務

所属長(大阪市市長直轄組織設置条例(平成24年大阪市条例第12号)第1条に掲げる組織の長、大阪市事務分掌条例(昭和38年大阪市条例第31号)第1条に掲げる組織の長、危機管理監、会計室長、教育長、行政委員会事務局長、市会事務局長及び区長)は、パワーハラスメントの防止等に努めることにより、当該所属における職員の安全及び健康の確保並びに快適な職場環境の形成の促進に資するように努めなければならない。

また、パワーハラスメントに関する問題が生じた場合には、必要な措置を迅速かつ適切に講じなければならない。

手引き

 「1 趣旨」の項に記載しているとおり、本市においては、人事委員会の意見や円卓会議の提言を踏まえ、職員の安全衛生管理の観点からパワーハラスメントの防止等に取り組むこととしました。

 人事委員会の意見では、「(パワーハラスメントは、)職員のメンタルヘルスを悪化させる要因になるに止まらず、職場全体の士気の低下、ひいては業務遂行の大きな阻害要因となり得るものである」とされています(平成26年9月25日「職員の給与に関する報告及び勧告」)。また、円卓会議の提言では「トップマネジメントへの期待」として、「組織のトップマネジメントの立場にある方には、職場のパワーハラスメントは組織の活力を削ぐものであることを意識し、こうした問題が生じない組織文化を育てていくことを求めたい」とされています。

 所属長は、それぞれの所属における職員の安全衛生管理に関する責務を有しておりますので、パワーハラスメントのもたらす弊害等について十分に認識した上でその防止等に取り組み、もって当該所属における職員の安全及び健康の確保並びに快適な職場環境の形成の促進に資するように努めなければなりません。

参考:大阪市職員安全衛生管理規則(平成5年大阪市規則第130号)

(局長等の責務)

第4条 局長等は、上司の命を受けて、当該局等における職員の安全及び健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進するように努めなければならない。

4 職員の責務

職員は、パワーハラスメントを行わないよう留意し、その防止等に努めることにより、職場における職員の安全及び健康の確保並びに快適な職場環境の形成の促進に資するように努めなければならない。

職員を管理し、又は監督する地位にある職員は、自らがパワーハラスメントを行わないことはもとより、日常の執務を通じた指導によりその防止等に努めるとともに、パワーハラスメントに関する問題が生じた場合には迅速かつ適切に対応しなければならない。

手引き

 パワーハラスメントの防止等のためには、職員それぞれがパワーハラスメントに関する正しい知識を持つとともに、互いにその人格を尊重し合い、適切なコミュニケーションを形成することが重要です。また、パワーハラスメントに関する事案を見聞きした場合は、見過ごさずに声をかけるなど、孤立させないよう支え合うことが重要です。

 職員を管理し、又は監督する地位にある職員(以下「管理監督者」といいます。)は、自らがパワーハラスメントを行わないのは当然のことながら、職場においてパワーハラスメントが起こらないよう、その管理又は監督の対象となる職員(以下「部下職員」といいます。)を指導しなければなりません。また、職場においてパワーハラスメントに関する問題が生じた場合には、当事者(パワーハラスメントを受けたとされる職員及びパワーハラスメントを行ったとされる職員)等へ指導及び助言を行うなど早期解決に向けて迅速かつ適切に対応するとともに、再発防止を徹底することにより、パワーハラスメントの防止等に努めなければなりません。

 なお、管理監督者がパワーハラスメントを行わないとはいっても、管理監督者は組織マネジメントや人材の育成についても役割を担っていますので、業務上の必要な指導は適正に行わなければなりません。円卓会議の提言においても「必要な指導を適正に行うことまでためらってはならない」とされています。したがいまして、部下職員の指導に際しては事柄を中心に行い人格攻撃に陥らないよう留意するなど、その指導がパワーハラスメントに該当したり、職員のメンタルヘルス等を悪化させたりすることのないよう、手法や言動には十分注意した上で適正に行う必要があります。

参考:大阪市職員安全衛生管理規則

(職員の責務)

第5条 職員は、市長及び局長等が実施する職場における職員の安全及び健康の確保並びに快適な職場環境の形成のための措置に協力するように努めなければならない。


5 相談体制

パワーハラスメントに関する職員からの相談に対応するため、相談員を置き相談体制を整備するものとする。

手引き

 パワーハラスメントに関する職員からの相談に対応するため、各所属に相談窓口を設けることとし、本市においては、職員の安全衛生管理の観点からパワーハラスメントの防止等に取り組むことから、原則として、各所属の職員の厚生に関する事務を所管する課長(以下「主任安全衛生管理者」といいます。例えば総務課長です。)を所属内相談員とします(なお、所属の実態に応じて、所属長の指名により主任安全衛生管理者以外の職員を所属内相談員としても構いませんが、その場合においても、上記の趣旨を踏まえ、例えば相談を受けた際には、主任安全衛生管理者と連携する等により対応してください)。

 所属内相談員は、パワーハラスメントに関する相談を受けた際には、十分に話を聞いてその内容を記録し、相談者の了解を得た上で(相談者とパワーハラスメントを受けたとされる職員が異なるときは、当該職員の意向を優先してください。)、当事者やその管理監督者その他の職員から事情を聴取するなどにより、事実関係を調査しなければなりません。また、その結果について相談者(相談者とパワーハラスメントを受けたとされる職員が異なるときは、当該職員を含みます。)に報告するとともに、パワーハラスメントの事実があったと判断した場合は所属長に報告の上、当該職場の管理監督者に問題解決に取り組ませるよう、事案に応じて迅速かつ適切に対応しなければなりません。この場合、所属内相談員、管理監督者及び所属長は、当事者等のプライバシーの保護に十分に配慮するとともに、相談業務に関し職務上知り得た秘密は保持しなければなりません。

 また、人事委員会の意見や円卓会議の提言にもあるように、パワーハラスメントにより職員のメンタルヘルス等が悪化することもあり得ることから、相談者(相談者とパワーハラスメントを受けたとされる職員が異なるときは、当該職員を含みます。)が心身の不調を訴えている場合等は、必要に応じて当該職場の産業医や人事室人事課厚生グループ(以下「人事室厚生G」といいます。)の保健師とも連携してください。

 このように、パワーハラスメントに関する相談は、所属内相談員に対して行うことを基本としますが、それでも解決に至らない場合等には、必要に応じて外部相談窓口(外部相談員として弁護士に委嘱しています。)を利用することもできます。外部相談員に相談する場合は、氏名、所属及び相談の概要等を明らかにして、あらかじめ人事室厚生Gに電話により申し出てください。外部相談員は、相談を受けたときは所属内相談員に連絡するとともに、所属や当該職場において実施する調査、問題解決への取組み等に関して助言等を行います。なお、相談者が希望する場合には、当該相談に係る手続きが終了した旨を相談者に報告するものとします。

 また、所属内相談員は、外部相談員から助言等を受けたときは、所属長に報告の上、事案に応じて迅速かつ適切に対応しなければなりません。

参考:大阪市職員安全衛生管理規則

(主任安全衛生管理者)

第8条 局等に主任安全衛生管理者を置く。

2 主任安全衛生管理者は、局等の職員の厚生に関する事務を所管する課長、担当課長又はこれらに相当する職にある者をもって充てる。

3 主任安全衛生管理者は、当該局等における職員の安全衛生に関する事項を掌理し、職員の安全衛生管理に関し必要な事項について、局長等に対し意見を述べるものとする。

相談体制フロー図

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相談記録票(様式例)

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6 不利益取扱いの禁止

所属長は、相談員に対してパワーハラスメントに関する相談を行ったこと、当該相談に関し相談員が行う調査に協力したこと等に起因して、職員が職場で不利益を受けることがないよう配慮しなければならない。

手引き

 パワーハラスメントに関する相談や対応において、相談体制が信頼され有効に機能するためには、当事者等のプライバシーが十分に保護されるとともに、パワーハラスメントに関する相談をしたことやこれに関する調査に協力したことによって、職員が不利益を受けないようにすることが必要です。

 厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」においては、提言に先立ちワーキング・グループによる報告がなされましたが、同報告においても、相談体制の整備等に当たっては、「相談した職員や相談内容の事実確認に協力した職員が不利益な取扱いを受けることがないようなものとするとともに、その旨を従業員に明確に周知することが必要である」とされています。

 以上のことから、所属長は、職員がパワーハラスメントに関する相談を行ったことや、これに関する調査へ協力したこと等により、職場で不利益(誹謗、中傷等を含みます)を受けることがないよう配慮しなければなりません。

7 研修

パワーハラスメントに関する職員の理解を深めるとともに、意識の啓発を図るため、必要に応じた内容の研修を実施する。

手引き

 平成24年度に厚生労働省が実施した民間企業への調査では、パワーハラスメントの「予防・解決」のために各企業が実施している取組みのうち、効果を実感した比率が最も高いものは、いわゆる管理職を対象とした講演や研修会であったとの報告がされています。また、公益財団法人21世紀職業財団の資料「職場のパワーハラスメント対策ハンドブック」においても、パワーハラスメントの予防策として一般的で効果的なものは、教育、研修の実施であるとされています。

 人事室においては、これまでもパワーハラスメントに関して、その防止や快適な職場環境の形成を目的とする研修を実施してきたところですが、引き続きこれを実施し、パワーハラスメントに関する職員の理解を深め、意識の啓発を図ります。各所属においても、必要に応じて研修を適宜実施する等により、職員の意識啓発等に努めてください。

8 その他

この指針に定めるもののほか、パワーハラスメントの防止等に関し必要な事項は、別途定めるものとする。

手引き

 今般、職員の安全衛生管理の観点からパワーハラスメントの防止等に取り組むため、基本的な事項を定めるものとして指針を策定するとともに、指針の適切かつ効果的な運用に寄与するため、本運用の手引きを定めました。

 これらのほか、パワーハラスメントの防止等に関し必要な事項については、国や他都市の動向を踏まえつつ、本市状況に応じて別途定めます。

 

パワーハラスメントに該当しうる具体的な言動の例

パワーハラスメントに該当しうる言動の例について、平成22年の人事院通知より紹介します。なお、本通知においては、「言動が実際に「パワーハラスメント」に該当するかどうかは、当該言動が継続して行われているものかどうか、当該言動が行われることとなった原因、当該言動が行われた状況等をも踏まえて判断する必要があり、ここにある言動のすべてが直ちに「パワーハラスメント」に該当するとは限らない点は注意が必要」であるとされています(なお、本通知では「『パワー・ハラスメント』」と表記されていますが、指針及び本運用の手引きでは、円卓会議の提言に合わせて「パワーハラスメント」と表記しています)。

パターン1 暴言

人格の否定にならないような叱り方をしていますか?

【事例1】

 上司Aは、部下に対して、間違いをすると、「こんな間違いをするやつは死んでしまえ」、「おまえは給料泥棒だ」などと暴言を吐く。部下が謝っても許してくれず、むしろ「存在が目障りだ。おまえがいるだけで皆が迷惑している」など、暴言を吐き続けることもある。

【事例2】

 上司Bは、普段からおとなしいある部下の性格を何かにつけて面白おかしく取り上げ、「君はネクラだ」、「もっと明るい顔をしろ」などと言っている。この間もその部下が会議でプレゼンをしたとき、何度か資料の読み間違いなどをしたことについて、発表の方法等を指導せずに、「君のプレゼンが下手なのは、暗い性格のせいだ。何とかしろ」などと言った。

 

パワーハラスメントを起こさないためのポイント

  • 部下に暴言を吐くことは、職場の内外を問わず、懇親会の席などざっくばらんな雰囲気の場でも、許されるものではありません。
  •  厳しく叱ることも部下を指導する上で時には必要ですが、その場合も言葉を選んで、適切に対応することが必要です。

パターン2 執拗な非難

部下にうまく助言・指導していますか?

【事例3】

 上司Cは、ある部下の作った資料に誤字があることを見つけたが、その部下は過去にも誤字等のミスをしたことがあったため、「なぜこのようなミスをしたのか。反省文を書くように」と言った。そこで、その部下がミスをした理由や今後十分に注意すること等を記載した反省文を作って提出したところ、Cは、「内容が物足りない。もっと丁寧な反省文を書いて署名・押印しろ」などと言って三日間にわたって何度も書き直しを命じ、指示どおりの反省文を提出させた。

【事例4】

 上司Dは些細なミスに対して執拗に非難する。この前も、班内会議で使う資料にページがついていなかったことについて、資料を作成した部下に対し、「お前は小学生か」、「仕事のやり方が本当に下手だ」などと皆の前で起立させたまま、大声で長時間叱責し続けた。

 

パワーハラスメントを起こさないためのポイント

  • 部下は上司に対して、正面きって反論しづらい立場にあることを理解し、ミスには、必要な範囲で、具体的かつ的確に指導することに心がけることが必要です。
  • 部下の立場も考えて、できる限り人前で叱らないようにするなどの配慮も必要です。

パターン3 威圧的な行為

セルフコントロールができていますか?

【事例5】

 上司Eは部下の意見が気に入らなかったりすると、しょっちゅう、椅子を蹴飛ばしたり、書類を投げつけたりする。この間も、部下の目の前で、分厚いファイルを何度も激しく机に叩き付けていた。職員は皆萎縮して、仕事の相談ができる雰囲気ではなく、仕事が全然進まない。

 

【事例6】

 上司Fは、職員の業務上の意見に対し、自分の意向と違う時は意に沿った発言をするまで怒鳴り続け、また、自分自身にミスがあると有無を言わさず部下に責任を転嫁する。そうした言動が原因で体調を崩した部下が入院することとなったため、その部下がそれを報告したところ、「おまえの日ごろの健康管理が悪いからだ。そんなことで休むな」と怒鳴られてしまった。

 

パワーハラスメントを起こさないためのポイント

  • 業務に関する言動であっても、その内容や態様等が威圧的にならないよう注意してください。
  • 仕事に対する姿勢や日常の振る舞いが「パワーハラスメント」の土壌となることがあります。

パターン4 実現不可能・無駄な業務の強要

明らかに無理・無駄な業務を指示していませんか?

【事例7】

 上司Gは、職場に異動してきたばかりの係員の部下に対し、正当な理由もなく、これまで3名で行ってきた大量の申請書の処理業務を未経験のその部下に全部押しつけ、期限内にすべて処理するよう厳命した。このような状況が続き、申請書の処理が滞留したため、その部下が「私にはもう無理だ」と訴えると、「おまえに能力がないからだ。期限内に一人で処理しろ」と激しく責め、聞き入れなかった。

 

【事例8】

 上司Hは部下に対して、毎週のように土曜日や日曜日に出勤することを命じ、自らも出勤し、部下の作った書類のチェックや打ち合わせなどをする。そのような勤務はHの係だけであり、仕事の内容も翌週の平日にできるようなものなのだが、意見を言うと、「出勤の必要があるかどうかは自分が判断する」と言うだけである。

 

パワーハラスメントを起こさないためのポイント

  • 明らかに実現不可能な業務や自分の趣味による無駄な仕事の強要は、言うまでもなく許されません。
  • 部下に対し、非常に大きな負担をかける業務などを命じる場合には、必要に応じ、部下にその理由を説明するなどフォローが必要です。

パターン5 仕事を与えない

部下の好き嫌いなく仕事を与えていますか?

【事例9】

 上司Iは、ある部下について仕事ができない人間だと決めつけ、何の説明もなく役職に見合った業務を全く与えず、班内の回覧物も回さない。この間も、その部下が何か仕事を与えてくれるよう相談したら、自分の机にたまたま置いてあった書類を手に取って「これでもコピーしておけ」と命じただけであった。

 

【事例10】

 上司Jの職場は残業が多いことから、先月、ある部下が業務改善に関する提案を自主的に作成して提出したところ、「要らないことをするな」と突き返された。それ以降、Jは、「あいつとは相性が合わない」と言って、その部下に仕事を与えなくなり、本来の仕事すら他の同僚にさせるようになった。

 

パワーハラスメントを起こさないためのポイント

  • 部下には差別なくその能力や役職等に見合った仕事を与える必要があり、合理的な理由なく仕事を与えないことは許されません。
  • 業務上の意見を言ったことなどを理由に、仕事を与えないなどのペナルティを科すのは権限の濫用に該当します。

パターン6 仕事以外の事柄の強要

私生活に権限を持ち込んでいませんか?

【事例11】

 上司Kは部下に対して、毎日のように昼休みに弁当を買いに行かせたり、週末には家の掃除をさせたりする。皆嫌がっているのだが、断ると、怒鳴ったり、仕事上のペナルティをちらつかせるので言いなりになっている。

 

【事例12】

 上司Lは、ある部下が自分の住んでいるマンションよりも良い物件を賃借していることをねたみ、その部下に対し、「上司より立派なマンションに住むとは何事だ」とか「もっと安いところに住まないと地方に異動させるぞ」などと言い続けたので、その部下はやむを得ず、別の安い物件に転居した。

 

パワーハラスメントを起こさないためのポイント

  • 部下に私事を命じるのは明らかに不適当な命令です。
  • 部下に対して合理的な理由がないのに、仕事以外のことに執拗に干渉しない態度が必要です。

 

裁判事例

暴行に関する事例(東京地裁平成17年10月4日判決)

(内 容) 家電量販店に勤務するAは、上司から、接客訓練中にポスターを丸めた紙筒様のものやクリップボードで頭部を殴打されたり(多い時は20~30発程度)、Aの仕事上のトラブルを理由に大腿を蹴られたりした。また、Aが無断欠勤をしたため自宅に押しかけてきた上司から、母親の面前で殴る蹴る等の暴行を受けた。また、遅刻や出勤時刻の虚偽報告に対して謝罪を強要されたりした。

(判 旨) Aに対する暴行が教育目的で行われたものであったとしても、またAのミスや不誠実な対応がきっかけで行われたものであったとしても、違法性がないとは言えず、Aに対する権利侵害が認められる(なお、慰謝料の額の算定に当たっては、Aの受けた暴行の程度や内容、それが行われた状況と、Aの落ち度やそれにより店側が被った被害が総合的に勘案された)。

上司の言動に関する事例(大阪地裁平成26年4月11日判決)

(内 容) 機械製造販売会社に勤務するAが、終業時間17時の間際に、17時以降も金庫室の利用の必要性が予想されたため、同僚に金庫室の施錠を待ってもらい別で打合せを行っていたところ、上司Bが突然割り込み、Aに対し「金庫室をいつまでも開けとったらあかんやろ。防犯上よくないことくらいあほでも分かる。」などと大声で怒鳴りつけ、Aの説明も聞かずに感情的な叱責を繰り返した。また、Aが指示された書類を作成していた際、Bは「Aは前から仕事が遅い。前任者に比べて4倍5倍かかっている。能力が劣っている。朝までかかってもやれ」などと高圧的な口調で叱責した。

(判 旨) Bの言動(「あほでも分かる」、「能力が劣っている」)は、叱責の態様や内容、指導等の必要性、AとBの人間関係、Aが受けた心理的負荷の程度等に照らし、業務上の指導の範囲を著しく逸脱し、Aの人格権を侵害するものであり違法である。

※ 判決では、「時間がかかっている」という事実の指摘に関する言動は違法とは評価されませんでしたが、「あほでも分かる」、「能力が劣っている」など、Aの人格を否定するような言動は違法であると評価されました。厚生労働省のホームページでも、指導等の際は、人格を否定するような表現は避け客観的事実の指摘にとどめたり、抽象的な批判ではなく具体的な改善方法を示したりするよう留意すべきであると指摘されています。

直属の上司ではない者の言動に関する事例(東京地裁平成25年1月30日判決)

(内 容) 秘書課に勤務するAは、直属の上司ではないBから、業務上の必要がないのに深夜に度々電話を受けたり、Bが別で経営する会社の事務作業を命じられたりした。また、Bから他の役員・社員の前で非難され、「自己愛が強い」、「不要な人間なのに会社にいられることに感謝していない」などと怒鳴りつけられた。さらに、一般の客もいる飲食店での食事中に、役員・社員の前で「秘書として能力がない」、「今まで会社にいて何をしてきたのか具体的に言え」などと長時間叱責されたりした。

(判 旨) Bは、Aの直属の上司ではないが、グループ会社の役員に就任予定であったことなどから、会社内ではAよりも優越的な地位にあり、実質的にAを指揮命令できる立場にあったものと認められる。Bの言動によって、Aの人格的利益は受忍限度を超えて侵害されたものと認められる。

極めて高いノルマ設定に関する事例(長崎地裁平成22年10月26日判決)

(内 容) 自動車販売会社に勤務するAは、上司から他の社員よりも高いノルマを設定されていたが、長時間に及ぶ時間外労働をしてもノルマが達成できなかったことから、上司から、「あんた給料高いだろ、今の五倍くらい働かないと合わない」などと言われ、長時間にわたる叱責を受けたり、他の社員の面前で無能呼ばわりされたりし、うつ病を発症した。

(判 旨) Aのノルマは前年度の177.2%と極めて高く設定されていること、Aはノルマを達成できなかったものの、その成績は担当社員5人中1位であり、Aの能力が低下していたとは認められない。Aには、上司から長時間にわたる叱責や人格を貶めるような発言を受けたと認められる一方、業務以外での心理的負荷や個体側の要因が認められないことから、業務とAのうつ病発症には相当因果関係が認められる。

決裁に関する事例(大阪高裁平成14年1月29日判決)

(内 容) X大学の助手Aが、別のY大学の講義を受け持つに当たり、上司たるX大学の教授Bに対して兼業の承認を得るべく申請したが、Bが「リアルスケジュール(新学期直前にY大学で作成される行事予定表)」の提出にこだわって兼業申請の承認を拒み続けたため、結果的に、AはY大学の講義を休講せざるを得なかった。

(判 旨) Aの兼業申請を承認しなかったことについてBは、Aに対して申請時間数が二転三転したことにつき説明を求めたのにAがこれに応じなかったためと主張するが、これに対してAは一応説明しているものと認められる。一方、Aによれば、Bが提出を求めた時点においては未だ「リアルスケジュール」は作成されていないものであると認められるのであり、Bがそのような書類の提出にこだわって兼業申請を承認しなかったのは合理性を欠くものであるのが明らかで嫌がらせの要素があると推認できる。

容姿に対する嘲笑等に関する事例(東京高裁平成15年3月25日判決)

(内 容) X市Y課の職員Aは、同課の課長ら3名から、繰り返しその容姿や異性関係について嘲笑されたり猥雑な発言を受けたりした。また、ナイフを示されて「今日こそは切ってやる。」と脅されるなどの行為を執拗に受けたりした。その後、Aは自殺。Aの遺族は、Aの自殺は課長ら3名によるいじめ、嫌がらせにより精神的に追い詰められたことによるものだとして、X市に対し国家賠償法等に基づく損害賠償を求めた。

(判 旨) 課長ら3名による上記のような言動はAに対するいじめというべきものであり、これが執拗に繰り返されたことにより、Aは心因反応を起こし自殺したものと推認される。Aの訴えを聞いた上司が適正な措置を講じていれば、Aは自殺に至らなかったと推認されるから、X市の安全配慮義務違反とAの自殺には相当因果関係が認められ、X市は国家賠償法上の責任を負う。

業務上の適正な指導と判断された事例(東京地裁平成22年9月14日判決)

(内 容) 広告代理店に勤務するAに対し、業務上のミスが多いとして、上司Bが日報の作成をさせるとともに業務の反省点等を報告させた。また、Aの電話対応について顧客から苦情を受けた上司Cは、Aと電話対応についてミーティングを行い、指導及び注意を行った。これについてAは、上司B及びCによるいじめや嫌がらせを受けて多大な精神的苦痛を被ったとして訴えた。

(判 旨) BがAに命じた日報の作成、反省点等の報告は、教育指導的観点から業務遂行能力を身につけさせるためと考えられ、Aの主張するように不合理な自己批判を強制するものではない。また、CとAのミーティングの内容は、顧客の苦情に対する改善策としてもっともなものであり、厳しい注意・指導であったことがうかがわれるものの、Aに対するいじめや嫌がらせの目的は認められず、Aの主張は失当である。

業務上の適正な指導と判断された事例(一部は違法)(東京地裁平成2年2月1日判決)

(内 容) 工場に勤務するAが、工具を収納せず、また電気溶接機の電源を切らずに危険な状態のまま放置して退社したことから、上司Bは、安全衛生の観点からAに注意し反省文の提出を求めた(1)。またAは、ボール盤でネジ穴をあける作業を行っていた際、回転中のドリルの下に手を入れることを繰り返していたので、BがAに現場で再三注意をしたが、改善が見られなかったため反省文の提出を求めた(2)。またBは、Aに対し年次有給休暇の取得方法について、繰り返し反省文の提出を求めた(3)。

(判 旨) (一般論として)上司には部下を指導し監督する権限があり、その指導監督のため、必要に応じて従業員を叱責することなど自体は違法性を有するものではない。しかしながら、上司の言動がその権限の範囲を逸脱する又は合理性がないなど、裁量権の濫用にわたる場合は違法性を有する。

1及び2については、その目的及び態様ともに裁量権の濫用が認められず合理性がある。3については、その目的自体は正当であるものの、AがBの指示に従って取得方法を改めたにも関わらず、執拗に反省文の作成を求めたのは行きすぎの感を免れず、裁量の範囲を逸脱したものと言わざるを得ない。

参考資料

  • パワーハラスメント対策導入マニュアル(厚生労働省)
  • 平成24年度 職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書(厚生労働省)
  • 職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言(厚生労働省「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」)
  • 職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告(上記円卓会議ワーキング・グループ)
  • 職場のパワーハラスメント対策ハンドブック(公益財団法人 21世紀職業財団)
  • 「パワー・ハラスメント」を起こさないために注意すべき言動例について(平成22年1月8日人事院事務総局・職員福祉局職員福祉課長通知)
  • 「ここまでやったらパワハラです!―裁判例111選―」(労働調査会)

 

附 則
この指針運用の手引きは、平成27 年9月1日から施行する。
附 則
この指針運用の手引きは、平成28 年4月1日から施行する。
附 則
この指針運用の手引きは、平成30 年4月1日から施行する。

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