大阪市避難行動要支援者避難支援計画(全体計画) はじめに ・阪神・淡路大震災では、要配慮者の支援策について必ずしも十分検討されていなかったため、@高齢者や障がい者等の安否確認に手間取った、A避難所等が障がい者等に配慮したものになっていなかった、B視覚障がい者、聴覚障がい者及び外国人等は情報の入手が容易でなかった、C避難行動要支援者の避難生活等に対する支援が必ずしも十分でなかったなどの問題が生じました。 ・また、平成16年には台風や集中豪雨により全国で230人が死亡、行方不明となり、海難事故の被害者と年齢不詳者を除いた199人のうち65歳以上が123人(62%)を占めたことや、避難できないまま自宅で溺死したと思われるケースも見られるなど、避難行動要支援者への情報伝達や避難誘導等に係る課題が顕在化しました。 ・国はこれら平成16年豪雨等における高齢者等の被災状況を踏まえ、平成18年3月「災害時要援護者の避難支援ガイドライン」をまとめ、大阪府は平成19年3月「市町村における『災害時要援護者支援プラン』作成指針」を策定しました。 ・これらのことから、大阪市においても、大阪市地域防災計画の内容を具体化した避難行動要支援者の支援策に係る基本的な考え方を定めるため、平成21年11月「大阪市災害時要援護者避難支援計画(全体計画)《現 大阪市避難行動要支援者避難支援計画(全体計画)》」を策定し、避難行動要支援者などの要配慮者の避難支援等の取組みを進めています。 ・大規模災害が発生した場合、市職員も被災者となる可能性があるとともに、消火、救急、道路の確保や治安の維持など行政が行う対策は多岐にわたり、地域における避難行動要支援者の避難支援等の取組みはもっぱら自主防災組織等によらざるを得ない状況となることが予想されることから、全体計画においては、避難行動要支援者の自助、地域(近隣)の共助を基本としています。 ・とりわけ、自主防災組織は災害時における対策を実施する上で最も有効な組織単位であるため、避難行動要支援者の支援においても自主防災組織は非常に大きな役割を担うことが期待されています。 ・自主防災組織の体制が充実し、自力避難が困難な方の所在把握から、必要な支援内容を一人ひとりごとにまとめる「避難支援プラン(個別計画)」の作成、災害時の安否確認及び避難支援等の一連の活動の適切かつ円滑な実施に至るために、この全体計画は、避難行動要支援者自身(自助)、自主防災組織(共助)、大阪市(公助)のそれぞれの果たすべき事項を取りまとめています。 ・今回、東日本大震災の教訓(被災地全体の死者数のうち65 歳以上の高齢者の死者数は約6 割であり、障がい者の死亡率は被災住民全体の死亡率の約2 倍に上った。他方で、多数の支援者も犠牲となった。)を踏まえ、国において、平成25 年6月に災害対策基本法を改正、同年8月「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」を作成したことなどから、全体計画について必要な改訂を行います。   もくじ はじめに  1ページ 第1章 基本的な考え方  5ページ 1 避難行動要支援者とは  5ページ (1) 避難行動要支援者の定義  5ページ (2) 避難行動要支援者の特徴とニーズ  5ページ 2 全体計画の目的  5ページ 3 自助・共助・公助の役割分担  6ページ (1) 個人の心がまえ 「自助:避難行動要支援者の取組み」  6ページ (2) 住民自治の理念 「共助:自主防災組織の取組み」  6ページ (3) 行政の責務 「公助:大阪市の取組み」  6ページ 4 避難行動要支援者支援の地域基盤  7ページ ◎ 自主防災組織の確立  7ページ ◎ 自主防災活動の企画、立案  7ページ ◎ 自主防災活動の実施  7ページ 第2章 避難行動要支援者の取組み(平常時の備えと災害時の対応)  8ページ 1 身近な人たちとのコミュニケーション  8ページ 2 家屋の安全確保  8ページ 3 災害情報の入手手段等の確認  8ページ 4 必需薬、生活用品等の確保  8ページ 5 災害発生時の状況の想定、必要な支援内容等の発信  8ページ 6 日本語に不慣れな外国人等における防災情報等の習得  8ページ 7 災害時の対応  8ページ 第3章 自主防災組織の取組み(平常時の備えと災害時の対応)  10ページ 1 避難行動要支援者の避難支援における自主防災組織の必要性  10ページ 2 避難行動要支援者の避難支援における自主防災組織のあり方  10ページ 3 地域における「避難行動要支援者支援計画」の作成(避難行動要支援者の避難支援のためのルールづくり)  10ページ 4 避難行動要支援者の所在把握  11ページ 5 「避難支援プラン(個別計画)」の作成と管理  12ページ 6 避難勧告等の情報伝達  13ページ 7 防災訓練等の実施  13ページ 8 災害発生時の支援  14ページ 9 専門的かつ緊急性を要する人への支援  14ページ 10 災害時避難所での支援  14ページ 11 地域における相談支援機関との連携  14ページ 12 外国人に対する支援  14ページ 第4章 大阪市の取組み(平常時の備え) 15ページ 1 自主防災組織による避難行動要支援者の避難支援活動の促進  15ページ 2 大阪市保有情報に基づく避難行動要支援者情報の把握、管理  15ページ 3 避難行動要支援者への情報伝達体制の整備  16ページ 4 要配慮者利用施設の把握と情報伝達体制の整備  16ページ 5 専門的かつ緊急性を要する人への対応  16ページ 6 食料品、生活用品等の準備  17ページ 7 医療的ニーズ等への対応  17ページ 8 災害時避難所の施設環境整備  17ページ 9 福祉避難所の指定  17ページ 10 緊急入所等  18ページ 11 社会福祉施設等との連携・協力体制の構築  18ページ (1)社会福祉施設との協力体制の構築  18ページ (2)介護事業者との連携  18ページ (3)福祉総合相談体制及び在宅福祉サービス提供体制の構築  18ページ 12 外国人に対する支援  18ページ (1) 日本語に不慣れな人への情報伝達体制の整備  18ページ (2) 防災啓発の実施  19ページ (3) 関係団体等との協力体制の構築  19ページ 13 災害時の避難行動要支援者支援活動調整体制の整備  19ページ 第5章 大阪市の取組み(災害発生時)  20ページ 1 災害・避難情報の提供  20ページ 2 災害時の初期初動対応  20ページ (1) 安否確認、救出・救護、避難誘導の実施  20ページ (2) 要配慮者利用施設の被害状況等の把握  20ページ (3) 専門的かつ緊急性を要する人への対応  20ページ (4) 福祉避難所の開設  20ページ 3 被災後の避難生活支援  21ページ (1) 避難行動要支援者の実態把握  21ージ (2) 被災後の生活関連情報の提供  21ページ (3) 医療機関、福祉避難所等への移送  22ページ (4) 避難行動要支援者に配慮した食事や生活用品の提供  22ページ (5) 避難行動要支援者の相談窓口の設置  22ページ (6) 保健・福祉サービスの提供  23ページ (7) 在宅の避難行動要支援者への支援  23ページ 4 避難行動要支援者に考慮した応急仮設住宅・公営住宅の入居及び支援  23ページ (1) 応急仮設住宅の整備  23ページ (2) 応急仮設住宅・公営住宅の優先入居  23ページ (3) 福祉仮設住宅の設置  24ページ (4) 見守り活動の実施  24ページ (5) 緊急に通報できる仕組みの整備  24ページ 5 外国人に対する支援  24ページ (1) 日本語に不慣れな人への災害・避難情報の提供  24ページ (2) 被害状況等の把握  24ページ (3) 被災後の避難生活支援  24ページ 6 その他の要配慮者に対する支援   24ページ 本計画に記載している語意については、次のとおりとします。 【自助、共助、公助とは】 ・自助とは、自分で自分、家族、財産を守る備えと行動。 ・共助とは、近隣のみなさんと協力して地域を守る備えと行動。 ・公助とは、市、府、国といった行政機関、ライフライン各社をはじめとする公益的事業を営む機関などの防災活動。 【自主防災組織とは】 ・「自分たちのまちは自分たちで守る」という共通の目的に向かって活動を行うもので、概ね小学校区単位で整備され、地域活動協議会などを中心とし、地域に居住及び勤務する広範囲な人員(連合振興町会、社会福祉協議会、地域ネットワーク委員会、民生委員、女性会、PTA等及び地域住民を主要メンバーとし、マンション等管理組合、社会福祉施設、企業、NPOなどを含む)で構成されるもの。 ・災害時の安否確認、救護、初期消火、避難行動要支援者支援、津波避難、警報情報等の収集・伝達など、自助、共助の取組みを組織的に行うことができるよう防災訓練などを実施し、その実行力の確保に努めます。 【避難所とは】 ・大阪市では次のような場所を避難所に指定しています。 (広域避難場所) 同時多発火災が発生し、人命に著しい被害を及ぼすと予測される場合の避難に適する大きな公園など。 (災害時避難所) 宿泊、給食等の生活機能を提供できる施設。小学校、中学校など。 (一時避難所)  一時的に避難できる広場、公園や学校の校庭など。 【避難所運営委員会とは】 ・避難してきた地域住民のみならず自宅に戻った被災者にとっても救援物資や各種情報を入手でき、地域の拠点として機能する小学校、中学校等の災害時避難所の開設及び運営を担う組織。避難者(自主防災組織)が中心となって施設管理者、区役所等とともに構成する組織で、生活上のルールや役割分担を決め、救援物資の配付や避難所の自治、管理を行います。 【福祉避難所とは】 ・一般の災害時避難所では対応できない避難行動要支援者などの要配慮者のために、特別の配慮がなされた災害時避難所。 ・社会福祉施設をはじめ公民の施設の全部又は一部を転用して「福祉避難所」とします。 ・教室・保健室を含め、一般の災害時避難所に区画された部屋を「福祉避難室」として対応するものも福祉避難所に含まれます。 【要配慮者利用施設とは】 ・主として高齢者、障がい者、乳幼児等の要配慮者が利用する施設。 第1章 基本的な考え方 1 避難行動要支援者とは (1) 避難行動要支援者の定義 ・要配慮者(高齢者、障がい者、乳幼児、妊産婦、児童、傷病者、外国人など、特に配慮を要する者)のうち、自ら避難することが困難な者であって、その円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要する者を避難行動要支援者といい、次のような状態の人々が該当します。 ・移動が困難な人。 ・日常生活上介助が必要な人。 ・情報を入手したり、発信したりすることが困難な人。 ・急激な状況の変化に対応が困難な人。 ・薬や医療装置が常に必要な人。 ・精神的に著しく不安定な状態を来たす人。 ・言語、文化、生活習慣への配慮が必要な人。 ※ 避難行動要支援者について、これまで「災害時要援護者」と表記していましたが、平成25年6月の改正災害対策基本法において、新たに「避難行動要支援者」として定義づけられました。このことから、大阪市においても「避難行動要支援者」として表記を変更します。 (2) 避難行動要支援者の特徴とニーズ ・(参照) 別紙1:「避難行動要支援者の特徴とニーズ等」 この表は避難行動要支援者の特徴とニーズを例示的にまとめたもので、これらの内容は決して一律的なものではなく、またすべての事象を網羅しているものでもありません。 ・災害時には想定できない様々な状況が起こりうるため、避難行動要支援者一人ひとりのニーズの違いを理解し支援にあたる必要があります。 2 全体計画の目的 【避難行動要支援者に関する対策:大阪市地域防災計画より】 大規模な災害が発生した場合、消防や警察等による支援体制(公助)が整うまでには 一定の時間を要するうえ人的体制を含めて対応能力等に限界がある。そのため、自らの命は自らで守り、支援が必要な者に対しては、地域で助け合う地域防災活動が重要である。 効果的な避難行動要支援者の避難支援対策を行うためには、避難行動要支援者自身や家族による自助、及び隣人や友人など地域で備え助け合う共助を基本とし、それらに加えて公的機関による公助の三位一体の活動が必要であることから、自助、共助、公助の各役割分担を明確にするとともに、本市は、地域における自主防災組織による避難行動要支援者の避難支援の取組みが効果的に進展するよう自主防災活動の支援を行うことが重要である。 ・阪神・淡路大震災においても、生き埋めになった人たちの実に約98%が自助、共助によって助かったことからも明らかなように、大規模災害発生時、消防や警察等による支援体制(公助)が整うまでには、一定の時間を要するうえ人的体制を含めて対応能力等に限界があります。そのため、自らの命は自らで守り、支援が必要な者に対しては、地域で助け合う地域防災活動が重要です。 ・効果的な避難行動要支援者の避難支援対策を行うためには、避難行動要支援者自身や家族による自助、及び隣人や友人など地域で備え助け合う共助を基本とし、それらに加えて公的機関による公助の三位一体の活動が必要です。 ・この全体計画は、自助、共助、公助のそれぞれの役割を踏まえ、相互の連携と支援のあり方を明確にすることで、災害時に支援を要する方々の安全な避難とその後の円滑な復旧に資することを目的とします。 3 自助・共助・公助の役割分担 (1) 個人の心がまえ 「自助:避難行動要支援者の取組み」 ・自己の安全確保 平常時から災害に関する危機意識を持って、自己の安全を確保するよう努めます。 ・避難行動の確保 災害発生時に自身及び家族で適切な避難行動が行えるよう努めます。 (2) 住民自治の理念 「共助:自主防災組織の取組み」 ・地域コミュニティの活性化 地域の住民が地域社会の一員としてコミュニティ活動に関心を持ち、積極的に参加していくことで、互いに助け合う地域社会づくりを進めることにより、災害時にも効果的な取組みが可能となります。 ・避難行動要支援者の所在把握、避難支援プラン(個別計画)の作成 自主防災組織は、自分たちの地域で生活する人はみんなで守っていくということを基本に、平常時から避難行動要支援者情報の把握に努め、想定される災害ごとの具体的な避難支援プラン(個別計画)を個々の避難行動要支援者と確認しておき、災害時には避難支援等を行うよう努めます。 (3) 行政の責務 「公助:大阪市の取組み」 ・自主防災活動への支援 大阪市は、自主防災組織による避難行動要支援者の避難支援の取組みが効果的に進展するよう、個人情報の取扱いや具体的な支援方法等を記載した活動マニュアルを提供するとともに、区役所と連携しコーディネーター等を地域へ派遣し自主防災組織の「避難行動要支援者支援計画」の作成を支援するなど、自主防災活動の支援を行います。 ・大阪市保有情報に基づく避難行動要支援者情報の把握、管理 大阪市が通常施策を実施するために収集している要配慮者情報を利用して、「大阪市避難行動要支援者名簿」をあらかじめ作成、毎年更新し、「避難行動要支援者支援計画」を作成するなど避難行動要支援者支援の基盤が整った地域からの要請に応じて自主防災組織へ避難行動要支援者情報を本人の同意を得て提供します。 ・災害時の避難行動要支援者支援活動調整体制の整備 大阪市は、災害時の避難行動要支援者支援活動の初期初動からその後の避難生活支援活動の調整を円滑かつ迅速に実施するため、大阪市災害対策本部避難行動要支援者支援班の立ち上げ及び調整体制の整備を図ります。 ・専門的かつ緊急性を要する事態への対応 大阪市は、医療機器への依存度が高く緊急性を要する等、地域住民による共助では支援が困難な場合、自主防災組織をはじめ、防災関係機関、医療機関、社会福祉施設等と広く連携し、避難行動要支援者のための各種施策を総合的に推進します。 4 避難行動要支援者支援の地域基盤 ・避難行動要支援者の避難支援を進めるにあたっては、見守り活動や声かけなど、普段から隣近所の身近な人たちの結束した取組みが、災害時において、地域の人材や物的資源を活かした総合力の発揮につながります。これらの平常時から災害時における一連の取組みを組織的、継続的に進めていくため、以下の事項について地域が主体となって取り組み、避難行動要支援者支援のための地域基盤を構築していくことが必要です。 ◎ 自主防災組織の確立  小学校区程度の範囲で地域活動協議会などを中心とした、地域に居住及び勤務する広範囲な人員(連合振興町会、社会福祉協議会、地域ネットワーク委員会、民生委員、女性会、PTA等及び地域住民を主要メンバーとし、マンション等管理組合、社会福祉施設、企業、NPOなどを含む)で構成する等、地域を網羅した自主防災組織を確立し、組織の責任者、活動内容などを定め、災害時の安否確認、救護、初期消火、避難行動要支援者支援、津波避難、警報情報等の収集・伝達など自助、共助の取組みを組織的に行うことができるよう防災訓練などを実施し、その実行力の確保に努めます。特に避難行動要支援者の避難支援の取組みには、地域福祉関係者の自主防災組織への参画が欠かせません。 詳細は、「第3章 自主防災組織の取組み(10ページ)」参照。 ◎ 自主防災活動の企画、立案 自主防災組織は、人口分布や災害想定など地域の特性を踏まえ優先的に取り組むべき活動など、自主防災活動として取り組む内容を、住民参加による話し合いなどを通して決定します。 特に、避難行動要支援者情報の収集・管理方法や、避難行動要支援者への個別支援内容、そして支援者の選出方法などに関するルールを「避難行動要支援者支援計画」として自主防災組織において作成することが重要です。 ◎ 自主防災活動の実施 自主防災組織は、地域の特性に応じて企画、立案した防災活動を、住民協働により実施していきます。 また、災害時に適切に行動できるよう、日頃から避難行動要支援者をはじめとしたより多くの住民参加のもとに実践的な防災訓練を地域ぐるみで実施します。 第2章 避難行動要支援者の取組み(平常時の備えと災害時の対応) 避難行動要支援者は、避難が困難であったり被災後の生活に不安が予想されるため、災害発生時に身の安全を確保し被害を最小限にするために、以下の事項のうち自分でできる災害への備えに努めます。 1 身近な人たちとのコミュニケーション ・日頃から、隣近所等、身近な人たちとのコミュニケーションを大事にし、防災訓練や地域の活動などにも積極的に参加し、自分のことをよく知ってもらうことが大切です。 2 家屋の安全確保 ・家具の固定等、家屋の安全対策を行います。自分自身や家族で作業が困難な場合は、隣近所へ協力を依頼します。 3 災害情報の入手手段等の確認 ・日頃から、地震、津波、大雨・洪水などの災害情報の入手方法について、おおさか防災ネット防災情報メール(携帯電話)、テレビ、ラジオ、インターネット、ファクシミリ等、自身の状況に応じた可能な方法を確認し必要な機器の準備に努めます。 ・各種団体が発信するネットワークの活用等、自らの安全に必須な情報の入手方法を把握します。 4 必需薬、生活用品等の確保 ・自身の状況に応じて必要な医薬品、医療器具、生活用品等を準備しておきます。特殊な医薬品、医療器具を使用している場合はおおむね1週間分の確保をしておきます。 ・緊急時に自らの所在を知らせる笛などを用意しておきます。 ・自主防災組織が支援者や緊急時の受入れ機関などの具体的な支援内容をまとめた「避難支援プラン(個別計画)」を準備しておくよう努めます。 5 災害発生時の状況の想定、必要な支援内容等の発信 ・防災マップ‘津波・水害から命を守るために’や市民防災マニュアル等を参考に災害発生時の状況をイメージできるよう努めます。 ・「自分でできること」「自分だけではできないこと」を明らかにして、災害時に必要な支援内容等を伝え、支援者や緊急時の受入れ機関などの具体的な支援内容を「避難支援プラン(個別計画)」として自主防災組織とともにまとめておくよう努めます。 6 日本語に不慣れな外国人等における防災情報等の習得 ・居住地域の避難所や避難経路の把握、確認に努めます。 ・災害に関する基礎知識を習得し、必要な日本語の習得に努めます。 ・日本語の理解度や必要な支援内容等を記載した連絡カード等を用意し、自らの状況を知らせる手段を確保しておきます。 7 災害時の対応 ・ひとりで避難が困難な場合等は、笛を吹く等、自らの所在を周囲へ知らせるよう努めます。 ・災害時においては、自らの知識や経験に基づいて、同じ立場の被災者に対してできることがあれば積極的に協力するよう努めます。 第3章 自主防災組織の取組み(平常時の備えと災害時の対応) 1 避難行動要支援者の避難支援における自主防災組織の必要性 ・平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災は、大都市を直撃した極めて大きな地震災害であったため、道路、鉄道、上下水道、電気、ガス、通信施設など、市民生活と経済活動を支える都市基盤施設に壊滅的な被害を与えました。 ・老朽木造住宅の密集した地域では、地震の揺れによって多くの建物が倒壊し、神戸市の長田区や兵庫区などでは大規模な火災も発生しました。 ・一刻も早く倒壊家屋等の下敷きになった人を救出し、また、火災が延焼しないうちに消火する必要があったにもかかわらず、すべての地域に、消防、警察、自衛隊などの防災関係機関の救援が十分に行き渡ることが極めて難しい状況が発生しました。 ・そのように防災関係機関の人手が極めて不足する中にあって、阪神・淡路大震災では、倒壊した家屋や転倒した家具の下敷きになった人たちを、隣近所の人たちが力をあわせて救出し、多くの尊い命が救われました。その割合は、近隣住民や家族などによる救出が全体の約98%とも言われています。 ・上記のことから、避難行動要支援者の大切な命を災害から守るためには、地域における防災活動の担い手である自主防災組織の日頃からの活動を通じて、住民同士が力をあわせて防災対策に取り組んでいくことが大切です。 2 避難行動要支援者の避難支援における自主防災組織のあり方 ・自主防災組織は、地域が協力、連携して災害から「自分たちのまちは自分たちで守る」ために活動することを目的に結成する組織で、避難行動要支援者の避難支援の取組みを進めるには、避難行動要支援者の大切な個人情報を多く取り扱うため、自主防災組織の目的や活動内容、範囲、役員の選任・役割などを規約として定め、組織の体制や責任者を明らかにして責任の所在を明確にすることが必要です。 ・自主防災組織は、日常生活上の一体性を感じることのできる概ね小学校区程度の範囲で地域活動協議会などを中心とした地域に居住及び勤務する広範囲な人員(連合振興町会、社会福祉協議会、地域ネットワーク委員会、民生委員、女性会、PTA等及び地域住民を主要メンバーとし、マンション等管理組合、社会福祉施設、企業、NPOなどを含む)で構成する等、地域を網羅した組織とすることが望ましいと考えられます。 ・さらに、避難行動要支援者の避難支援の取組みには、日頃から地域福祉の担い手である地域(地区・校下)社会福祉協議会、民生委員・児童委員、地域ネットワーク委員会、社会福祉施設等が、災害発生時にも極めて有用な人材、組織であるため、平常時から自主防災組織への参画が欠かせません。 ・避難行動要支援者の避難支援には多くの支援者が必要なことから、地域実情に応じた実効性のある具体的な組織体制を、自主防災活動マニュアル(http://www.city.osaka.lg.jp/kikikanrishitsu/page/0000035308.html)等を参考に構築していくことが必要です。 3 地域における「避難行動要支援者支援計画」の作成(避難行動要支援者の避難支援のためのルールづくり) ・自主防災組織は、例えば災害図上訓練や地域の防災マップ作り等により、防災上のまちの問題点や課題、地域の人材、活用できる地域資源等を確認し、救出、救護及び避難支援方法等、避難行動要支援者支援に関する具体的方策を検討します。 ・自主防災組織は、より効果的な避難行動要支援者の支援の取組みを進めていくため、避難行動要支援者情報の収集・管理方法、支援内容や支援者の選出方法などに関するルールについて、地域での話し合いを進め、「避難行動要支援者支援計画」として作成するよう努めます。 ・策定したルールは地域内に広く周知するとともに、取組みの実践を通じて点検し、必要に応じ修正を行いながら、より実効性のあるルールづくりに努めます。 4 避難行動要支援者の所在把握 ・避難行動要支援者の支援は、隣近所など地域の手助けが何よりも力となりますが、自主防災組織が災害時に避難行動要支援者の安否確認、救出、救護を迅速に行うには避難行動要支援者情報の把握が不可欠ですので、自主防災組織が主体となって避難行動要支援者の情報収集を行うことが基本となります。 ・避難行動要支援者情報の収集にあたっては、個人情報を有効に活用しながら必要な保護を図るとした個人情報保護法令の目的を正しく理解したうえで、積極的な取組みが求められます。 ・情報の収集の進め方として、次のような方法が考えられます。 ・同意方式のみを採用した場合は、対象者が把握できている人に限られ取組みの周知が不十分になることがあるため、まずは手上げ方式を基本に広く周知し、併せて同意方式を行い補完することが望ましいと考えます。 【自主防災組織による避難行動要支援者情報の収集方法】 @ 手上げ方式 「手上げ方式」は、自主防災組織が避難行動要支援者支援について周知し自発的に手を上げるよう呼びかけ、支援を希望される方は、「登録カード」等に本人(または家族)が記入し自主防災組織へ提出します。 なお、避難行動要支援者支援の周知にあたっては、平常時の要支援状態にかかわらず、災害情報の収集や避難に不安を感じている方が避難行動要支援者として登録されるよう、地域全体への呼びかけが必要です。 A 同意方式 「同意方式」は、避難行動要支援者本人に直接的に働きかけて必要な情報を収集します。情報収集を進めるにあたっては、民生委員・児童委員、地域ネットワーク委員、障がい者団体などの協力を得ながら、登録者の拡大を図っていきます。 B 区役所からの避難行動要支援者情報の提供(地域において「避難行動要支援者支援計画」を作成している場合)    避難行動要支援者の避難支援は自助、地域の共助が基本となるため、避難行動要支援者の情報収集については自主防災組織の主体的な取組みが重要ですが、地域において「避難行動要支援者支援計画」を作成している場合は、区役所が作成する「大阪市避難行動要支援者名簿」に記載の避難行動要支援者情報の提供を要請することができます。なお、要請を受けた区役所は、本人同意を得たうえ、避難行動要支援者情報を自主防災組織に提供します。 ・自主防災組織は、地域での見守り活動や声かけ運動などのコミュニティ活動等を通して、個人情報の保護に配慮しながら、本人の同意を得て地域内の避難行動要支援者の所在の把握に努めます。 ・避難行動要支援者情報は、プライバシーに十分配慮し適切に管理するため、大阪市危機管理室が提供する活動マニュアル等を活用しながら、保管場所などを含めて、個人情報の取り扱い等に関するルールを地域で定めておくことが必要です。 【避難行動要支援者情報の管理で留意すべき点】 〇 利用目的を明確にする。 〇 利用、取得に関するルールを明確にし、周知する。 〇 適正、安全な管理に関するルールを明確にする。 〇 共有に関するルールを明確にする。 〇 本人からの開示等の求めに応じるルールを明確にする。 ・自主防災組織は、地域内にある要配慮者利用施設に対して地域活動の周知を行い、連携について協議を行っておきます。 ・自主防災組織は、地域内住民に対して避難行動要支援者支援活動の周知を行います。 5 「避難支援プラン(個別計画)」の作成と管理 ・自主防災組織は、避難行動要支援者やその家族と面談を行い、災害時の具体的な支援内容や支援者、避難方法を記載した「避難支援プラン(個別計画)」を作成します。 ・自主防災組織は「避難支援プラン(個別計画)」の作成にあたり、その目的及び活用方法等を明確にして避難行動要支援者本人、避難支援者に同意を得ます。 ・避難支援者は、本人又はその家族等の生命及び身体の安全を守ることが大前提であるため、自主防災組織は、避難支援者が避難支援プラン(個別計画)に基づいて助けようとしても、助けられない可能性もあることについて、避難行動要支援者の理解を得る必要があります。 ・避難支援プラン(個別計画)に盛り込むべき内容 (参照) 別紙2:「避難支援プラン(個別計画)記載例」 【避難支援プラン(個別計画)作成のポイント】 ・風水害では避難準備情報等の発令による事前の避難行動が重要であり、地震等の突発的な災害では初動期における避難支援はもとより安否確認や被災者の救援活動、ライフライン途絶時の在宅支援などが考えられることから、避難行動要支援者の支援にあたっては、こうした災害ごとの対応の違いを踏まえておく。 ・大阪市危機管理室が区毎に作成した防災マップ‘津波・水害から命を守るために’や市民防災マニュアル等により想定される被害を確認する。 ・居住家屋の状況及び家族の援助の有無等を考慮する。 ・避難行動要支援者は身体面、精神面など様々な点で周囲の支えを必要とするため、それぞれの特徴を十分踏まえた避難行動、避難生活などを考慮しておく。 ・医療機関等への移送等が必要な避難行動要支援者については、移送手段や受入機関等を把握しておく。 ・支援者は、災害時に居合わせなかったり、支援者自身が被災することも想定されることなどから、複数人(最低でも2 人)を選定しておく。ただし、実効性が確保できれば、支援者欄は団体名や代表者名でもよい。※実効性の確保とは、地域で話し合いを進め、避難行動要支援者の状況や組織体制・活動内容、地域の特性を踏まえて作成、提出された「避難行動要支援者支援計画」に基づく個別支援計画である「避難支援プラン(個別計画)」について、支援者において理解し、組織的に意思統一されていることなどがポイントです。 ・避難支援プラン(個別計画)の作成を通じて、情報伝達方法や避難所となる施設の所在及び避難所で受けられるサービス内容等について、避難行動要支援者の理解を図るよう努める。 ・自主防災組織は、収集した避難行動要支援者情報の台帳や名簿等への掲載について避難行動要支援者やその家族の了解を得て、個人情報の保護を自主防災組織の代表者が責任を持って遵守し、地域実情に適した様式により管理します。 ・自主防災組織は、作成した避難支援プラン(個別計画)の複写を区役所へ提出しておきます。 ・自主防災組織は、収集した避難行動要支援者情報を平常時の見守り活動などに活用することにより、避難行動要支援者の異動や状態の変化を常に把握するとともに区役所が作成する「大阪市避難行動要支援者名簿」に記載の避難行動要支援者情報の提供を受けることにより、最新の情報に更新するよう努めます。 6 避難勧告等の情報伝達 ・自主防災組織は、災害発生のおそれがあるときに迅速な避難を促すため、「避難行動要支援者の特徴とニーズ等(別紙1)」等を参考にして、大阪市が発する避難勧告や報道機関の発する災害情報等を、避難行動要支援者個々の状況に応じた伝達経路や手順を避難支援プラン(個別計画)の中であらかじめ定めておき、その方法を避難行動要支援者及びその家族等と共有しておきます。 ・自主防災組織は、避難行動要支援者に対し、災害・避難情報を直接避難行動要支援者がおおさか防災ネットから携帯電話メールで受信するためのアドレス登録を行うよう働きかけます。 7 防災訓練等の実施 ・自主防災組織は、災害時に避難支援プラン(個別計画)に基づく適切な避難支援行動がとれるよう、避難誘導の経路や方法を確認する避難訓練や、小学校等の利用方針などを確認する避難所開設訓練等、避難行動要支援者の参加を得た実践的な防災訓練を定期的に行うよう努めます。 ・自主防災組織は、避難行動要支援者が避難訓練等に参加しやすい環境の醸成に係る協力を、区役所及び要配慮者利用施設や関係機関・団体等に要請します。 ・避難行動要支援者自身での家屋の安全対策が困難な場合、自主防災組織は、避難行動要支援者宅の家具調度品の移動や固定及び大阪市耐震診断・改修補助事業の制度の周知等、住宅点検の支援に努めます。 8 災害発生時の支援 ・自主防災組織は、洪水時等の円滑かつ迅速な避難行動要支援者の避難を確保するため、気象警報、洪水予報、避難準備情報、避難勧告、避難指示等の情報について、例えば代表者から情報を担当する者を経て支援者に伝える等、情報伝達体制を整備し、避難支援プラン(個別計画)に基づき避難行動要支援者へ早急な伝達を行います。 ・大地震発生直後は、大阪市の災害対応や他都市からの広域消防応援、自衛隊等による支援体制等が整うまでに一定の時間を要することから、自主防災組織は単独で、避難支援プラン(個別計画)により災害ごとにあらかじめ定めた体制、方法に基づき、避難行動要支援者の速やかな安否確認、救出、救護及び避難支援行動に努めます。 ・避難支援者は、避難支援者本人又はその家族等の生命及び身体の安全を守ることが大前提であり、その安全確保に十分に留意した上で、地域の特性や災害の状況に応じ可能な範囲で避難支援行動に努めます。 (参照)  別紙3:地域住民単独による避難行動要支援者の避難支援(初期初動) ・自主防災組織は、区役所職員が災害時避難所へ到着後、大阪市避難行動要支援者名簿(参照:第4章‐2大阪市保有情報に基づく避難行動要支援者情報の把握、管理 15ページ)の情報を参照し、災害時の支援を拒否している人等、安否確認に漏れが判明した場合は、避難行動要支援者の安否確認、救出・救護などの災害対応に努めます。 (参照) 別紙4:大阪市避難行動要支援者名簿を活用した避難支援(約半日経過以降) 9 専門的かつ緊急性を要する人への支援 ・自主防災組織は、医療機関等への依存度が高く緊急性を要する人に対しては、作成した「避難支援プラン(個別計画)」に基づき、移送の補助や関係機関への連絡調整等の支援をします。共助での対応が難しい場合は区本部へ対処を求め、区本部が関係機関等へ支援を要請します。 体調不良や精神的に不安定になった人などについても区本部に対処を求めます。 10 災害時避難所での支援 ・自主防災組織は、災害時避難所ごとに組織する避難所運営委員会において区役所等と連携し、「避難行動要支援者の特徴とニーズ等(別紙1)」等を参考にして、避難行動要支援者への相談対応、必要なスペースの確保、確実な情報伝達、支援物資の提供等を行い、避難所環境の配慮に努めます。 ・自主防災組織は区役所等と連携して、災害時避難所での生活が困難な避難行動要支援者を福祉避難所等へ移送します。 11 地域における相談支援機関等との連携 ・自主防災組織は、地域包括支援センター、障がい者相談支援事業所、地域子育て支援センターなど、地域を基盤として相談支援を行っている機関と連携し、避難行動要支援者避難支援にかかる活動に取り組みます。 ・情報伝達等の必要な支援に関して、専門的技術を有する盲ろう通訳・介助員、手話通訳者及び要約筆記者等を確保するため、地域に在住する人材の協力者名簿を作成するなどネットワークの構築に努めます。 12 外国人に対する支援 ・自主防災組織は、日頃から外国人と地域住民との交流の場を設けるなど、地域防災コミュニティの醸成に努めます。 ・自主防災組織は、外国人に対して、言語、生活習慣、文化等の違いに配慮した情報伝達及び災害時避難所運営等に努めます。 第4章 大阪市の取組み(平常時の備え) 1 自主防災組織による避難行動要支援者の避難支援活動の促進 ・区役所及び消防署は、災害時に避難行動要支援者の迅速かつ安全な避難を図るため、自主防災組織による実効性のある支援体制の確立や訓練計画の策定等の取組みを支援します。 ・危機管理室は、自主防災組織が地域で避難行動要支援者の避難支援に取り組むための個人情報の取扱いや支援方法等を活動マニュアルとして提供するとともに、区役所と連携しコーディネーター等を地域へ派遣し自主防災組織の「避難行動要支援者支援計画」の作成などを支援します。 ・区役所は、自主防災組織による避難行動要支援者登録等の取組みを、区の広報紙及びホームページ、窓口を通じて区民に周知します。 ・区役所は、区レベル又は地域レベルにおける関係団体連携の場において、避難行動要支援者の避難支援にかかる具体的方策を話し合う機会を設けるとともに、自主防災組織を中心とした地域防災の取組みに積極的に参画するようはたらきかけを行います。 2 大阪市保有情報に基づく避難行動要支援者情報の把握、管理 ・避難行動要支援者の避難支援は自助、地域の共助が基本となるため、そのための避難行動要支援者情報の収集・管理についても自主防災組織の主体的な取組み「第3章−4避難行動要支援者の所在把握(11ページ)」が重要です。 ・この基本を踏まえた上で、区役所は関係局と連携して、「大阪市避難行動要支援者名簿作成基準」(別紙5)に基づき、大阪市が通常施策を実施するために収集している要配慮者情報を利用して、避難行動要支援者名簿をあらかじめ作成し、毎年更新します。 (作成の目的) 自主防災組織による避難行動要支援者避難支援の取組みへの支援。 在宅難病患者等の医療依存度の高い者等、緊急性を要する避難行動要支援者の避難支援。               (利用する保有個人情報の項目) 住所、氏名、性別、生年月日、電話番号その他の連絡先、障がいの内容・程度、要介護度など、支援に必要な情報。 ・作成した「大阪市避難行動要支援者名簿」は、「避難行動要支援者支援計画」を作成するなど支援の基盤が整った地域:「第1章−4避難行動要支援者支援の地域基盤(7ページ)」からの要請に応じて自主防災組織へ避難行動要支援者情報を提供(高齢者施設、障がい児・者施設への長期入所者については、施設管理者など避難支援者が明確であることから除くこととする。)し、自主防災活動の一層の支援を行い、より効果的な活用を図ります。情報提供にあたっては、避難行動要支援者本人の同意が必須であり、プライバシー保護に配慮した具体実施方法を検討し、事務取扱要領を別途定めることとします。なお、情報提供を実際に受けた者に対して、災害対策基本法第49条の13に基づき守秘義務が課せられます。 (参照) 別紙6:「避難行動要支援者の避難支援に係る個人情報の取扱」 ・自主防災組織では情報が収集し切れなかったり、個別支援プラン(個別計画)がまだ作成されていなかったりすることが起こり得るので、区役所は、自主防災組織の避難支援行動を補うことを目的に、「大阪市避難行動要支援者名簿」を地域(小学校区等)単位で整理し印刷したものを安全な場所に保管しておき、災害発生時には迅速に当該名簿を災害時避難所等で自主防災組織へ提供し安否確認を行えるように準備しておきます。 ・救出・救護に活用するため、区役所は作成した避難行動要支援者名簿を消防署へ提供しておきます。 3 避難行動要支援者への情報伝達体制の整備 ・危機管理室は、避難行動要支援者が避難に時間を要することから、洪水時の避難勧告基準(大阪市地域防災計画 風水害等対策編 第2部第5章第17節17−2(2)洪水予報河川・水位周知河川における避難計画)により、避難勧告に先立ち避難準備情報を適切に発表するよう努めます。 ・危機管理室は、聴覚、視覚、知的障がいなど、多様な情報取得困難者を想定した情報伝達手段により情報が伝達されるよう体制の整備を図ります。 ・関係局及び区役所は、避難行動要支援者の支援関係団体や情報伝達に必要な専門的技術を有する団体や個人等(盲ろう通訳・介助員、手話通訳者及び要約筆記者等)を把握し、災害発生時に情報伝達や相談業務のための避難所等への派遣等の協力が得られるよう、危機管理室とも連携したネットワークの構築に努めます。 ・区役所は、災害時における大阪市からの情報伝達方法や、避難所となる施設の所在及び避難所で受けられるサービス内容についてあらかじめ関係局と協議のうえ広く住民に周知します。 4 要配慮者利用施設の把握と情報伝達体制の整備 ・要配慮者利用施設の範囲は「要配慮者利用施設の範囲(別紙7)」とします。 ・施設所管局は、要配慮者が通所・入所等により日常的に利用する施設・事業所について、要配慮者利用施設として定め、利用者の安全の確保を図るとともに、災害時の被災避難行動要支援者の避難支援に協力を要請します。 ・水防法第15条による要配慮者利用施設(洪水予報河川及び水位周知河川のはん濫により、浸水が想定される区域内の要配慮者利用施設で当該施設の利用者の洪水時の円滑かつ迅速な避難を確保する必要があると認められるもの)の範囲も「要配慮者利用施設の範囲(別紙7)」と同様とします。 ・施設所管局は、この範囲に該当する要配慮者利用施設を把握したうえで危機管理室に報告し、危機管理室及び区役所は、洪水予報、水位周知河川における水位到達情報及び避難勧告等について区域内の要配慮者利用施設等へ伝達する体制を整備しておきます。 ・危機管理室は施設所管局と連携し、災害時に施設入所者及び通所者の安全が確保されるよう施設管理者に防災啓発を行います。 ・要配慮者利用施設のうち本市の管理施設については、施設所管局と連携し、災害発生時に備え、具体的な諸活動にかかる対策を定めたマニュアルを策定しておくとともに、防災訓練の実施や利用者への意識喚起に努めることとします。また、それ以外の民間施設に対しても、危機管理室は施設所管局と連携し、同様の取組みを行うよう要請するとともに必要な支援を行うことができるよう検討します。 5 専門的かつ緊急性を要する人への対応 ・区役所は、人工呼吸器等を使用している在宅難病患者等の医療依存度の高い人についても、避難行動要支援者の状態把握の中で確認しておき、災害時に受入医療機関等が把握できるよう地区医師会等との連携を図ります。 ・健康局は、必要な医療機関の情報が市本部から区本部へ伝達できるよう連絡体制の整備に努めます。 6 食料品、生活用品等の準備 ・危機管理室及び各担当局は、避難行動要支援者に配慮した食料品、介護用品を含む生活用品等について、現状備蓄に加え民間企業等と協定を締結することにより調達・運搬体制の整備をしておきます。 7 医療的ニーズ等への対応 ・危機管理室及び各担当局は、避難行動要支援者にとって必要になると見込まれる医薬品・医療材料について、現状備蓄に加え、関係機関等と協定を締結することにより調達・運搬体制の整備を図ります。      8 災害時避難所の施設環境整備 ・災害時避難所となる施設の管理者は区役所と連携し、災害時に必要な食料品や車いすや紙おむつ等の介護用品を含む生活用品等について、あらかじめ危機管理室と関係局との協議によって今後、定める数量を安全なスペースに保管しておくとともに、自主防災組織にその場所、備蓄内容等を周知しておきます。 ・区役所は災害時避難所となる施設の管理者の協力を得て、施設の本来機能の早期回復に留意し、災害時避難所としての活用時に使用可能となるスペースについて対処できる想定避難者数等を踏まえてあらかじめ定め、避難行動要支援者の支援のための施設使用計画を事前に検討できるよう自主防災組織に周知しておきます。 ・区役所は、「大阪市避難行動要支援者名簿」をもとに対象区域に居住する避難行動要支援者の概数を把握し、施設規模に比して避難行動要支援者が多数におよび収容が困難になることが想定される場合には、近隣の災害時避難所や福祉避難所との連携方法をあらかじめ調整しておきます。 ・特に体育館等での避難生活が長期化する場合に備え、危機管理室及び各担当局はプライバシー確保や生活環境を整備するため、緊急時における必要物資の迅速な調達及び各避難所への配送・提供等に関して、民間企業等との間で協定の締結に努めます。       9 福祉避難所の指定 ・災害時における避難行動要支援者の避難生活場所については、在宅、災害時避難所、福祉避難所、緊急入所等が考えられますが、福祉避難所の対象は、避難所生活において何らかの特別な配慮を必要とする人で、介護保険施設や医療機関等に入所、入院するに至らない程度の在宅の避難行動要支援者を対象とします。 ・危機管理室及び区役所は教育委員会等と連携し、小、中学校などの災害時避難所のうち比較的環境が整っている災害時避難所の一部の部屋を、各地域で行われる避難所開設訓練等を通じ、福祉避難室として確保していきます。 ・危機管理室及び区役所は福祉局、健康局、こども青少年局と協議し、福祉避難所としての利用が求められる社会福祉施設等について、施設管理者と調整のうえ区単位で福祉避難所の指定を行います。 ・危機管理室及び区役所は、適切な場所にこのような施設がない場合や、災害発生時に福祉避難所が不足する場合を想定し、避難行動要支援者のために応急措置的な避難所が提供できるよう、公的施設や民間の旅館・ホテル等に対して協力依頼を行います。 ・福祉避難所として指定する施設は、原則として耐震、耐火構造を備え、治療や介護に適した空間を有するとともにバリアフリー化されているなど、避難行動要支援者の利用に適している施設を対象とします。 ・福祉避難所においては、緊急事態発生時に医療機関への連絡等ができる体制の確保を行います。 ・福祉避難所においては、相談窓口を設置し、サービス提供やその他の調整を行う体制を確保します。 10 緊急入所等 ・避難所や自宅で生活することができない避難行動要支援者のうち、身体状況の悪化により緊急に入院加療等が必要な者等については、緊急入院、緊急入所、ショートステイにより対応します。 ・危機管理室、福祉局、健康局及びこども青少年局は、入所者の安全確保と避難行動要支援者の緊急入所に対応するため、社会福祉施設における緊急時の職員体制や緊急連絡網の整備が図られるよう働きかけるとともに、非常食及び医薬品等の備蓄、防災設備・資機材の充実、速やかな調達ができる体制を整えるよう検討を行います。 11 社会福祉施設等との連携・協力体制の構築 (1)社会福祉施設との協力体制の構築 ・福祉局、健康局及びこども青少年局は、社会福祉施設等の関係団体と協議し、災害発生時に緊急一時入所等の対応を円滑に進めるため、関係団体と協定を締結するなど協力体制の構築について検討します。 ・福祉局、健康局及びこども青少年局は、社会福祉施設が被害を受けた場合に、入所者の生活支援を相互に行うことができるよう、市内だけでなく市外も含めた社会福祉施設同士で相互応援に関する協定を締結するなど社会福祉施設相互間の協力体制を構築するよう働きかけます。 ・福祉局、健康局及びこども青少年局は、社会福祉施設等における災害時の利用者の安全対策について確認し、それぞれの状況を踏まえた避難支援プランを作成するよう要請します。 ・区役所は、社会福祉施設において、入所者及び通所者の安否確認並びに施設の安全等の確認が迅速に行われるとともに、自主防災組織等と連携した避難誘導が行われるよう指導します。  (2)介護事業者との連携 ・介護事業者等が平常時から避難行動要支援者等に接していることから、危機管理室は福祉局と連携し、災害発生時の情報伝達、安否確認等についての協力体制の構築に向けて検討を進めます。 ・危機管理室は福祉局と連携し、介護支援専門員(ケアマネジャー)・ホームヘルパー等、日常的に避難行動要支援者に接する職員の災害対応について、介護事業者等に働きかけます。 (3)福祉総合相談体制及び在宅福祉サービス提供体制の構築 ・福祉局、健康局及びこども青少年局は、区保健福祉センターと連携して、災害時に特に必要性が高まる避難行動要支援者の相談対応について、地域包括支援センター等との協力体制の構築を図ります。 ・福祉局、健康局及びこども青少年局は、区保健福祉センターと連携して、避難された避難行動要支援者の状況に応じて必要な保健・福祉サービスを提供するための所要の体制整備を図るとともに、必要な在宅福祉サービス等が引き続き提供できるよう、関係機関との協力体制の構築を図ります。 12 外国人に対する支援 (1) 日本語に不慣れな者への情報伝達体制の整備 ア 多言語による情報提供 ・危機管理室は、災害時避難所表示板や広域避難場所案内板及び誘導標識の表示を多言語、やさしい日本語表記、ルビふり等で行います。 ・危機管理室及び区役所は、避難所の所在等の情報を大阪市ホームページで多言語により発信します。 ・危機管理室は、多言語で放送を行っている株式会社FM802(FM COCOLO)等と連携し、災害時における外国人への迅速な情報伝達体制を整備します。 ・危機管理室は大阪府と連携し、英語により携帯電話へ気象・地震・津波等の緊急情報を配信している、おおさか防災ネット防災情報メール(携帯電話)について多言語によるサービス充実を図ります。 イ 通訳・翻訳者の確保 ・経済戦略局は大阪国際交流センターと連携し、災害情報等の翻訳等、外国人に対する災害情報等の伝達や相談業務を行うため通訳ボランティア等の確保に努めます。 ・経済戦略局は、大阪国際交流センターを通じて近畿地域国際化協会連絡協議会と連携し、被災地以外からの通訳ボランティアの応援が得られるよう関係市町間で相互派遣ができる体制の整備を図ります。    (2) 防災啓発の実施 ・区役所は危機管理室及び経済戦略局と連携し、多言語の防災パンフレット等を大阪市への転入時等に外国人に配布します。 ・危機管理室及び区役所は、大阪市ホームページの充実等、インターネットを活用した多言語による防災知識の普及を図ります。 ・区役所は危機管理室及び教育委員会等と連携し、小学校等で行われている日本語教室等の場を活用して外国人に対する防災啓発を実施します。 ・区役所は危機管理室と連携し、多くの外国人が働く事業所での防災教育の実施を促進します。 ・危機管理室は経済戦略局と連携し、在関西領事館の要請に基づき、外国人に対する防災講習会を実施します。 (3) 関係団体等との協力体制の構築 ・経済戦略局は大阪府と連携し、在関西領事館と緊急時の連絡網を整備し、協力体制を構築します。 ・関係局は、外国人の支援にあたり関係団体、NPO等との連携を密にし、災害発生時の協力体制の充実を図ります。 13 災害時の避難行動要支援者支援活動調整体制の整備 ・危機管理室は、災害時の避難行動要支援者支援活動の初期初動からその後の避難生活支援活動の調整を円滑かつ迅速に実施するため、関係局で構成する大阪市災害対策本部避難行動要支援者支援班の立ち上げ及び調整体制の整備を図ります。 第5章 大阪市の取組み(災害発生時) 大阪市域において災害が発生または災害が発生するおそれのある場合には、設置基準に基づき大阪市災害対策本部(以下「市本部」という)および大阪市区災害対策本部(以下「区本部」という)を設置し災害応急対応を行います。市本部においては、避難行動要支援者支援班及び福祉部、健康部、こども青少年部等の関係部が連携し、災害応急対策に取り組みます。 1 災害・避難情報の提供 ・市本部は、洪水時等の円滑かつ迅速な避難行動要支援者の避難を確保するため、気象警報、洪水予報、河川水位情報と避難準備情報、避難勧告、避難指示の情報について、同報無線、おおさか防災ネット、危機管理室ホームページ、テレビ、ラジオ等、多様な手段を活用して正確な情報を迅速に提供します。 ・市本部は、これらの情報を該当する地域の要配慮者利用施設へメールで提供するとともに、区本部は、自主防災組織の代表者への電話連絡並びに組織内への早急な伝達の指示等を行います。 2 災害時の初期初動対応 (1) 安否確認、救出・救護、避難誘導の実施 ・避難行動要支援者の安否確認、救出、救護及び避難誘導は自主防災組織があらかじめ収集した情報を基に行うこと(参照)別紙3:「地域住民単独による避難行動要支援者の避難支援(初期初動)」が基本になりますが、自主防災組織では収集できない情報もありえることから、自主防災組織の避難支援行動を補う必要があります。そのため、区本部は自主防災組織の協力を得て、小学校区域ごとに整理しておいた「大阪市避難行動要支援者名簿」に基づき避難行動要支援者の避難状況を確認し、安否が未確認の場合は自主防災組織に迅速な安否確認を依頼し、必要に応じて救出・救護、避難誘導等を指示します(参照)別紙4:「大阪市避難行動要支援者名簿を活用した避難支援(約半日経過以降)」。なお、区本部は、津波警報発令時など災害が発生する恐れがある場合においても、災害対策基本法に基づき、本人の同意を得ることなく避難支援等関係者などに「大阪市避難行動要支援者名簿」の提供などの支援を行います。 (2) 要配慮者利用施設の被害状況等の把握 ・市本部は区本部及び自主防災組織、要配慮者利用施設などの協力を得て、要配慮者利用施設の被害や負傷者等の状況を把握します。また、被害等の状況をふまえ、利用者がより安全に避難できるよう、関係機関と協力しながら支援活動を行うとともに、情報提供を行います。 ・あわせて、市本部及び区本部は、社会福祉施設及び福祉避難所として指定している施設の被害や負傷者等の状況を把握するとともに、緊急一時入所等の受入の可否及び受入可能人数等を把握します。  (3) 専門的かつ緊急性を要する人への対応 ・区本部は地区医師会等と連携し、医療機器への依存度が高く緊急性を要する人へ医療機関の情報を提供するとともに、市本部は大阪府等と連携し広域的な医療機関の情報を収集し、治療が滞ることのないよう調整を図ります。 (4) 福祉避難所の開設 ・区本部は一般の災害時避難所では対応が困難な避難行動要支援者のために、自主防災組織や要配慮者利用施設管理者の協力を得て、あらかじめ福祉避難所の指定を行い、災害発生時には、災害時避難所においては避難所運営委員会、その他の施設においては施設管理者の協力を得て福祉避難所を開設します。 ・指定していた福祉避難所のみでは量的に不足する場合は、区本部は、市本部と協議の上、市全域で調整を行います。市全域での調整後も不足する場合は、市本部と大阪府が協議の上、他都市へ協力を要請します。 ・区本部は、災害時避難所に収容された避難行動要支援者について、災害時避難所での避難生活が困難と認められる場合には、その程度に応じて緊急入所対応もしくは福祉避難所への移送を行います。 ・避難行動要支援者の安心に配慮し、避難行動要支援者の家族についても、避難状況等を勘案の上、家族による介護が可能な場合に限り福祉避難所に避難することとします。 ・福祉避難所において、地域包括支援センター等との協力のもと、災害時に特に必要性が高まる福祉サービス、健康に関すること、避難行動要支援者への生活支援や心のケア等、避難行動要支援者特有の相談対応にあたります。 3 被災後の避難生活支援 (1) 避難行動要支援者の実態把握 ・区本部は自主防災組織の協力を得て、避難行動要支援者の避難にかかる実態等を的確に把握し、市本部は調査結果のとりまとめと今後の支援策の検討を行います。 ア 把握の方法 ・区本部は、避難所において、養護者を含めた避難行動要支援者の避難状況の把握を行います。 ・区本部は、在宅で生活を継続している避難行動要支援者に対して、自主防災組織・介護事業者の協力を得て一人ひとりから聞き取りを行います。 イ 主な聞き取り内容 ・健康状態   ・必要なサービス   ・生活の状況(同居家族、介助者等の有無など) (2) 被災後の生活関連情報の提供 ・区本部は、市本部から情報を受けて、介護用品を含む生活用品を必要とする避難行動要支援者及びその家族と介護者に対し、物資の入手情報を早期に提供します。また、避難状況等から不足が予測されるものについては、市本部等に調達を依頼します。 ・市本部及び区本部は、避難行動要支援者が情報から孤立しないよう、テレビ、ラジオ、インターネット、同報無線、掲示板等、避難行動要支援者の状況に応じた多様な情報提供手段の活用を図ります。 ・区本部は、在宅の避難行動要支援者に向けては、自主防災組織の協力を得て必要に応じ訪問するなど確実に情報が伝達されるような対応に努めます。 【避難行動要支援者に提供する情報】 避難所の場所    避難所への安全な経路    家族の安否 食料品、生活用品などの物資の入手方法    相談窓口 保健・福祉サービスなどの生活支援情報    診療可能な医療機関 罹災証明・応急仮設住宅の申込みに関すること (3) 医療機関、福祉避難所等への移送 ・区本部は自主防災組織の協力を得て、避難行動要支援者の健康状態やニーズ等を踏まえ、医療機関または福祉避難所への移送、社会福祉施設への緊急入所、緊急ショートステイなどの対策を検討し、市本部とも連携しながら迅速かつ的確に対応します。市本部はこれらの対応にあたって全市的な状況把握を行うとともに、区本部での対応が困難な場合には市外部からの支援等も含む広域的な関係機関との連絡調整を行います。 ア 医療機関への移送 ・重症患者等が発生した場合には、速やかに医療機関へ移送します。 イ 社会福祉施設等への緊急入所等 ・常時の介護や治療が必要で避難所や自宅での生活が困難になった避難行動要支援者等については、あらかじめ協定等で締結した内容に基づき、施設への緊急入所、緊急ショートステイ等の措置を講じます。また、急性期等の医療的ケアが必要な場合には病院等への入院手続きを講じます。 ウ 福祉避難所への移送 ・避難所や自宅で生活することが困難な人とその家族(避難状況を勘案の上、家族による介護が可能な場合に限る)については、その必要なサービスの内容をふまえ、できるだけ速やかに福祉避難所へ移送します。 (4) 避難行動要支援者に配慮した食事や生活用品の提供 ・市本部は避難行動要支援者に配慮した食料を調達し、区本部が自主防災組織の協力を得て災害時避難所で提供します。なお、アレルギーや宗教上の食事制限のある人に配慮し、絵文字(ピクトグラム)などで成分表示に努めます。 ・市本部は避難行動要支援者に配慮した介護用品を含む生活用品を調達し、区本部が自主防災組織の協力を得て災害時避難所で提供します。 ・市本部は、避難生活が中長期化するような場合については、在宅福祉サービスが従前どおり提供できるよう、区本部並びに関係機関と連携を行います。 (5) 避難行動要支援者の相談窓口の設置 ア 災害時避難所への相談窓口の設置 ・区本部は市本部と連携し、福祉サービス、健康に関することなど避難行動要支援者特有の相談に対応できる避難行動要支援者の相談窓口を、地域包括支援センター等との協力のもと災害時避難所に開設します。 イ 在宅を始めとした避難行動要支援者専用の相談窓口の設置 ・区本部は、福祉サービス、健康に関することなど避難行動要支援者特有の相談に対応できる避難行動要支援者専用の相談窓口を、自主防災組織との協力のもと、区保健福祉センター及び必要に応じて地域包括支援センターに開設します。 (6) 保健・福祉サービスの提供 ・区本部は、自主防災組織や専門性の高いボランティア組織や要配慮者利用施設、サービス提供事業者等と連携して避難行動要支援者の避難生活を支援し、市本部は全市的な避難行動要支援者の状況把握を行うとともに、区本部での対応が困難な場合は市外部からの支援等も含む広域的な関係機関との連絡調整を行います。 ア 保健・福祉サービスの実施 ・市本部は、区本部とも連携しながら、平常時に必要としていた保健・福祉サービスが受けられない避難行動要支援者に対して、自主防災組織や専門性の高いボランティア組織や、要配慮者利用施設、サービス提供事業者等と連携し、多様な保健・福祉サービスを利用できるようにして生活を支援します。 【必要な保健・福祉サービス】 ・入浴サービス   ・移送サービス   ・訪問介護(ホームヘルプ)サービス ・通所介護(デイサービス)   ・訪問看護サービス   ・保育サービス イ 健康面のケアの実施 ・区本部は市本部とも連携し、保健師、栄養士等の巡回による、避難所や在宅の避難行動要支援者に対する健康相談を実施するとともに保健指導や栄養指導を行い、疾病の予防や心身の機能低下の予防に努めます。 ・医療が必要な場合や中断されている場合は、医療機関を紹介し受診勧奨します。 ・区本部は市本部とも連携し、トウラマ(心的外傷)やPTSD(心的外傷後ストレス障害)など、こころのケアが必要な児童や高齢者等を把握するとともに精神的不安の解消を図ります。 ・これらの支援については、避難所を退所した後も必要に応じて継続した支援ができるよう配慮します。 (7) 在宅の避難行動要支援者への支援 ・区本部は自主防災組織・介護事業者の協力を得て、被災後も自宅で生活している避難行動要支援者に対して、定期的に安否を確認するとともに心理的にも孤立しないよう配慮します。 4 避難行動要支援者に考慮した応急仮設住宅・公営住宅の入居及び支援 ・市本部は区本部と連携し、避難行動要支援者の応急仮設住宅への入居に対応するとともに、区本部は自主防災組織の協力を得て避難行動要支援者が地域コミュニティに参加できるよう支援します。 (1) 応急仮設住宅の整備 ・市本部は可能な限り避難行動要支援者が自立した生活を送れるように配慮した応急仮設住宅の整備に努めます。 (2) 応急仮設住宅・公営住宅の優先入居 ・市本部は区本部と連携して、避難所での長期生活での二次被害が生じないよう、入居者の選定にあたっては避難行動要支援者を優先的に選定するよう配慮します。 (3) 福祉仮設住宅の設置 ・市本部は、被災前の居住地に比較的近い地域において、保健・福祉施策による生活支援を受けながら生活することができ、介護サービス等を利用しやすい構造及び設備を有する避難行動要支援者向けの福祉仮設住宅を設置するよう努めます。 (4) 見守り活動の実施 ・区本部は、応急仮設住宅の居住者や手話通訳者等を含むボランティア団体等の協力を得て、巡回訪問による見守り活動を行い、避難行動要支援者が孤立しないよう配慮します。 (5) 緊急に通報できる仕組みの整備 ・市本部は区本部と連携し、応急仮設住宅に移ったひとり暮らしの高齢者等には緊急に通報できる仕組みを整備し、自らの緊急事態を知らせることができる体制整備に努めます。 5 外国人に対する支援 (1) 日本語に不慣れな人への災害・避難情報の提供 ・市本部は、災害発生時の外国人の避難等を容易にするために、災害の状況等の正確な情報をラジオ(FM COCOLO)、おおさか防災ネット防災情報メール(携帯電話)等を利用し速やかに多言語で情報提供を行います。 (2) 被害状況等の把握 ・市本部及び区本部は、関係団体、NPO及び自主防災組織等と連携し、地域ごとの外国人被害状況を速やかに把握します。 (3) 被災後の避難生活支援 ア 相談窓口の設置 ・市本部は、災害時に言語や生活習慣、文化の相違から避難生活に大きな支障が出る恐れがあるため、通訳ボランティア等の協力を得て、大阪国際交流センターに外国人専用の相談窓口を設置し相談の拠点とします。 イ 生活関連情報の提供 ・市本部及び区本部は、生活関連情報を多言語、やさしい日本語表記、ふりがなふり等により災害発生後早期に情報提供を行います。 ・市本部及び区本部は、関係団体、NPO、エスニック・メディア等と連携して情報提供を行います。 6 その他の要配慮者に対する支援 ・市本部及び区本部は、避難行動要支援者以外の要配慮者に対しても、災害時における情報提供等必要な支援において、配慮に努めます。