子どもの人権を考える~子どもの人権条約より~
2023年3月16日
ページ番号:448834
北野 真由美 さん (NPO法人 えんぱわめんと堺 代表理事)
子どもたちの基本的人権を国際的に保障するために、1989年第44回国連総会で採択された「子どもの権利条約」。日本がこの条約に批准(1994年)してから来年で25周年を迎える。
今18歳未満の人たち、そして私たちおとなは、この権利条約を理解して毎日を過ごしているだろうか?一人ひとりが子どもだった頃と照らしながら、子どもの人権がなぜ大事なのかを考えていきたいと思う。
私たち「NPO法人えんぱわめんと堺」の活動は、主に子どもの人権をベースにワークショップ(参加型学習)を実施している。ワークショップを通じて子どもの本音を聴く活動である。就学前の4,5歳から小中高・支援学校と教育現場が多いが、最近では、放課後デイサービス・学童保育などで実施することもある。中学校で黒板の前に立ち、初めに感じるのは、小学生までの子どもの態度や姿勢とは違うということだ。前向きに関心をもってくれる中学生もいるが、少し遠い目で私たちおとなを計るように見ていることもある。その中で印象的な例を紹介したい。
ある時のこと、「皆さん、こんにちは!今日は一人ひとりが大切だということを一緒に考えるために来ました」と私が発声した瞬間、教室中に響くような大きな声で、「はぁ?うっとうしいねん!もううざいって!」といった反応があった。ファシリテーターとしては、こちらからの発信に反応があることは大歓迎である。「ああ、今うっとうしい?うざいって言ってくれた?ありがとう」と応じると、「あんなぁ、なんでうざいか教えたろか」と、少し舌を巻くような言い方で言ってきた。私は「教えて!教えて!」とその生徒に近づき、向き合った。私はこの瞬間が大好きでワクワクする。すると、「あんなぁ、おとなは一人ひとり大切って言うけど、勉強できるやつしか見てないやろう。おれらの言うことなんか聴かんやろう。なにが大切やねん。もう、うっとうしいって思うわ。もういい!うざいって感じ!」とその生徒が言った。なるほど、多くのおとなが真摯に受け止めるべき言葉である。大事なことを言ってくれたことへの感謝の言葉とともに、他の人にも伝えていいか了解を得たい旨を伝えると、その生徒は「そんな良いこと言ったかな」と驚いた表情を見せた。そして、この生徒だけではなく、周りの生徒たちの様子も変化していった。
子どもの権利や人権を考える時、この中学生に対して私がやったことは二つ。一つは、正誤で注意や評価するのではなく、生徒の発言を気持ちとして受け止めた。そしてもう一つは、この生徒の発言を尊重した(その発言を、他の人に言っていいかどうか了解を取った)。このことはエンパワメントの考え方に基づいており、エンパワメントの関わりで、その生徒自身が本来持つ力を発揮してくれたと考えている。子どもが力を最大限に発揮できるようその場への参加を促し、働きかけることは、子どもにやさしい地域づくりにつながると思う。そしてそれは、先生や親だけでなく、地域の一人ひとりのおとなの果たす役割であるとも思う。私たちおとなが子どもに接する際は、このようなエンパワメントの関わりを心がけたいものだ。
※エンパワメント…私たちそれぞれが潜在的に持っているパワーや個性、可能性をふたたび取り戻し、社会に向けて働きかけること。
探している情報が見つからない

このページの作成者・問合せ先
大阪市西成区役所 市民協働課人権・生涯学習グループ
〒557-8501 大阪市西成区岸里1丁目5番20号(西成区役所7階)
電話:06-6659-9734
ファックス:06-6659-2246