大阪市会だより 平成27年 5月号 編集と発行/大阪市会事務局政策調査担当 〒530-8201 大阪市北区中之島1-3-20 ☎6208-8694 FAX6202-0508 大阪市会ホームページアドレス http://www.city.osaka.lg.jp/shikai/ 平成27年度予算案を一部修正のうえ可決 予算総額 3兆9,958億円  大阪市会は、2・3月定例会を2月13日から3月18日まで開き、おもに平成27年度予算案及び予算関連案件を審議しました。  予算案及び予算関連案件については、2月24日の本会議において市長から説明を受け、それぞれの議案を所管別に6つの常任委員会に付託し、審査を行いました。3月12日の本会議において、市長から「平成27年度大阪市一般会計予算の一部修正の承諾を求めることについて」の提案を受け、これを承諾し、同日、修正内容を含めて委員会審査を行い、13日の本会議において、「平成27年度大阪市一般会計予算」については修正可決のうえ附帯決議を付すことに決しました。また、水道事業の経営形態の見直しに関する議案について否決し、その他の予算案等は原案どおり可決しました。  また、3月13日の本会議において、大阪市を5つの特別区に分割する「特別区設置協定書の承認について」を承認したことを受け、同日、市長から特別区設置の是非を問う住民投票の関連経費として平成26年度及び平成27年度の一般会計補正予算案が提案されたため、会期を5日間延長し、18日の本会議においてこれらを可決のうえ附帯決議を付すことに決しました。  このほか、本定例会では、地下鉄・バス事業の民営化関連議案を再び否決したほか、議員報酬及び政務活動費の減額の特例措置の期間を延長するなどの条例改正案、政務活動費の領収書等を平成27年4月30日以降交付分から大阪市会ホームページで公開する条例改正案などを議決しました。 市 会 の 動 き 2/ 6(金) 招集告示[2・3月定例会]  13(金) 〈開会〉本会議(付託案件の市長説明など)  18(水)~20(金) 常任委員会(付託案件の審査など)  24(火) 本会議(付託案件の議決、予算案等・特別区設置協定書の市長説明など)  26(木)・27(金) 本会議(代表質問) 3/ 2(月)~6(金) 6常任委員会(予算案等に対する説明、質疑など)   9(月) 財政総務委員会(特別区設置協定書の審査)  12(木) 本会議(予算案等の一部修正の承諾など) 6常任委員会(予算案等に対する態度決定など)  13(金) 本会議(予算案等・特別区設置協定書などの議決、補正予算案の市長説明、会期の延長など)  16(月) 財政総務委員会(補正予算案の審査)  18(水) 財政総務委員会(補正予算案に対する態度決定) 本会議(補正予算案の議決)〈閉会〉 各会派の代表質問 2月26日、27日の本会議で各会派が行った、予算案などに対する代表質問のおもな内容を紹介します。 大阪維新の会 丹野 壮治 議員 ~大阪都構想~ 問.特別区になれば、住民の信託を受け、責任を負う公選区長が住民の声に耳を傾け施策を判断し、区議会で住民の立場から議決することで、住民自らが地域の施策を責任を持って決定できます。住民自治の充実、真の自治の実現には、都構想しかないと考えます。また、特別区設置に関して、サービス水準が低下するなどの根拠のない批判に対する市長のご所見をあわせてお伺いします。 答.今の大阪市の体制では、本来の市町村が行うべき仕事が非常におろそかになっています。市内に5名の公選区長と区議会議員を置き、当該地域の住民の皆さんの声を今よりも細かくくみ、きちんとした行政を行うべきです。住民サービスが低下するという批判がありますが、特別区設置協定書では特別区に適正に事務を引き継ぐとなっており、住民サービスが下がることは絶対にありません。 〔他の質問項目:地下鉄事業における運賃値下げ、子ども・子育て支援新制度、天王寺動物園の魅力向上、密集住宅市街地整備の推進 など〕 公 明 党 明石 直樹 議員 ~経済活性化対策~ 問.消費喚起効果の高いプレミアム付商品券発行事業は、夏休みまでに実施するべきです。また、活力ある大阪を実現するには、世界から人・モノ・投資等を呼び込み、中小企業等がビジネスチャンスを得るための支援が重要ですが、市長は大阪市としてのトッププロモーションをほとんど行っていません。今後どのように経済活性化対策に取り組んでいくのか、市長のご所見をお伺いします。 答.プレミアム付商品券については、国の緊急経済対策であり早期に実施する必要があるため、7月中の発行をめざしていきます。また、経済活性化対策については、大阪府や大阪商工会議所ときちんと役割分担し、トッププロモーションは府知事に任せ、大阪市は、産業創造館においてきめ細やかな販路開拓サポートや相談対応を行うなど、中小企業支援策をしっかりやっていると認識しています。 〔他の質問項目:高齢者ボランティアポイント事業、産後ケア、保育所・幼稚園の保育料、中学校給食 など〕 自由民主党 北野 妙子 議員 ~特別区設置協定書に関する問題~ 問.特別区設置協定書では、府が実施する広域の事務事業経費は、市から移管した財源から捻出するとされていますが、これでは府が負担すべき経費を特別区の区民が負担し続けることとなります。また、市の過去の損失も全て特別区の財源で賄うため、区民の負担は減りません。特別区になれば区民の負担が軽減するとの市長の説明は事実と全く異なりますが、市長のご認識をお伺いします。 答.大阪市民の負担軽減については、まず、現在、大阪市が広域行政の仕事として使用している2,200億円程度の財源を特別会計として切り出し、その中で管理します。そして、二重行政となっている仕事をきちんと整理したうえで、仕事に見合った財源を府と特別区に配分します。そのうえで、特別会計で余った財源は、広域行政に使わなくなるので、特別区へ還元するという仕組みです。 〔他の質問項目:中学校給食、子ども・子育て支援新制度、経済対策、住民投票に向けた市民の理解状況 など〕 OSAKAみらい 福田 賢治 議員 ~大阪市廃止・分割プラン~ 問.特別区設置協定書は、今まで行われてきた議論の結果も尊重しておらず、デメリットがないはずがありません。市民にデメリットを正直に告げ、メリット・デメリットをきちんと比較したうえで判断を仰ぐのが本筋です。重大な選択を迫られる市民が正しく判断できるよう、この制度改革がもたらすデメリットについて、市長はどのように説明責任を果たすのかお聞きします。 答.都構想に反対の方々は効果がないと言いますが、財政シミュレーションによると17年間の活用可能財源額は特別区で2,700億円、大阪府移行分で1,300億円になります。また、重要なのはメリット・デメリット論ではなく、今の府市の体制と都構想のどちらがいいのかという選択です。原則は市長が住民に説明すればいいですが、反対会派の議員の方にデメリットを主張していただければと思います。 〔他の質問項目:学校図書館活用推進事業の充実、学校現場の負担軽減、中学校給食、子ども・子育て支援新制度 など〕 日本共産党 山中 智子 議員 ~大阪市廃止・分割構想~ 問.東区など3つの特別区の庁舎は、どこに建設するのか、また用地があるのか、全く明らかになっていません。町名も行政区の名前を残すのか残さないのか、決めないままで住民投票を行おうとしています。財政調整なども不明確なままです。これでは結局、白紙委任に等しいと言われても仕方がなく、今の特別区設置協定書のままでは、住民投票にかけられないのではないでしょうか。 答.住民投票にかけられないものであれば、総務省から意見が付きます。細かに定めなければいけない部分については、工程表に地名や庁舎の問題も含めて全部書いてありますので、工程表を見ていただきたいと思います。特別区設置協定書は、霞が関の厳しい役所からのいろいろな指摘を全部クリアした大阪都構想の設計図であり、住民投票にかけるに十分値するものです。 〔他の質問項目:なにわ筋線の鉄道建設、IR(カジノ)の誘致、介護保険料の値上げ、住吉市民病院〕 大阪維新の会 村上 栄二 議員 ~分権型教育行政~ 問.中之島の教育委員会だけでやっていたことを24の区役所も分担すれば、学校等の実情や課題を把握し、各校の取り組み実績を評価するといった工程管理をよりきめ細やかに行えるようになります。平成27年1月の「市長と教育委員の協議」において打ち出された分権型教育行政システムへの転換や、区担当教育次長をサポートする体制と権限について、市長のご所見をお伺いします。 答.分権型教育システムについては、市長と教育委員会、学校、区の役割を明確化することで、それぞれが責任をもって、目標の達成に向け取り組みを進めることができます。区担当教育次長については、区職員に教育委員会事務局の兼務を発令するなど区役所内にサポート体制を構築し、また限られた経費・資源を有効に活用して、学校や地域に有益なシステムとなるよう運用してもらいます。 〔他の質問項目:病児・病後児保育事業、築港・ベイエリア地区のにぎわい創出、バス事業の民営化、大阪戦略調整会議 など〕 常任委員会でのおもな論議 3月3日から、常任委員会において、各委員が予算案等についてさまざまな論議を交わしました。 そのおもな内容を常任委員長の審査報告をもとに紹介します。 財政総務委員会 問.今後の財政見通しについては 答.平成27年2月に発表した財政収支概算では、平成27年度当初予算での新規事業や既存事業の拡充による事業費の増加や、人件費の増加を織り込む一方で、市政改革基本方針に基づく見直しなどを反映した結果、当面の単年度通常収支不足は200億円から300億円程度と見込んでおり、平成27年度の不足額は268億円となっています。阿倍野再開発事業会計への繰出金の増加や公債費の増加により、不足額は一時的に増加するものの、平成35年度には収支不足が解消されると見込んでいます。 他の質疑項目 宝くじ収益金の配分割合の見直し、保育士及び幼稚園教員の給料表の新設、近現代史を学ぶ施設、市民利用施設の見直し など 教育こども委員会 問.子ども・子育て支援新制度に伴う幼稚園・保育所の保育料については 答.幼稚園保育料については、平成27年4月からの新制度施行にあたり、公立・私立の区別なく保育料を検討し、市立幼稚園の在園児は、大幅な負担増となることから経過措置を設けました。保育所保育料については、新制度による保育の質の改善に伴い、保育費用が増加することから、年収470万円以上の世帯で引き上げを行いました。  また市長は、財源を生み出すことができれば、保育料に回すことも考えると答弁しました。  これに対して委員から、幼稚園・保育所保育料は、多くの階層で値上げになり、平成27年4月からの保育料がいまだ決まっていない状況での負担増は認められず、塾代助成事業の対象範囲を見直し、その財源を充てるべきであるという意見がありました。  こうした意見を受けて、市長は、当初予算案より幼稚園保育料の軽減措置を拡大し、市立幼稚園新入園児に対する経過措置を設定するとともに、保育所保育料についても軽減措置を拡大する。また、塾代助成事業の所得制限限度額を見直し、助成対象者を8割から5割に変更するという予算の一部修正を行いました。 他の質疑項目 中学校給食、学校図書館活用推進事業、分権型教育行政、学校現場の負担軽減 など 民生保健委員会 問.住吉市民病院閉院に伴う医療空白への対応については 答.平成27年3月末に、病院再編計画が確定しても、府市共同住吉母子医療センター(仮称)の開院には最短で約2年2カ月を要します。また、住吉市民病院が平成28年3月以降も診療を続けるには、建物の耐震性や病院運営にかかる予算や、医療スタッフの継続確保などが課題となります。住吉市民病院が現在担っている医療機能については、廃止予定の平成28年3月末までに、関係局や大阪府と調整し、他の医療機関や施設等への協力依頼も念頭に、真に支援が必要な重症心身障がい児や発達障がいのある子どもへの継続した医療提供、在宅医療への移行支援などの体制づくりに努力していきます。また、地方独立行政法人大阪市民病院機構としても、市長から、平成28年4月以降も引き続き診療を提供するよう指示があれば努力していきます。 他の質疑項目 要援護者の見守りネットワーク強化事業、家庭系ごみ収集輸送事業の経営形態の変更、一般廃棄物収集運搬業の新規許可、休日急病診療所 など 都市経済委員会 問.博物館施設の地方独立行政法人化については 答.専門人材である学芸員の安定的確保を図り、より経営努力が発揮できる柔軟な運営をめざすとともに、効率化や相乗効果を引き出すため、専門分野が異なる複数の館を一体的に運営を行う地方独立行政法人を設立し、大阪市から、業務や権利義務、学芸部門の職員を引き継ぎ、職員は非公務員型とする予定です。博物館施設の土地は貸与し、建物は出資とします。館蔵品については博物館活動の根幹であり、その価値や管理方法に精通した、学芸部門の職員とともに館に帰属することが最適と考え、無償譲与を予定しています。  これに対して委員から、経営形態見直しについては、さらに時間をかけて検討すべきであるとの意見がありました。 他の質疑項目 夢洲まちづくり構想検討調査、観光客受入環境の整備、うめきた2期区域のまちづくり、市営住宅のストック総合活用計画 など 建設消防委員会 問.南海トラフ巨大地震に対する堤防の耐震対策については 答.南海トラフ巨大地震対策の大きな柱として堤防の液状化対策を位置付け、大阪府と大阪市が連携して取り組んでおり、人命を守ることを最優先に、避難に十分な時間を確保できない地区や、液状化に伴う沈下によって浸水してしまう地区の堤防の耐震化を図っていきます。目標年次は、緊急性の高い地区の堤防についてはおおむね5年以内、全体としてはおおむね10年での整備完了をめざしていますが、対象となる堤防の延長は、大阪市所管分だけで46.6kmあり、耐震対策の実施には、1,100億円もの事業費が見込まれることから、その財源確保に向けて、国における新たな制度の創設などの要望活動を積極的に行っていきます。 他の質疑項目 同報系防災行政無線と防災アプリ、御堂筋の空間再編、国際コンテナ戦略港湾、天王寺動物園の魅力向上の取り組み など 交通水道委員会 問.水道事業の経営形態見直しについては 答.現時点では大阪市のような大規模水道事業の運営を既存の民間事業者に委ねることは困難ですが、早期に民間手法を取り入れた効率化を推進する必要があることから、大阪市が全額出資で株式会社を設立して運営権を設定したうえで、当該会社に職員を承継させ、水道事業の運営を行わせます。今後は、運営会社へ移管する資産の調査、運営権実施契約書の検討などを行うとともに運営会社を立ち上げ、平成27年秋頃には、当該運営会社に運営権を設定するための議案などを市会において審議していただきます。その後、実施契約の締結や、運営会社の組織体制の整備などの手続きを平成27年度中に完了させ、平成28年4月からの運営会社による業務開始を想定しています。  これに対して委員から、今すぐ経営形態を見直さなければ水道事業が立ち行かなくなるような経営状況ではない。運営権制度の活用が有効な経営手法になり得ることは理解できるが、すべて1年以内に確実に手続きが完了するとは考え難く、平成28年4月の実施を前提としたスケジュールは見直すべきであるとの指摘がありました。 他の質疑項目 地下街の活用方法、アートフェスタイベントに関する外部監察チームからの調査報告、新しいICカード戦略、国内外への水道ビジネス展開 など 特別区設置協定書について  大阪市を5つの特別区に分割する特別区設置協定書については、平成26年10月27日の本会議において承認することを否決しましたが、協定書の内容を一部修正のうえ、2月24日の本会議において、再度提出されました。  議案第174号「特別区設置協定書の承認について」は、2月24日の本会議において市長説明があり、2月26日、27日に予算案などとあわせて代表質問を行った後、財政総務委員会に付託し、3月9日及び12日に審査を行いました。その後、3月13日の本会議において、賛成多数により承認しました。 財政総務委員会でのおもな質疑項目~委員長の審査報告より~ ○二重行政の解消による効果額 ○特別区に配分される財源  ○特別区移行に伴うコストと新たに必要となる区役所庁舎の建設  ○「大阪都」の名称 ○一部事務組合の運営 ○成長戦略との関連性 ○町の名称の取り扱い ○特別区への児童相談所の設置  ○特別区移行後の職員体制 ○協議会だより発行中止の経緯 など 可 決 し た 意 見 書 ○「核兵器のない世界に向けた法的枠組み」構築への取り組みを求める意見書(2月13日) 大阪市会ホームページをご活用ください  会議の詳細な結果は、大阪市会ホームページの「会議の結果」をご覧ください。可決した意見書・決議、議案の修正や附帯決議についても、全文を掲載しています。また、市会日程などさまざまな情報を掲載しておりますので、ぜひご覧ください。 議会中継がスマートフォンやタブレット端末でも ご覧いただけるようになります  大阪市会ホームページにおいて視聴いただけるインターネット議会中継は、これまではパソコンからでしか視聴できませんでしたが、5月1日(金)から、スマートフォンやタブレット端末からでもご覧いただけるようになります。  議会中継は、本会議・委員会当日のライブ中継や、会議録が作成されるまでの間は、録画放映も行っています。 平成27年第2回定例会は、5月22日(金)開会予定です。